JP4016203B2 - ピッチ処理剤を使用した硫酸ピッチの無害化再利用物処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は石油精製時、または廃油再利用精製時、あるいは石油精製後に生じる硫酸ピッチ、廃油、有害ヘドロ等を原材料とした硫酸ピッチの無害化処理装置、および無害化再利用物精製装置に関し、無害処理により生じた精製物を再利用する事ができるという液体ピッチの循環リサイクルに関する無害化再利用物精製装置に関する精製技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関する従来技術、あるいは類似技術として第1の例として特開平07−204694「砂混じりの塵土処理方法」、および第2の例として特開2002−180067「硫酸ピッチ処理方法及び砂混じり硫酸ピッチ処理方法」がある。
前記「砂混じりの塵土処理方法」は原材料は石油精製時の敷地などで生じた、あるいは地中に埋設した、またはこぼれ落ちた砂混じりの硫酸ピッチを地中より掘り出し、該砂を含んだ硫酸ピッチに砂を混合し、有機セメント系固化剤と処理剤を混合攪拌し、攪拌混合して無害化し、無害化された精製物を分離工程にて塊状物と油分に分離精製し、塊状物は破砕工程にて破砕したのち、セメント焼成時の原料とすることができる混合材として精製し、さらに前記の分離工程にて精製された油分の多い精製物はセメント焼成時の補助燃焼材の材料にしようとする硫酸ピッチ処理技術である。
【0003】
また前記とは別に、本出願人と同一の出願人が出願した第3の例である特願2002−361498号「ピッチ処理剤を使用した硫酸ピッチの無害化処理方法」がある。本件特許の先願となる該特許出願は、基本的処理工程上での無害化処理方法に差異はない。しかし実際の処理工程での問題として、原料である硫酸ピッチを無害化する過程において、原料に含まれる硫酸と無害化処理剤が反応して亜硫酸ガス及び窒素酸化物が大気中に放散し、新たな公害問題が発生するというさらなる問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、前記従来技術の第1の例では、石油の精製処理装置および処理工程が大がかりとなり、さらに石油精製時に生じた硫酸ピッチをセメント焼成時の材料として再利用することを目的とし、処理精製された塊状物、及び油分ともにセメント焼成時の材料としての利用に限られている。
さらには産業廃棄物である有害な硫酸ピッチは軽油の精製時の副産物であるタール状のピッチであって、油交じりであること、硫酸が多く含まれていること、鉛、砒素、水銀、硫酸ガス、カドミュウムが含まれており人畜に有害な物質が含まれている。
【0005】
さらに前記従来技術である硫酸ピッチは、全国いたるところの軽油精製工場等で発生しているが、その副産物である硫酸ピッチの処分または処理は産業廃棄物処理業者に限られ、安価で有効な処理方法がない為ドラム缶に詰めて倉庫に保管するか、全国いたるところの山中などに放棄、あるいは廃棄されて公害問題、社会問題ともなっている。
また前記産業廃棄物は発生原因者に処理あるいは処分責任があるとされているために、安価で簡単に処理ができ、さらには該産業廃棄物の発生場所に近い場所にて無害化処理したいという要望があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、請求項1記載の発明においては、硫酸ピッチを容器ごと冷凍氷結化する冷凍装置と、該冷凍氷結化した硫酸ピッチを粉砕する粉砕装置と、粉砕処理した硫酸ピッチ、第1の処理液(A)、および第2の処理剤(B)を注入し、かつ内部に攪拌パドルを含む攪拌反応装置とを備え、
前記攪拌反応装置内は、前記硫酸ピッチ、第1の処理液(A)および第2の処理剤(B)とを前記攪拌パドルにより混合攪拌する、硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置であり、処理工程が簡単で処理装置も比較的安価であり、原料(硫酸ピッチ)の発生量に見合った大きさの装置を製造することが可能である。さらには本発明の精製装置で処理された精製物は無害化されているために、川砂あるいは海砂と同じに取り扱うことができ公害も発生しない。よって精製された再利用物の再利用先には建築材料、土木資材、埋立て利用にと多種多様に利用することが可能である。
【0007】
また、第2の請求項の発明においては、請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置において、該精製装置内の有害ガスを処理するため攪拌反応装置内に空気を送りこむ吸気ファンと、該攪拌反応装置内の空気を排出するための排気ファンとを備え、該攪拌反応装置内から排出された有害ガスを無害化するためのガス無害化装置とを備えたことを特徴とした請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置であり、原料に硫酸を多く含んだ硫酸ピッチであることから、公害の無いクリーンな硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置を提供することにある。
【0008】
さらに請求項3記載の発明では、請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置における粉砕装置は円形の台座に切羽を1個あるいは複数個設けた台座を回転させて冷凍氷結化した硫酸ピッチを粉砕することを特徴とした請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置に関し、冷凍氷結化した原料の粉砕技術に関する。
【0009】
【発明実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明に係る硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置に関する処理工程図である。図2は冷凍氷結化した原料の粉砕処理時の粉砕用カッタの運動軌跡図(A)と断面図(B)とである。図3は攪拌反応装置内の攪拌パドルの構造図である。
図4は第2の従来技術である特開平2002−180067記載の「硫酸ピッチ処理方法及び砂混じり硫酸ピッチの処理方法」による処理工程図である。図5は第2の従来技術である特願2002−361498号「ピッチ処理剤を使用した硫酸ピッチの無害化処理方法」の処理工程図である。
【0010】
図1において、硫酸を多く含んだ原料である硫酸ピッチは、軽油の精製過程で精製される精製副産物であって、通常は安価で簡便なドラム缶に入れて運搬、あるいは保管される。
硫酸ピッチは人畜に有害な硫酸イオンガスを多量に含むので、無害化精製において人畜への安全を確保するために、さらに該硫酸イオンガスを大気に放出させて公害の発生原因とさせないため、先ず搬入された原料2である硫酸ピッチを、搬入されてきたドラム缶2のままで冷凍装置11にて冷凍固形化する。
【0011】
冷凍固形化した原料である硫酸ピッチの入ったドラム缶2を上下反転させた後、蓋を下方に向けて移動クレーン12にて吊り下げて粉砕装置14上に移動させる。
次に粉砕装置14上に移動させたドラム缶2の蓋を明けて、粉砕装置14の上部に設けた解採用カッタ13にて冷凍固形化した原料2を粉砕してドラム缶2から排出する。粉砕排出された原料2は自然落下にて粉砕装置14の内部を通過して攪拌反応装置15に注入される。
ここで、粉砕装置14の上部に設けた解採用カッタ13による粉砕は、第2図に示すように、モータ33の回転軸を中心に解採用カッタ回転盤32を設け、該回転盤32上の周縁に解採用カッタ13に切羽31を設けているので、モータの回転によって解採用カッタ13の回転歯は、原料の入ったドラム缶2内部の円周内を円周に沿って回転するので内部の原料を満遍なく粉砕し取出す(掻きだす)ことができる。
【0012】
攪拌反応装置15内では、内部には図3に示すような構造の攪拌パドル40が設けられており、ここでは先ずは第1の処理液(A)22を混入し、混合攪拌した後、第2の処理剤(B)23を混入し十分混合攪拌する。
ここでの第1の処理液(A)22とは、海水、特に深層海流の海水をイオン分離して塩素分を取り除いた溶液を強酸性強アルカリ性化した液体であって、この溶液にはアグリーン(坑酸化溶液)、スッキリオイル(油分解洗剤)、油分分解酵素がそれぞれ約数パーセント含まれる弱酸性の溶液である。また、第2の処理剤(B)23とは、石炭灰約40%に、硝石灰約20%、ゼオライト、ナノカーボン、硫酸アルミニウム、水酸化マグネシュウム、リン酸カルシュウム、銅がそれぞれ数10%から数%含まれる強アルカリ性の粉末剤である。
【0013】
原料2と第1の処理液(A)22と、第2の処理剤(B)23が混入され、前工程までに混合攪拌された原料と再度十分に混合攪拌する。
第2の処理剤(B)23は、容積比にて原材料とほぼ同じ容量(約100%)から約1.2倍(約120%)を混入し、再度攪拌反応装置15にて混合攪拌される。
尚、この混合割合も原料に含まれる液体分の割合にて差があるので混入割合も原料に含まれる液体容量に応じて増減する必要がある。したがって、前記の数値は目安であり、これに限定されるものではない。
【0014】
攪拌反応装置15にて内部の攪拌パドル40にて十分混合攪拌されると、該処理工程を終えた原料はここでほぼ無害化される。
無害化された原料は攪拌反応装置15内の後半部分にて脱臭乾燥すると粒状の砂となり、排出装置16にて排出してフレキシブルコンテナ(通称フレコン)に入れられてトラック等に積込まれ再利用先として必要とするところに運搬されるか、あるいは再利用先が近い場合にはベルトコンベアにて運搬しても良い。
【0015】
また攪拌反応装置15内の混合攪拌処理工程において放散される硫酸ピッチは独特の有害な硫酸ガスを含んでいるために、攪拌反応装置15内に放散されるが、そのまま大気中に放出させると公害となるためにそのままでは放出することができないために、攪拌反応装置15内に吸気ファン25により大気を吸入し、該装置内を通ってダクト16を経て排気ファン17により吸引され、ガス無害化装置18の処理水循環装置27にて脱硫脱臭する。ガス無害化装置18の脱臭はガス処理剤であるハサル液アルカリ水20を混入することで、硫酸ガスを十分無害化することができる。
【0016】
無害無臭化された硫酸ガスは排気筒26を経て大気に放出される。この硫酸ガスはガス無害化装置18内で無害無害化されるので公害問題は発生しない。
硫酸ガスの脱臭処理水は、脱臭装置18の下部の処理水循環装置27により循環利用される。
前記の攪拌反応装置15にて無害化処理された原料は、川砂あるいは海砂と同じ状態の無害化された砂状物質となる。
したがって、硫酸ガスを含んだ石油液体ピッチは本装置にて無害化された砂となるために、セメント強化材、道路舗装材、建築材、土木材、UL字溝材、ブロック材、埋め立て材などと広範囲にて再利用することが可能とる。
【0017】
以上説明した原料である硫酸ピッチは硫酸ピッチ無害化処理装置により、硫酸ピッチを無害化処理した結果を検査機関で検査の結果、有害物質である硫酸イオン、塩素イオン、水銀、カドミューム、鉛、砒素、炭素はほとんど検出されず、水分11%、灰分64%、油分と硫黄分6%以下が検出されたが無害であるとの検査結果が得られた。
この結果硫酸ピッチの無害化処理の産物をセメント強化材、道路舗装材、建築材、土木材、UL字溝材、ブロック材、埋め立て材などと広範囲にて再利用することが可能であることが証明されている。
【0018】
以上、本発明となる硫酸ピッチ等の無害化処理方法である。以上の工程は前記に説明した方法、装置あるいは図に示したものに限定されるものではなく、各原料と処理剤、処理液を順次十分混合し攪拌することが可能な装置なら他の方法にても可能であることは言うまでもない。
また、処理剤、処理液の混合割合は前記の通り従来例に記載した数値に限定されるものではなく、原料である硫酸ピッチ等に含まれる各種の物質の含有量により変化させることは当然のことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す硫酸ガスを含んだ液体ピッチ、または廃油、あるいは有害なヘドロの無害化再利用物処理精製装置の処理工程図である。
【図2】解砕カッタの回転軌道を示す一例図である。
【図3】攪拌反応装置内の攪拌パドルの一例を示す図である。
【図4】第1の従来技術である「地中に堆積された硫酸ピッチの処理手順」を示す図である。
【図5】第2の従来技術である「ピッチ処理剤を使用した硫酸ピッチの無害化処理方法」の処理工程図である。
【符号の説明】
1、 原料(硫酸ピッチ、廃油、有害ヘドロ等)
11、冷凍装置
14、粉砕装置
15、攪拌反応装置
16、排出装置
18、ガス無害化装置
20、ガス処理水
21、ハサル液アルカリ水
22、第1の処理液(A)
23、第2の処理剤(B)
27、処理水循環装置
26、排気筒
Claims (3)
- 硫酸ピッチを容器ごと冷凍氷結化する冷凍装置と、該冷凍氷結化した硫酸ピッチを粉砕する粉砕装置と、粉砕処理した硫酸ピッチ、第1の処理液(A)、および第2の処理剤(B)を注入し、かつ内部に攪拌パドルを含む攪拌反応装置とを備え、
前記攪拌反応装置内は、前記硫酸ピッチ、第1の処理液(A)および第2の処理剤(B)とを前記攪拌パドルにより混合攪拌する、硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置。 - 請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置において、該精製装置内の有害ガスを処理するため攪拌反応装置内に空気を送りこむ吸気ファンと、該攪拌反応装置内の空気を排出するための排気ファンとを備え、該攪拌反応装置内から排出された有害ガスを無害化するためのガス無害化装置とを備えたことを特徴とした請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置。
- 請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置における粉砕装置は円形の台座に切羽を1個あるいは複数個設けた台座を回転させて冷凍氷結化した硫酸ピッチを粉砕することを特徴とした請求項1記載の硫酸ピッチ無害化再利用物精製装置。
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