JP4009021B2 - 発泡スチロールガス化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業製品の包装材や建築用断熱材,防音材等として多用されている発泡スチロールのガス化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、工業製品の包装材や建築用断熱材,防音材等として多用されている発泡スチロールの殆どは、その役目が終了した後、可燃ゴミとして焼却処分されているのが現状である。
【0003】
しかしながら、この発泡スチロールはポリスチレン樹脂に低沸点炭化水素を加えこれを加熱して数十倍に膨張させてなるものであるため、これを焼却炉などに搬送する際やゴミ置き場などに保管した際に嵩張ってしまう上に、焼却した際に多量の煤煙や有害ガスを発生して周囲環境を悪化させてしまうといった不都合がある。
【0004】
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、処分が困難な発泡スチロールを効果的に処分すると共に有効利用を図ることができる新規な発泡スチロールガス化装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、投入されたブロック状或いは板状の発泡スチロールを粉砕,細分化する粉砕機構と、この粉砕機構で細分化された発泡スチロールをガス化させないように均等に加熱溶融するための沸点280℃以上の高沸点液媒が予め貯留されており、細分化された発泡スチロールを130〜160℃程度に加熱して溶融する油化槽と、この油化槽で得られた発泡スチロール溶融液をさらに200〜250℃程度に加熱蒸発させてガス化するガス化器と、上記油化槽と上記ガス化器間に接続され、上記油化槽内の発泡スチロール融液と高沸点液媒とを上記ガス化器側に供給する供給ラインと、上記ガス化器と上記油化槽間に接続され、上記ガス化器内の発泡スチロール融液と高沸点液媒とを上記油化槽側に戻す返送ラインとを備えた発泡スチロールガス化装置である。
請求項2の発明は、上記粉砕機構と油化槽との間に、それらの間をシールすると共に上記粉砕機構で細分化された発泡スチロールを上記油化槽側へ定量供給する定量供給機構を備えた請求項1に記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項3の発明は、上記供給ラインと返送ラインとの間に、これらをそれぞれ反対方向に流れる発泡スチロール溶融液同士で熱交換するための熱交換器を備えた請求項1又は2に記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項4の発明は、上記粉砕機構と油化槽を一体的に接続すると共に、その粉砕機構に、その内部の可燃ガスを強制的に排気するための排気ラインを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項5の発明は、上記ガス化器に、その内部のガス圧を計測する圧力計と、この圧力計の計測値に応じて上記ガス化器内の電気ヒータの出力を制御する制御部とを備えた請求項1〜4のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項6の発明は、上記ガス化器にその内部の液レベルを計測するレベルセンサを備えると共に、上記返送ラインに上記レベルセンサで計測された液レベルに応じて発泡スチロール溶融液の返送量を制御する流量調整バルブを備えた請求項1〜5のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項7の発明は、上記油化槽にその内部の液レベルを計測するレベルセンサを備えると共に、上記返送ラインに上記レベルセンサで計測された液レベルに応じて返送される発泡スチロール溶融液の一部或いは全部を抜き出す三方弁を備えた請求項1〜6のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項8の発明は、上記油化槽に、その内部の発泡スチロール溶融液の一部をオーバーフローさせて排出する溢流堰を設けた請求項1〜7のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項9の発明は、上記油化槽に、インゴット化した減容発泡スチロールをそのまま投入する投入扉を備えた請求項1〜8のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置である。
請求項10の発明は、上記ガス化器に内部で発生した可燃ガスを取り出すガス排出ラインを接続すると共に、そのガス排出ラインに、これを流れる気化ガスを冷却,凝縮させて液化するガス冷却器と、このガス冷却器で得られた発泡スチロール液を溜める発泡スチロール液タンクとを備えた請求項1〜9のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置である。
【0006】
すなわち、一般に、ゴミとして発生する発泡スチロールはブロック状となっているため、そのままでは加熱溶融化し難い。そのため、先ずブロック状となっている発泡スチロールを粉砕機構で粉砕し、細分化した後、油化槽に供給し、予めこの油化槽内に注入されている熱媒と共にここで電気ヒータ等で加熱することで容易に溶融化することができる。そして、その後、この液状の発泡スチロール溶融液をガス化器に送り、ここで電気ヒータ等によってさらに加熱することで発泡スチロール溶融液が蒸発してガス化し、可燃性のガスが得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0008】
図1及び図2は本発明に係る発泡スチロールガス化装置の実施の一形態を示したものである。
【0009】
図示するように、この発泡スチロールガス化装置は、ブロック状の発泡スチロールPを粉砕,細分化する粉砕機構1と、この粉砕機構1で細分化された発泡スチロールPを加熱して溶融する油化槽2と、この油化槽2で得られた発泡スチロール溶融液Lをさらに加熱蒸発させてガス化するガス化器3とから主に構成されている。
【0010】
先ず、この粉砕機構1は、上部にホッパ4を備えたケーシング5と、このケーシング5内をその長さ方向に横断するように設けられた4つの粉砕スクリュー6,6,6,6と、これら粉砕スクリュー6,6,6,6のいずれかを駆動する駆動モータ7とからなっている。また、これら粉砕スクリュー6,6,6,6の端部にはそれぞれ歯車8が設けられており、これら4つの歯車8,8,8,8がケーシング5端部に設けられたギアーボックス9内で相互に噛み合うように配置されている。従って、駆動モータ7によって一つの粉砕スクリュー6を駆動することで全ての粉砕スクリュー6,6,6,6が同時に連動するようになっている。尚、ケーシング5の他端部には軸受けボックス10が設けられており、粉砕スクリュー6,6,6,6の他端部を支持する軸受け部材11がそれぞれ収容されるようになっている。また、この粉砕スクリュー6は図示しない回転ドラムの周囲に複数の粉砕歯が突出した構造となっており、この粉砕歯相互の噛み合いによって発泡スチロールPを強制的に粉砕するようになっている。
【0011】
また、この粉砕機構1の下部には、そのケーシング4の下部開口部に連通するホッパー12と、このホッパー12内に設けられたロータリーバルブ13と、このロータリーバルブ13を駆動するバルブモータ14とからなる定量供給機構15が設けられており、このホッパー12とロータリーバルブ13とによってケーシング4の下部開口部をシールすると共に、粉砕機構1で細分化された発泡スチロールPをその下部に連設された油化槽2側に定量供給するようになっている。
【0012】
一方、油化槽2は、この定量供給機構15を介して上記粉砕機構1と一体的に形成されており、その内部には、投入された発泡スチロールをガス化させないように均等に加熱溶融するための高沸点液媒が予め貯留されていると共に、定量供給機構15から供給された発泡スチロールPをその融点以上に加熱して溶融する電気ヒータ16と、この加熱溶融の過程においてその内部で発生した余剰ガスを燃焼して排気するドラム状の余剰ガス燃焼器17とが収容されている。また、この油化槽2の底部には、払出しポンプ18とストレーナー19とが備えられた供給ライン20が接続されており、払出しポンプ18によって油化槽2内で発生した発泡スチロール溶融液Lを液媒と共に払い出すと同時にこれをストレーナー19によって濾過してガス化器3側に送るようになっている。
【0013】
他方、ガス化器3は、この供給ライン20とガス排出ライン21を備えた密閉容器22内にその内部を加熱する電気ヒータ23を収容したものであり、供給ライン20から送られてきた発泡スチロール溶融液Lを密閉容器22内に一時的に貯留させると共に、これを電気ヒータ23によってさらに高温に加熱してガス化し、発生した発泡スチロールの可燃ガスをガス排出ライン21から図示しないガスバーナー等に送るようになっている。
【0014】
また、このガス化器3と油化槽2間には上述した供給ライン20の他に、返送ライン24が接続されており、密閉容器22内の発泡スチロール溶融液Lの液量が一定量を超えた場合に、密閉容器22に設けられたレベルセンサ25がこれを検知して返送ライン24の流量調整バルブ26を開くことで密閉容器22内の発泡スチロール溶融液Lがこの返送ライン24から油化槽2側へ返送されるようになっている。さらに、この返送ライン24の途中には三方弁27を介して流出ライン28が分岐して設けられており、発泡スチロール溶融液Lの返送時に油化槽2内の発泡スチロール溶融液Lの液量が一定量以上である場合に油化槽2側に設けられたレベルセンサ29によってこの三方弁27を開くことで返送される発泡スチロール溶融液Lの一部或いは全部を液媒と共に排出ピット30側へバイパスして流出するようになっている。尚、この排出ピット30内には冷却水が溜められており、供給された発泡スチロール溶融液Lを液媒と共にそのまま、あるいは冷却固化して減容化し、インゴットとして回収されるようになっている。
【0015】
また、このガス化器3の密閉容器22には、その内部のガス圧を計測する圧力計31が設けられており、密閉容器22内のガス圧が一定範囲を外れた場合に、電気ヒータ23を制御する制御部35側にその信号を出力して電気ヒータ23の出力を制御(増減)するようになっている。
【0016】
さらに、粉砕機構1にもその内部の圧力を測定する圧力計33と、その内部のガスを排気する排気ライン32が設けられており、油化槽2内のガスが定量供給機構15から粉砕機構1側に漏洩してそのケーシング5内の圧力が大気圧を超えた場合に、排気ライン32に設けられたファン34を駆動してケーシング5内のガスを抜き出し、排気ライン32から図示しない余剰ガス燃焼器等へ強制排気するようになっている。尚、図中36,37はそれぞれ供給ライン20及び返送ライン24の流れ方向を規制する逆止弁である。
【0017】
次に、このような構成をした本発明の発泡スチロールガス化装置の作用を説明する。
【0018】
先ず、予め油化槽2内に少量の高沸点液媒、例えばA重油(沸点>300℃),潤滑油,潤滑油ベースオイル,フラッシングオイル,熱媒体油等の10%留点,150℃以上,90%留点,280℃以上の高沸点液媒を入れておき、この高沸点液媒を電気ヒーター16,16によって発泡スチロールPの融点温度以上、例えば、130〜160℃程度に加熱した後、ブロック状の発泡スチロールPをホッパー4から粉砕機構1に投入し、粉砕スクリュー6,6,6,6によってこれを粉砕して細分化する。すると、細分化された発泡スチロールPは定量供給機構15によって一定量ずつ油化槽2側へ落下した後、この液媒に接触加熱されることで溶融し、液媒と混合した発泡スチロール溶融液Lとなって油化槽2内に溜められる。尚、この加熱溶融時に極僅かの可燃ガスが発生することがあるが、この可燃ガスは余剰ガス燃焼器17によって燃焼されて無害な燃焼排ガスとなって放出されるため、そのまま定量供給機構15や粉砕機構1を逆流して大気中に放出されるようなおそれはない。また、仮に、この可燃ガスが多量に発生して定量供給機構15を逆流して粉砕機構1側に漏れた場合であっても、上述したようにこの現象が圧力計33によって検知されるため、漏れた可燃ガスがファン34によって排気ライン32から排気された後、図示しない余剰ガス燃焼器などで処分されることになる。従って、粉砕機構1側に漏れた可燃ガスがホッパ−4等からそのまま大気中に放出されることがなくなり、周囲環境の悪化を招くようなことはない。
【0019】
次に、このようにして油化槽2内に溜った発泡スチロール溶融液Lは液媒と共に払出しポンプ18によって油化槽2内から払い出された後、供給ライン20を通過してガス化器3の密閉容器22内に送られた後、内部の電気ヒータ23によってさらにその沸点以上、例えば、200〜250℃程度に加熱されることによって蒸発し、ガス化する。そして、この密閉容器22内で発生した発泡スチロールの可燃ガスはガス排出ライン21から密閉容器22を出た後、図示しないガスバーナー等に送られ、ガスバーナーの燃料として有効利用される。
【0020】
ここで、ガスバーナー側での可燃ガスの消費量変動に対する対応としては、例えば、ガス化器3の電気ヒータ23側を制御して行うことができる。すなわち、可燃ガスの消費量が変動すると、可燃ガスの発生量と消費量のバランスが崩れ密閉容器22内の圧力が変動することから、この圧力の変動を圧力計31で検知し、制御部35によって電気ヒータ23の出力をその圧力に応じて適宜増減させることによって達成する。具体的には、可燃ガスの消費量が減少した場合には、密閉容器22内圧が上昇するため、電気ヒータ23の出力を下げてガスの発生量を減少させ、反対に可燃ガスの消費量が増大した場合には、密閉容器22内圧が下がるため、電気ヒータ23の出力を上げてガスの発生量を減少させるような制御を行うようになる。
【0021】
一方、このような制御等によって可燃ガスの消費量が減少して、ガス化器3側へ流れる発泡スチロール溶融液Lの供給量がガス化器3の可燃ガスの発生量を上回って液レベルが上昇した場合には、これをガス化器3側に設けられたレベルセンサ25が検知して流量調整バルブ26を開き、密閉容器22内の発泡スチロール溶融液Lを液媒と共に返送ライン24から適量ずつ油化槽2内に戻すように制御することでガス化器3内の発泡スチロール溶融液Lのレベルを常に一定範囲に維持することができる。そして、仮に、この返送過程において油化槽2内の発泡スチロール溶融液Lが満杯で油化槽2側へ返送する余裕がない場合には、油化槽2側へ設けられたレベルセンサ29によって返送ライン24の三方弁27を制御して余剰の発泡スチロール溶融液Lを流出ライン28を介して固化ピット30側へ逃がし、溜められている冷却水によってこれを冷却固化してインゴットとして回収することになる。
【0022】
このように本発明は、発泡スチロールを細分化して加熱溶融した後、ガス化し、これをガスバーナーなどの燃料として用いるようにしたため、従来、そのまま焼却処分されていた発泡スチロール廃棄物を有効利用することが可能となる。その結果、焼却処分時に発生する有害ガス等による環境悪化を未然に防止することができると同時に、限りある資源の有効活用を達成することができる。
【0023】
尚、本実施の形態では粉砕機構1の下部に、ロータリーバルブ13等からなる定量供給機構15を備え、細分化された発泡スチロールの定量供給と油化槽2のシールを行うようにしたが、上述したように粉砕機構1に排気ライン32等を備えると同時に油化槽2のサイズ及び油化能力を充分大きく設定しておけば、定量供給機構15を省略するような構成としても良い。また、油化槽2内部の清掃作業を容易にするために、油化槽2の側面に開閉自在な掃除窓38を備えたり、爆発扉(図示せず)等を備えるようにしても良い。さらに、油化槽2の天井部付近に図示しない投入扉を設け、上記固化ピット30等で得られたインゴット化した減容発泡スチロールをそのまま油化槽2内に投入して再度溶融処理するようにしても良い。また、発泡スチロールの溶融化やガス化に際して用いる熱源として、上述したような電気ヒータ16,23に代えてガスバーナーを用いても良く、さらに、このガスバーナーの燃料ガスとして本装置で発生した発泡スチロールの可燃ガスの一部を用いれば処分時の運転経費の節減も達成できる。
【0024】
また、図3に示すように、油化槽2内に溢流堰39を設けると共にこの溢流堰39にオバーフロー管40を接続し、油化槽2内の余剰発泡スチロール溶融液Lをオーバーフローさせて、冷却水等が満たされた排出ピット41側に排出させるような構成とすれば、図1に示すような三方弁27,レベルセンサ29,固化ピット30等が不要となるため、構造の簡略化が達成され、装置の信頼性,安定性を向上させることも可能となる。尚、この排出ピット41側に排出された余剰発泡スチロール溶融液Lは、固化ピット30と同様この冷却水によって瞬時に冷却凝固するため、減容化されたインゴットとして回収されることになる。また、この溢流堰39の近傍に網などのスクリーン42を設けて、油化槽2内の固形物やゴミがオバーフロー管40内に流れ込んで詰まるのを防止するようにしても良い。
【0025】
また、図示するように粉砕スクリュー6,6,6,6にそれぞれ櫛状のスクレーパ43を付設するようにすれば粉砕スクリュー6表面の粉砕歯(図示せず)間に挟み込まれた発泡プラスチック片を効果的に除去して粉砕能力の維持を図ることも可能となる。さらに、油化槽2の周囲及びガス化器3の周囲に断熱層44,44を設けるようにすれば、外部への放熱量が減少して効果的な油化及びガス化が達成できる。さらに図1に示すロッド状の電気ヒータ16,16に代えてリボンヒータ,電熱パネル等の面状ヒータ45を用いれば、油化槽2内をむらなく加熱することができると共に、油化槽2内の容積がその分だけ拡大して発泡スチロール溶融液Lの貯留量を増大することができる。
【0026】
次に、図4は本発明装置の他の実施の形態を示したものである。
【0027】
図示するように、本実施の形態に係る発泡スチロールガス化装置は、上述した発泡スチロールガス化装置の構成に加え、油化槽2とガス化器3間に接続される供給ライン20及び返送ライン24の途中に熱交換器60を設けると共に、粉砕機構1側から延びる排気ライン32に、ガス冷却器49と気液分離槽48とを備えることでより装置の性能及び信頼性の向上を図るようにしたものである。
【0028】
すなわち、この熱交換器60は、例えば、シェル&チューブ型熱交換器からなっており、チューブサイド(管側)のヘッダ61に供給ライン20を接続すると共に、シェルサイド(胴側)の入口62及び出口63にそれぞれ返送ラインを備えたものである。これによって、油化槽2側から供給ライン20を介して熱交換器60のチューブサイドに流れ込んだ発泡スチロール溶融液Lは、ここでガス化器3側から返送ライン24を介してそのシェルサイド内に流れ込んでくる高温の発泡スチロール溶融液Lによって加熱されて温度が上昇した後、ガス化器3側に送られ、一方、ガス化器3側から返送された高温の発泡スチロール溶融液Lはこの熱交換器60で冷却された後、油化槽2側に返送されることになる。
【0029】
従って、このような熱交換器60を備えることにより、熱損失が少なくなって熱効率が向上することは勿論、油化槽2側に返送された発泡スチロール溶融液Lが油化槽2内でガス化するおそれがなくなるため、装置の安定性及び信頼性がより向上する。
【0030】
また、排気ライン32にガス冷却器49と気液分離槽48とを備えることによって、粉砕機構1から強制排気された漏洩ガスの一部或いは全部がガス冷却器49で冷却されて凝縮しながら気液分離槽48に流れ、ここで気液分離した後、液側が抜出ポンプ51によって抜出しライン50を通過してガス化器3に形成された供給口52からガス化器3側に送られることになる。一方、凝縮しきれなかった漏洩ガスは、上記装置と同様に排気ライン32をそのまま通過して余剰ガス燃焼器等で焼却処分されることになる。これによって油化槽2内において仮に可燃ガスが大量に発生し、これが粉砕機構1側に大量に漏れだした場合であっても、余剰ガス燃焼器側へ流れる可燃ガスの量を大幅に減少することができるため、漏洩した可燃ガスの有効利用を達成することができる。
【0031】
また、このような構成に加え、供給ライン20の上流側に洗浄液ライン46を接続すると共に、供給ライン20と返送ライン24とをバイパスライン64で接続して洗浄液槽47内の重油等からなる洗浄液を洗浄液ライン46から供給ライン20→バイパスライン64→返送ライン24側に順次流すように構成すれば、洗浄液によって供給ライン20と返送ライン24内を効果的に洗浄することが可能となるため、特に運転停止後等において、これらライン20,24内での発泡スチロール溶融液Lの固着等による詰まりや流量低下等の不都合を未然に防止することが可能となる。
【0032】
さらに、図示するように、ガス化器3に接続されたガス排出ライン21に、LPGガスライン54を接続して補助燃料としてLPGガスを供給するように構成すれば、仮にガス化器3での可燃ガスの発生量が減少して不足しても、その不足分をLPGガスによって容易に補うことが可能となると共に、装置の停止時におけるライン内の真空防止を図ることも可能となる。また、ガス排出ライン21にさらに大気ベントライン53を分岐させて設ければ、運転開始時にパージが必要な場合には、この大気ベントライン53を利用して装置内の空気を容易に抜き出すことが可能となる。
【0033】
また、図5に示すように、上述したガスバーナーに代えてガス排出ライン21の下流側にガス冷却器55と発泡スチロール液タンク56を付設し、ガス化器3で発生した可燃ガスをガス冷却器55で冷却,凝縮して液化し、発泡スチロール液として発泡スチロール液タンク56内に貯留しておき、その後必要に応じて燃料として用いるように構成しても良い。尚、この時、抜出しライン50を流れる発泡スチロール液もガス冷却器55で発生した発泡スチロール液とその成分性質は略同様であるため、抜出しライン50をこのガス冷却器55の下流側に接続し、ガス冷却器55で得られた発泡スチロール液と共に、そのまま発泡スチロール液タンク56内に直接流すようにしても良い。
【0034】
さらに、図6に示すように、粉砕機構1側から延びる排気ライン32をそのまま直接ガス排出ライン21側に接続し、粉砕機構1内に漏洩した可燃ガスをガス冷却器55に流してガス化器3側で発生した可燃ガスと共に冷却,凝縮,液化して発泡スチロール液タンク57に流すように構成すれば、図4及び図5に示すような排気ライン32に設けられている、気液分離槽48,ガス冷却器49,抜出しライン50,抜出しポンプ51に加え、余剰ガス燃焼器をもまとめて省略することも可能となる。尚、図6中58は、発泡スチロール液タンク57内の空気や少量の可燃ガスを大気放出するための大気開放ラインである。
【0035】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、発泡スチロールを細分化して加熱溶融した後、ガス化し、これをガスバーナーなどの燃料ガスとして用いることができる。従って、従来、そのまま焼却処分されていた発泡スチロール廃棄物を有効利用することが可能となるため、資源の節約を達成できると共に、焼却処分に起因する周囲環境の悪化等を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の実施の一形態を示す全体構成図である。
【図2】図1中A−A矢視図である。
【図3】本発明装置の他の実施の形態を示す全体構成図である。
【図4】本発明装置の他の実施の形態を示す全体構成図である。
【図5】本発明装置の他の実施の形態を示す全体構成図である。
【図6】本発明装置の他の実施の形態を示す全体構成図である。
【符号の説明】
1 粉砕機構
2 油化槽
3 ガス化器
15 定量供給機構
20 供給ライン
21 ガス排出ライン
24 返送ライン
25,29 レベルセンサ
26 バルブ
27 三方弁
31 圧力計
32 排気ライン
35 制御部
48 気液分離器
49,55 ガス冷却器
56,57 発泡スチロール液タンク
60 熱交換器
P 発泡スチロール
L 発泡スチロール溶融液

Claims (10)

  1. 投入されたブロック状或いは板状の発泡スチロールを粉砕,細分化する粉砕機構と、この粉砕機構で細分化された発泡スチロールをガス化させないように均等に加熱溶融するための沸点280℃以上の高沸点液媒が予め貯留されており、細分化された発泡スチロールを130〜160℃程度に加熱して溶融する油化槽と、この油化槽で得られた発泡スチロール溶融液をさらに200〜250℃程度に加熱蒸発させてガス化するガス化器と、上記油化槽と上記ガス化器間に接続され、上記油化槽内の発泡スチロール融液と高沸点液媒とを上記ガス化器側に供給する供給ラインと、上記ガス化器と上記油化槽間に接続され、上記ガス化器内の発泡スチロール融液と高沸点液媒とを上記油化槽側に戻す返送ラインとを備えたことを特徴とする発泡スチロールガス化装置。
  2. 上記粉砕機構と油化槽との間に、それらの間をシールすると共に上記粉砕機構で細分化された発泡スチロールを上記油化槽側へ定量供給する定量供給機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の発泡スチロールガス化装置。
  3. 上記供給ラインと返送ラインとの間に、これらをそれぞれ反対方向に流れる発泡スチロール溶融液同士で熱交換するための熱交換器を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡スチロールガス化装置。
  4. 上記粉砕機構と油化槽を一体的に接続すると共に、その粉砕機構に、その内部の可燃ガスを強制的に排気するための排気ラインを備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置。
  5. 上記ガス化器に、その内部のガス圧を計測する圧力計と、この圧力計の計測値に応じて上記ガス化器内の電気ヒータの出力を制御する制御部とを備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置。
  6. 上記ガス化器にその内部の液レベルを計測するレベルセンサを備えると共に、上記返送ラインに上記レベルセンサで計測された液レベルに応じて発泡スチロール溶融液の返送量を制御する流量調整バルブを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置。
  7. 上記油化槽にその内部の液レベルを計測するレベルセンサを備えると共に、上記返送ラインに上記レベルセンサで計測された液レベルに応じて返送される発泡スチロール溶融液の一部或いは全部を抜き出す三方弁を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置。
  8. 上記油化槽に、その内部の発泡スチロール溶融液の一部をオーバーフローさせて排出する溢流堰を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置。
  9. 上記油化槽に、インゴット化した減容発泡スチロールをそのまま投入する投入扉を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置。
  10. 上記ガス化器に内部で発生した可燃ガスを取り出すガス排出ラインを接続すると共に、そのガス排出ラインに、これを流れる気化ガスを冷却,凝縮させて液化するガス冷却器と、このガス冷却器で得られた発泡スチロール液を溜める発泡スチロール液タンクとを備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発泡スチロールガス化装置。
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