JP4009663B2 - 植物ウイルスベクター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物RNAウイルスベクターに関するものであり、更に詳しくは、RNA1、RNA2、RNA3A、及びRNA3Bの4分節のウイルスゲノムを持つキュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic virus, CMV) のRNA2分子を改変した新規植物ウイルスベクター、及び植物における遺伝子発現方法に関するものである。
本発明は、植物の遺伝子操作及び遺伝子発現方法の分野において、約1000種類以上の植物を宿主として、これらの植物においてベクターとして利用することが可能であって、外来遺伝子を安定的に発現することができる新規植物RNAウイルスベクター、及び植物における新しい遺伝子発現方法を提供するものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、植物RNAウイルスベクターの研究は、感染植物における増殖能が非常に高いタバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus, TMV) とブロモモザイクウイルス(Bromo mosaic virus, BMV) の感染性クローンを用いて行われてきた。
そして、この分野では、ウイルス遺伝子の発現様式の違いなどから、今までに、いくつかの外来遺伝子の発現方式が開発されている。ここで、それらを紹介すると、例えば、TMVやポティウイルス属(Potyvirus) では、ウイルスCP遺伝子と外来遺伝子が融合したタンパク質を発現するベクターが開発されている(非特許文献1〜2参照)。また、TMVと近縁のウイルス(Odontoglossum ringspot virus)のサブゲノミックプロモーターを導入することにより、サブゲノムを介して外来遺伝子を発現させるベクターも開発されている(非特許文献3参照)。
【0003】
ただ、これまでは、このようなウイルスベクターの開発には、主にTMVやポティウイルス属に代表される、棒状、ひも状のウイルスが使用されてきた。それは、棒状、ひも状のウイルスべクターは、球状ウイルスに比べ、挿入できる外来遺伝子の長さに物理的制限が少ないという利点があるからである。一方、球状ウイルスであるBMVにおける発現ベクターの系としては、1aタンパク質、2aタンパク質の複製酵素遺伝子を発現するタバコに、外来遺伝子をもつRNA3を接種するという方法が報告されている(非特許文献4参照)。
【0004】
また、CMVにおいても、ウイルスベクターについて、いくつかの研究がなされている。その一つは、complementation による4分節CMVベクターの開発である(非特許文献5参照)。CMVのRNA3にはMPとCPがコードされており、ウイルスの細胞間移行にはMPとCPの両方が必須である(非特許文献5参照)。そこで、これまでに、本発明者らは、RNA3分子を改変し、MP領域をGFP遺伝子に置換したRNA3AとCP遺伝子をもたないRNA3Bを構築し、complementation により細胞間移行するウイルスベクターを開発した。これを、RNA1、RNA2、RNA3A、及びRNA3Bの4分節のウイルスゲノムを持つCMVとして、ベンタミアーナに接種したところ、接種葉のminor veinでGFP蛍光が観察された。また、RNA3Bで欠失させたCP領域にマルチクローニングサイトを挿入し、そこに、GUS(bacterial-β-glucuronidase)遺伝子やBYMV(Bean yellow mosaic virus)のCP遺伝子を導入したところ、接種葉のminor veinにおいてGUS活性やBYMV−CPが検出された。しかし、このRNA3A、RNA3Bが互いにhomologous RNA recombinationを起こし、上葉では導入遺伝子の発現は見られなかった。
【0005】
【非特許文献1】
Sugiyama,Y.,Hamamoto,H.,Takemoto,S.,Watanabe,Y.and Okada,Y., Systemic production of foreign peptides on the particle surface of Tobacco mosaic virus, FEBS Letters 359,247-250 (1995)
【非特許文献2】
Fernandez-Fernandez,M.R.,Martinez-Torrecuadrada,J.L.,Casal,J.I.and Garcia,J.A., Development of an antigen presentation system based on plum pox potyvirus, FEBS Letters 427,229-235 (1998)
【非特許文献3】
Donson et al., Systemic expression of a bacterial gene by a tabacco mosaic virus-based vector, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 7204-7208 (1991)
【非特許文献4】
Mori,M.,Kaido,M.,Okuno,T.and Furusawa,I., mRNA amplification system by viral replicase in transgenic plants, FEBS Lett.336,171-174 (1993)
【非特許文献5】
Zhao,Y,,Hammond,J.Tousignant,M.E.and Hammond,R.W., Development and evaluation of a complementation-dependent gene delivery system based on Cucumber mosaic virus, Archives of Virology 145,2285-2295 (2000)
【非特許文献6】
Canto,T.,Prior,D.A.,Hellward K.H.,Oparka,K.J.,Palukaitis,P., Characterization of cucumber mosaic virus.IV.Movement protein and coat protein are both essential for cell-to-cell movement of cucumber mosaic virus, Virology 237,237-248 (1997)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来、CMVのウイルスベクターについては、いくつかの研究例があるが、現在までのCMVベクターの開発では、RNA3に外来遺伝子を導入する方法がとられており、いずれも、接種上葉での増殖が認められない等の問題があり、その改善が強く求められていた。このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、新たなウイルスベクターの開発を目的として、CMVのRNA2分子への外来遺伝子GFPの導入を試みた結果、CMVのRNA2分子を改変した新規のCMVベクターの開発に成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、接種植物体において全身感染を示し、安定的に外来遺伝子を発現する機能を有する新規CMVベクターを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、約1000種類以上の植物を宿主として、これらの植物におけるベクターとして好適に利用し得る新しい植物ウイルスベクターを提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、導入された外来遺伝子を安定的に発現させることができるCMVベクター、及び該ベクターを利用した新しい植物遺伝子発現方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)キュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic virus,
CMV) のRNA2分子の2b領域の一部を欠失させ、この2b領域の欠失部分に外来遺伝子導入サイトを挿入した植物ウイルスベクターであって、CMV−Y RNA2の感染性クローンであるpCY2の2b ORFのStuIサイトからストップコドンまでの領域を欠失させたことを特徴とする、植物ウイルスベクター。
(2)2b ORFの8番目のU(ウラシル)をA(アデニン)に変えるポイントミューテーションを導入したことを特徴とする、前記(1)に記載の植物ウイルスベクター。
(3)pCY2のStuI−AvrII領域に、StuI−stop−MluI−SnaBIを含む領域を導入したことを特徴とする、前記(1)に記載の植物ウイルスベクター。
(4)前記(3)に記載の植物ウイルスベクターのStuIサイトとMluIサイト領域に、外来遺伝子を挿入したことを特徴とする遺伝子組み換え体。
(5)前記(4)に記載の遺伝子組み換え体を使用して外来遺伝子を植物に導入し、安定的に外来遺伝子を発現させることを特徴とする植物における遺伝子発現方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、キュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic
virus, CMV) のRNA1、RNA2、RNA3A、及びRNA3Bの4分節のウイルスゲノムのRNA2分子の2b領域の一部を欠失させ、この2bの一部を欠失させた部分に外来遺伝子導入サイトを挿入した新規CMVベクターに係るものである。本発明の植物ウイルスベクターとしては、後記する実施例に詳細に示されるように、例えば、CMV−Y RNA2の感染性クローンであるpCY2の2b ORF内のStuIサイトからストップコドンまでの領域を欠失させたプラスミド(pCY2−2bΔStuと命名)が例示される。そして、その作出方法としては、具体的には、例えば、CMV−Y RNA2の感染性クローンであるpCY2の2b ORF直後の3′末端非翻訳領域を、後記する実施例に記載のプライマーY2b−Stuと3′末端のプライマーCMV−DET−3−340でPCRをかけ、pCY2のStuI−AvrII領域に、StuI−stop−MluI−SnaBIを含む領域を導入する方法が例示される。
【0009】
CMV−Y RNA2には、ウイルスの複数酵素複合体の一部である2のタンパク質とオーバーラップした形で2bタンパク質がコードされている。そのため、CMV−Y2bタンパク質の非発現ウイルスを作出するために、2bタンパク質のORFにストップコドンを導入する。2bタンパク質のORFにストップコドンを導入する際には、2aタンパク質のアミノ酸置換が起こらないようにする必要がある。この条件をクリアーするために、例えば、2b ORFの8塩基目のU(ウラシル)をA(アデニン)に変えるポイントミューテーションを導入する方法が例示される。
【0010】
具体的には、ポイントミューテーションを導入する配列において、後記する実施例に記載のセンス及びアンチセンスのプライマーを作成し、それぞれ3′、5′のプライマーとともにPCRをかけて増幅し、それぞれのバンドを切り出して混合し、それをテンプレートとして、例えば、後記する実施例に記載の5′及び3′のプライマーでPCRをかけ、そのPCRフラグメントをHindIIIとBlnIで切断し、この断片をpUC119のHindIII−XbaI領域にクローニングする。pUC119−ポイントミューテーションからHindIII−StuI領域を切り出し、pCY2のHindIII−StuI領域に導入て、2b ORFにストップコドンになる点変異を導入したpCY2−2b stopを構築する。
【0011】
これらの方法により、CMV−Y2bタンパク質のC末端欠失ウイルスベクターであって、同タンパク質の非発現ウイルスベクターを作出することができる。この改変ベクターは、植物への接種試験を行った結果、後記する実施例に示されるように、全身感染を示したが、CMV−Yワイルドタイプに比べて、病徴の進行は遅いことが確認された。本発明では、上記CMV−Y改変ウイルスベクターのStuIサイトとMluIサイト領域に外来遺伝子を導入し、これを植物体に感染させることで、植物において、外来遺伝子を安定的に発現させることができる。
【0012】
本発明のCMVベクターは、例えば、green fluorescent protein (GFP)を組み込んだPCY2−GFPからのRNA転写産物接種第一代では安定的にGFPを発現させることができる。おそらく、RNA2分子に直接外来遺伝子を導入しているため、前記4分節CMVベクターでみられたような分節間でのintermolecular recombinationを起こさなかったことが、ベンタミアーナ上葉でGFP発現に成功した要因であると考えられる。CMV−Yの代わりに、SSV(Soybean stunt virus, ダイズ萎縮ウイルス−CMVの1系統)のRNAを使用した場合においても、ベンタミアーナ上葉でGFPの発現が見られたことから、ダイズへの応用も十分に期待される。
【0013】
本発明のシステムにおいては、このテンプレートスイッチを起こさないために、例えば、GFPのアミノ酸を変えずに塩基を変えること、又はCMV−Yの3′末端の配列を他のCMV系統、例えば、SSVやHL−CMV(ユリ系統)の3′末端に改変することなどの工夫を付加することができる。本発明のベクターとしては、好適には、例えば、CMV−Y RNA2 3051塩基において、2bの3′末端71塩基を欠失させたpCY2−2bΔStu(2980塩基)が例示されるが、これに制限されるものではない。
【0014】
以上のように、従来、RNAウイルスベクターの開発は、タバコモザイクウイルスに代表されるように、棒状、ひも状のウイルスが使用されてきた。棒状、ひも状のウイルスベクターは、球状ウイルスに比べ挿入できる外来遺伝子の長さに物理的制限が少ないという利点がある。一方、本発明で用いたような球状ウイルスでは、その粒子形態からウイルスベクターとしての利用が困難であり、僅かにcomplementation による4分節CMVベクターの開発やRNA3に外来遺伝子を導入する方法をとられてきたが、いずれも接種上葉での増殖が認められない等の問題があった。そこで、本発明では、CMVのRNA2分子を改変した新規のCMVベクターを開発した。CMVとしては、CMV−Y、CMV−O、CMV−L、SSV、m2−CMVに代表されるCMVサブグループ1及び2に属するCMV分離株が利用可能である。
【0015】
本発明では、当該CMVベクターに、例えば、外来遺伝子としてGFP遺伝子を用い、宿主植物にNicotiana benthamiana を用いて機能特性を解析した結果、接種植物体において全身感染を示し、安定的にGFPを発現させることが確認できたが、本発明は、これらに制限されるものではなく、例えば、トマト、タバコ、ホウレンソウ、ダイズ、キュウリ、ジャガイモ等の植物に代表される適宜の植物及び約1000bp程度までの外来遺伝子に適用可能である。本発明は、約1000種類以上の植物を宿主とし、これらの植物においてベクターとして利用可能で、安定的に外来遺伝子を発現することが可能な新規CMVベクターを提供するものとして有用である。また、このベクターは、RNA2を改変したため、従来のCMVでは観察されないサイレンシングを誘導することも可能であり、新規の特性を有するものとして有用である。
【0016】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例
(1)供試ウイルス
供試ウイルスとして、CMVの1系統のCMV−Yを使用し、北海道大学大学院農学研究科附属世代短縮温室(気温20〜30℃、札幌自然日長)において、ベンタミアーナ(Nicotiana benthamiana)、もしくはタバコ(N. tabacum)で継代した。
【0017】
(2)供試植物の育成
ベンタミアーナ及びタバコの育成を、以下の方法により行った。
4号鉢に播種用土( タキイソイル(タキイ種苗)シャベル4杯、三共培養土(三共)4杯、黒土1杯)を入れ、その上に一握りのバーミキュライト(昭和バーミキュライト株式会社・オートクレーブ済)を乗せ、十分に水を含ませ、種子を40粒程度播種した。ときどき、間引きをすることで植物体の生育ステージをそろえるようにして、北海道大学大学院農学研究科附属恒温恒湿温室(気温28℃、日照時間16時間)で育てた。2〜3cm程度に生育したところで、移植用土(タキイソイル2杯、三共培養土3杯、黒土1杯、腐葉土(札幌イセキ販売)1杯)に2本ずつ移植した。移植後1週間は新聞紙をかぶせ日光を遮り、その後は植物体の成長に合わせて施肥した。
【0018】
(3)接種試験
ベンタミアーナやタバコは、移植後1〜2週間ほど経過し、本葉が3〜5枚展開した個体がウイルスに対しての感受性が高く、接種に最も適している。
接種源としては、モザイクや縮葉などのウイルス病徴が見られるベンタミアーナの上葉を用いた。接種ステージに達した植物において接種する葉全体にカーボランダム(Nacalai−メッシュ600−乾熱済み)を薄くふりかけた。下記の0.1Mリン酸緩衝液(pH7.1)1mlに、DIECA(N,Nジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム(Wako)、接種直前に添加)を終濃度10mMになるように加えて接種源となる感染葉0.1gとともに乳鉢で磨砕した。指サックに磨砕粗汁液をつけ、葉の表面に軽くなでるように塗布した。接種後すぐ水をかけて葉面から粗汁液とカーボランダムを洗い流し、翌日まで新聞紙で覆いをして遮光した。
0.1M リン酸緩衝液(pH7.1)は、0.2Mリン酸一ナトリウム溶液(Nacalai)33ml、0.2Mリン酸二ナトリウム溶液(Nacalai)67mlを混合し、pH7.1に調製し、蒸留水でメスアップ、オートクレーブして200mlとした。
【0019】
(4)コンピテントセルの調製
下記のSOB液体培地2mlに大腸菌(Escherichia coli)JM109株(TaKaRa)を入れ、37℃で12〜14時間振盪培養した。SOB液体培地50mlに前培養液を0.5ml接種し、37℃で約1時間半(OD550 =0.4〜0.8)振盪培養した。氷上に10分間静置した後ナルゲンチューブに移し、3500rpm、4℃、10分遠心した。上清を捨て、氷冷した下記のTFB17mlで穏やかに懸濁した。氷上で20分間静置した後、再び3500rpm、4℃で10分間遠心した。上清を捨て、氷冷したTFB2mlを加え、液面で沈殿を穏やかに懸濁した。氷上で30分間静置した後、DMSO(ジメチルスルフォキシド−Nacalai)150μlを一滴ずつゆっくり加え、再度氷上で10分間静置した。先を切ったチップでエッペンドルフチューブに100μlずつ分注し、−80℃で保存した。
【0020】
SOB液体培地は、BactoTM Tryptone(Becton Dickinson)20g:BactoTM Yeast Extract(Becton Dickinson)5g:1M NaCl溶液10ml、1M KCl溶液2.5mlを混合し、蒸留水でメスアップし、1Lとした後、オートクレーブし、使用前に濾過滅菌した1M MgCl2 溶液(Nacalai)と1M MgSO4 溶液(Nacalai)を1/100量加えて調製した。
また、TFB(形質転換緩衝液)は、35mM酢酸カリウム(Nacalai)、50mM CaCl2 (Wako)、45mM MnCl2 (Nacalai)、100mM RbCl(Nacalai)、15% ショ糖(Wako)−酢酸(Wako)の組成でpH5.8に調整し、濾過滅菌して調製した。
【0021】
(5)形質転換
緩やかに溶かしたコンピテントセル100μlにプラスミド1μl(ライゲーション反応液の場合5μl程度)を加え、氷上で30分間静置して自然な拡散で混合させた。42℃のウォーターバスに45秒間入れ、すぐに氷冷し、大腸菌内にプラスミドを導入させた。下記の2YT液体培地0.9mlをチューブの壁につたわらせながら加え、37℃で30分間静置培養した。その後、37℃で30分間振盪培養した。このうち100μlを下記のLB−amp培地に広げた。ブルーホワイトセレクションをする場合には、あらかじめ2%X−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(Wako)をN,N−ジメチルホルムアミド(Nacalai)で2%濃度に溶解)50μl、100mM IPTG(イソプロピル−β−D(−)−チオガラクトピラノシド溶液(Wako)−濾過滅菌)10μlをLB培地上に塗布した後、大腸菌培養液100μlを広げた。12〜16時間、37℃のインキュベーターで逆向きに培養した。
【0022】
2YT液体培地は、BactoTM Tryptone16g、BactoTM Yeast Extract10g、NaCl10gを混合し、蒸留水でメスアップして1Lとし、オートクレーブして調製した。
また、LB−amp培地は、BactoTM Tryptone10g、BactoTM Yeast Extract5g、NaCl10g、Agar(Wako)15gを混合し、蒸留水でメスアップして1Lとした後、オートクレーブし、50℃ぐらいに冷ましてから50mg/mlアンピシリンストック(Wako−濾過滅菌済み)を1/1000量加え、固まる前に滅菌シャーレに分注して調製した。
【0023】
(6)プラスミド抽出
濃度50mg/mlアンピシリンストック2μlを加えた2YT液体培地2mlの中に、形質転換によって得られた大腸菌のコロニーを滅菌済み爪楊枝で拾い入れ、37℃で12〜14時間振盪培養した。この培養液を1.5mlチューブに入れ、10000rpmで1分間遠心した。アスピレーターで上清を取り除き、下記のSolution−1を200μlずつ加え、チューブミキサーで完全に懸濁した。これに、下記にSolution−2を200μlずつ加え、転倒混和した。次に、下記のSolution−3を200μlずつ加え、再び転倒混和した。これを14000rpmで4℃、10分間遠心し、上清をとってチューブに移し、もう一度遠心(14000rpm 5分間)にかけ、タンパクを完全に除去した。上清を移し、回収した上清と同量のイソプロピルアルコール(Wako)を加え、転倒混和した。14000rpmで5分間遠心し、上清を捨てた。80%エタノール(Nacalai)を500μl加え、14000rpm5分間遠心し、上清を捨てた。RNaseAをTE(10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA(pH8.0))で終濃度2μg/mlに希釈して100μlずつ加え、軽くミキサーにかけ、37℃で30分間静置した。これに、下記のSolution−4を60μl加え、ボルテックスミキサーで撹拌して、氷上で45分間静置した。14000rpmで10分間遠心し、上清を捨てた。80%エタノールを500μl加え、14000rpm 5分間遠心した。上清を捨て、5〜10分間減圧乾燥し、滅菌水30μlで懸濁した。このプラスミドサンプルは−30℃で保存した。
【0024】
a)Solution−1:
25mM Tris(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(Wako)−HCl(pH8.0)、10mM EDTA(エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラアセティックアシッド/同仁化学)、50mMグルコース(Wako)
b)Solution−2:
0.2N NaOH(Wako)、1% SDS(ラウリル硫酸ナトリウム−Nacalai)
c)Solution−3:
5M 酢酸カリウム溶液60ml、酢酸11.5ml、蒸留水28.5ml
d)Solution−4:
20%PEG#6000(ポリエチレングリコール−Nacalai)、2.5M NaCl
【0025】
(7)基本的な遺伝子操作の方法
1)制限酵素処理
各メーカーの制限酵素0.5μlとその添付バッファーを使用し、20μlの反応系で指定の温度下において1時間以上静置した。
2)電気泳動
目的のDNAの長さに適した濃度のTBE(89mM Tris−base、89mMホウ酸(Wako)、2mM EDTA)アガロース(Gene pure(登録商標)LE AGAROSE−BM)ゲルを用い、TBEを泳動緩衝液として泳動を行なった。泳動後、エチジウムブロマイド溶液(終濃度0.5μg/ml)で染色した。
【0026】
3)フェノールクロロホルム抽出
サンプルDNA液に滅菌水を加え100μlにし、50μlのTE飽和フェノール(ニッポンジーン)と50μlのクロロホルム(Wako)を加え、チューブミキサーにかけて1〜2分撹拌してタンパクを失活させた。14000rpmで5分間遠心し、1.5mlチューブに水層だけを移した。クロロホルムを100μl加え、ボルテックスミキサーにかけ、14000rpm5分間遠心した。1.5mlチューブに水層だけをとりわけた。
【0027】
4)エタノール沈殿
サンプルDNA液100μlに3M酢酸ナトリウム(ニッポンジーン)10μl、100%エタノール330μl、エタチンメート(ニッポンジーン)1μlを加えて撹拌して、14000rpm10分間遠心し、上清を取り除いた。500μlの80%エタノールを加え、14000rpm2〜3分間遠心した。上清を取り除き、減圧風乾した。
【0028】
5)クローニング
ゲルからDNAを回収する場合、SeaKem(登録商標)GTC(登録商標)agarose(BMA)を使い、直接EtBrを終濃度0.5μg/mlで入れたアガロースゲルを使用し電気泳動を行った。目的のバンドを含むゲル片を切り出しQIAEX(登録商標)II Gel Extraction kit 150(QIAGEN)でDNAを回収した。回収したDNA溶液をフェノールクロロホルム抽出、エタノール沈殿した後、5μlの滅菌水に懸濁した。ベクターとインサートのライゲーションには、DNA Ligation Kit Ver.2(TaKaRa)を使用した。回収したDNA溶液と等量のVer.2−I液を加えて懸濁した。16℃で30分間静置した後、ライゲーション反応液半量をE.coliのコンピテントセルに形質転換した。
【0029】
(8)感染性クローンのin vitro 転写
アルカリ−SDS法で抽出した感染性クローン4μlをrun−off転写に用いる制限酵素で線状化し、フェノールクロロホルム抽出、エタノール沈殿をした後、得られたペレットを9μlの滅菌水に懸濁した。転写反応液を以下のように混合した。
【0030】
(転写反応液)
テンプレート溶液 9μl
0.1M DTT 5μl
10×T7 RNA polymerase Buffer*11 2μl
10mM m7 G(5’)ppp (5’) G RNA Capping Analog(Invitrogen)
2μl
20×NTP 混合液*12 1μl
RNase inhibitor*13 0.5μl
T7 RNA polymerase 0.5μl
*11・・・T7 RNA polymerase(TaKaRa)に添付
*12・・・20×NTP(1mM ATP、1mM CTP、1mM UTP、0.1mM GTP−Roche)
*13・・・Ribonuclease Inhibitor,recombinant,soln(Wako)
【0031】
37℃で1時間静置した。T7RNA polymerase 0.5μlを転写反応液に再び加えて、更に37℃で1時間静置した。すぐに接種しない場合、転写産物は−80℃で保存した。転写産物(RNA1・2・3)をそれぞれ15μlずつと0.1Mリン酸緩衝液(pH7.1)30μlを混合した。ベンタミアーナ1本あたり12.5μlずつの転写接種液を、通常のウイルス接種と同様に、カーボランダムと指サックで接種した。
【0032】
(9)RNA抽出
(フェノール−SDS法)
RNA抽出バッファー500μlとTE飽和フェノール500μlで試料(又はプロトプラスト)0.1gを磨砕して、1.5mlチューブに移した。20秒ほどボルテックスミキサーにかけ、14000rpmで5分間冷却遠心した。上清(水層)を別のチューブに移し、上清と等量のフェノールクロロホルム(1:1)を加え、ボルテックスミキサーにかけて激しく撹拌した後、14000rpmで5分間冷却遠心した。上清を別のチューブに移し、白いタンパクの層がなくなるまでくりかえし、フェノールクロロホルム抽出を行った。最後に等量のクロロホルムでリンスした後、水層をとりわけ、1/10量の3M酢酸ナトリウム、3倍量の100%エタノールを加えた。ボルテックスをかけ、14000rpmで5分間冷却遠心した。上清を捨て、80%エタノール500μlを加え、14000rpmで5分間冷却遠心した。5〜10分間減圧乾燥後、RNA用滅菌水50μl(プロトプラストの場合10μl)で懸濁し、14000rpmで1分間ほど遠心した。沈殿があった場合は、上清だけを別のチューブに移しかえた。RNA抽出バッファーは、25mM Tris−HCl(pH7.5)、25mM MgCl2 、25mM KCl、1% SDSの組成である。
【0033】
(10)RT−PCR
1)逆転写反応
以下に示す反応溶液を調製した。
RNase Free dH2 O*15 7.5μl
25mM MgCl2 *15 4μl
each 10mM dNTP Mixture*15 2μl
10×RNA PCR Buffer*15 2μl
RNase Inhibitor 0.5μl
3’プライマー 1μl
サンプルRNA 2μl
AMV Reverse Transcriptase XL(TaKaRa) 0.5μl
*15・・・RNA PCRTM kit(AMV)Ver.2.1(TaKaRa)に添付
これを、45℃で1時間静置した。その後、逆転写酵素を不活性化するため、これを、5分間ボイルし、5分間急冷した。
【0034】
2)PCR反応
以下のようなPCRミックスを調製した。
滅菌水 63.5μl
25mM MgCl2 *16 6μl
10×LA PCRTM BufferII(Mg2+free)*16 8μl
5’プライマー 1μl
3’プライマー 1μl
*16・・・TaKaRa LA TaqTMに添付
これに、逆転写反応液20μlを加え、更に、TaKaRa LA TaqTM0.5μlを加え、PCRを行った。PCR産物を1%アガロースゲルで電気泳動し、目的の断片が増幅されているのを確認した。
【0035】
(11)シークエンス
アルカリ−SDS法で抽出したサンプル1μlに蒸留水1.5μlを加え、テンプレートDNA溶液とした。M13プライマー(IRD800 Infrared Dye Labeled Primer−M13 Forward(−29)/IRD800,M13 Reverse/IRD800−日清紡)0.25μlにACGT各基質溶液(Thermo sequence fluorescent labelled primer cycle sequencing kit with 7-deaza-dGTP(amersham pharmacia))を加え、4種類のプライマー基質混合溶液とした。8連PCRチューブにテンプレートDNA溶液2.5μl、プライマー基質混合溶液1.25μlを分注し、下の条件でPCRをかけた。
【0036】
(PCRの条件)
95℃ 5分 1サイクル
95℃ 30秒
50℃ 30秒 30サイクル
70℃ 1分
10℃ ∞
【0037】
PCR反応後、2μlのloading dye fluorescent samples-Stop solution (Amersham)を加えた。シークエンスゲル溶液を0.2μmメンブレンでろ過した後、30分程度脱気をした。ゲル溶液に400μlの10%APS(ペルオキソニ硫酸アンモニウム(Nacalai))と40μlのTEMED(N,N,N’,N’,−Tetramethyl−ethylenediamine(Nacalai))を加え、すぐにゲル板に流し込んだ。コームを差し、水平なところに置いた。30分後、ゲル板の両端に水で濡らしたJKワイパー(クレシア)とともにラップで包み、5時間以上静置した。Li−cor Sequencerにゲル板をセットし、1Lの1×TBEを所定の位置に注ぎ、1.8μlのPCRサンプルを各ウェルに注入した。24時間程度泳動を行なった。
シークエンスゲル溶液は、尿素(Nacalai)25.2g、10×TBE7.2ml、Long Ranger(登録商標)gel solution(BMA)4.8mlを混合し、蒸留水でメスアップして60mlとした。
【0038】
(12)GFP蛍光の検出
感染して病徴をあらわしている接種葉及び上葉を、暗室内において実体顕微鏡下(SZX−12,OLYMPUS)でGFP蛍光を検出した。
【0039】
(13)CMV−Y 2bタンパク質のC末端欠失ウイルスの作出
CMV−Y RNA2の感染性クローンであるpCY2の2b ORF直後の3’末端非翻訳領域を、下記のプライマーY2b−Stuと3’末端のプライマーのCMV−DET−3−340でPCRをかけ、PCR産物のStuI−AvrII領域をpCY2のStuI−AvrII領域に導入した。
(プライマー)
Y2b−Stu:CGAGGCCTGACGCGTGTACGTAAACCTCCCCTTCCGCATC
CMV−DET−3−340:CCATCGATTGGTCTCCTTTTGGAGGCC
CMV−Y RNA2の感染性クローンであるpCY2の2b ORF内のStuIサイトからストップコドンまでの領域を欠失させたプラスミド(pCY2−2bΔStu)を作出した。図1に、pCY2−2bΔStuの構築図を示す。
【0040】
このpCY2−2bΔStuをin vitro translationし、pCY1、pCY3の転写産物とともに、ベンタミアーナ、タバコに接種試験を行なった。その結果を表1に示す。Y1 Y2bΔStu Y3は、ベンタミアーナでは上葉に激しいモザイクが見られたが、激しいモザイクを起こし、枯死するCMV−Yワイルドタイプに比べると病徴の進行は遅かった。また、タバコにおいても上葉にモザイク病徴が見られ、全身感染を示したが、ベンタミアーナと同様にCMV−Yに比べて病徴の進行は遅かった。
【0041】
【表1】
【0042】
(14)CMV−Y 2bタンパク質の非発現ウイルスの作出
CMV−Y RNA2には、ウイルスの複製酵素複合体の一部である2aタンパク質とオーバーラップした形で2bタンパク質がコードされている。そのため、2bタンパク質のORFにストップコドンを導入する際には、2aタンパク質のアミノ酸置換が起こらないように考慮しなければならない。この条件をクリアするために、2b ORFの8塩基目のU(ウラシル)をA(アデニン)に変えるポイントミューテーションを導入した。このポイントミューテーションは、2a ORFのアミノ酸置換を起こさない。図2に、ポイントミューテーションを導入するストラテジーを示す。
【0043】
即ち、pointmutationを導入する配列において、下記のセンス及びアンチセンスのプライマーを作成し、それぞれ3’及び5’のプライマーとともにPCRをかけてFragmentI(lane1)・II(lane2)を増幅した。それぞれのバンドを切り出して混合し、それをテンプレートとして5’及び3’のプライマー(CY2T7・CMV−DET−3−340)でPCRをかけた(lane3)。lane3のPCR FragmentをHindIIIとBlnIで切断する(lane4)とpCY2(lane5)と同位置に断片が見られた。このバンドを切り出し、pUC119のHindIII−Xbal領域にクローニングした。pointmutationが正確に導入されているかどうかをシークエンスして変異していることを確認した。pUC119−pointmutationからHindIII−StuI領域を切り出し、pCY2のHindIII−StuI領域に導入した。構築したpCY2−2bstopについてもpointmutationが正確に導入されていることをシークエンスして確認した。
【0044】
(プライマー)
CY2T7:CCGGATCCATTAATACGACTCACTATAGTTTATTTACAAAGAGCG
2b−5−stop:AGAAATATGGAATAGAACGTAGG
2b−3−stop:CCTACGTTCTATTCCATATTTCT
pCY1、pCY3の転写産物とともに接種試験をしたところ、ベンタミアーナ、タバコにおいて全身感染を示したがワイルドタイプに比べ病徴の進行は遅かった(表1)。
【0045】
(15)CMV−Y RNA2への外来遺伝子GFPの導入
CMV−Y 2bタンパク質のC末端を欠失させたpCY2−2bΔStuをin vitroで転写し、別に転写したY1とY3を混合して接種した時には、ベンタミアーナ及びタバコに全身感染した。そこで、2bを欠失させた位置に外来DNAを組み込めるpCY2−2bΔStuをウイルスベクターとすることを目的として、pCY2−2bΔStuのStuIサイトとMluIサイト領域にGFPの配列を挿入した。図3に、CMV−Y RNA2への外来遺伝子(GFP)の導入のプロセスを示す。pC3−S65T−GFPをテンプレートとしてPCRを行い、GFP ORFの5′にStuIサイトを、3′にMluIサイトを付加した。次に、pCY2−2bΔStuのStuI−MluI領域にGFP断片をクローニングし、pCY2−2bΔStu−GFPを構築した。このGFPの配列を挿入したプラスミドpCY2−2bΔStu−GFPをin vitro転写し、pCY1、pCY3のRNA転写産物とともにベンタミアーナ、タバコに接種し、接種2日後の接種葉及び5日後の上葉のGFP蛍光を観察した。図4に、Y1Y2−GFPY3(RNA転写産物)のベンタミアーナ、タバコでのGFP蛍光の検出結果を示す。
【0046】
(16)結果
接種後2日目の接種葉及び5日目の上葉のGFP蛍光を観察した結果、接種葉ではウイルスの感染点にあたるところにGFP蛍光が見られ、上葉では病徴と同じように葉全体に非常に強いGFP蛍光が広がって見られた。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、CMVのRNA2分子を改変した新規のCMVベクター等に係るものであり、本発明により、(1)新しい植物RNAウイルスベクターを提供できる、(2)該ベクターは、接種植物において全身感染を示し、安定的に外来遺伝子を発現させることができる、(3)また、このベクターは、約1000種類以上の植物を宿主とし、これらの植物においてベクターとして利用可能である、(4)新しい植物遺伝子発現方法を提供できる、(5)この方法は、植物に外来遺伝子を導入し、これを安定して発現させる新しい植物遺伝子発現方法として有用である、(6)複製能が高く、ジーンサイレンシングによる遺伝子発現阻止に有効である、等の効果を奏する。
【0048】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】pCY2−2bΔStuの構築図を示す。
【図2】pCY2−2bstopの構築を示す。
【図3】CMV−YRNA2への外来遺伝子(GFP)の導入を示す。
【図4】Y1Y2−GFPY3(RNA転写産物)のベンタミアーナ、タバコでのGFP蛍光の検出を示す。
Claims (5)
- キュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic
virus, CMV) のRNA2分子の2b領域の一部を欠失させ、この2b領域の欠失部分に外来遺伝子導入サイトを挿入した植物ウイルスベクターであって、CMV−Y RNA2の感染性クローンであるpCY2の2b ORFのStuIサイトからストップコドンまでの領域を欠失させたことを特徴とする、植物ウイルスベクター。 - 2b ORFの8番目のU(ウラシル)をA(アデニン)に変えるポイントミューテーションを導入したことを特徴とする、請求項1に記載の植物ウイルスベクター。
- pCY2のStuI−AvrII領域に、StuI−stop−MluI−SnaBIを含む領域を導入したことを特徴とする、請求項1に記載の植物ウイルスベクター。
- 請求項3に記載の植物ウイルスベクターのStuIサイトとMluIサイト領域に、外来遺伝子を挿入したことを特徴とする遺伝子組み換え体。
- 請求項4に記載の遺伝子組み換え体を使用して外来遺伝子を植物に導入し、安定的に外来遺伝子を発現させることを特徴とする植物における遺伝子発現方法。
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