JP4014491B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は空気調和装置に関し、より詳しくは、外気を処理して被空調室へ送る外調機と、この外調機に対して冷凍機によって冷却された冷水を循環させる閉回路を備えた空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体製造工場内部は、温度24℃、湿度45%になるように常に(一年中)空調される必要があるが、数百℃以上の発熱を伴う製造設備を多く収容している結果、一年中冷却される必要がある。
【0003】
従来、そのような用途のために空気調和装置としては、図3に示すようなものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。この空気調和装置は、外気と冷水との間で熱交換を行うことにより外気を処理して室内へ吹き出す外調機114と、冷凍機(図示せず)が送り出した冷水を循環させるための往路配管105および復路配管104とを備えている。往路配管105は、弁120dが介挿された配管185を介して冷水コイル113の一方の端部113bへ接続されている。一方、復路配管104とは、弁120aが介挿された配管184を介して冷水コイル113の他方の端部113aへ接続されている。冷水コイル113の端部113aは冷水循環ポンプ106と弁120bとが介挿された配管194を介して冷水還り配管200(逆止弁107よりも上流側の部分)へ接続されている。一方、冷水コイル113の端部113bは、弁120cが介挿された配管195を介して冷水還り配管200(逆止弁107よりも下流側の部分)へ接続されている。
【0004】
外気の温度および湿度が高くなる夏期には、手動で弁120d,120aを開とし、かつ弁120c,120bを閉とする。これにより、冷凍機から出て、往路配管105、配管185、冷水コイル113、配管184、復路配管104を介して上記冷凍機に戻る閉回路を形成して、この閉回路に冷水を循環させる。外調機114は、フィルタ112を通して外気115を取り込み、冷水コイル113表面を通過させて外気に冷却、除湿等の処理を施し、処理後の空気116をブロワ150によって被空調室(図示せず)へ吹き出す(これを「除湿運転」と呼ぶ。)。
【0005】
逆に、外気の温度および湿度が低くなる冬期には、手動で弁120c,120bを開とし、かつ弁120d,120aを閉とする。これとともに、冷水循環ポンプ106を運転する。これにより、高温の還り冷水を冷水循環ポンプ106から配管194を通して冷水コイル113に送り、冷水コイル113で外気と熱交換させる。外調機114は、フィルタ112を通して外気115を取り込み、冷水コイル113表面を通過させて外気に加熱、加湿等の処理を施し、処理後の空気116をブロワ150によって被空調室(図示せず)へ吹き出す(これを「加湿運転」と呼ぶ。)。冷水コイル113で冷やされて低温となった冷水は、配管195を通して冷水還り配管200へ戻される。このように、外気を利用して還り冷水の温度を下げることで冷熱を回収している。これにより、冷凍機の負荷を低減し、電力エネルギの削減を図っている。
【0006】
【非特許文献1】
「半導体産業における省エネルギー対策事例集」第2版,社団法人電子機械工業会,平成12年5月,p.108
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、日本国では、4月〜5月、10月〜11月など、図5に示すように夜間(19時〜翌12時)には外気温度が12℃以下に下がって加湿運転となるが、昼間(12時〜19時)には外気温度が上昇して除湿運転となる時期(これを「中間期」と呼ぶ。)がある。
【0008】
しかしながら、上記従来の空気調和装置では、弁120c,120b,120d,120aの開閉と循環ポンプ106の運転の切り替え操作を手動で行うようになっているため、切り替え操作に手間がかかる。このため、現実問題として、毎日のように頻繁に切り替え操作を行うことはできない。この結果、中間期には、夜間には外気を利用して冷熱を回収する余地があるにもかかわらず、実際には電力エネルギを削減することができない。外気を利用して冷熱を回収することによって電力エネルギを削減できるのは、実際には冬期のみとなる。
【0009】
そこで、本発明の課題は、冬期だけでなく中間期でも、実際に、外気を利用して冷熱を回収することによって電力エネルギを削減できる空気調和装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明の空気調和装置は、
受け取った冷水を冷却して送り出す冷凍機と、
外気と冷水との間で熱交換を行うことより外気を処理して被空調室へ送る外調機と、
上記冷凍機と外調機との間で冷水を循環させるための往路および復路と、
上記外調機から冷凍機への復路に介挿された還り冷水ヘッダから、冷水を上記外調機の冷水入口へバイパスさせるためのバイパス路と、
上記外気の温度が上記還り冷水ヘッダに流入する冷水の温度よりも低く且つ上記外気の露点が上記被空調室の目標露点よりも低いとき、上記バイパス路を通した冷水のバイパスを実行する一方、上記外気の温度が上記還り冷水ヘッダに流入する冷水の温度以上であるか又は上記外気の露点が上記被空調室の目標露点以上であるとき、上記バイパス路を通した冷水のバイパスを禁止する切り替え制御を行う制御手段とを備え
上記冷凍機から外調機への往路に介挿された往き冷水ヘッダから、それぞれ熱交換が行われる複数の分岐経路が分岐し、これらの分岐経路を介して冷水が上記還り冷水ヘッダに流入するようになっており、
上記往き冷水ヘッダから外調機への往路に介挿された制御弁を備え、
上記制御手段は、上記バイパス路を通した冷水のバイパスを実行するとき、上記制御弁を全閉にすることを特徴とする
【0011】
この発明の空気調和装置では、夏期や中間期の昼間などのように、外気の温度が還り冷水ヘッダに流入する冷水の温度以上であるか又は上記外気の露点が被空調室の目標露点以上であるとき、制御手段が上記バイパス路を通した冷水のバイパスを禁止する制御を行う。このとき、この空気調和装置は、従来の空気調和装置の除湿運転と同様の運転を行う。すなわち、冷凍機から送り出された低温の冷水は、往路を通して外調機に入り、熱交換に用いられる。外調機は、外気を取り込み、外気と低温の冷水との間で熱交換を行って外気に冷却、除湿等の処理を施し、処理後の空気を被空調室へ送る。外調機で熱交換によって高温になった冷水は、復路を通して上記冷凍機に戻り、冷却されて再び低温の冷水となる。
【0012】
一方、冬期や中間期の夜間などのように、外気の温度が還り冷水ヘッダに流入する冷水の温度よりも低く且つ外気の露点が被空調室の目標露点よりも低いとき、制御手段が上記バイパス路を通した冷水のバイパスを実行する制御を行う。これにより、還り冷水ヘッダに流入する高温の冷水(還り冷水)が上記バイパス路を通して上記外調機に入り、この熱交換器で外気と熱交換する。これとともに、上記制御手段は、上記往き冷水ヘッダから外調機への往路に介挿された制御弁を全閉にする。したがって、バイパス運転時に、往き冷水ヘッダから外調機への往路が上記制御弁によって遮断され、往き冷水ヘッダからの低温の冷水が外調機に流入しない。外調機は、外気を取り込み、外気と高温の還り冷水との間で熱交換を行って外気に加熱、加湿等の処理を施し、処理後の空気を被空調室へ送る。外調機で熱交換によって低温になった冷水は、復路を通して上記冷凍機に戻る。このように、外気を利用して高温の還り冷水の温度を下げることで冷熱を回収することができ、冷凍機の負荷を低減できる。これにより、電力エネルギを削減できる。一方、このバイパス運転時に、外調機は、外気と、還り冷水ヘッダに流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の高い部分のみとの間で熱交換を行う。したがって、外調機で外気に加熱、加湿等の処理を施すための外部仕事(エネルギ)をさらに削減できる。
【0013】
上述のように、この発明の空気調和装置は、外気の状態に応じて、制御手段が上記バイパス路を通した冷水のバイパス(これを「バイパス運転」と呼ぶ。)を実行するか否かを切り替える制御を行う。この制御手段による切り替え制御は、自動で頻繁に行うことができる。したがって、この発明の空気調和装置によれば、冬期だけでなく、昼間には外気温度が上昇して除湿運転となる中間期でも、実際に冷凍機の負荷を低減でき、電力エネルギを削減できる。
【0014】
なお、外気の状態がバイパス運転のための条件を満たしているか否かを制御手段が容易に判断できるように、外気の温度および露点を検出するセンサと、上記還り冷水ヘッダに流入する冷水の温度を検出するセンサとを備えるのが望ましい。
【0015】
一実施形態の空気調和装置は、上記制御手段によって制御されるポンプが上記バイパス路に介挿されていることを特徴とする。
【0016】
この一実施形態の空気調和装置では、上記制御手段によって制御されるポンプが上記バイパス路に介挿されている。したがって、バイパス運転時にこのポンプを稼動させることによって、還り冷水ヘッダから冷水を上記外調機の冷水入口へ円滑にバイパスさせることができる。
【0017】
一実施形態の空気調和装置は
上記還り冷水ヘッダの本体の外面に、上記バイパス路へのバイパス用ポートと、上記複数の分岐経路からの各々の流入用ポートとが配列され、
上記バイパス用ポートに対して、それらの流入用ポートは各流入用ポートに流入する冷水の温度が高い順に並べられていることを特徴とする。
【0018】
この一実施形態の空気調和装置では、上記還り冷水ヘッダの本体の外面に、上記バイパス路へのバイパス用ポートと、上記複数の分岐経路からの各々の流入用ポートとが配列されている。そして、上記バイパス用ポートに対して、それらの流入用ポートは各流入用ポートに流入する冷水の温度が高い順に並べられている。つまり、上記バイパス用ポートに対して近い位置に存在する流入用ポートには、高い温度の冷水が流入する。したがって、バイパス運転時に還り冷水ヘッダから外調機の冷水入口へバイパスされるのは、還り冷水ヘッダに流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の高い部分となる。この結果、還り冷水ヘッダに流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の高い部分が、外調機によって冷却される。そして、外調機で熱交換によって低温になった冷水は、復路を通して上記冷凍機に戻る。したがって、効果的に冷熱を回収することができる。これにより、冷凍機の負荷をさらに低減でき、電力エネルギをさらに削減できる。一方、このバイパス運転時に、外調機は、外気と、還り冷水ヘッダに流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の高い部分との間で熱交換を行う。したがって、外調機で外気に加熱、加湿等の処理を施すための外部仕事(エネルギ)を削減できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態の空気調和装置の概略構成を示している。
【0021】
この空気調和装置は、冷凍機1と、外調機14と、上記冷凍機1と外調機14との間で冷水を循環させるための往路5−1,5B−1および復路5B−2,5−2とを備えている。なお、付け加えられた符号「−1」は熱交換に用いられる前の冷水が通る往路であることを意味し、付け加えられた符号「−2」は熱交換に用いられた後の冷水が通る復路であることを意味する(以下同様。)。
【0022】
この空気調和装置によって空調されるべき被空調室17は、この例では半導体製造工場のクリーンルームであり、その内部は目標温度24℃、目標湿度45%になるように常に(一年中)空調される必要がある。被空調室17内には、高温を発生する半導体製造装置と、それを冷却するための熱交換器23が設けられている。
【0023】
冷凍機1は、復路5−2から受け取った冷水を、断熱圧縮・断熱膨張のための機械仕事(電力エネルギ)を使って冷却して、往路5−1へ送り出す。送り出される冷水は周囲温度よりも低温になっている。
【0024】
外調機14は、外気をろ過するフィルタ12と、外気と冷水との間で熱交換を行うための冷水コイル13と、外気と温水との間で熱交換を行うための温水コイル22と、ブロワ60とを備えている。そして、フィルタ12を通して外気15を取り込み、冷水コイル13と温水コイル22の表面を順次通過させて外気に冷却、加熱、除湿、加湿または空気浄化等の処理を施し、処理後の空気16をブロワ60によって被空調室17へ吹き出すようになっている。なお、冷水は冷水コイル13の入口(以下「冷水入口」という。)13aに供給され、出口13bから出る。別途設置されたボイラ(図示せず)から温水コイル22に温水が供給されると共に、加湿用蒸気等が供給される。被空調室17内へ吹き出される処理空気の温度と露点は、それぞれ被空調室17内に設けられた室内温度センサ18、室内露点センサ19によって検出される。矢印24は排気を示している。
【0025】
冷凍機1から外調機14への往路5−1,5B−1間には冷水を分岐させるための往き冷水ヘッダ2が介挿され、また、外調機14から冷凍機1への復路5−2,5B−2間には冷水を合流させるための還り冷水ヘッダ3が介挿されている。
【0026】
詳しくは、往き冷水ヘッダ2から、上記外調機14に対応する分岐経路5B−1,5B−2に加えて、複数の分岐経路5A−1,5A−2;5C−1,5C−2が分岐し、これらの分岐経路を介して冷水が上記還り冷水ヘッダ3に流入するようになっている。この例では、分岐経路5A−1,5A−2は被空調室17内に設けられた製造装置冷却水系統(熱交換器23)に対応し、分岐経路5C−1,5C−2は事務棟空調機系統に対応している。製造装置冷却水系統では、冷水は、往き冷水ヘッダ2から往路5A−1を通して熱交換器23に入り、そこで熱交換を行って製造装置から熱を奪い、復路5A−2を通して還り冷水ヘッダ3に戻る。事務棟空調機系統では、冷水は、往き冷水ヘッダ2から往路5C−1を通して事務棟空調機に入り、そこで熱交換を行って室内空気から熱を奪い、復路5C−2を通して還り冷水ヘッダ3に戻る。なお、それぞれ熱交換が行われる別の分岐経路がさらに設けられていても良い。
【0027】
往き冷水ヘッダ2から外調機14への分岐経路5B−1には、制御弁8が介挿されている。この制御弁8の開度は、被空調室17内に設けられた室内温度センサ18および室内露点センサ19の出力に基づいて、CPUからなる第2制御器25によって調節される。この制御弁8の開度の大小に応じて、分岐経路5B−1を通して外調機14の冷水入口13aへ流れる冷水の量が変化する。なお、この制御弁8は、制御手段としての第1制御器9によっても開閉される。
【0028】
還り冷水ヘッダ3から、冷水を外調機14の冷水入口13aへバイパスさせるためのバイパス路90が設けられている。このバイパス路90には、還り冷水ヘッダ3から外調機14へ冷水を送るためのバイパス用ポンプ6と、逆止弁7とが介挿されている。バイパス用ポンプ6の動作は、屋外に設けられた外気温度センサ10、外気露点センサ11、および還り冷水ヘッダ3の内部に設けられた冷水温度センサ26の出力に基づいて、CPUからなる第1制御器9によって制御される(詳しくは後述する。)。逆止弁7は、還り冷水ヘッダ3から外調機14へ向かう流れを許容するが、逆向きの流れを禁止する。
【0029】
図2は還り冷水ヘッダ3におけるポートの配列を示している。この還り冷水ヘッダ3は、一定量の冷水を収容し得る本体30と、この本体30の外面に沿って一方向に配列された複数のポート(それぞれ手動開閉弁を含む。)31,32,…,39を備えている。図2において左からの2番目のポート32は、バイパス路90への配管が接続されて、バイパス用ポートとして用いられている。その両隣りに配置された2つのポート31,33は、それぞれ熱負荷が高い製造装置冷却水系統からの配管(復路)5A−2が接続されて、流入用ポートとして用いられている。その右隣りに配置された2つのポート34,35は、それぞれ製造装置冷却水系統に比して熱負荷が低い事務棟空調機系統からの配管(復路)5C−2が接続されて、流入用ポートとして用いられている。その右隣りに配置された2つのポート36,37は、それぞれ閉じられて、空きポートとなっている。右からの2番目のポート38は、外調機14の冷水コイル13からの配管(復路)5B−2が接続されて、流入用ポートとして用いられている。右端のポート39は、冷凍機1への配管(復路)5−2が接続されて、流出用ポートとして用いられている。詳しくは後述するが、流入用ポート31,33,34,35,38の配置は、バイパス用ポート32に対して、各流入用ポートに流入する冷水の温度が高い順に並べられている。
【0030】
さて、図1中に示した被空調室(以下「クリーンルーム」という。)17の内部は、既述のように目標温度24℃、目標湿度45%になるように常に(一年中)空調される必要がある。図4の空気線図では、この目標温度24℃、目標湿度45%がA点で表されている。A点の絶対湿度に対応する飽和曲線上の点がD点である。夏期の外気状態(これをB点とする。B点の温度は33℃である。)からA点の状態にするためには、外気から水分をa(kg/kg)だけ除くように外調機14は除湿運転を行う必要がある。逆に、冬期の外気状態(これをC点とする。C点の温度は5℃である。)からA点の状態にするためには、外気に水分をb(kg/kg)だけ加えるように外調機14は加湿運転を行う必要がある。また、4月〜5月、10月〜11月の中間期には、外調機14は、図5に示したように、夜間(図5中に斜線で示す)には加湿運転、昼間には除湿運転を行う必要がある。
【0031】
そこで、この空気調和装置では、夏期や中間期の昼間などのように、外気15の温度が還り冷水ヘッダ3に流入する冷水の温度以上であるか又は外気15の露点がクリーンルーム17の目標露点以上であるとき、第1制御器9がバイパス路90を通した冷水のバイパスを禁止する制御を行う。つまり、バイパス用ポンプ90を停止して、バイパス路90を実質的に遮断する。このとき、この空気調和装置は、従来の空気調和装置の除湿運転と同様の運転を行う。すなわち、冷凍機1から送り出された低温の冷水は、往路5−1,5B−1を通して外調機14の冷水コイル13に入り、熱交換に用いられる。外調機14は、外気15を取り込み、冷水コイル13の表面を通過させて外気に冷却、除湿等の処理を施し、処理後の空気16をクリーンルーム17へ送る。このとき、第2制御器25が、クリーンルーム17内に設けられた室内温度センサ18および室内露点センサ19の出力に基づいて、制御弁8の開度を調節して、分岐経路5B−1を通して外調機14の冷水入口13aへ流れる冷水の量を調節する。これにより、クリーンルーム17内の温度、露点をそれぞれ目標温度24℃、目標湿度45%になるように制御する。外調機14の冷水コイル13で熱交換によって高温になった冷水は、復路5B−2,5−2を通して冷凍機1に戻り、冷却されて再び低温の冷水となる。
【0032】
一方、冬期や中間期の夜間などのように、外気15の温度が還り冷水ヘッダ3に流入する冷水の温度よりも低く且つ外気15の露点がクリーンルーム17の目標露点よりも低いとき、第1制御器9がバイパス路90を通した冷水のバイパスを実行する制御(バイパス運転)を行う。つまり、バイパス用ポンプ90を起動して運転状態にする。これにより、還り冷水ヘッダ3に流入する高温の冷水(還り冷水)がバイパス路90を通して外調機14の冷水コイル13に入り、熱交換に用いられる。これとともに、第1制御器9は制御弁8を全閉にする。したがって、往路5B−1が制御弁8によって遮断されて、往き冷水ヘッダ2からの低温の冷水が外調機14に流入しない。この結果、外調機14冷水コイル13には、還り冷水ヘッダ3からの高温の還り冷水のみが流入する。外調機14は、外気15を取り込み、外気15と還り冷水ヘッダ3からバイパス路90を通して流入する高温の還り冷水との間で熱交換を行って外気15に加熱、加湿等の処理を施し、処理後の空気16をクリーンルーム17へ送る。外調機14の冷水コイル13で熱交換によって低温になった冷水は、復路5B−2,5−2を通して冷凍機1に戻る。このように、外気15を利用して高温の還り冷水の温度を下げることで冷熱を回収することができ、冷凍機1の負荷を低減できる。
【0033】
上述のように、この空気調和装置は、外気15の状態に応じて、バイパス運転を実行するか否かを切り替える制御を行う。この第1制御器9による切り替え制御は、自動で頻繁に行うことができる。したがって、この空気調和装置によれば、冬期だけでなく、昼間には外気温度が上昇して除湿運転となる中間期でも、実際に冷凍機1の負荷を低減でき、電力エネルギを削減できる。
【0034】
しかも、図2に関して述べたように、還り冷水ヘッダ3における流入用ポート31,33,34,35,38の配置は、バイパス用ポート32に対して、各流入用ポートに流入する冷水の温度が高い順に並べられている。つまり、外調機14の冷水コイル13へのバイパス用ポート32に対して、その両隣りに熱負荷が高い製造装置冷却水系統からの流入用ポート31,33が配置され、その流入用ポート33の右隣りに、製造装置冷却水系統に比して熱負荷が低い事務棟空調機系統からの流入用ポート34,35が配置されている。そして、右端の冷凍機1への流出用ポート39を除けば最も遠い位置に、外調機14の冷水コイル13からの流入用ポート38が配置されている。外調機14の冷水コイル13から流入用ポート38を通して流入する冷水の温度は、上述のバイパス運転のおかげで、他の流入用ポート31,33,34,35を通して流入する冷水の温度よりも低くなっている。このような配置の結果、バイパス用ポート32に対して近い位置に存在する流入用ポート31,33には、高い温度の冷水が流入する。したがって、バイパス運転時に還り冷水ヘッダ3から外調機14の冷水入口13aへバイパスされるのは、還り冷水ヘッダ3に流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の高い部分となる。この結果、還り冷水ヘッダ3に流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の高い部分が、図1中に示した外調機14の冷却コイル13で外気と熱交換して冷却される。そして、外調機14で熱交換によって低温になった冷水は、復路5B−2を通して還り冷水ヘッダ3に戻る。還り冷水ヘッダ3では、外調機14の冷水コイル13からの流入用ポート38は、右端の冷凍機1への流出用ポート39の隣りに配置されているので、還り冷水ヘッダ3に流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の低い部分が、復路5−2を通して冷凍機1に戻る。したがって、効果的に冷熱を回収することができる。これにより、冷凍機1の負荷をさらに低減でき、電力エネルギをさらに削減できる。一方、このバイパス運転時に、外調機14は、外気15と、還り冷水ヘッダ3に流入する冷水全体のうち実質的に最も温度の高い部分との間で熱交換を行う。したがって、外調機14で外気15に加熱、加湿等の処理を施すための外部仕事(エネルギ)を削減できる。
【0035】
実際に、或る地方の半導体製造工場で1月度(冬場)の冷却負荷削減量は、次の表1に示すような条件で、52228冷凍トン/月となった(1冷凍トン=3024Kcal/Hである。)。これを現状の電力料金に基づいて金額に換算すると、約53万円(1ヶ月)の節約となった。
【0036】
【表1】
外調機能力
i) 処理風量:95000m3/H
ii コイル能力:403000Kcal/H
iii 入口空気温度:2.6℃
iv 冷水流量:680L/min
v) 冷水温度:15℃
【0037】
本実施形態では、空気調和装置を半導体製造工場に適用したが、当然ながらこれに限られるものではない。この発明の空気調和装置は、例えば液晶表示装置製造工場などに広く適用できる。この発明は、処理風量の多い大型の外調機を使用する用途に好ましく適用できる。
【0038】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の空気調和装置によれば、冬期だけでなく中間期でも、実際に、外気を利用して冷熱を回収することによって電力エネルギを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の空気調和装置の概略構成を示す図である。
【図2】 上記空気調和装置の構成要素である還り冷水ヘッダにおけるポートの配列を示す図である。
【図3】 従来の空気調和装置の構成を示す図である。
【図4】 空気線図の一例である。
【図5】 中間期の一日の外気温度の推移を例示する図である。
【符号の説明】
1 冷凍機
2 往き冷水ヘッダ
3 還り冷水ヘッダ
9 第1制御器
13 冷水コイル
14 外調機
17 被空調室(クリーンルーム)
25 第2制御器

Claims (3)

  1. 受け取った冷水を冷却して送り出す冷凍機と、
    外気と冷水との間で熱交換を行うことより外気を処理して被空調室へ送る外調機と、
    上記冷凍機と外調機との間で冷水を循環させるための往路および復路と、
    上記外調機から冷凍機への復路に介挿された還り冷水ヘッダから、冷水を上記外調機の冷水入口へバイパスさせるためのバイパス路と、
    上記外気の温度が上記還り冷水ヘッダに流入する冷水の温度よりも低く且つ上記外気の露点が上記被空調室の目標露点よりも低いとき、上記バイパス路を通した冷水のバイパスを実行する一方、上記外気の温度が上記還り冷水ヘッダに流入する冷水の温度以上であるか又は上記外気の露点が上記被空調室の目標露点以上であるとき、上記バイパス路を通した冷水のバイパスを禁止する切り替え制御を行う制御手段とを備え
    上記冷凍機から外調機への往路に介挿された往き冷水ヘッダから、それぞれ熱交換が行われる複数の分岐経路が分岐し、これらの分岐経路を介して冷水が上記還り冷水ヘッダに流入するようになっており、
    上記往き冷水ヘッダから外調機への往路に介挿された制御弁を備え、
    上記制御手段は、上記バイパス路を通した冷水のバイパスを実行するとき、上記制御弁を全閉にすることを特徴とする空気調和装置。
  2. 請求項1に記載の空気調和装置において、
    上記制御手段によって制御されるポンプが上記バイパス路に介挿されていることを特徴とする空気調和装置。
  3. 請求項1に記載の空気調和装置において
    上記還り冷水ヘッダの本体の外面に、上記バイパス路へのバイパス用ポートと、上記複数の分岐経路からの各々の流入用ポートとが配列され、
    上記バイパス用ポートに対して、それらの流入用ポートは各流入用ポートに流入する冷水の温度が高い順に並べられていることを特徴とする空気調和装置。
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