本発明の実施態様として、前記第1層間接続体が、前記第1絶縁層を貫通する密構造の導電体であり、前記第2層間接続体が、前記第2絶縁層を貫通する密構造の導電体であり、前記第3層間接続体が、前記第3絶縁層を貫通する密構造の導電体である、とすることができる。または、前記第1層間接続体が、前記第1絶縁層を貫通する密構造の導電体であり、前記第2層間接続体が、前記第2絶縁層を貫通する密構造の導電体である、とすることができる。これらの密構造の導電体は、小さな領域に高密度に設けることができる性質のものであり、アンテナ導体パターンの一部としても向いている。アンテナ導体パターンを形成するための層間接続体として、周知のスルーホール導電体を用いるようにしてもよい。
また、実施態様として、ヘリカル状の前記第1のアンテナ導体パターンのコアとして位置するように前記第2の絶縁層に埋設されたフェライト芯をさらに具備し、前記フェライト芯が、ヘリカル状の前記第2のアンテナ導体パターンのコアとなるようにも位置している、とすることができる。または、ヘリカル状の前記第2のアンテナ導体パターンのコアとして位置するように前記第2の絶縁層に埋設されたフェライト芯をさらに具備する、とすることができる。これらは、アンテナ導体パターンとしてインダクタンスを増加させるフェライト芯を、配線板中に部品内蔵の要領で埋設した構成である。部品内蔵の要領で埋設することで、コンパクトなまとまりでアンテナ部品として付加価値を増大させることができる。特に、前者では、第1、第2のアンテナ導体パターンに共通の1つのフェライト芯を設けることで済みコスト減につながる。
また、実施態様として、前記第2の絶縁層が、少なくも2つの絶縁層が積層されたものであり、前記第2の絶縁層の前記少なくとも2つの絶縁層のうちの隣り合ういずれか2つの絶縁層の間に設けられた第5配線層(または第4配線層)をさらに具備し、前記フェライト芯が、溶融はんだに対して濡れ性を呈する材料のめっき層を少なくとも一部の表面に有し、該一部の表面が、前記第5配線層(または第4配線層)の一部として形成されたフェライト芯取り付け用ランド上に、はんだで固定されて、前記第2の絶縁層に埋設されている、とすることができる。フェライト芯をはんだにより配線層上に固定するので、製造途上で、表面実装技術により効率的に実装、固定が可能になる。
また、実施態様として、前記第1のアンテナ導体パターンが有する両端子である第1の端子および第2の端子のうち該第1の端子と、前記第2のアンテナ導体パターンが有する両端子である第1の端子および第2の端子のうち該第1の端子とが共通端子として接続されており、前記配線板に実装された、前記第1のアンテナ導体パターンの前記第2の端子と前記第2のアンテナ導体パターンの前記第2の端子とを2つの出力先とするデマルチプレクサと、前記配線板にさらに実装された、前記共通端子と前記デマルチプレクサの入力とに電気的接続を有するアンテナ駆動ICとをさらに具備する、とすることができる。
この実施態様では、アンテナ駆動ICを配線板に実装することでアンテナ部品として付加価値を高めている。ここで、アンテナ駆動ICが第1のアンテナ導体パターンを駆動するか、第2のアンテナ導体パターンを駆動するかが、デマルチプレクサの状態により切り替え可能な構成である。したがって、時分割に(または切り替えて)、第1、第2のアンテナ導体パターンをアンテナとして動作させることができる。すなわち、複数方向の指向性の具有および/または複数の周波数帯への対応が、時分割に(または切り替えることで)実現する。
また、実施態様として、前記第1のアンテナ導体パターンが有する両端子である第1の端子および第2の端子のうち該第1の端子と、前記第2のアンテナ導体パターンが有する両端子である第1の端子および第2の端子のうち該第1の端子とが接続されており、前記配線板に実装された、前記第1のアンテナ導体パターンの前記第2の端子と前記第2のアンテナ導体パターンの前記第2の端子とに電気的接続を有するアンテナ駆動ICをさらに具備する、とすることができる。
この実施態様は、アンテナ駆動ICを配線板に実装することでアンテナ部品として付加価値を高めている。ここで、アンテナ駆動ICは、直列に接続された第1、第2のアンテナ導体パターンを駆動する構成である。したがって、同時に、第1、第2のアンテナ導体パターンをアンテナとして動作させることができる。すなわち、複数方向の指向性の具有が、同時的に実現する。
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアンテナ部品の構成を示す模式的断面図である。端的に言うと、このアンテナ部品は、多層(8層)の配線層21〜28を有する配線板を基本として、それらの配線層21〜28および配線層間を電気的につなぐ層間接続体31〜37により、所望のアンテナ導体パターンを構成したものである。例えば、非接触データキャリアの1つの規格である13.56MHz帯に対応するアンテナ部品を想定している。
まず、配線板としての構成を説明する。このアンテナ部品は、絶縁層11〜17、配線層21〜28、層間接続体31〜37を有する配線板を具備する。配線板中には、フェライト芯41が埋設、内蔵され、フェライト芯41は、その表面に形成されためっき層41aの面がはんだ51を介して、配線層24が含む取り付けランド上に固定されている。最外の配線層21、28が設けられた面上には、それぞれはんだレジスト61、62の層がある。
配線層21、28は、配線板としての両主面上の配線層であり、その一部であるランド上に各種の部品(不図示)が実装されてもよく、および/または、このアンテナ部品を他の配線板上に実装するためにランドが形成されていてもよい。それらのランド部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト61、62が形成されている。ランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
配線層22〜27は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層21と配線層22との間に絶縁層11が、配線層22と配線層23との間に絶縁層12が、配線層23と配線層24との間に絶縁層13が、配線層24と配線層25との間に絶縁層14が、配線層25と配線層26との間に絶縁層15が、配線層26と配線層27との間に絶縁層16が、配線層27と配線層28との間に絶縁層17が、それぞれ位置しこれらの配線層21〜28を隔てている。
各絶縁層11〜17は、例えばそれぞれ厚さ100μmで、それぞれ例えばエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層15は、内蔵されたフェライト芯41に相当する位置部分が開口部になっており、フェライト芯41を内蔵するための空間を提供する。絶縁層14、16は、内蔵されたフェライト芯41のための絶縁層15の上記開口部間を埋めるように変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
配線層21と配線層22とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。同様に、配線層22と配線層23とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層12を貫通する層間接続体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層13を貫通する層間接続体33により導通し得る。配線層24と配線層25とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層14を貫通する層間接続体34により導通し得る。
さらに、同様に、配線層25と配線層26とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層15を貫通する層間接続体35により導通し得る。配線層26と配線層27とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層16を貫通する層間接続体36により導通し得る。配線層27と配線層28とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層17を貫通する層間接続体37により導通し得る。
層間接続体31〜37は、それぞれ、導電性ペーストのスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とする密構造の導電体であり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向)に径が変化している。層間接続体31〜37は、このような形成過程や形状の特徴から、より微細で自由な配置が可能である。
次に、以上説明の配線板としての構成を踏まえ、このアンテナ部品が有する2つのアンテナ導体パターンの構成について図2をも参照して説明する。図2は、図1に示したアンテナ部品における2つのアンテナ導体パターンの構成を説明するための簡略斜視図である。図2において、図1中に示した構成要素に対応する部分には同一符号を付してある。
図2(a)に示すように、一方のアンテナ導体パターン100は、配線層21、層間接続体31、32、33、34、35、36、37、配線層28で主に構成されており、各層間接続体31〜37の各隣り合う層のものを電気的に接続中継するため、配線層22〜27も一部使用している。すなわち、アンテナ導体パターン100のうちの横方向の導体パターンは、もっぱら最外の配線層21、28でなっており、縦方向の導体パターンは、層間接続体31〜37とこれらの各隣り合う層のものを電気的に接続中継する配線層22〜27とでなっている。そして、アンテナ導体パターン100は、全体として、絶縁層11〜17に平行する方向の軸を有するヘリカル形状に構成されている。
また、同じく図2(a)に示すように、他方のアンテナ導体パターン200は、配線層22、層間接続体32〜36、配線層27で主に構成されており、各層間接続体32〜36の各隣り合う層のものを電気的に接続中継するため、配線層23〜26も一部使用している。すなわち、アンテナ導体パターン200のうちの横方向の導体パターンは、もっぱら配線層22、27でなっており、縦方向の導体パターンは、層間接続体32〜36とこれらの各隣り合う層のものを電気的に接続中継する配線層23〜26とでなっている。そして、アンテナ導体パターン200は、全体として、絶縁層11〜17に平行しかつ上記アンテナ導体パターン100が有する軸と直交する軸を有するヘリカル形状に構成されている。
以上のような両アンテナ導体パターン100、200の構成、配置により、これらのアンテナ導体パターン100、200を電気的に互いに独立させ設けることができる。そして、上記のようなアンテナ導体パターン100、200のヘリカル形状の軸の方向関係から、アンテナとしての指向性を互いに直交する2つの方向に向けることができる。よって、2方向の指向性の具有ができ、機器の小型化に寄与するアンテナ部品となる。アンテナ導体パターン100、200のような関係は、最低限4つの配線層を有する配線板を利用すれば実現できる。
なお、応用として、巻き数などを変え特性を変更することによれば、アンテナ導体パターン100、200を別々の周波数帯対応として使用することも可能である。よって、2方向の指向性の具有および/または2つの周波数帯への対応ができ、機器の小型化に寄与するアンテナ部品となる。
図2(b)は、説明のため、一方のアンテナ導体パターン100およびフェライト芯41のみの位置関係を簡略図示したものである。図2(c)は、同様に、他方のアンテナ導体パターン200およびフェライト芯41のみの位置関係を簡略図示したものである。これらの図示は、図1も参照すると容易に理解でき、フェライト芯41は、アンテナ導体パターン100、200共通のコアとして機能することがわかる。フェライト芯41は、多層配線板における部品内蔵の要領で埋設したものであり、これによりコンパクトなまとまりでアンテナ部品としてインダクタンスを増大させるという付加価値を加えている。また、アンテナ導体パターン100、200に共通に1つのコア(フェライト芯41)なのでコスト減になる。
次に、図3は、図1に示したアンテナ部品を製造する過程の一部(最終積層工程)を断面で示す模式的工程図である。図3において図1中に示したものと対応のものには同一符号を付してある。
このアンテナ部品の製造工程は、概略以下である。まず、4枚の金属箔(銅箔)の必要な位置に層間接続のため(層間接続体31、層間接続体33、層間接続体35、または層間接続体37とするため)の突起状の銀ペーストバンプをそれぞれ印刷形成し、その銀ペーストバンプが貫通するようにそれらの銅箔上に絶縁層11、絶縁層13、絶縁層15、または絶縁層17とすべきプリプレグを積層一体化する。次に、貫通した銀ペーストバンプの先端を塑性変形するようにそれらのプリプレグ上にそれぞれ別の金属箔(銅箔)を積層一体化し、同時にそれらのプリプレグを硬化させて絶縁層11、絶縁層13、絶縁層15、または絶縁層17それぞれを有する、4つの両面配線板を得る。そして、両面の銅箔のうちの配線層22、23、25、26、27とすべき銅箔をエッチングで所定にパターン化しておく。
次に、パターン化で得られた配線層23上の必要な位置に層間接続体32とすべき突起状の銀ペーストバンプを印刷形成し、その銀ペーストバンプが貫通するように配線層23上に絶縁層12とすべきプリプレグを積層一体化する。次に、貫通した銀ペーストバンプの先端を塑性変形するようにそのプリプレグ上に、絶縁層11を有する両面配線板の配線層22側を積層一体化し、同時にそのプリプレグを硬化させて絶縁層11、12、13を有する4層配線板を得る。そして、その4層配線板の両面の銅箔のうちの配線層24とすべき銅箔をエッチングで所定にパターン化する。
次に、上記4層配線板の配線層24上に、表面実装技術を用いてはんだ51でフェライト芯41を実装する。ここでフェライト芯41の表面のうちの少なくとも配線層24上への実装面には、あらかじめ、溶融はんだが濡れ性を呈する材料、例えば銅のめっき層41aを設けておく。これにより、通常の表面実装技術のごとく、はんだ51とすべきクリームはんだの配線層24上への印刷、マウンタによるフェライト芯41のクリームはんだを介した配線層24上への載置、そして加熱によるクリームはんだのリフローを順次行い、フィライト芯41の実装(固定)ができる。これにより、図3における積層部材Aが得られる。
次に、絶縁層15を有する配線板と、絶縁層17を有する配線板とには、それぞれ、パターン形成された配線層25、27の側の必要な位置に、層間接続体34、36とすべき銀ペーストバンプをそれぞれ印刷形成し、それらの銀ペーストバンプが貫通するように絶縁層14、または絶縁層16とすべきプリプレグ14A、またはプリプレグ16Aを積層一体化する。なお、積層一体化の前または後に、フェライト芯41aの位置に対応するプリプレグ14A、絶縁層15の部位は除去しておく(フェライト芯用開口部71)。これらにより、図3における積層部材B、Cが得られる。
そして、図3に示すような配置で積層部材A、B、Cを積層一体化する。この積層一体化では、プリプレグ14A、15Aが熱により流動化しフェライト芯41の周りを充填して硬化する。また、層間接続体34、36は、その先端側が対接するランド(銅パターン)に接触して塑性変形・硬化し電気的接続が確立する。その後、最外の金属箔(銅箔)21A、28Aをエッチングでパターン化し、さらにそれらの上にはんだレジスト61、62の形成を行う。以上により、図1に示すアンテナ部品が製造できる。
以上、図1ないし図3を参照して1つの実施形態を説明したが、以下補足する。まず、この実施形態では、層間接続体31〜37として、隣り合う配線層の面間に挟設された密構造のものを使用しているが、スルーホールタイプの層間接続体を使用する配線板を使用して同様配置の2つのアンテナ導体パターンを設けることも可能ではある。ただし、スルーホールタイプの層間接続体は、通常、層間接続の不要な絶縁層をも貫通させて形成する必要があることなどにより、配置の自由度が低い。したがって、この点からもアンテナ部品として小型化には少し不利である。
また、この実施形態で、2つのアンテナ導体パターン100、200が同一の周波数帯に対応の場合、それらの通信可能距離などの特性を揃えるためには、ヘリカル形状の軸に直交する断面での導体パターンが描く面積を互いにほぼ同一にするように、2つのアンテナ導体パターン100、200をそれぞれ形成しておけばよい。これにより、互いに直行する両方向に磁束密度を揃えることができる。図1に示した実施形態では、アンテナ導体パターン100が外側でアンテナ導体パターン200がその内側に配置されているので、これらの上記面積を互いにほぼ同一にするには、アンテナ導体パターン200の方のパターン長手方向の長さをアンテナ導体パターン100のそれよりも多少長くすればよい。
次に、図4は、図1に示したアンテナ部品における面上の利用態様の一例を説明する簡略斜視図である。図4において、すでに説明した図中に示したものと同一相当の構成要素には同一符号を付してある。
図1に示したアンテナ部品は、配線板を利用しているので、その最外の面上を通常の配線板と同様に利用することができる。その1つの態様として、図4に示すものは、最外の配線層21の一部として、取り付け用パターン210を設けている。配線層21には、アンテナ導体パターン100のうちの横方向のパターン、アンテナ導体パターン100の両端子であるアンテナ導体パターン端子100a、100bのパターンがもともと存在する。そして、これらに加えて、アンテナ導体パターン200の両端子であるアンテナ導体パターン端子200a、200bのパターンを設け、さらに、このアンテナ部品を安定的に他の配線板にはんだで取り付けるためのパターン210を独立に設けている。
次に、図5は、図1に示したアンテナ部品における面上の利用態様の別の例を説明する模式的断面図である。図5において、すでに説明した図中に示したものと同一相当の構成要素には同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。
この態様は、最外の配線層21を、2つのアンテナ導体パターンを遮蔽するための金属パターンとして利用するようにしたものである。配線層21は、遮蔽用ベタパターン220を有している。これに伴い、2つのアンテナ導体パターンの構成を少し変えている。すなわち、一方のアンテナ導体パターンにおいては、横方向の導体パターンを配線層22(配線層21から変更)と配線層28とで構成し、他方のアンテナ導体パターンにおいては、横方向の導体パターンを配線層23(配線層22から変更)と配線層27とで構成している。
最外の配線層21には、遮蔽用ベタパターン220のほかに、2つのアンテナ導体パターンのそれぞれ両端子を設ける。遮蔽用ベタパターン220を設けることにより、遮蔽用ベタパターン220の外側に金属物が配置される場合に、それによる通信への悪影響を抑制することが可能である。
次に、図6は、図1に示したアンテナ部品における面上の利用態様のさらに別の例を説明する簡略斜視図である。図4において、すでに説明した図中に示したものと同一相当の構成要素には同一符号を付してある。
この実施形態は、両面に位置する最外の配線層にそれぞれアンテナ導体パターンの端子をひとつずつ設けたものである。すなわち、配線層21に、アンテナ導体パターン100、200のそれぞれ一方の端子であるアンテナ導体パターン端子100a、200bを設けている。そして、配線層28に、アンテナ導体パターン100、200のそれぞれ他方の端子であるアンテナ導体パターン端子100b、200aのパターンを設けている。このように両面にアンテナ導体パターン100、200の端子を設けることも、配線板を利用したアンテナ部品であるゆえに容易である。
以上の図4から図6においては、アンテナ部品における面上の利用態様について説明したが、アンテナ導体パターン100、200の両端子は、上記説明のように配線板の面上に設ける以外に、以下のように設けることも可能である。すなわち、例えば、配線板の側面(端面)に設けるように構成することができる。このためには、例えば、スルーホール導電体を端面において縦方向に2分したその一方のものを利用し端子とすればよい。
次に、本発明の別の実施形態に係るアンテナ部品について図7を参照して説明する。図7は、別の実施形態に係るアンテナ部品の構成を示す簡略斜視図である。端的に言うと、このアンテナ部品も、図1に示したアンテナ部品と同様に、多層(8層)の配線層21〜28を有する配線板を基本として、それらの配線層21〜28と配線層間を電気的につなぐ層間接続体31〜37とで、所望のアンテナ導体パターンを構成したものである。したがい、図1に相当する図示は省略し、図7に示すような、図2に相当する簡略斜視図を用い説明する。以下、図1(における符号)も適宜参照している。
図7(a)に示すように、一方のアンテナ導体パターン200については、図2での説明と同様である。すなわち、アンテナ導体パターン200は、配線層22、層間接続体32〜36、配線層27で主に構成されており、各層間接続体32〜36の各隣り合う層のものを電気的に接続中継するため、配線層23〜26も一部使用している。つまり、アンテナ導体パターン200のうちの横方向の導体パターンは、もっぱら配線層22、27でなっており、縦方向の導体パターンは、層間接続体32〜36とこれらの各隣り合う層のものを電気的に接続中継する配線層23〜26とでなっている。そして、アンテナ導体パターン200は、全体として、絶縁層11〜17に平行する軸を有するヘリカル形状に構成されている。
これに対して、図7(a)に示すように、他方のアンテナ導体パターン300は、配線層21、28で主に構成されており、それらの配線層21、28において、それぞれ渦巻状のパターンを有している。そして、この配線層21と配線層28とを電気的に導通させるように、およびアンテナ導体パターン300とその片側の端子とを接続するように、層間接続体31〜37、および各層間接続体31〜37の各隣り合う層のものを電気的に接続中継するため、配線層22〜27も一部使用している。
より具体的に、アンテナ導体パターン300は、配線層21に設けられた一方のその端子を渦巻きの外周端として渦巻きが開始され、内周端に至ってそこから層間接続体31〜37を辿り配線層28に導通する。そして、その導通部位を配線層28における渦巻きの内周端として、配線層21と同じ向きの渦巻きが開始され、外周端に至ってそこから層間接続体31〜37を辿り配線層21が有する端子に導通する。
以上のような両アンテナ導体パターン200、300の構成、配置によっても、これらのアンテナ導体パターン200、300を電気的に互いに独立させ設けることができる。そして、上記のようなアンテナ導体パターン200、300の軸の方向関係から、アンテナとしての指向性を互いに直交する2つの方向に向けることができる。よって、2方向の指向性の具有ができ、機器の小型化に寄与するアンテナ部品となる。
なお、応用として、巻き数などを変え特性を変更することによれば、アンテナ導体パターン200、300を別々の周波数帯対応として使用することも可能である。よって、2方向の指向性の具有および/または2つの周波数帯への対応ができ、機器の小型化に寄与するアンテナ部品となる。
図7(b)は、説明のため、一方のアンテナ導体パターン200のみの構成を簡略図示したものである。図7(c)は、同様に、他方のアンテナ導体パターン300のみの構成を簡略図示したものである。なお、これらの図示ではフェライト芯を描いていないが、アンテナ導体パターン300内周側の縦方向の導体パターンの位置に注意しこの位置を避ければ図1に示した実施形態と同様にフェライト芯を設けることもできる。その意味では、アンテナ導体パターン300の縦方向の導体パターンを渦巻き形状の外周端の側に設け、かつ、2つの端子をそれぞれ配線板両面に対向するように設ければ、アンテナ導体パターン300とフェライト芯41aとの位置的干渉を避けることができ有用である。
図7に示す実施形態では、変形例として、渦巻きのアンテナ導体パターン300について、さらに多層の配線層からなる渦巻きのパターンとすることも可能である。その場合には、図1に示したような8層の配線板より上下にさらに多層化された配線板を用い、その増えた配線層を利用して渦巻きのパターンをアンテナ導体パターン300として連続するようにさらに多層に形成する。これにより、インダクタンスを増加させ通信能力の高いアンテナ導体パターンにすることができる。ちなみに、図1に示した8層の配線板より上下にさらに多層化された配線板は、図3において説明した製造工程を参照すればその応用として容易に製造できることがわかる。
一方、最低限の渦巻きのアンテナ導体パターン300としては、配線層21のみで形成される渦巻きの導体パターン、または配線層28のみで形成される渦巻きの導体パターンとすることができる。この場合、全体のアンテナ部品として、最低限3つの配線層を有する配線板を利用できる。
また、別の観点の変形例として、次の構成のものも考えられる。すなわち、図1に示したアンテナ部品を基本として、この8層の配線板より上下にさらに多層化された配線板を用い、その増えた配線層を利用して渦巻きのパターンを構成するようにする。これによれば、図2に示したような、互いに直交する軸の2方向のヘリカル形状のアンテナ導体パターン100、200に加えて、これらの2方向の軸にさらに直交する軸の渦巻きのアンテナ導体パターン300を有するアンテナ部品を構成することができる。このアンテナ部品では、互いに直交する3方向の軸を有する3つのアンテナ導体パターンが具有されるので、アンテナとしての指向性の範囲をさらに増すことができる。
次に、本発明のさらに別の実施形態に係るアンテナ部品について図8を参照して説明する。図8は、さらに別の実施形態に係るアンテナ部品の構成を示す簡略斜視図である。端的に言うと、このアンテナ部品も、図1に示したアンテナ部品と同様に、多層(8層)の配線層21〜28を有する配線板を基本として、それらの配線層21〜28と配線層間を電気的につなぐ層間接続体31〜37とで、所望のアンテナ導体パターンを構成したものである。したがい、図1に相当する図示は省略し、図8に示すような、図2に相当する簡略斜視図を用い説明する。以下、図1(における符号)も適宜参照している。
図8(a)に示すように、一方のアンテナ導体パターン100については、図2での説明と同様である。すなわち、アンテナ導体パターン100は、配線層21、層間接続体31〜37、配線層28で主に構成されており、各層間接続体31〜37の各隣り合う層のものを電気的に接続中継するため、配線層22〜27も一部使用している。つまり、アンテナ導体パターン100のうちの横方向の導体パターンは、もっぱら配線層21、28でなっており、縦方向の導体パターンは、層間接続体31〜37とこれらの各隣り合う層のものを電気的に接続中継する配線層22〜27とでなっている。そして、アンテナ導体パターン100は、全体として、絶縁層11〜17に平行する軸を有するヘリカル形状に構成されている。
これに対して、他方のアンテナ導体パターン400は、配線層24で主に構成されており、配線層24において、図8(a)に示すように、パッチ状(またはダイポール状)にパターン形成されている。この配線層24によるパターンをアンテナ導体パターン400としての端子と電気的に導通させるように、層間接続体31〜33、および各層間接続体31〜33の各隣り合う層のものを電気的に接続中継するため、配線層22、23も一部使用している。さらに端子のため配線層21を使用している。
以上のような両アンテナ導体パターン100、400の構成、配置によっても、これらのアンテナ導体パターン100、400を電気的に互いに独立させ設けることができる。したがって、アンテナ導体パターン100、400を別々の周波数帯対応として使用することができる。よって、2つの周波数帯への対応が可能であり、これにより小型化に寄与するアンテナ部品になる。
図8(b)は、説明のため、一方のアンテナ導体パターン100のみの配置を簡略図示したものである。図8(c)は、同様に、他方のアンテナ導体パターン400のみの配置を簡略図示したものである。
パッチ状(またはダイポール状)のアンテナ導体パターン400は、例えば数100MHz帯以上の帯域の周波数による通信用として使用することができる。より具体的に、UHF帯以上の周波数の電子タグ(ICタグ、無線タグ、RFID、非接触データキャリアなどとも言う)のほか、電話端末における電話およびデータの主たる通信、無線LAN、GPSなどの用途が考えられる。この実施形態のアンテナ部品は、その構成から明らかであるが、配線板として、最低限3つの配線層を有するものであれば構成することができる。
次に、本発明のさらに別の実施形態に係るアンテナ部品について図9を参照して説明する。図9は、本発明のさらに別の実施形態に係るアンテナ部品の構成を示す模式的断面図である。図9において、すでに説明した図中に登場の構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分についての説明は加えるべき事項がない限り省略する。
この実施形態は、図1に示したアンテナ部品と同様の構成のものをアンテナ導体パターン部1として有し、このアンテナ導体パターン部1が有している配線板と同一の配線板にアンテナ駆動IC45などの周辺部品を、部品内蔵配線板部2として実装(または内蔵実装)させ付加価値を増大させたものである。電子タグとしての形態を想定している。
アンテナ駆動IC45は、主たる内部構成要素として、通信回路部(不図示)とメモリ部(不図示)とを有する。通信回路部は、アンテナ導体パターン100、同200に接続され(図10で説明する)、これにより、外部からのデータ読み出し指令信号を受信しかつこれに反応してメモリ部に格納されたデータの出力の仲介を行う。アンテナ駆動IC45は、受信している状態ではアンテナ駆動回路ではなく受信回路として機能し、データを出力する状態でアンテナ駆動回路として機能する。
このアンテナ部品の部品内蔵配線板部2においては、絶縁層11〜17、配線層21〜28、層間接続体31〜37がそれぞれ通常の配線板における絶縁層、配線層、層間接続体として機能している。そして、例えばLGAの端子を有するアンテナ駆動IC45を内蔵で実装しているが、このアンテナ駆動IC45は、すでに図3で説明したフェライト芯41の実装、内蔵と同様の同時期の工程により、実装、内蔵されたものである。なお、アンテナ駆動IC45のほかにもその関連する周辺部品を内蔵することができ、または、これを周辺部品46のように、配線板の面上に実装するようにしてもよい。周辺部品46としては、各種のIC、チップコンデンサ、チップ抵抗、クリスタル発振子などがあり得る。
図10は、図9に示したアンテナ部品における回路構成を示す例示的な回路図である。図10において、すでに説明した図中に登場のものと対応する構成要素には同一符号を付してある。まず、図10(a)に示す回路は、アンテナ導体パターン100と同200とを切り替えて(または時分割に)使用するように構成したものである。
回路構成として、アンテナ導体パターン100の一方の端子と、アンテナ導体パターン200の一方端子とが共通端子として接続されている。そして、アンテナ導体パターン100の他方の端子とアンテナ導体パターン200の他方の端子とを2つの出力先とするデマルチプレクサ91が設けられ、アンテナ駆動IC45は、上記共通端子とデマルチプレクサ91の入力とに電気的接続を有している。なお、コンデンサ95、96は、アンテナ導体パターン100、200にそれぞれ並列に接続されてその周波数特性を調整するものである。これらの回路の構成は、このアンテナ部品が有する配線板としての機能を用い容易に実現できる。
図10(a)に示す回路構成によれば、アンテナ駆動IC45がアンテナ導体パターン100を駆動するか、アンテナ導体パターン200を駆動するかが、デマルチプレクサ91の切り替え状態により決定可能である。よって、時分割に(または切り替えて)、アンテナ導体パターン100、200をアンテナとして動作させることができる。すなわち、2方向の指向性の具有および/または2つの周波数帯への対応が、時分割に(または切り替えることで)実現する。受信時も同様である。受信時は、デマルチプレクサ91はマルチプレクサとして機能することになる。
コンデンサ95、96やマルチプレクサ/デマルチプレクサ91は、アンテナ駆動IC45と同様に配線板中に内蔵して備えることも可能であり、または、図9における周辺部品46のように、配線板の面上に実装することも可能である。なお、この例は、図1に示したようなアンテナ導体パターン100、200を有するアンテナ部品における応用に留まらず、図7に示したようなアンテナ導体パターン200、300を有するアンテナ部品や、図8に示したようなアンテナ導体パターン100、400を有するアンテナ部品における応用としても有用である。
次に、図10(b)に示す回路は、アンテナ導体パターン100と同200とを同時に使用するためにこれらを直列に構成したものである。回路構成として、アンテナ導体パターン100の一方の端子と、アンテナ導体パターン200の一方の端子とが接続されており、アンテナ駆動IC45は、アンテナ導体パターン100の他方の端子とアンテナ導体パターン200の他方の端子とに電気的接続を有している。なお、コンデンサ97は、直列のアンテナ導体パターン100、200に並列に接続されてその周波数特性を調整するものである。これらの回路構成は、このアンテナ部品が有する配線板としての機能を用い容易に実現できる。
図10(b)に示す回路構成によれば、同時に、アンテナ導体パターン100、200をアンテナとして動作させることができる。すなわち、2方向の指向性の具有が、同時的に実現する。なお、この例は、図1に示したようなアンテナ導体パターン100、200を有するアンテナ部品における応用に留まらず、図7に示したようなアンテナ導体パターン200、300を有するアンテナ部品における応用としても有用である。