JP4010927B2 - パターンアンテナ内蔵回路基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターンアンテナを内蔵する回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
パターンアンテナ内蔵回路基板は、電気回路とパターンアンテナとを一体にしてプリント基板上に実装した構造であり、非接触型ICカード等の小型通信モジュールとして用いられている。その典型例の1つとして、特許文献1にパターンアンテナ内蔵回路基板を用いた送信機および受信機が開示されている。
【0003】
用途上、携帯性が重要であり、小型化が要請されるが、パターンアンテナ用のスペースの確保と小型化との両立が常に課題となる。
【0004】
すなわち、図1に示したように、従来のパターンアンテナ内蔵回路基板10では、基板12上の限られたスペース内で、配線パターンやベタパターン等の回路形成部14以外に、必要な電磁波送受信特性を発揮するためのアンテナ16の形成に必要なスペースが余分に必要となる。
【0005】
更に、同じ基板表面に近接配置されたアンテナと配線パターンやデバイスとが相互のノイズにより影響を受け易いという問題もある。
【0006】
また、基板表裏面間の電気的接続のためにビアを設けると、負荷容量が増加して、信号の立ち上がりにタイムラグが生じ、信号遅延の原因となる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−114992号公報(図1、段落0020〜0024)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的の1つは、パターンアンテナの形成に余分な基板スペースを必要とせず小型化を促進できる構造のパターンアンテナ内蔵回路基板を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、アンテナと配線パターンやデバイスとの配置間隔に余裕を設けて相互のノイズによる影響を防止できる構造のパターンアンテナ内蔵回路基板を提供することである。
【0010】
(削除)
【0011】
【課題を解決するための手段】
特許請求しない第1参考技術によるパターンアンテナ内蔵回路基板は、パターンアンテナが、基板の側面に形成された主部と、該基板に形成された電気回路との接続部とから成る。
【0012】
特許請求する本発明によるパターンアンテナ内蔵回路基板は、パターンアンテナが、矩形基板の各側面にそれぞれ形成された側面部分と、該矩形基板の表面の各コーナー領域に形成され、隣接する上記側面部分間を接続するコーナー部分とから成るループアンテナであることを特徴とする。
【0013】
特許請求しない第2参考技術によるパターンアンテナ内蔵回路基板は、パターンアンテナが、該基板の両面に該基板の周縁に沿ってそれぞれ形成された2つのループ部分と、該基板の側面から該基板の両面の周縁領域まで延在して上記2つのループ部分間を連接するループ間連接部分とから成る2重ループアンテナである。2参考技術のパターンアンテナ内蔵回路基板においては、前記ループ間連接部分を、前記基板の側面に形成された凹部の内壁から該基板の両面の周縁部まで延在して形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
参考形態1〕
図2に、第1参考技術によるパターンアンテナ内蔵回路基板の一形態を示す。
【0015】
パターンアンテナ内蔵回路基板100は、プリント基板102に回路部104とパターンアンテナ106とが設けられて成る。回路部104はプリント基板102の一表面上に形成されており、パターンアンテナ106はプリント基板102の一側面に形成された主部108と、上記一側面に形成され主部108から上記回路部104まで延在する接続部110とから成る。
【0016】
参考形態において、パターンアンテナの主部108が基板102の側面に形成されているので、図1に示した従来構造のように基板表面にパターンアンテナ形成用に余分なスペースを必要としないので、回路基板の小型化を促進できる。
【0017】
また、図1に示した従来構造では、回路基板10の外径寸法内に回路部14と、かつこれを取り囲むパターンアンテナ16とを設けていたため、回路基板10を小型化しようとすると回路形成部14に近接してパターンアンテナ16を形成する必要があり、このため回路部14とパターンアンテナ16とが相互のノイズにより影響を受け易かった。
【0018】
これに対して、図2に示す参考形態1の構造では、パターンアンテナ106の大部分を成す主部108は回路基板100の表面ではなく側面に設けられており、パターンアンテナ106のごく一部を成す接続部110のみを回路基板100の表面に設ければよい。そのため、回路基板の外形寸法を図1の従来構造より一回り小さくしてもなおかつ回路部104とパターンアンテナ主部108との間隔を従来構造より大きくとることができる。これにより、回路部104とパターンアンテナ106とが相互のノイズにより影響を受けないように設計しつつ小型化を実現することができる。
【0019】
図3を参照して、本参考形態によるパターンアンテナ内蔵回路基板100の製造手順の一例を説明する。
【0020】
図3(1)に示すように、一般にプリント配線基板に用いられているFR−4等のガラスクロス入り樹脂板20の両面に銅箔22を貼り付けた両面銅張積層板24に、NCドリルまたはルーターにより貫通孔または貫通スリット26を開口する。なお、この積層板24は、実際には多数個のパターンアンテナ内蔵回路基板100を一括して作り込むための大判の積層板であるが、図には回路基板100を1個形成するための領域とその隣接領域について、一部分を示してある。
【0021】
図3(2)に示すように、無電解銅めっきと電解銅めっきを順次行なって、貫通孔(貫通スリット)26の内壁を含む積層板24の全面に銅からなる導体層28を形成する。
【0022】
図3(3)に示すように、フォトリソグラフィーにより導体層28とその下の銅箔22をパターニングして、回路部104とパターンアンテナ用導体層108’を形成する。回路部104は積層板24の表面に形成され、パターンアンテナ用導体層は貫通孔(貫通スリット)26の内壁から開口縁部に延在する主部用導体層108’およびこれと回路部104とを接続する接続部用導体層(図示せず)としての積層板24の表面領域におよびパターンアンテナ主部108とを形成する。なお、図示の便宜上、回路部104は単純な連続層として示したが、実際には所定の配線パターンに形成されている。
【0023】
図3(4)は、図3(3)の状態を平面図で示したものである。ここでは、大判の積層板24上に一括して形成された多数個のうち隣り合う2個の回路基板100Aおよび100Bを示してある。
【0024】
次いで、積層板24両面へのソルダレジスト塗布、配線パターンパッド部への金めっき等の外装めっき処理、フラックス塗布、HASL処理によるパッド部への部品実装用はんだコート等の後処理を行なう。
【0025】
次に、図3(4)のように、貫通スリット26の中心を通る破線C1に沿って切断し、回路基板100Aと100Bとを個片に分離する。これにより切り分けられた左右2個の回路基板100Aおよび100Bは、図3(5)に示すように、元の貫通スリット26がキャスタレーション(凹部もしくは切り欠き)26’となる。キャスタレーション26’は内壁に導体層108’が形成されている。
【0026】
更に、図3(5)の破線C2に沿って切断して、キャスタレーション26の両端部を除去する。これにより、図2に示したように、所定寸法の主部108と接続部110とから成るパターンアンテナ106を備えた所定外形寸法のパターンアンテナ内蔵回路基板100が得られる。なお、切断線C2より外側の領域Rは回路基板100には不要であり、余分な領域として除去される。
【0027】
以上の操作を大判の積層板24の全体について一括して行なうことにより、多数個のパターンアンテナ内蔵回路基板100が得られる。
【0028】
なお、本参考形態では、回路部104およびパターンアンテナ106の形成をサブトラクティブ法により行なう例を説明したが、特にこれに限定する必要はなく、アディティブ法によって形成してもよい。この点は、通常のプリント配線基板の製法と同様である。
【0029】
参考形態2〕
前述の参考形態1においては、パターンアンテナ内蔵回路基板100には、その側面の寸法(長さ)に対応した寸法(長さ)の主部108を有するパターンアンテナ106が形成される。
【0030】
参考形態では、回路基板100の側面寸法より小さい寸法の主部108を有するパターンアンテナ106を形成する方法を説明する。
【0031】
この方法では、図4(1)に示したようにキャスタレーション用の貫通スリット(貫通孔)の寸法を回路形成部104の1側辺と同等程度に小さくし、そこにパターンアンテナ主部用導体層108’を形成する。(対応する参考形態1の処理段階を示す図3(4)のパターンアンテナ主部用導体層108’は回路形成部104の1側辺よりかなり大きい寸法であった。)
この場合、図示したように、必要なパターンアンテナ主部用導体層108’の寸法が最終的な回路基板100の外形寸法(切断線C1、C2で規定される)より小さければ、図3(5)に示した場合のように切断線C2より外側の余分な領域Rは発生しないので、大判の積層板24により多数の回路基板100を作り込める、という利点がある。すなわち、図4(1)に示したように、個々の回路基板100が直接隣接して大判の積層板24に形成される。
【0032】
次いで、図4(2)に示すように、NCドリルやルーターによりパターンアンテナ主部用導体層108の両端の位置に穴Dを開ける。これにより、導体層108は回路基板100の外形寸法(切断線C1、C2で規定される)よりも小さく整形される。図示の例では、隣接する回路基板100の導体層108の両端が共通の穴Dにより削除され、それぞれ寸法減少される。
【0033】
ここで、更に寸法の小さいパターンアンテナ主部108が必要な場合には、図4(3)に示したように、複数のドリル穴Dを開けることができる。ドリル穴開け位置をオーバラップさせることにより、またはルーターで穴開けをすることにより、不要な残留部が発生しないように穴開けを行なう。
【0034】
以上の操作により、図4(4)に示すように、主部108の寸法が回路基板100の側辺寸法より小さいパターンアンテナ内蔵回路基板100が得られる。
【0035】
参考形態においても、参考形態1と同様に、余分なスペースを必要とせず、回路部とパターンアンテナ部とが相互のノイズに影響を受けないように設計しつつ小型化を実現できるという作用効果が得られる。
【0036】
〔実施形態〕
図5に、発明によるパターンアンテナ内蔵回路基板の一実施形態を示す。
【0037】
パターンアンテナ内蔵回路基板200は、パターンアンテナ112が、矩形基板102の各側面にそれぞれ形成されたキャスタレーションの内壁に延在する側面部分114と、矩形基板102の表面上の各コーナー領域に形成され、隣接する側面部分114間を接続するコーナー部分116とから成るループアンテナとして形成されている。ループアンテナ112は、基板102の表面に形成された接続部分110を介して、基板102の表面に形成された回路部104と接続されている。
【0038】
キャスタレーション内壁に延在する4つの側面部分114は、参考形態1における主部108と同様の操作により形成される。
【0039】
本実施形態においても、参考形態1、2と同様に、余分なスペースを必要とせず、回路部とパターンアンテナ部とが相互のノイズに影響を受けないように設計しつつ小型化を実現できるという作用効果が得られる。
【0040】
参考形態
図6に、第2参考技術によるパターンアンテナ内蔵回路基板の一実施形態を示す。
【0041】
パターンアンテナ内蔵回路基板300は、プリント基板102に回路部とパターンアンテナ120とが設けられて成る。回路部は図示の便宜上示していないが、基板102の上面にパターンアンテナに囲まれて設けられている。パターンアンテナ120は、基板102の両面に基板102の周縁に沿ってそれぞれ形成された2つのループ部分122と、基板102の側面から基板の両面の周縁領域まで延在して上記2つのループ部分122間を連接するループ間連接部分124とから成る2重ループアンテナである。ループ間連接部分124は、基板102の側面に形成されたキャスタレーションの内壁全面から基板の両面の周縁部まで延在して形成されている。
【0042】
パターンアンテナ内蔵回路基板300は参考形態1と同様にサブトラクティブ法で形成することもできるし、アディティブ法で形成することもできる。
【0043】
参考形態においては、基板両面に形成されたループ部分122間の接続を、基板側面部のキャスタレーション内壁に形成されたループ間連接部124によって行なうため、従来のようにビアにより表裏面のループ間を接続した場合のように負荷容量の増加による信号立ち上がりの遅延を生ずることがない、という作用効果が得られる。
【0044】
参考形態
上記の参考形態においては、第2参考技術による2重ループアンテナを備えたパターンアンテナ内蔵基板300を、参考形態1と同様のサブトラクティブ法で形成できるし、またアデティブ法によっても形成できることを述べた。しかし、第2参考技術によるパターンアンテナ内蔵基板の製法はこれらに限定する必要はない。
【0045】
図7に、第2参考技術によるパターンアンテナ内蔵回路基板の別の態様を示す。
【0046】
パターンアンテナ内蔵回路基板330は、プリント基板102に回路部とパターンアンテナ130とが設けられて成る。回路部は図示の便宜上示していないが、基板102上面にパターンアンテナに囲まれて設けられている。パターンアンテナ130は、参考形態と同様に、基板102の両面に基板102の周縁に沿ってそれぞれ形成された2つのループ部分122と、基板102の側面から基板の両面の周縁領域まで延在して上記2つのループ部分122間を連接するループ間連接部分126とから成る2重ループアンテナである。ただし、参考形態とは異なり、基板102の側面にはキャスタレーションは設けず、平滑な基板側面にループ間連接部分126が直接形成されている。
【0047】
参考形態のパターンアンテナ130は、導電性ペーストの印刷により下記のようにして形成される。導電性ペーストは通常のものでよく、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂中に、銀フィラー等の導電性粒子を分散させたものを用いることができる。
【0048】
先ず、導電性ペーストを、個片に切断分離された基板102の側面から基板102の両面周縁部まで延在するように印刷して、ループ間連接部分126を形成する。
【0049】
次に、このループ間連接部分126の延在部126Aの上に重なるようにして、基板102の表面および裏面に各々導電性ペーストを印刷して、ループ部分122を形成すると、図7に示した2重ループアンテナ130が完成する。
【0050】
あるいは別の方法として、先ず、大判の両面銅張積層板24の表裏両面の銅箔にフォトリソグラフィー処理を施して、両面それぞれに、回路部配線パターンとアンテナループ部分122とを形成する。その際、積層板24にはビア穴は形成しない。
【0051】
次に、切断により個々の回路基板に分離した後、導電性ペーストを基板側面から表裏両面に延在するように印刷してループ連接部分126を形成すると、図7に示した2重ループアンテナ130が完成する。
【0052】
本形態によっても、基板両面に形成されたループ部分122間の接続を、基板側面部に形成されたループ間連接部126によって行なうため、従来のようにビアにより表裏面のループ間を接続した場合のように負荷容量の増加による信号立ち上がりの遅延を生ずることがない、という参考形態と同様の作用効果が得られる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、パターンアンテナの形成に余分な基板スペースを必要とせず小型化を促進できると同時に、アンテナと配線パターンやデバイスとの配置間隔に余裕を設けて相互のノイズによる影響を防止できる構造のパターンアンテナ内蔵回路基板が提供される。
【0054】
また、ビアを用いずに基板表裏面間の電気的接続を可能として負荷容量の増加を防止した構造のパターンアンテナ内蔵回路基板も提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、従来のパターンアンテナ内蔵回路基板を示す斜視図である。
【図2】 図2は、第1参考技術一形態によるパターンアンテナ内蔵回路基板を示す斜視図である。
【図3】 図3は、図2のパターンアンテナ内蔵回路基板の製造工程を示す(1)〜(3)断面図および(4)〜(5)平面図である。
【図4】 図4は、第1参考技術の別の形態によるパターンアンテナ内蔵回路基板を示す(4)斜視図およびその製造工程を示す(1)〜(3)平面図である。
【図5】 図5は、発明の一実施形態によるパターンアンテナ内蔵回路基板を示す斜視図である。
【図6】 図6は、第2参考技術一形態によるパターンアンテナ内蔵回路基板を示す斜視図である。
【図7】 図7は、第2参考技術の別の形態によるパターンアンテナ内蔵回路基板を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…従来のパターンアンテナ内蔵回路基板
12…プリント基板
14…回路部分
16…アンテナ部分
100…パターンアンテナ内蔵回路基板
102…プリント基板
104…回路部
106…パターンアンテナ
108…パターンアンテナ106の主部
110…パターンアンテナ106の接続部
200…パターンアンテナ内蔵回路基板
112…パターンアンテナ
114…パターンアンテナ112の側面部分
116…パターンアンテナ112のコーナー部分
300…パターンアンテナ内蔵回路基板
120…パターンアンテナ
122…パターンアンテナ120のループ部分
124…パターンアンテナ120のループ間連接部分

Claims (1)

  1. パターンアンテナを内蔵する回路基板において、
    パターンアンテナが、矩形基板の各側面にそれぞれ形成された側面部分と、該矩形基板の表面の各コーナー領域に形成され、隣接する上記側面部分間を接続するコーナー部分とから成るループアンテナであることを特徴とするパターンアンテナ内蔵回路基板。
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