JP4013603B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)に関し、詳しくは、様々な環境下での有害ガスによる画像劣化の少ないインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。
【0003】
上記記録方法で従来から問題となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、様々な分野に急速に普及している。
【0004】
特に、最近ではプリンターの高画質化が進み写真画質に到達していることから、記録用紙も写真画質を実現し、かつ銀塩写真の風合い(光沢性、平滑性、コシなど)を再現することが求められている。
【0005】
銀塩写真の風合いを再現する方法の1つとして、記録用紙として支持体上にゼラチンやポリビニルアルコールなどの親水性バインダーを塗設した、いわゆる膨潤型のものが知られているが、この方法では、インク吸収速度が遅い、プリント後に表面がべたつきやすい、保存中に湿度の影響を受けて画像がにじみやすい等の欠点を有している。特に、インク吸収速度が遅いため、吸収される前にインクの液滴同士が混ざり合い、異色間のにじみ(ブリーディング)や同色内の色むら(ビーディング)を発生させやすく、銀塩写真画質の達成は非常に困難である。
【0006】
上記膨潤型に代わり主流となりつつあるのがいわゆる空隙型であり、微細な空隙にインクを吸収させるため、吸収速度が速いのが特徴である。このように銀塩写真画質と銀塩写真の風合いを達成する記録用紙の例としては、特開平10−119423号、同10−119424号、同10−175364号、同10−193776号、同10−193776号、同10−217601号、同11−20300号、同11−106694号、同11−321079号、同11−348410号、同10−178126号、同11−348409号、特開2000−27093、同2000−94830、同2000−158807、同2000−211241等に記載されている。
【0007】
一方、画質や風合いに加え、耐久性や画像保存性に対する要求もより高度になり、耐光性、変褪色性、耐湿性、耐水性なども銀塩写真レベルに到達させる試みが数多くなされている。耐光性向上の例としては、特開昭57−74192号、同57−87989号、同57−74193号、同58−152072号、同64−36479号、特開平1−95091号、同1−115677号、同3−13376号、同4−7189号、同7−195824号、同8−25796号、同11−321090号、同11−277893号、特開2000−37951他多数の技術が開示されている。
【0008】
空隙型記録用紙の場合は、耐光性だけでなく、その空隙構造に起因して有害ガスによる変褪色を起こしやすい問題がある。特に、一般のカラーインクジェットプリンタに採用されているフタロシアニン系水性染料で起こりやすい。
【0009】
この変褪色のメカニズムは未だ明確にはなっていないが、微細空隙構造は高表面積を有し、かつ用いられている無機微粒子が活性な表面を有しているため、オゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスが染料を分解していると推察している。
【0010】
変褪色の現象を改善する技術については、例えば、特開昭63−252780号、同64−11877号、特開平1−108083号、同1−216881号、同1−218882号、同1−258980号、同2−188287号、同7−237348号、同7−266689号、同8−164664号等に記載されているが、空隙構造がより微細になる写真画質様の記録用紙では、より劣化しやすい特性にあるため、従来の改良技術では改良の効果が不十分であり、より抜本的な改善が望まれている。
【0011】
上記の問題の対策方法の1つとしては、膨潤型記録用紙を用いることにより改良はされるが、反面本質的な問題であるインク吸収速度の遅さを改善することが非常に困難である。
【0012】
顔料インクを用いたインクジェット記録方法により、ある程度の変褪色問題は解決しうるが、記録用紙上のギラツキ(ブロンジング)などの特性は、品質上十分な画質を与えるレベルに至っていないのが現状である。また、他の方法として、プリントにラミネート処理を施したり、フレームに入れるなどのガス遮断方法、又は特開昭53−27426号、同59−222381号、同62−271781号、特開平11−157207号、同11−245507号、特開2000−71608に開示されているような、熱可塑性微粒子を表面に含有する記録用紙をプリント後、加熱又は加圧処理してガス遮断層を発現させる方法などは非常に効果的ではあるが、何れも後処理が必要となり、余分な工程が負荷となっている。特に、幅が60cm以上になる大判インクジェット記録においては、ラミネート処理やヒートロール処理が煩わしいのみならず、専用の機器も大型化し、高額であり、広く一般に普及しているとは言い難い。
【0013】
また、特開昭63−60784号では、有機微粒子と無機微粒子を持つ空隙層を有するインクジェット記録用紙について開示している。しかし、この有機微粒子は特殊な溶媒にのみ溶解し、一般的なインクジェットプリンタ用インクで用いられている有機溶媒に対しては溶解しないため、通常のインクジェット記録には用いることができないのが現状である。
【0014】
本発明者らは先に、特定の有機微粒子を記録用紙の塗設層に含有させることが、変褪色防止に非常に有効であることを見いだした。特に、この有機微粒子を表層に高濃度で含有させることが効果的である。
【0015】
しかしながら、引き続き検討を進めた結果、上記の構成とした場合の変褪色性として、記録用紙を高温状態で保存した後に画像記録すると、変褪色防止効果が失われていく傾向にあることが判明し、その品質は銀塩写真に比較すると十分に満足できるレベルにはなく、更なる改良が要望されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な環境下で保存しても、有害ガスによる画像劣化(変褪色)の少ないインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0018】
1.支持体上に1層以上の多孔質層と、下記で定義する有機微粒子Bと表面にシランカップリング剤として有機シランを反応させて修飾した無機微粒子とを含有する表層とを有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0020】
有機微粒子B:前記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。
【0022】
.前記無機微粒子が、気相法シリカであることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0023】
本発明者は、特定の有機微粒子を有するインクジェット記録用紙の変褪色性に関し解析を行った結果、上述のような構成を有するインクジェット記録用紙は、変褪色防止に対し優れた特性を有してはいるが、その防止効果の安定性にやや問題があることが判明した。例えば、インクジェット記録用紙を、50℃以上の高温状態で1日以上保管した後に画像記録した場合に、変褪色防止効果が低下することが明らかになった。このような変褪色性の防止効果の安定性向上に対し、本発明者は鋭意検討を進めた結果、表層に特定の有機微粒子と共に表面修飾を施した無機微粒子を用いることが極めて有効であることを見いだし、本発明に至った次第である。すなわち、変褪色防止層に用いる無機微粒子に表面修飾処理を施すことにより、高温保存後にも保存前と同様の変褪色防止効果を発揮できる。このメカニズムに関しては、現時点では明らかとはなっていないが、以下のように推測している。すなわち、高温保存中に無機微粒子の活性な表面に対し、有機微粒子中の高分子鎖が何らかの相互作用を及ぼしているものと考えられるが、表面修飾によってこの有機微粒子による影響を低減できているものと推測している。
【0024】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明においては、支持体上に1層以上の多孔質層と、前記で定義される有機微粒子Bと表面にシランカップリング剤として有機シランを反応させて修飾した無機微粒子とを含有する表層とを有することが特徴である。
【0038】
はじめに、本発明に係る有機微粒子Bについて説明する。
本発明でいう有機微粒子Bとは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子と定義する。
【0039】
前記一般式(1)で表される繰り返し単位の詳細について、以下説明する。
本発明の目的効果を好ましく発現せしめる観点から、有機微粒子Bとして、前記一般式(1)で表される繰り返し単位は親水性を有することが好ましく、具体的には、下記に示すアクリル系単量体の親水性単量体を重合させて得ることができるが、本発明ではこれらに限定されない。
【0041】
【化3】
Figure 0004013603
【0042】
【化4】
Figure 0004013603
【0043】
前記一般式(1)で表される繰り返し単位に親水性を付与しているのは、前記一般式(1)を形成する、X、J及び置換基Y等の各々の部分構造であるが、本発明においては、置換基Yにより親水性が付与されることが好ましい。
【0044】
また、前記一般式(1)で表される繰り返し単位に親水性を付与する為に用いられる置換基としては、『薬物の構造活性相関(ドラッグデザインと作用機作への指針)』(化学の領域増刊122号)構造活性相関懇話会編、南江堂(1980)、p96〜103に記載のような、疎水性パラメータ(π)が負の置換基等を用いることができる。
【0045】
本発明に係る有機微粒子Bは、前記一般式(1)で表されるような特定の繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上もつことが必要であるが、10質量%以上含有することが好ましい。
【0046】
また、有機微粒子B自体としては、親水性ではあっても水溶性ではないことが好ましいので、10〜50質量%未満の範囲の含有率に調整されることが好ましい。
【0047】
以下、本発明に係る有微微粒子Bの構成成分として用いられる、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0048】
【化5】
Figure 0004013603
【0049】
【化6】
Figure 0004013603
【0050】
一方、有機微粒子Bを構成するポリマーの他の単量体成分としては、エチレン性不飽和基を有する従来公知の任意のものが選ばれる。これらは、単一の種類であっても、複数種類であっても良い。このような単量体の例としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステルまたはアルキルアミド等であり、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α―メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、または、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、または、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジブチルアミノメチルアクリレート、ジヘキシルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、(t−ブチル)アミノエチルアクリレート、ジイソヘキシルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノプロピルアクリレート、ジ(t−ブチル)アミノヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらのうち好ましく用いられるのは、スチレン、メチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレートである。
【0051】
本発明に係る有機微粒子Bは、水系エマルジョンとして調製し、塗布液を構成することが好ましく、その場合のエマルジョン粒子のイオン性は塗布液と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、有機微粒子Bを含有する層の塗布液のイオン性は、他の層の塗布液のイオン性と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、最も好ましいのは有機微粒子Bと塗布液全てのイオン性がカチオン性または非イオン性であることである。
【0052】
通常、インクジェット記録用紙は、室温下で使用されるが、使用前の保存状態は必ずしも室温とは限らず、特に、夏場の密閉された車中では非常に高温状態となるため、そのような環境を経た後でも支障なく使用できることが望まれる。このため、有機微粒子Bのガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが必要であるが、好ましくは、80℃以上であり、更に好ましくは、90℃〜120℃である。
【0053】
前述の有機微粒子Bのガラス転位温度(Tg)が70℃未満の場合には、加熱による有機微粒子の融着を生じやすくなり、その結果として、記録用紙表面の空隙が縮小または減少し、インク吸収速度の低減が起こりやすくなる。
【0054】
ここで、本発明に係る有機微粒子の構成成分であるポリマーのTgは、共重合成分としての単量体単独重合体のTgおよび単量体組成比から質量分率によって計算で求めることが可能である。例えば、スチレン(単独重合体Tg=100℃=373K):n−ブチルアクリレート(単独重合体Tg=−54℃=219K)が4:1(質量比)の組成からなるポリマーのTgとしては、1/((1/373K)×4/5+(1/219K)×1/5)=327K(=54℃)と求められる。単量体単独重合体のTgについては、POLYMER HANDBOOK (A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に多数の測定値が掲載されている。
【0055】
また、有機微粒子Bの平均粒子径は100nm以下であることが必要であるが、好ましくは60nm以下であり、更に好ましくは、20〜40nmであり、本発明に係る有機微粒子Bは、従来公知の乳化重合法等により水中で合成されることが好ましい。その粒子径は、乳化剤の種類や量、単量体成分を調節するなど従来公知の手法により上述の20nm程度から100nm程度までの範囲になるように調節することが可能である。
平均粒子径の測定法としては、例えば、有機微粒子含有層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、多数個の任意の有機微粒子Bの粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求める方法がある。なお、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。又は別の方法としては、有機微粒子Bを適当な分散媒に分散させ、レーザ回折散乱式粒度分布測定によって粒径を求めることもできる。粒径は、体積から球換算で求められる。
【0056】
本発明の効果を顕著に奏するために、インク吸収層の表面に配置する表層として、有機微粒子Bの含有率は50〜90質量%であることが好ましいが、該表層中での有機微粒子同士の融着を効果的に防止し、インク吸収速度を更に高める観点から、後述するインク吸収層で用いるのと同様の無機微粒子を含有しても良い。
【0057】
本発明の効果を顕著に奏するために、インク吸収層の表面に配置する表層として、有機微粒子Bの含有率は50〜90質量%であることが好ましく、該表層中での有機微粒子同士の融着を効果的に防止し、インク吸収速度を更に高める観点から、後述する表面を修飾した無機微粒子の含有率は、10〜50質量%であることが好ましい。
【0058】
次に、表面を修飾した無機微粒子について説明する。
本発明で用いることのできる基材となる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0059】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものを電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0061】
本発明で用いることのできる無機微粒子としては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、請求項に係る発明では、シリカが気相法で合成されたシリカであることが好ましい。
【0062】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法で合成された微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0063】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0064】
次いで、無機微粒子表面を修飾するシランカップリング剤である有機シランについて説明する。
本発明において、無機微粒子表面を修飾するのに用いられるシランカップリング剤としては、従来公知のものが広く使用できる。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩及びアミノシラン配合物などが挙げられ、特に、ビニル系、メルカプト系、グリシドキシ系、メタクリロキシ系が好ましく、特に、シランカップリング剤が、メルカプト基を有していることが好ましい。
【0065】
無機微粒子表面に上記シランカップリング剤による表面処理を行う方法としては、公知の方法を使用することができる。例えば、ヘンシェルミキサーを用い、無機微粒子を攪拌混合しながらシランカップリング剤を滴下又は噴霧する乾式法、スラリー状の無機微粒子にシランカップリング剤を滴下しながら攪拌し滴下終了後に無機微粒子を沈澱させ濾過してから無機微粒子を乾燥させ残留溶媒を除去するスラリー法、無機微粒子を溶媒に分散させ、これにシランカップリング剤を添加して攪拌した後、溶媒を蒸発して付着層を形成する方法などである。
【0066】
更に、無機微粒子を合成する最終工程に何らかの処理剤を用いる方法であり、例えば、気相法シリカを合成する最終工程で原料のテトラクロロシランの代わりに、アルキルクロロシランを加える方法等を挙げることができる。
【0067】
本発明に係る表面を修飾した無機微粒子としは、市販品の中にも数多くあり、例えば、表面修飾した気相法シリカとして、日本アエロジル社製のR972、R974、RX200、RY200、デグサ社製のR202、R805、R812、トクヤマ社製のMT−10、MT−10C、DM−10、DM−10C、DM−20、DM−30などが挙げられる。その他、表面修飾した湿式シリカとして日本シリカ工業製のAY−460、AZ−260、AZ−360、表面修飾した他の無機微粒子としてバーゲス・ピグメント社製のカオリンクレーKE、2211、5178、CBなどをその一例として挙げることができる。
【0068】
無機微粒子表面の修飾の度合いは、修飾可能な部位を必ずしも全て修飾する必要はなく、部分修飾であってもよい。完全に修飾すると無機微粒子が疎水性になって塗布液中に混合できない場合があるため、好ましい修飾度は30〜80%である。更に、表面修飾した修飾基自体が他の機能を併せ持つことも好ましい。例えば、メルカプト基を持ったシランカップリング剤によれば、変褪色防止効果をさらに高めることができる。
【0069】
本発明のインクジェット記録用紙は、前記有機微粒子Bと表面を修飾している無機微粒子とを含有する表層を有していることが特徴であるが、本発明でいう表層とは、最表面層に限定されることはなく、本発明の効果が発現する構成であれば、特に限定されるものではない。
【0070】
本発明でいう表層を明示するための好ましい構成例を以下に列挙するが、本発明に係る層構成は、これらにのみ限定されるものではない。
【0071】
1:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子Bが含まれている層が最表層である構成
2:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、表面物性の改良を目的とした薄層を設けた構成
3:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、有害光をカットする目的で、紫外線吸収機能を有する薄層を設けた構成
4:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、マット剤を含む層を設けた構成
5:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、剥離可能な層を設けた構成。
【0072】
上記に記載の構成例の内で最も好ましい構成は、本発明の効果を最も発揮できる1項に係る有機微粒子Bの含有層が最表層である場合である。
【0073】
本発明に係る有機微粒子Bと表面を修飾した無機微粒子を含む表層には、無機微粒子、バインダー成分等を含んでも良い。
【0074】
次に、多孔質層(インク吸収層ともいう)について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙においては、一層以上の多孔質層、いわゆるインク吸収層を有している。
【0075】
一般に、インク吸収層としては、大きく別けて膨潤型と空隙型がある。
膨潤型としては、水溶性バインダーを用い、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布し、これをインク吸収層としたものである。
【0076】
空隙型としては、微粒子及び水溶性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。水溶性バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
【0077】
上記の2タイプの内、連続高速プリントに適応するには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、本発明においては、空隙型を特に好ましく用いることができる。
【0078】
以下、空隙型インク吸収層について、更に詳しく説明する。
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが、特に好ましい。
【0079】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0080】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0081】
無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
【0082】
本発明で用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0083】
無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
【0084】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0085】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0086】
本発明においては、インク吸収層に水溶性バインダーを用いることができる。本発明で用いることのできる水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダーは、二種以上併用することも可能である。
【0087】
本発明で好ましく用いられる水溶性バインダーは、ポリビニルアルコールである。
【0088】
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0089】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0090】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0091】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0092】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0093】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0094】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0095】
インク吸収層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機顔料の種類、水溶性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には、記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0096】
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
【0097】
また、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0098】
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0099】
インク保持能を有する空隙層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0100】
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0101】
本発明においては、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤は、インクジェット記録媒体作製の任意の時期に添加することができ、例えば、インク吸収層形成用の塗布液中に添加しても良い。
【0102】
本発明においては、インク吸収層形成後に、水溶性バインダーの硬化剤を供給する方法を単独で用いても良いが、好ましくは、上述の硬化剤をインク吸収層形成用の塗布液中に添加する方法と併用して用いることである。
【0103】
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0104】
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
【0105】
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
【0106】
ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
【0107】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン、カチオン、非イオン、両性の各界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0108】
インク吸収層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。
【0109】
本発明で用いることのできる支持体としては、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。すなわち、吸水性支持体の場合よりも非吸水性支持体の場合の方が、記録用紙中に顔料インク中の水溶性有機溶媒が多量に残留し、有機微粒子溶解等に対し効果的に作用するため、本発明の効果を顕著に奏することができると推定している。尚、正確には、「顔料インク中の水溶性有機溶媒を吸収しない支持体」を使用するのが好ましいのであるが、ここでは非吸水性支持体を用いても、本発明の効果を顕著に奏することができると考えている。
【0110】
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に、紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0111】
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
【0112】
紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
【0113】
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体及び不透明支持体がある。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用として使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
【0114】
また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0115】
前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0116】
本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
【0117】
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。
【0118】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0119】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長は、JIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0120】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0121】
原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。また、原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良い。
【0122】
原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0123】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0124】
特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0125】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、またポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
【0126】
本発明の記録用紙の空隙層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種のインク吸収層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ませる同時重層塗布方法が好ましい。
【0127】
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0128】
本発明のインクジェット記録用紙を用いた画像記録においては、水性インクを用いる記録方法が好ましい。
【0129】
本発明でいう水性インクとは、下記の着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体を意味する。
【0130】
本発明で用いることのできる着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素等の水溶性染料又は水分散性顔料を使用することができる。中でも、特に好ましい着色剤は、フタロシアニン系の染料をシアン染料として用いたインクである。フタロシアニン系染料は、シアン系染料の中でも特に広く知られ、かつ用いられているものである。
【0131】
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。
【0132】
これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。
【0133】
その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤などが挙げられる。
【0134】
水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするため、20℃において25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有することが好ましい。
【0135】
本発明で用いることのできるプリンターは、市販されているプリンターのように、例えば、記録媒体収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録媒体収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであることが好ましい。使用するインクジェットプリントヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0136】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0137】
《インクジェット記録用紙の作製》
以下に示す手順に従って、インクジェット記録用紙1〜を作製した。
【0138】
〔インクジェット記録用紙1の作製〕
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚み230μm)上に、液温45℃の下記塗布液1をワイヤーバーにて塗布、乾燥した後、40℃、80%RHの恒温槽中に12時間保存して、インクジェット記録用紙1を得た。乾燥膜厚は35μmであった。なお、インクジェット記録用紙1のシリカ微粒子の塗設量は15g/m2、カチオン性ポリマー(P1)の塗設量は2.2g/m2、ポリビニルアルコールの塗設量は2.3g/m2であった。
【0139】
(塗布液1の調製)
下記シリカ−カチオンポリマー分散液1を45℃に昇温し、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA203)の10%水溶液及び他のポリビニルアルコール(クラレ製、PVA245)の6%水溶液をそれぞれ45℃に昇温した後に添加した。最後に、一定の体積となるように45℃の純水を加えて半透明状の塗布液1を得た。
【0140】
〈シリカ−カチオンポリマー分散液1の調製〉
カチオン性ポリマー(P1)の15%水溶液100gに、1次粒子の平均粒径が12nmの微粒子シリカ(トクヤマ社製、QS−20)の20%水分散液500g、次いで硼酸3.0g、ホウ砂0.7gを添加し、高速ホモジナイザーで分散し、青白色のシリカ−カチオンポリマー分散液1を得た。
【0141】
【化7】
Figure 0004013603
【0142】
〔インクジェット記録用紙2の作製〕
上記インクジェット記録用紙1上に、下記有機微粒子エマルジョン(L−I)が0.5g/m2、未修飾の微粒子シリカ(トクヤマ社製、QS−20)が0.25g/m2、アクリル系エマルジョン(Tg=−30℃、平均粒子径30nm)が0.05g/m2からなる表層をワイヤーバーで塗布、乾燥した後、40℃、80%RHの恒温槽中に12時間保存して、インクジェット記録用紙2を得た。
【0143】
(有機微粒子エマルジョン(L−I)の調製)
n−ブチルアクリレート:スチレン:2−ヒドロキシエチルメタクリレート:t−ブチルメタクリレート=10:50:20:20(質量比)のモノマーを用い、公知の方法に従い乳化重合して、有機微粒子エマルジョン(L−I)を調製した。上記調製に用いた界面活性剤は、カチオン性界面活性剤であるステアリルトリメチルアンモニウムクロライドで、総モノマー量に対して固形分として3質量%添加した。以上のようにして調製した有機微粒子エマルジョン(L−I)に含有される有機微粒子の平均粒子径は、レーザー散乱法で測定したところ50nmであり、また、前述の方法により各構成モノマーのTgより計算で求めたガラス転移温度(Tg)は76℃であった。
【0144】
〔インクジェット記録用紙3、4の作製〕
上記インクジェット記録用紙2の作製において、表層の未修飾の微粒子シリカに代えて、同質量のトクヤマ社製DM−30(メチル修飾微粒子シリカ)、日本アエロジル社製R974(メチル修飾微粒子シリカ)にそれぞれ変更した以外は同様にして、インクジェット記録用紙3、4を作製した。
【0145】
〔インクジェット記録用紙5の作製〕
上記インクジェット記録用紙2の作製において、表層の未修飾の微粒子シリカに代えて、同質量の下記無機微粒子S−1に変更した以外は同様にして、インクジェット記録用紙5を作製した。
【0146】
(無機微粒子S−1の調製)
気相法シリカ(トクヤマ社製、QS−20)20gとシランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBE803:メルカプト基含有)5gとをブレンダーにより1000rpmで5時間混合し、一晩放置して反応させ、無機微粒子S−1を調製した。
【0147】
〔インクジェット記録用紙6、7の作製〕
上記インクジェット記録用紙5の作製において、無機微粒子S−1に代えて、同質量の無機微粒子S−2、無機微粒子S−3に変更した以外は同様にして、インクジェット記録用紙6、7を作製した。
【0148】
(無機微粒子S−2の調製)
上記無機微粒子S−1の調製において、シランカップリング剤として信越シリコーン社製のKBE803に代えて、(CH3O)3SiCH3に変更した以外は同様にして、無機微粒子S−2を調製した。
【0149】
(無機微粒子S−3の調製)
上記無機微粒子S−1の調製において、シランカップリング剤として信越シリコーン社製のKBE803に代えて、(C25O)3SiC36NH 2 に変更した以外は同様にして、無機微粒子S−3を調製した。
【0150】
〔各有機微粒子の溶解性試験〕
上記記録用紙2〜7の作製に使用した有機微粒子エマルジョン(L−I)を、ジエチレングリコールモノブチルエーテル〔SP値19.437(MPa)1/2、沸点230℃〕と室温で混合した結果、全て溶解した。
【0151】
〔記録用紙の表面及び断面の電子顕微鏡観察〕
(未処理記録材料の表面及び断面観察)
(処理A後のインクジェット記録材料の表面及び断面観察)
記録用紙1〜7に下記処理Aを施した部分の電子顕微鏡による表面・断面の観察を行ったところ、記録用紙2〜7は、有機微粒子が溶解または膨潤することにより互いに融着している状態が観察された。
【0152】
〈処理A〉
ジエチレングリコールモノブチルエーテル〔SP値19.437(MPa)1/2、沸点230℃〕の20%水溶液を、記録用紙1〜7の表面に均一にスプレー塗布した。塗布量は20ml/m2であった。次いで、この部分を23℃、55%RHの環境下で1時間乾燥させた。
【0153】
《インク液の調製》
以下の組成からなるシアンインク液を作製した。
【0154】
水 68.5部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12部
ジエチレングリコール 10部
グリセリン 8部
C.I.Direct Blue 86 1部
界面活性剤(信越化学製 サーフィノール465) 0.5部
《インクジェット画像印字及び評価》
(画像印字)
上記インク液をインクジェットプリンタMJ−800C(セイコーエプソン(株)製)に搭載し、記録用紙1〜7にシアンのベタ画像を印字した。インク吐出量は12ml/m2であった。この画像を23℃・55%RHの環境下で1時間乾燥させた。なお、各記録用紙は、23℃で1日保存したものと、60℃で3日間保存したものを用いて印字した。
【0155】
(印字画像の評価)
以上のようにして印字した各画像について、23℃保存及び60℃保存後の変褪色耐性の評価を、下記の方法に準じて行った。
【0156】
〈変褪色耐性の評価1〉
23℃で1日保存した記録用紙に印字した各ベタ印字画像部を、オフィス室内の窓際に貼り、外気流が曝露されるが直射日光の当たらない環境に6ヶ月放置した。放置前後のプリント部の反射濃度を赤色の単色光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を求め、これを常温保存後の変褪色耐性の尺度とした。
【0157】
濃度残存率1=(6ヶ月放置後の濃度/放置前の濃度)×100(%)
〈変褪色耐性の評価2〉
60℃で3日間保存した記録用紙に印字した各ベタ印字画像部を、オフィス室内の窓際に貼り、外気流が曝露されるが直射日光の当たらない環境に6ヶ月放置した。放置前後のプリント部の反射濃度を赤色の単色光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を求め、これを高温保存後の変褪色耐性の尺度とした。
【0158】
濃度残存率2=(6ヶ月放置後の濃度/放置前の濃度)×100(%)
以上により得られた結果を表1に示す。
【0159】
【表1】
Figure 0004013603
【0160】
表1より明らかなように、表層に本発明で規定する有機微粒子Bと表面にシランカップリング剤として有機シランを反応させて修飾した無機微粒子とを含有する本発明の記録用紙は、比較例に対し、空気酸化による画像の変褪色耐性が向上し、更に記録用紙を高温下で保存した後でもその変褪色耐性が維持されていることが分かる。
【0161】
【発明の効果】
本発明により、様々な環境下で保存しても、有害ガスによる画像劣化(変褪色)の少ないインクジェット記録用紙を提供することができた。

Claims (2)

  1. 支持体上に1層以上の多孔質層と、下記で定義する有機微粒子Bと表面にシランカップリング剤として有機シランを反応させて修飾した無機微粒子とを含有する表層とを有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
    有機微粒子B:下記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。
    Figure 0004013603
    〔式中、Xは−O−を表し、R1 はメチル基であり、Jは、炭素数2〜8を有するアルキレン基であり、Yは、ヒドロキシル基をす。
  2. 記無機微粒子が、気相法シリカであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
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