JP4011154B2 - 冷媒圧縮機及びそのフィルター及びそのフィルターの組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍圧縮機に使用するアキュムレータ,オイルポンプなどに使用されるフィルターおよびその組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍用圧縮機にはロータリー圧縮機,スクロール圧縮機等の各種の圧縮機構のものがあるが、何れもその圧縮機構部、および軸受等の摺動部分はミクロン単位のクリアランスで摺動する構造になっている。そのため、圧縮機の吸入口付近に配されるアキュムレータや各摺動部分に潤滑油を供給するオイルポンプの入口には圧縮機構部や摺動部分に入るゴミを捕獲するためのフィルターが設けられている。このフィルターは使用される環境が冷媒中であり、しかも冷凍機油にさらされ、また雰囲気温度も−45℃から120℃と広い範囲にわたるため耐冷媒性,耐油性,耐熱性を勘案して金属材料が使用されている。
【0003】
従来、冷凍圧縮機に使用しているフィルターの構成を図6,図7に示す。図6に示すように流体の流路に挿入される網4は一般に金属の細線を織ったもので、流路を覆う形状に成形する。この時、その外周端部4cはあみの線が短く切断されるためほつれやすくなる。一般にこのほつれを防ぐため、端部は図6に示すように折り返した口金9で挟み込み、この口金部9を容器内壁10に固定する方法が取られたり、図7に示すように固定台3に網の外周端部4cを平板11にて挟み込み、スポット溶接等の手段で固定する方法も取られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の図7に示す従来構成の平板で挟み込む方法では、フィルターの外周端部のほつれを確実に防ぐことが出来ず、スポット溶接の位置と網織り目模様の方向により網の細線が脱落する事がある。これを防ぐためにはスポット数を多くしたり、挟み込む板を大きくする方法もあるがコストアップにつながったり、スポット溶接によるスパッタの発生があったり、組立が複雑になり、工数のアップになるという問題があった。
【0005】
また、上記の図6に示す従来構成の折り返した口金で挟み込む方法はほつれによるワイヤーの脱落は防ぐことはできるが、網と口金が強固に固定できず網全体が脱落しやすいこと、また挟んで折り返す等工程が複雑でコストも高いという問題があった。
【0006】
本願発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、網のワイヤーのほつれがなく、スポット溶接によるスパッタの発生がなく、強固に網を固定でき、安価で、簡単に組み立てることができる冷凍圧縮機のフィルターとその組立方法を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆おう鋼製の網を置き、前記円筒部の内径にほぼ等しい外径のリング状のローを前記網上部に挿入し、その後、加熱することにより前記平坦部において前記固定台と前記網をロー付接合した冷媒圧縮機のフィルターで、網の外周部がロー材にて固められ、固定台に接合されているので、網の細線のほつれがなく、強固に網を固定でき、安価で、しかも簡単に組み立てることができる冷凍圧縮機のフィルターを提供することが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記課題を解決するための請求項1記載の発明は、円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆おう鋼製の網を、前記網の外周平坦部がロー材にて固められて固定台に接合された冷媒圧縮機のフィルターであって、網のメッシュが120番以上300番以下、網を構成する線の太さが0.3mm以下0.05mm以上としたものであり、網の外周部がロー材にて固められ、固定台に接合されているので、網の細線のほつれがなく、強固に網を固定でき、網目を適切な大きさにすることにより、固定すべき平坦部のみにロー材が浸入し、流体の通路をロー材によって塞いだり、平坦部での固着が不十分になったりすることがなく、さらに、網の線太さを適切にすることにより、固定すべき平坦部で線を覆うようにロー材が固まり、平坦部での固着が不十分になったりすることがない。また、請求項2記載の発明は網の中央部を凸状にすることにより平坦部のみにローを流し、固着を確実にするとともにロー材で流体通路を塞ぐことがない。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆おう鋼製の網を置き、前記円筒部の内径にほぼ等しい外径のリング状の銅ローを前記網上部に挿入し、その後加熱することにより前記平坦部において前記固定台と前記網をロー付接合する冷媒圧縮機のフィルターの組立方法で、網を固定台の平坦部に特別な治具等使わずに押し付けることができるので、ロー材が網平坦部と固定台の平坦部に簡単に強固に固定できる。また、請求項4記載の発明は、還元雰囲気炉によって加熱を行なうものでより、大量生産に適している。さらに、請求項5記載の発明は、リング状のローにバネ性をもたせることにより、ロー材での挿入およびロー材の作成方法が簡単になる。
【0010】
請求項6記載の発明は本発明を冷媒圧縮機のアキュムレータに適用したもので、さらに、請求項7記載の発明は本発明を冷媒圧縮機の油ポンプのフィルターに適用したものであり、アキュムレータおよび油ポンプが網の細線のほつれがなく、強固に網を固定でき、安価で、簡単に組み立てることができる。
【0011】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0012】
(実施例1)
図1,図2は本発明の第1の実施形態の1例で、図1に冷媒圧縮機の油ポンプの取付図、図2に油ポンプの構成を示す。
【0013】
図2に示した油ポンプは、油吸込管1と油ポンプ部2の間に円筒部3aとこれに直角に中心方向に向かう平坦部3bをもつフィルター固定台3を配して、前記固定台3の平坦部3bに対応する平坦部4aを外周部にもち円筒部3aの内側を覆う鋼製の網4を前記固定台3の平坦部3bにロー付接合しているものである。
【0014】
次に、以上のような油ポンプに使用されているフィルターの組立方法について説明する。
【0015】
図3に示すように、油吸込管1と油ポンプ部2の間に円筒部3aとこれに直角に中心方向に向かう平坦部3bをもつフィルター固定台3の平坦部3bの上に、平坦部3bに対応する平坦部4aを外周部にもち円筒部3aの内側を覆う鋼製の網4を置き、その鋼製の網4の上部に前記円筒部3aの内径にほぼ等しい外径のリング状のロー5を挿入して、その後加熱することにより、前記フィルター固定台3と鋼製の網4をロー材5により固めて、接合する。
【0016】
上記構成および組立方法により、網のワイヤーのほつれがなく、スポット溶接によるスパッタの発生がなく、強固に網を固定でき、安価で、しかも簡単に組み立てることができる。
【0017】
前記鋼製の網4としては、網4のメッシュが120番以上300番以下で網目を適切な大きさにしたり、また、網4を構成する線の太さが、0.3mm以下0.05mm以上で網4の線の太さを適切にすることにより、固定すべき平坦部4aにのみロー材5が浸入し、流体の通路4bをロー材5によって塞いだり、平坦部4aでの固着が不十分になることを回避することができる。
【0018】
また、組立方法としては、還元雰囲気炉で行うことにより、安価に大量生産することが可能となる。
【0019】
(実施例2)
図4,図5は本発明の第1の実施形態の1例で、アキュムレータのフィルターの構成および組立方法を示す。
【0020】
図4に示したアキュムレータのフィルター4は、入口管6,出口管7と円筒管部8からなる密閉容器内部に、前記円筒管部8に直角に中心方向に向かう平坦部3bをもつフィルター固定台3を配して、前記固定台3の平坦部3bに対応する平坦部4aを外周部にもち円筒管部8の内側を覆う鋼製の凸状の網4を、前記固定台3の平坦部3bに、ロー付け接合したものである。
【0021】
次に、上記アキュムレータに使用されているフィルターの組立方法について説明する。
【0022】
図5に示すように入口管6,出口管7と円筒管部8からなる密閉容器内部に、前記円筒管部8に直角に中心方向に向かう平坦部3bをもつフィルター固定台3の上に、前記固定台3の平坦部3bに対応する平坦部4aを外周部にもち円筒管部8の内側を覆う鋼製の凸状の網4を置き、その鋼製の網4の上部に前記円筒管部8の内径にほぼ等しい外径のリング状のロー5を挿入して、その後加熱することにより、前記フィルター固定台3と鋼製の網4をロー材5により固めて、接合する。
【0023】
上記構成および組立方法により、網のワイヤーのほつれがなく、スポット溶接によるスパッタの発生がなく、強固に網を固定でき、安価で、しかも簡単に組み立てることができる。
【0024】
【発明の効果】
上記実施例より明らかなように、請求項1に記載の発明は、円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆う鋼製の網を、前記平坦部において直接ロー付け接合した冷媒圧縮機のフィルターで、網の外周部がロー材にて固められ、固定台に接合されているもので、この構成によれば、網のワイヤーのほつれがなく、スポット溶接によるスパッタの発生がなく、強固に網を固定するという効果を奏する。
【0025】
請求項3に記載の発明は、円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台の平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆う鋼製の網を置き、前記円筒部の内径にほぼ等しい外径のリング状のローを前記網上部に挿入し、その後加熱することにより前記平坦部において前記固定台と前記網をロー付接合する冷媒圧縮機のフィルターの組立方法で、その組立方法によれば、網を固定台の平坦部に特別な治具等を使わずに押しつけることができるので、簡単に強固で安価に固定するという効果を奏する。
【0026】
請求項6,7に記載の発明は、本発明を冷媒圧縮機のアキュムレータおよび油ポンプに適用したものであり、網のワイヤーのほつれがなく、強固に網を固定でき、安価で、大量に、簡単に組み立てることができる。
【0027】
また、鋼製の網の外周端部を平板にて挟み込み、スポット溶接等の方法で固定しなくてもよいため、工数アップにならず、スパッタの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す冷媒圧縮機に取り付けられている油ポンプの断面図
【図2】同冷媒圧縮機の油ポンプの要部を示す断面図
【図3】同冷媒圧縮機の油ポンプの構成部品を分解状態で示す斜視図
【図4】本発明の第2の実施例を示す冷媒圧縮機のアキュムレータの断面図
【図5】同冷媒圧縮機のアキュムレータの構成部品の要部断面図
【図6】従来の冷媒圧縮機に使用しているフィルターの断面図
【図7】従来の冷媒圧縮機に使用しているフィルターの断面図
【符号の説明】
1 油吸込管
2 油ポンプ部
3 フィルター固定台
3a 固定台の円筒部
3b 固定台の平坦部
4 フィルター
4a フィルター平坦部
4b フィルターの流体の通路部
4c フィルター外周端部
5 ロー材
6 入口管
7 出口管
8 円筒管部
9 折り返した口金
10 容器内壁
11 平板
Claims (7)
- 円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆おう鋼製の網を、前記網の外周平坦部がロー材にて固められて固定台に接合された冷媒圧縮機のフィルターであって、網のメッシュが120番以上300番以下、網を構成する線の太さが0.3mm以下0.05mm以上である冷媒圧縮機のフィルター。
- 網の中央部を凸状にした請求項1記載の冷媒圧縮機のフィルター。
- 円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆おう網のメッシュが120番以上300番以下、網を構成する線の太さが0.3mm以下0.05mm以上である鋼製の網を置き、前記円筒部の内径にほぼ等しい外径のリング状のローを前記網上部に挿入し、その後加熱することにより前記平坦部において前記固定台と前記網をロー付接合する冷媒圧縮機のフィルターの組立方法。
- 還元雰囲気炉によって加熱を行なう請求項3記載の冷媒圧縮機のフィルターの組立方法。
- リング状のローにバネ性をもたせた請求項3記載の冷媒圧縮機のフィルターの組立方法。
- 請求項1記載のフィルターを備えたアキュムレータを有する冷媒圧縮機。
- 請求項1記載のフィルターを備えた油ポンプを有する冷媒圧縮機。
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