JP4008247B2 - 衛生材料容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛生材料および消毒剤を収容した使い捨ての消毒用衛生材料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の衛生材料容器としては、いわゆる万能つぼなどの金属製の容器が用いられている。
【0003】
そして、たとえば病院などにて消毒する場合には、たとえば綿棒などの衛生材料とたとえばエタノールなどの消毒剤とを万能つぼなどに収容し、この万能つぼ内にて衛生材料に消毒剤を含浸させる。
【0004】
また、たとえばポリエチレン(polyethylene)などの合成樹脂などにて形成された使い捨ての衛生材料容器も用いられている。
【0005】
そして、この衛生材料容器にて梱包した衛生材料に消毒剤を注ぎ、この衛生材料に消毒剤を含浸させる。
【0006】
さらに、たとえばポリエチレンなどの合成樹脂、あるいはいわゆるラミネートフィルムなどにて袋状に形成され、予め消毒剤が含浸された衛生材料を収容した衛生材料容器も用いられている。
【0007】
また、特開平7−300161号公報に記載されているように、複数、たとえば2つの収容部を、連結部を介して連結し、蓋体にてこれら収容部間の連結部が剥離可能となるように収容部を閉塞した構成の衛生材料容器も用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の万能つぼを用いる衛生材料容器では、使用するごとにこの万能つぼを滅菌し、かつ使用する前に衛生材料および消毒剤をこの万能つぼに収容しなければならないことにより、作業に手間がかかるとともに、消毒剤の量の調整が困難であるなど使い勝手がよくない。
【0009】
また、上述のポリエチレンなどの合成樹脂などにて形成された使い捨ての衛生材料容器では、衛生材料に消毒剤を含浸させる手間がかかるとともに、消毒剤の量の調整が困難であるなど使い勝手がよくない。
【0010】
さらに、ポリエチレンなどの合成樹脂、あるいは袋状のラミネートフィルムにて形成され、予め消毒剤が含浸された衛生材料を収容した衛生材料容器では、衛生材料に消毒剤を含浸させた状態で長時間置くことにより、この消毒剤の消毒効果が低下する可能性がある。また、たとえば衛生材料として綿棒などを用いた場合には、この綿棒などの軸部にまで消毒剤が付いてしまうなど、使い勝手がよくない。
【0011】
そして、特開平7−300161号公報に記載の衛生材料容器では、収容部が閉塞されているため、衛生材料および消毒剤を滅菌する際にガンマ線滅菌などの放射線滅菌しかできず、衛生材料および消毒剤のいずれか一方のみを選択的に滅菌できないという問題がある。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、衛生材料の滅菌が可能で、消毒効果が低下せず、使い勝手のよい衛生材料容器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の衛生材料容器は、衛生材料および消毒剤を収容する収容部およびこの収容部の開口縁に延在して設けられた延在部を備えた容器本体と、この容器本体の延在部に接合されてフラップ部を形成するとともに前記容器本体の収容部を閉塞する蓋体と、この蓋体における前記衛生材料収容部側の一部に滅菌紙により設けられ、前記容器本体内をガス滅菌可能にするとともに菌の前記容器本体内への透過を防止する空隙部とを具備し、前記滅菌紙は、前記蓋体の他の部分と一体的に形成され、前記収容部は、前記延在部にて前記衛生材料を収容した衛生材料収容部および前記消毒剤を収容した消毒剤収容部に区画され、前記フラップ部は、前記衛生材料収容部および前記消毒剤収容部の間の部分に剥離容易に形成され剥離により前記衛生材料収容部および前記消毒剤収容部を連通させる連通部を有し、前記衛生材料収容部側の少なくとも一部が剥離可能であるものである。
【0014】
そして、延在部にて区画された衛生材料収容部および消毒剤収容部にてそれぞれ衛生材料および消毒剤を別個に収容することにより、使用する直前まで衛生材料に消毒剤が含浸されないため、この衛生材料に消毒剤を含浸させた状態で長時間放置せずに済み、消毒剤の消毒効果の低下が防止される。
【0015】
また、フラップ部の衛生材料収容部および消毒剤収容部の間の部分に、剥離により衛生材料収容部および消毒剤収容部を連通させる連通部を剥離容易に形成することにより、消毒剤を衛生材料に容易に含浸させることができる。さらに、消毒剤収容部には消毒剤を予め量を調整して収容することが可能であるため、衛生材料にこの消毒剤を含浸させる際にこの消毒剤の量を調整する必要がなくなる。また、フラップ部における衛生材料収容部側の少なくとも一部が剥離可能であることにより、衛生材料を容易に衛生材料収容部から取り出すことができる。この結果、使い勝手が向上する。
【0016】
そして、蓋体における衛生材料収容部側の一部に容器本体内をガス滅菌可能にするとともに菌の容器本体内への透過を防止する空隙部を滅菌紙により設けたことにより、ガス滅菌にて衛生材料収容部のみの滅菌が可能であるとともに、滅菌紙を蓋体の他の部分と一体的に形成したことで、製造性が向上する。
【0017】
請求項2記載の衛生材料容器は、請求項1記載の衛生材料容器において、収容部は、上部と底部とが略平行に形成され、衛生材料収容部は、底部の一部がこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置したものである。
【0018】
そして、収容部の上部と底部とを略平行に形成し、衛生材料収容部の底部の一部をこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置させることにより、衛生材料収容部と消毒剤収容部とを連通させた後、消毒剤が収容部の上部および底部を伝いにくく衛生材料収容部全体へと流入しにくい。この結果、衛生材料全体に消毒剤が付着などせず衛生材料の必要な部分にのみ消毒剤を含浸させることができこの衛生材料の取り扱いを容易にできるため、作業性が向上する。
【0019】
請求項3記載の衛生材料容器は、請求項1記載の衛生材料容器において、収容部は、上部が消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと上方向に傾斜して形成され、前記衛生材料収容部は、底部の一部がこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置したものである。
【0020】
そして、収容部の上部を消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと上方向に傾斜して形成し、衛生材料収容部の底部の一部をこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置させることにより、衛生材料収容部と消毒剤収容部とを連通させた後、消毒剤が収容部の上部および底部を伝いにくく衛生材料収容部全体へと流入しにくい。この結果、衛生材料全体に消毒剤が付着などせず衛生材料の必要な部分にのみ消毒剤を含浸させることができこの衛生材料の取り扱いを容易にできるため、作業性が向上する。
【0021】
請求項4記載の衛生材料容器は、請求項1ないし3いずれか一記載の衛生材料容器において、衛生材料収容部は、底部から上側に突出した2つの段部が形成され、これら段部間の底部が底部の他の部分よりも上側に突出しているものである。
【0022】
そして、衛生材料収容部の底部から2つの段部を上側に突出し、これら段部間の底部を、底部の他の部分よりも上側に突出させることにより、消毒剤収容部からの消毒剤が衛生材料収容部の端部近傍へと流入することが防止される。
【0023】
請求項5記載の衛生材料容器は、請求項1ないし4いずれか一記載の衛生材料容器において、消毒剤収容部は、変形可能な合成樹脂にて形成され、連通部は、前記消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと剥離するものである。
【0024】
そして、消毒剤収容部を変形可能な合成樹脂にて形成し、連通部が消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと剥離することにより、消毒剤収容部を変形させることで連通部を消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと剥離させ消毒剤を衛生材料に含浸させることができるため、作業性がよく使い勝手が向上する。
【0025】
請求項6記載の衛生材料容器は、請求項1ないし4いずれか一記載の衛生材料容器において、連通部は、衛生材料収容部側から消毒剤収容部側へと剥離するものである。
【0026】
そして、連通部が衛生材料収容部側から消毒剤収容部側へと剥離することにより、衛生材料収容部に収容された衛生材料にて連通部をこの衛生材料収容部側から消毒剤収容部側へと剥離させて消毒剤を衛生材料に含浸させることができるため、作業性がよく使い勝手が向上するとともに、消毒剤が消毒剤収容部に残りにくいのでこの消毒剤を効率よく使用できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の衛生材料容器の前提技術の構成を図1および図2を参照して説明する。
【0028】
図1および図2において、1は衛生材料容器であり、この衛生材料容器1は、上側を開口した容器本体2とこの容器本体2の上側開口を閉塞する蓋体3とで構成されている。
【0029】
ここで、容器本体2は、たとえばポリプロピレン(polypropylene:PP)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:PET)、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile:PAN)、ポリアミド(polyamide:PA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(ethylene vinyl alcohol copolymer:EVOH)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)、酸化珪素蒸着フィルムなどの合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂を組み合わせた材料にて形成されている。この容器本体2は、好ましくはある程度の剛性を持たせ、たとえば作業台などに置いた際に安定感があるようにする。また、この容器本体2は、平面視で略細長矩形状に形成されており、略矩形箱状に形成された収容部4と、この収容部4の開口縁の周縁からこの収容部4の周囲に延在して設けられた延在部5とで構成されている。
【0030】
この収容部4は、上部4aと底部4bとの面方向が略平行に形成されている。また、この収容部4は、この収容部4の長手方向に沿って、延在部5の一部によりそれぞれ衛生材料収容部11および消毒剤収容部12に区画されている。この衛生材料収容部11は、たとえば消毒剤収容部12の長手寸法よりも大きい長手寸法を有しており、この衛生材料収容部11には、衛生材料としてのたとえば綿棒13が収容されている。
【0031】
この綿棒13は、細長棒状の軸部13aを有しており、この軸部13aの軸方向の一端には、綿にて形成された略球状の吸収体部13bが取り付けられている。そして、この綿棒13は、吸収体部13bを消毒剤収容部12側に向けた状態で衛生材料収容部11に収容されている。
【0032】
一方、消毒剤収容部12には、液状の消毒剤14が収容されている。この消毒剤14は、たとえばエタノール(ethanol)、あるいはイソプロパノール(isopropanol)などのアルコール、ポビドンヨード、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ゼンゼトニウムなどの物質、あるいはこれらの物質を混合させたものである。
【0033】
さらに、前記延在部5は、収容部4の開口縁からこの収容部4の周囲全域に沿って、この収容部4の外側方向に略等距離に突出して延在している。
【0034】
そして、蓋体3は、平面視で容器本体2に略沿った略矩形状に形成されている。この蓋体3は、容器本体2と同様の合成樹脂などにて形成されている。また、この蓋体3は、延在部5とたとえば接着剤などにて接合され、収容部4を閉塞するとともにこの延在部5と接合された部分がフラップ部15として形成されている。このフラップ部15における衛生材料収容部11の外周縁は、たとえば蓋体3がポリエチレンにて形成されている場合に、2.94N/15mm〜6.86N/15mm程度の剥離強度となるように接合を阻害する素材を混入して蓋体3と延在部5とを接合した、いわゆるイージーピールとなっている。この結果、このフラップ部15における衛生材料収容部11の外周縁は剥離可能となっている。
【0035】
さらに、この蓋体3の長手方向における衛生材料収容部11側の一端には、非接合部16が形成されている。この非接合部16は、衛生材料収容部11の長手方向における消毒剤収容部12と反対側の延在部5の位置に形成されている。この非接合部16を把持した状態で、蓋体3をこの蓋体3の長手方向における消毒剤収容部12側へと移動させることにより、衛生材料収容部11の外周縁のフラップ部15が容器本体2と蓋体3とに剥離される。
【0036】
また、フラップ部15における衛生材料収容部11および消毒剤収容部12の間の部分には、剥離容易な連通部21が形成されている。この連通部21は、剥離することにより衛生材料収容部11と消毒剤収容部12とを連通させる。
【0037】
そして、容器本体2の衛生材料収容部11側には、空隙部22が設けられている。この空隙部22は、たとえば直径0.45μm程度の穴口を有している。ここで、菌の大きさは最小で約0.45μm〜0.2μm程度であるため、この空隙部22はたとえばエチレンオキサイド(ethylene oxide:EO)などのガスが透過でき、かつ菌が通過できない。このため、この空隙部22により、容器本体2内はガス滅菌可能であるとともに、菌の透過が防止されている。
【0038】
この結果、衛生材料容器1は、「第14改正日本薬局法通則」に定める気密容器、すなわち、通常の取り扱い、運搬あるいは保存状態において、液状、固形の異物、および水分が浸入せず、内容医薬品である消毒剤14の損失、風解、潮解、および蒸発などを保護することができる容器となっている。
【0039】
次に、上記前提技術の作用を説明する。
【0040】
まず、エチレンオキサイドなどにて衛生材料容器1をガス滅菌する。この際には、エチレンオキサイドが空隙部22を透過して衛生材料収容部11に流入し、綿棒13を滅菌する。
【0041】
この後、衛生材料収容部11を押圧などすると、この衛生材料収容部11の内圧が増加する。
【0042】
すると、この衛生材料収容部11の内圧の増加にて連通部21が圧迫されることにより、この連通部21が剥離して衛生材料収容部11と消毒剤収容部12とが連通し、消毒剤14がこの連通部21を介して衛生材料収容部11に流入する。
【0043】
次いで、衛生材料収容部11に流入した消毒剤14は、綿棒13の吸収体部13bに含浸される。
【0044】
そして、消毒剤14が綿棒13の吸収体部13bに充分に含浸された後、蓋体3の非接合部16を把持した状態で、蓋体3をこの蓋体3の長手方向における消毒剤収容部12側へと移動させて、衛生材料収容部11の外周縁のフラップ部15を容器本体2と蓋体3とに剥離させる。
【0045】
この後、綿棒13の軸部13aを把持してこの綿棒13を衛生材料収容部11から取り出し、この綿棒13を使用して消毒する。
【0046】
上述したように、上記前提技術によれば、延在部5にて区画した衛生材料収容部11および消毒剤収容部12にてそれぞれ綿棒13および消毒剤14を別個に収容したことにより、これら綿棒13および消毒剤14を使用する直前までこの綿棒13に消毒剤14が含浸されない。この結果、この綿棒13に消毒剤14を含浸させた状態で長時間放置せずに済むので、消毒剤14の消毒効果の低下および菌の混入などを防止できる。
【0047】
また、フラップ部15の衛生材料収容部11および消毒剤収容部12の間の部分に、連通部21を剥離容易に形成したことにより、消毒剤14を綿棒13に容易に含浸させることができる。さらに、消毒剤収容部12には消毒剤14を、予め量を調整して収容できるため、綿棒13に消毒剤14を含浸させる際にこの消毒剤14の量を調整する必要がなくなる。また、フラップ部15における衛生材料収容部11の外周縁が剥離可能であることにより、使用直前まで綿棒13を衛生材料収容部11に収容しておくことができるとともに、このフラップ部15における衛生材料収容部11の外周縁を非接合部16から容易に剥離でき、消毒剤14を含浸させた後に綿棒13を容易に衛生材料収容部11から取り出すことができるので作業性を向上できる。この結果、使い勝手を向上できる。
【0048】
そして、容器本体2の衛生材料収容部11にこの衛生材料収容部11内をガス滅菌可能にするとともに菌の衛生材料収容部11内への透過を防止する空隙部22を設けたことにより、ガス滅菌により綿棒13のみを選択的に滅菌できる。
【0049】
さらに、綿棒13は、吸収体部13bを消毒剤14側に向けて衛生材料収容部11に収容したことにより、連通部21が剥離して消毒剤14が衛生材料収容部11に流入した際に消毒剤14を効率よくこの吸収体部13bに含浸させることができるとともに、軸部13aに消毒剤14が付着しにくくできる。
【0050】
また、綿棒13および消毒剤14を予め衛生材料容器1に収容していることにより、これら綿棒13および消毒剤14を必要な分だけ使用できるため、これら綿棒13および消毒剤14の無駄使いを少なくできる。
【0051】
次に、本発明の第1の実施の形態を図3を参照して説明する。
【0052】
この図3に示す実施の形態は、上記前提技術と基本的に同様の構成を有しているが、蓋体3における衛生材料収容部11の長手方向の略中心域が、たとえば滅菌紙23にて形成されている。この滅菌紙23には、たとえば穴口の直径寸法が0.22μm以下の微細な空隙部22が複数設けられている。さらに、この滅菌紙23は、蓋体3における他の部分と一体に形成されている。
【0053】
そして、上記前提技術と同様に、エチレンオキサイドなどにてガス滅菌する。
【0054】
このとき、エチレンオキサイドが滅菌紙23の空隙部22から衛生材料収容部11内に流入し、綿棒13を消毒する。
【0055】
そして、消毒をする際には、上記前提技術と同様に、綿棒13の吸収体部13bに消毒剤14を含浸させた後、フラップ部15を剥離して綿棒13を衛生材料収容部11から取り出して使用する。
【0056】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、延在部5にて区画した衛生材料収容部11および消毒剤収容部12にてそれぞれ綿棒13および消毒剤14を別個に収容するなど、上 記前提技術と同様の構成を有することにより、上記前提技術と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
また、滅菌紙23にて蓋体3の一部を形成することにより、綿棒13の選択的な滅菌をより容易にできるとともに、製造性を向上できる。
【0058】
なお、上記第1の実施の形態において、衛生材料容器1は、図4に示すように、蓋体3の長手方向における衛生材料収容部11側の略半分の領域を全て滅菌紙23にて形成してもよい。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態を図5を参照して説明する。
【0060】
この図5に示す実施の形態は、上記実施の形態と基本的に同様の構成を有しているが、収容部4は、上部4aが消毒剤収容部12側から衛生材料収容部11側へと、上方向に傾斜している。
【0061】
また、衛生材料収容部11は、底部4bにおけるこの衛生材料収容部11の長手方向の非接合部16側の一端に段部24が形成され、この段部24により底部4bにおけるこの衛生材料収容部11の長手方向の非接合部16側の一端が、この底部4bの他の部分よりも上側に位置している。
【0062】
そして、消毒をする際には、上記実施の形態と同様に、衛生材料容器1をガス滅菌した後、衛生材料収容部11を押圧するなどして連通部21を剥離させる。
【0063】
すると、衛生材料収容部11と消毒剤収容部12とが連通部21を介して連通し、消毒剤14が衛生材料収容部11へと流入する。
【0064】
このとき、収容部4の上部4aが消毒剤収容部12側から衛生材料収容部11側へと上方向に傾斜しているため、衛生材料収容部11へと流入した消毒剤14がこの上部4aを伝いにくいので、消毒剤14が衛生材料収容部11全体へと流入しにくい。
【0065】
また、段部24にてこの衛生材料収容部11における非接合部16近傍への流入を防止され、この消毒剤14が段部24よりも消毒剤収容部12側に留まり、綿棒13の軸部13aへのこの消毒剤14の付着を防止する。
【0066】
そして、消毒剤14を綿棒13の吸収体部13bに充分に含浸させた後、この綿棒13を衛生材料収容部11から取り出して使用する。
【0067】
上述したように、上記第2の実施の形態によれば、延在部5にて区画した衛生材料収容部11および消毒剤収容部12にてそれぞれ綿棒13および消毒剤14を別個に収容するなど、上記実施の形態と同様の構成を有することにより、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
また、綿棒13の軸部13aに消毒剤14がより付着しにくいので、この綿棒13を使用する際に使用者の手に消毒剤14が付着などせずこの綿棒13の吸収体部13bにのみ消毒剤14を含浸させることができ、この綿棒13の取り扱いを容易にできるため、作業性を向上できる。
【0069】
さらに、収容部4の上部4aを消毒剤収容部12側から衛生材料収容部11側へと上方向に傾斜させたことにより、綿棒13を衛生材料収容部11からより取り出しやすくできる。
【0070】
なお、上記第2の実施の形態において、衛生材料容器1は、図6に示すように、収容部4の上部4aを傾斜させなくてもよい。
【0071】
また、衛生材料容器1は、図7に示すように、段部24を衛生材料収容部11にたとえば2箇所設けて、底部4bの一部をこの底部4bの他の部分よりも上側に突出させてもよい。
【0072】
さらに、上記各実施の形態において、消毒剤収容部12は、たとえばアルミニウム箔、アルミ蒸着フィルム、あるいは酸化アルミ蒸着フィルムなどで形成し、消毒剤14の劣化を防止してもよい。
【0073】
次に、本発明の第3の実施の形態を図8を参照して説明する。
【0074】
この図8に示す実施の形態は、上記実施の形態と基本的に同様の構成を有しているが、フラップ部15における衛生材料収容部11および消毒剤収容部12の間は、蓋体3の幅方向の全域にわたって剥離容易な帯状の剥離部25となっている。この剥離部25の幅方向における消毒剤収容部12側の一端には、消毒剤収容部12と連通した連通部21が形成され、この連通部21は、略三角形状に衛生材料収容部11側へと突出している。この結果、この連通部21は、消毒剤収容部12側から衛生材料収容部11側へと剥離容易となっている。さらに、消毒剤収容部12は、変形可能な合成樹脂にて形成されている。
【0075】
そして、消毒する際には、上記実施の形態と同様に、衛生材料容器1をガス滅菌する。
【0076】
この後、消毒剤収容部12を圧縮、あるいは押圧などすると、この消毒剤収容部12の内圧が増加して剥離部25がこの消毒剤収容部12の内圧にて圧迫される。
【0077】
さらに、この消毒剤収容部12の内圧による圧迫にて連通部21が消毒剤収容部12側から衛生材料収容部11側へと剥離して衛生材料収容部11と消毒剤収容部12とが連通し、消毒剤14がこの連通部21を介して衛生材料収容部11に流入する。
【0078】
そして、消毒剤14を綿棒13の吸収体部13bに充分に含浸させた後、綿棒13を衛生材料収容部11から取り出して、この綿棒13を使用する。
【0079】
上述したように、上記第3の実施の形態によれば、延在部5にて区画した衛生材料収容部11および消毒剤収容部12にてそれぞれ綿棒13および消毒剤14を別個に収容するなど、上記実施の形態と同様の構成を有することにより、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0080】
また、消毒剤収容部12を変形可能な合成樹脂にて形成し、連通部21が消毒剤収容部12側から衛生材料収容部11側へと剥離することにより、消毒剤収容部12を圧縮、あるいは押圧などにて変形させて連通部21を消毒剤収容部12側から衛生材料収容部11側へと剥離させ、消毒剤14を綿棒13に含浸させることができるため、作業性がよく使い勝手を向上できる。
【0081】
なお、上記第3の実施の形態において、衛生材料容器1は、図9に示すように、連通部21を衛生材料収容部11側から消毒剤収容部12側へと拡開して設けてもよい。
【0082】
また、連通部21は、衛生材料収容部11側から消毒剤収容部12側へと剥離するようにしてもよい。この場合には、綿棒13を連通部21に押し当てるなどしてこの連通部21を衛生材料収容部11側から消毒剤収容部12側へと剥離させ、この綿棒13の吸収体部13bを消毒剤収容部12に挿入することにより、この綿棒13の吸収体部13bに消毒剤14をより容易に含浸させることができ、作業性がよく使い勝手を向上できる。同時に、この吸収体部13bに消毒剤14を効率よく含浸させることができ、消毒剤14を液残りなく効率よく使用できる。
【0083】
さらに、上記各実施の形態において、衛生材料はガーゼ、脱脂綿、あるいは綿球などでもよい。
【0084】
そして、空隙部22の穴口は、0.1μm程度の大きさを有するマイコプラズマ(mycoplasma)が容器本体2内に透過できない大きさとしてもよい。
【0085】
また、フラップ部15は、たとえば熱溶着などにて接合してもよい。この場合には、このフラップ部15における衛生材料収容部11の外周縁、あるいは連通部21を接合する際に、熱溶着の温度、あるいは圧力を変化させるなどして剥離可能となるように接合する。
【0086】
さらに、フラップ部15における衛生材料収容部11の外周縁および連通部21の剥離強度は、容器本体2および蓋体3の材質に応じて変化させ、たとえば蓋体3がいわゆる凝集剥離フィルムの場合には、これらフラップ部15における衛生材料収容部11の外周縁および連通部21の剥離強度を7.84N/15mm〜14.7N/15mmにする。
【0087】
【発明の効果】
請求項1記載の衛生材料容器によれば、延在部にて区画された衛生材料収容部および消毒剤収容部にてそれぞれ衛生材料および消毒剤を別個に収容したことにより、使用する直前まで衛生材料に消毒剤が含浸されないため、この衛生材料に消毒剤を含浸させた状態で長時間放置せずに済み、消毒剤の消毒効果の低下を防止できる。
【0088】
また、フラップ部の衛生材料収容部および消毒剤収容部の間の部分に、剥離により衛生材料収容部および前記消毒剤収容部を連通させる連通部を剥離容易に形成したことにより、消毒剤を衛生材料に容易に含浸させることができる。さらに、消毒剤収容部には消毒剤を予め量を調整して収容できるため、衛生材料にこの消毒剤を含浸させる際にこの消毒剤の量を調整する必要がなくなる。また、フラップ部における衛生材料収容部側の少なくとも一部が剥離可能であることにより、衛生材料を容易に衛生材料収容部から取り出すことができる。この結果、使い勝手を向上できる。
【0089】
そして、蓋体における衛生材料収容部側の一部に容器本体内をガス滅菌可能にするとともに菌の容器本体内への透過を防止する空隙部を設けたことにより、ガス滅菌により衛生材料収容部のみを滅菌できるとともに、滅菌紙を蓋体の他の部分と一体的に形成したことで、製造性を向上できる。
【0090】
請求項2記載の衛生材料容器によれば、収容部の上部と底部とを略平行に形成し、衛生材料収容部の底部の一部をこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置させることにより、衛生材料収容部と消毒剤収容部とを連通させた後、消毒剤が収容部の上部および底部を伝いにくく衛生材料収容部全体へと流入しにくくできる。この結果、衛生材料全体に消毒剤が付着などせず衛生材料の必要な部分にのみ消毒剤を含浸させることができこの衛生材料の取り扱いを容易にできるため、作業性を向上できる。
【0091】
請求項3記載の衛生材料容器によれば、収容部の上部を消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと上方向に傾斜して形成し、衛生材料収容部の底部の一部をこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置させることにより、衛生材料収容部と消毒剤収容部とを連通させた後、消毒剤が収容部の上部および底部を伝いにくく衛生材料収容部全体へと流入しにくくできる。この結果、衛生材料全体に消毒剤が付着などせず衛生材料の必要な部分にのみ消毒剤を含浸させることができこの衛生材料の取り扱いを容易にできるため、作業性を向上できる。
【0092】
請求項4記載の衛生材料容器によれば、衛生材料収容部の底部から2つの段部を上側に突出し、これら段部間の底部を、底部の他の部分よりも上側に突出させることにより、消毒剤収容部からの消毒剤が衛生材料収容部の端部近傍へと流入することを防止できる。
【0093】
請求項5記載の衛生材料容器によれば、消毒剤収容部を変形可能な合成樹脂にて形成し、連通部が消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと剥離することにより、消毒剤収容部を変形させることで連通部を消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと剥離させ消毒剤を衛生材料に含浸させることができるため、作業性がよく使い勝手を向上できる。
【0094】
請求項6記載の衛生材料容器によれば、連通部が衛生材料収容部側から消毒剤収容部側へと剥離することにより、衛生材料収容部に収容された衛生材料にて連通部をこの衛生材料収容部側から消毒剤収容部側へと剥離させて消毒剤を衛生材料に含浸させることができるため、作業性がよく使い勝手を向上できるとともに、消毒剤が消毒剤収容部に残りにくいのでこの消毒剤を効率よく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の衛生材料容器の前提技術を示す平面図である。
【図2】 同上衛生材料容器を示す側面図である。
【図3】 本発明の衛生材料容器の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図4】 同上衛生材料容器の他の例を示す平面図である。
【図5】 本発明の衛生材料容器の第2の実施の形態における連通部の剥離後の状態を示す側面図である。
【図6】 同上衛生材料容器の他の例における連通部の剥離後の状態を示す側面図である。
【図7】 同上衛生材料容器のさらに他の例における連通部の剥離後の状態を示す側面図である。
【図8】 本発明の衛生材料容器の第3の実施の形態の一部を示す平面図である。
【図9】 同上衛生材料容器の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 衛生材料容器
2 容器本体
3 蓋体
4 収容部
5 延在部
11 衛生材料収容部
12 消毒剤収容部
13 衛生材料としての綿棒
14 消毒剤
15 フラップ部
21 連通部
22 空隙部
23 滅菌紙
24 段部
Claims (6)
- 衛生材料および消毒剤を収容する収容部およびこの収容部の開口縁に延在して設けられた延在部を備えた容器本体と、
この容器本体の延在部に接合されてフラップ部を形成するとともに前記容器本体の収容部を閉塞する蓋体と、
この蓋体における前記衛生材料収容部側の一部に滅菌紙により設けられ、前記容器本体内をガス滅菌可能にするとともに菌の前記容器本体内への透過を防止する空隙部と
を具備し、
前記滅菌紙は、前記蓋体の他の部分と一体的に形成され、
前記収容部は、前記延在部にて前記衛生材料を収容した衛生材料収容部および前記消毒剤を収容した消毒剤収容部に区画され、
前記フラップ部は、前記衛生材料収容部および前記消毒剤収容部の間の部分に剥離容易に形成され剥離により前記衛生材料収容部および前記消毒剤収容部を連通させる連通部を有し、前記衛生材料収容部側の少なくとも一部が剥離可能である
ことを特徴とした衛生材料容器。 - 収容部は、上部と底部とが略平行に形成され、
衛生材料収容部は、底部の一部がこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置した
ことを特徴とした請求項1記載の衛生材料容器。 - 収容部は、上部が消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと上方向に傾斜して形成され、
前記衛生材料収容部は、底部の一部がこの衛生材料収容部の底部の他の部分よりも上側に位置した
ことを特徴とした請求項1記載の衛生材料容器。 - 衛生材料収容部は、底部から上側に突出した2つの段部が形成され、これら段部間の底部が底部の他の部分よりも上側に突出している
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の衛生材料容器。 - 消毒剤収容部は、変形可能な合成樹脂にて形成され、
連通部は、前記消毒剤収容部側から衛生材料収容部側へと剥離する
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の衛生材料容器。 - 連通部は、衛生材料収容部側から消毒剤収容部側へと剥離する
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の衛生材料容器。
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