JP4012711B2 - 単巻き2段スクロール形圧縮機 - Google Patents

単巻き2段スクロール形圧縮機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1本の連続した固定スクロールにおける固定ラップにより形成される渦巻き状溝の途中に画壁を設け、その外周部を低圧段部、同じく内周部を高圧段部として、2段圧縮を行わせるようにした単巻き2段スクロール形圧縮機に関する。
【従来の技術】
【0002】
図1〜図は、前項に記載した型式の単巻き2段スクロール形圧縮機の一例を示す。
【0003】
(1)は、固定スクロールで、外周部適所に吸入孔(2)を有し、かつ中心部に吐出孔(3)を有する固定スクロールハウジング(4)と一体をなす固定端板(5)の前面(図1における右方)に、渦巻状の固定ラップ(6)を立設し、かつ同じく後面に、等高の多数の冷却フィン(7)を、ほぼ等間隔をもって立設して形成されている。
【0004】
(8)は、固定スクロール(1)の前面に対向して配置されている旋回スクロールで、駆動軸ハウジング(9)内に設けた円形の旋回端板(10)の前面、すなわち固定スクロール(1)と対向する面に、渦巻状の旋回ラップ(11)を立設し、かつ同じく後面に、多数の等高の冷却フィン(12)を、ほぼ等間隔をもって立設して形成されている。
【0005】
旋回スクロール(8)の後側には、ベアリングプレート(13)が配置されている。
【0006】
ベアリングプレート(13)の後面、すなわち旋回スクロール(8)と反対側の面の中心部には、駆動軸(14)の偏心軸部(15)をベアリング(16)を介して枢支する筒状ボス(17)を突設してあり、同じく外周部適所には、例えば公知のクランクピン型式の自転防止機構(18)を組み込んで、駆動軸ハウジング(9)に対し旋回しうるように構成してある。
【0007】
固定スクロール(1)の後面(図1における左方)に押圧板(19)を当接して、適宜の締付けねじ(20)で締付け、かつ旋回スクロール(8)の後面にベアリングプレート(13)の前面を当接させて、両者を締付けねじ(21)等で締付けて一体化させることにより、この単巻き2段スクロール形圧縮機は組立てられている。
【0008】
この単巻き2段スクロール形圧縮機においては、固定スクロール(1)と旋回スクロール(8)の外周部、すなわち固定ラップ(6)の巻終り部である低圧段部と、両スクロール(1)(8)の内周部、すなわち固定ラップ(6)の巻始め部である高圧段部とは、明確に区分されている。
【0009】
すなわち、図2、図3に示すように、固定ラップ(6)の中間部に、加圧気体の流路を遮断するための画壁(22)を、固定端板(5)と一体的に設け、かつ画壁(22)の側面に固定ラップ(6)の巻終り部側に通じるとともに、固定端板(5)を軸線方向に貫通する低圧段部吐出口(23)と、固定ラップ(6)の巻始め側に通じるとともに、固定端板(5)を軸線方向に貫通する高圧段部吸込口(24)を設けてある。
【0010】
詳言すると、図2、図3に示すように、固定ラップ(6)の中間部要所に、そのラップ間の渦巻状溝の一部を閉塞するとともに、上部が固定端板(5)の外方へ突出するボス(30)を形成し、このボス(30)における固定ラップ(6)の巻き終り側と巻き始め側に、それぞれ、固定スクロール(1)の中心軸線と平行をなし、かつ側面が前記低圧段部と連通する低圧段部吐出口(23)と、側面が前記高圧段部と連通する高圧段部吸入口(24)を設けてある。
【0011】
低圧段部吐出口(23)は、管継ぎ手(25)と導管(26)を介して、中間冷却器(27)の入口側へ接続され、高圧段部吸入口(24)は、管継ぎ手(28)と導管(29)を介して、中間冷却器(27)の出口側に接続されている。
【0012】
これにより、低圧段部で加圧されて、やや高温となった気体は、中間冷却器(27)によりいったん冷却されてから、高圧段部へ送られることとなるので、加圧効率は向上するとともに、圧縮機の各部の温度上昇も抑止され、過熱に伴う種々の弊害は防止される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の単巻き2段スクロール形圧縮機においては、互いに並ぶ低圧段部吐出口(23)および高圧段部吸込口(24)に接続される導管(26)(29)のための管継ぎ手(25)(28)の着脱を容易とするためには、前記吐出口(23)と吸込口(24)の間隔を大として、両管継ぎ手(25)(28)の間に、一定以上の間隙を設けることが必要である。
【0014】
また、前記導管(26)と(29)における温度干渉を防止し、かつこれら冷却をも良好とするためにも、前記吐出口(23)と吸込口(24)の間隔は、なるべく大であることが望ましい。
【0015】
しかし、このようにすると、図4に明示するように、吐出口(23)と吸込口(24)との間の画壁(22)の厚さが大となり、気体の加圧に関与しない固定ラップ(6)内のデッドスペースが増えて、無駄となる。
【0016】
また、一定の吐出容量を得るためには、固定ラップ(6)および旋回ラップ(11)の径を大としなくてはならず、圧縮機全体としての寸法および重量も増大することとなる。
【0017】
本発明は、前記画壁(22)の厚さを可能な限り薄くすることにより、上述した諸問題の解決を図り、かつ低圧段部吐出口(23)から中間冷却器(27)に至る吐出導管(26)とその管継ぎ手(25)、並びに中間冷却器(27)から高圧段部吸込口(24)に至る吸込導管(29)とその管継ぎ手(28)の相互間隔を極力大とすることにより、両管継ぎ手(25)(28)の着脱時における接近性を良好にするとともに、吐出導管(26)と吸込導管(29)の温度干渉を防止して、単巻き2段スクロール形圧縮機の性能向上を図ることを、第1の課題とするものである。
【0018】
また、上記画壁(22)の厚さを薄くして、固定ラップ(6)のデッドスペースを減少させた場合において、画壁(22)の位置をどのように定めるかにより、単位動力あたりの圧縮気体の量は増減して、圧縮効率は変化するとともに、圧縮作用によって発生する圧縮熱も変化し、さらに中間の低圧段部吐出口部と、圧縮機の最終段の吐出孔部における圧縮熱による温度差も変化する。
【0019】
単巻き2段スクロール形圧縮機の作動効率を上げて、電力消費量を低減させ、かつその寿命を向上させるとともに、中間の低圧段部吐出口部と最終的な吐出孔部における圧縮熱による温度差を減少させて、かじりの発生等を防止するようにすれば、各所のシール部や軸受部のグリース等の寿命は延び、スクロール圧縮機の信頼性が向上するとともに、サービスやメンテナンスの必要な時期を延長させることができるので、ユーザーにとって有益であることは明らかである。
【0020】
そのため本発明においては、固定スクロールに設けられる前記画壁の最適な位置を求めることを、第2の課題としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記した第1の課題は、次のようにして達成される。
(1)固定スクロールにおける固定ラップにより形成される渦巻き状溝の適所を画壁により閉塞するとともに、この画壁の両側に、それぞれ低圧段部吐出口と高圧段部吸込口を設け、前記吐出口から吐出した加圧気体を、中間冷却器を経て、前記吸込口へ導くようにした単巻き2段スクロール形圧縮機において、前記吐出口または吸込口を、前記画壁を境にして、それらの内端が互いに近接し、かつ各管継ぎ手が接続される外端が互いに離れるように、前記固定スクロールの中心軸線方向と交差する方向に向ける。
【0022】
(2) 上記(1)項において、前記吐出口または吸込口を、前記固定スクロールの中心軸線方向に対して傾斜させる。
【0023】
(3) 上記(1)項において、前記吐出口または吸込口を、前記固定スクロールの中心軸線方向に対して直交させる。
【0024】
なお、上記各項において、「吐出口または吸込口」とあるのは、それらのいずれか一方は勿論、双方をも含むものとする。
【0025】
(4) 固定スクロールにおける固定ラップにより形成される渦巻き状溝の適所を画壁により閉塞するとともに、この画壁の両側に、それぞれ低圧段部吐出口と高圧段部吸込口を設け、前記吐出口から吐出した加圧気体を、中間冷却器を経て、前記吸込口へ導くようにした単巻き2段スクロール形圧縮機において、前記吐出口および吸込口を、固定スクロールの中心軸線方向と平行をなすものとし、内端がそれぞれ吐出口または吸込口と連通するとともに、外端が固定スクロールの中心軸線と交差する方向に開口する2つの連通口を有するジョイント金具を、前記吐出口および吸込口の外端に止着する。
【0026】
(5) 固定スクロールにおける固定ラップにより形成される渦巻き状溝の適所を画壁により閉塞するとともに、この画壁の両側に、それぞれ低圧段部吐出口と高圧段部吸込口を設け、前記吐出口から吐出した加圧気体を、中間冷却器を経て、前記吸込口へ導くようにした単巻き2段スクロール形圧縮機において、前記吐出口および吸込口を、固定スクロールの中心軸線方向と平行をなすものとするとともに、それらの外端開口部を適宜閉塞し、外端が開口するとともに、内端がそれぞれ前記吐出口および吸込口と連通し、かつ固定スクロールの中心軸線と直交する2つの連通口を設ける。
【0027】
また上記第2の目的は、次のようにして達成される。
【0028】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、上記低圧段部吐出口と、高圧段部吸込口とを仕切る画壁の位置を、低圧段容積比において、0.63〜0.75の範囲とする。
【0029】
(7) 上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、上記低圧段部吐出口と、高圧段部吸込口とを仕切る画壁の位置を、高圧段容積比において、0.46〜0.66の範囲とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
図5〜図7は、請求項1〜5に係る本発明の好ましい異なる実施態様を示す図4と同様の縦断面図であり、図4におけると同様の部材には、それと同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0031】
図5に示すものでは、ボス(40)を、上面両側部に下向傾斜する傾斜面(40a)(40a)を備えるものとし、各傾斜面(40a)より、下方へ行くに従って互いに接近するように傾斜する、すなわち画壁 (22) を境にして、それらの内端が互いに近接し、かつ低圧段部吐出導管 (26) における管継ぎ手 (25) 及び高圧段部吸込導管 (29) における管継ぎ手 (28) が接続される各外端が互いに離れるように、固定スクロール ( ) の中心軸線方向(図1において左右方向、図5において上下方向)と交差する方向、具体的には固定スクロールの中心軸線方向に対して傾斜する低圧段部吐出口(23)と高圧段部吸込口(24)を穿設してあり、各口(23)(24)に、それぞれ、低圧段部吐出導管(26)における高圧段部管継ぎ手(25)と、吸込導管(29)における管継ぎ手(28)を挿入螺合してある。
【0032】
前記各口(23)(24)は、下方へ行くに従って互いに接近するように傾斜しているので、その下端部同士を極力近付けて、画壁(22)を薄くしても、吐出導管(26)と吸込導管(29)の間隔は十分に大であり、それらが温度的に干渉することはない。また、それぞれの管継ぎ手(25)(28)への接近性は良好であって、その着脱も容易である。
【0033】
なお、図5において、前記吐出口(23)と吸込口(24)のいずれか一方のみを、固定スクロール(1)の中心軸線に対して傾斜させて実施することもある。
【0034】
図6に示すものでは、薄肉の画壁(22)の両側において、ボス(50)に、固定スクロール(1)の中心軸線と平行をなす低圧段部吐出口(23)と高圧段部吸込口(24)を極力近接して設け、これら各口(23)(24)とそれぞれ連通するとともに、互いに背向する水平の連通孔(51)(51)を有するジョイント金具(52)を、溶接等により、ボス(50)の上面に固着し、かつ各連通孔(51)(51)に、それぞれ、吐出導管(26)の管継ぎ手(25)および吸込導管(29)の管継ぎ手(28)を、挿入螺合してある。
【0035】
図6に示すものでは、図5に示すものと同様の効果が得られるとともに、図4や図5に示したものに比して、各導管(26)(29)の固定ラップ(6)からの突出量を小とすることができる。
【0036】
図7に示すものでは、薄肉の画壁(22)の両側において、ボス(60)に、固定スクロール(1)の中心軸線と平行をなす低圧段部吐出口(23)と高圧段部吸込口(24)を、極力接近させて貫設するとともに、吐出口(23)と吸込口(24)にそれぞれ連通する水平の連通孔(61)(61)を設け、各連通孔(61)(61)に、それぞれ吐出導管(26)の管継ぎ手(25)および吸入導管(29)の管継ぎ手(28)を挿入螺合し、さらに、前記吐出口(23)と吸入口(24)の外端開口部を、ねじプラグ(62)(62)をもって閉塞してある。
【0037】
図7に示すものでは、吐出導管(26)および吸込導管(29)は、ボス(60)自体の突出範囲内に収まるので、それらの固定ラップ(6)からの突出量は、図5および図6に示したものよりもさらに小となり、また吐出口(23)、吸込口(24)並びに連通孔(61)のドリルによる穿孔作業が容易となる。
【0038】
次に、請求項6および7に記載の本発明の実施の形態について説明する。
図8〜図13は、固定スクロールハウジング(4)内において、旋回ラップ(11)が、固定ラップ(6)と噛み合った状態で、旋回スクロール(8)が時計方向に偏心回転している時の圧縮気体の容積の変化を順を追って示している。
【0039】
各図中、白抜き部分は旋回ラップ(11)、平行斜線部分は固定ラップ(6)、黒べた部分は、固定ラップ(6)と旋回ラップ(11)の接触部によって形成される気体ポケット(密閉部)内における圧縮気体を示し、また各図中で付してある他の符号は、それぞれ、図1〜図3において示したのと同じ要素を示す。
【0040】
図8〜図13の各図の示すところは、次の如くである。
図8:旋回ラップ(11)が圧縮を開始した状態で、吸入孔(2)から低圧段部吐出口(23)に至る低圧段部における吸込み容積(A+B)は、最大となっている。
【0041】
図9:旋回ラップ(11)が僅かに偏心回転した状態を示し、低圧段部における先行する気体ポケット(密閉部)の容積(C)は最小となっている。
【0042】
図10:旋回ラップ(11)がさらに僅か偏心回転した状態を示し、低圧段部における後続する気体ポケットの容積(D)は最小となっている。
【0043】
図11:旋回ラップ(11)がさらに僅か偏心回転した状態を示し、高圧段部吸込口(24)から吐出孔(3)に至る高圧段部における先行する気体ポケットの容積(E)は最大となっている。
【0044】
図12:旋回ラップ(11)がさらに僅か偏心回転した状態を示し、高圧段部における後続の気体ポケットの容積(F)は最大となっている。
【0045】
図13:旋回ラップ(11)がさらに僅か偏心回転した状態を示し、高圧段部における吐出容積(G+H)は最小となっている。
【0046】
なお、以下の説明において、
低圧段容積比=低圧段側最小容積/低圧段側最大容積=(容積C+容積D)/(容積A+容積B)
高圧段容積比=高圧段側最小容積/高圧段側最大容積=(容積G+容積H)/(容積E+容積F)
である。
【0047】
前記のように、画壁(22)の厚さを薄くして、固定ラップ(6)内のデッドスペースをできるだけ減少させると、圧縮機としての効率は明らかに向上するが、本願発明者は、さらに前記画壁の位置をどのように定めるかによって、圧縮効率や、圧縮に伴って発生する圧縮熱、並びに低圧段部吐出口(23)と最終吐出孔(3)との圧縮熱による温度差等に、少からぬ差異が生じ、ひいては、圧縮機のランニングコストやその耐久性等に大きな影響があるに違いないことに想到した。
【0048】
しかし、このような観点に立って、前記画壁(22)の最適位置を求めるべく行われた実験や検討の例は、本願発明者の知る限り存在しないので、本発明者は、これを実験により求めることとした。
【0049】
実験は、次の4種について行った。
(1)低圧段部容積比と比エネルギーとの関係。
(2)高圧段部容積比と比エネルギーとの関係。
(3)低圧段部容積比と低圧段部および高圧段部の温度差との関係。
(4)高圧段部容積比と低圧段部および高圧段部の温度差との関係。
なお容積比とは、最小容積と最大容積の比を言い、比エネルギーとは、動力と圧縮気体の量の比を言う。
【0050】
図14〜図18は、それぞれ、上記(1)〜(4)の実験の結果を、容積比を横軸にとり、比エネルギーおよび温度差を縦軸にとって、プロットしグラフ化したものである。
【0051】
図14および図16のグラフにより、次のような事実が認められる。
低圧段部において、容積比が0.63未満であると、比エネルギーおよび温度差は急激に増大し、また容積比が0.75を超えると、比エネルギーおよび温度差は、再び急激に増大する。そのため、電力消費量は急激に増加し、かつ各部のシール部材や軸受の寿命は低下するとともに、旋回ラップがかじりや焼付けを起こす頻度も増大する。
【0052】
なお、上記のような比エネルギーおよび温度差が急激に増加する理由は、次のような事実に起因することは明らかである。
【0053】
すなわち、低圧段部容積比が0.63未満であるということは、低圧段部吐出口(23)と高圧段部吸込口(24)との間のデッドスペースである無圧縮部分が、外周の吸込み側から遠すぎること、換言すると、高圧段部の吐出孔に近すぎることを意味し、そのため、高圧段部の気体が上記無圧縮部分へ逆流する割合が大となり、通常は圧力上昇を生じない上記無圧縮部分の圧力が顕著に上昇し、かつ上記逆流による低圧段部の再圧縮のため、動力消費は大となり、ひいては作動効率が低下する。
【0054】
また、図15および図17のグラフにより、次のような事実が認められる。
高圧段部において、容積比が0.46未満であると、比エネルギーおよび温度差は急激に上昇し、かつ容積比が0.66を超えると、比エネルギーおよび温度差は、再び急激に増大する。そのため、電力消費量は大となるとともに、作動効率は低下する。
【0055】
このような現象が発生する理由は、次のような事実に起因することは明らかである。
すなわち、高圧段部の容積比が0.46未満であるということは、前記した無圧縮部分が、高圧段部の吐出孔から遠すぎること、換言すると、外周の吸込み側に近すぎることを意味し、そのため、高圧側の気体が、上記無圧縮部分へ逆流して、無圧縮部分の圧力は上昇し、かつ逆流による再圧縮のために、余分なエネルギーは消費されて、効率は低下し、しかも
無圧縮部分が高圧段部に近いため、吐出圧力が直接無圧縮部分に作用して、圧力を上昇させるのである。
【0056】
また、高圧段部の容積比が0.66を超えるということは、前記無圧縮部分が外周の吸込み側から遠すぎること、換言すると、高圧段部の吐出孔に近すぎることを意味し、そのため、高圧側の気体が無圧縮部分へ逆流し、無圧縮部分の圧力を上昇させる。この逆流による再圧縮のために、動力は無駄に消費されて効率は低下し、かつより高い圧力まで圧縮するため、低圧段部吐出口部の温度も上昇するのである。
【0057】
本発明者は、単巻き2段スクロール圧縮機において、低圧段部吐出口(23)と高圧段部吸込口(24)を仕切る画壁(22)の位置いかんが、その性能に及ぼす影響について、多数回に亘って、入念かつ忠実に実験し、かつ検討を加えた結果、前述のように、低圧段部における容積比を、0.63〜0.75の範囲とし、かつ高圧段部における容積比を、0.46〜0.66の範囲としたときにおいて、始めて有意性のある実用的効果が得られることを確認したので、この点について特許を請求するに至ったものである。
【0058】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によると、次のような効果が得られる。
請求項1記載の発明:−
低圧段部吐出口および(または)高圧段部吸込口は、固定スクロールの中心軸線と平行ではなく、交差する方向、すなわち斜め方向、もしくは水平方向となっているので、各口が互いに平行をなしている従来のものに比べて、各口の間隔は大となる。
【0059】
従って、吐出導管および(または)吸込導管の管継ぎ手の周囲空間は大となり、これらの着脱が容易となる。
【0060】
また、低圧段部吐出口と高圧段部吸込口を仕切る画壁の厚さを薄くすることができ、固定ラップ内のデッドスペースは減少する。
【0061】
さらに、吐出導管と吸込導管との間隔が大となるため、両者間の熱的干渉は小となり、加工性能の向上が図れる。
【0062】
請求項2記載の発明:−
請求項1記載の発明に加えて、吐出導管および(または)吸込導管を、固定ラップの上方から着脱させる場合の作業性が向上するという効果が得られる。
また、低圧段部吐出口および(または)高圧段部吸入口が傾斜しているため、圧縮気体は、その一部が滞溜することなく、円滑に流れる。
【0063】
請求項3記載の発明:−
吐出導管および(または)吸込導管の固定ラップの上方への突出量を、極力小とすることができる。
【0064】
請求項4記載の発明:−
吐出導管および吸込導管と、固定ラップの上縁との間隔を大として、作業性および放熱性を良好とすることができる。
【0065】
請求項5記載の発明:−
低圧段部吐出口および高圧段部吸込口、並びに連通孔の孔あけ作業が容易となる。
【0066】
請求項6および7記載の発明:−
作動効率を高め、かつ耐久性を大とするための画壁の位置が定められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多段スクロール形圧縮機の一例を示す縦断側面図である。
【図2】 図1におけるII−II線縦断面図である。
【図3】 図1における固定スクロールを、前方すなわち固定ラップを有する側から見た斜視図である。
【図4】 図3におけるIV−IV線拡大縦断面図である。
【図5】 本発明の実施形態を略示する図4と同様の縦断面図である。
【図6】 本発明の他の実施形態を略示する図4と同様の縦断面図である。
【図7】 本発明のさらに別の実施形態を略示する図4と同様の縦断面図である。
【図8】 固定スクロールハウジング内において、旋回ラップが、固定ラップと噛み合った状態で、旋回スクロールが時計方向に偏心回転を開始した時の圧縮気体の容積を示す概念図である。
【図9】 図8の状態から旋回スクロールがやや回進したときの状態を示す概念図である。
【図10】 図9の状態から旋回スクロールがやや回進したときの状態を示す概念図である。
【図11】 図10の状態から旋回スクロールがやや回進したときの状態を示す概念図である。
【図12】 図11の状態から旋回スクロールがやや回進したときの状態を示す概念図である。
【図13】 図12の状態から旋回スクロールがやや回進したときの状態を示す概念図である。
【図14】 低圧段容積比と比エネルギーの関係を示すグラフである。
【図15】 高圧段容積比と比エネルギーの関係を示すグラフである。
【図16】 低圧段容積比と温度差の関係を示すグラフである。
【図17】 高圧段容積比と温度差の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
(1)固定スクロール
(2)吸入孔
(3)吐出孔
(4)固定スクロールハウジング
(5)固定端板
(6)固定ラップ
(7)冷却フィン
(8)旋回スクロール
(9)駆動軸ハウジング
(10)旋回端板
(11)旋回ラップ
(12)冷却フィン
(13)ベアリングプレート
(14)駆動軸
(15)偏心軸部
(16)ベアリング
(17)筒状ボス
(18)自転防止機構
(19)押圧板
(20)(21)締付けねじ
(22)画壁
(23)低圧段部吐出口
(24)高圧段部吸込口
(25)管継ぎ手
(26)吐出導管
(27)中間冷却器
(28)管継ぎ手
(29)吸込導管
(30)ボス
(40)ボス
(40a)傾斜面
(50)ボス
(51)連通孔
(52)ジョイント金具
(60)ボス
(61)連通孔
(62)ねじプラグ

Claims (7)

  1. 固定スクロールにおける固定ラップにより形成される渦巻き状溝の適所を画壁により閉塞するとともに、この画壁の両側に、それぞれ低圧段部吐出口と高圧段部吸込口を設け、前記低圧段部吐出口から吐出した加圧気体を、中間冷却器を経て、前記高圧段部吸込口へ導くようにした単巻き2段スクロール形圧縮機において、
    前記低圧段部吐出口または高圧段部吸込口を、前記画壁を境にして、それらの内端が互いに近接し、かつ各管継ぎ手が接続される外端が互いに離れるように、前記固定スクロールの中心軸線方向と交差する方向に向けたことを特徴とする単巻き2段スクロール形圧縮機。
  2. 前記低圧段部吐出口または高圧段部吸込口を、前記固定スクロールの中心軸線方向に対して傾斜させたことを特徴とする請求項1記載の単巻き2段スクロール形圧縮機。
  3. 前記低圧段部吐出口または高圧段部吸込口を、前記固定スクロールの中心軸線方向に対して直交させたことを特徴とする請求項1記載の単巻き2段スクロール形圧縮機。
  4. 固定スクロールにおける固定ラップにより形成される渦巻き状溝の適所を画壁により閉塞するとともに、この画壁の両側に、それぞれ低圧段部吐出口と高圧段部吸込口を設け、前記低圧段部吐出口から吐出した加圧気体を、中間冷却器を経て、前記高圧段部吸込口へ導くようにした単巻き2段スクロール形圧縮機において、
    前記低圧段部吐出口および高圧段部吸込口を、固定スクロールの中心軸線方向と平行をなすものとし、内端がそれぞれ低圧段部吐出口または高圧段部吸込口と連通するとともに、外端が固定スクロールの中心軸線方向と交差する方向に開口する2つの連通口を有するジョイント金具を、前記低圧段部吐出口および高圧段部吸込口の外端に止着したことを特徴とする単巻き2段スクロール形圧縮機。
  5. 固定スクロールにおける固定ラップにより形成される渦巻き状溝の適所を画壁により閉塞するとともに、この画壁の両側に、それぞれ低圧段部吐出口と高圧段部吸込口を設け、前記低圧段部吐出口から吐出した加圧気体を、中間冷却器を経て、前記高圧段部吸込口へ導くようにした単巻き2段スクロール形圧縮機において、
    前記低圧段部吐出口および高圧段部吸込口を、固定スクロールの中心軸線方向と平行をなすものとするとともに、それらの外端開口部を適宜閉塞し、外端が開口するとともに、内端がそれぞれ前記低圧段部吐出口および高圧段部吸込口と連通し、かつ固定スクロールの中心軸線方向と直交する2つの連通口を設けたことを特徴とする2段スクロール形圧縮機。
  6. 前記低圧段部吐出口と、前記高圧段部吸込口とを仕切る画壁の位置を、低圧段容積比において、0.63〜0.75の範囲としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の単巻き2段スクロール形圧縮機。
  7. 前記低圧段部吐出口と、前記高圧段部吸込口とを仕切る画壁の位置を、高圧段容積比において、0.46〜0.66の範囲としたことを特徴とする請求項1〜6記載のいずれかに記載の単巻き2段スクロール形圧縮機。
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