JP4012323B2 - 自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用ディスクホイールのハブ面の平面精度を測定する装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
自動車用ディスクホイールをテーブル上にセットするとともに、ディスクホイールのディスクフラット部(ハブ面)に測定子を押し付け、測定子とディスクホイールの一方を他方に対して1周分相対的に回転させ、その際の測定子のディスクフラット部の面(ハブ面)と直交方向の動きを測定子に連動する測定器により前記1周分の回転中複数点で測定してデータをサンプリングし、前記データを処理して前記データから傾き成分を除去した値をディスクホイールのディスクフラット部(ハブ面)のうねりと認定する自動車用ディスクホイールのディスクフラット部(ハブ面)のうねり測定装置が特開平7−198373号公報で公知である。
【0003】
この測定装置では、図11のように、回転テーブル1上にセットしたディスクホイール2のディスクフラット部(ハブ面)2aに測定子、例えばスタイラスローラ3の外周を当接し、回転テーブル1を回転させてスタイラスローラ(測定子)3の図示上下方向の動きを電気信号に変換し、この電気信号をうねり量としてフーリエ変換し、1次の正弦波成分をディスクフラット部(ハブ面)2aの傾き成分として除去して真のうねり量(凹凸量)を算出する。
【0004】
図12は傾き成分を除去する前の、即ち傾き成分補正前のうねり量を縦軸に示し、傾き成分である1次の正弦波信号成分と真のうねり量の重畳であらわされる。図13は傾き成分補正後のうねり量、つまり真のうねり量である。
【0005】
図12に示すように、傾き成分補正前では、真のうねり量0.05mmに傾き成分が重畳されて全体として見掛け上0.30mmのうねり量となっている。傾き成分補正後、即ち傾き成分(1次の正弦波成分)を除去した後では図13に示すように真のうねり量0.05mmだけになる。
【0006】
なお、この真のうねり量0.05mmは凹凸量とも呼ばれるが、厳密には平行度と呼ばれるもので、傾き成分補正後のうねり量の最大値と最小値の差をいう。
図12で符号4は傾き成分(1次の正弦波成分)を示す。また、図13で符号5はいわば後述する基準面に相当する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術では、図13の符号5で示す直線を基準面としてディスクホイールのハブ面の平行度を計測している。そして、この符号5で示すいわば基準面は、ハブ面の凹凸(うねり)を計測した信号をフーリエ解析して得たもので、ハブ面の凹凸の平均値的な部位がこの基準面になっている。
【0008】
本来ディスクホイールの基準となる部分は、このディスクホイールを取り付けるべき車両側のハブ面である。この車両側ハブ面である平面に当るディスクホイールのハブ面の3点を含む平面を測定の基準面とすべきである。そして、この3点は、高い方から三つの3点であって、しかもこの3点を含む平面(つまり3点当たり基準面)は、ディスクホイールの中心(軸心)を含む平面にすると良い。
【0009】
図14に示すように、従来技術では、符号5で示す前記基準面を基準とした凹凸量(平行度)をP1 で示すが、3点当たり基準面6を基準とした凹凸量(平行度)はP2 となり、P1 とは異なる値となり、P1 では実用的でないという問題点があった。また、車両側のハブ面に接触しない谷部の深さを測定しても意味がない。符号7は凹凸(うねり)のデータによる曲線を示す。
【0010】
また、大型車用ディスクホイールのように取り付け面が全面フラットなものは、曲線7がホイールの1回転に亘って連続的であるが、小型車両用のディスクホイールでは、平行度の規格が例えば0.07mm以下と小さい。そのため、ハブ面の凹凸を計測するセンサを高感度にする必要があり、結果として、センサの寸法計測範囲が小さくなる。かつ、小型車用ディスクホイールでは取り付け面であるハブ面が全面フラットではなくて、意匠的な面からの要求もあってフラット面でないものがある。
【0011】
このようなホイールではセンサで計測した凹凸量(センサの信号)の変化が図15に示すように、連続的でない断続的な量7Aとなる。このような場合は、前記従来の技術を適用することは不可能で、3点P1 ,P2 ,P3 に当る3点当たり基準面6Aを基準として平面度などの量を算出すると良い。
【0012】
このように前記従来技術を小型車用ディスクホイールに適用できない場合があるという問題点もあった。
そこで、本発明はこのような問題点を解消できる自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置を提供することを第1の目的とする。
【0013】
更にまた、小型車用ディスクホイールでは、これを車両に取り付けるときに、車両側のハブ面に当たる外側当たり面と内側当たり面とを備えており、外側当たり面をディスクホイールのハブ面と呼び、内側当たり面をディスクホイールのインナーパッド部又は段差部と区別して呼んでいる。
【0014】
ディスクホイールハブ面の当たり面はボルト孔数やデザイン等により外側当たり面数は4,6,8,10,12ヶ所、内側当たり面数は1,4,6,8等あるが、ここでは外側8ヶ所、内側1ヶ所について図16に例示する。2はディスクホイール、8は車両へディスクホイール2を取り付けるための4個のボルト孔、9A〜9Hは外側当たり面(ハブ面)、10は内側当たり面(インナーパッド部又は段差部)、11はハブ孔、12は外側当たり面9A〜9Hと内側当たり面10の両方を含む広い意味でのハブ面を示す。13はディスクホイール2を回転テーブル1に固定するコレットチャックである。
【0015】
ところで、ハブ面9A〜9Hと区別する段差部10を有するディスクホイールではハブ面と段差部との段差量とか平行度等の寸法を計測して規格内にあるかどうかも計測する必要があり、前記従来の技術ではこれらを計測する技術については何も示唆されてない。
【0016】
そこで、本発明は狭い意味のハブ面9A〜9Hと段差部10との段差量等を計測できる測定装置を提供することを第2の目的とする。
なお、図16でハブ面9A〜9Hと、段差部10に設けたハッチングは断面の意味ではなく、これらの部分を明確に指示するためのものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するために、請求項1の発明は、ディスクホイールの外側当たり面であるハブ面の平面精度を測定するために、該ハブ面の凹凸を計測するセンサとディスクホイールとを相対的に回転させるようにした測定装置において、
測定したハブ面の高さと、半径を基にX、Y、Zの3次元座標化を行い、ハブ面の各ピーク点を求め、求めた各ピーク点のうち最も高い点をPs1とし、該点Ps1と反対側の半円幅において最も高い点をPs2とし、前記点Ps1と点Ps2の夫々の対角点の間において最も高い点をPs3とし、前記Ps1、Ps2、Ps3の3点で形成される平面で、かつこれら3点で作る三角形の各頂角が90°以下の平面を基準面とし、この基準面からの距離に基いてハブ面の平面度を演算することを特徴とする自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置である。
【0018】
そして、前記第1と第2の目的を達成するために、請求項2の発明は、請求項1の自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置において、外側当たり面であるハブ面と、内側当たり面である段差部の凹凸を自動計測し、演算手段によりハブ面の傾斜補正を行って、平面度、段差量等の特性値の測定結果を表示することを特徴とするものである。
【0019】
そして又、請求項3の発明は、請求項2の自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置において、凹凸の波形と、特性値の測定結果とをプリントアウトすることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好ましい実施の形態を、図面の実施例に基いて説明する。
図1〜図3において、回転台1は角度エンコーダを備えたD・Dモータ14で一定方向に回転され、その回転角度αはセンサ15の信号を取り込んで演算するパソコン16に取り込まれる。
【0021】
センサ15はその下端の接触子15Aがばね15Bで下方に付勢されて、ディスクホイール2の外側当たり面であるハブ面9A〜9Hに当接し、その上下移動量をセンサに組み込んだ磁気スケール15Cが電気信号に変換する。磁気スケールは例えば市販のSONYマグネスケールDT512P/LT11を用いることで、12mmの移動量に対して0.006mm以下の誤差に抑えることができる。
【0022】
あらかじめディスクホイール名毎に測定条件をセンサ移動装置にインプットしておき、ホイール名を選択して起動すると、センサ15は、上下移動用のモータ17と半径方向移動用のモータ18とを備えたセンサ移動装置で、外側当たり面であるハブ面9A〜9Hと、内側当たり面である段差部10A〜10Dに選択的に当接される。センサの接触子15Aは、図4(c)に示すように、下端がR5mm、幅Bが10mmのかまぼこ形をしていて、その母線方向(幅Bの方向)がハブ面9A〜9Hの半径方向である図4(c)の符号Cで示す方向を向いて設置されている。Cで示す半径方向寸法は小型ディスクホイールでは3〜10mm程度が利用される。15Dは接触子15Aの回動を阻止する回り止め用のキーである。
【0023】
図1および図2においてセンサ15の接触子15Aをハブ面9A〜9Hに当接させて、D・Dモータ14で回転テーブル1を回転させ、ワークであるディスクホイール2を同時に一定方向に回転させると、センサ15の磁気スケール15Cに、図4(d)で示すA〜Hの信号波形が得られる。A〜Hは、それぞれ9A〜9Hに対応する。
【0024】
このセンサ信号は、パソコン16で演算されて、図6〜図9のソフトで演算される。ステップ113で、3個のピーク点を含むハブ面基準面が求められる。
ステップ101では測定したハブ面の高さHと、半径Rを基にX,Y,Zの3次元座標化をしている。
【0025】
ハブ面の各ピーク値を求める当たり面(凸部)9A〜9Hの8つの数のブロックA,B,…,Hに分割する(ステップ103)。
各ブロックのピーク点をステップ105で求め、最も高い点を1点目Ps1 とする(ステップ107)。
【0026】
1点目と反対側の半円幅で最も高い点をPs2 とする(ステップ109)。
Ps1 とPs2 の対角点の間から最も高い点をPs3 とする(ステップ111)。
【0027】
3点Ps1 ,Ps2 ,Ps3 を含む平面をハブ面基準面(基準平面)として求める(ステップ113)。図4(d)で、区分B,D,Gの頂点がこれら3点に対応している。
【0028】
これで、求めた基準平面は、ディスクホイールの中心(軸心)を含むことになる。
求めた基準平面の放線ベクトルに基いてステップ115で座標変換して傾斜角を補正して、ステップ118でハブ面の平面度(基準平面からの最大値)を求める。
【0029】
図4(e)で、傾き補正した基準平面6Bからの距離20がハブ面の平面度である。
次に、図1〜図4で、センサ15の位置を段差部10A〜10Dに移し、ディスクホイール2を回転させて、段差部の測定データを3次元座標化(ステップ119)し、ハブ面の基準座標系に座標変換し(ステップ121)、4つのブロックに分割し(ステップ123)、各ブロックのピーク点を求め(ステップ125)、段差量を求める(ステップ127)。
【0030】
そして、ステップ129〜145で段差部平面度を求める。段差部平面度|Zd′|maxは、図5(b)に示されている。
更にステップ147で段差部の平行度を求める(図5(c)及び図9参照)。
ハブ面当たり面数が本例と異なる場合も同様な考え方で演算する。
【0031】
こうして得た特性値の測定演算結果と凹凸波形は、図3のディスプレイ(CRT)30に表示したり、必要に応じてプリンタ31でプリントアウトする。
なお、図5で、(a)に示すように、ハブ面基準面6Bからの段差部の各山の最高値までの距離の〔最小値〜最大値〕を段差量としている。また、同図(b)に示すように、段差部の凹凸波形から各山の最高値のうち、上位3点を含む面を段差部基準面とする(但し、この3点で作る三角形内にハブ穴中心軸が含まれることを基準面の条件としている)。段差部基準面から段差部各山の最高点までの距離のうち、最大値を段差部平面度としている(図5(b))。
【0032】
又、ハブ面基準面から段差部基準面までの距離の〔最大値−最小値〕を段差部平行度としている。
なお、表示したりプリントアウトする波形は、計測のままの生データの波形や演算後の波形を扱うのが良く、測定条件及び上記諸特性の一覧表がアウトプットされるようにパソコン16のソフトを構成してある。
【0033】
なお、又、図11の従来技術では、測定時にスタイラスローラ3が回転するため、スタイラスローラ3の偏心とか真円度などの影響が測定データに混入して誤差(ノイズ)となる欠点があるが、実施例では接触子15Aの形状からして、そのような誤差は全く混入しない利点がある。
【0034】
図10は回転テーブル1へのディスクホイール2の取付構造が図4と異なる実施例で、図4ではディスクホイール2のハット部の表面(図示下面)が回転テーブル1の上面に当接しているが、図10では、回転テーブル1の上面に突出する複数のピン1aでディスクホイール2の表面(図示下面)を受ける。この図10では、図4と比較してハット部の精度が影響しないため(ハブ面がより水平になるため)、平面精度の測定データの誤差を小さくできる利点がある。
【0035】
【発明の効果】
本発明のハブ面平面精度測定装置は上述のように構成されているので、大型車両用ディスクホイールのようにハブ面全面がフラットでない小型車両用ディスクホイールの平面度を測定できる。また、ハブ面基準面を、ハブ中心孔の中心を含み、かつ3点当たり面としたので、車両への取付条件に近い最良の条件での平面度を求められる利点がある。
【0036】
そして、請求項2,3の発明では、更に段差部に関係する諸特性値や凹凸波形なども確認でき、ディスクホイールを生産するときの品質管理及び車両の振動解析の道具として役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の機構部の正面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】本発明の実施例の要部のブロック図である。
【図4】本発明を説明する図で、(a)はディスクホイールの取付方法の一例を示す正面図、(b)はディスクホイールの一部平面図、(c)はディスクホイールのハブ面に当接するセンサの接触子を説明する一部断面拡大斜視図、(d)はセンサ信号の凹凸波形を説明する図、(e)は傾き補正した凹凸波形の図である。
【図5】(a)は段差量を説明する線図、(b)は段差部平面度を説明する線図、(c)は段差部平行度を説明する線図である。
【図6】フローチャートである。
【図7】フローチャートである。
【図8】フローチャートである。
【図9】フローチャートである。
【図10】本発明の他の実施例のディスクホイールの取付構造を示す略正面図である。
【図11】従来技術の機構部の一部を示す正面図である。
【図12】従来技術の傾き成分補正前のうねり量を説明する線図である。
【図13】従来技術の傾き成分補正後のうねり量を説明する線図である。
【図14】従来技術と本発明の傾き補正後のハブ面平面度の相異を説明する図である。
【図15】ハブ面の凹凸測定波形が連続でなく断続的な場合の凹凸波形を説明する図である。
【図16】ディスクホイールの図で、(a)は平面図、(b)はディスクホイールを回転テーブルに取り付けた状態の一部縦断正面図である。
【符号の説明】
1 回転テーブル
2 ディスクホイール
9A〜9H ハブ面
10A〜10D 段差部
15 センサ
16 パソコン
30 CRT(ディスプレイ)
31 プリンタ
Claims (3)
- ディスクホイールの外側当たり面であるハブ面の平面精度を測定するために、該ハブ面の凹凸を計測するセンサとディスクホイールとを相対的に回転させるようにした測定装置において、
測定したハブ面の高さと、半径を基にX、Y、Zの3次元座標化を行い、ハブ面の各ピーク点を求め、求めた各ピーク点のうち最も高い点をPs1とし、該点Ps1と反対側の半円幅において最も高い点をPs2とし、前記点Ps1と点Ps2の夫々の対角点の間において最も高い点をPs3とし、前記Ps1、Ps2、Ps3の3点で形成される平面で、かつこれら3点で作る三角形の各頂角が90°以下の平面を基準面とし、この基準面からの距離に基いてハブ面の平面度を演算することを特徴とする自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置。 - 外側当たり面であるハブ面と、内側当たり面である段差部の凹凸を自動計測し、演算手段によりハブ面の傾斜補正を行って、平面度、段差量等の特性値の測定結果を表示することを特徴とする請求項1記載の自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置。
- 凹凸の波形と、特性値の測定結果とをプリントアウトすることを特徴とする請求項2記載の自動車用ディスクホイールのハブ面平面精度測定装置。
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