JP4012399B2 - 再生医療用薬剤の簡便なスクリーニング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生医療用薬剤をスクリーニングする方法、該スクリーニング方法で得られる再生医療用薬剤、該再生医療用薬剤で幹細胞より分化誘導される再生医療用の細胞に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分化し、成熟した血液、皮膚、各臓器における細胞は、それぞれ定まった寿命をもって死滅する。これを補給するために、未分化の幼若細胞が新たに増殖、分化し、成熟して定常状態を保っている。このような、未分化の幼若細胞は幹細胞と呼ばれる。
骨髄には、造血幹細胞とこれを支持する間質細胞の大きく2種類の細胞が存在する。骨髄間質細胞は造血幹細胞の再生・増殖・分化を維持するため多彩なサイトカインや細胞増殖因子を分泌することが知られ、その前駆細胞である間葉系幹細胞が造血幹細胞とともにまれではあるが骨髄中に存在することもわかっている。
造血幹細胞は、骨髄中で一部は未分化な状態を維持しつつ増殖するが、一部は単球、顆粒球、リンパ球、赤血球、血小板に分化する。この時、間質細胞との接触あるいは可溶性因子の影響が重要である。また、単球には破骨細胞前駆細胞も含まれ、骨芽細胞を初めとする間質細胞との相互作用で破骨細胞へと分化する。
一方、間葉系幹細胞は、骨、軟骨、骨格筋、心筋、腱、間質細胞、脂肪細胞へと分化する能力をもつことが明らかにされてきている。
【0003】
上記幹細胞を、インビトロにおいて分化誘導させる方法に関しては以下のことが知られている。
骨髄細胞から破骨細胞をin vitroで誘導する場合、まず破骨前駆細胞がc-kit+ 細胞から c-fms+ 細胞へ分化し、更にRANK+ 細胞へと次第に増殖しつつ分化していくことが必要で、それをサポートする細胞として間質細胞との共培養が重要であることがすでに知られている。さらに、それぞれの受容体(c-kit、c-fms、およびRANK)に対するリガンドであるSCF,M-CSF,RANKLの刺激を加えることによって間質細胞と共培養することなく分化誘導させることが可能なことも分かってきている。
更に、幹細胞からin vitroで種々の細胞を再生誘導する系では、増殖因子(growth factors)、グルコース濃度などの基礎栄養因子(basal nutrients)、細胞密度(cell density)、器械的刺激(mechanical force)が重要であると言われており、これらにさまざまな共役因子が加わって、破骨細胞は増殖・分化の調節がなされている。
【0004】
具体的にin vitroで幹細胞を分化誘導させた事例としては例えば、J Rheumatol 1998;25:1154-1160.に記載されているように、コラーゲン関節炎(CIA)マウスの羅患足根組織をdispaseとcollagenase S1で処理して単分散細胞とし、8日間培養するだけでin vitroで特に刺激を加えなくても自然に破骨細胞が分化してくる、破骨細胞分化誘導系が知られている。
【0005】
最近になって、J Clin Invest 1999;103:697-705.には、マウスの太ももの骨髄細胞から、初代培養し、造血細胞を支える間質細胞を取り出し、該細胞に対して、DNAに結合したメチル基を脱離させることによって細胞を未分化な状態に戻す脱メチル化剤(5−アザシチジン)を添加したところ、心筋細胞への分化が誘導されたさせた旨記載されている。しかしながら、この方法では、薬剤が直接染色体に作用するため、直接生体に投与する薬剤としては、適さない。また、間質幹細胞は存在頻度が少ないため、濃縮する必要があり、細胞表面マーカー抗体で検出しなければならない。
【0006】
一方、再生医療においては、再生誘導因子の補充療法や幹細胞を用いた細胞医療、これらを組み合わせた再生の場の構築が目標となっているが、傷害を受けた臓器においては、再生しようとするにもかかわらず、目的とする組識以外の細胞へ分化してしまい、結果として目的とする細胞を再生できない可能性が高い。従って、未分化の細胞を、目的とする細胞へと分化誘導する方法、あるいは目的とする組織以外の細胞への分化を抑制する方法が、求められている。
【0007】
ところで、p38MAPキナーゼは、インターロイキン1β(IL-1β)、TNFα、IL-6、IL-8など炎症性サイトカインの産生に深く関与していることがわかっている。このため、p38MAPキナーゼ阻害剤は、幅広い炎症性サイトカインを抑止できる新たな医薬品のターゲットとして盛んに研究されており、例えば急性および慢性炎症、慢性関節リウマチなどの治療薬になる可能性が示唆されている。また、炎症性サイトカインが関与していると考えられている、関節炎、骨粗鬆症、糖尿病、喘息、心不全または脳卒中などの疾患の治療薬になる可能性もあると言われている(Immunopharmacology 2000;47:185-201)。
しかしながら、p38MAPキナーゼが幹細胞の分化に関与し、その阻害剤が、幹細胞を特定の細胞へと分化誘導させる作用を有することは全く知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、再生誘導を、目的とする組織細胞へ誘導できる再生医療用薬剤をスクリーニングする方法および、再生医療用薬剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記のとおり、コラーゲン関節炎(CIA)マウスの羅患足根組織から得られる単分散細胞の培養細胞においては、自然発生的に破骨細胞への分化誘導が観察されることがわかっている。これは、CIAマウスにおいては、炎症に伴い、数多くのサイトカイン類が分泌しており、破骨細胞への分化が自動的に進むからだと考えられている。
そこで、発明者らは、該培養細胞において、各種低分子化合物を作用させ、どのような分化誘導が生じるかを調べた。その結果、該培養細胞にp38MAPキナーゼ阻害剤である化合物、PD169316を加えたところ、驚くべきことに、破骨細胞への分化は抑制され、骨格筋および心筋細胞(beating cells)への分化が誘導された。更に、正常マウスの足根組織を用いて同様の実験を行ったところ、同様の結果が得られた。更に、該培養細胞は、p38MAPキナーゼ阻害剤を添加しなければ、骨芽細胞へ分化し、p38MAPキナーゼ阻害剤を添加することにより、骨芽細胞への分化は抑制された。
また、PD169316のみならず、他のp38MAPキナーゼ阻害剤を用いても同様の現象が観察され、p38MAPキナーゼの機能抑制が、前記培養細胞において心筋への分化誘導に関与していることが強く示唆された。
すなわち、本発明者らは、p38MAPキナーゼ阻害剤を添加することにより、遺伝子に直接作用することなく、幹細胞を含むマウスの足根組織細胞の培養細胞から、足根組織細胞とは全く異なる特定の細胞へ分化誘導することが可能であることを初めて見出した。該培養細胞は、他の細胞種への分化能力を持つ幹細胞を潤沢に含んでいることから、破骨細胞、心筋細胞、骨格筋細胞だけでなく、種々の特定細胞へ分化誘導可能である。
この培養細胞の特徴は、骨芽細胞、破骨細胞の前駆細胞など骨髄由来の細胞や炎症に関与する細胞などさまざまな細胞種を含んでいる点にある。更に、CIAマウス由来の細胞を用いた場合には、炎症性サイトカイン類、増殖因子、分化因子などが多々産生されており、これら生体内での調節機構をすべて盛り込んだ分化誘導系である。即ち、前記足根組織細胞等を含む本発明の培養細胞は、特別な刺激を加えなくても分化を導ける点、および、幹細胞を濃縮・単離することなく分化を導ける点で、優れた分化誘導系であると言える。
従って、該培養細胞を用いることにより、広く生体を構成する細胞を獲得する方法として用いることができ、得られた細胞を再生医療の材料として利用することが可能である。更に、他の幹細胞を含む細胞培養系においても、低分子化合物を添加することによって同様の分化誘導が起こるか否かをスクリーニングすることが可能である。
幹細胞を特定の細胞へ分化誘導する化合物は、再生医療の分野で、目的の細胞を再生するための分化誘導を促進する薬剤として利用できる。具体的には、PD169316等のp38MAPキナーゼ阻害剤は、骨格筋および心筋再生作用を有し、筋肉不全や心不全の治療剤として応用できる可能性がある。また、各種細胞の分化マーカーなどを指標にすることによって、特定の細胞へと分化を誘導する薬剤、および分化を抑制する薬剤のスクリーニングに応用することも可能である。
本発明は上記の知見を元に完成するに至ったものであり、再生医療の研究に新たな展開をもたらす結果と言える。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1] 未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞に、被験物質を添加することにより、該培養細胞が特定の細胞へ分化誘導されるか否かを調べることを特徴とする、再生医療用薬剤のスクリーニング方法、
[2] 未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞に、被験物質を添加することにより、該培養細胞が特定の細胞へ分化誘導されるか否かを調べ、該被験物質の添加により再生を必要とする細胞が生成するか否かを評価することを特徴とする、再生医療用薬剤のスクリーニング方法、
[3] 培養細胞が、マウス足根組織から取得される単分散細胞である、[1]または[2]記載のスクリーニング方法、
[4] 分化誘導が、骨格筋・心筋細胞への分化誘導である[1]〜[3]のいずれか記載のスクリーニング方法、
[5] [1]〜[4]のいずれか記載のスクリーニング方法で得られる化合物を有効成分として含有する、分化誘導促進剤、
[6] [5]記載の分化誘導促進剤により、分化誘導された細胞を有効成分として含有する再生医療用薬剤、
[7] p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する骨格筋もしくは心筋への分化誘導促進剤、
[8] p38MAPキナーゼ阻害剤が、式(2):
【化2】
Figure 0004012399
[式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香族5員環を表す。]、または、式(3):
【化3】
Figure 0004012399
[式中、Aは、芳香族6員環を表し、Aは芳香族5または6員環を表す。]で表される骨格構造を有する化合物であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤であることを特徴とする、[7]記載の分化誘導促進剤、
[9] p38MAPキナーゼ阻害剤が、式(4):
【化4】
Figure 0004012399
[式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香族5員環を表す。]
で表される骨格構造を有する化合物であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤であることを特徴とする、[7]記載の分化誘導促進剤、
[10] [7]〜「9]のいずれか記載の分化誘導促進剤を有効成分として含有する、骨格筋および/または心筋の再生医療用薬剤、
[11] [7]〜「9]のいずれか記載の分化誘導促進剤を有効成分として含有する、骨格筋および/または心筋の異常を呈する疾患の治療剤、
[12] 式(1):
【化5】
Figure 0004012399
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、またはハロアルコキシ基を表し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。]
で表される化合物、またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する分化誘導促進剤、
[13] 式(1)において、Rがフッ素原子を表し、Rが、水酸基、ニトロ基、またはメタンスルホニル基で表される、[12]記載の分化誘導促進剤、[14] [12]または[13]記載の分化誘導促進剤を有効成分として含有する、骨格筋および/または心筋の再生医療用薬剤、
[15] [12]または[13]記載の分化誘導促進剤を有効成分として含有する、骨格筋および/または心筋の異常を伴う疾患の治療剤、
[16] 未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞に、[7]〜[9]および[12]〜[13]のいずれか記載の分化誘導促進剤を接触させることにより分化誘導された骨格筋細胞、および/または心筋細胞を有効成分として含有することを特徴とする、再生医療用薬剤、
[17] p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する破骨細胞、および/または、骨芽細胞への分化誘導抑制剤、
に関する。
【0011】
【本発明の実施の形態】
以下に本発明の態様について、詳細に述べる。
本発明の第1の態様は、未分化の幹細胞を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞に被験物質を添加することにより、該幹細胞を分化誘導するか否かを調べるための、再生医療用薬剤のスクリーニング方法である。
ここで「未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞」とは、未分化な体性幹細胞を含むと考えられる組織、臓器を摘出し、酵素処理等で単分散細胞にした初代細胞を培養液中で培養することを特徴とする培養細胞であり、本発明のスクリーニング方法において、該培養細胞は、被験物質の刺激により、培養中に産生される液性因子、細胞間相互作用を介して細胞分化を導くことが可能な培養細胞である。好ましくは、該培養細胞は、それぞれ未分化の体性幹細胞を含む、骨髄細胞および筋肉細胞を含有する培養細胞である。該培養細胞に用いる組織細胞は、動物またはヒトの組織細胞であれば何ら限定されるものではなく、例えば足根組織などの、骨髄細胞および筋肉細胞を共に含む組織から調製される単分散細胞が挙げられる。また、炎症症状を呈する動物または人の組織細胞も好ましい。特に好ましい例として、コラーゲン関節炎(CIA)マウスの羅患足根組織から得られる単分散細胞を挙げることができる。
「未分化の体性幹細胞」とは、更に分化し得る、未分化な状態を保ちつつ自己増殖する能力と特定の細胞種に分化する能力を併せ持つような細胞であれば何ら限定されるものではなく、筋肉系のサテライト細胞、心筋前駆細胞、骨髄中の造血幹細胞や間葉系幹細胞などを含んだ筋肉細胞、骨髄細胞、臍帯血、末梢血等が挙げられる。特に好ましい例としては、骨髄細胞が挙げられる。
該培養細胞の由来動物種としては、ほ乳類動物が挙げられ、好ましくは、マウス、ラット、モルモット等のげっ歯類動物、ウサギ、イヌ、またはヒト等が挙げられる。材料の入手が容易である事などから、特に好ましくはげっ歯類動物が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法において、細胞培養条件は、当業者が通常使用する条件を用いることができ、例えば遺伝子医学 2000;4:241-245およびTissue Eng 2001;7:211-228に記載された分化誘導培地等を用いることができる。好ましくは、分化誘導因子を用いないDMEMあるいはα-MEMに10%FCSを添加した培養液が挙げられる。培養温度としては、25℃〜42℃が好ましく、特に好ましくは約37℃である。また、必要に応じて炭酸ガス、窒素ガスを添加することができる。
【0012】
「被験物質」とは、本発明のスクリーニング方法へ供することのできる物質であれば何ら限定されるものではなく、低分子化合物、天然物、蛋白質、ペプチド、多糖類等いかなるものであってもよい。低分子化合物としては、分子量約1500以下のものが挙げられ、好ましくは分子量1000以下の化合物が挙げられる。「被験物質」として、具体的には、p38MAPキナーゼ阻害剤、レチノイン酸、アスコルビン酸、ビタミンD等の、生体内で細胞増殖や細胞分化等に関与すると考えられている酵素類および転写因子等の機能を、阻害もしくは促進する化合物類が挙げられる。
【0013】
具体的なスクリーニングの手順としては以下の(1)〜(3)の工程を含む。
(1)幹細胞を含む細胞を採取・培養する工程
動物細胞より採取した組織をミンス後、10%FCSα-MEM中でdispaseおよびコラゲナーゼS1を用いる、あるいは各種細胞分画等の方法で処理して単分散細胞を含む溶液を回収することができる。
(2)(1)の細胞を培養する工程
(1)で得られた溶液に含まれる細胞を、分化誘導因子を用いないDMEMあるいはα-MEMに10%FCSを添加した培養液等を用いて培養濃度を適当な濃度(1 x 104 cells / ml 等)に調整する。ここで、必要に応じて分化誘導剤や分化阻害剤等の試薬を添加することができる。該試薬としてはグルココルチコイド、神経栄養因子、インスリン等が挙げられる。培養操作を、96穴Well plateなどの培養プレート中で行うことにより、そのままスクリーニングに供することができる。
(3)培養細胞に薬剤を添加し、分化誘導が起こるか否かを評価する工程
(2)の培養細胞に被験化合物を加えることにより、分化誘導が起こるか否かを観測する。被験化合物の添加は、細胞培養開始時、または開始後一定時間を経た時点で行うことができる。好ましくは、3日から28日程度が挙げられる。分化誘導が起こるか否かを観測する方法としては、顕微鏡等を用いた目視が挙げられる。ここで、分化した細胞に特異的に発現するタンパク質に対する抗体で免疫染色したり、特異的に発現した酵素を定量したりすることもできる。
たとえば、拍動する細胞の出現を目視したり、抗トロポニンC抗体で免疫染色したりすることで、心筋や骨格筋の分化誘導を観測することができる。酒石酸耐性酸フォスファターゼ活性を測定あるいは染色すれば、破骨細胞の分化誘導を観測することができ、また、アルカリフォスファターゼ活性を測定あるいは染色すれば、骨芽細胞の分化誘導を観測することができる。また、オイルレッドO染色すれば脂肪細胞の分化を、またサフラニアンO染色あるいはII型コラーゲンの免疫染色をすれば軟骨細胞の分化を、培養上清中のインスリン含量を定量すれば膵臓β細胞の分化を、培養上清中のドパミン含量を定量すれば特定の神経細胞の分化を、またNCAMのような神経細胞マーカーを免疫染色すれば神経細胞への分化を、それぞれ観測することができる。
【0014】
上記の方法を用いれば、どのような化合物が幹細胞の分化誘導を促進するか、および如何なる細胞に分化誘導されるかを、同時に同定することが可能である。また、本方法は、生体から採取した細胞に対して、濃縮・単離操作を行うことなく簡便に実施することができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、上記スクリーニング方法で得られる再生医療用薬剤である。
本明細書における「再生医療用薬剤」としては、分化誘導剤を含有する薬剤、分化抑制剤を含有する薬剤、未分化の体性幹細胞を分化誘導させることによって得られる細胞を含有する薬剤、または分化誘導剤と未分化の体性幹細胞をともに含有する薬剤等が挙げられる。ここで、分化誘導剤および分化抑制剤としては、本発明のスクリーニング方法によって得られる、幹細胞の分化誘導を促進または抑制する化合物等が挙げられる。また、本発明の分化誘導剤により分化誘導された細胞もまた、本発明の再生医療用薬剤として用いることができる。
本発明において、骨格筋の異常を伴う疾患としては、筋肉不全、筋ジストロフィー等が挙げられる。また、心筋の異常を伴う疾患としては、心不全、心筋梗塞等が挙げられる。
【0016】
再生医療用薬剤が細胞である場合、上記のように、未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞より分化誘導された細胞が挙げられ、好ましくは、ほ乳類由来の細胞であり、更に好ましくは、ヒト由来の細胞である。具体的には、骨格筋・心筋細胞等が挙げられる。該骨格筋あるいは心筋細胞は、細胞培養液より、細胞工学 2001;20:966-971に記載された公知の方法等を用いて、単離して用いることが好ましい。単離方法としては、骨格筋や心筋等の分化した際に、それぞれの細胞に特異的に細胞表面に発現してくるマーカーに対する蛍光標識抗体で細胞を染色するか、あるいはこれらの組織特異的なプロモーターで支配されるレポーター遺伝子を導入しGFPなどの蛍光タンパク質を発現させて、フローサイトメトリーで分離することができる。
分離した細胞を、常法で、更に、培養することも可能である。
【0017】
再生医療用薬剤が分化誘導剤である場合、例えば、骨格筋、および/または、心筋細胞への分化誘導剤としては、p38MAPキナーゼ阻害剤が挙げられる。また、p38MAPキナーゼは、骨芽細胞、および/または、破骨細胞への分化誘導を抑制するため、選択的な分化誘導剤である。
p38MAPキナーゼ阻害剤は、p38MAPキナーゼ活性を有するものであれば、何ら限定されるものではないが、例えば、国際公開WO96/21452、WO97/25048、WO99/32110、WO97/47618、WO98/52941、WO99/58523、WO99/03837、WO98/56788、WO99/10325、WO99/21859、WO2000/64894、WO2001/10865、WO2001/21591、WO2001/30778、WO2000/75131、WO2000/39116、Bioorg. Med. Chem. Lett., 11, p693-696(2001)、Bioorg. Med. Chem., 9, p537-554(2001)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 11, p9-12(2001)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, p2051-2054(2000)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, p2047-2050(2000)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, p1261-1264(2000)、J. Med. Chem., 42, 2180-2190(1999)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, p3335-3340(1998)、または、Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, p3111-3116(1998)に記載された化合物等が挙げられる。
具体的には、SB203580、SB235699、SB220025、SB202190、SB210313、SB226882、SB239063、L-167307、L-786134、RP66425、RPR132331、RPR200765A、RPR203494、RPR201227A、SK&F105809、SK&F86002、VK19912、またはPD169316等の化合物が、p38MAPキナーゼ阻害剤として例示される。
【0018】
また、p38MAPキナーゼ阻害剤としては、式(2):
【化6】
Figure 0004012399
[式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香族5員環を表す。]、または、式(3):
【化7】
Figure 0004012399
[式中、Aは、芳香族6員環を表し、Aは芳香族5または6員環を表す。]で表される骨格構造を有する化合物であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤が挙げられる。ここで、該化合物は、前記骨格構造を部分構造として有していれば特に限定されず、好ましくは、分子量1000以下の化合物である。
好ましくは、p38MAPキナーゼ阻害剤としては、式(4):
【化8】
Figure 0004012399
[式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香族5員環を表す。]
で表される骨格構造を有する化合物であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤が挙げられる。ここで、該化合物は、前記骨格構造を部分構造として有していれば特に限定されず、好ましくは、分子量1000以下の化合物である。
また、本発明の分化誘導促進剤として、式(5):
【化9】
Figure 0004012399
[式中、Xは、窒素原子もしくは、CHを表し、
Yは、NR11(R11は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のヘテロシクロアルキル基、または置換もしくは無置換のシクロアルキル基を表す。)、窒素原子、CH、CR11(R11は前記と同義である。)、酸素原子、または硫黄原子を表し、
Zは、NR11(R11は、前記と同義である。)、窒素原子、CH、酸素原子、または硫黄原子を表し、YおよびZのうち一方が硫黄原子もしくは酸素原子を表す場合、他方は窒素原子、NR11(R11は前記と同義である。)、CHもしくはCR11(R11は前記と同義である。)を表し、
12、R13、R14、およびR15は、独立して、置換基を表し、
14とYは結合して、環を形成していてもよい。]
で表される化合物、またはその薬学上許容される塩が挙げられる。
【0019】
本明細書において、芳香族5員環としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾールが挙げられ、それぞれ置換位置は限定されない。また、芳香族6員環としては、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン等が挙げられ、それぞれ置換位置は限定されない。
本明細書において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル等が挙げられる。
本明細書において、アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。
本明細書において、アルキルカルボニル基としては、前記アルキル基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。また、アルコキシカルボニル基としては、前記アルコキシ基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。アルキルスルホニル基としては、前記アルキル基にSOが結合した基が挙げられる。アルキルスルフィニル基としては前記アルキル基にSOが結合した基が挙げられる。また、N−アルキルカルボニル基、N−アルキルスルファモイル基におけるアルキルとしては、前記アルキル基におけるものと同じものが挙げられる。
本明細書において、シクロアルキル基としては、炭素数3〜7のシクロアルキル基が挙げられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。
本明細書において、ヘテロシクロアルキル基としては、1又は2個の酸素原子、1又は2個の硫黄原子、1〜3個の窒素原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、4−ピペラジニル、ピペラジノ、4−ピペリジニル、3−モルホリニル、モルホリノ、3−チオモルホリニル、チオモルホリノ、1,3−ジオキサン−4−イル、1,3−ジオキサン−2−イル等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、またはナフチル基が挙げられる。
【0020】
本明細書において、アルキル基の置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、1または2個のアルキル基で置換されたカルバモイル基、アミノ基、1または2個のアルキル基で置換されたアミノ基、ヘテロシクロアルキル基、などが挙げられ、同一もしくは異なるものが複数置換していてもよい。
ヘテロシクロアルキル基およびシクロアルキル基の置換基としては、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、1または2個のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基(該カルバモイル基に置換している2個のアルキル基が結合し、0から1個の窒素原子、硫黄原子、もしくは酸素原子といっしょになって、ヘテロシクロアルカンを形成していてもよい。)、オキソ基等が挙げられ、同一もしくは異なるものが複数置換していてもよい。
アリール基の置換基としては、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、水酸基、カルバモイル基、1または2個のアルキル基で置換されたカルバモイル基、アミノ基、1または2個のアルキル基で置換されたアミノ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基等が挙げられ、同一もしくは異なるものが複数置換していてもよい。
【0021】
上記式(1)〜(5)において、XがCHを表す場合、R15は、好ましくは水素原子を表す。
【0022】
上記式(5)において、R15における置換基は、具体的には水素原子、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、またはアルキル基等を表し、R12およびR13における置換基は、具体的には、独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、スルファモイル基、またはN−アルキルスルファモイル基等を表し、R14における置換基は、具体的には、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、またはアルキルスルフィニル基等を表す。R14とYが結合して環を形成する場合の環としては、0〜1個の硫黄原子、窒素原子、もしくは酸素原子を含む、5もしくは6員環が挙げられる。YおよびZの一方がNR11を表す場合、他方は、CH、窒素原子、硫黄原子、もしくは酸素原子を表し、YおよびZの一方がCR11を表す場合、他方は、窒素原子、硫黄原子、もしくは酸素原子を表す。また、YもしくはZがNR11を表し、R11が置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のヘテロシクロアルキル基を表す場合、好ましくは、R14は水素原子を表す。
また、R14が置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクロアルキル基を表す場合、好ましくは、R11は水素原子、もしくは炭素数3以下のアルキル基を表す。
15における置換もしくは無置換のアミノ基が置換されている場合の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換アルキル基(置換基としては、置換アリール基、水酸基、アルコキシ基などが挙げられる。)等が挙げられる。
14とYは結合して、環を形成している場合、好ましくは、以下の式:
【化10】
Figure 0004012399
(式中、WはCH、酸素原子、または硫黄原子を表す。)
で表される環を形成する。
【0023】
また、本発明の分化誘導剤として、式(1):
【化11】
Figure 0004012399
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基を表し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、ニトロ基、シアノ基を表す。]
で表される化合物、またはその薬学上許容される塩等が挙げられる。
例えば、PD1639316、すなわち式(6):
【化12】
Figure 0004012399
で表される化合物もしくはその薬学上許容される塩、SB202190、すなわち式(7):
【化13】
Figure 0004012399
で表される化合物もしくはその薬学上許容される塩、SB203580、すなわち式(8):
【化14】
Figure 0004012399
で表される化合物もしくはその薬学上許容される塩等が挙げられる。
【0024】
本明細書における、式(1)〜式(4)で表されるp38MAPキナーゼ阻害剤、および式(5)〜式(8)で表される化合物およびその薬学上許容される塩は、前記の文献等に記載された公知の方法で製造することができる。
【0025】
本発明のスクリーニングにより得られる化合物、本発明におけるp38MAPキナーゼ阻害剤、式(5)〜式(8)で表される化合物が酸性基もしくは塩基性基を有している場合、これらは薬学上許容される塩を形成していてもよく、該薬学上許容される塩としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩等が挙げられ、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの塩基性あるいは酸性アミノ酸といったアミノ酸塩が挙げられる。
【0026】
本発明のスクリーニング方法で得られる再生医療用薬剤が、細胞である場合、これを医薬として用いるにあたり、対象となる臓器へ直接注入する方法、または、静脈内投与、動脈内投与する方法、他臓器への移入などの方法で投与することができる。
本発明のスクリーニング方法で得られた再生医療用薬剤が、分化誘導剤またはその薬学上許容される塩である場合、これを医薬として用いるにあたり、対象となる臓器へ直接注入する方法や、静脈内投与、経口投与、吸入、経皮吸収などの方法で投与することができる。
上記分化誘導剤またはその薬学上許容される塩の投与量、投与回数は、症状、年令、体重、投与形態によって異なるが、通常は成人に対して該分化誘導剤またはその薬学上許容される塩の有効成分量として、1日あたり約1〜2000mg、好ましくは10〜200mgを1回または数回に分けて投与することができる。
【0027】
本発明を具体的に説明するために、以下に実施例を示すが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
実施例1:CIA由来破骨細胞様細胞の調製と培養
培養液; 10% FCS (Hyclone) 、100U/mlペニシリン、100 μg/mlストレプトマイシンを含むフェノールレッド不含のα-MEM (GIBCO)
培養条件; 37℃,5% CO2
操作; 抗原追加免疫から2週間後に発症してくるコラーゲン関節炎マウス(J Rheumatol 1998;25:1154-1160.)の羅患足根組織を回収し、ミンス後10%FCSα-MEM中でdispaseおよびcollagenase S1により5〜6時間処理し、単分散細胞浮遊液を回収した。これを遠心、再懸濁により洗浄し2.0×104 cells/wellになるように96 穴プレートあるいは24穴プレートにまきこんだ。さらに被験物質溶液を添加し、最終液量200 μl/wellから1 ml/wellで2〜4週間培養した。
培養液を、培養2週間後からは週1回その3/4量を交換した。Beating 細胞はビデオ撮影し、拍動を観察した。骨格筋の免疫染色は、培養プレートの培養液を取り除いた後、PBSで細胞を穏やかに洗浄後、メタノールで固定し、抗トロポニンT抗体と酵素標識した二次抗体と発色基質を用いて染色した。染色には、Santa Cruz Biotechnology社のABC Staining Systemを用い、そのプロトコールに従った。また、上記と同様に別途調製した培養細胞を、SIGMA社のAcid Phosphatase, Leukocyte Kitを用い、酒石酸体性酸フスファターゼ染色、さらにSIGMA社のBCIP/NBT Alkaline Phosphatase Substrateを用い、アルカリフォスファターゼ染色した。
結果:SB202190またはPDPD169316を1, 10μM添加したwellでは培養6日目に自発運動をする細胞コロニーが出現した。 7日目には0.1μM添加のwellでも3 well中1wellでbeating cellがひとつ観察され、濃度依存的にコロニーが形成されることが示された。Santa Cruz Biotechnology社の骨格筋特異的な抗トロポニンT-FS抗体および心筋特異的な抗トロポニンT-C抗体でこのコロニーを免疫染色した結果、図1のようにSB202190またはPDPD169316処理した場合にのみ特異的染色が観察された。
また、酒石酸体性酸フスファターゼ染色およびアルカリフォスファターゼ染色の結果、破骨細胞ならびに骨芽細胞への分化がともに抑制されていることが観察された。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、再生医療用薬剤のスクリーニング方法を提供することが可能になった。また、該スクリーニング法により見出された、心筋細胞の再生医療に利用可能な薬剤、および幹細胞よりインビトロで分化誘導された心筋細胞を提供することが可能となった。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス足根組織より調製した単分散細胞から骨格筋、心筋への分化誘導を示す図である。A、DはSB202190を、B、はPD169316を、それぞれ10μMで添加し、2週間培養したものを示す。C、Fは培地のみで培養したものを示す。免疫染色は、A〜Cは抗トロポニンT−FS抗体を用いて骨格筋を、D〜Fは抗トロポニンT-C抗体を用いて心筋を、それぞれ検出した。

Claims (7)

  1. 未分化の体性幹細胞を含むコラーゲン関節炎マウス足根組織から採取される単分散細胞の培養細胞に、被験物質を添加することにより、該培養細胞が骨格筋細胞及び/または心筋細胞へ分化誘導されるか否かを調べることを特徴とする、骨格筋及び/または心筋の再生医療用薬剤のスクリーニング方法。
  2. 式(1):
    Figure 0004012399
    [式中、R1フッ素原子を表し、R2は水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。]
    で表される化合物、またはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する骨格筋細胞及び/又は心筋細胞への分化誘導促進剤。
  3. 式(1)において、R1がフッ素原子を表し、R2が、水酸基、ニトロ基、またはメチルスルホニル基で表される、請求項に記載の分化誘導促進剤。
  4. 式(1)において、R 1 がフッ素原子を表し、R 2 が、水酸基、ニトロ基、またはメチルスルフィニル基で表される、請求項2に記載の分化誘導促進剤。
  5. 骨格筋及び/又は心筋の再生医療用薬剤である、請求項2〜4のいずれかに記載の分化誘導促進剤。
  6. 間葉系幹細胞に、式(1):
    Figure 0004012399
    [式中、R1フッ素原子を表し、R2は水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。]
    で表される化合物、またはその薬学上許容される塩を添加して得られる心筋細胞。
  7. 式(1)において、R 1 がフッ素原子を表し、R 2 が、水酸基、ニトロ基、またはメチルスルフィニル基で表される、請求項6に記載の心筋細胞。
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