JP4008586B2 - ワークのエッジの研摩装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークのエッジの研摩装置に係り、特に研摩剤を含んだゴムホイール(RBW=RUBBER BONDED WHEEL)を用いて研摩することによって、装置の配管を詰まらせたり、電磁弁の寿命を縮めたり、その他様々な箇所に凝着する等問題の多かったダイヤモンド砥粒を含んだスラリーを研摩剤として用いることなく、研摩による発熱を空気や水等で冷却するだけで従来通りの品質の研摩を可能にし、装置の製造コストとランニングコストの大幅な削減を可能にしたワークのエッジの研摩装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウェーハ等のウェーハは、薄い円盤状の半導体の総称であり、通常円柱状に精製された単結晶母材から切り出され、その一表面は鏡面研摩され、種々の半導体素子がその表面上にエッチング法等により形成されるものである。一方外周のエッジについてもエッジ表面へのゴミの付着を防ぐために、研摩機によって、ダイヤモンド砥石を用いて面取り研削を行った後、バフ等の研摩板とスラリーを用いて鏡面研摩を行っている。
【0003】
従来の研摩板はその研摩板自体に研摩能力が少ないため、スラリーに含まれている研摩剤及びアルカリであるスラリーの化学的エッチング作用によって研摩していた。スラリーは極めて微細なダイヤモンド等の研摩粒子をアルカリの液体(pH11程度)と混合させてゲル状にしたものである。
【0004】
スラリーを用いた研摩を行うと、当然にスラリーにシリコンの研摩粉が混入した液体が生じるが、従来の研摩機には分離装置が設けられていて、スラリーを回収した後該分離装置によって研摩粉を分離することによって、スラリーを繰り返し利用するようになっている。そのため使用後のスラリーは配管や電磁弁等を通って一旦分離装置のタンクへ送られる。しかし、この使用後のスラリーは、長時間配管の中やタンク等に滞留すると硬く固形化して凝着する性質を持っており、これが配管を詰まらせ、また電磁弁等の動作を悪くする等して故障を引き起こす原因となっていた。
【0005】
これが、スラリーが「悪魔の水」とも言われる所以であり、配管の詰まりを防止するためには、配管系をフラッシング構造にしてスラリーが通過した後に直ちに水で洗い流すようにしなければならず、またスラリーと接する鉄等の金属部にはスラリーによる腐食及びスラリーの凝着を防ぐために高価なステンレス材に0.1mm厚程度のテフロンコーティングを施す必要があり、さらに配管も一般的なビニールチューブではなく7倍から10倍も高価なテフロンチューブを使用しなければならず、製造コストだけでなくランニングコストも非常に高いものになっていた。
【0006】
またスラリーによるウェーハの研摩は、研摩後に水槽にてスラリーを沈降させた後、超音波洗浄を施して完全にスラリーを除去しないと次の工程に進むことができない等作業能率が低く、さらにウェーハに対する不要なエッチング等の悪影響も危惧され、スラリーを用いない研摩方法の開発が待たれていた。
【0007】
一方で、ウェーハの回転軸と研摩板の回転軸とを平行にし、総形に形成されているバフ等の研摩板でウェーハのエッジを研摩するという従来の研摩方法にそのまま研摩剤を含んだゴムホイールを用いても、ゴムホイールのトラバースがないため該ゴムホイールの摩耗が早く、またバフのように柔らかな素材ではないため研摩力が強すぎて研摩時にウェーハを折損しやすい等の問題があり、何らかの対策を講じないことにはゴムホイールを研摩板として用いることはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、研摩剤を含んだゴムホイールを薄板状のワークの面と直角方向に回転させ、ゴムホイールをワークのエッジに当接させることによって、スラリーを用いずに研摩時の発熱を空気又は水等で冷却するだけでエッジを研摩できるようにすることであり、またこれによってステンレス製の板材や電磁弁等を用いたり、配管に高価なテフロンチューブを用いたり、研摩装置の随所にテフロンコーティングを行う等の特別装備の必要性をなくして、製造コスト及びランニングコストが夫々従来の1/2、1/10となるような画期的な研摩装置を提供することである。
【0009】
更に他の目的は、研摩能力の異なるゴムホイールを製作して使用することによって、2段、3段の研摩を容易にすることであり、またスラリーを用いた研摩では長時間の研摩が必要であった、二酸化シリコンでできている硬いエピタキシャルウェーハも容易に研摩できるようにすることである。
【0010】
また他の目的は、上記構成によってゴムホイールの局部的摩耗を少なくして長寿命にすると共に、ゴムホイールの弾性を利用して半導体ウェーハのエッジの断面形状を円弧形状に研摩できるようにすることであり、また半導体ウェーハに対する不要なエッチング等の悪影響を根本的に解決することである。
【0011】
更に他の目的は、研摩剤を含んだゴムホイールを回転させて、その外周により円盤状のワークのエッジを研摩するように構成し、ワークの面と直角方向にゴムホイールを回転させるスピンドル部と、直進往復動するワーク取付け台部と、スピンドル部とワーク取付け台部とをゴムホイール及びエッジが相互に接近する方向に押圧付勢する弾性体とを備え、スピンドル部及びワーク取付け台部のいずれか一方を接近又は離脱する方向にわずかに摺動自在に構成することによって、ゴムホイールをトラバースさせながら研摩できるようにすると共に、研摩力を弱めてウェーハに加工ひずみや亀裂を生じさせることなく、ゴムホイールで高品質かつ高精度の研摩ができるようにすることである。
【0012】
また他の目的は、ワークの面と直角方向に研摩剤を含んだゴムホイールを回転させるスピンドル部とワークのエッジへのゴムホイールの研摩時の押圧力を与える弾性体と該弾性体の押圧力を調節する研摩力調節機構とを設けた浮動部と、該浮動部の浮動量を調節する浮動量調節機構が取り付けられた固定部とを備え、リニアガイドを介して固定部に対して浮動部をゴムホイールとエッジとが接近又は離脱する方向にわずかに摺動自在に構成することによって、異なる材質のワークに対して研摩力及びゴムホイールの浮動ストローク量を適宜調節しながらスラーを全く用いることなく、従来のスラリー使用の研摩装置に比べて優るとも劣らない高品質かつ高精度の研摩ができるようにすることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
【0015】
要するに本発明装置(請求項)は、薄板状のワークの面と直角方向に研摩剤を含んだゴムホイールを回転させるスピンドル部とワークのエッジへゴムホイールを押圧付勢する弾性体と該弾性体の押圧力を調節する研摩力調節機構とを設けた浮動部と、該浮動部の浮動量を調節する浮動量調節機構が取り付けられた固定部とを備え、リニアガイドを介して固定部に対して浮動部をゴムホイールとエッジとが接近又は離脱する方向にわずかに摺動自在に構成したことを特徴とするものである。
【0016】
また本発明装置(請求項)は、(請求項1に記載の)ワークは、半導体ウェーハであることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。図1と図4において、本発明に係るワークのエッジの研摩装置1(以下、研摩装置という)は、浮動部2と、固定部3と、ワーク取付け台部4とを備えている。
【0018】
そしてダイヤモンド砥粒等の研摩剤を含んだゴムホイール6を回転させて、その外周6aにより薄板状のワーク5のエッジ5aを研摩するように構成されている。
【0019】
浮動部2は、リニアガイド20を介して固定部3に取り付けられており、該固定部3に対してゴムホイール6とエッジ5aとが接近又は離脱する方向にわずかに摺動自在となっている。
また浮動部2は、図1と図2において、例えば半導体ウェーハのような薄板状のワーク5の面と直角方向に研摩剤(図示せず)を含んだゴムホイール6を回転させるスピンドル部8とワーク5のエッジ5aへゴムホイール6を押圧付勢する弾性体9と該弾性体9の押圧力を調節する研摩力調節機構10とを設けたもので、水平に配置され、中央付近に穴11aが穿孔された断面コの字形の浮動板11にスピンドル部8と、弾性体9と、研摩力調節機構10とが取り付けられている。
【0020】
スピンドル部8は、ゴムホイール6が下方に突き出るように穴11aに挿通した状態で、上面11bに固定されたブロック13及びブロック14によって挾持されている。該スピンドル部8は縦型スピンドルであるが、歯の治療等に用いられるグラインダ(図示せず)と同様に、先端部8aで回転方向が横軸回転に変換されるようになっており、横軸回転する軸bにゴムホイール6を取り付けて、ワーク5の面と直角方向に回転させることができる構造になっている。
【0021】
弾性体9は、スピンドル部8とワーク取付け台部4とをゴムホイール6及びエッジ5aが相互に接近する方向に押圧付勢するための、例えばガススプリング又は圧縮コイルばねであって、研摩力調節機構10に内蔵されている。
【0022】
研摩力調節機構10は、弾性体9の研摩力をワークの材質に応じて調節するためのものであって、図1及び図2に示すように、浮動板11の上面11bに固定されたブロック10a内に弾性体9を収納し、該弾性体9のばね力を調節する調節ねじ10bと、浮動部2の後退時に固定部3のコラム21に当接し、ブロック10a内に押し込まれることによって弾性体9を押し縮めて研摩力を発生させるピン10cとを弾性体9と同軸上に配設してなっており、調節ねじ10bによって弾性体9を予め変形させることによって、研摩力を変化させることができるようになっている。
【0023】
固定部3は、浮動部2の浮動量を調節する浮動量調節機構15が取り付けられ、浮動部2の土台となる部分であって、断面凸の字形の固定板16を上に凸に水平に配置し、該固定板16と直角に配設されたコラム21に固定してなるもので、上下動も可能に構成されている。また固定板16には、スピンドル8が貫通する長穴16aが穿孔されており、浮動部2の浮動時にスピンドル8が固定板16に干渉しないようになっている。
浮動量調節機構15は、図1から図3に示すように、固定板16の前面16bに固定されたブラケット18にマイクロメータヘッド19を取り付けてなるものである。浮動板11の前面11cには、該マイクロメータヘッド19の先端部19aと当接する玉11dが取り付けられている。
【0024】
なお、リニアガイド20の固定側レール20aは固定板16に、移動側レール20bは浮動板11に取り付けられており、またスピンドル部8の軸8bに取り付けられたゴムホイール6の外周6aに対して、図4に示すように、研摩で生じる熱を冷却するための、例えば水又は空気等の冷却用流体29のノズル24が向けられている。
【0025】
ワーク取付け台部4は、図4において、ワーク5を吸着した状態で直進往復動する部分であって、スピンドル側部22と、駆動側部23と、ストッパ機構25と、研摩力調節機構30と、ロック機構26とを備えている。スピンドル側部22は、リニアガイド40を介して駆動側部23に取り付けられており、ロック機構解除時には、該駆動側部23対してゴムホイール6とエッジ5aとが接近又は離脱する方向に摺動自在となるように構成されている。
【0026】
スピンドル側部22は、水平に配置された浮動板31の穴(図示せず)にスピンドル28を垂直に挿通固定し、該スピンドル28の上端(図示せず)にワーク取付け台32を取り付けて構成されている。浮動板31の上面31bには、スピンドル側部22と駆動側部23とをロックするときに、ロック機構26のテーパピン(図示せず)が嵌入する穴(図示せず)が穿孔されており、前面31cにはストッパ機構25と当接する玉31dが取り付けられている。ワーク取付け台32は、ワーク5を吸着して固定するための、円板形状のものであって、スピンドル28の回転に伴って回転するようになっている。
【0027】
駆動側部23は、スピンドル側部22の土台となる部分であって、固定板36を水平に配置し、該固定板36の前面36aにストッパ機構25及び研摩力調節機構30を配設し、両側部36bにロック機構26を対に配設してなるものである。
【0028】
ストッパ機構25は、固定板36の前面36aに固定されたブラケット38にマイクロメータヘッド39を取り付けて構成されており、研摩時にスピンドル側部22が後退できる最大量を予め設定できるようになっている。
【0029】
研摩力調節機構30は、研摩時に後退するスピンドル側部22に対して反力を与えて研摩力を発生させるガススプリング又は圧縮コイルばね等の弾性体9を内蔵しており、研摩力調節機構10と同様に、該弾性体を予め変形させることによって研摩力を調節できるようになっている。
【0030】
ロック機構26は、研削等ワーク5を浮動させずに加工する場合に、スピンドル側部22と駆動側部23とを固定して一体化させるためのものであって、固定板36にブラケット33を介してエアシリンダ34を取り付け、図示しないテーパピンが固定されたロック部材35を該エアシリンダ34のピストンロッド34aに取り付けて構成されている。
なおリニアガイド40の固定側レール40aは固定板16に、移動側レール40bは浮動板1に取り付けられている。
【0033】
本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図4において、ワーク取付け台32に吸着されて取り付けられたワーク5を、スピンドル28を回転させることによって矢印C方向に回転させ、スピンドル部8によって回転しているゴムホイール6に対して、矢印H方向に接近させてワーク5のエッジ5aをゴムホイール6の外周6aに押圧することによって、該ゴムホイール6に含まれる研摩剤の作用で研摩が行われる。研摩によって発生する熱は、ノズル24から噴射される冷却用流体29によって冷却される。
【0034】
このときの各部の作用を説明する。まずロック機構26のエアシリンダ34のピストンロッド34aを縮める方向、即ち矢印J方向に作動させ、ロック部材3に取り付けられている図示しないテーパピンを浮動板31の図示しない穴に嵌入させてなるスピンドル側部22及び駆動側部23のロック状態においては、図3及び図4に示すように、エッジ5aとゴムホイール6との接触によって、固定部3は上下動、即ち矢印F及び矢印G方向以外には動かず、スピンドル部8が取り付けられている浮動部2のみがリニアガイド20に案内されてわずかに矢印A方向に浮動して逃げる。このときに研摩力調節機構10のピン10cがコラム21に当接して弾性体9を押し縮めることによって生じる反力が研摩力となるので、矢印A方向の逃げ量に比例した研摩力のみがエッジ5aに作用する。従って弾性体9がなく直接的に研摩力が生じる場合と比較して大幅に軽い研摩力で研摩が可能であるので、極めて脆い性質を持つシリコン製の半導体ウェーハのようなワーク5であっても、ゴムホイール6を用いて加工ひずみや亀裂を生じさせることなく研摩することが可能である。
【0035】
ゴムホイール6の外周6aとエッジ5aとが当接する瞬間の初期研摩力は研摩力調節機構10によって調節することができ、調節ねじ10bを締め込んでいけば弾性体9が圧縮されて初期研摩力が高くなり、緩めていけば該初期研摩力が低くなる。該初期研摩力は、ワーク5の材質を考慮して予め調節しておく。
【0036】
図4に示すように、研摩終了時等に矢印I方向にワーク取付け台部4を移動させて、ゴムホイール6とワーク5のエッジ5aとを離脱させれば、図3及び図4に示すように、弾性体9の反力によって、浮動部2は浮動板11の玉11dが浮動量調節機構15のマイクロメータヘッド19の先端部19aに当接するまで矢印B方向に戻って安定状態となる。浮動量を大きく調節しておくと、弾性体9のストロークが長くなるので、研摩中に軽い研摩力から強い研摩力まで幅広く利用することが可能となる。
【0037】
次に、ワーク取付け台部4のスピンドル側部22と駆動側部23とが非ロック状態である場合においては、浮動板31の玉31dとストッパ機構25のマイクロメータヘッド39との間に隙間(図示せず)が開いており、エッジ5aとゴムホイール6との接触によって、上記したロック状態での浮動部2の逃げ作用に加えて、ワーク取付け台部4のスピンドル側部22にも同様の逃げ作用が発生する。駆動側部23は、固定部3と同様に、数値制御に従って動くので、エッジ5aとゴムホイール6との接触によって動くことはないが、スピンドル側部22は、リニアガイド40により案内されてわずかに矢印I方向に浮動して逃げる。該スピンドル側部22は、浮動板31の玉31dと、マイクロメータヘッド39との隙間がなくなって、当接するまで浮動することができる。このときに研摩力調節機構30によって生じる反力が研摩力となるので、矢印I方向の逃げ量に比例した研摩力が弾性体9によって生じる研摩力と共にエッジ5aに作用する。
【0038】
ゴムホイール6の外周6aとエッジ5aとが当接する瞬間のワーク取付け台部4側の初期研摩力は研摩力調節機構30によって調節することができ、また矢印I方向のスピンドル側部22の逃げ量、即ち浮動量の最大値は、ストッパ機構25のマイクロメータヘッド39によって予め調節しておく。
【0039】
図4に示すように、研摩終了時等に矢印I方向にワーク取付け台部4を移動させて、ゴムホイール6とワーク5のエッジ5aとを離脱させれば、図3及び図4に示すように、弾性体9の反力によって、浮動部2は浮動板11の玉11dが浮動量調節機構15のマイクロメータヘッド19の先端部19aに当接するまで矢印B方向に戻って安定状態となり、スピンドル側部22は矢印H方向に戻る。
【0040】
なお図面としては示さなかったが、ワーク取付け台部4のみに浮動部を設け、ゴムホイール6側に浮動部を設けない形式のものでも、同様の研摩を行うことが可能である。またゴムホイール6中の研摩剤の砥粒径を変えて研摩能力の異なるゴムホイール6を製作することが容易であるので、これを順次用いることにより、2段、3段の研摩を容易に行うことができる。研摩力の大きなゴムホイール6を用いれば、二酸化シリコン製の硬いエピタキシャルウェーハのようなワーク5でも容易に研摩することが可能である。
【0041】
研摩装置1を用いたワーク5のエッジ5aの研摩工程の一例を図5を用いて説明する。研摩工程の前には面取り工程及び研削工程が存在し、研削工程が終わった状態では、ワーク5のエッジ5aには鋭利な上エッジ5bと下エッジ5cとが存在する。そこで、まず図5(a)に示すように、ゴムホイール6を矢印E方向に回転させ、矢印C方向に回転させたワーク5の上エッジ5bをゴムホイール6の外周6aに当接させることによって、該上エッジ5b及びエッジ上面5dをアップカットにより研摩する。次に、図5(b)に示すように、ゴムホイール6及びワーク5をトラバースさせてエッジ外周面5eを同じくアップカットにより研摩する。そして最後に、図5(c)に示すように、ゴムホイール6を矢印D方向に回転させ、ワーク5の下エッジ5c及びエッジ下面5fをゴムホイール6の外周6aに当接させることによって、該下エッジ5c及びエッジ下面5fを同じくアップカットにより研摩して、エッジ5aの研摩が終了する。
【0042】
ゴムホイール6を用いて研摩することによって、上エッジ5b及び下エッジ5cをゴムホイール6の外周6aに当接させたときには、ゴムホイール6が弾性変形した状態での接触となるので、上エッジ5b及び下エッジ5cを、断面が円弧形状になるように研摩できる特長がある。またゴムホイール6及びワーク取付け台部4をトラバースさせながら研摩するので、ゴムホイール6には局部摩耗が発生せず、長寿命となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、上記のように研摩剤を含んだゴムホイールを薄板状のワークの面と直角方向に回転させ、ゴムホイールをワークのエッジに当接させるようにしたので、スラリーを用いずに研摩時の発熱を空気又は水等で冷却するだけでエッジを研摩できる効果があり、またこの結果ステンレス製の板材や電磁弁等を用いたり、配管に高価なテフロンチューブを用いたり、研摩装置の随所にテフロンコーティングを行う等の特別装備の必要性がなくなるため、製造コスト及びランニングコストが夫々従来の1/2、1/10となるような画期的なワークのエッジの研摩装置を提供することができる効果がある。
【0044】
更には、研摩能力の異なるゴムホイールを製作して使用するようにしたので、2段、3段の研摩を容易にすることができ、またスラリーを用いた研摩では長時間の研摩が必要であった、二酸化シリコンでできている硬いエピタキシャルウェーハも容易に研摩できるという効果が得られる。
【0045】
また上記構成によってゴムホイールの局部的摩耗を少なくして長寿命にすることができると共に、ゴムホイールの弾性を利用して半導体ウェーハのエッジの断面形状を円弧形状に研摩できる効果があり、また半導体ウェーハに対する不要なエッチング等の悪影響を根本的に解決することができる効果がある。
【0046】
更には、研摩剤を含んだゴムホイールを回転させて、その外周により円盤状のワークのエッジを研摩するように構成し、ワークの面と直角方向にゴムホイールを回転させるスピンドル部と、数値制御によって駆動され直進往復動するワーク取付け台部と、スピンドル部とワーク取付け台部とをゴムホイール及びエッジが相互に接近する方向に押圧付勢する弾性体とを備え、スピンドル部及びワーク取付け台部のいずれか一方を接近又は離脱する方向にわずかに摺動自在に構成したので、ゴムホイールをトラバースさせながら研摩できるため、研摩力を弱めてウェーハに加工ひずみや亀裂を生じさせることなく、ゴムホイールで高品質かつ高精度の研摩ができるという効果がある。
【0047】
またワークの面と直角方向に研摩剤を含んだゴムホイールを回転させるスピンドル部とワークのエッジへのゴムホイールの研摩時の押圧力を与える弾性体と該弾性体の押圧力を調節する研摩力調節機構とを設けた浮動部と、該浮動部の浮動量を調節する浮動量調節機構が取り付けられた固定部とを備え、リニアガイドを介して固定部に対して浮動部をゴムホイールとエッジとが接近又は離脱する方向にわずかに摺動自在に構成したので、異なる材質のワークに対して研摩力及びゴムホイールの浮動ストローク量を適宜調節しながらスラリーを全く用いることなく、従来のスラリー使用の研摩装置に比べて優るとも劣らない高品質かつ高精度の研摩ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワークのエッジの研摩装置の斜視図である。
【図2】ワークのエッジの研摩装置の部分縦断面図である。
【図3】浮動部、固定部、弾性体及び浮動量調節機構の機構を示すワークのエッジの研摩装置及びワークの部分縦断面機構図である。
【図4】ワークの研摩状態を示すワークのエッジの研摩装置の斜視図である。
【図5】ワークのエッジの研摩工程を示すワーク及びゴムホイールの要部拡大部分縦断面図である。
【符号の説明】
1 ワークのエッジの研摩装置
2 浮動部
3 固定部
4 ワーク取付け台部
5 ワーク
5a エッジ
6 ゴムホイール
8 スピンドル部
9 弾性体
15 浮動量調節機構
20 リニアガイド
40 リニアガイド

Claims (2)

  1. 薄板状のワークの面と直角方向に研摩剤を含んだゴムホイールを回転させるスピンドル部と前記ワークのエッジへ前記ゴムホイールを押圧付勢する弾性体と該弾性体の押圧力を調節する研摩力調節機構とを設けた浮動部と、該浮動部の浮動量を調節する浮動量調節機構が取り付けられた固定部とを備え、リニアガイドを介して前記固定部に対して前記浮動部を前記ゴムホイールと前記エッジとが接近又は離脱する方向にわずかに摺動自在に構成したことを特徴とするワークのエッジの研摩装置。
  2. 前記ワークは、半導体ウェーハであることを特徴とする請求項に記載のワークのエッジの研摩装置。
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