JP2004249167A - 焼却灰の安定化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼却灰中に含まれる石灰分を早期に固結させ、滲出水の早期安定化を図る。
【解決手段】廃棄物を焼成処理した焼却灰3を攪拌混合手段5により強制的に攪拌混合して所定期間曝気させ、焼却灰3中に含まれる石灰分の固結化を促進する工程と、不溶化した焼却灰3を露天型または覆蓋施設のある処分場に埋立て放置あるいは散水により廃棄物の安定化を促進する工程とからなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却炉によって焼却された廃棄物により生じた焼却灰の早期安定処理を行うための焼却灰の安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼却炉で焼却される一般生活ごみは、焼却によって減容および減量化され、焼却灰として廃棄物最終処分場に埋立て処理される。処分場に埋立てられた焼却灰は、一定量毎にその表面を覆土によって覆われる。処分場は露天であり、その状態で放置することにより降雨にさらされ、焼却灰中に雨水が浸透する。焼却灰中に含有される汚染物質は、降雨水に次第に溶出し、滲出水として処分場底部に集水され、処分場近傍に設けた浄化処理設備により無害化されて放流される。この浄化処理は設備閉鎖後であっても、滲出水の水質が安定するまで継続される。
【0003】
他の方法として、散水設備により強制的に散水して溶出させてしまう方法もある(特許文献1参照)。しかし、焼却灰の液性(PH)や、焼却灰中に含まれる有機物(BOD,COD)については、安定するまでに長期間を要するため、設備閉鎖後も一定の水質基準を下回るまで、処分場閉鎖後、数十年の長期間にわたり処理設備を稼働し続けなければならず、維持コストが高いものとなっていた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−59106号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般生活ごみは分別なしに焼却炉で一括焼却され、その過程で塩化水素などのハロゲン化ガス、硫化または硫酸ガス、硝酸ガスなどの各種酸性ガスが発生し、炉壁の損傷や酸性ガス排出などの環境問題が生ずるため、中和材として、各種酸と反応して塩を作りやすい消石灰を吹込みつつ焼却処理が行われており、酸塩基反応させて中和化を図っているが、過剰量の石灰分はそのまま焼成され、焼却灰中に混在する。
【0006】
一方、これにより、最終処分場で発生する滲出水は過剰量の石灰分により高塩基性を示し、液性が中性となる安定化までには長期間を要していた。つまり、焼却灰中に含まれる石灰分は、炭酸ガスと反応して自硬性を示す炭酸カルシウムに化学変化する物質である一方で、水に溶解して塩基性イオンを生ずる性質があるため、単に埋立て処理されただけ、あるいは散水処理を行っていたのでは、前述のごとく液性の安定化には長期間を要するものとなっていた。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、その目的は、焼却灰中に含まれる石灰分を早期に固結させ、これによって滲出水の早期安定化を図るようにした焼却灰の安定化方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明方法は、廃棄物焼成処理した焼却灰を攪拌混合手段により強制的に攪拌混合して所定期間曝気させ、焼却灰中に含まれる石灰分の固結化を促進する工程と、不溶化した焼却灰を露天型または覆蓋施設のある処分場に埋立て放置あるいは散水により廃棄物の安定化を促進する工程とからなることを特徴とするものである。
【0009】
以上の方法によれば、最初の工程で焼却灰中の石灰分は空気中に含まれる炭酸ガスと反応して水に不溶性の炭酸カルシウムを生ずる。この過程で、炭酸カルシウム結晶中に重金属などが取込まれて固結される。加えて、有機物は好気性の雰囲気により早期に分解し、無害化される。したがって、次の工程では水と接触することで残りの水溶性成分が水に溶出するが、その量は僅かなものとなり、滲出水処理が軽減ないしは不要となるため、早期に廃棄物処分場を閉鎖できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明方法が実施される建屋内部の側断面図および平面図である。
【0011】
図において、建屋1は、例えば、埋立て式廃棄物最終処分場に隣接して配置された縦長状の軽量屋根膜方式建築物であり、この建屋1の長手方向一端は開口され、この開口を通じてダンプトラック2などにより焼却灰3が搬入され、バックホウ4などにより建屋1の長手方向に沿って例えば土手状に整形されて積上げられる。これらの焼却灰3は、建屋1内において、一条ないしは複数条が平行に配列される。
【0012】
その後、各焼却灰3の堆積物はその長手方向に沿って、例えばパイルターナ5により順次攪拌され、空気が混入される。パイルターナ5は、図2に示すように、中央が台形状に開口6aした車体6の中央開口部に攪拌用オーガ7を備え、かつ先端部左右に旋回式の掻き集め用スクリュコンベア8を備えたものであり、図1のごとく、前記土手状に集積された焼却灰3に跨ってその長手方向に移動しながら、コンベア8により焼却灰3を開口6aの内側に寄せ集め、オーガに7を回転させることで、焼却灰3を激しく攪拌混合し、曝気する。
【0013】
そして、該当する列の終端位置に至ると旋回し、図1中矢印で示すごとく、次の列の攪拌混合処理を行いつつ移動する作業を繰返すものであり、通過後は開口6aの断面形状に応じて再び断面台形の土手状に整形される。それ故、各焼却灰3の列の両端部と建屋1の内壁部との間はパイルターナ5の旋回分開けてある。
【0014】
したがって、以上の強制的攪拌混合処理により焼却灰3は充分に曝気され、この曝気作用により空気中の炭酸ガスが焼却灰粒子に気固接触し、焼却灰中に含まれる石灰分は、順次水に不溶の炭酸カルシウムに変化する。また、その過程で同じく焼却灰3中に含まれる重金属などを生成した炭酸カルシウム中に取込んで固定する。さらに、曝気作用により、焼却灰3内は常時好気的雰囲気に保たれるため、有機物は早期に酸化分解されて無害化する。
【0015】
なお、以上のカルシウム生成反応は基本的にはイオン反応であり、また攪拌混合による粉塵の発生を防止する必要もあるため、湿潤状態で行うことが望ましく、例えばホースなどでの散水、あるいは建屋1の上部に配置された自動散水装置などによる散水により、焼却灰3はある程度含水し、この状態でパイルターナ5による曝気と整地がなされることになる。
【0016】
以上の攪拌混合による曝気作業は、約1ヶ月程度継続を目安とすることで石灰分の固定化と有機物の無害化を図ることができる。
そして、パイルターナ5による曝気作業を終了した後は、その処理期間の長い列から順に、バックホウにより順次ダンプトラックに積替え、図示しない廃棄物埋立て処分場に搬送され、ここで通常の埋立て処理がなされるのである。
【0017】
この埋立て処分場は露天型であってもよいし、覆蓋型であって散水設備のある処分場であってもよく、前者は放置に伴う自然降雨により廃棄物中に水が浸透し、後者は人工散水によってそれぞれ廃棄物中に水が浸透し、いずれもその滲出水は処理設備により無害化処理され、河川などに放流される。
【0018】
但し、この処理段階では、石灰分は前記処理により大部分炭酸カルシウムに変化し、かつこの結晶中に重金属類を固定化してしまい、更に微生物などの有機物も分解された形で供給されるため早期に無害化され、全埋立て処理を終えた処分場閉鎖後は、極めて短期間の間に廃棄物処分場としての機能を終了することができるのである。
【0019】
なお、前記実施形態では、攪拌混合手段としてパイルターナ5を用いたが、バックホウなどを用いて焼却灰を、いわゆる天地返しと称する耕作法によって強制攪拌混合し、曝気することも可能である。また、建屋1内に一旦焼却灰を収容しで作業を行ったが、野積み状態のまま攪拌混合作業を行うことも可能である。
【0020】
【実施例】
焼却灰を無処理で埋立てた場合と、曝気処理して埋立てた場合の滲出水水質の相違を確認するための比較試験を実施した。
(1)試験の概要
供試材料:焼却灰 1kg/ケース
試験ケース:
▲1▼曝気なし(ブランク)
焼却灰1kgを容器に詰めて1回/日、50mlずつ散水し、容器下部排水口より排水される水を採取・分析した。
▲2▼曝気あり
焼却灰試料皿に採取し、1回/日、1ヶ月間スプーンで攪拌混合し、その後試験ケース▲1▼と同条件で容器に詰め、散水を行い、水質分析を行った。
【0021】
(2)試験結果
試験結果を表1に示す。これは水質の一例としてpHの測定結果を示すものである。同表1に示すように、曝気無しの場合には、高pH状態が長期間継続するのに対し、曝気処理した場合には、散水開始直後からpHがほぼ中性となっていることが確認された。
【0022】
【表1】
Figure 2004249167
【0023】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明による焼却灰の安定化方法によれば、焼却灰中に含まれる石灰分を早期に固結させ、これによって滲出水の早期安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法が実施される建屋内部の側断面図および平面図である。
【図2】同強制攪拌混合に用いるパイルターナの正面図、平面図および側面図である。
【符号の説明】
1 建屋
3 焼却灰
5 パイルターナ(攪拌混合手段)

Claims (2)

  1. 廃棄物を焼成処理した焼却灰を攪拌混合手段により強制的に攪拌混合して所定期間曝気させ、焼却灰中に含まれる石灰分の固結化を促進する工程と、
    不溶化した焼却灰を露天型または覆蓋施設のある処分場に埋立て放置あるいは散水により廃棄物の安定化を促進する工程、
    とからなることを特徴とする焼却灰の安定化方法。
  2. 前記固結化促進工程は、覆蓋施設内で行われることを特徴とする請求項1に記載の焼却灰の安定化方法。
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