JP4015752B2 - ハイブリッド車両用モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃エンジンとトランスミッションとの間に配置されるハイブリッド車両用モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンの燃焼によって駆動力を発生させる内燃エンジンと、回生による発電および電力により駆動力を発生させ、前記内燃エンジンの出力をアシストするモータとして使用されるモータジェネレータとを備え、これらによる駆動力を必要に応じて合成し、車両を走行させるハイブリッド車両が提案されている(特開平9−156388号公報参照)。
【0003】
この種のモータは、通常、図8に示すように、図示しない内燃エンジンから延在するクランクシャフト1に固定されるロータ2と、このロータ2の外周側に装着されるドーナツ形状のステータ3を備えている。ロータ2にディスク状のドライブプレート4が固定され、このドライブプレート4にトランスミッション5がボルト6を介して連結されている。
【0004】
ステータ3には、ロータ2の前記ステータ3に対する回転位置を検出するための回転位置検出センサ7が装着されている。一方、ドライブプレート4には、回転位置検出センサ7に対応してセンサプレート8がリベット9により固定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のモータでは、クランクシャフト1に連結されるロータ2と、トランスミッション5に連結されるドライブプレート4とが、それぞれ個別に製造されるとともに、このドライブプレート4には、別体部品であるセンサプレート8がリベット9を介して固定されている。このため、モータ全体の部品定数が多くなるとともに、センサプレート8をドライブプレート4に取り付けるための工数が増加してしまう。
【0006】
これにより、モータの製造コストが高騰するとともに、前記モータの組み立て作業全体が相当に煩雑なものになっているという問題が指摘されている。しかも、ロータ2とドライブプレート4とセンサプレート8とが個別に構成されており、これらを高精度に位置決めすることが困難となる。従って、ロータ2の回転位置を精度よく検出することができないおそれがある。
【0007】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、部品点数および作業工数を有効に削減するとともに、回転位置検出センサにより高精度な回転位置検出処理が可能なハイブリット車両用モータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るハイブリット車両用モータでは、内燃エンジンのクランクシャフトに連結されるロータ部と、トランスミッションに連結されるドライブプレート部とが一体成形される。これにより、モータの部品点数が削減されるとともに、ロータ部の重量が一挙に軽減され、前記モータの軽量化が容易かつ確実に遂行される。
【0009】
さらに、ドライブプレート部には、回転位置検出センサによりロータ部の回転位置を検出するための検出部材取り付け部位または検出部位が一体成形されている。このため、製造コストおよび作業工数の削減が図られるとともに、ロータ部とドライブプレート部と取り付け部位または検出部位とを高精度に位置出しすることが可能になり、前記ロータ部の回転位置を精度よく検出することができる。
【0010】
ここで、取り付け部位がダボ部であって、このダボ部を介してセンサプレートがかしめられる。これにより、従来のリベットを不要にしてセンサプレートの取り付け作業が有効に簡素化される。また、検出部位がコイニングにより成形された突起部、トリミングにより成形された歯形部、または打ち抜きにより成形された孔部である。従って、検出構造を容易に得ることができ、しかも部品点数の削減が確実に図られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両用モータであるモータジェネレータ10の分解斜視説明図であり、図2は、前記モータジェネレータ10の縦断面説明図である。
【0012】
モータジェネレータ10は、例えば、ガソリンを燃焼させることによって駆動力を発生させる内燃エンジンを備えたハイブリッド車両に組み込まれており、回生による発電および電力により駆動力を発生させて内燃エンジンの出力をアシストする機能を有する。
【0013】
モータジェネレータ10は、図示しない内燃エンジンとトランスミッション12との間に配置されており、前記内燃エンジンから延在するクランクシャフト14に固定されるロータ16と、このロータ16の外周側に装着されるドーナツ形状のステータ18とを備える。
【0014】
ロータ16は、図1乃至図3に示すように、ロータ部20とドライブプレート部22とを備えるとともに、前記ロータ部20および前記ドライブプレート部22は、鋼板等の板材からプレス成形により一体的に成形される。ロータ部20は、略カップ形状に成形されており、その底部側にクランクシャフト14を配置するための凹部24と、前記クランクシャフト14をボルト26により前記底部側に固定するための孔部28とが形成される。ロータ部20の角部には、剛性を上げるための絞り加工が施されている。
【0015】
ロータ部20の外周32には、所定角度間隔ずつ離間してマグネット位置決め用凹部33が形成されており、この外周32にリング状のヨーク部材34が圧入される。このヨーク部材34の内周には、ロータ部20の凹部24に嵌合する内側突起35aが形成される一方、このヨーク部材34の外周に形成された外側突起35b間には、円筒部材36を介して複数のマグネット38が装着される。
【0016】
ロータ部20の後端側に一体的に成形されるドライブプレート部22は、前記ロータ部20の外周32から半径外方向に広がる円盤形状を有している。このドライブプレート部22の周縁部には、複数の孔部39が形成され、この孔部39に挿入されるボルト40と各ボルト40に螺合されるナット42とを介して、前記ドライブプレート部22がトランスミッション12に連結される(図2参照)。
【0017】
ドライブプレート22の円盤部位44には、所定の角度ずつ離間して複数のダボ部(取り付け部位)46が形成される。このダボ部46は、円盤部位44のトランスミッション12側の面から半抜き状に形成されてロータ部20側に突出しており、前記ダボ部46を介してセンサプレート(検出部材)48がかしめられる。
【0018】
センサプレート48は、略リング状を有しており、所定の角度位置に形成された孔部50にダボ部46が挿入されてかしめ処理される。センサプレート48の外周には、所定の形状を有する歯形部52が形成されるとともに、この歯形部52の一部に切欠部52aが設けられる。ステータ18側には、センサプレート48の歯形部52に対向して回転位置検出センサ53a〜53cがそれぞれ所定の位置に固定されている。
【0019】
図1および図2に示すように、ステータ18は、それぞれ円周方向に複数配置されるステータコア54と、このステータコア54の外周部に断面略コ字状のガイド部材56を介して巻き付けられるコイル(導線)58と、前記ステータコア54同士が円環状に連接された状態で該ステータコア54を一体的に圧入するリング部材60と、前記リング部材60がねじ止め固定されるステータハウジング62とを備える。
【0020】
ステータコア54は、同一形状の弾性力のある鉄系材料から得られた板体を所定の枚数積層して形成されている。ステータコア54は、略T字状の形状を有しており、図1に示すように、その頭部64には、円周方向の一端部に凸部66が形成される一方、その他端部に前記凸部66に対応する凹部68が形成される。
【0021】
このように構成される第1の実施形態に係るモータジェネレータ10では、ロータ16のロータ部20に設けられた凹部24にクランクシャフト14が配置され、ボルト26を介してこのロータ部20が前記クランクシャフト14に固定される。一方、ロータ16のドライブプレート部22に形成された孔部39にボルト40が挿入され、このボルト40の先端にナット42が螺合されることにより、前記ドライブプレート部22がトランスミッション12に連結される。
【0022】
ロータ部20の外周32には、ヨーク部材34を介してマグネット38が装着されており、ロータ16およびステータ18を介して回生による発電や電力による駆動力を発生させて、内燃エンジンの出力をアシストしている。ロータ16が回転すると、ロータ部20のダボ部46にかしめられているセンサプレート48が回転し、このセンサプレート48に形成されている歯形部52を介して回転位置検出センサ53a〜53cが前記ロータ部20の回転位置を検出する。
【0023】
この場合、第1の実施形態では、ロータ部20およびドライブプレート部22が鋼板等の板材からプレス成形により一体成形されており、ロータを鋳造成形して構成される従来の構造に比べ、ロータ部20の重量および部品点数を大幅に削減することができる。これにより、モータジェネレータ10全体の重量が一挙に軽減され、ハイブリット車両の性能を有効に向上させることが可能になる。
【0024】
しかも、第1の実施形態では、ロータ部20とドライブプレート部22とが一体成形されるとともに、このドライブプレート部22に取り付け部位であるダボ部46が一体成形され、このダボ部46を介してセンサプレート48がかしめられる。従って、ロータ部20とセンサプレート48とを互いに高精度に位置決めすることが可能になり、回転位置検出センサ53a〜53cを介して三相の交流電圧を適切な位置で負荷することができる。これにより、高品質なモータジェネレータ10を得ることが可能になるという効果がある。
【0025】
ここで、センサプレート48は、ドライブプレート部22の円盤部位44に形成されたダボ部46を孔部50に挿入し、このダボ部46を介してかしめ処理するだけで前記ドライブプレート部22に対して高精度かつ容易に固定される。このため、センサプレート48の取り付け作業が、一挙に容易かつ高精度に遂行されるという利点が得られる。
【0026】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るモータジェネレータ70を構成するロータ80の分解斜視説明図であり、図5は、前記モータジェネレータ70の縦断面説明図である。なお、第1の実施形態に係るモータジェネレータ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0027】
ロータ80は、ロータ部20とドライブプレート部22とを備えるとともに、このドライブプレート部22には、コイニングにより複数の突起部82(検出部位)が前記ロータ部20側に突出して成形されている。ステータ18側には、ロータ80に設けられている突起部82に対向して回転位置検出センサ84a〜84cが所定の角度位置に配置される。
【0028】
このように構成される第2の実施形態に係るロータ80では、ロータ部20とドライブプレート部22と突起部82とが一体成形されており、この突起部82を前記ロータ部20に対して高精度に位置決めすることができる。従って、ロータ部20が回転する際に、回転位置検出センサ84a〜84cと突起部82とを介して前記ロータ部20の回転位置を高精度に検出することが可能になり、三相の交流電圧を適切な位置で確実に負荷することができる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0029】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るモータジェネレータを構成するロータ90の分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係るモータジェネレータ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0030】
ロータ90は、ロータ部20とドライブプレート部22とを備えるとともに、このドライブプレート部22の外周部には、トリミングにより歯形部(検出部位)92が成形されている。この歯形部92に対向する位置には、所定の角度位置に設定された回転位置検出センサ94a〜94cが配置されている。
【0031】
このように、第3の実施形態に係るロータ90では、ロータ部20とドライブプレート部22と歯形部92とが一体成形されている。このため、ロータ部20が回転する際に、歯形部92と回転位置検出センサ94a〜94cとを介して前記ロータ部20の回転位置を高精度に検出することができるとともに、ロータ90全体の構成が有効に簡素化される。
【0032】
図7は、本発明の第4の実施形態に係るモータジェネレータを構成するロータ100の分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係るモータジェネレータ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0033】
ロータ100は、ロータ部20とドライブプレート部22とを備えるとともに、このドライブプレート部22には、打ち抜きにより複数の孔部(検出部位)102が成形されている。回転位置検出センサ104a〜104cが、孔部102に対向して所定の角度位置に配置されており、前記回転位置検出センサ104a〜104cおよび前記孔部102を介してロータ部20の回転位置が検出される。
【0034】
これにより、第4の実施形態に係るロータ100では、部品点数が有効に削減されるとともに、製造コストの低減が可能になり、しかもロータ部20の回転位置を高精度に検出することができる等、第1乃至第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係るハイブリット車両用モータでは、クランクシャフトに連結されてステータ内で回転するロータ部と、トランスミッションに連結されるドライブプレート部とが一体成形される。このため、特に、ロータ部の重量を大幅に軽減し得るとともに、部品点数が一挙に削減される。
【0036】
しかも、ドライブプレート部には、回転位置検出センサによりロータ部の回転位置を検出するための検出部材取り付け部位または検出部位が一体成形されるため、前記ロータ部の回転位置を簡単な構成で、高精度かつ効率的に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るハイブリット車両用モータであるモータジェネレータの分解斜視説明図である。
【図2】前記モータジェネレータの縦断面説明図である。
【図3】前記モータジェネレータを構成するロータの分解斜視説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るモータジェネレータを構成するロータの分解斜視説明図である。
【図5】前記モータジェネレータの縦断面説明図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るモータジェネレータを構成するロータの分解斜視説明図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るモータジェネレータを構成するロータの分解斜視説明図である。
【図8】従来技術に係るモータジェネレータの要部断面説明図である。
【符号の説明】
10、70…モータジェネレータ 12…トランスミッション
14…クランクシャフト 16、80、90、100…ロータ
18…ステータ 20…ロータ部
22…ドライブプレート部 36…円筒部材
38…マグネット 44…円盤部位
46…ダボ部 48…センサプレート
50、102…孔部 52、92…歯形部
53a〜53c、84a〜84c、94a〜94c、104a〜104c…回転位置検出センサ
82…突起部

Claims (6)

  1. 内燃エンジンとトランスミッションとの間に配置されるハイブリッド車両用モータであって、
    前記内燃エンジンのクランクシャフトに連結され、外周部にマグネットが装着されてステータ内で回転するロータ部と、
    前記トランスミッションに連結されて該トランスミッションに駆動力を伝達するドライブプレート部と、
    を備え、
    前記ロータ部および前記ドライブプレート部が一体成形されるとともに、該ドライブプレート部には、回転位置検出センサにより該ロータ部の回転位置を検出するための検出部材取り付け部位が一体成形されることを特徴とするハイブリッド車両用モータ。
  2. 請求項1記載のモータにおいて、前記検出部材取り付け部位は、ダボ部であり、前記ダボ部を介してセンサプレートがかしめられることを特徴とするハイブリッド車両用モータ。
  3. 内燃エンジンとトランスミッションとの間に配置されるハイブリッド車両用モータであって、
    前記内燃エンジンのクランクシャフトに連結され、外周部にマグネットが装着されてステータ内で回転するロータ部と、
    前記トランスミッションに連結されて該トランスミッションに駆動力を伝達するドライブプレート部と、
    を備え、
    前記ロータ部および前記ドライブプレート部が一体成形されるとともに、該ドライブプレート部には、回転位置検出センサにより該ロータ部の回転位置を検出するための検出部位が一体成形されることを特徴とするハイブリッド車両用モータ。
  4. 請求項3記載のモータにおいて、前記検出部位は、コイニングにより成形された突起部であることを特徴とするハイブリッド車両用モータ。
  5. 請求項3記載のモータにおいて、前記検出部位は、トリミングにより成形された歯形部であることを特徴とするハイブリッド車両用モータ。
  6. 請求項3記載のモータにおいて、前記検出部位は、打ち抜きにより成形された孔部であることを特徴とするハイブリッド車両用モータ。
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