JP5371299B2 - タイヤ姿勢角計測方法、及びタイヤ姿勢角計測用冶具 - Google Patents
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Description
タイヤの傾き(姿勢角)には、スリップ角、キャンバー角、トー角等があるが、回転中に計測部位が振れていると、走行している車両のタイヤの姿勢角を正確に計測することは出来ない。
その後、姿勢角計測工程にて、走行する車両における計測面の向きを路面側に設けられた姿勢角計測装置で計測する。
姿勢角計測工程では、振れが抑えられている計測面を用いてタイヤの姿勢角の計測を行うことができるので、走行中の車両のタイヤの姿勢角を正確に計測することができる。
調整ボルトの調整を行うと、ベース部材と姿勢角計測部材との連結部位における姿勢角計測部材が撓む。
調整ボルトは回転軸周りに複数設けられているので、ホイールを回転させて回転時の計測面の回転軸方向の振れがなくなるように、各調整ボルトの調整を行う。
請求項2に記載のタイヤ姿勢角計測方法では、調整工程において、計測面の回転軸方向の振れ(ランアウト)を0.05mm以下に調整することで、例えば、スリップ角0.01°の精度が確保できる。
ベース部材をホイールの側部に配置し、ベース部材を取付部材でホイールに取り付けることでタイヤ姿勢角計測用冶具がホイールに固定される。
調整ボルトの調整を行うと、ベース部材と姿勢角計測部材との連結部位における姿勢角計測部材が撓む。
(タイヤ姿勢角計測用冶具)
先ず最初に、図1、及び図2にしたがって、タイヤ姿勢角計測用冶具10を説明する。
図1に示すように、タイヤ姿勢角計測用冶具10は、冶具本体12、冶具本体12を、車両のハブに設けられたハブボルト(図示省略)に連結するための冶具取付ナット16、及び冶具取付ボルト18を供えている。
第1のプレート22には、ハブボルトに対応する位置にボルト孔(図示せず)が形成されている。
第3のプレート26の中心には、ボルト34が貫通するボルト孔(図示せず)が形成されており、第3のプレート26の車両幅方向外側からボルト34を、第3のプレート26、及び円筒部材40を貫通させて円柱部材30の雌ネジに締め込むことで、第3のプレート26及び円筒部材40が第2のプレート24に固定されている。
一方、第2のプレート24には、第3のプレート26の調整ボルト38が貫通されるボルト孔(図示せず)が複数形成されている。
タイヤ姿勢角計測用冶具10を取り付けるには、先ず、ホイール20を固定しているホイールナットの幾つか(本実施形態では3個)を取り除き、その代わりに冶具取付ナット16を取り付ける。
なお、タイヤ姿勢角計測用冶具10は、姿勢角を計測したいホイール20に取り付ければ良い。
先ず、図1に示すように、タイヤ姿勢角計測用冶具10の取り付けられた車輪(ホイール20)を路面から浮かせ、ホイール20の表面側(軸方向外側)の路面(床)48等に、ダイヤルゲージ50を取り付けたスタンド52を固定する。
そして、ダイヤルゲージ50は、スピンドル50Aを第3のプレート26の計測面26Aの外周付近に対して直角に向け、計測子50Bを計測面26Aに接触させる。
しかしながら、ホイール20の回転に伴いダイヤルゲージ50の針50Cが振れる場合には、計測面26Aが軸方向に振れていることになるので、計測面26Aの向きの修正が必要となる。
なお、本実施形態では、第3のプレート26は、円筒部材40を固定端として図1の2点差線で示す様に撓むことになる。
図3は、走行中の車両54のタイヤ姿勢を計測する計測システム58の概略が示されている。
路面56の左側(矢印L方向側)には、車両左側の計測面26Aまでの距離を計測する第1の左下側レーザー変位計60、及び第2の左下側レーザー変位計62が路面進行方向(矢印F方向)に間隔を開けて配置され、路面56の右側には車両右側の計測面26Aまでの距離を計測する第1の右下側レーザー変位計64、第2の右下側レーザー変位計66、及び第3の右下側レーザー変位計68が路面進行方向に間隔を開けて配置されている。
各レーザー変位計は、水平方向、かつ路面進行方向に対して直角方向で、かつ路面幅方向中心側にレーザービームが出射するように路面56の側方に配置されている。
なお、例えば、ビーム間隔L=300mm時で、計測面26Aの回転軸方向の振れ(ランアウト)を0.05mm以下に調整することで、姿勢角θ(例えば、スリップ角)0.01°の精度が確保できる。
先ず、タイヤ姿勢の計測に先立って計測システム58の初期較正を行う。
図5に示すように、直線状の路面56に対し、路面左側に路面進行方向(矢印F方向)に沿って直線状に延びる左側基準面80Lを路面56に対して垂直に配置し、路面右側に路面進行方向に沿って直線状に延びる右側基準面80Rを路面56に対して垂直に配置する。
次に、静的車体位置較正を行う。
先ず、図6(A)に示すように、車両54の全長をL1、車両54の幅方向中心線である車体中心線BCLと車両54の中心点BPを通る路面進行方向に沿った仮想線FL1とが成すズレの角度をθ1、車両前端における車体中心線BCLと仮想線FL1との路面進行方向に対して直角方向に計測するずれ量Yf、車両後端における車体中心線BCLと仮想線FL1との路面進行方向に対して直角方向に計測するずれ量Yr、車両54の右側面に車体中心線BCLと平行、かつ路面に対して垂直に取り付けた車体スリップアングル参照板82と路面進行方向とのなす角度をθ2、第1の右下側レーザー変位計64から車体スリップアングル参照板82までの距離Ly1(較正値を加算した値)、第2の右下側レーザー変位計66から車体スリップアングル参照板82までの距離Ly2(較正値を加算した値)、第1の右下側レーザー変位計64と第2の右下側レーザー変位計66のビーム間距離をL2、車体中心線BCLに対する真の静止時の車体スリップアングル参照板82の角度をθZERO、と定義する。
なお、Ly1、Ly2は、較正値を加算した値とする。レーザー計測値大は近く、小は遠いことを表す。)。
車両54の進行方向は、図6(B)に示すように車両54を走行させ(実線から2点鎖線まで移動)、車両54の車体スリップアングル参照板82までの距離を第1の右下側レーザー変位計64と第3の右下側レーザー変位計68で計測して算出する。なお、図6(B)において、Ly1は第1の右下側レーザー変位計64による距離計測値、Ly3は第3の右下側レーザー変位計68による距離計測値、L3は第1の右下側レーザー変位計64と第3の右下側レーザー変位計68のビーム間距離である。
図7に示すように、車両54の車体スリップアングル参照板82までの距離を第1の右下側レーザー変位計64と第2の右下側レーザー変位計66で計測して算出する。
路面進行方向(矢印F方向)に対する車両54の車体のスリップアングルθaは、arctan((Ly2−Ly1)/L2)−θZEROで表される。なお、値がプラスの場合は右向き、値がマイナスの場合は左向きを表す。また、Ly2、Ly1は較正値を加算した値である。レーザー計測値大は近く、小は遠いことを表す。
図8(A)に示すように、路面進行方向(矢印F方向)に対するタイヤ(計測面26A)のスリップアングルSA’(実側値)は、Ly1の時系列データ(計測面26Aの進行方向前側端で計測した距離Ly1(時刻t1の時)と、所定時間経過した後の計測面26Aの進行方向後側端で計測した距離Ly1(時刻t2の時))、及び車速から算出することができる。
なお、路面進行方向に対する車両54のスリップアングルを加味したホイール面(計測面26A)のトー角TOEは、TOE=SA’−θaで表すことができる。
また、車体進行方向に対するホイール面(計測面26A)のスリップアングルSAは、SA=SA’−θs(SAの値がプラスの場合は右、マイナスの場合は左)で表すことができる。
CA=arctan((Ly3−Ly2))/L3)
なお、図9(A)には、本発明のタイヤ姿勢角計測方法を用いた実車走行時のタイヤ姿勢計測結果例が示されている。
また、図9(B)には、真の車両54のスリップアングルθsaを算出する方法が示されている。
(試験結果の一例その2)
本発明のタイヤ姿勢角計測用冶具を用いてフロントの計測面の調整ありと調整なしの各々についてTOE(スリップアングル)を測定した。なお、リアは調整ありのまま固定した。測定結果を以下の表1に示す。結果は、トータルトー角を1/2とした片輪を想定した値である。
車両:国産のセダンタイプの乗用車
計測時の車速:60km/h
タイヤサイズ:PSR205/55R16
空気圧:230kPa
リム:6.5J×16
ちなみに、調整なしの場合のラウンナウト最大最小差は約1.0mm、調整ありの場合のランナウト最大最小差は0.05mm以内であった。ランナウト1.0mmの場合、計測面の径を300mmとした場合、理論上、ばらつきの最大値は約0.2度となる。
16 冶具取付ナット(取付部材)
18 冶具取付ボルト(取付部材)
22 第1のプレート(ベース部材)
24 第2のプレート(ベース部材)
26 第3のプレート(姿勢角計測部材)
26A 計測面
28 ボルト孔
30 円柱部材(ベース部材)
38 調整ボルト
42 第1のナット
44 第2のナット
Claims (3)
- 走行している車両のタイヤの姿勢角を計測するタイヤ姿勢角計測方法であって、
前記車両の車軸に装着されているホイールの回転軸に対して交差する方向の計測面を有する姿勢角計測部材と、前記姿勢角計測部材の前記ホイール側に配置されて前記ホイールに取り付けられるベース部材と、前記ベース部材と前記姿勢角計測部材とを連結すると共に、前記ベース部材と前記姿勢角計測部材との連結部位における前記姿勢角計測部材を撓ませて前記計測面の向きを調整する調整ボルトが回転軸周りに複数設けられた計測冶具を、前記タイヤが装着されているホイールに取り付ける冶具取り付け工程と、
走行する前記車両における前記計測面の向きを路面側に設けられた姿勢角計測装置で計測する姿勢角計測工程と、
ホイール回転時の前記計測面の回転軸方向の振れが小さくなるように、前記姿勢角計測工程の前に、前記調整ボルトで前記姿勢角計測部材を撓ませて前記計測面の回転軸方向の振れを修正して、前記計測面の向きを調整する調整工程と、を有し、
前記ベース部材は、前記車両のハブに設けられたハブボルトに対応する位置にボルト孔が形成され、前記ホイールと同軸的に配置される第1のプレートと、第1のプレートの車両幅方向外側に間隔を開けて前記ホイールと同軸的に配置され、前記調整ボルトが貫通されるボルト孔が設けられた第2のプレートからなり、
前記姿勢角計測部材には、前記第2のプレートに向かって延びる複数本の前記調整ボルトが、前記回転軸周りに等間隔に固定され、
前記調整ボルトには、前記第2のプレートの前記姿勢角計測部材側に第1のナットが螺合し、第2のプレートの第1のプレート側に第2のナットが螺合しているタイヤ姿勢角計測方法。 - 前記調整工程では、前記計測面の回転軸方向の振れを0.05mm以下に調整する請求項1に記載のタイヤ姿勢角計測方法。
- ホイールの側部に配置されるベース部材と、
前記ベース部材を前記ホイールに取り付けるための取付部材と、
前記ベース部材の車両幅方向外側に配置され、前記ホイールの回転軸に対して交差する方向の計測面を有する姿勢角計測部材と、
回転軸周りに複数設けられ、前記ベース部材と前記姿勢角計測部材とを連結すると共に、前記ベース部材と前記姿勢角計測部材との連結部位における前記姿勢角計測部材の撓みを調整する調整ボルトと、
を有し、
前記ベース部材は、車両のハブに設けられたハブボルトに対応する位置にボルト孔が形成され、前記ホイールと同軸的に配置される第1のプレートと、第1のプレートの車両幅方向外側に間隔を開けて前記ホイールと同軸的に配置され、前記調整ボルトが貫通されるボルト孔が設けられた第2のプレートからなり、
前記姿勢角計測部材には、前記第2のプレートに向かって延びる複数本の前記調整ボルトが、前記回転軸周りに等間隔に固定され、
前記調整ボルトには、前記第2のプレートの前記姿勢角計測部材側に第1のナットが螺合し、第2のプレートの第1のプレート側に第2のナットが螺合しているタイヤ姿勢角計測用冶具。
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