JP2003276304A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

インクジェット記録用紙

Info

Publication number
JP2003276304A
JP2003276304A JP2002079854A JP2002079854A JP2003276304A JP 2003276304 A JP2003276304 A JP 2003276304A JP 2002079854 A JP2002079854 A JP 2002079854A JP 2002079854 A JP2002079854 A JP 2002079854A JP 2003276304 A JP2003276304 A JP 2003276304A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
organic fine
recording paper
ink
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002079854A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenzo Kasahara
健三 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2002079854A priority Critical patent/JP2003276304A/ja
Publication of JP2003276304A publication Critical patent/JP2003276304A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、インク吸収性に優れ、有害
ガスによる画像劣化(変褪色)の少ないインクジェット
記録用紙を提供することにある。 【解決手段】 有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有す
る表層と、多孔質層とを有するインクジェット記録用紙
であり、表層及び多孔質層の少なくとも1層が、アニオ
ン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を含有すること
を特徴とするインクジェット記録用紙。有機微粒子Aは
SP値が18.414〜30.69(MPa)1/2で、
沸点が120℃以上の水溶性有機溶媒により溶解又は膨
潤する有機微粒子で、有機微粒子Bは下記一般式(1)
で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以
上含有するポリマーを有し、共にガラス転移温度(T
g)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下
の有機微粒子。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)に関し、詳しく
は、インク吸収性に優れ、有害ガスによる画像劣化の少
ないインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液
滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シー
トに付着させ、画像・文字などの記録を行うものである
が、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点
を有している。
【0003】上記記録方法で従来から問題となっていた
ノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及
び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンタ
ー、ファクシミリ、コンピューター端末等、様々な分野
に急速に普及している。
【0004】特に、最近ではプリンターの高画質化が進
み写真画質に到達していることから、記録用紙も写真画
質を実現し、かつ銀塩写真の風合い(光沢性、平滑性、
コシなど)を再現することが求められている。
【0005】銀塩写真の風合いを再現する方法の1つと
して、記録用紙として支持体上にゼラチンやポリビニル
アルコールなどの親水性バインダーを塗設した、いわゆ
る膨潤型のものが知られているが、この方法では、イン
ク吸収速度が遅い、プリント後に表面がべたつきやす
い、保存中に湿度の影響を受けて画像がにじみやすい等
の欠点を有している。特に、インク吸収速度が遅いた
め、吸収される前にインクの液滴同士が混ざり合い、異
色間のにじみ(ブリーディング)や同色内の色むら(ビ
ーディング)を発生させやすく、銀塩写真画質の達成は
非常に困難である。
【0006】上記膨潤型に代わり主流となりつつあるの
がいわゆる空隙型であり、微細な空隙にインクを吸収さ
せるため、吸収速度が速いのが特徴である。このように
銀塩写真画質と銀塩写真の風合いを達成する記録用紙の
例としては、特開平10−119423号、同10−1
19424号、同10−175364号、同10−19
3776号、同10−193776号、同10−217
601号、同11−20300号、同11−10669
4号、同11−321079号、同11−348410
号、同10−178126号、同11−348409
号、特開2000−27093、同2000−9483
0、同2000−158807、同2000−2112
41等に記載されている。
【0007】一方、画質や風合いに加え、耐久性や画像
保存性に対する要求もより高度になり、耐光性、耐湿
性、耐水性なども銀塩写真レベルに到達させる試みが数
多くなされている。耐光性向上の例としては、特開昭5
7−74192号、同57−87989号、同57−7
4193号、同58−152072号、同64−364
79号、特開平1−95091号、同1−115677
号、同3−13376号、同4−7189号、同7−1
95824号、同8−25796号、同11−3210
90号、同11−277893号、特開2000−37
951他多数の技術が開示されている。
【0008】空隙型記録用紙の場合は、耐光性だけでな
く、その空隙構造に起因して有害ガスによる変褪色を起
こしやすい問題がある。特に、一般のカラーインクジェ
ットプリンタに採用されているフタロシアニン系水性染
料で起こりやすい。
【0009】この変褪色のメカニズムは未だ明確にはな
っていないが、微細空隙構造は高表面積を有し、かつ用
いられている無機微粒子が活性な表面を有しているた
め、オゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中
の極微量の活性な有害ガスが染料を分解していると推察
している。
【0010】変褪色の現象を改善する技術については、
例えば、特開昭63−252780号、同64−118
77号、特開平1−108083号、同1−21688
1号、同1−218882号、同1−258980号、
同2−188287号、同7−237348号、同7−
266689号、同8−164664号等に記載されて
いるが、空隙構造がより微細になる写真画質様の記録用
紙では、より劣化しやすい特性にあるため、従来の改良
技術では改良の効果が不十分であり、より抜本的な改善
が望まれている。
【0011】上記の問題の対策方法の1つとしては、膨
潤型記録用紙を用いることにより改良はされるが、反面
本質的な問題であるインク吸収速度の遅さを改善するこ
とが非常に困難である。
【0012】顔料インクを用いたインクジェット記録方
法により、ある程度の変褪色問題は解決しうるが、記録
用紙上のギラツキ(ブロンジング)などの特性は、品質
上十分な画質を与えるレベルに至っていないのが現状で
ある。また、他の方法として、プリントにラミネート処
理を施したり、フレームに入れるなどのガス遮断方法、
又は特開昭53−27426号、同59−222381
号、同62−271781号、特開平11−15720
7号、同11−245507号、特開2000−716
08に開示されているような、熱可塑性微粒子を表面に
含有する記録用紙をプリント後、加熱又は加圧処理して
ガス遮断層を発現させる方法などは非常に効果的ではあ
るが、何れも後処理が必要となり、余分な工程が負荷と
なっている。特に、幅が60cm以上になる大判インク
ジェット記録においては、ラミネート処理やヒートロー
ル処理が煩わしいのみならず、専用の機器も大型化し、
高額であり、広く一般に普及しているとは言い難い。
【0013】また、特開昭63−60784号では、有
機微粒子と無機微粒子を持つ空隙層を有するインクジェ
ット記録用紙について開示している。しかし、この有機
微粒子は特殊な溶媒にのみ溶解し、一般的なインクジェ
ットプリンタ用インクで用いられている有機溶媒に対し
ては溶解しないため、通常のインクジェット記録には用
いることができないのが現状である。
【0014】本発明者らは先に、特定の有機微粒子を記
録用紙の塗設層に含有させることが、変褪色防止に非常
に有効であることを見いだした。特に、この有機微粒子
を表層に高濃度で含有させることが効果的である。
【0015】しかしながら、引き続き検討を進めた結
果、上記の構成とした場合には、インク吸収速度を低下
させる傾向にあり、その結果、画像上にまだら(ビーデ
ィング)を生じやすくなる。今後、更にプリント速度の
向上が予測される状況においては、早急な改良方法の開
発が望まれる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みてなされたものであり、その目的は、インク吸収性
に優れ、有害ガスによる画像劣化(変褪色)の少ないイ
ンクジェット記録用紙を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0018】1.支持体上に、下記で定義する有機微粒
子A又は有機微粒子Bを含有する表層と、1層以上の多
孔質層とを有するインクジェット記録用紙であり、該表
層及び該多孔質層の少なくとも1層が、アニオン性、非
イオン性又は両性の界面活性剤を含有することを特徴と
するインクジェット記録用紙。
【0019】有機微粒子A:SP値が18.414〜3
0.69(MPa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の
水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機
微粒子で、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、か
つ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。
【0020】有機微粒子B:前記一般式(1)で表され
る繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有す
るポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以
上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。
【0021】2.前記アニオン性、非イオン性又は両性
の界面活性剤が、各々フッ素系界面活性剤であることを
特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0022】本発明者は、特定の有機微粒子を有する表
層を設けたインクジェット記録用紙のインク吸収性の劣
化要因について、鋭意解析を行った結果、インク吸収性
の低下が、主に、インクジェット記録用紙にカチオン活
性剤を用いた場合に顕著に現れることを突き止めた。特
に、インク吸収性が低下することにより、記録用紙表面
で印字したインク液滴同士が凝集、合体を起こし、ビー
ディングと呼ばれている画像ムラ(まだらムラ)を引き
起こす結果となる。
【0023】上述の様な表層に有機微粒子を用いたイン
クジェット記録用紙において、カチオン性界面活性剤を
用いた場合のインク吸収速度の低下メカニズムは、現時
点では未だ明確にはなっていないが、以下のように推定
している。すなわち、インク中での染料粒子表面の電荷
は、一般にはアニオン性を有しており、カチオン性界面
活性剤が存在することにより、一時的に、染料粒子とカ
チオン性界面活性剤とによるコンプレックスを形成す
る。このコンプレックスが、記録媒体のインク空隙部を
塞ぐため、インクの浸透する流路を妨げる結果、インク
吸収速度が低下すると推測している。また、インク中に
コンプレックスが形成されることによりインクの粘度が
増大し、浸透速度を低下させる要因となっているとも考
えている。
【0024】本発明者は、上記課題を踏まえて鋭意検討
を行った結果、支持体上に、特定の有機微粒子を含有す
る表層と、1層以上の多孔質層とを有するインクジェッ
ト記録用紙とし、該表層及び該多孔質層の少なくとも1
層に、アニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を
含有することにより、達成できることを見いだしたもの
であり、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤を含有
することで、界面活性剤を全く含有しない場合に比べ、
ビーディングが発生しにくくなることが判明した。更
に、カチオン性界面活性剤を少量含有する場合において
も、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤を含有する
ことによってビーディングの発生が抑制されることも判
明し、本発明に至った次第である。
【0025】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明においては、支持体上に、前記で定義される有機微
粒子A又は有機微粒子Bを含有する表層と、1層以上の
多孔質層とを有するインクジェット記録用紙であり、該
表層及び該多孔質層の少なくとも1層が、アニオン性、
非イオン性又は両性の界面活性剤を含有することが特徴
である。
【0026】インク吸収層の上部に設ける表面は、空隙
層であり、実質的に、後述する各有機微粒子を含有する
層であり、例えば、その他の層に少量の有機微粒子が含
有されていても、本発明に係る空隙層に有機微粒子が含
有されたことによる効果を得ることは困難である。
【0027】はじめに、本発明に係る有機微粒子A及び
有機微粒子Bについて、その詳細を説明する。
【0028】本発明に係る有機微粒子Aとは、SP値が
18.414〜30.69(MPa)1/2で、かつ沸点
が120℃以上の水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤す
る水に不溶の有機微粒子で、ガラス転移温度(Tg)が
70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機
微粒子と定義する。
【0029】本発明でいうSP(Solubility
Parameter)値とは、溶解度パラメーターの
ことであり、物質の溶解性を予測するための一つの有用
な尺度である。SP値の単位は(MPa)1/2で表さ
れ、25℃における値を指す。
【0030】有機溶媒のSP値に関しては、例えば、
「POLYMER HANDBOOK」(J.Bran
drup他、 A Wiley−interscien
cePublication)のIV−337頁に記載さ
れている他、各種の文献などに掲載されている。
【0031】本発明で用いることのできる水溶性有機溶
媒(括弧内に、代表的なSP値を示す)の例としては、
アルコール類(例えば、ブタノール(23.3)、イソ
ブタノール(21.5)、セカンダリーブタノール(2
2.1)、ターシャリーブタノール(21.7)、ペン
タノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール(23.
3)、ベンジルアルコール(24.8)等)、多価アル
コール類(例えば、エチレングリコール(29.9)、
ジエチレングリコール(24.8)、トリエチレングリ
コール(21.9)、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコール(25.8)、ジプロピレングリコール
(20.5)、ポリプロピレングリコール、ブチレング
リコール、ヘキサンジオール(21.1)、ペンタンジ
オール、グリセリン(33.8)、ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール等)、多価アルコールのアルキル
エーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル(23.3)、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル(21.5)、エチレングリコールモノブチルエ
ーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(17.
6)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(2
3.3)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
エチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、
トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチ
レングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコ
ールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ
メチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチル
エーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テト
ラエチレングリコールジエチルエーテル等)、アミン類
(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、
N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチ
ルモルホリン、エチレンジアミン(25.2)、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチ
レンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジ
エチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン
等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル
−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オ
キサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシ
ド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げ
られる。
【0032】本発明において、特に好ましい水溶性有機
溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコールのア
ルキルエーテル類、複素環類であり、これらから2〜3
種選ばれるのが好ましい。
【0033】本発明に係るSP値が18.414〜3
0.69の範囲の水溶性有機溶媒としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエタノー
ルアミン、2−ピロリドン等が好ましく用いられるが、
特に好ましく用いられるのは、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル(SP値19.437、沸点230
℃)である。
【0034】本発明に係る水溶性有機溶媒は、沸点が1
20℃以上のものが選ばれる。沸点の上限は特に限定さ
れないが、融点が30℃以下のものが好ましい。
【0035】本発明に係る有機微粒子Aは、SP値が1
8.414〜30.69(MPa) 1/2で、かつ沸点が
120℃以上の上記水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤
する水に不溶の有機微粒子であり、かつガラス転移温度
(Tg)が70℃以上で、平均粒子径が100nm以下
であることが特徴であり、重量平均分子量としては50
00以上の高分子が好ましく、その材質としては、例え
ば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリ
レート、ポリメタクリレート、エラストマー、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共
重合体、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニ
ルアセタール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフ
ィン、SBR、NBR、ポリテトラフルオロエチレン、
クロロプレン、タンパク質、多糖類、ロジンエステル、
セラック樹脂等、従来公知のものから選ばれる。特に好
ましい有機微粒子Aの材質は、ポリビニルアセタール系
樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、
(メタ)アクリレート系樹脂、SBR等であり、変成や
共重合によって2種以上の単量体からなる樹脂も好まし
く用いられ、樹脂に対して特定の修飾基を付加したもの
や脱離基を除いたものでもよく、2種以上の材質を混合
して有機微粒子を形成してもよく、更には2種類以上の
有機微粒子を混合して用いてもよい。
【0036】本発明でいう「有機溶媒により溶解する」
とは、有機微粒子Aとインク中の水溶性有機溶媒が平衡
状態で単一の相をなすことを指し、「有機溶媒により膨
潤する」とは有機微粒子Aが同水溶性有機溶媒を吸収し
て体積を増加させることを言う。膨潤したときの好まし
い体積増加率は2〜8倍である。
【0037】本発明に係る有機微粒子Aは、インクジェ
ット記録中で溶解しないために、水に不溶でなければな
らない。ただし、インク吸収速度を妨げない範囲で水を
吸収することは許される。有機微粒子Aの質量に対し2
0質量%までの水の吸収をしてもよい。また、本発明に
係る有機微粒子Aは、顔料インクによるプリント後、該
有機微粒子A含有層が軟化する程度の量含まれれば足り
るが、好ましくは層中の固形分に対し質量比で50%以
上であり、より好ましくは75%以上である。
【0038】また、本発明に係る有機微粒子Aには、水
溶性有機溶媒に対する溶解や膨潤に支障のない範囲で架
橋剤を使用してもよい。本発明において、架橋剤として
は有機物・無機物を問わず、従来公知の架橋剤を適宜選
択して用いることができる。
【0039】本発明に係る有機微粒子Aの平均粒子径
は、記録用紙の表面光沢に大きく影響する。本発明にお
いては、100nm以下であることが1つの特徴ではあ
るが、好ましい平均粒子径は1〜100nmであり、よ
り好ましくは5〜100nmである。有機微粒子Aの平
均粒子径が5〜100nmであると、プリント部と非プ
リント部の光沢度差を小さくするという本発明の効果に
大きく寄与することができる。平均粒子径の測定法とし
ては、例えば、有機微粒子含有層の断面や表面を電子顕
微鏡で観察し、多数個の任意の有機微粒子Aの粒径を求
め、その単純平均値(個数平均)として求める方法があ
る。なお、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮
定した時の直径で表したものである。又は別の方法とし
ては、有機微粒子Aを適当な分散媒に分散させ、レーザ
回折散乱式粒度分布測定によって粒径を求めることもで
きる。本発明に係る有機微粒子Aの形状は、真球形であ
る必要はなく、針状でも板状でもよい。粒径は、体積か
ら球換算で求められる。
【0040】次いで、本発明に係る有機微粒子Bについ
て説明する。本発明でいう有機微粒子Bとは、前記一般
式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5
質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度
(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm
以下の有機微粒子と定義する。
【0041】前記一般式(1)で表される繰り返し単位
の詳細について、以下説明する。本発明の目的効果を好
ましく発現せしめる観点から、有機微粒子Bとして、前
記一般式(1)で表される繰り返し単位は親水性を有す
ることが好ましく、具体的には、下記に示すアクリル系
単量体、アクリルアミド系単量体及び/またはメタクリ
ルアミド系単量体等の親水性単量体を重合させて得るこ
とができるが、本発明ではこれらに限定されない。
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】前記一般式(1)で表される繰り返し単位
に親水性を付与しているのは、前記一般式(1)を形成
する、X、J及び置換基Y等の各々の部分構造である
が、本発明においては、置換基Yにより親水性が付与さ
れることが好ましい。
【0046】また、前記一般式(1)で表される繰り返
し単位に親水性を付与する為に用いられる置換基として
は、『薬物の構造活性相関(ドラッグデザインと作用機
作への指針)』(化学の領域増刊122号)構造活性相
関懇話会編、南江堂(1980)、p96〜103に記
載のような、疎水性パラメータ(π)が負の置換基等を
用いることができる。
【0047】本発明に係る有機微粒子Bは、前記一般式
(1)で表されるような特定の繰り返し単位を共重合成
分として5質量%以上もつことが必要であるが、10質
量%以上含有することが好ましい。
【0048】また、有機微粒子B自体としては、親水性
ではあっても水溶性ではないことが好ましいので、10
〜50質量%未満の範囲の含有率に調整されることが好
ましい。
【0049】以下、本発明に係る有微微粒子Bの構成成
分として用いられる、前記一般式(1)で表される繰り
返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリ
マーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されな
い。
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】一方、有機微粒子Bを構成するポリマーの
他の単量体成分としては、エチレン性不飽和基を有する
従来公知の任意のものが選ばれる。これらは、単一の種
類であっても、複数種類であっても良い。このような単
量体の例としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸の
アルキルエステルまたはアルキルアミド等であり、メチ
ルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアク
リレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、nーブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレ
ート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレ
ート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレ
ート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレー
ト、スチレン、ビニルトルエン、α―メチルスチレン、
酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
または、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコ
ン酸、マレイン酸、または、ジメチルアミノメチルアク
リレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジブチ
ルアミノメチルアクリレート、ジヘキシルアミノメチル
アクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジ
エチルアミノエチルアクリレート、(t−ブチル)アミ
ノエチルアクリレート、ジイソヘキシルアミノエチルア
クリレート、ジヘキシルアミノプロピルアクリレート、
ジ(t−ブチル)アミノヘキシルアクリレート等が挙げ
られる。これらのうち好ましく用いられるのは、スチレ
ン、メチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレート
である。
【0053】通常、インクジェット記録用紙は、室温下
で使用されるが、使用前の保存状態は必ずしも室温とは
限らず、特に、夏場の密閉された車中では非常に高温状
態となるため、そのような環境を経た後でも支障なく使
用できることが望まれる。このため、有機微粒子Bのガ
ラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが必要で
あるが、好ましくは、80℃以上であり、更に好ましく
は、90℃〜120℃である。
【0054】前述の有機微粒子A及び有機微粒子Bのガ
ラス転位温度(Tg)が70℃未満の場合には、加熱に
よる有機微粒子の融着を生じやすくなり、その結果とし
て、記録用紙表面の空隙が縮小または減少し、インク吸
収速度の低減が起こりやすくなる。
【0055】ここで、本発明に係る有機微粒子の構成成
分であるポリマーのTgは、共重合成分としての単量体
単独重合体のTgおよび単量体組成比から質量分率によ
って計算で求めることが可能である。例えば、スチレン
(単独重合体Tg=100℃=373K):n−ブチル
アクリレート(単独重合体Tg=−54℃=219K)
が4:1(質量比)の組成からなるポリマーのTgとし
ては、1/((1/373K)×4/5+(1/219
K)×1/5)=327K(=54℃)と求められる。
単量体単独重合体のTgについては、POLYMER
HANDBOOK (A WILEY−INTERSC
IENCE PUBLICATION)に多数の測定値
が掲載されている。
【0056】また、有機微粒子Bの平均粒子径は100
nm以下であることが必要であるが、好ましくは60n
m以下であり、更に好ましくは、20〜40nmであ
り、本発明に係る有機微粒子Bは、従来公知の乳化重合
法等により水中で合成されることが好ましい。その粒子
径は、乳化剤の種類や量、単量体成分を調節するなど従
来公知の手法により上述の20nm程度から100nm
程度までの範囲になるように調節することが可能であ
る。
【0057】本発明の効果を顕著に奏するために、イン
ク吸収層の表面に配置する表層として、有機微粒子A又
はBの含有率は50〜90質量%であることが好ましい
が、該表層中での有機微粒子同士の融着を効果的に防止
し、インク吸収速度を更に高める観点から、後述するイ
ンク吸収層で用いるのと同様の無機微粒子を含有しても
良い。
【0058】本発明のインクジェット記録用紙は、前記
有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有する表層を有して
いることが特徴であるが、本発明でいう表層とは、最表
面層に限定されることはなく、本発明の効果が発現する
構成であれば、特に限定されるものではない。
【0059】本発明でいう表層を明示するための好まし
い構成例を以下に列挙するが、本発明に係る層構成は、
これらにのみ限定されるものではない。
【0060】1:支持体上に空隙型インク吸収層を有
し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれて
いる層が最表層である構成 2:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有
機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、
更にその上に、表面物性の改良を目的とした薄層を設け
た構成 3:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有
機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、
更にその上に、有害光をカットする目的で、紫外線吸収
機能を有する薄層を設けた構成 4:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有
機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、
更にその上に、マット剤を含む層を設けた構成 5:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有
機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、
更にその上に、剥離可能な層を設けた構成。
【0061】上記に記載の構成例の内で最も好ましい構
成は、本発明の効果を最も発揮できる1項に係る有機微
粒子A又は有機微粒子Bの含有層が最表層である場合で
ある。
【0062】本発明に係る有機微粒子A又は有機微粒子
Bを含む表層には、無機微粒子、バインダー成分等を含
んでも良い。
【0063】次に、多孔質層(インク吸収層ともいう)
について説明する。本発明のインクジェット記録用紙に
おいては、一層以上の多孔質層、いわゆるインク吸収層
を有している。
【0064】一般に、インク吸収層としては、大きく別
けて膨潤型と空隙型がある。膨潤型としては、水溶性バ
インダーを用い、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド
等を単独もしくは併用して塗布し、これをインク吸収層
としたものである。
【0065】空隙型としては、微粒子及び水溶性バイン
ダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるもの
が好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカ
が好ましく、特に粒径0.1μm以下のシリカを用いた
ものが好ましい。水溶性バインダーとしては、ゼラチ
ン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが
好ましい。
【0066】上記の2タイプの内、連続高速プリントに
適応するには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適
しており、この点から、本発明においては、空隙型を特
に好ましく用いることができる。
【0067】以下、空隙型インク吸収層について、更に
詳しく説明する。空隙層は、主に親水性バインダーと無
機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来よ
り、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、
例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を
支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互い
に相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および
親水性または疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に
塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは
適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶
解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性
質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程
でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方
法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗
布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に
空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね
等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油
滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗
布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られ
ている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が10
0nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによ
って形成されることが、特に好ましい。
【0068】上記の目的で使用される無機微粒子として
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサ
イト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウ
ム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダル
シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイ
ト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができ
る。
【0069】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあ
るいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で
観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、そ
の単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個
々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した
ときの直径で表したものである。
【0070】無機微粒子としては、シリカ、及びアルミ
ナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用い
ることが好ましい。
【0071】本発明で用いることのできるシリカとして
は、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリ
カ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いら
れるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子
シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成
された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合
成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけで
なく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポ
リマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくい
ので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物
は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定
形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使
用することができる。
【0072】無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合
する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態で
あるのが好ましい。
【0073】無機微粒子は、その粒径が100nm以下
であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリ
カの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一
次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、
100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜
50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0074】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均
粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリ
カとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジル
が市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中
に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットスト
リームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分
散することで、比較的容易に一次粒子まで分散すること
ができる。
【0075】本発明においては、インク吸収層に水溶性
バインダーを用いることができる。本発明で用いること
のできる水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニ
ルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポ
リビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルア
ミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カ
ラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶
性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これ
らの水溶性バインダーは、二種以上併用することも可能
である。
【0076】本発明で好ましく用いられる水溶性バイン
ダーは、ポリビニルアルコールである。
【0077】本発明で好ましく用いられるポリビニルア
ルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる
通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変
性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するア
ニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルア
ルコールも含まれる。
【0078】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビ
ニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のもの
が好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜
5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化
度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.
5%のものが特に好ましい。
【0079】カチオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開昭61−10483号に記載されてい
るような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基
を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有す
るポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有する
エチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケ
ン化することにより得られる。
【0080】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルア
ミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)ア
ンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−
ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0081】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%であ
る。
【0082】アニオン変性ポリビニルアルコールは、例
えば、特開平1−206088号に記載されているよう
なアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭
61−237681号および同63−307979号に
記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を
有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285
265号に記載されているような水溶性基を有する変性
ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0083】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号に記載されて
いるようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコ
ールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特
開平8−25795号に記載されている疎水性基を有す
るビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合
体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や
変性の種類違いなど二種類以上を併用することもでき
る。
【0084】インク吸収層で用いられる無機微粒子の添
加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、
無機顔料の種類、水溶性バインダーの種類に大きく依存
するが、一般には、記録用紙1m2当たり、通常5〜3
0g、好ましくは10〜25gである。
【0085】また、インク吸収層に用いられる無機微粒
子と水溶性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜
20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが
好ましい。
【0086】また、分子内に第四級アンモニウム塩基を
有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、
インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10
g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0087】空隙層において、空隙の総量(空隙容量)
は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好まし
い。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のイ
ンク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるも
のの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収され
ず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの
問題が生じやすい。
【0088】インク保持能を有する空隙層において、固
形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明にお
いて、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚
を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好まし
い。
【0089】空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を
用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン
樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/
又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、
更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗
工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場
合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネー
ト鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する
粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョ
ンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウ
レタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボ
ネートポリオール及びポリエステルポリオールを有する
ポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応さ
せて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸
基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及
び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビ
ニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリ
ウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニ
オンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸
収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定
される。
【0090】本発明においては、硬化剤を使用すること
が好ましい。硬化剤は、インクジェット記録媒体作製の
任意の時期に添加することができ、例えば、インク吸収
層形成用の塗布液中に添加しても良い。
【0091】本発明においては、インク吸収層形成後
に、水溶性バインダーの硬化剤を供給する方法を単独で
用いても良いが、好ましくは、上述の硬化剤をインク吸
収層形成用の塗布液中に添加する方法と併用して用いる
ことである。
【0092】本発明で用いることのできる硬化剤として
は、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば
特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、そ
の他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バイ
ンダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バ
インダーが有する異なる基同士の反応を促進するような
化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選
択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、
エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタン
ジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジル
シクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジ
ルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデ
ヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール
等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−
ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性
ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘ
キサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメ
チルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0093】ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心
原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的に
は、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、
五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられ
る。
【0094】硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸
およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を
混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホ
ウ砂の混合水溶液である。
【0095】ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較
的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混
合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を
濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを
比較的自由にコントロールすることが出来る利点があ
る。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1
g当たり1〜600mgが好ましい。
【0096】本発明のインクジェット記録用紙のインク
吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上
述した以外の各種添加剤を使用することができる。例え
ば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメ
タクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラ
ミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、特開昭57−74
193号、同57−87988号及び同62−2614
76号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192
号、同57−87989号、同60−72785号、同
61−146591号、特開平1−95091号及び同
3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開
昭59−42993号、同59−52689号、同62
−280069号、同61−242871号及び特開平
4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫
酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、
増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を
含有させることもできる。
【0097】インク吸収層は、2層以上から構成されて
いてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成は
お互いに同じであっても異なっていても良い。
【0098】また、本発明においては、インクジェット
記録用紙を構成する上記説明した表層及び多孔質層の少
なくとも1層が、アニオン性、非イオン性又は両性の界
面活性剤を含有することが特徴であり、さらには上記ア
ニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤が、各々フ
ッ素系界面活性剤であることが好ましい。
【0099】本発明で用いることのできるアニオン性界
面活性剤、非イオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性
剤ともいう)及び両性界面活性剤(ベタイン型界面活性
剤ともいう)としては、特に制限はなく、公知の各界面
活性剤を用いることができ、アニオン界面活性剤として
は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル
ナフタレンスルホン酸塩、アルカン又はオレフィンスル
ホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレ
ンアルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル
塩、アルキルリン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸塩、エーテルカルボキシレート、アルキルス
ルホコハク酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸エステル又
は脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤及
び高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等を用
いることができる。
【0100】好ましく用いられるアニオン界面活性剤
は、アルキルベンゼンスルホン酸塩(とりわけ直鎖アル
キル基誘導体)、アルカン又はオレフィンスルホン酸塩
(とりわけ第2級アルカンスルホン酸塩、α−オレフィ
ンスルホン酸塩)、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキ
シエチレンアルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸
エステル塩(とりわけポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸エステル塩)、アルキルリン酸塩(とりわけモ
ノアルキル基誘導体)、エーテルカルボキシレート、ア
ルキルスルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル又
は脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤で
あり、特に好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩
(とりわけ直鎖アルキル基誘導体)、ポリオキシエチレ
ンアルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル
塩(とりわけポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
エステル塩)及びアルキル硫酸エステル塩である。これ
らは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0101】ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル又はア
ルキル(ポリ)グリコキシドから選ばれる少なくとも1
種の界面活性剤等を用いることができる。好ましく用い
られるノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリール
エーテルから選ばれる少なくとも1種の界面活性剤であ
る。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0102】両性界面活性剤としては、アミノ酸型化合
物、ベタイン型化合物等を用いることができる。両性界
面活性剤としては、1分子中にカチオン部およびアニオ
ン部を有する界面活性剤であればいずれでもよい。カチ
オン部には、4級アルキルアンモニウムイオン(又は
塩)を有する界面活性剤が好ましく用いられる。また、
アニオン部には、カルボン酸イオン(又は塩)を有する
界面活性剤が好ましく用いられる。更に好ましくは、4
級アルキルアンモニウムイオンを有し、かつカチオン部
にカルボン酸イオン(又は塩)を有する界面活性剤であ
る。最も好ましいものとしては、4級アルキルアンモニ
ウムイオンを有し、かつカチオン部にカルボン酸イオン
(又は塩)を有しかつ、アルキル鎖中にカルボン酸アミ
ド連結部を有する界面活性剤である。
【0103】本発明においては、アニオン性、非イオン
性及び両性界面活性剤が、各々フッ素界面活性剤である
ことが好ましい。フッ素系界面活性剤とは、フッ化アル
キル基を含有する界面活性剤である。
【0104】本発明に好ましく用いられるアニオン性フ
ッ素系界面活性剤としては、下記一般式(FA)で示さ
れるものが挙げられる。
【0105】一般式(FA) (Cf)−(Y)n 式中、Cfは少なくとも3個のフッ素原子と少なくとも
2個の炭素原子を含むn価の基で表し、Yは−COO
M、−SO3M、−OSO3M又は−P(=O)(OM)
2を表す。Mは水素原子又はアルカリ金属もしくは第4
級アンモニウム塩の如きカチオンを表し、nは1又は2
である。
【0106】更に好ましく用いられるアニオン性フッ素
系界面活性剤としては、下記一般式(FA′)で示され
るものである。
【0107】一般式(FA′) Rf−(D)t−Y 式中、Rfは炭素原子数3〜30のフッ素置換アルキル
基又はアリール基を表し、Dは−O−、−COO−、−
CON(R1)−又は−SO2N(R1)−なる結合を少
なくとも一つ含む炭素原子数1〜12の2価の基を表
す。R1は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、tは
1又は2であり、Yは−COOM−、−SO3M、−O
SO3M又は−P(=O)(OM)2を表し、Mは水素原
子又はアルカリ金属もしくは第4級アンモニウム塩の如
きカチオンを表す。
【0108】特に好ましくは、−SO2N(R1)−なる
結合を少なくとも一つ含むアニオン性フッ素系界面活性
剤を使用することである。
【0109】本発明においてアニオン性フッ素系界面活
性剤は、例えば、米国特許2,559,751号、同
2,567,011号、同2,732,398号、同
2,764,602号、同2,806,866号、同
2,809,998号、同2,915,376号、同
2,915,528号、同2,918,501号、同
2,934,450号、同2,937,098号、同
2,957,031号、同3,472,894号、同
3,555,089号、英国特許1,143,927
号、同1,130,822号、特公昭45−37304
号、特開昭47−9613号、同49−134614
号、同50−117705号、同50−117727
号、同50−121243号、同52−41182号、
同51−12392号の、英国化学会誌(J.Che
m.Soc.)1950年2789頁、同1957年2
574頁及び2640頁、米国化学会誌(J.Ame
r.Chem.Soc.)79巻2549頁(1957
年)、油化学(J.Japan Oil Chemis
ts Soc.)12巻653頁、有機化学会誌(J.
Org.Chem.)30巻3524頁(1965年)
等に記載された方法によって合成することができる。
【0110】これらのフッ素系界面活性剤のうち、ある
種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック
(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサー
フロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マ
イニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニ
ー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品
名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社から
モンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・
アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社から
ゾニルス(Zonyls)なる商品名で、又、ファルベ
ベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)
VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
【0111】また、非イオン型フッ素系界面活性剤及び
ベタイン型フッ素系界面活性剤についても、公知の各界
面活性剤を適宜選択して用いることができ、非イオン性
フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社
製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロン
S−141、同145等を挙げることができ、また、両
性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製の
サーフロンS−131、同132等を挙げることができ
るが、本発明においては、特に好ましくは、ベタイン型
のフッ素系界面活性剤である。
【0112】これら各フッ素系界面活性剤の使用量は1
2当たり0.1〜1000mgがよく、好ましくは
0.5〜300mg、更に好ましくは1.0〜150m
gがよい。併用する時に、2種以上ずつ併用しても構わ
ない。その他に、アニオン性フッ素系界面活性剤、非イ
オン性フッ素系界面活性剤、ベタイン型フッ素系界面活
性剤をそれぞれ併用してもよい。
【0113】上記説明した各界面活性剤のインクジェッ
ト記録媒体への付与方法としては、例えば、多孔質層を
形成する前の塗工液に界面活性剤をあらかじめ添加する
方法、塗工液を支持体に塗布した後、乾燥する前に塗工
面に界面活性剤溶液を付与する方法、塗布乾燥した後の
多孔質層に界面活性剤溶液を含浸、あるいはスプレー等
で付与させた後乾燥させる方法などが挙げられ、適宜い
ずれかの方法を選択して用いることができる。
【0114】本発明で用いることのできる支持体として
は、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを
適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水
性支持体であることが好ましい。すなわち、吸水性支持
体の場合よりも非吸水性支持体の場合の方が、記録用紙
中に顔料インク中の水溶性有機溶媒が多量に残留し、有
機微粒子溶解等に対し効果的に作用するため、本発明の
効果を顕著に奏することができると推定している。尚、
正確には、「顔料インク中の水溶性有機溶媒を吸収しな
い支持体」を使用するのが好ましいのであるが、ここで
は非吸水性支持体を用いても、本発明の効果を顕著に奏
することができると考えている。
【0115】本発明で用いることのできる吸水性支持体
としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシー
トや板等を挙げることができるが、特に、紙は基材自身
の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ま
しい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学
パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、C
MP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等
の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。
又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の
各種繊維状物質も原料として適宜使用することができ
る。
【0116】上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ
剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙
力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加す
ることができる。
【0117】紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維
状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙
機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造するこ
とができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にス
ターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理し
たり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりす
ることもできる。
【0118】本発明で好ましく用いることのできる非吸
水性支持体には、透明支持体及び不透明支持体がある。
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジ
アセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系
樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹
脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料
を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッド
プロジェクター(OHP)用として使用されたときの輻
射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレ
フタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の
厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
【0119】また、不透明支持体としては、例えば、基
紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフ
ィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペ
ーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム
等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが
好ましい。
【0120】前記各種支持体とインク吸収層の接着強度
を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立っ
て、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが
好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必
ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートで
あってもよい。
【0121】本発明のインクジェット記録用紙では、原
紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持
体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも
低コストで高品質の画像が得られるために特に好まし
い。
【0122】そのようなポリエチレンでラミネートした
紙支持体について以下に説明する。紙支持体に用いられ
る原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材
パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いは
ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙さ
れる。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NB
KP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKP
の何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBK
P、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用
いることが好ましい。ただし、LBSP又はLDPの比
率は10〜70質量%が好ましい。
【0123】上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ
(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いら
れ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも
有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテン
ダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化
チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白
剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加する
ことができる。
【0124】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSF
の規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の
繊維長は、JIS−P−8207に規定される24メッ
シュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が
30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%
は20質量%以下であることが好ましい。
【0125】原紙の坪量は30〜250gが好ましく、
特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜2
50μmが好ましい。
【0126】原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処
理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.
7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的
である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定
される条件で20〜200gが好ましい。また、原紙表
面には表面サイズ剤を塗布しても良い。
【0127】原紙のpHは、JIS−P−8113で規
定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であ
ることが好ましい。
【0128】原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレン
は、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/
又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のL
LDPEやポリプロピレン等も一部使用することができ
る。
【0129】特に、インク吸収層側のポリエチレン層
は、写真用印画紙で広く行われているようにルチル又は
アナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、
不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チ
タン含有量はポリエチレンに対して通常3〜20質量
%、好ましくは4〜13質量%である。
【0130】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用い
ることも、またポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出
してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って
通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を
形成したものも本発明で使用できる。上記ポリエチレン
被覆紙においては紙中の含水率を3〜10質量%に保持
するのが特に好ましい。
【0131】本発明の記録用紙の空隙層及び下引き層な
ど必要に応じて適宜設けられる各種のインク吸収層を支
持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して
行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗
布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場
合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての
親水性バインダー層を1回の塗布で済ませる同時重層塗
布方法が好ましい。
【0132】塗布方式としては、例えば、ロールコーテ
ィング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコー
ティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方
法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホ
ッパーを使用するエクストルージョンコート法が好まし
く用いられる。
【0133】本発明のインクジェット記録用紙を用いた
画像記録においては、水性インクを用いる記録方法が好
ましい。
【0134】本発明でいう水性インクとは、下記の着色
剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体を意味
する。
【0135】本発明で用いることのできる着色剤として
は、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基
性染料、反応性染料、食品用色素等の水溶性染料又は水
分散性顔料を使用することができる。中でも、特に好ま
しい着色剤は、フタロシアニン系の染料をシアン染料と
して用いたインクである。フタロシアニン系染料は、シ
アン系染料の中でも特に広く知られ、かつ用いられてい
るものである。
【0136】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性
の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、i−プロ
ピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコ
ール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトン
アルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のポリアルキレングリコール類;エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサント
リオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、
ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールア
ミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチル
エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)
エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル
等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げ
られる。
【0137】これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチ
レングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等
の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチ
ルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類
が好ましい。
【0138】その他の水性インクの添加剤としては、例
えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、
表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤などが
挙げられる。
【0139】水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性
を良好にするため、20℃において25〜60mN/
m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力
を有することが好ましい。
【0140】本発明で用いることのできるプリンター
は、市販されているプリンターのように、例えば、記録
媒体収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェ
ットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はな
いが、少なくともロール状の記録媒体収納部、搬送部、
インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に
応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成さ
れる一連のプリンターセットであることが好ましい。使
用するインクジェットプリントヘッドは、オンデマンド
方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐
出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シング
ルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー
型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォー
ル型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインク
ジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方
式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び
放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げ
ることができる。好ましくは電気−機械変換方式である
が、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0141】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0142】《インクジェット記録用紙の作製》以下に
示す手順に従って、インクジェット記録用紙1〜10を
作製した。
【0143】〔インクジェット記録用紙1の作製〕両面
をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚み230μm)
上に、液温45℃の下記塗布液1をワイヤーバーにて塗
布、乾燥した後、40℃、80%RHの恒温槽中に12
時間保存して、インクジェット記録用紙1を得た。乾燥
膜厚は35μmであった。なお、インクジェット記録用
紙1のシリカ微粒子の塗設量は15g/m2、カチオン
性ポリマー(P1)の塗設量は2.2g/m2、ポリビ
ニルアルコールの塗設量は2.3g/m2であった。
【0144】(塗布液1の調製)下記シリカ−カチオン
ポリマー分散液1を45℃に昇温し、ポリビニルアルコ
ール(クラレ製、PVA203)の10%水溶液及び他
のポリビニルアルコール(クラレ製、PVA245)の
6%水溶液をそれぞれ45℃に昇温した後に添加した。
最後に、一定の体積となるように45℃の純水を加えて
半透明状の塗布液1を得た。
【0145】〈シリカ−カチオンポリマー分散液1の調
製〉カチオン性ポリマー(P1)の15%水溶液100
gに、1次粒子の平均粒径が12nmの微粒子シリカ
(トクヤマ製、QS−20)の20%水分散液500
g、次いで硼酸3.0g、ホウ砂0.7gを添加し、高
速ホモジナイザーで分散し、青白色のシリカ−カチオン
ポリマー分散液1を得た。
【0146】
【化7】
【0147】〔インクジェット記録用紙2の作製〕上記
インクジェット記録用紙1上に、液温45℃の下記表層
塗布液1をワイヤーバーにて塗布、乾燥した後、40
℃、80%RHの恒温槽中に12時間保存して、インク
ジェット記録用紙2を得た。なお、インクジェット記録
用紙2の表層は、シリカ微粒子の塗設量は0.25g/
2、有機微粒子エマルジョン(L−I)の塗設量は
0.5g/m2であった。
【0148】(表層塗布液1の調製)前記シリカ−カチ
オンポリマー分散液1を45℃に昇温し、下記有機微粒
子エマルジョン(L−I)を45℃に昇温した後に添加
した。最後に、液全体の一定の体積となるように45℃
の純水を加えて表層塗布液1を得た。
【0149】〈有機微粒子エマルジョン(L−I)の調
製〉n−ブチルアクリレート:スチレン:2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート:t−ブチルメタクリレート=
10:50:20:20(質量比)のモノマーを用い、
公知の方法に従い乳化重合して、有機微粒子エマルジョ
ン(L−I)を調製した。上記調製に用いた界面活性剤
は、カチオン性界面活性剤であるステアリルトリメチル
アンモニウムクロライドで、総モノマー量に対して固形
分として3質量%添加した。以上のようにして調製した
有機微粒子エマルジョン(L−I)に含有される有機微
粒子の平均粒子径は、レーザー散乱法で測定したところ
50nmであり、また、前述の方法により各構成モノマ
ーのTgより計算で求めたガラス転移温度(Tg)は7
6℃であった。
【0150】〔インクジェット記録用紙3の作製〕上記
インクジェット記録用紙2の作製において、有機微粒子
エマルジョン(L−I)に代えて、下記有機微粒子エマ
ルジョン(L−II)を含む表層塗布液2を用いた以外は
同様にして、インクジェット記録用紙3を作製した。
【0151】〈有機微粒子エマルジョン(L−II)の調
製〉n−ブチルアクリレート:スチレン:2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート:t−ブチルメタクリレート=
10:50:20:20(質量比)のモノマーを用い、
公知の方法に従い乳化重合して、有機微粒子エマルジョ
ン(L−II)を調製した。上記調製に用いた界面活性剤
は、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンス
テアリルエーテル(花王社製 エマルゲン320P)
で、総モノマー量に対して固形分として5質量%添加し
た。以上のようにして調製した有機微粒子エマルジョン
(L−II)に含有される有機微粒子の平均粒子径は、レ
ーザー散乱法で測定したところ50nmであり、また、
前述の方法により各構成モノマーのTgより計算で求め
たガラス転移温度(Tg)は76℃であった。
【0152】〔インクジェット記録用紙4の作製〕前記
インクジェット記録用紙2の作製において、表層塗布液
1に界面活性剤S−1(ラウリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド 花王社製:コータミン24P カチオン
性界面活性剤)を、記録用紙1m2当たり25mgとな
るように添加した以外は同様にして、インクジェット記
録用紙4を作製した。
【0153】〔インクジェット記録用紙5の作製〕前記
インクジェット記録用紙4の作製において、界面活性剤
S−1に代えて、界面活性剤S−2(日信化学工業社製
サーフィノール465 非イオン性界面活性剤)を記
録用紙1m2当たり50mgとなるように添加した以外
は同様にして、インクジェット記録用紙5を作製した。
【0154】〔インクジェット記録用紙6の作製〕前記
インクジェット記録用紙3の作製において、表層塗布液
2に界面活性剤S−3(花王社製 レオドールSP−L
10 非イオン性界面活性剤)を、記録用紙1m2当た
り50mgとなるように添加した以外は同様にして、イ
ンクジェット記録用紙6を作製した。
【0155】〔インクジェット記録用紙7、8の作製〕
前記インクジェット記録用紙6の作製において、界面活
性剤S−3に代えて、界面活性剤S−4(C817SO2
NH(CH23+(CH32CH2SO3 - フッ素系両
性界面活性剤)、界面活性剤S−5(大日本インク社製
メガファックF−144D フッ素系非イオン性界面
活性剤)に変更し、記録用紙1m2当たり50mgとな
るように添加した以外は同様にして、インクジェット記
録用紙7、8を作製した。
【0156】〔インクジェット記録用紙9の作製〕前記
インクジェット記録用紙3の作製において、表層塗布液
2をワイヤーバーにて塗布、乾燥した後、ノズルスプレ
ー法により界面活性剤S−6(ジ(2−エチルヘキシ
ル)スルホ琥珀酸ナトリウム アニオン性界面活性剤)
水溶液を、記録用紙1m2当たり100mgとなるよう
に塗布、乾燥した以外は同様にして、インクジェット記
録用紙9を作製した。
【0157】〔インクジェット記録用紙10の作製〕前
記インクジェット記録用紙9の作製において、ノズルス
プレー法により界面活性剤S−6に代えて、界面活性剤
S−5(前述)水溶液を、記録用紙1m2当たり200
mgとなるように塗布、乾燥した以外は同様にして、イ
ンクジェット記録用紙10を作製した。
【0158】〔各有機微粒子の溶解性試験〕上記記録用
紙2〜10の作製に使用した各有機微粒子エマルジョン
を、ジエチレングリコールモノブチルエーテル〔SP値
19.437(MPa)1/2、沸点230℃〕と室温で
混合した結果、全て溶解した。
【0159】〔記録用紙の表面及び断面の電子顕微鏡観
察〕 (未処理記録材料の表面及び断面観察) (処理A後のインクジェット記録材料の表面及び断面観
察)記録用紙1〜10に下記処理Aを施した部分の電子
顕微鏡による表面・断面の観察を行ったところ、記録用
紙2〜10は、有機微粒子が溶解または膨潤することに
より互いに融着している状態が観察された。
【0160】〈処理A〉ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル〔SP値19.437(MPa)1/ 2、沸点
230℃〕の20%水溶液を、記録用紙1〜10の表面
に均一にスプレー塗布した。塗布量は20ml/m2
あった。次いで、この部分を23℃、55%RHの環境
下で1時間乾燥させた。
【0161】以上のようにして作製したインクジェット
記録用紙1〜10の詳細を表1に示す。
【0162】《インク液の調製》以下の組成からなるシ
アンインク液を作製した。
【0163】 水 68.5部 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12部 ジエチレングリコール 10部 グリセリン 8部 C.I.Direct Blue 86 1部 界面活性剤(信越化学製 サーフィノール465) 0.5部 《インクジェット画像印字及び評価》 (画像印字)上記インク液をインクジェットプリンタM
J−800C(セイコーエプソン(株)製)に搭載し、
記録用紙1〜10にシアンのベタ画像を印字した。イン
ク吐出量は12ml/m2であった。この画像を23℃
・55%RHの環境下で1時間乾燥させた。
【0164】(印字画像の評価)以上のようにして印字
した各画像について、ビーディング及び変褪色耐性の評
価を、下記の方法に準じて行った。
【0165】〈ビーディングの評価〉上記作成した各ベ
タ印字画像部を、観察距離を変化させながら印字ムラを
観察し、下記の基準に則りビーディングの評価を行っ
た。
【0166】 ◎:15cm以内の観察距離でも印字画像にまだら状ム
ラは観察されない ○:観察距離が30cmでは、印字画像のまだら状ムラ
は観察されない △:観察距離が60cmでは、印字画像のまだら状ムラ
は観察されない ×:観察距離が60cm以上でも、印字画像のまだら状
ムラが認められ、実用上問題がある 〈変褪色耐性の評価〉 上記作成した各ベタ印字画像部を、オフィス室内の窓際
に貼り、外気流が曝露されるが直射日光の当たらない環
境に6ヶ月放置した。放置前後のプリント部の反射濃度
を赤色の単色光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を
求めた。
【0167】濃度残存率=(6ヶ月放置後の濃度/放置
前の濃度)×100(%) 以上により得られた結果を表1に示す。
【0168】
【表1】
【0169】表1より明らかなように、インク吸収層の
上に表層を設け、表層に本発明で規定する有機微粒子A
又はBを含有させ、かつ少なくとも1層の構成層中にア
ニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を添加した
本発明の記録用紙は、比較例に対し、ビーディング(画
像のまだら状ムラ)が低減し、かつ空気酸化による画像
の変褪色耐性が向上していることが分かる。
【0170】
【発明の効果】本発明により、インク吸収性に優れ、有
害ガスによる画像劣化(変褪色)の少ないインクジェッ
ト記録用紙を提供することができた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、下記で定義する有機微粒子
    A又は有機微粒子Bを含有する表層と、1層以上の多孔
    質層とを有するインクジェット記録用紙であり、該表層
    及び該多孔質層の少なくとも1層が、アニオン性、非イ
    オン性又は両性の界面活性剤を含有することを特徴とす
    るインクジェット記録用紙。 有機微粒子A:SP値が18.414〜30.69(M
    Pa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の水溶性有機溶
    媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機微粒子で、ガ
    ラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径
    が100nm以下の有機微粒子。 有機微粒子B:下記一般式(1)で表される繰り返し単
    位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを
    有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平
    均粒子径が100nm以下の有機微粒子。 【化1】 〔式中、Xは−O−または−N(R2)−を表し、R1
    水素原子またはメチル基であり、R2は、水素原子また
    は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xが−O−の場
    合、Jは、炭素数2〜8を有する、エーテル構造または
    チオエーテル構造を有しても良いアルキレン基であり、
    Yは、ヒドロキシル基、アルコキシル基またはカルバモ
    イル基を表し、Xが−N(R2)−の場合、Jは、単結
    合または炭素数2〜8を有する、エーテル構造またはチ
    オエーテル構造を有してもよいアルキレン基であり、Y
    は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ
    ル基またはカルバモイル基を表わす。〕
  2. 【請求項2】 前記アニオン性、非イオン性又は両性の
    界面活性剤が、各々フッ素系界面活性剤であることを特
    徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
JP2002079854A 2002-03-22 2002-03-22 インクジェット記録用紙 Pending JP2003276304A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002079854A JP2003276304A (ja) 2002-03-22 2002-03-22 インクジェット記録用紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002079854A JP2003276304A (ja) 2002-03-22 2002-03-22 インクジェット記録用紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003276304A true JP2003276304A (ja) 2003-09-30

Family

ID=29206329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002079854A Pending JP2003276304A (ja) 2002-03-22 2002-03-22 インクジェット記録用紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003276304A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018066474A1 (ja) * 2016-10-06 2018-04-12 コニカミノルタ株式会社 記録媒体、記録物および画像形成方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018066474A1 (ja) * 2016-10-06 2018-04-12 コニカミノルタ株式会社 記録媒体、記録物および画像形成方法
JPWO2018066474A1 (ja) * 2016-10-06 2019-07-18 コニカミノルタ株式会社 記録媒体、記録物および画像形成方法
JP7028180B2 (ja) 2016-10-06 2022-03-02 コニカミノルタ株式会社 記録媒体および画像形成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1346842B1 (en) Ink-jet recording sheet
US6737128B2 (en) Ink-jet recording sheet, ink-jet recording method and preparing method of ink-jet sheet
EP1285774B1 (en) Ink-jet recording paper
JP2000263928A (ja) インクジェット記録用紙及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP2003276304A (ja) インクジェット記録用紙
JP2003335049A (ja) インクジェット記録用紙
JP2003326838A (ja) インクジェット記録用紙
JP4013603B2 (ja) インクジェット記録用紙
JP2004001412A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005262706A (ja) インクジェット記録用紙及びその製造方法
JP2003335046A (ja) インクジェット記録用紙
JP2003335045A (ja) インクジェット記録用紙
JP2003326839A (ja) インクジェット記録用紙
JP2003326837A (ja) インクジェット記録用紙及びその製造方法
JP2005238634A (ja) インクジェット記録用紙
JP2004122705A (ja) 空隙型インクジェット記録用紙の製造方法
JP2003326836A (ja) 記録媒体およびその製造方法
JP2005081801A (ja) インクジェット記録用紙
JP2001158165A (ja) インクジェット記録用紙
JP2003159872A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005246611A (ja) インクジェット記録用紙の製造方法
JP4517577B2 (ja) 記録方法
JP2005088485A (ja) インクジェット記録方法
JP2003335048A (ja) インクジェット記録用紙及びその製造方法
JP2003200649A (ja) 顔料インク用インクジェット記録用紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070130

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070605