JP4016405B2 - 乾燥粉体の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水、有機溶媒等に湿潤された微粒子を乾燥して粉体を得るようにした乾燥粉体の製造方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水や有機溶媒等で湿潤された微粒子あるいは超微粒子(以下微粒子という)を乾燥するために、気流乾燥機等が使用されている。通常、上記微粒子は湿潤された状態では、複数の粒子が凝集した2次粒子の形で存在し、水や有機溶媒は2次粒子の間隙や粒子表面の細孔内まで入り込んでいるので、これらの間隙や微細な細孔内まで完全に乾燥させることは従来の乾燥機では長時間を要し、迅速に行うことがむずかしい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、上記のようにごくわずかに液体を含む微粒子からさらに液体濃度の高い湿潤された微粒子を迅速にかつ微粒子内に存在する細孔まで少ない動力で乾燥できるようにした乾燥粉体の製造方法及び装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、湿潤された微粒子と超臨界流体を攪拌混合して超臨界流体分散液とし、この超臨界流体分散液を乾燥空気中に放出して該乾燥空気と接触させ、上記超臨界流体を気化させると共に上記微粒子を乾燥するようにしたことを特徴とする乾燥粉体の製造方法が提供され、上記課題が解決される。
【0005】
また、本発明によれば、湿潤された微粒子と超臨界流体を攪拌混合して超臨界流体分散液とするための超臨界分散槽と、乾燥空気を発生するための乾燥空気発生装置と、上記超臨界流体分散液を放出し上記乾燥空気に接触させると共に上記超臨界流体を気化させる乾燥空気接触装置を具備する乾燥粉体の製造装置が提供され、上記課題が解決される。
【0006】
なお、本発明において超臨界流体とは超臨界状態の流体を意味し、また超臨界状態とは臨界温度、臨界圧力を超えたいわゆる超臨界状態の他、そのような臨界温度、臨界圧力をわずかに下回るような状態ではあるが相転移の状態変化が極めて短時間に起こるため上記超臨界状態とほぼ同様の取り扱いができるような亜臨界状態を含み、超臨界流体には亜臨界状態の亜臨界流体も含むものとする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例を示し、、超臨界分散槽(1)は、水や有機溶媒等に湿潤された微粒子を仕込む材料仕込口(2)と超臨界流体を仕込む超臨界流体仕込口(3)を有し、各仕込口(2),(3)にはそれぞれバルブ(V1),バルブ(V2)を介して材料仕込ライン(4)と超臨界流体ライン(5)が連結されている。また、該超臨界分散槽(1)には、調温ジャケット(6)が形成され、槽内の温度を計測する温度計(7)や圧力を計測する圧力計(8)が設けられ、バルブ(V3)を介して排出ライン(9)が底部に設けられ、下方の適宜位置にバルブ(V4)を介してヒ−タ−付の放出ライン(10)が接続されている。
【0008】
上記超臨界分散槽(1)内に仕込む超臨界流体は、二酸化炭素、メタン、エチレン、代替フロン等の気体を臨界温度、臨界圧力を超えて加熱加圧し、超臨界場を作成し超臨界流体として上記仕込口(3)から槽内に流入させているが、上記二酸化炭素等を槽内に流入した後、該槽内を超臨界場にして超臨界流体としてもよい。
【0009】
上記超臨界分散槽(1)内において、湿潤微粒子と上記超臨界流体を攪拌混合して超臨界流体分散液とするよう槽内に延出させた回転軸(11)の先端に攪拌翼(12)を設けてあるが、種々の攪拌手段を用いることができ、例えば、図2に示すように槽内の超臨界流体と湿潤微粒子の混合物をポンプ(13)で噴流攪拌ライン(14)に取り出し、ジェットノズル(15)から槽内に噴出させることにより該槽内に噴流を発生させ攪拌混合するようにしたり、外部に回転移動磁界を形成し、槽内に該回転移動磁界に応当して回転する回転体を設けて攪拌翼を駆動するようにしたり(図示略)、その他適宜の構成にすることができる。
【0010】
乾燥空気接触装置(16)は、上記放出ライン(10)に連絡する超臨界流体分散液放出口(17)を有し、かつ乾燥空気を発生させるための乾燥空気発生装置(18)の乾燥空気ライン(19)とバルブ(V6)を介して連通する乾燥空気供給口(20)を有している。該乾燥空気接触装置(16)は、筒状に形成され、周囲に調温ジャケット(21)を有し、底部に粉体を取り出すための取出口(22)があり、該取出口(22)にはバルブ(V5)を介して取出ライン(23)が形成されている。また、上部には上記超臨界流体を気化して排出させるための排出口(24)があり、該排出口(24)にはバルブ(V7)を介して排出ライン(25)が接続されている。なお、該乾燥空気接触装置(16)にも、温度計(26)と圧力計(27)が設けられている。
【0011】
上記乾燥空気発生装置(18)は、乾燥した空気を発生するための加熱炉、熱風炉その他適宜の手段が具備されるが、乾燥空気の温度は材料となる湿潤微粒子の性状に応じて適宜の温度が選定され、水に湿潤された微粒子の場合は露点以上、有機溶媒の場合は沸点以上が好ましい。
【0012】
上記乾燥空気接触装置(16)内において、上記超臨界流体分散液と乾燥空気を接触させるには、種々の形態で行うことができる。図3〜図6は、接触形態の一例を示し、上記放出口(17)と上記供給口(20)を対向して配置し、向流状態で接触させたり(図3)、放出口(17)と供給口(20)を装置内に設けた衝立板(28)の同一方向に並べて配置し、それぞれ該衝立板に衝突させて接触混合させたり(図4)、放出口(17)と供給口(20)の対向位置をずらして設け、これにより旋回流を発生させながら接触するようにしたり(図5)、上記放出口(17)から超臨界流体分散液が広い角度で拡散状態で噴出するようにし、これにより供給口(20)から乾燥空気と接触させるようにしたり(図6)、適宜に工夫することができ、これにより上記超臨界流体分散液と乾燥空気の接触、混合を促進することが望ましい。
【0013】
而して、水、有機溶媒等に湿潤した微粒子は、バルブ(V1)を開くことにより材料仕込ライン(4)から超臨界分散槽(1)に供給される。このとき、上記バルブ(V2)〜(V4)は閉じてある。
【0014】
次に、バルブ(V2)を開き、超臨界流体ライン(5)から超臨界流体を超臨界分散槽(1)内に供給する。このとき、該槽内は調温ジャケット(6)により臨界温度若しくは臨界温度のわずか下の温度まで加熱され、かつ超臨界場を形成する圧力まで加圧されている。このとき、上記バルブ(V1),(V3),(V4)は閉じられている。
【0015】
上記のようにして超臨界分散槽(1)内に湿潤微粒子と超臨界流体を仕込んだら、上記バルブ(V2)を閉じ、攪拌翼(12)等によって槽内を攪拌混合し、湿潤微粒子を超臨界流体に分散させて超臨界流体分散液を作る。このとき、微粒子は、該微粒子に対する濡れ性が優れている超臨界流体中に分散されるため、微粒子が相互に凝集した2次粒子等が迅速に解砕され、1次粒子化し極めて微細化され、表面積が拡大する。また、2次粒子の間隙や粒子の細孔に入り込んでいた水、有機溶媒等は、濡れ性に優れている上記超臨界流体に解砕と同時に置換され、乾燥し易い状態となる。
【0016】
一方、上記乾燥空気接触装置(16)内には、上記乾燥空気発生装置(18)により乾燥空気ライン(19)、バルブ(V6)を介して供給される乾燥空気が充満されている。このとき、バルブ(V4),(V5),(V7)は閉じられており、装置(16)内は調温ジャケット(21)により微粒子を湿潤している流体が水の場合は露点以上に、有機溶媒の場合には沸点以上に保持し、かつ超臨界場を生じない状態にしてある。
【0017】
上述のように、超臨界分散槽(1)において所定時間、攪拌混合され湿潤微粒子が分散した超臨界流体分散液は、バルブ(V4)を介して放出ライン(10)の放出口(17)から上記乾燥空気接触装置(16)に、所定の流量で放出される。この放出の際、超臨界流体分散液中の微粒子は、微粒子間の間隙や微粒子自体に形成された細孔内に入り込んだ超臨界流体が急激に体積膨張することにより、凝集体の解砕や1次粒子化が一層促進され、微細化され、表面積が拡大された上記微粒子が上記乾燥空気と接触し十分に混合し、乾燥される。そして、得られた乾燥粉体は乾燥空気接触装置(16)の下方に溜まり、バルブ(V5)を開けて取出口(22)、取出ライン(23)から回収される。なお、この際、サイクロンを適宜位置に設けて回収するようにしてもよい。
【0018】
上記乾燥空気接触装置(16)で上記超臨界流体は、気化して上記分散液から分離し、バルブ(V7)、排出口(24)、排出ライン(25)を通して排出される。この排出された超臨界流体を回収し適宜精製等して上記超臨界分散槽(1)に再供給するようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成され、水や有機溶媒に湿潤した微粒子と超臨界流体を超臨界分散槽内で攪拌混合して湿潤微粒子が均一に分散した超臨界流体分散液を作成し、その後この超臨界流体分散液を乾燥空気接触装置内に放出し、乾燥空気と接触、混合させて乾燥粉体を作成するようにしたから、上記湿潤微粒子が複数凝集した2次粒子間や粒子の表面の細孔内に入り込んでいる水や有機溶媒等は、該超臨界流体中で攪拌されることによりこれらの水や有機溶媒等よりも濡れ性に優れ、拡散係数の大きい超臨界流体に置換され、上記微粒子は解砕されながら微細化する。そして、このように1次粒子程度まで微細化された微粒子は、水あるいは有機溶媒により湿潤され2次粒子等を含んでいる従来の湿潤微粒子に比べて表面積が格段に大きくなる。このような状態で乾燥空気接触装置内で上記超臨界流体が気化して急激に体積膨張することにより微粒子はさらに解砕され、ほぼ1次粒子といえる程度まで微細化され、これにより微粒子表面はもとより、微粒子の細孔内に至るまで乾燥された粉体が迅速にかつ少ない動力で得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す説明図。
【図2】本発明の他の実施例を示す一部の説明図。
【図3】乾燥空気接触装置の一実施例を示し、(A)は側面、(B)は平面からみた各説明図。
【図4】乾燥空気接触装置の他の実施例を示し、(A)は側面、(B)は平面からみた各説明図。
【図5】乾燥空気接触装置のさらに他の実施例を示し、(A)は側面、(B)は平面からみた各説明図。
【図6】乾燥空気接触装置のさらに他の実施例を示し、(A)は側面、(B)は平面からみた各説明図。
【符号の説明】
1 超臨界分散槽
2 材料仕込口
3 超臨界流体仕込口
10 放出ライン
16 乾燥空気接触装置
17 超臨界流体分散液放出口
18 乾燥空気発生装置
20 乾燥空気供給口
Claims (2)
- 湿潤された微粒子と超臨界流体を攪拌混合して超臨界流体分散液とし、この超臨界流体分散液を乾燥空気中に放出して該乾燥空気と接触させ、上記超臨界流体を気化させると共に上記微粒子を乾燥するようにしたことを特徴とする乾燥粉体の製造方法。
- 湿潤された微粒子と超臨界流体を攪拌混合して超臨界流体分散液とするための超臨界分散槽と、乾燥空気を発生するための乾燥空気発生装置と、上記超臨界流体分散液を放出し上記乾燥空気と接触させると共に上記超臨界流体を気化させる乾燥空気接触装置を具備する乾燥粉体の製造装置。
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