JP4011509B2 - 光通信方法、光通信システム、光信号送信装置及び光信号受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信方法、光通信システム、光信号送信装置及び光信号受信装置に関する。具体的には、光信号を送受信するシステムにおいて、信号の一部をモニタして盗聴しようとする行為を阻止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザの揺らぎを利用した秘匿通信方法として、2波長を同時に発振するファイバリング共振器型レーザ発振器の光子数揺らぎを利用した方法が提案されている。図13に示すようにこのレーザ発振器は、半導体光増幅器200と、方向性結合器201、203、206と、光増幅器202と、バンドパス光フィルタ204、205とを主な構成要素として備え、バンドパスフィルタ204、205が二つの方向性結合器203、206により光ファイバ207で形成されたリング経路上に並列に配置されていることを特徴としている。
また、上記レーザ発振器の光出力は、単峰性のモードで同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズ-アインシュタイン分布に従い、かつそれら二つのモードの光子の和の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光である
【0003】
これらのバンドパス光フィルタ204、205により二つの発振波長λ1、λ2が定められる。リング内を周回する光は単一偏波であるので、共振器を構成する光ファイバ207は偏波保持が望ましいが、通常の単一モードファイバを用いる場合には適切に偏波コントローラを配置することでも2波長同時発振が達成可能である。光増幅器202はループの光利得が損失を上回るための補助的な増幅器として用いる。このため、これは線形増幅器として作用してもよい。
【0004】
半導体レーザは利得飽和状態となるように,半導体レーザのバイアス電流値および光増幅器の利得により調整される。
半導体光増幅器200は飽和利得状態にあるため、波長λ1、または波長λ2で単一モード発振するモード引き込みは抑制される。その結果、波長λ1と波長λ2で同時に発振が可能となり、それらの波長の光出力、すなわち、単位時間あたりに出力される光子の総和の平均値はほぼ一定とみなせる。この状態に対応する、観測時間あたりに計数する光子数の確率分布は、図1に示すように、単一モードのレーザ発振で擬似的に実現できるコヒーレント状態に対応したポアソン分布となる。
【0005】
このような2波長同時発振状態で、波長λ1、または波長λ2の光をそれぞれ、バンドパス光フィルタ204、205等を用いて切り出すと、図1に示すような、カオス光に対応したボーズ‐アインシュタイン分布の光子計数統計を呈する。しかし、波長λ1および波長λ2を同時に分波した後に合波すると、再びもとのポアソン分布の光子計数統計となる。この現象は、安定なポアソン分布の光子計数統計を有するコヒーレント光から二つのカオス光を生成した後、再びコヒーレント光を生成するように見える。
【0006】
このような光子数揺らぎを利用して秘匿通信を実現するため、従来は2波長同時発振状態から出力される二波長光を一括変調してデータを重畳させ、その後、光フィルタにより波長λ1の光と、波長λ2の光とを分離し、それらを各々、異なる経路で伝送し、最後に再び二つの光を合波することにより光子数揺らぎの小さい安定な状態でデータを復調するようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
伝送経路で盗聴者が盗聴しようとすると、波長λ1、または波長λ2の光を単独で検出するかぎりにおいては光子状態がカオスとなっているため、単独波長での復調は不可能となる。
また、1本の光ファイバで伝送しようとする場合には、多数の異なる波長の光信号と多重化させることにより波長λ1の光と、波長λ2の光の組み合わせを発見する確率を大幅に低減でき、盗聴によりただちに復調することを阻止することが可能となる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−290380号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した光子数揺らぎを利用して秘匿通信を実現する従来の光通信方法を使用して通信を行った場合には、データが重畳された二つの信号光は、方向性結合器等の合波手段とそれを直接検波する手段を有する他人により復調される可能性がある。
【0010】
たとえば、図14に示すように、送信側で、2波長発振レーザ発振器300において、同時発振した波長λ1の光と、波長λ2の光を変調器301により一括変調し、この変調器出力を分波手段302により波長λ1の光と、波長λ2の光に分波して各々別の伝送路303、304に挿入するところで同時に盗聴によりモニタ光を取得して合波すれば復調される可能性がある。
また、受信側で伝送路303、304からそれぞれ、出力される波長λ1の光と、波長λ2の光を合波手段305により合波された光を光検出器306と同様の検出手段によりモニタすることにより取得しても同様に復調される可能性がある。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、モニタ光を不正に取得して合波するという簡易な方法により、送信するデータを復調して盗聴するという行為を排除し、秘匿性の向上を図った光通信方法、光通信システム、光信号送信装置及び光信号受信装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、送信側では、少なくとも二つの発振波長で同時発振して総和が一定となるように調整されたレーザの光出力から生成した一定の時間幅を有する矩形の光束を波長毎に分離し、該分離された二つの波長の矩形光束のうち、一方の波長の矩形光束はそのままとし、かつ他方の波長の矩形光束を変調してデータを重畳し、その後、これら二つの波長の矩形光束を合波して送信し、受信側では前記送信側から受信した光束を波長毎に分離し、前記2つの波長の矩形光束を時間的に整合させた状態で合波して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光通信方法において、前記レーザの光出力は、単峰性のモードで同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズ-アインシュタイン分布に従い、かつそれら二つのモードの光子の和の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、二つの発振波長で同時発振し、光出力の総和が一定となるように調整されたレーザ発振器と、該レーザ発振器の光出力から一定の時間幅を持った矩形の光束を生成する光束発生手段と、光束発生手段より出力される矩形光束を波長毎に分離する第1の波長分離手段と、前記第1の波長分離手段により分離された波長の異なる二つの矩形光束のうち、そのまま送信される第1の矩形光束とは異なる第2の矩形光束を記憶する第1の光メモリと、一定の間隔で前記第1の光メモリから取り出した前記第2の矩形光束を変調してデータ信号を重畳する変調手段と、前記第1の波長分離手段により分離された第1の矩形光束と、前記変調手段により前記データ信号が重畳された第2の矩形光束とを合波して伝送路に送出する第1の合波手段とを有する光信号送信装置と、
前記伝送路から送られてきた矩形光束を波長毎に分離する第2の波長分離手段と、前記第2の波長分離手段により分離された二つの異なる波長の矩形光束のうち前記第1の矩形光束を記憶する第2の光メモリと、前記第2の光メモリより前記第1の矩形光束を読み出す際に、前記第2の波長分離手段より前記第2の矩形光束を取得する毎に該第1の矩形光束の読み出しタイミングと、前記第2の矩形光束の出力タイミングとを整合させる時間調整手段と、前記時間調整手段により時間的に整合がとられた前記第1の矩形光束と第2の矩形光束とを合波する第2の合波手段と、前記第2の合波手段の出力を直接検波して復調する復調手段とを有する光信号受信装置と、
を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光通信システムにおいて、前記レーザ発振器は、光ファイバを用いた経路がリング型光共振器で構成され、前記経路の一部に並列配置された、異なる二つの波長の光を選択する波長選択手段と、二つの波長を一括して増幅する利得飽和状態で動作する単一偏波型の半導体レーザ増幅器とを有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4のいずれかに記載の光通信システムにおいて、前記第1、第2の光メモリは、光増幅部と、方向性結合器による入出力部と、周回する前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束を通過させる波長可変フィルタを有する光ファイバループであり、前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束がループを周回する毎にレプリカの光束を生成しながら元の光束を記憶することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3または4のいずれかに記載の光通信システムにおいて、前記第1、第2の光メモリは、光増幅器と、入力部を形成する光路切替スイッチと、光入出力部を形成する第1のWDMカプラと、非線形媒質と、変換光を出力する第2のWDMカプラと、連続光を発生するレーザ光源と、波長可変光フィルタとを有する光ファイバループであり、前記光路切替スイッチから前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束を前記光ファイバループ内に入力し、かつそれらの波長と異なる第3の波長の連続光を前記レーザ光源から前記第1のWDMカプラを介して入力するとともに、前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束と、前記第3の波長の連続光とが前記非線形媒質を同時に通過することにより生成される変換光を前記第2のWDMカプラにより前記光ファイバループから出力するようにし、前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束のみが前記光ファイバループ内を周回するように前記光増幅器および波長可変光フィルタが調整されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項3または4のいずれかに記載の光通信システムにおいて、前記第1、第2の光メモリは、記録時には、光の強度により屈折率または反射率が変化する光記憶媒体に光束を空間的に掃引して前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束の時間強度分布を空間強度分布に変換して記録し、再生時には、任意の時間に一定強度の前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束を照射することにより元の光束を再生することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項3乃至7のいずれかに記載の光通信システムにおいて、前記復調手段は、復調した電気信号を変調周期以下の時間偏差で移動平均化処理することを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、送信側では、少なくとも二つの発振波長で同時発振して総和が一定となるように調整されたレーザの光出力から生成した一定の時間幅を有する矩形の光束を波長毎に分離し、該分離された二つの波長の矩形光束のうち、一方の波長の矩形光束はそのままとし、かつ他方の波長の矩形光束を変調してデータを重畳し、その後、これら二つの波長の矩形光束を合波して送信し、受信側では、受信した前記二つの波長の矩形光束に基づいて復調する光通信システムの光信号送信装置であって、二つの発振波長で同時発振し、光出力の総和が一定となるように調整されたレーザ発振器と、前記レーザ発振器の光出力から一定の時間幅を持った矩形の光束を生成する光束発生手段と、前記光束発生手段より出力される矩形光束を波長毎に分離する波長分離手段と、前記波長分離手段により分離された波長の異なる二つの矩形光束のうち、そのまま送信される第1の矩形光束とは異なる第2の矩形光束を記憶する光メモリと、一定の間隔で前記光メモリから取り出した前記第2の矩形光束を変調してデータ信号を重畳する変調手段と、前記波長分離手段により分離された第1の矩形光束と、前記変調手段により前記データ信号が重畳された第2の矩形光束とを合波して伝送路に送出する合波手段とを有することを特徴とする。
【0021】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の光信号送信装置において、前記レーザ発振器は、光ファイバを用いた経路がリング型光共振器で構成され、前記経路の一部に並列配置された、異なる二つの波長の光を選択する波長選択手段と、二つの波長を一括して増幅する利得飽和状態で動作する単一偏波型の半導体レーザ増幅器とを有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9または10のいずれかに記載の光信号送信装置において、前記光メモリは、光増幅部と、方向性結合器による入出力部と、周回する前記第2の矩形光束を通過させる波長可変フィルタを有する光ファイバループであり、前記第2の矩形光束がループを周回する毎にレプリカの光束を生成しながら元の光束を記憶することを特徴とする。
【0023】
また、請求項12に記載の発明は、請求項9または10のいずれかに記載の光通信システムにおいて、前記光メモリは、光増幅器と、入力部を形成する光路切替スイッチと、光入出力部を形成する第1のWDMカプラと、非線形媒質と、変換光を出力する第2のWDMカプラと、連続光を発生するレーザ光源と、波長可変光フィルタとを有する光ファイバループであり、前記光路切替スイッチから前記2の矩形光束を前記光ファイバループ内に入力し、かつその波長と異なる第3の波長の連続光を前記レーザ光源から前記第1のWDMカプラを介して入力するとともに、前記第2の矩形光束と、前記第3の波長の連続光とが前記非線形媒質を同時に通過することにより生成される変換光を前記第2のWDMカプラにより前記光ファイバループから出力するようにし、前記第2の矩形光束のみが前記光ファイバループ内を周回するように前記光増幅器および波長可変光フィルタが調整されていることを特徴とする。
【0024】
また、請求項13に記載の発明は、請求項9または10のいずれかに記載の光信号送信装置前記光メモリは、記録時には、光の強度により屈折率または反射率が変化する光記憶媒体に光束を空間的に掃引して前記第2の矩形光束の時間強度分布を空間強度分布に変換して記録し、
再生時には、任意の時間に一定強度の前記第2の矩形光束を照射することにより元の光束を再生することを特徴とする。
【0025】
また、請求項14に記載の発明は、送信側では、少なくとも二つの発振波長で同時発振して総和が一定となるように調整されたレーザの光出力から生成した一定の時間幅を有する矩形の光束を波長毎に分離し、該分離された二つの波長の矩形光束のうち、一方の波長の矩形光束はそのままとし、かつ他方の波長の矩形光束を変調してデータを重畳し、その後、これら二つの波長の矩形光束を合波して送信し、受信側では、受信した前記二つの波長の矩形光束に基づいて復調する光通信システムの光信号受信装置であって、前記伝送路から送られてきた矩形光束を波長毎に分離する波長分離手段と、前記波長分離手段により分離された二つの異なる波長の矩形光束のうち前記第1の矩形光束を記憶する光メモリと、前記光メモリより前記第1の矩形光束を読み出す際に、前記波長分離手段より前記第2の矩形光束を取得する毎に該第1の矩形光束の読み出しタイミングと、前記第2の矩形光束の出力タイミングとを整合させる時間調整手段と、前記時間調整手段により時間的に整合がとられた前記第1の矩形光束と第2の矩形光束とを合波する合波手段と、前記合波手段の出力を直接検波して復調する復調手段とを有することを特徴とする光信号受信装置。
【0026】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の光信号受信装置において、前記光メモリは、光増幅部と、方向性結合器による入出力部と、周回する前記第1の矩形光束を通過させる波長可変フィルタを有する光ファイバループであり、前記第1の矩形光束がループを周回する毎にレプリカの光束を生成しながら元の光束を記憶することを特徴とする。
【0027】
また、請求項16に記載の発明は、請求項14に記載の光信号受信装置において、前記光メモリは、光増幅器と、入力部を形成する光路切替スイッチと、光入出力部を形成する第1のWDMカプラと、非線形媒質と、変換光を出力する第2のWDMカプラと、連続光を発生するレーザ光源と、波長可変光フィルタとを有する光ファイバループであり、前記光路切替スイッチから前記第1の矩形光束を前記光ファイバループ内に入力し、かつその波長と異なる第3の波長の連続光を前記レーザ光源から前記第1のWDMカプラを介して入力するとともに、前記第1の矩形光束と、前記第3の波長の連続光とが前記非線形媒質を同時に通過することにより生成される変換光を前記第2のWDMカプラにより前記光ファイバループから出力するようにし、前記第1の矩形光束のみが前記光ファイバループ内を周回するように前記光増幅器および波長可変光フィルタが調整されていることを特徴とする。
【0028】
また、請求項17に記載の発明は、請求項14に記載の光信号受信装置において、前記光メモリは、記録時には、光の強度により屈折率または反射率が変化する光記憶媒体に光束を空間的に掃引して前記第1の矩形光束の時間強度分布を空間強度分布に変換して記録し、再生時には、任意の時間に一定強度の前記第1の矩形光束を照射することにより元の光束を再生することを特徴とする。
【0029】
また、請求項18に記載の発明は、請求項14乃至17のいずれかに記載の光信号受信装置において、前記復調手段は、復調した電気信号を変調周期以下の時間偏差で移動平均化処理することを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る光通信システムの実施形態を説明するに先立ち、本発明に係る光通信方法の原理について図2乃至図4を参照して説明する。
【0031】
[光通信方法の原理]
本発明に係る光通信方法の原理を図3に示す。図3に示すように、送信側では、波長分離手段により、少なくとも二つの発振波長λ1、λ2で同時発振して総和が一定となるように調整された2波長同時発振レーザ発振器の光出力から生成した一定の時間幅を有する矩形の光束を波長毎に分離する。該分離された二つの波長λ1、λ2の矩形光束のうち、一方の波長λ1の矩形光束はそのままとし、かつ他方の波長λ2の矩形光束を光メモリ50に蓄積する。
【0032】
光メモリ50より他方の波長λ2の矩形光束を取り出し、変調器51により変調してデータを重畳し、その後、これら二つのを合波して伝送路52を介して送信する。
受信側では送信側から伝送路53を介して受信した光束を波長分離素子54により波長毎に分離し、波長λ1の光束を光メモリ55に蓄積する。
そして光メモリ55から波長λ1の光束を取り出す際に、遅延回路56により波長λ2の矩形光束を時間遅延させることにより、2つの波長λ1、λ2の矩形光束を時間的に整合させ、この状態で合波器57により合波して同時に同一の光検出器58で直接検波することにより復調する。
【0033】
すなわち、図2に示すように、2波長同時発振レーザ発振器から出力された同一光束から生成した波長の対をなす二波長λ1、λ2の光束は、単独ではカオス的な不安定な特性を呈するが(図2(A)、(B))、合波したものは、安定である(図2(C))。
このような光束を送信系と受信系に分けてあらかじめ記憶し、送信系では、例えば、波長λ2の光束を光メモリ50から順次再生し変調して送信し、受信系では、波長λ1の光束を光メモリ55から再生して取り出し、波長分離素子54から抽出して得た送信された波長λ2の光束と適当な遅延回路56を介して合波する。
【0034】
それぞれの光メモリ50、55に蓄積された光束から再生した光束はもとの光束のレプリカであり、それらレプリカを重ね合わせてもポアソン分布を呈する安定な光束を得ることが可能である。このため,受信系で重ね合わせた光束は,安定なビット領域(1)とカオス状態のビット領域(0)から成る光データ列を呈することになる。このような光信号を直接検波し、1と0の領域を識別することにより、データを復調する。
【0035】
光束を記憶する光メモリ50、55では、光束を光ファイバループ中に挿入・周回させ、方向性結合器等を用いて周回光の一部をレプリカとして外部に取り出しながらもとの光束をループ内に蓄積・記憶する。周回の周期でレプリカが生成され、光メモリの再生が行われる。ファイバループを周回させる場合には光増幅器の光雑音重畳によりSN比が周回毎に劣化する。
これを防止するために、非線形による波長変換を利用したレプリカの生成方法が用いられる。この方法では、ポンプ光としてCWの単一モードレーザ光を用い、非線形媒質中でループを周回する光束に重ねあわされて変換光を得る。
【0036】
波長依存性のあるハーフミラー等からなるWDMカプラを用いてループから単独抽出された変換光は、オリジナルの光束を、光子状態を破壊することなく忠実に複製している。このような光信号のモニタ方法は量子非破壊検出法として広く利用されている。
また、光束を合波して得た光信号は安定領域とカオス状態領域を有し、本発明ではそれらの状態を識別することによりデータを復調するのであるから、判定条件が明確なほど判定の誤り率は低下する。
【0037】
図4に示すように、信号S1(復調した電気信号)と、信号S1を変調周期以下の時間偏差で遅延させた信号S2、S3を多重して平均を取ること、すなわち移動平均処理を光回路により行うとカオス状態領域の光出力を一様に抑圧することができるので、安定なビット領域(1)とカオス状態のビット領域(0)を明確に区別することが可能となる。これにより,より高速で高信頼の秘匿通信が実現できる。 次に、各実施形態について説明する。
【0038】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る光通信システムの構成を図5及び図6に示す。図5は光通信システムの光信号送信装置の構成を示し、図6は光通信システムの光信号受信装置の構成を示している。
図5において、光信号送信装置は、二波長同時発振レーザ発振器1と、光束発生回路部2と、波長分離部3と、光メモリ4と、信号重畳回路5と、変調器6と、光スイッチ7、8と、アレイ導波路格子(Arrayed Waveguide Grating,以下AWGと記す。)9とを有している。
【0039】
二波長同時発振レーザ発振器1は、二つの発振波長で同時発振し、光出力の総和が一定となるように調整されている。なお、二波長同時発振レーザは、既述した図13に示す従来のファイバリング型レーザを利用することができる.
光束発生回路部2は、電界吸収型の光変調器(EA変調器)25と、パルス駆動回路26とを有し、レーザ発振器1の光出力から一定の時間幅を持った矩形の光束を生成する。
EA変調器25は半導体導波路素子に逆バイアスを印加することにより伝搬損失を変化させ強度変調を行う素子であり,パルス駆動回路26により供給される矩形信号により容易に光束を生成することができる。
【0040】
波長分離部3は、AWG31と、光スイッチ32、33とからなり、光束発生回路部2より出力される矩形光束をAWG31により波長毎に分離する。
ここで、二波長同時発振レーザ発振器1の波長とAWG31の透過分離波長を予め整合させておく必要がある。光スイッチ32、33は、AWG31により分離された複数の波長から波長λ1、または波長λ2に対応する信号を抽出するために用いるもので,1×Nセレクタ型の光スイッチが用いられる。このようなスイッチとしては、ファイバ移動型の機械式セレクタや導波路光スイッチ等の市販品が利用可能である。
【0041】
光メモリ4は、波長分離部3により分離された波長の異なる波長λ1,波長λ2の二つの矩形光束のうち、そのまま送信される波長λ1の矩形光束とは異なる波長λ2の矩形光束を記憶する。
信号重畳回路5は、入力されるデータに基づいて変調器6を駆動する機能を有している。
変調器6は、一定の間隔で光メモリ4から取り出した波長λ2の矩形光束を変調してデータ信号を重畳する。
【0042】
光メモリ4では、光束発生回路部2においてパルス駆動回路26により矩形光束を生成するタイミングに合わせて、書き込みタイミング信号に基づいて光メモリ4の書き込みが制御される。
また、光メモリ4において、書き込まれた矩形光束を再生してそれに送信データを重畳させるときには、再生してデータフレームを生成するときの信号フレームタイミング制御信号により信号重畳回路5を制御して変調器6を駆動させる。変調器6により変調された信号と、波長分離部3の光スイッチ33から出力される波長λ1の矩形光は光スイッチ7、8により適切なAWG9のポートに入力して合波され、伝送路に送出される。
【0043】
二波長同時発振レーザ発振器1は本発明のレーザ発振器に、光束発生回路部2は本発明の光束発生手段に、波長分離部3は本発明の第1の波長分離手段に、光メモリ4は本発明の第1の光メモリに、信号重畳回路5及び変調器6は本発明の変調手段に、光スイッチ7、8及びAWG9は本発明の第1の合波手段に、それぞれ相当する。
【0044】
次に、光信号受信装置について説明する。図6において、光信号受信装置は、AWG10と、光スイッチ11、12と、光分岐部13、14と、パターン整合回路15、16と、光メモリ17と、位相差検出回路18と、遅延回路19と、光スイッチ20、21と、AWG22と、光検出器23と、識別回路24とを有している。
AWG10は、伝送路から送られてきた矩形光束を波長毎に分離する。
光メモリ17は、AWG10により分離された二つの異なる波長λ1,波長λ2の矩形光束のうち光スイッチ11、光分岐部13を介して出力される波長λ1の矩形光束を記憶する。
【0045】
パターン整合回路15、16は、それぞれ、波長λ1、波長λ2のヘッダー部分を検出して、タイミング信号を生成する機能を有している。本実施形態では、各矩形光束のヘッダー部分に波長λ1、または波長λ2の安定な光源から生成したビット列を付与しておくものとする。
パターン整合回路15は、波長λ1の矩形光束を光メモリ17に書き込む際の書き込みタイミング信号を出力する。
また、パターン整合回路16は、光スイッチ12から波長λ2の矩形光束が出力されるタイミングを示す信号を位相差検出回路18に出力する。
【0046】
位相差検出回路18は、光メモリ17から再生される波長λ1の矩形光束の出力タイミングと、パターン整合回路16から出力される波長λ2の矩形光束が出力されるタイミングとを比較し、その位相差を検出し、該位相差が零となるように遅延量を制御するための遅延量制御信号を遅延回路19に出力する。
遅延回路19は、上記遅延量制御信号に基づいて光スイッチ12、光分岐部14を介して出力される波長λ2の矩形光束を遅延させる。
【0047】
AWG10及び光スイッチ11、12は本発明の第2の波長分離手段に、光メモリ17は本発明の第2の光メモリに、パターン整合回路16、位相差検出回路18及び遅延回路19は本発明の時間調整手段に、光スイッチ20、21及びAWG22は本発明の第2の合波手段に、光検出器及び識別回路は本発明の復調手段に、それぞれ相当する。
【0048】
上記構成において、光信号送信装置では、二波長同時発振レーザ発振器1の光出力は、光束発生回路部2により一定の時間幅を持った矩形の光束が生成される。この矩形光束は波長分離部3に入力され、AWG31により波長毎に分離される。そのうち光スイッチ32により波長λ2の矩形光束が選択され、光メモリ4に入力される。
また、光スイッチ33により波長λ1の矩形光束が選択され、合波手段を構成する光スイッチ8に出力される。
光メモリ4では、光束を生成するタイミングに合せて出力される書き込みタイミング信号により波長λ2の矩形光束が書き込まれる。
【0049】
次いで、光メモリ4より書き込まれた波長λ2の矩形光束が再生され、光メモリ4より出力される信号フレームタイミング制御信号により信号重畳回路5を制御して変調器6が駆動制御され、波長λ2の矩形光束にデータ信号が重畳される。
変調器6により変調された波長λ2の矩形光束と、波長分離部3の光スイッチ33から出力される波長λ1の矩形光は光スイッチ7、8により適切なAWG9のポートに入力して合波され、伝送路に送出される。
【0050】
一方、光信号受信装置では、伝送路から送られてきた矩形光束は、AWG10により、波長毎に分離され、光スイッチ11、12により波長λ1の矩形光と、波長λ2の矩形光束とが選択され、波長λ1の矩形光は光分岐部13を介して光メモリ17に入力される。光メモリ17では、パターン整合回路15がヘッダー部分を検出することにより出力する書き込みタイミング信号に基づいて波長λ1の矩形光が書き込まれる。
【0051】
また、光メモリ17から波長λ1の矩形光束が再生される際には、光メモリより信号が出力されるタイミングを示すメモリ出力タイミング信号が位相差検出回路18に出力される。
パターン整合回路16は、光スイッチ12、光分岐部14を介して出力される波長λ2の矩形光束のヘッダー部を検出して波長λ2の矩形光束の出力タイミングを示す信号を位相差検出回路18に出力する。
【0052】
位相差検出回路18では、波長λ1の矩形光束の出力タイミングと、波長λ2の矩形光束の出力タイミングとの比較から、これら二つの矩形光束の位相差を検出し、この位相差がほぼ零となるように遅延量を制御するための遅延量制御信号を遅延回路19に出力する。
【0053】
この結果、遅延回路19により波長λ1の矩形光束の出力タイミングと、波長λ2の矩形光束の出力タイミングとの位相差が相殺するように波長λ2の矩形光束の出力タイミングが制御され、波長λ1の矩形光束と波長λ2の矩形光束がタイミングが整合した状態で光スイッチ20、21を介してAWG22に入力され、AWG22で合波される。合波された光信号は、光検出器23で、直接検波される。また、検波された信号(電気信号)は、識別回路24によりデータが復調される。
【0054】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る光通信システムについて説明する。本実施形態に係る光通信システムが第1実施の形態に係る光通信システムと構成上、異なるのは、光メモリが具体的に特定されている点であり、その他の構成は同一であるので重複する説明は省略する。
【0055】
第2実施形態に係る光通信システムにおける光メモリは、図7に示すように、光増幅部としての光増幅器61と、方向性結合器60による入出力部と、周回する前記第1の矩形光束(波長λ1の矩形光束)、または第2の矩形光束(波長λ2の矩形光束)を通過させる波長可変フィルタ62を有する光ファイバループ63であり、第1の矩形光束、または第2の矩形光束がループ63を周回する毎にレプリカの光束を生成しながら元の光束を記憶することを特徴としている。
【0056】
図7において、方向性結合器60により光束の50%がループ63内に挿入される。光ファイバループ63では、光増幅器61と波長可変光フィルタ62により周回損失を補償する。光束は周回毎に方向性結合器60から出力を発生するが、周回は維持される。これにより光記憶が達成される。波長可変光フィルタ62は周回する光束を通過させ、光増幅器61の自然放出光雑音を除去する作用を有する。これによりSN比の劣化を防止して長時間の周回を実現することが可能となる。
なお、光増幅器61は光束が通過しているときのみ利得を生じるように制御されることが望ましい。これにより、光束と一致した波長の自然放出光雑音がリングを周回して不要な光雑音を発生することを防止できる。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る光通信システムについて説明する。本実施形態に係る光通信システムが第2実施の形態に係る光通信システムと構成上、異なるのは、光メモリの具体的構成が異なる点であり、その他の構成は同一であるので重複する説明は省略する。
【0058】
第3実施形態に係る光通信システムにおける光メモリは、図8に示すように、光増幅器70と、入力部を形成する光路切替スイッチ(AOD)72と、光入出力部を形成する第1のWDMカプラ73と、非線形媒質75と、変換光を出力する第2のWDMカプラ76と、連続光を発生するレーザ光源74と、波長可変光フィルタ71とを有する光ファイバループである。
【0059】
光路切替スイッチとしての音響光学偏向器(AOD)72から第1の矩形光束(波長λ1の矩形光束)、または第2の矩形光束(波長λ2の矩形光束)を上記光ファイバループ内に入力し、かつそれらの波長と異なる第3の波長λ3の連続光をレーザ光源74から前記WDMカプラ73を介して入力するとともに、第1の矩形光束、または第2の矩形光束と、前記第3の波長の連続光とが非線形媒質75を同時に通過することにより生成される変換光をWDMカプラ76により上記光ファイバループから出力するようにし、上記第1の矩形光束、または第2の矩形光束のみが上記光ファイバループ内を周回するように光増幅器70および波長可変光フィルタ71が調整されていることを特徴としている。
【0060】
WDMカプラ73は誘電体多層膜から構成されるものであってもよいが、波長差が小さい場合には図9に示すように、ファイバグレーティング731と光サーキュレータ732とを組み合わせた光挿入手段であってもよい。
上記第1の矩形光束、または第2の矩形光束と、上記第3の波長の連続光とが非線形媒質75を同時に通過すると、図10に示すように、3次の非線形光学効果により波長差に応じたところに二つの変換光が発生する。波長λ1の矩形光束または波長λ2の矩形光束の光をプローブ光、第3の波長λ3の光をポンプ光とすれば、変換光はシグナル光と呼ばれる。
【0061】
WDMカプラ76は、二つの変換光の一つを抽出する手段で、他の光はそこを通過する。波長λ1の矩形光束または波長λ2の矩形光束を周回させるため、バンドパスフィルタ77によりポンプ光とシグナル光を除去し、プローブ光のみ通過させる。
光増幅器70および波長可変光フィルタ71は、図7に示す光ファイバループと同じ目的のために備えられたもので、ファイバループが光メモリとして機能するための必須構成要素である。
【0062】
変換光の波長が他のプローブ光やポンプ光の波長と近い場合には、同様に、ファイバグレーティングと光サーキュレータによる光抽出法が有効である。任意の波長に対応させるために、ファイバグレーティングは引っ張りおよび温度制御による波長可変型のデバイスであることが望ましい。
【0063】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る光通信システムについて説明する。本実施形態に係る光通信システムが第2、第3実施の形態に係る光通信システムと構成上、異なるのは、光メモリの具体的構成が異なる点であり、その他の構成は同一であるので重複する説明は省略する。
【0064】
第4実施形態に係る光通信システムにおける光メモリは、図11に示すように、記録時には、光の強度により屈折率または反射率が変化する光記憶媒体105に光束を空間的に掃引して前記第1の矩形光束(波長λ1の矩形光束)、または第2の矩形光束(波長λ2の矩形光束)の時間強度分布を空間強度分布に変換して記録し、再生時には、任意の時間に一定強度の前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束を光記憶媒体105に照射することにより元の光束を再生することを特徴としている。
【0065】
図11において、波長λ1または波長λ2の矩形光束がハーフミラー100を通過した後、レンズ102、ミラー103を介して表面弾性波回折格子型ビーム偏向器(AOD)104に照射され,その反射光が光記憶媒体105上に投影される。その投影像はAOD104により2次元的に走査される。このとき、光の強度に応じて光記憶媒体105の構造が変化するので、光束の強度パターンを光記憶媒体105の構造変化として転写することになる。
【0066】
光記憶媒体105に書き込まれたパターンは上記光束と同じ光学系を進んできた再生光をAOD104により光記憶媒体105面を走査投影し、その反射光をミラー103、レンズ102、ハーフミラー100及びレンズ101を介して出力させることにより再生することが可能となる。
光記憶のメカニズムは、光による媒体屈折率変化や反射率変化が利用できる。屈折率変化を利用する場合には、例えば、図12に示すように、光記憶媒体105の下面に反射層1051を配置し、反射層1051と記憶部1052上面の干渉を再生光として用いる。干渉による強度変化は屈折率により敏感であり、記憶した光束の情報を再生することが可能である。
【0067】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る光通信システムについて説明する。本実施形態に係る光通信システムが第2、第3、第4実施の形態に係る光通信システムと構成上、異なるのは、光信号受信装置における復調手段が異なる点であり、その他の構成は同一であるので重複する説明は省略する。
【0068】
第5実施形態に係る光通信システムにおける第1の矩形光束(波長λ1の矩形光束)を光メモリに保存し、第2の矩形光束(波長λ2の矩形光束)を取得する毎に時間を整合させてそれら二つの信号を合波した後、直接検波することにより復調する復調手段は、復調した電気信号を変調周期以下の時間偏差で移動平均化処理することを特徴としている。ここで、移動平均化処理とは、図4に示すように、信号S1(復調した電気信号)と、信号S1を変調周期以下の時間偏差で遅延させた信号S2、S3を多重して平均を取ることをいうものとする。
【0069】
図15は、移動平均化処理を行う遅延多重光回路310で、平面型の導波路基板に光路差を持ついくつかの経路3101が複合されたものである。通常の多入力1出力で時間分割多重回路を対向配置させた構成であり、入力光は分波されてそれぞれ長さの異なる経路を伝搬した後、合波することにより遅延・多重が実現される。
なお、直接検波信号に対して電気的に移動平均化処理を行うことも可能である。この場合には、光のコヒーレンスによる自己相関型の変動の影響がないという利点を有する。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、光信号の不正モニタによる盗聴を防止することが可能であるほか、適当な波長と時間により対となる光束を更新することにより、任意にキーを更新することが可能である。
さらに、光メモリの書き込み動作を起動するパターンを暗号化しておけば2重のセキュリティ構造が実現できるため、極めて高い信頼の秘匿通信法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二波長同時発振レーザのレーザ光の性質を光子統計により説明する図。
【図2】 二波長同時発振レーザの各々の発振波長の光出力の光子数状態と、全光出力の光子数状態の時間的特長を示す説明図。
【図3】 本発明に係る光通信方法の原理を示す説明図。
【図4】 本発明に係る光通信システムにおける光信号受信装置で行う移動平均化処理の効果を説明する図。
【図5】 本発明の第1実施形態に係る光通信システムにおける光信号送信装置の構成を示すブロック図。
【図6】 本発明の第1実施形態に係る光通信システムにおける光信号受信装置の構成を示すブロック図。
【図7】 本発明の第2実施形態に係る光通信システムにおける光メモリの構成を示すブロック図。
【図8】 本発明の第3実施形態に係る光通信システムにおける光メモリの構成を示すブロック図。
【図9】 図8に示す光メモリにおけるWDMカプラの具体的構成を示す図。
【図10】 本発明の第3実施形態において、光メモリの記憶原理に利用する光非線形による波長変換機構を説明する図。
【図11】 本発明の第4実施形態に係る光通信システムにおける光メモリの構成を示す図。
【図12】 本発明の第4実施形態に係る光通信システムにおける光メモリの再生原理を説明する図。
【図13】 二波長同時発振レーザ発振器の構成を示すブロック図。
【図14】 二波長同時発振レーザ発振器を用いて秘匿通信を行う従来技術の内容を示す説明図。
【図15】 本発明の第5実施形態に係る光通信システムの光信号受信装置における移動平均化処理を行う遅延多重光回路の構成の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1…二波長同時発振レーザ発振器
2…光束発生回路部
3…波長分離部
4、17…光メモリ
5…信号重畳回路
6…変調器
7、8,11、12、20、21、32、33…光スイッチ
9、10、22、31…AWG
13、14…光分岐部
15、16…パターン整合回路
18…位相差検出回路
19…遅延回路
23…光検出器
24…識別回路
25…EA変調器
26…パルス駆動回路
Claims (18)
- 送信側では、少なくとも二つの発振波長で同時発振して総和が一定となるように調整されたレーザの光出力から生成した一定の時間幅を有する矩形の光束を波長毎に分離し、該分離された二つの波長の矩形光束のうち、一方の波長の矩形光束はそのままとし、かつ他方の波長の矩形光束を変調してデータを重畳し、その後、これら二つの波長の矩形光束を合波して送信し、受信側では前記送信側から受信した光束を波長毎に分離し、前記2つの波長の矩形光束を時間的に整合させた状態で合波して同時に同一光検出器で直接検波することにより復調することを特徴とする光通信方法。
- 前記レーザの光出力は、単峰性のモードで同時に発振するレーザ光であって、各々のモードの光子の統計分布がボーズ-アインシュタイン分布に従い、かつそれら二つのモードの光子の和の統計分布がポアソン分布に従うレーザ光であることを特徴とする請求項1に記載の光通信方法。
- 二つの発振波長で同時発振し、光出力の総和が一定となるように調整されたレーザ発振器と、該レーザ発振器の光出力から一定の時間幅を持った矩形の光束を生成する光束発生手段と、光束発生手段より出力される矩形光束を波長毎に分離する第1の波長分離手段と、前記第1の波長分離手段により分離された波長の異なる二つの矩形光束のうち、そのまま送信される第1の矩形光束とは異なる第2の矩形光束を記憶する第1の光メモリと、一定の間隔で前記第1の光メモリから取り出した前記第2の矩形光束を変調してデータ信号を重畳する変調手段と、前記第1の波長分離手段により分離された第1の矩形光束と、前記変調手段により前記データ信号が重畳された第2の矩形光束とを合波して伝送路に送出する第1の合波手段とを有する光信号送信装置と、
前記伝送路から送られてきた矩形光束を波長毎に分離する第2の波長分離手段と、前記第2の波長分離手段により分離された二つの異なる波長の矩形光束のうち前記第1の矩形光束を記憶する第2の光メモリと、前記第2の光メモリより前記第1の矩形光束を読み出す際に、前記第2の波長分離手段より前記第2の矩形光束を取得する毎に該第1の矩形光束の読み出しタイミングと、前記第2の矩形光束の出力タイミングとを整合させる時間調整手段と、前記時間調整手段により時間的に整合がとられた前記第1の矩形光束と第2の矩形光束とを合波する第2の合波手段と、前記第2の合波手段の出力を直接検波して復調する復調手段とを有する光信号受信装置と、
を有することを特徴とする光通信システム。 - 前記レーザ発振器は、
光ファイバを用いた経路がリング型光共振器で構成され、
前記経路の一部に並列配置された、異なる二つの波長の光を選択する波長選択手段と、
二つの波長を一括して増幅する利得飽和状態で動作する単一偏波型の半導体レーザ増幅器と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の光通信システム。 - 前記第1、第2の光メモリは、
光増幅部と、方向性結合器による入出力部と、周回する前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束を通過させる波長可変フィルタを有する光ファイバループであり、前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束がループを周回する毎にレプリカの光束を生成しながら元の光束を記憶することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の光通信システム。 - 前記第1、第2の光メモリは、
光増幅器と、入力部を形成する光路切替スイッチと、光入出力部を形成する第1のWDMカプラと、非線形媒質と、変換光を出力する第2のWDMカプラと、連続光を発生するレーザ光源と、波長可変光フィルタとを有する光ファイバループであり、
前記光路切替スイッチから前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束を前記光ファイバループ内に入力し、かつそれらの波長と異なる第3の波長の連続光を前記レーザ光源から前記第1のWDMカプラを介して入力するとともに、
前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束と、前記第3の波長の連続光とが前記非線形媒質を同時に通過することにより生成される変換光を前記第2のWDMカプラにより前記光ファイバループから出力するようにし、
前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束のみが前記光ファイバループ内を周回するように前記光増幅器および波長可変光フィルタが調整されていることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の光通信システム。 - 前記第1、第2の光メモリは、
記録時には、光の強度により屈折率または反射率が変化する光記憶媒体に光束を空間的に掃引して前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束の時間強度分布を空間強度分布に変換して記録し、
再生時には、任意の時間に一定強度の前記第1の矩形光束、または第2の矩形光束を照射することにより元の光束を再生することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の光通信システム。 - 前記復調手段は、復調した電気信号を変調周期以下の時間偏差で移動平均化処理することを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の光通信システム。
- 送信側では、少なくとも二つの発振波長で同時発振して総和が一定となるように調整されたレーザの光出力から生成した一定の時間幅を有する矩形の光束を波長毎に分離し、該分離された二つの波長の矩形光束のうち、一方の波長の矩形光束はそのままとし、かつ他方の波長の矩形光束を変調してデータを重畳し、その後、これら二つの波長の矩形光束を合波して送信し、受信側では、受信した前記二つの波長の矩形光束に基づいて復調する光通信システムの光信号送信装置であって、
二つの発振波長で同時発振し、光出力の総和が一定となるように調整されたレーザ発振器と、
前記レーザ発振器の光出力から一定の時間幅を持った矩形の光束を生成する光束発生手段と、
前記光束発生手段より出力される矩形光束を波長毎に分離する波長分離手段と、
前記波長分離手段により分離された波長の異なる二つの矩形光束のうち、そのまま送信される第1の矩形光束とは異なる第2の矩形光束を記憶する光メモリと、
一定の間隔で前記光メモリから取り出した前記第2の矩形光束を変調してデータ信号を重畳する変調手段と、
前記波長分離手段により分離された第1の矩形光束と、前記変調手段により前記データ信号が重畳された第2の矩形光束とを合波して伝送路に送出する合波手段と、
を有することを特徴とする光信号送信装置。 - 前記レーザ発振器は、
光ファイバを用いた経路がリング型光共振器で構成され、
前記経路の一部に並列配置された、異なる二つの波長の光を選択する波長選択手段と、
二つの波長を一括して増幅する利得飽和状態で動作する単一偏波型の半導体レーザ増幅器と、
を有することを特徴とする請求項9に記載の光信号送信装置。 - 前記光メモリは、
光増幅部と、方向性結合器による入出力部と、周回する前記第2の矩形光束を通過させる波長可変フィルタを有する光ファイバループであり、前記第2の矩形光束がループを周回する毎にレプリカの光束を生成しながら元の光束を記憶することを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の光信号送信装置。 - 前記光メモリは、
光増幅器と、入力部を形成する光路切替スイッチと、光入出力部を形成する第1のWDMカプラと、非線形媒質と、変換光を出力する第2のWDMカプラと、連続光を発生するレーザ光源と、波長可変光フィルタとを有する光ファイバループであり、
前記光路切替スイッチから前記第2の矩形光束を前記光ファイバループ内に入力し、かつその波長と異なる第3の波長の連続光を前記レーザ光源から前記第1のWDMカプラを介して入力するとともに、
前記第2の矩形光束と、前記第3の波長の連続光とが前記非線形媒質を同時に通過することにより生成される変換光を前記第2のWDMカプラにより前記光ファイバループから出力するようにし、
前記第2の矩形光束のみが前記光ファイバループ内を周回するように前記光増幅器および波長可変光フィルタが調整されていることを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の光通信システム。 - 前記光メモリは、
記録時には、光の強度により屈折率または反射率が変化する光記憶媒体に光束を空間的に掃引して前記第2の矩形光束の時間強度分布を空間強度分布に変換して記録し、
再生時には、任意の時間に一定強度の前記第2の矩形光束を照射することにより元の光束を再生することを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の光信号送信装置。 - 送信側では、少なくとも二つの発振波長で同時発振して総和が一定となるように調整されたレーザの光出力から生成した一定の時間幅を有する矩形の光束を波長毎に分離し、該分離された二つの波長の矩形光束のうち、一方の波長の矩形光束はそのままとし、かつ他方の波長の矩形光束を変調してデータを重畳し、その後、これら二つの波長の矩形光束を合波して送信し、受信側では、受信した前記二つの波長の矩形光束に基づいて復調する光通信システムの光信号受信装置であって、
前記伝送路から送られてきた矩形光束を波長毎に分離する波長分離手段と、
前記波長分離手段により分離された二つの異なる波長の矩形光束のうち前記第1の矩形光束を記憶する光メモリと、
前記光メモリより前記第1の矩形光束を読み出す際に、前記波長分離手段より前記第2の矩形光束を取得する毎に該第1の矩形光束の読み出しタイミングと、前記第2の矩形光束の出力タイミングとを整合させる時間調整手段と、
前記時間調整手段により時間的に整合がとられた前記第1の矩形光束と第2の矩形光束とを合波する合波手段と、
前記合波手段の出力を直接検波して復調する復調手段とを有することを特徴とする光信号受信装置。 - 前記光メモリは、
光増幅部と、方向性結合器による入出力部と、周回する前記第1の矩形光束を通過させる波長可変フィルタを有する光ファイバループであり、前記第1の矩形光束がループを周回する毎にレプリカの光束を生成しながら元の光束を記憶することを特徴とする請求項14に記載の光信号受信装置。 - 前記光メモリは、
光増幅器と、入力部を形成する光路切替スイッチと、光入出力部を形成する第1のWDMカプラと、非線形媒質と、変換光を出力する第2のWDMカプラと、連続光を発生するレーザ光源と、波長可変光フィルタとを有する光ファイバループであり、
前記光路切替スイッチから前記第1の矩形光束を前記光ファイバループ内に入力し、かつその波長と異なる第3の波長の連続光を前記レーザ光源から前記第1のWDMカプラを介して入力するとともに、
前記第1の矩形光束と、前記第3の波長の連続光とが前記非線形媒質を同時に通過することにより生成される変換光を前記第2のWDMカプラにより前記光ファイバループから出力するようにし、
前記第1の矩形光束のみが前記光ファイバループ内を周回するように前記光増幅器および波長可変光フィルタが調整されていることを特徴とする請求項14に記載の光信号受信装置。 - 前記光メモリは、
記録時には、光の強度により屈折率または反射率が変化する光記憶媒体に光束を空間的に掃引して前記第1の矩形光束の時間強度分布を空間強度分布に変換して記録し、
再生時には、任意の時間に一定強度の前記第1の矩形光束を照射することにより元の光束を再生することを特徴とする請求項14に記載の光信号受信装置。 - 前記復調手段は、復調した電気信号を変調周期以下の時間偏差で移動平均化処理することを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の光信号受信装置。
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