JP2003159096A - 再生医療用薬剤の簡便なスクリーニング - Google Patents

再生医療用薬剤の簡便なスクリーニング

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JP2003159096A
JP2003159096A JP2001363500A JP2001363500A JP2003159096A JP 2003159096 A JP2003159096 A JP 2003159096A JP 2001363500 A JP2001363500 A JP 2001363500A JP 2001363500 A JP2001363500 A JP 2001363500A JP 2003159096 A JP2003159096 A JP 2003159096A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、再生医療の分野において、目的と
する組織細胞へ分化誘導できる医薬品をスクリーニング
するための簡便な方法、ならびに分化誘導促進剤を提供
することにある。 【解決手段】 未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、お
よび/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培
養細胞に、被験物質を添加することにより、該培養細胞
が特定の細胞へ分化誘導されるか否かを調べることを特
徴とする、再生医療用薬剤のスクリーニング方法、およ
び、p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する、
骨格筋および/または心筋への分化誘導促進剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生医療用薬剤を
スクリーニングする方法、該スクリーニング方法で得ら
れる再生医療用薬剤、該再生医療用薬剤で幹細胞より分
化誘導される再生医療用の細胞に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分化し、成熟した血液、皮膚、各臓器に
おける細胞は、それぞれ定まった寿命をもって死滅す
る。これを補給するために、未分化の幼若細胞が新たに
増殖、分化し、成熟して定常状態を保っている。このよ
うな、未分化の幼若細胞は幹細胞と呼ばれる。骨髄に
は、造血幹細胞とこれを支持する間質細胞の大きく2種
類の細胞が存在する。骨髄間質細胞は造血幹細胞の再生
・増殖・分化を維持するため多彩なサイトカインや細胞
増殖因子を分泌することが知られ、その前駆細胞である
間葉系幹細胞が造血幹細胞とともにまれではあるが骨髄
中に存在することもわかっている。造血幹細胞は、骨髄
中で一部は未分化な状態を維持しつつ増殖するが、一部
は単球、顆粒球、リンパ球、赤血球、血小板に分化す
る。この時、間質細胞との接触あるいは可溶性因子の影
響が重要である。また、単球には破骨細胞前駆細胞も含
まれ、骨芽細胞を初めとする間質細胞との相互作用で破
骨細胞へと分化する。一方、間葉系幹細胞は、骨、軟
骨、骨格筋、心筋、腱、間質細胞、脂肪細胞へと分化す
る能力をもつことが明らかにされてきている。
【0003】上記幹細胞を、インビトロにおいて分化誘
導させる方法に関しては以下のことが知られている。骨
髄細胞から破骨細胞をin vitroで誘導する場合、まず破
骨前駆細胞がc-kit+ 細胞から c-fms+ 細胞へ分化し、
更にRANK+ 細胞へと次第に増殖しつつ分化していくこと
が必要で、それをサポートする細胞として間質細胞との
共培養が重要であることがすでに知られている。さら
に、それぞれの受容体(c-kit、c-fms、およびRANK)に
対するリガンドであるSCF,M-CSF,RANKLの刺激を加え
ることによって間質細胞と共培養することなく分化誘導
させることが可能なことも分かってきている。更に、幹
細胞からin vitroで種々の細胞を再生誘導する系では、
増殖因子(growth factors)、グルコース濃度などの基礎
栄養因子(basal nutrients)、細胞密度(cell densit
y)、器械的刺激(mechanical force)が重要であると言わ
れており、これらにさまざまな共役因子が加わって、破
骨細胞は増殖・分化の調節がなされている。
【0004】具体的にin vitroで幹細胞を分化誘導さ
せた事例としては例えば、J Rheumatol 1998;25:1154-1
160.に記載されているように、コラーゲン関節炎(CIA)
マウスの羅患足根組織をdispaseとcollagenase S1で処
理して単分散細胞とし、8日間培養するだけでin vitro
で特に刺激を加えなくても自然に破骨細胞が分化してく
る、破骨細胞分化誘導系が知られている。
【0005】最近になって、J Clin Invest 1999;103:6
97-705.には、マウスの太ももの骨髄細胞から、初代培
養し、造血細胞を支える間質細胞を取り出し、該細胞に
対して、DNAに結合したメチル基を脱離させることに
よって細胞を未分化な状態に戻す脱メチル化剤(5−ア
ザシチジン)を添加したところ、心筋細胞への分化が誘
導されたさせた旨記載されている。しかしながら、この
方法では、薬剤が直接染色体に作用するため、直接生体
に投与する薬剤としては、適さない。また、間質幹細胞
は存在頻度が少ないため、濃縮する必要があり、細胞表
面マーカー抗体で検出しなければならない。
【0006】一方、再生医療においては、再生誘導因子
の補充療法や幹細胞を用いた細胞医療、これらを組み合
わせた再生の場の構築が目標となっているが、傷害を受
けた臓器においては、再生しようとするにもかかわら
ず、目的とする組識以外の細胞へ分化してしまい、結果
として目的とする細胞を再生できない可能性が高い。従
って、未分化の細胞を、目的とする細胞へと分化誘導す
る方法、あるいは目的とする組織以外の細胞への分化を
抑制する方法が、求められている。
【0007】ところで、p38MAPキナーゼは、インターロ
イキン1β(IL-1β)、TNFα、IL-6、IL-8など炎症性
サイトカインの産生に深く関与していることがわかって
いる。このため、p38MAPキナーゼ阻害剤は、幅広い炎症
性サイトカインを抑止できる新たな医薬品のターゲット
として盛んに研究されており、例えば急性および慢性炎
症、慢性関節リウマチなどの治療薬になる可能性が示唆
されている。また、炎症性サイトカインが関与している
と考えられている、関節炎、骨粗鬆症、糖尿病、喘息、
心不全または脳卒中などの疾患の治療薬になる可能性も
あると言われている(Immunopharmacology 2000;47:185
-201)。しかしながら、p38MAPキナーゼが幹細胞の分化
に関与し、その阻害剤が、幹細胞を特定の細胞へと分化
誘導させる作用を有することは全く知られていなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、再生
誘導を、目的とする組織細胞へ誘導できる再生医療用薬
剤をスクリーニングする方法および、再生医療用薬剤を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記のとおり、コラーゲ
ン関節炎(CIA)マウスの羅患足根組織から得られる単
分散細胞の培養細胞においては、自然発生的に破骨細胞
への分化誘導が観察されることがわかっている。これ
は、CIAマウスにおいては、炎症に伴い、数多くのサイ
トカイン類が分泌しており、破骨細胞への分化が自動的
に進むからだと考えられている。そこで、発明者らは、
該培養細胞において、各種低分子化合物を作用させ、ど
のような分化誘導が生じるかを調べた。その結果、該培
養細胞にp38MAPキナーゼ阻害剤である化合物、PD169316
を加えたところ、驚くべきことに、破骨細胞への分化は
抑制され、骨格筋および心筋細胞(beating cells)へ
の分化が誘導された。更に、正常マウスの足根組織を用
いて同様の実験を行ったところ、同様の結果が得られ
た。更に、該培養細胞は、p38MAPキナーゼ阻害剤を添加
しなければ、骨芽細胞へ分化し、p38MAPキナーゼ阻害剤
を添加することにより、骨芽細胞への分化は抑制され
た。また、PD169316のみならず、他のp38MAPキナーゼ阻
害剤を用いても同様の現象が観察され、p38MAPキナーゼ
の機能抑制が、前記培養細胞において心筋への分化誘導
に関与していることが強く示唆された。すなわち、本発
明者らは、p38MAPキナーゼ阻害剤を添加することによ
り、遺伝子に直接作用することなく、幹細胞を含むマウ
スの足根組織細胞の培養細胞から、足根組織細胞とは全
く異なる特定の細胞へ分化誘導することが可能であるこ
とを初めて見出した。該培養細胞は、他の細胞種への分
化能力を持つ幹細胞を潤沢に含んでいることから、破骨
細胞、心筋細胞、骨格筋細胞だけでなく、種々の特定細
胞へ分化誘導可能である。この培養細胞の特徴は、骨芽
細胞、破骨細胞の前駆細胞など骨髄由来の細胞や炎症に
関与する細胞などさまざまな細胞種を含んでいる点にあ
る。更に、CIAマウス由来の細胞を用いた場合には、
炎症性サイトカイン類、増殖因子、分化因子などが多々
産生されており、これら生体内での調節機構をすべて盛
り込んだ分化誘導系である。即ち、前記足根組織細胞等
を含む本発明の培養細胞は、特別な刺激を加えなくても
分化を導ける点、および、幹細胞を濃縮・単離すること
なく分化を導ける点で、優れた分化誘導系であると言え
る。従って、該培養細胞を用いることにより、広く生体
を構成する細胞を獲得する方法として用いることがで
き、得られた細胞を再生医療の材料として利用すること
が可能である。更に、他の幹細胞を含む細胞培養系にお
いても、低分子化合物を添加することによって同様の分
化誘導が起こるか否かをスクリーニングすることが可能
である。幹細胞を特定の細胞へ分化誘導する化合物は、
再生医療の分野で、目的の細胞を再生するための分化誘
導を促進する薬剤として利用できる。具体的には、PD16
9316等のp38MAPキナーゼ阻害剤は、骨格筋および心筋再
生作用を有し、筋肉不全や心不全の治療剤として応用で
きる可能性がある。また、各種細胞の分化マーカーなど
を指標にすることによって、特定の細胞へと分化を誘導
する薬剤、および分化を抑制する薬剤のスクリーニング
に応用することも可能である。本発明は上記の知見を元
に完成するに至ったものであり、再生医療の研究に新た
な展開をもたらす結果と言える。
【0010】すなわち、本発明は、[1] 未分化の体
性幹細胞を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体
性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞に、被験物質を添加
することにより、該培養細胞が特定の細胞へ分化誘導さ
れるか否かを調べることを特徴とする、再生医療用薬剤
のスクリーニング方法、[2] 未分化の体性幹細胞を
含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を
含む筋肉細胞の培養細胞に、被験物質を添加することに
より、該培養細胞が特定の細胞へ分化誘導されるか否か
を調べ、該被験物質の添加により再生を必要とする細胞
が生成するか否かを評価することを特徴とする、再生医
療用薬剤のスクリーニング方法、[3] 培養細胞が、
マウス足根組織から取得される単分散細胞である、
[1]または[2]記載のスクリーニング方法、[4]
分化誘導が、骨格筋・心筋細胞への分化誘導である
[1]〜[3]のいずれか記載のスクリーニング方法、
[5] [1]〜[4]のいずれか記載のスクリーニング
方法で得られる化合物を有効成分として含有する、分化
誘導促進剤、[6] [5]記載の分化誘導促進剤によ
り、分化誘導された細胞を有効成分として含有する再生
医療用薬剤、[7] p38MAPキナーゼ阻害剤を有
効成分として含有する骨格筋もしくは心筋への分化誘導
促進剤、[8] p38MAPキナーゼ阻害剤が、式(2):
【化2】 [式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香
族5員環を表す。]、または、式(3):
【化3】 [式中、Aは、芳香族6員環を表し、Aは芳香族5
または6員環を表す。]で表される骨格構造を有する化
合物であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤であ
ることを特徴とする、[7]記載の分化誘導促進剤、
[9] p38MAPキナーゼ阻害剤が、式(4):
【化4】 [式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香
族5員環を表す。]で表される骨格構造を有する化合物
であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤であるこ
とを特徴とする、[7]記載の分化誘導促進剤、[1
0] [7]〜「9]のいずれか記載の分化誘導促進剤
を有効成分として含有する、骨格筋および/または心筋
の再生医療用薬剤、 [11] [7]〜「9]のいずれ
か記載の分化誘導促進剤を有効成分として含有する、骨
格筋および/または心筋の異常を呈する疾患の治療剤、
[12] 式(1):
【化5】 [式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基、ハロアルキル基、またはハロアルコキシ
基を表し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハ
ロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィ
ニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。]で表され
る化合物、またはその薬学上許容される塩を有効成分と
して含有する分化誘導促進剤、[13] 式(1)にお
いて、Rがフッ素原子を表し、Rが、水酸基、ニト
ロ基、またはメタンスルホニル基で表される、[12]
記載の分化誘導促進剤、[14] [12]または[1
3]記載の分化誘導促進剤を有効成分として含有する、
骨格筋および/または心筋の再生医療用薬剤、 [15]
[12]または[13]記載の分化誘導促進剤を有効
成分として含有する、骨格筋および/または心筋の異常
を伴う疾患の治療剤、 [16] 未分化の体性幹細胞を
含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞を
含む筋肉細胞の培養細胞に、[7]〜[9]および[1
2]〜[13]のいずれか記載の分化誘導促進剤を接触
させることにより分化誘導された骨格筋細胞、および/
または心筋細胞を有効成分として含有することを特徴と
する、再生医療用薬剤、[17] p38MAPキナー
ゼ阻害剤を有効成分として含有する破骨細胞、および/
または、骨芽細胞への分化誘導抑制剤、に関する。
【0011】
【本発明の実施の形態】以下に本発明の態様について、
詳細に述べる。本発明の第1の態様は、未分化の幹細胞
を含む骨髄細胞、および/または、未分化の体性幹細胞
を含む筋肉細胞の培養細胞に被験物質を添加することに
より、該幹細胞を分化誘導するか否かを調べるための、
再生医療用薬剤のスクリーニング方法である。ここで
「未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、および/また
は、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞」と
は、未分化な体性幹細胞を含むと考えられる組織、臓器
を摘出し、酵素処理等で単分散細胞にした初代細胞を培
養液中で培養することを特徴とする培養細胞であり、本
発明のスクリーニング方法において、該培養細胞は、被
験物質の刺激により、培養中に産生される液性因子、細
胞間相互作用を介して細胞分化を導くことが可能な培養
細胞である。好ましくは、該培養細胞は、それぞれ未分
化の体性幹細胞を含む、骨髄細胞および筋肉細胞を含有
する培養細胞である。該培養細胞に用いる組織細胞は、
動物またはヒトの組織細胞であれば何ら限定されるもの
ではなく、例えば足根組織などの、骨髄細胞および筋肉
細胞を共に含む組織から調製される単分散細胞が挙げら
れる。また、炎症症状を呈する動物または人の組織細胞
も好ましい。特に好ましい例として、コラーゲン関節炎
(CIA)マウスの羅患足根組織から得られる単分散細胞
を挙げることができる。「未分化の体性幹細胞」とは、
更に分化し得る、未分化な状態を保ちつつ自己増殖する
能力と特定の細胞種に分化する能力を併せ持つような細
胞であれば何ら限定されるものではなく、筋肉系のサテ
ライト細胞、心筋前駆細胞、骨髄中の造血幹細胞や間葉
系幹細胞などを含んだ筋肉細胞、骨髄細胞、臍帯血、末
梢血等が挙げられる。特に好ましい例としては、骨髄細
胞が挙げられる。該培養細胞の由来動物種としては、ほ
乳類動物が挙げられ、好ましくは、マウス、ラット、モ
ルモット等のげっ歯類動物、ウサギ、イヌ、またはヒト
等が挙げられる。材料の入手が容易である事などから、
特に好ましくはげっ歯類動物が挙げられる。本発明のス
クリーニング方法において、細胞培養条件は、当業者が
通常使用する条件を用いることができ、例えば遺伝子医
学 2000;4:241-245およびTissueEng 2001;7:211-228に
記載された分化誘導培地等を用いることができる。好ま
しくは、分化誘導因子を用いないDMEMあるいはα-MEMに
10%FCSを添加した培養液が挙げられる。培養温度として
は、25℃〜42℃が好ましく、特に好ましくは約37℃であ
る。また、必要に応じて炭酸ガス、窒素ガスを添加する
ことができる。
【0012】「被験物質」とは、本発明のスクリーニン
グ方法へ供することのできる物質であれば何ら限定され
るものではなく、低分子化合物、天然物、蛋白質、ペプ
チド、多糖類等いかなるものであってもよい。低分子化
合物としては、分子量約1500以下のものが挙げら
れ、好ましくは分子量1000以下の化合物が挙げられ
る。「被験物質」として、具体的には、p38MAPキナーゼ
阻害剤、レチノイン酸、アスコルビン酸、ビタミンD等
の、生体内で細胞増殖や細胞分化等に関与すると考えら
れている酵素類および転写因子等の機能を、阻害もしく
は促進する化合物類が挙げられる。
【0013】具体的なスクリーニングの手順としては以
下の(1)〜(3)の工程を含む。 (1)幹細胞を含む細胞を採取・培養する工程 動物細胞より採取した組織をミンス後、10%FCSα-MEM中
でdispaseおよびコラゲナーゼS1を用いる、あるいは各
種細胞分画等の方法で処理して単分散細胞を含む溶液を
回収することができる。 (2)(1)の細胞を培養する工程 (1)で得られた溶液に含まれる細胞を、分化誘導因子
を用いないDMEMあるいはα-MEMに10%FCSを添加した培養
液等を用いて培養濃度を適当な濃度(1 x 10 4 cells /
ml 等)に調整する。ここで、必要に応じて分化誘導剤
や分化阻害剤等の試薬を添加することができる。該試薬
としてはグルココルチコイド、神経栄養因子、インスリ
ン等が挙げられる。培養操作を、96穴Well plateなど
の培養プレート中で行うことにより、そのままスクリー
ニングに供することができる。 (3)培養細胞に薬剤を添加し、分化誘導が起こるか否
かを評価する工程 (2)の培養細胞に被験化合物を加えることにより、分
化誘導が起こるか否かを観測する。被験化合物の添加
は、細胞培養開始時、または開始後一定時間を経た時点
で行うことができる。好ましくは、3日から28日程度が
挙げられる。分化誘導が起こるか否かを観測する方法と
しては、顕微鏡等を用いた目視が挙げられる。ここで、
分化した細胞に特異的に発現するタンパク質に対する抗
体で免疫染色したり、特異的に発現した酵素を定量した
りすることもできる。たとえば、拍動する細胞の出現を
目視したり、抗トロポニンC抗体で免疫染色したりする
ことで、心筋や骨格筋の分化誘導を観測することができ
る。酒石酸耐性酸フォスファターゼ活性を測定あるいは
染色すれば、破骨細胞の分化誘導を観測することがで
き、また、アルカリフォスファターゼ活性を測定あるい
は染色すれば、骨芽細胞の分化誘導を観測することがで
きる。また、オイルレッドO染色すれば脂肪細胞の分化
を、またサフラニアンO染色あるいはII型コラーゲンの
免疫染色をすれば軟骨細胞の分化を、培養上清中のイン
スリン含量を定量すれば膵臓β細胞の分化を、培養上清
中のドパミン含量を定量すれば特定の神経細胞の分化
を、またNCAMのような神経細胞マーカーを免疫染色すれ
ば神経細胞への分化を、それぞれ観測することができ
る。
【0014】上記の方法を用いれば、どのような化合物
が幹細胞の分化誘導を促進するか、および如何なる細胞
に分化誘導されるかを、同時に同定することが可能であ
る。また、本方法は、生体から採取した細胞に対して、
濃縮・単離操作を行うことなく簡便に実施することがで
きる。
【0015】本発明の第2の態様は、上記スクリーニン
グ方法で得られる再生医療用薬剤である。本明細書にお
ける「再生医療用薬剤」としては、分化誘導剤を含有す
る薬剤、分化抑制剤を含有する薬剤、未分化の体性幹細
胞を分化誘導させることによって得られる細胞を含有す
る薬剤、または分化誘導剤と未分化の体性幹細胞をとも
に含有する薬剤等が挙げられる。ここで、分化誘導剤お
よび分化抑制剤としては、本発明のスクリーニング方法
によって得られる、幹細胞の分化誘導を促進または抑制
する化合物等が挙げられる。また、本発明の分化誘導剤
により分化誘導された細胞もまた、本発明の再生医療用
薬剤として用いることができる。本発明において、骨格
筋の異常を伴う疾患としては、筋肉不全、筋ジストロフ
ィー等が挙げられる。また、心筋の異常を伴う疾患とし
ては、心不全、心筋梗塞等が挙げられる。
【0016】再生医療用薬剤が細胞である場合、上記の
ように、未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、および/
または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培養細胞
より分化誘導された細胞が挙げられ、好ましくは、ほ乳
類由来の細胞であり、更に好ましくは、ヒト由来の細胞
である。具体的には、骨格筋・心筋細胞等が挙げられ
る。該骨格筋あるいは心筋細胞は、細胞培養液より、細
胞工学 2001;20:966-971に記載された公知の方法等を用
いて、単離して用いることが好ましい。単離方法として
は、骨格筋や心筋等の分化した際に、それぞれの細胞に
特異的に細胞表面に発現してくるマーカーに対する蛍光
標識抗体で細胞を染色するか、あるいはこれらの組織特
異的なプロモーターで支配されるレポーター遺伝子を導
入しGFPなどの蛍光タンパク質を発現させて、フローサ
イトメトリーで分離することができる。分離した細胞
を、常法で、更に、培養することも可能である。
【0017】再生医療用薬剤が分化誘導剤である場合、
例えば、骨格筋、および/または、心筋細胞への分化誘
導剤としては、p38MAPキナーゼ阻害剤が挙げられる。ま
た、p38MAPキナーゼは、骨芽細胞、および/または、破
骨細胞への分化誘導を抑制するため、選択的な分化誘導
剤である。p38MAPキナーゼ阻害剤は、p38MAPキナーゼ活
性を有するものであれば、何ら限定されるものではない
が、例えば、国際公開WO96/21452、WO97/25048、WO99/3
2110、WO97/47618、WO98/52941、WO99/58523、WO99/038
37、WO98/56788、WO99/10325、WO99/21859、WO2000/648
94、WO2001/10865、WO2001/21591、WO2001/30778、WO20
00/75131、WO2000/39116、Bioorg. Med. Chem. Lett.,
11, p693-696(2001)、Bioorg. Med. Chem., 9, p537-55
4(2001)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 11,p9-12(200
1)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, p2051-2054(200
0)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, p2047-2050(200
0)、Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, p1261-1264(200
0)、J. Med. Chem., 42, 2180-2190(1999)、Bioorg. Me
d. Chem. Lett., 8, p3335-3340(1998)、または、Bioor
g. Med. Chem. Lett., 8, p3111-3116(1998)に記載され
た化合物等が挙げられる。具体的には、SB203580、SB23
5699、SB220025、SB202190、SB210313、SB226882、SB23
9063、L-167307、L-786134、RP66425、RPR132331、RPR2
00765A、RPR203494、RPR201227A、SK&F105809、SK&F860
02、VK19912、またはPD169316等の化合物が、p38MAPキ
ナーゼ阻害剤として例示される。
【0018】また、p38MAPキナーゼ阻害剤としては、式
(2):
【化6】 [式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香
族5員環を表す。]、または、式(3):
【化7】 [式中、Aは、芳香族6員環を表し、Aは芳香族5
または6員環を表す。]で表される骨格構造を有する化
合物であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤が挙
げられる。ここで、該化合物は、前記骨格構造を部分構
造として有していれば特に限定されず、好ましくは、分
子量1000以下の化合物である。好ましくは、p38MAPキナ
ーゼ阻害剤としては、式(4):
【化8】 [式中、Xは、窒素原子もしくはCHを表し、Aは芳香
族5員環を表す。]で表される骨格構造を有する化合物
であることを特徴とするp38MAPキナーゼ阻害剤が挙げら
れる。ここで、該化合物は、前記骨格構造を部分構造と
して有していれば特に限定されず、好ましくは、分子量
1000以下の化合物である。また、本発明の分化誘導促進
剤として、式(5):
【化9】 [式中、Xは、窒素原子もしくは、CHを表し、Yは、
NR11(R11は、水素原子、置換もしくは無置換の
アルキル基、置換もしくは無置換のヘテロシクロアルキ
ル基、または置換もしくは無置換のシクロアルキル基を
表す。)、窒素原子、CH、CR11(R11は前記と
同義である。)、酸素原子、または硫黄原子を表し、Z
は、NR11(R11は、前記と同義である。)、窒素
原子、CH、酸素原子、または硫黄原子を表し、Yおよ
びZのうち一方が硫黄原子もしくは酸素原子を表す場
合、他方は窒素原子、NR11(R11は前記と同義で
ある。)、CHもしくはCR11(R11は前記と同義
である。)を表し、R12、R13、R14、およびR
15は、独立して、置換基を表し、R14とYは結合し
て、環を形成していてもよい。]で表される化合物、ま
たはその薬学上許容される塩が挙げられる。
【0019】本明細書において、芳香族5員環として
は、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピ
ラゾール、オキサゾール、チアゾールが挙げられ、それ
ぞれ置換位置は限定されない。また、芳香族6員環とし
ては、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン等が挙げられ、
それぞれ置換位置は限定されない。本明細書において、
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、またはヨウ素原子が挙げられる。本明細書におい
て、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が
挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が挙げ
られる。具体的には、メチル、エチル、プロピル、1−
メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル等が挙げら
れる。本明細書において、アルコキシ基としては、炭素
数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、好ましくは炭素数
1〜4のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メト
キシ、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。本明細
書において、アルキルカルボニル基としては、前記アル
キル基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。ま
た、アルコキシカルボニル基としては、前記アルコキシ
基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。アルキル
スルホニル基としては、前記アルキル基にSOが結合
した基が挙げられる。アルキルスルフィニル基としては
前記アルキル基にSOが結合した基が挙げられる。ま
た、N−アルキルカルボニル基、N−アルキルスルファ
モイル基におけるアルキルとしては、前記アルキル基に
おけるものと同じものが挙げられる。本明細書におい
て、シクロアルキル基としては、炭素数3〜7のシクロ
アルキル基が挙げられ、具体的にはシクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロ
ヘプチルが挙げられる。本明細書において、ヘテロシク
ロアルキル基としては、1又は2個の酸素原子、1又は
2個の硫黄原子、1〜3個の窒素原子から選ばれる1〜
3個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル基が挙げ
られ、具体的には、4−ピペラジニル、ピペラジノ、4
−ピペリジニル、3−モルホリニル、モルホリノ、3−
チオモルホリニル、チオモルホリノ、1,3−ジオキサ
ン−4−イル、1,3−ジオキサン−2−イル等が挙げ
られる。アリール基としては、フェニル基、またはナフ
チル基が挙げられる。
【0020】本明細書において、アルキル基の置換基と
しては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ
基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基、1または2個のアルキル基で置換されたカルバ
モイル基、アミノ基、1または2個のアルキル基で置換
されたアミノ基、ヘテロシクロアルキル基、などが挙げ
られ、同一もしくは異なるものが複数置換していてもよ
い。ヘテロシクロアルキル基およびシクロアルキル基の
置換基としては、アルキル基、アルキルカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、1または2個
のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基
(該カルバモイル基に置換している2個のアルキル基が
結合し、0から1個の窒素原子、硫黄原子、もしくは酸
素原子といっしょになって、ヘテロシクロアルカンを形
成していてもよい。)、オキソ基等が挙げられ、同一も
しくは異なるものが複数置換していてもよい。アリール
基の置換基としては、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ
基、アルキル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ハロ
アルコキシ基、水酸基、カルバモイル基、1または2個
のアルキル基で置換されたカルバモイル基、アミノ基、
1または2個のアルキル基で置換されたアミノ基、アル
キルスルホニル基、アルキルスルフィニル基等が挙げら
れ、同一もしくは異なるものが複数置換していてもよ
い。
【0021】上記式(1)〜(5)において、XがCH
を表す場合、R15は、好ましくは水素原子を表す。
【0022】上記式(5)において、R15における置
換基は、具体的には水素原子、置換もしくは無置換のア
ミノ基、アルコキシ基、またはアルキル基等を表し、R
およびR13における置換基は、具体的には、独立
して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキ
シ基、アルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、
カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、スルフ
ァモイル基、またはN−アルキルスルファモイル基等を
表し、R14における置換基は、具体的には、水素原
子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無
置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロシクロ
アルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、
アルコキシ基、アルキルチオ基、またはアルキルスルフ
ィニル基等を表す。R14とYが結合して環を形成する
場合の環としては、0〜1個の硫黄原子、窒素原子、も
しくは酸素原子を含む、5もしくは6員環が挙げられ
る。YおよびZの一方がNR11を表す場合、他方は、
CH、窒素原子、硫黄原子、もしくは酸素原子を表し、
YおよびZの一方がCR11を表す場合、他方は、窒素
原子、硫黄原子、もしくは酸素原子を表す。また、Yも
しくはZがNR11を表し、R11が置換もしくは無置
換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のヘテロシ
クロアルキル基を表す場合、好ましくは、R14は水素
原子を表す。また、R14が置換もしくは無置換のアリ
ール基、置換もしくは無置換のヘテロシクロアルキル基
を表す場合、好ましくは、R11は水素原子、もしくは
炭素数3以下のアルキル基を表す。R15における置換
もしくは無置換のアミノ基が置換されている場合の置換
基としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換アル
キル基(置換基としては、置換アリール基、水酸基、ア
ルコキシ基などが挙げられる。)等が挙げられる。R
14とYは結合して、環を形成している場合、好ましく
は、以下の式:
【化10】 (式中、WはCH、酸素原子、または硫黄原子を表
す。)で表される環を形成する。
【0023】また、本発明の分化誘導剤として、式
(1):
【化11】 [式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基を表
し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン
原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル
基、ニトロ基、シアノ基を表す。]で表される化合物、
またはその薬学上許容される塩等が挙げられる。例え
ば、PD1639316、すなわち式(6):
【化12】 で表される化合物もしくはその薬学上許容される塩、SB
202190、すなわち式(7):
【化13】 で表される化合物もしくはその薬学上許容される塩、SB
203580、すなわち式(8):
【化14】 で表される化合物もしくはその薬学上許容される塩等が
挙げられる。
【0024】本明細書における、式(1)〜式(4)で
表されるp38MAPキナーゼ阻害剤、および式(5)〜式
(8)で表される化合物およびその薬学上許容される塩
は、前記の文献等に記載された公知の方法で製造するこ
とができる。
【0025】本発明のスクリーニングにより得られる化
合物、本発明におけるp38MAPキナーゼ阻害剤、式(5)
〜式(8)で表される化合物が酸性基もしくは塩基性基
を有している場合、これらは薬学上許容される塩を形成
していてもよく、該薬学上許容される塩としては、酸付
加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩として
は、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素
酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シ
ュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸
塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メ
タンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、パラトルエン
スルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、塩基付加塩とし
ては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグ
ネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチ
ルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピ
リジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機
塩基塩等が挙げられ、アルギニン、アスパラギン酸、グ
ルタミン酸などの塩基性あるいは酸性アミノ酸といった
アミノ酸塩が挙げられる。
【0026】本発明のスクリーニング方法で得られる再
生医療用薬剤が、細胞である場合、これを医薬として用
いるにあたり、対象となる臓器へ直接注入する方法、ま
たは、静脈内投与、動脈内投与する方法、他臓器への移
入などの方法で投与することができる。 本発明のスクリ
ーニング方法で得られた再生医療用薬剤が、分化誘導剤
またはその薬学上許容される塩である場合、これを医薬
として用いるにあたり、対象となる臓器へ直接注入する
方法や、静脈内投与、経口投与、吸入、経皮吸収などの
方法で投与することができる。上記分化誘導剤またはそ
の薬学上許容される塩の投与量、投与回数は、症状、年
令、体重、投与形態によって異なるが、通常は成人に対
して該分化誘導剤またはその薬学上許容される塩の有効
成分量として、1日あたり約1〜2000mg、好ましくは1
0〜200mgを1回または数回に分けて投与することがで
きる。
【0027】本発明を具体的に説明するために、以下に
実施例を示すが、本発明はもとよりこれに限定されるも
のではない。
【0028】
【実施例】実施例1:CIA由来破骨細胞様細胞の調製と
培養 培養液; 10% FCS (Hyclone) 、100U/mlペニシリン、10
0 μg/mlストレプトマイシンを含むフェノールレッド不
含のα-MEM (GIBCO) 培養条件; 37℃,5% CO2 操作; 抗原追加免疫から2週間後に発症してくるコラ
ーゲン関節炎マウス(J Rheumatol 1998;25:1154-116
0.)の羅患足根組織を回収し、ミンス後10%FCSα-MEM
中でdispaseおよびcollagenase S1により5〜6時間処
理し、単分散細胞浮遊液を回収した。これを遠心、再懸
濁により洗浄し2.0×104 cells/wellになるように96 穴
プレートあるいは24穴プレートにまきこんだ。さらに被
験物質溶液を添加し、最終液量200 μl/wellから1 ml/w
ellで2〜4週間培養した。培養液を、培養2週間後からは
週1回その3/4量を交換した。Beating 細胞はビデオ撮影
し、拍動を観察した。骨格筋の免疫染色は、培養プレー
トの培養液を取り除いた後、PBSで細胞を穏やかに洗浄
後、メタノールで固定し、抗トロポニンT抗体と酵素標
識した二次抗体と発色基質を用いて染色した。染色に
は、Santa CruzBiotechnology社のABC Staining System
を用い、そのプロトコールに従った。また、上記と同様
に別途調製した培養細胞を、SIGMA社のAcid Phosphatas
e, Leukocyte Kitを用い、酒石酸体性酸フスファターゼ
染色、さらにSIGMA社のBCIP/NBTAlkaline Phosphatase
Substrateを用い、アルカリフォスファターゼ染色し
た。 結果:SB202190またはPDPD169316を1, 10μM添加したwe
llでは培養6日目に自発運動をする細胞コロニーが出現
した。 7日目には0.1μM添加のwellでも3 well中1well
でbeating cellがひとつ観察され、濃度依存的にコロニ
ーが形成されることが示された。Santa Cruz Biotechno
logy社の骨格筋特異的な抗トロポニンT-FS抗体および心
筋特異的な抗トロポニンT-C抗体でこのコロニーを免疫
染色した結果、図1のようにSB202190またはPDPD169316
処理した場合にのみ特異的染色が観察された。また、酒
石酸体性酸フスファターゼ染色およびアルカリフォスフ
ァターゼ染色の結果、破骨細胞ならびに骨芽細胞への分
化がともに抑制されていることが観察された。
【0029】
【発明の効果】本発明により、再生医療用薬剤のスクリ
ーニング方法を提供することが可能になった。また、該
スクリーニング法により見出された、心筋細胞の再生医
療に利用可能な薬剤、および幹細胞よりインビトロで分
化誘導された心筋細胞を提供することが可能となった。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス足根組織より調製した単分散細胞から
骨格筋、心筋への分化誘導を示す図である。A、DはSB
202190を、B、DはPD169316を、それぞれ10μMで添
加し、2週間培養したものを示す。C、Fは培地のみで
培養したものを示す。免疫染色は、A〜Cは抗トロポニ
ンT−FS抗体を用いて骨格筋を、D〜Fは抗トロポニ
ンT-C抗体を用いて心筋を、それぞれ検出した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 // C07D 401/04 C07D 401/04 Fターム(参考) 4B063 QA01 QA18 QQ08 QR41 QR77 QX01 4C063 AA01 BB01 CC25 DD12 EE01 4C084 AA17 MA52 MA57 MA63 MA65 MA70 NA14 ZA362 ZA942 ZC202 4C086 AA01 AA02 BC38 GA07 GA08 MA01 MA04 NA14 ZA36 ZA94 ZC20

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未分化の体性幹細胞を含む骨髄細胞、お
    よび/または、未分化の体性幹細胞を含む筋肉細胞の培
    養細胞に、被験物質を添加することにより、該培養細胞
    が特定の細胞へ分化誘導されるか否かを調べることを特
    徴とする、再生医療用薬剤のスクリーニング方法。
  2. 【請求項2】 培養細胞が、マウス足根組織から取得さ
    れる単分散細胞である、請求項1記載のスクリーニング
    方法。
  3. 【請求項3】 分化誘導が、骨格筋、および/または、
    心筋細胞への分化誘導である請求項1または2記載のス
    クリーニング方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載のスクリー
    ニング方法で得られる化合物を有効成分として含有する
    分化誘導促進剤。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の分化誘導促進剤により、
    分化誘導された細胞を有効成分として含有する再生医療
    用薬剤。
  6. 【請求項6】 p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分
    として含有する、骨格筋および/または心筋への分化誘
    導促進剤。
  7. 【請求項7】 p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分
    として含有する、骨格筋および/または心筋の再生医療
    用薬剤。
  8. 【請求項8】 p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分
    として含有する、骨格筋および/または、心筋の異常を
    呈する疾患の治療剤。
  9. 【請求項9】 式(1): 【化1】 [式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
    アルコキシ基、ハロアルキル基、またはハロアルコキシ
    基を表し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基、ハ
    ロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィ
    ニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。]で表され
    る化合物、またはその薬学上許容される塩を有効成分と
    して含有する分化誘導促進剤。
  10. 【請求項10】 式(1)において、Rがフッ素原子
    を表し、Rが、水酸基、ニトロ基、またはメタンスル
    ホニル基で表される、請求項9記載の分化誘導促進剤。
  11. 【請求項11】 請求項9または10記載の分化誘導促
    進剤を有効成分として含有する、骨格筋、および/また
    は心筋の再生医療用薬剤。
  12. 【請求項12】 請求項9または10記載の分化誘導促
    進剤を有効成分として含有する、骨格筋、および/また
    は心筋の異常を伴う疾患の治療剤。
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JP4814955B2 (ja) * 2005-11-25 2011-11-16 インダストリー−アカデミック コーポレーション ファウンデーション,ヨンセイ ユニバーシティ 筋芽細胞又は筋繊維から神経細胞への分化を誘導する化合物、これを含む薬学的組成物、神経細胞への分化を誘導する方法、及び神経細胞への分化を誘導する化合物を同定するスクリーニング方法

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