JP4010589B2 - 文書検索システムおよび同システムに適用される検索文書提示方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の文書の中から検索要求に合致した文書を検索して提示する文書検索システムおよび検索文書提示方法に係り、特に複数言語にわたる検索文書を動的に適切な言語に統一して提示する文書検索システムおよび検索文書提示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコン、インターネット、電子図書館などの普及に伴ない、様々な言語で書かれた大量の文書に個人がアクセスできるようになってきている。このような状況により、膨大な情報の中から求める情報のみを検索してユーザにわかりやすい形で提供する高度な文書検索システムの需要が高まりつつある。
【0003】
現在、異なる言語で書かれた文書を同時に検索する検索システムが実用化されている。しかしながら、このようなシステムの提示する検索結果には、当然異なる言語で書かれた文書が混在しており、一般のユーザが情報を得るのは難しかった。
【0004】
ユーザにとって理解の難しい言語で書かれた文書から情報を得るために、検索結果である個々の文書を次々に機械翻訳システムにかけ、翻訳された文書を読むという方法があるが、これは翻訳速度が十分でなければ煩雑であり、また検索結果全体を同一言語で概観することができないという問題があった。
【0005】
また、複数の言語に堪能なユーザであっても、検索結果によって異なる言語に統一して情報を得たいと思う場合がある。たとえば、日本語が母国語のユーザであっても、検索結果の文書の大半が英語である場合や、検索結果を利用して英語で論文などを書きたい場合には、すべて英語で統一して情報集めを行なうかも知れない。このようなときに、ユーザが予め言語を指定しなくても、どの言語に統一して翻訳するかを検索結果に応じて動的に決定するシステムは存在していなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、今日では世界中に点在する様々な言語で記述された文書を個人がアクセスできるようになってきているが、従来の文書検索システムでは、検索結果に互いに異なる言語で書かれた文書が混在したときに、これらの文書をそれらの言語そのままに提示していたために、必ずしも使い勝手のがよいとはいえなかいといった問題があった。
【0007】
この発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、複数言語にわたる検索文書を動的に適切な言語に統一して提示する文書検索システムおよび検索文書提示方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するために、この発明の文書検索システムは、複数の文書の中から検索要求に合致した文書を検索して提示する文書検索システムにおいて、検索された文書の中からいずれかの文書を選択させる選択手段と、前記選択手段によって選択された文書の記述言語の種類を判定する記述言語判定手段と、前記記述言語判定手段の判定結果と異なる記述言語で記述された検索文書を前記判定言語に翻訳して提示する検索文書提示手段とを具備してなることを特徴とする。
【0011】
この発明の文書検索システムにおいては、たとえば検索結果一覧をリスト表示するなどしてユーザ自身に読みたい文書を選択させ、この選択された文書の記述言語を検索文書の提示言語として採用する。そして、この提示言語以外の言語で記述された検索文書は、この提示言語に翻訳して提示する。すなわち、この発明の文書検索システムによれば、ユーザが選択した文書を記述した言語に統一されてすべての検索文書が提示されることになる。
【0012】
また、この発明の文書検索システムは、複数の文書の中から検索要求に合致した文書を検索して提示する文書検索システムにおいて、検索された複数の文書を提示する第1の検索文書提示手段と、この検索文書表示手段に提示された、前記検索された文書に対する前記検索要求に適合しているか否かを示す適合性評価結果を入力する適合性評価結果入力手段と、前記適合性評価結果入力手段が入力した前記適合性評価結果に応じて前記検索要求を修正する検索要求修正手段と、前記適合性評価結果入力手段が入力した前記適合性評価結果により前記検索要求に適合していると認められた文書の記述言語の種類を判定する記述言語判定手段と、前記検索要求修正手段により修正された検索要求に合致した検索文書であって前記記述言語判定手段の判定結果と異なる記述言語で記述された検索文書を前記記述言語判定手段により判定された判定言語に翻訳して提示する第2の検索文書提示手段とを具備してなることを特徴とする。
【0013】
この発明の文書検索システムでは、検索結果の適合性評価を次回の検索に反映させるいわゆる適合性フィードバックの適用を前提としており、この適合性評価を援用して次回の検索結果の提示言語を決定するものである。すなわち、この発明の文書検索システムによれば、適合性評価によって適合性が認められた文書の記述言語の種類を判定しておき、次回の検索時には、この判定した言語以外の言語で記述された検索文書を判定した言語に翻訳して提示する。したがって、前述と同様にすべての検索文書が同一言語で提示されることになる。
【0016】
すなわち、この発明によれば、検索文書中の検索要求に適合した箇所を含む部分のみが同一の言語に統一されて提示されることになり、ユーザ側では使い勝手を向上させることが可能となり、一方で、システム側では文書全体を翻訳するのではなく、検索要求に適合した箇所を含む部分のみを翻訳対象とすることによって、言語翻訳に費やす負荷を大幅に軽減することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。図1に、第1実施形態に係る文書検索システムの構成を示す。図1に示したように、この文書検索システム100は、検索要求入力部11、検索部12、提示言語決定部13、翻訳部14および検索結果出力部15からなる。ここで、検索要求入力部11は、キーボード、文字認識装置、音声認識装置などの入力装置に、検索結果出力部15は、ディスプレイ、プリンタなどの出力装置にそれぞれ対応し、検索部12、提示言語決定部13および翻訳部14は、CPUによって実行制御されるプログラムに対応する。そして、この文書検索システム100と従来の文書検索システムとの相違は、提示言語決定部13と翻訳部14とを合わせもっている点にある。
【0018】
ここで、図1に沿って、この文書検索システム100の全体的な流れを説明する。まず、ユーザが検索要求入力部11に入力した検索要求は、検索部12に渡される。検索部12は、検索対象となる文書の中から検索要求に適合する文書を検索する。ここまでの処理は従来の検索システムと同様であるが、この文書検索システム100では、検索された文書がまず提示言語決定部13に渡され、この提示言語決定部13でどのような言語に統一してユーザに検索結果を提示すべきかが決定される。そして、検索結果は翻訳部14によって適宜翻訳され、翻訳された検索結果が検索結果出力部15によってユーザに提示される。なお、検索部12における文書の検索手法は、複数言語の文書を検索できるものであればどのようなものであってもよく、同様に翻訳部14における文書の機械翻訳手法は複数言語の文書を翻訳できるものであればどのようなものであってもよい。
【0019】
図2に、第1実施形態の特徴である提示言語決定部13の処理の流れの一例を示す。提示言語決定部13は、検索部12から検索結果を受取ると(ステップA1)、検索結果の各文書についてそれがどのような言語で書かれているかを判定する(ステップA3)。言語の判定の方法としては、たとえば文字コードが2バイトコードであるか1バイトコードであるか、さらには特定の語を含むか否かなどをテストすることが考えられる。たとえば、文書が1バイトコードのみを含んでおり、さらに“the”や“is”などの語を含むならば、その言語は英語であると判定することができる。このようにして検索結果の各文書の言語判定を終えると、この結果を集計して、ユーザにどの言語に検索結果の言語を統一して提示するかを決定する(ステップA6)。提示言語決定方法としては、多数決を採用することが考えられる。たとえば、検索結果に含まれる文書数が10件であって、このうちの8件が日本語、残りの2件が英語で書かれている場合には、日本語を提示言語にする。特に機械翻訳に時間がかかる場合、多数決を採用すると翻訳する文書数が少なくなるので有効であると考えられる。また、多数決方式の変形例として、検索結果の記事がランク付けされている場合に、上位の記事の言語判定結果を重視して提示言語を決定することが考えられる。たとえば、検索結果に含まれる文書数が10件であって、このうち主として上位に日本語の文書が5件、主として下位に英語の文書が5件あった場合に、日本語を提示言語にする。特に機械翻訳の品質が完璧ではない場合、このような上位の文書を重視した提示言語の決定を行なえば、上位に存在する、すなわちより重要であると考えられる文書が原文のまま提示され、下位のあまり重要でない文書は概要がつかめる程度に翻訳されて提示されることになり有効であると考えられる。
【0020】
図3に、第1実施形態における翻訳部14の処理の流れの一例を示す。翻訳部14は、まず提示言語決定部13から検索結果、検索結果の各文書の言語判定結果およびどの言語に統一して提示するかという情報を受取る(ステップB1)。次に、各文書についてその言語判定結果が提示言語に等しいか否かを判定する(ステップB3)。等しい場合は(ステップB3のY)、翻訳を行なわずに原文をそのまま検索結果出力部に渡す(ステップB5)。一方、等しくない場合は(ステップB3のN)、その文書を提示言語に翻訳した後に(ステップB4)、翻訳結果を検索結果出力部15に渡す(ステップB5)。以上の処理により、検索結果出力部15には、提示言語に統一された検索結果が渡されることになる。
【0021】
図4に、第1実施形態における検索結果の例を示す。図4(a)は、検索部12が検索した検索結果の一例である。図4(b)は、図4(a)に対して翻訳が施されて最終的にユーザに提示される検索結果の一例である。この例では、言語は英語に統一されており、このために文書3および文書5が翻訳されている。なお、実際に提示するのは全文であっても、見出しや一文目など文書の一部のみであってもよい。(b)のように言語を統一して提示を行なえば、ユーザは検索結果全体を一つの言語で見渡せるようになり、たとえば検索結果全体の内容をレポートにまとめたい場合などに、より的確に情報収集を行なうことができると考えられる。
【0022】
また、ここでは検索結果全体の言語を統一する場合について説明したが、この変形例として、検索結果の一部のみについて言語を統一して提示してもよい。たとえば、検索結果に含まれる文書が100件ある場合に、実際にユーザが読むのは上位数10件程であると考えられるので、上位数10件についてのみ必要に応じて翻訳し、それ以降はすべて原文のまま提示する、あるいは全く提示しないようにしたほうが効率的である。さらに、検索結果のどの部分についてのみ言語の統一を行なうかをユーザに指定させてもよい。
【0023】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。図5に、第2実施形態に係る文書検索システムの構成を示す。図5に示したように、この文書検索システム100と前述した第1実施形態の文書検索システム100との主な違いは、第2実施形態の文書検索システム100が、文書選択情報入力部18を有し、ユーザの選択した文書の言語に他の文書も翻訳する点である。この文書検索システム100には、2種類のデータの流れがあり、これは細い矢印と太い矢印とで区別されている。
【0024】
ここで、図5に沿って、この文書検索システム100の全体的な流れを説明する。まず、細い矢印は、従来の検索システムと同様に、検索要求に適合した文書が翻訳部14を経由せずに直接ユーザに提示される流れを示している。この文書検索システム100では、このようにユーザに一旦検索結果が提示された後に太い矢印のデータの流れが始まる。次に、太い矢印のデータの流れについて以下に説明する。
【0025】
ユーザは、提示された検索結果の中から一つ以上の文書を選択し、この選択情報を文書選択情報入力部18に入力する。次に、提示言語決定部13は、選択された文書の言語を判定し、翻訳部14は、現在選択されていない文書を必要に応じてその言語に翻訳しておく。これにより、ユーザが次に他の文書を選択した場合、最初に選択した文書と同じ言語に翻訳された結果をただちに得ることができる。
【0026】
図6に、第2実施形態における提示言語決定部13の処理の流れの一例を示す。提示言語決定部13は、まず文書選択情報入力部18からユーザがどの文書を選択したかという情報を受取る(ステップC1)。次に、ユーザが選択した文書がどのような言語で書かれているかを第1実施形態と同様に判定し(ステップC2)、この判定結果を提示言語として翻訳部14に渡す(ステップC3)。なお、ユーザが複数の文書を選択した場合には、多数決や検索結果のランクに応じた重みづけなどによって言語を一つに決定すればよい。
【0027】
図7に、第2実施形態における翻訳部14の処理の流れの一例を示す。翻訳部14は、まず提示言語、すなわちユーザが選択した文書の言語を提示言語決定部18から受取るとともに(ステップD1)、検索部12から検索結果を受取る(ステップD2)。次に、ユーザが選択した文書以外のすべての文書について第1実施形態と同様に言語の判定を行なう(ステップD5)。そして、このうち言語が提示言語とは異なるすべての文書を提示言語に翻訳し(ステップD7)、結果を検索結果出力部15に渡す(ステップD8)。このような翻訳部14の処理をまとめると、ユーザがある言語Lにより書かれたある文書Dを選択した場合に、検索結果の中の文書D以外の文書を言語Lに自動的に翻訳しておくことになる。また、この場合、文書D以外のすべての文書を翻訳する代わりに、検索結果の一部の文書のみを翻訳してもよい。
【0028】
図8に、第2実施形態におけるユーザが選択した文書とこのときに自動的に翻訳される文書との例を示す。この図8を用いて、第2実施形態の利点を具体的に説明する。この例では、検索結果として文書1〜文書5の5つの文書が提示されており、このうち文書1、文書3および文書4が英語、文書2および文書5が日本語によるものである。文書2の左に○がついているのは、ユーザが文書選択情報入力部18を通して文書2を選択したことを示している。実際には、キーボードやマウスなどの入力装置により特定の文書を選択させればよい。
【0029】
図8では、ユーザが検索結果リストから文書2を選択したことにより、文書2の本文が別のウィンドウ上に表示されている。文書2は日本語で書かれており、ユーザがこの本文にアクセスしたことから、ユーザが日本語による提示を好むことが推定できる。そこで、提示言語決定部13により、文書2の言語が日本語であることを判定し、提示言語を日本語に決定する。そして、この時点で翻訳部14は、ユーザが次に読みたいであろうと推測される文書3や文書4を日本語に翻訳しはじめる。以上のように、バックグラウンドで自動的に翻訳処理を起動することにより、ユーザに翻訳にかかる時間を意識させずに読みやすい言語に翻訳した結果を提示することができる。この例では、ユーザが日本語で書かれた文書2を読んでいる間に文書3および文書4の和訳が進むので、ユーザが文書2を読み終わって次に文書3あるいは文書4を選択すると、その和訳を迅速に提示することが可能となる。
【0030】
(第3実施形態)
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。図9に、第3実施形態に係る文書検索システムの構成を示す。図9に示したように、この文書検索システム100と前述した第1実施形態の文書検索システム100とのの主な違いは、第3実施形態の文書検索システム100が、評価情報入力部19および検索条件修正部20を有し、再検索結果の文書をユーザが検索結果の妥当性の評価を行なった文書の言語に統一して提示する点である。第3実施形態の文書検索システム100には、2種類のデータの流れがあり、これは細い矢印と太い矢印とで区別されている。
【0031】
ここで、図9に沿って、この文書検索システム100の全体的な流れを説明する。まず、細い矢印は、従来の検索システムと同様に、検索要求に適合した文書が翻訳部14を経由せずに直接ユーザに提示される流れを示している。この文書検索システム100では、このようにユーザに一旦検索結果が提示された後に太い矢印のデータの流れが始まる。次に、太い矢印のデータの流れについて以下に説明する。
【0032】
太い矢印で示されるデータの流れは、さらに2つの流れから構成される。第1の流れは、評価情報入力部19から検索条件修正部20を経て検索部12に至る流れであり、第2の流れは、評価情報入力部19から提示言語決定部13を経て翻訳部14に至る流れである。このうち、第1の流れは、適合性フィードバックと呼ばれるたとえば文献(「情報検索論」、David Ellis原著、細野公男監訳、丸善)に開示されている技術などを表したものであり、この発明の主眼ではない。ユーザが検索された個々の文書を読み、「検索結果として妥当である」、「妥当でない」などの評価を行ない、これをもとに検索条件中の検索語の追加や削除、重みの値の変更などを行なってから再検索を行なうものである。適合性フィードバックを行なって再検索を行なうと、検索結果がよりユーザの要求に合致したものになる場合があるとされている。
【0033】
一方、第2の流れがこの第3実施形態の特徴を示しているものである。評価情報入力部19に入力されたユーザによる適合性評価情報は、従来通り適合性フィードバックに利用されると同時に、提示言語決定部13に渡される。提示言語決定部13は、ユーザが適合性評価を行なった文書の言語を判定し、次回の検索結果がこの言語に翻訳されて提示されるように翻訳部14に指示する。これにより、再検索結果はユーザが読んで評価を行なった文書と同じ言語に統一して表示されることになる。
【0034】
図10に、第3実施形態における提示言語決定部13の処理の流れの一例を示す。提示言語決定部13は、まず評価情報入力部19から適合性評価情報を受取り(ステップE1)、適合性評価を受けた各文書についてそれがどのような言語で書かれているかを第1実施形態と同様に判定する(ステップE3)。そして、第1実施形態の提示言語決定部13と同様に、検索結果をどの言語に統一して提示するかを決定し(ステップE6)、これを翻訳部14に渡す(ステップE7)。そして、翻訳部14は、適合性フィードバックの後に再検索された検索結果を第1実施形態の図3と同様に処理してユーザに提示する。
【0035】
図11に、第3実施形態における初期検索結果と再検索結果との例を示す。図11(a)は、初期検索結果およびユーザによる適合性評価結果であり、図11(b)は、この評価結果をもとに再検索を行なって提示した検索結果である。図11(a)では、文書1、文書3および文書5が英語、文書2および文書4が日本語の文書であり、ユーザは日本語の文書2および文書4のみを読んで適合性評価を行なっている。この例では、適合性評価は「適合する」、「適合しない」の2値で与えられており、図11では○×で示されている。この適合性評価を行なうには、少なくともある程度の文書を読むことが必要であるが、この例では日本語で書かれている文書2および文書5のみに対して評価を行なっているので、このユーザにとっては日本語が読みやすい言語であると推定できる。そこで、提示言語は日本語に決定される。
【0036】
次に、図11(a)の適合性評価情報をもとに適合性フィードバックが行なわれ、再検索が行なわれると、再検索結果のうち、日本語でない文書は日本語に翻訳されてから提示されるため、図11(b)のように、ユーザから見た検索結果は日本語に統一される。この例では、図11(a)で提示されていた英語の文書1、文書3および文書5が和訳されて再提示されている。また、図11(a)においてユーザーが「適合する」と評価した文書2は、適合性フィードバックにより図11(b)では最上位にランクされている。さらに、この例では、図11(a)では得られなかった文書6が再検索により新たに見つかっている。以上のように、ユーザによる適合性評価情報を適合性フィードバックと提示言語の判定の両方に利用することにより、精度が高く、かつ読みやすい再検索結果を得ることが可能となる。
【0037】
(第4実施形態)
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。図12に、第4実施形態に係る文書検索システムの構成を示す。図12に示したように、この文書検索システム100は、検索要求入力部11、検索部12、適合部分抽出部21、翻訳部14および検索結果出力部15からなる。そして、この第4実施形態の文書検索システム100と従来の文書検索システムとの相違点は、適合部分抽出部21と翻訳部12とを合わせもっている点である。また、第4実施形態の検索部12および翻訳部14は、第1乃至第3実施形態とは異なり、多言語に対して処理が可能である必要はない。ただし、検索部12は、各文書が検索要求に適合した/適合しないの情報に加えて、適合した文書については文書のどの箇所が検索要求に適合したのかを出力する機能を有するものとする。これは、たとえば全文をスキャンして検索語の有無を判定する検索の場合、検索語が見つかった時点でその検索語の先頭からのバイト数を記録しておくことなどにより、容易に実現可能である。
【0038】
ここで、図12に沿って、この文書検索システム100の全体的な流れを説明する。検索部12が検索結果を得るまでの流れは第1実施形態と同様である。適合部分抽出部21は、検索結果および各文書中の検索要求に適合した箇所の情報を検索部12から受取り、この適合箇所を含む文書の特定部分を切り出して翻訳部14に渡す。次に、翻訳部14は、上記部分を翻訳して検索結果出力部15に渡す。これにより、ユーザには検索結果の文書中の検索要求に適合した部分の翻訳結果のみが提示される。
【0039】
図13に、第4実施形態の特徴である適合部分抽出部21の処理の流れの一例を示す。適合部分抽出部21は、まず検索部12から検索結果および検索結果の各文章中ので検索要求に適合した箇所の情報を受取る(ステップF1)。そして、上記各文章について以下を行う。
【0040】
まず、文章全体をセグメントに分割する(ステップF3)。ここで、セグメントとは、文書のテキストの一部を意味し、節、文、段落、見出し、などの文章の構成要素でもよいし、文書を数行ずつ、あるいは数バイトずつ機械的に区切ったものなどでもよい。セグメント分割の手法としては、句点を手がかりに文単位に分割したり、インデントを手掛かりに段落単位に分割したり、あるいは形態素解析を行なっていくつかの形態素列をひとつのセグメントとみなすなど、既存の方法を用いればよく、この点はこの第4実施形態の主眼ではない。そして、適合部分抽出部21は、セグメント分割を行なった後、セグメントの中で検索要求に適合した箇所を含むものを取り出し(ステップF4)、翻訳部14に渡す(ステップF5)。このように、検索要求に適合した箇所を含むセグメントのみを翻訳の対象とするところがこの第4実施形態の特徴である。
【0041】
図14に、第4実施形態におけるセグメント分割された検索結果の文書と実際にユーザに提示されるテキストの例を示す。図14(a)は、検索結果の中の一つの文書の全体を表している。この例では、文書は1〜6のセグメントに分割されており、一方、検索部12によりこの文章中の「適合箇所(A)」および「適合箇所(B)」で示された2箇所が検索要求に適合したという情報が与えられている。よって、ここでは「適合箇所(A)」を含む第2セグメントおよび「適合箇所(B)」を含む第5セグメントが切り出されて翻訳部に渡されることになる。図14(b)は、実際にユーザに提示されるテキストの例を示している。
【0042】
英語で書かれている図14(a)の文書全体のうち、第2セグメントおよび第5セグメントのみを日本語に翻訳した結果が提示されている。特に、図14(a)の「適合箇所(A)」および「適合箇所(B)」が和訳された部分は、図14(b)の「適合箇所(A′)」および「適合箇所B′」として、それぞれ示されている。
【0043】
以上の処理によれば、特に検索結果全体を翻訳するには翻訳速度が十分でない場合に、迅速に有用な情報を得ることができる。一般に、検索要求に適合した箇所を含むセグメントは文書中の重要部分であることが多いと考えられるので、この部分のみの翻訳結果を抄録として読むだけでも十分に役に立つ。
【0044】
また、この第4実施形態と見かけ上類似している技術として、検索の処理単位を文書ではなくはじめから文書を分割したものとする手法があるが、これは検索対象数を膨大にし、検索の高速化のためのインデキシングもこの分割した単位毎に行なわねばならない。これに対し、第4実施形態では、検索処理まではあくまでも文書単位で行ない、提示の際に文書の特定部分を切り出すものであるため、通常の文書検索技術がそのまま利用可能であり、文書単位で結果が欲しい場合により適していると考えられる。たとえば、図14において、はじめから文書を1〜6のセグメントに分割しておき、これら各々を検索対象とした場合を考えてみると、たとえセグメント2とセグメント5とが共に検索結果として得られたとしても、これらは検索結果の中でばらばらに表示されることになり、図14(b)のように文書単位で関連づけて表示することは難しい。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、検索結果に互いに異なる言語で書かれた文書が混在したときであっても、その検索状況に応じて適切な言語で統一して検索結果を提示することが可能となる。また、ユーザが選択した文書を記述した言語に統一してすべての検索文書を提示することが可能となる。さらに、適合性評価を援用することにより、次の検索結果を適切な提示言語に統一して提示することが可能となる。
【0046】
また、この発明によれば、検索要求に適合した箇所を含む部分のみを翻訳対象とすることによって、言語翻訳に費やす負荷を大幅に軽減しつつ、予め指定された記述言語に統一して提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る文書検索システムの構成を示す図。
【図2】同実施形態の特徴である提示言語決定部の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図3】同実施形態における翻訳部14の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図4】同実施形態における検索結果の例を示す図。
【図5】この発明の第2実施形態に係る文書検索システムの構成を示す図。
【図6】同実施形態における提示言語決定部の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図7】同実施形態における翻訳部の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図8】同実施形態におけるユーザが選択した文書とこのときに自動的に翻訳される文書との例を示す図。
【図9】この発明の第3実施形態に係る文書検索システムの構成を示す図。
【図10】同実施形態における提示言語決定部の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図11】同実施形態における初期検索結果と再検索結果との例を示す図。
【図12】この発明の第4実施形態に係る文書検索システムの構成を示す図。
【図13】同実施形態における適合部分抽出部21の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図14】同実施形態におけるセグメント分割された検索結果の文書と実際にユーザに提示されるテキストの例を示す図。
【符号の説明】
11…検索要求入力部、12…検索部、13…提示言語決定部、14…翻訳部、15…検索結果出力部、16…検索対象文書、17…翻訳用言語知識、18…文書選択情報入力部、19…評価情報入力部、20…検索条件修正部、21…適合部分抽出部。
Claims (1)
- 複数の文書の中から検索要求に合致した文書を検索して提示する文書検索システムにおいて、
検索された複数の文書を提示する検索文書提示手段と、
この検索文書提示手段に提示された、前記検索された文書に対する前記検索要求に適合しているか否かを示す適合性評価結果を入力する適合性評価結果入力手段と、
前記適合性評価結果入力手段に入力された前記適合性評価結果に応じて前記検索要求を修正する検索要求修正手段と、
前記適合性評価結果入力手段に入力された前記適合性評価結果により前記検索要求にユーザが適合性評価を行なった文書の記述言語の種類を判定する記述言語判定手段と、
前記検索要求修正手段により修正された検索要求に合致した再検索文書であって前記記述言語判定手段の判定結果と異なる記述言語で記述された再検索文書を前記記述言語判定手段により判定された判定言語に翻訳して提示する再検索文書提示手段と
を具備してなることを特徴とする文書検索システム。
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