JP4008229B2 - 安定なホモシステイン測定用組成物およびこれを用いるホモシステインの測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定なホモシステイン測定用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
メチオニン代謝の中間代謝物の1つであるホモシステインは、血管内皮細胞傷害作用を有し、他の因子とは独立した動脈硬化性疾患の危険因子であることが報告されている。ホモシステイン代謝酵素の欠損により引き起こされる強度の高ホモシステイン血症(ホモシスチン尿症)のほかに、遺伝子異常による代謝酵素活性の低下、腎不全、加齢、喫煙、運動不足などによっても、中等度の高ホモシステイン血症を呈することが明らかになっている(Jacobsen, Clin. Chem., 44:8(B), 1998)。また、これらの高ホモシステイン血症は、ビタミンB6・葉酸などの摂取により改善することも報告されている(JAMA 270:693, 1993)。したがって、新生児マススクリーニングだけでなく、成人の動脈硬化性疾患の予防やビタミン欠乏症の発見のためにも、簡便で多数の検体を処理できる方法が要求されている。
【0003】
血中のホモシステインの大部分(99%)は、酸化型のジスルフィド化合物(蛋白結合型、ホモシスチン、システイン-ホモシステイン結合型など)として存在している(Jacobsen, Clin. Chem., 44:8(B), 1998)。総ホモシステインは、これら酸化型および還元型ホモシステインの総量を意味し、通常その測定のためには、試料をまず還元剤により還元型ホモシステインに変換する必要がある。
【0004】
ホモシステインの測定には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法および免疫法が主として用いられている。前者で用いられるHPLC装置は、臨床検査の現場では一般的とは言えず、加えてその操作には時間、労力、費用を必要とする。また、後者は、自動化されているものの(Shipchandler, Clin. Chem., 41, 7, 991-994, 1995)、酵素反応によるホモシステインからS-アデノシル-L-ホモシステインへの変換工程と免疫法によるその検出工程との組み合わせにより達成されるため、専用の装置を必要とする。
【0005】
免疫法による測定方法は、特表平9-512634号および特開平10-114797号にも提案されている。特表平9-512634号の方法は、ホモシステインを化学修飾して抗原性を高めることにより免疫学的に測定する方法であり、工程数が多く煩雑である。また、特開平10-114797号は、ホモシステインを測定する方法を開示しているが、この方法はアルブミンに結合したホモシステインのみを直接測定する方法であり、総ホモシステイン量を測定する方法ではない。この方法では、全体の70%程度のホモシステインしか測定できない。
【0006】
一方、生化学法による測定方法は、日本特許第2870704号、米国特許第5998191号、および米国特許第5885767号に記載されている。日本特許第2870704号の方法は、還元剤で処理した検体中のホモシステインを、アデノシンおよびS-アデノシル-L-ホモシステイン加水分解酵素と接触させ、残存する混合物中のアデノシン量を評価することを特徴とする。しかし、この方法は、S-アデノシル-L-ホモシステイン加水分解酵素阻害剤を用いないので、カイネティックモードによる測定が必要である。さらに、総ホモシステイン測定のために必須の工程である還元処理に用いられる還元剤の存在下では、生成する過酸化水素を、通常用いられる酸化系発色剤に導くことはできないという問題点がある。このため、汎用の自動分析装置に応用することはできない。しかし、この特許明細書にはこれらの問題を回避する方法は何ら述べられていない。
【0007】
特表2000-502262号、米国特許第5998191号、および米国特許第5885767号に記載の方法は、ホモシステインに、ホモシステインデスルフラーゼ、ホモシステナーゼ、またはメチオニン-γ-リアーゼを作用させ、生成する硫化水素、アンモニア、または2-オキソ酪酸を検出することを特徴としている。しかし、工程数が多いこと、硫化水素の検出に有害な重金属である鉛イオンを使用すること、あるいは通常の生体試料ではホモシステインより含量の多い構造類似物質であるシステインやメチオニンの影響を受けることなどの問題点を有する。
【0008】
このように、従来の方法は、特殊装置を必要とし、操作が煩雑であり、そして感度・特異性が不十分であるなどの問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、微量濃度のホモシステインを、迅速、簡便かつ感度よく測定するための安定な測定試薬の開発が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、発明者らは、ホモシステインにホモシステインメチルトランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを作用させ、生成したD-メチオニンを検出することにより、ホモシステインを定量することができ、その際に細菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼを使用することによって、測定試薬を安定化できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、細菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを含む、ホモシステイン測定用組成物を提供する。
【0012】
好ましい実施態様では、上記組成物は、さらにチオール化合物を含む。
【0013】
本発明はまた、試料中のホモシステインを検出または測定するための方法を提供し、この方法は、(a)該試料中のホモシステインをチオール化合物で還元処理する工程;(b)還元されたホモシステインに、細菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを作用させ、D-メチオニンを生じさせる工程;および(c)生成したD-メチオニンを、(i)SH試薬の存在下で酵素的に酸化して過酸化水素を生成させ、生成した過酸化水素を酸化系発色剤により発色させることによって、または(ii)D-アミノ酸変換酵素を作用させてオキソ酸および/またはアンモニアを生成させ、生成したオキソ酸および/またはアンモニアを検出または測定することによって、検出または測定する工程、を含む。
【0014】
好ましい実施態様では、上記工程(a)および(b)は同時に行われる。
【0015】
本発明はさらに、チオール化合物、細菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼ、D-メチオニンメチルスルホニウム、およびD-アミノ酸変換酵素を含む、ホモシステイン測定用キットを提供する。
【0016】
好ましい実施態様では、上記D-アミノ酸変換酵素は、D-アミノ酸オキシダーゼである。
【0017】
本発明はまた、細菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを緩衝液中で混合して調製された、ホモシステイン測定試薬を提供する。
【0018】
上記いずれの実施態様においても、上記ホモシステインメチルトランスフェラーゼが大腸菌由来であることが好ましい。
【0019】
上記いずれの実施態様においても、上記ホモシステインメチルトランスフェラーゼが組換え酵素であることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
(ホモシステインの測定原理)
本発明は、試料中のホモシステインをチオール化合物で還元処理し、メチル供与体存在下でメチル転移酵素を作用させた(第一工程)後、生成するD-アミノ酸誘導体またはD-アミノ酸類似体を測定する(第二工程)という原理に基づく。例えば、図1に示すように、第一工程で生成したD-メチオニンに、第二工程においてD-アミノ酸オキシダーゼを作用させた場合には、過酸化水素が生成するため、これをSH試薬の存在下で通常用いられる酸化系発色剤に導き比色定量することができる。また、D-アミノ酸アセチルトランスフェラーゼを作用させた場合には、生成するコエンザイムAをアシルコエンザイムAシンセターゼ[EC 6.2.1.3]およびアシルコエンザイムA酸化酵素[EC 1.3.3.6]を用いて過酸化水素に導き、これを同様にして定量することができる。
【0021】
本発明においては、測定試薬として調製した際の安定性が優れている点で、メチル転移酵素として細菌由来のホモシステイン-S-メチルトランスフェラーゼ(以下、HCMTaseという場合がある)を、メチル供与体としてD-メチオニンメチルスルホニウムとともに用いて、生成したD-メチオニンを測定する方法を採用する。
【0022】
なお、本明細書において、ホモシステイン測定用組成物とは、測定に用いられる成分が、別々にまたは混合されて含まれているものをいい、測定試薬とは、該組成物の成分が、緩衝液中で混合されて、即時に使用可能な形態に調製されているものをいう。
【0023】
(第一工程)
第一工程は、試料中の種々の形態のホモシステインをチオール化合物で還元して還元型ホモシステインとし、メチル供与体存在下、メチル転移酵素を作用させる工程である。
【0024】
本発明の測定試薬で測定され得る被検試料としては、ホモシステインを含むと考えられる試料であればいずれでもよい。また、ホモシステインの存在様式としては、還元型ホモシステインのみならず、蛋白結合型、ホモシステイン2量体、ホモシステイン-システイン2量体などジスルフィド結合で他の分子に結合した酸化型ホモシステインのいずれでもよい。例えば、血清、血漿、血液、尿、およびそれらの希釈物などが挙げられる。
【0025】
本発明で用いられるチオール化合物は特に限定されず、例えば、ジチオスレイトール、メルカプトエタノール、N-アセチルシステイン、ジチオエリスリトール、チオグリコール酸などが挙げられる。チオール化合物の濃度は、酸化型ホモシステインを還元型ホモシステインに変換できる範囲であればいずれでもよく、好ましくはチオール基として0.1mM以上、より好ましくは1mM以上の濃度であればよい。
【0026】
この原理によれば、メチル転移酵素としては、D-メチオニンメチルスルホニウムおよびL-ホモシステインに作用し、D-メチオニンおよびL-メチオニンの生成を触媒するものであればどのようなものでもよく、例えば、ホモシステインメチルトランスフェラーゼ[EC 2.1.1.10]、5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインS-メチルトランスフェラーゼ[EC 2.1.1.13]、5-メチルテトラヒドロプテロイルトリグルタミン酸-ホモシステインS-メチルトランスフェラーゼ[EC 2.1.1.14]が挙げられる。このうち、本発明においては、ホモシステイン-S-メチルトランスフェラーゼ[EC 2.1.1.10](HCMTase)が使用される。ホモシステイン-S-メチルトランスフェラーゼの系統名は、S-アデノシル-L-メチオニン:L-ホモシステインS-メチルトランスフェラーゼであり、メチル受容体のL-ホモシステインおよびメチル供与体のS-アデノシル-L-メチオニンを基質とし、L-メチオニンおよびS-アデノシル-L-ホモシステインを産生する酵素である(酵素ハンドブック、朝倉書店、1982年)。
【0027】
この酵素は、メチル供与体として、S-メチル-L-メチオニン(L-メチオニンメチルスルホニウム)、またはS-アデノシル-D-メチオニンも利用することが、S.K.Shapiroにより報告されている(Biochim. Biophys. Acta, 29:405-409, 1958)。さらに、同報告によれば、放射性同位元素でのラベル実験の結果から、メチオニンは、S-アデノシルメチオニンのメチル基がホモシステインへ転移することにより生成され、S-アデノシルメチオニンのリボースと硫黄原子との結合が開裂するためではないことも明らかにされている。したがって、S-アデノシル-L-メチオニンをメチル供与体とした場合には、L-メチオニンとS-アデノシル-L-ホモシステインが、L-メチオニンメチルスルホニウムをメチル供与体とした場合には2分子のL-メチオニンが、S-アデノシル-D-メチオニンをメチル供与体とした場合にはL-メチオニンとS-アデノシル-D-ホモシステインが生成する。いずれの場合にも、L-メチオニンが生成されるため、これを測定することによってもホモシステインの定量は可能である。
【0028】
しかしながら、一般的に生体試料中のL-メチオニンは、ホモシステインに比べて多量(血漿で3〜5倍)に含まれるため、上記測定原理によりホモシステインを定量するためには、あらかじめホモシステインに影響のない方法でL-メチオニンを消去し、次いでホモシステインメチルトランスフェラーゼ反応で生成するL-メチオニンを特異的に測定する必要があるなど煩雑な操作が必要であり、好ましくない。一方、G. Grue-Sorensenらにより、HCMTaseは、特異性は低いもののD-メチオニンメチルスルホニウムをメチル供与体とし、D-メチオニンを生成することが報告されている(J. Chem. Soc. Perkin Trans. I:1091-7 (1984))。そこで、本発明においては、この反応を利用し、通常の生体試料中にはほとんど存在しないD-メチオニンを生成させ、次にこれを測定することによりホモシステインを特異的に定量する方法を確立した。すなわち、本発明では、メチル供与体としてD-メチオニンメチルスルホニウムを使用する。
【0029】
本発明で使用されるHCMTaseは、D-メチオニンメチルスルホニウムをメチル供与体とするものであればどのような由来のものでも使用できる。例えば、細菌、酵母、ラットなどに由来する酵素が使用できる。しかし、実際に測定試薬として利用する場合、用時調製が必要とされる試薬よりも、調製後の安定性が高い試薬もしくは予め調製されて提供される試薬のほうが便利である。そのため、本発明においては、試薬としての安定性の面で、細菌に由来する酵素が用いられる。好ましくは、大腸菌由来の酵素であるが、表1に示すような大腸菌由来の酵素と相同性のあるBacillus subtilis、Clostridium acetobutylicum、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis、Streptomyces colicolorなどの細菌由来の酵素を用いることもできる。また、Aerobacter aerogenes、Lactobacillus arabinosus、およびT. utilisの抽出物にもHCMTase様活性が確認されており(J. Bacteriol., 72:730-735 (1956))、これらの細菌から得られる酵素であってもよい。本明細書でいう大腸菌とは、Bergey's Manual of Determinative Bacteriology, 第8版(R.E. Buchanan, N.E. Gibbons編, The Williams & Wilkins Company, Baltimore, 295〜296頁, 1974年)に記載されるEscherichia coliならびにその変異株および改変体である。
【0030】
【表1】
【0031】
本発明で用いられるHCMTaseとしては、好ましくは、Science, 277:1453-1474 (1997)、GenBank Accession No. NC 000913の塩基配列から推定されるアミノ酸配列を有する大腸菌由来の酵素が用いられる。また、Bacillus subtilis由来の酵素(Nature, 390(6657):249-256 (1997)、GenBank Accession No. NC 000964)、Clostridium acetobutylicum由来の酵素(J. Bacteriol., 183(16):4823-4838 (2001)、GenBank Accession No. NC 003030)、Mycobacterium leprae strain TN由来の酵素(Nature, 409(6823):1007-1011 (2001) 、GenBank Accession No. NC 002677)、Mycobacterium tuberculosis H37Rv由来の酵素(Nature, 393(6685):537-544 (1998) 、GenBank Accession No. NC 000962)、およびStreptomyces colicolor由来の酵素(PIR Accession No. T34650)も使用され得る。そしてHCMTase活性が消失しない限りは、いくつかのアミノ酸の改変(例えば、1または2以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換)があってもよい。HCMTaseは、例えば、大腸菌(例えば、細菌などから取得したHCMTase遺伝子を導入して形質転換した大腸菌株)の培養菌体内容物から、粗酵素の調製、次いで各種クロマトグラフィーによる精製方法など、当業者によく知られている方法によって得られ得る。
【0032】
本発明で用いられるHCMTase遺伝子は、前記推定アミノ酸配列に基づいて当業者が通常用いる方法で得られる。例えば、HCMTaseをコードする遺伝子またはこれを含む遺伝子の一部またはすべてをプローブとして使用し、プラークハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション、PCRなどの手段を行う方法が挙げられる。また、HCMTaseの遺伝子源は、大腸菌に限られず、他の細菌種、例えば、Aerobacter aerogenesであってもよい。
【0033】
本明細書において、HCMTase遺伝子とは、HCMTaseの特徴を示すHCMTase活性を有するポリペプチドをコードするDNA鎖またはDNA配列をいい、上述のように生理活性が変化しない程度のアミノ酸の改変(例えば、付加、欠失、または置換)を有するポリペプチドをコードしていてもよい。また、縮重などにより、同じポリペプチドをコードする配列は複数種あり得る。さらに、HCMTase遺伝子は、天然物由来であっても、全合成または半合成のものであってもよい。
【0034】
得られたHCMTase遺伝子は、例えば、大腸菌などの宿主において増殖可能な発現ベクターに連結され、宿主に導入される。ここで用いられる発現ベクターは、大腸菌に対して通常用いられるものであればどのようなものでもよく、例えば、colE1、pCR1、pBR322、pMB9などが好適に用いられる。
【0035】
HCMTaseをコードするDNAを大腸菌内で大量に発現させるため、あるいは発現量を増加させるために、転写および翻訳を制御するプロモーターをベクターのDNA鎖の5’上流域に、および/またはターミネーターを3’下流域に組み込んでもよい。このようなプロモーターおよび/またはターミネーターとしては、HCMTase遺伝子自体に由来するもの、β-ガラクトシダーゼ遺伝子などの既に知られている遺伝子に由来するもの、またはそれらを人工的に改良したものが挙げられる。そのため、発現ベクターとしては、このような制御配列が組み込まれているものが好適に用いられ、例えば、pTrc99A、pKK223−3(以上、アマシャム・ファルマシア社製)、pET−3、pET−11(以上、ストラタジーン社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
HCMTaseを発現させるための宿主となり得る微生物としては、どのような微生物でもよいが、好ましくは細菌、さらに好ましくは大腸菌である。HCMTaseを発現させるための形質転換体の作成は、遺伝子工学の分野で通常用いられる方法によって行われ、例えば、塩化ルビジウム法(J. Mol. Biol., 166:557, 1983)が挙げられる。このようにして得られたHCMTase発現能力が高められた大腸菌の形質転換体を培養して、HCMTaseを得ることができる。
【0037】
このようにして得られたHCMTaseは、上述のように単離・精製されて、チオール化合物およびメチル供与体のD-メチオニンメチルスルホニウムとともにホモシステイン測定用組成物の成分として使用され得る。
【0038】
(第二工程)
D-メチオニンの定量法は、特に限定されないが、D-アミノ酸変換酵素を用いて酵素的に測定する方法が好ましい。より好ましくは、D-アミノ酸オキシダーゼ[EC 1.4.3.3]が利用される。本発明者らは、D-アミノ酸の1つであるD-メチオニンメチルスルホニウムが、意外なことに、ほとんどD-アミノ酸オキシダーゼの基質にならないことを明らかにした。このように、D-アミノ酸変換酵素がD-メチオニンメチルスルホニウムには作用しないか、または作用してもD-メチオニンに対するよりも反応性が十分に低いものであれば、HCMTaseでの反応後に残存しているD-メチオニンメチルスルホニウムを反応系外に除くことなく、生成したD-メチオニンを測定することができる。D-アミノ酸オキシダーゼ以外にも、同様の性質を有するD-アミノ酸アセチルトランスフェラーゼ[EC 2.3.1.36]、D-アミノ酸脱水素酵素[EC 1.4.99.1]なども利用できる(図1)。
【0039】
(生成する過酸化水素の測定)
図1に示すように、D-メチオニンにD-アミノ酸オキシダーゼを作用させた場合には、過酸化水素が生成するため、パーオキシダーゼにより通常の酸化系発色剤を発色させることができる。この方法は、臨床化学の分野では一般的に用いられる既知の方法であるが、第一工程で用いるチオール化合物の還元作用によりその発色が著しく妨害されるため、第二工程では、チオール化合物のブロック剤であるSH試薬の添加が必須となる。
【0040】
SH試薬としては、生化学辞典(第3版、p.182、東京化学同人、1998年)にも記載されるとおり、エルマン試薬などの酸化剤、p-メクリル安息香酸などのメルカプト形成剤、ヨード酢酸、N-エチルマレイミドなどのアルキル化剤が挙げられる。好ましくはアルキル化剤を、さらに好ましくはマレイミド化合物を、もっとも好ましくはN-エチルマレイミドを使用することができる。SH試薬の濃度は、検体の還元処理に用いたチオール化合物のチオール基を酸化系発色剤による定量が妨害されない程度にブロックできる範囲であればいずれでもよく、好ましくは0.1mMから100mMの範囲で使用できる。より好ましくは1mMから30mMで用いられる。
【0041】
また、D-アミノ酸アセチルトランスフェラーゼを作用させた場合には、生成するコエンザイムAをアシルコエンザイムAシンセターゼ[EC 6.2.1.3]およびアシルコエンザイムA酸化酵素[EC 1.3.3.6]を用いて過酸化水素に導き、これを同様にして定量することができる。
【0042】
酸化系発色剤としては、種々のトリンダー試薬をカップラー試薬と組み合わせて利用できる。この方法はトリンダー法とも呼ばれ、臨床化学分析の分野では一般に用いられており、ここでは詳細に説明しないが、好ましくはカップラー試薬として4-アミノアンチピリンを、トリンダー試薬としてADOS [N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン]、DAOS [N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン]、HDAOS [N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン]、MAOS [N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン]、TOOS [N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン]などが用いられる。また、カップラー試薬を必要としない、0-トリジン、0-ジアニシジン、DA-67 [10-(カルボシキメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム、和光純薬工業(株)製]、TPM-PS [N,N,N',N',N'',N''-ヘキサ(3-スルホプロピル)-4,4',4''-トリアミノトリフェニルメタン6ナトリウム塩、同仁化学研究所]などのロイコ型発色試薬も同様に用いることができる。特に、DA-67、TPM-PSは、上記トリンダー試薬と比べてモル吸光係数が大きいため、より感度よく測定することができる。
【0043】
(生成するアンモニアまたは4-メチルチオ-2-オキソ酪酸の測定)
D-アミノ酸オキシダーゼまたはD-アミノ酸脱水素酵素を作用させた場合には、アンモニアおよび4-メチルチオ-2-オキソ酪酸が生成する。これらの生成物を測定することによっても定量は可能である。
【0044】
アンモニアは、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)もしくはその誘導体(以下、本明細書ではNAD(P)Hという)、2-オキソグルタル酸、およびグルタミン酸脱水素酵素([EC 1.4.1.2]、[EC 1.4.1.3]、または[EC 1.4.1.4])を作用させ、NAD(P)Hの減少を340nmの吸光度変化を測定することによって定量できる。あるいは、NADまたはNADPもしくはその誘導体(以下、本明細書では、NAD(P)という)の増加を測定してもよい。NAD(P)Hの誘導体としては、チオNAD(P)H、3-アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(または3-アセチルピリジンジヌクレオチドリン酸)などが挙げられる。アンモニアの定量には、上記グルタミン酸脱水素酵素以外に、ロイシン脱水素酵素([EC 1.4.1.9])、アラニン脱水素酵素([EC 1.4.1.1])、セリン脱水素酵素([EC 1.4.1.7])、バリン脱水素酵素([EC 1.4.1.8])、グリシン脱水素酵素([EC 1.4.1.10])など、NAD(P)Hを補酵素とし、アンモニアを利用して還元的アミノ化反応を触媒し得る脱水素酵素であればいずれも利用できる。これらの脱水素酵素の補助基質としては、アンモニウム塩、2-オキソ酸などが用いられ得る。2-オキソ酸としては、上記2-オキソグルタル酸以外に、ピルビン酸、2-オキソ酪酸、2-オキソイソカプロン酸、2-オキソイソ吉草酸、2-オキソ吉草酸、2-オキソカプロン酸、グリオキシル酸、ヒドロキシピルビン酸などが挙げられる。
【0045】
また、アンモニアは、ネスラー試薬、pH指示薬、電極法などを利用しても定量可能である。
【0046】
4-メチルチオ-2-オキソ酪酸は、NADH、アンモニア、およびロイシン脱水素酵素[EC 1.4.1.9]を作用させ、上記アンモニアの場合と同様に、例えば、NADHの減少を340nmの吸光度変化を測定することによって定量できる。4-メチルチオ-2-オキソ酪酸がロイシン脱水素酵素の基質となることは知られている(G. Liveseyら, Methods in Enzymology, 166:282-288, 1988)。4-メチルチオ-2-オキソ酪酸の定量には、上記ロイシン脱水素酵素以外に、乳酸脱水素酵素([EC 1.1.1.27])など、4-メチルチオ-2-オキソ酪酸を還元し得る脱水素酵素であればいずれも利用できる。
【0047】
4-メチルチオ-2-オキソ酪酸またはアンモニアをNAD(P)Hの340nmの吸光度変化によって定量する系に導くための方法は、還元剤の影響を受けにくいことが知られており、そのため、SH試薬を使用する必要がない(池田ら,臨床検査, 41, 989-993, 1997)。還元剤の共存下で、NAD(P)H定量系に導いている例としては、血中クレアチンキナーゼ測定法が挙げられる(臨床化学,19:189-208, 1990)。
【0048】
また、D-アミノ酸オキシダーゼによってアンモニアまたは4-メチルチオ-2-オキソ酪酸を生成させる測定系においては、生成物の1つである過酸化水素をカタラーゼによって消去して、その影響を除くことも可能である。
【0049】
(ホモシステイン測定用組成物およびキット)
本発明では、(a)ホモシステインを還元するためのチオール化合物、(b)還元型ホモシステインと反応させるため(第一工程)のHCMTaseおよびD-メチオニンメチルスルホニウム、ならびに(c)生成したD-メチオニンを測定するため(第二工程)の(i)SH試薬および酸化系発色剤または(ii)NAD(P)Hを補酵素とする脱水素酵素および該酵素の特性に応じた補助基質または発色剤を含む、試料中のホモシステインを測定するための組成物および/またはキットが提供される。好ましくは、還元工程と第一工程とを同時に行うために、(a)および(b)が一緒に含まれた組成物、すなわち、チオール化合物、HCMTase、およびD-メチオニンメチルスルホニウムを含む組成物が提供される。この組成物は、予め緩衝液中に混合して調製された測定試薬として提供されてもよい。測定試薬として提供される場合の安定性の面で、この組成物に含まれるHCMTaseは、細菌由来、特に大腸菌由来であることが好ましい。また、上記(c)(ii)を用いる場合は、(a)、(b)、および(c)を一緒に含んでいてもよい。
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の範囲は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0051】
【実施例】
[実施例1]大腸菌由来の組換えHCMTaseの調製
(1−1)プローブの合成およびHCMTase遺伝子の取得
HCMTase活性を有する酵素をコードする大腸菌のYagD遺伝子の塩基配列情報(Science 277:1453-1474 (1997) 、GenBank Accession No. NC 000913)をもとに、EcoRIおよびPstI認識部位をそれぞれ含む配列番号1および2に示す合成プライマーを作成した。これらのプライマー各3nmol(100pmol/μl、30μl)を用い、2μlの大腸菌JM109の染色体DNAをテンプレートとして、緩衝液(KOD DNAポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製;以下、KODという)2μl、10×KOD緩衝液10μl、dNTP混合物10μl、DMSO5μl、および蒸留水5μl)中でPCRを行って、HCMTase構造遺伝子を含む0.9kbのDNAを得た。
【0052】
(1−2)HCMTase遺伝子を含むプラスミドの調製
上記のようにして得られたHCMTase遺伝子を、大腸菌ColE1のDNA複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を有する大腸菌ベクターpUC19のSmaI切断物に連結し、塩化ルビジウム法(J. Mol. Biol., 166:557, 1983)によって大腸菌JM109中に導入して、HCMTase遺伝子を有する組換えプラスミド含む形質転換体を得た。なお、実施例で用いた制限酵素は、いずれも宝酒造社より入手した。
【0053】
上記形質転換体中の組換えプラスミドを用いて、蛍光標識プライマーを用いたジデオキシターミネーター法により、377 Automate Sequencing System(パーキンエルマー社製)により塩基配列を決定した。HCMTaseは、933塩基の構造遺伝子領域を有し、310個のアミノ酸をコードし、これは上記YagD遺伝子の塩基配列情報と完全に一致していた。
【0054】
(1−3)HCMTase遺伝子を含む発現ベクターおよび形質転換体の作成上記の組換えプラスミドを、制限酵素EcoRIおよびPstIで切断してDNA断片を切り出し、HCMTaseのDNAを含む0.9kbのDNA断片を、アガロースゲル電気泳動によって精製した。大腸菌ColE1のDNA複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を有する大腸菌発現ベクターpKK233−3(アマシャム・ファルマシア社)を、制限酵素EcoRIおよびPstIで切断し、得られた0.9kbのDNA断片を連結して、発現ベクターpKHCMTを得た(図2を参照のこと)。
【0055】
得られた発現ベクターpKHCMTを、塩化ルビジウム法によって大腸菌JM109中に導入し、tacプロモーターからの転写により正しく転写されるものを選択して、形質転換体JM109−HCMT−9を得た。
【0056】
(1−4)発現したHCMTaseの活性の確認
得られた形質転換体JM109−HCMT−9を、アンピシリンを含むLB液体培地(1%酵母エキス、2%バクトペプトン、2%グルコース)3ml中、37℃にて約4時間振盪培養した。このうちの0.3mlを、10mlのLB液体培地に添加して、37℃にて3時間振盪培養し、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(宝酒造社製;以下、IPTG)を最終濃度1mMとなるように加えて、さらに4時間培養した。培養液を、8000rpmにて15分間遠心分離して菌体を回収し、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)1mlにて1回洗浄した後、菌体の10倍量の可溶化液(100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、0.1mM ZnBr2、100μg/mlリゾチーム)に懸濁した。懸濁液に、超音波発生装置(トミー精工、UD-200型)を用いて、目盛1にて10秒間処理を2回行うことによって、菌体を破砕した。15000rpmにて10分間遠心分離して上清を得、これをHCMTase活性測定の試料とした。なお、対照として、組換えられていないpKK223−3での大腸菌JM109株の形質転換体を、同様に処理したものを用いた。
【0057】
酵素活性の測定を、次のように行った。まず、菌体破砕液(1〜50μl)に、活性測定試薬(35mM L-ホモシステイン5μl、100mM D-メチオニンスルホニウムブロミド2μl、400mMジチオスレイトール1μl、100mMリン酸ナトリウム緩衝液42μl、1M ZnBr2 0.01μl)および蒸留水を、全量が100μlになるように加え、37℃にて20分間反応させた。シリカゲル薄層に、反応液の2μlをスポットした後、展開溶媒としてエタノール:25%アンモニア水=74:26(w/w)を用いて、密閉容器中で展開した。展開終了後、ニンヒドリン液(0.2%ニンヒドリンを含むn-ブタノール飽和0.1Mクエン酸緩衝液)を噴霧して、生成したメチオニンを検出した。組換え体の菌体破砕液によるメチオニンの生成は、対照の菌体破砕液と比較して著量であった。
【0058】
(1−5)HCMTaseの調製
上記(1−3)で得られたHCMTase高生産組換え大腸菌を、アンピシリンを含むLB培地(1%酵母エキス、2%バクトペプトン、2%グルコース)200mlに植菌し、37℃にて15時間予備培養した。培養液を、アンピシリンを含むLB培地1.8Lを入れた5L容ジャーファーメンターに接種し、37℃にて100分間通気攪拌培養した。培養液にIPTGを最終濃度1mMとなるように加えて、さらに4時間培養した。培養液を、8000rpmにて10分間遠心分離して菌体を回収し、菌体の9倍容の緩衝液(20mMビストリス−塩酸緩衝液(pH6.9)、0.1mM ZnBr2)に菌体を懸濁した。懸濁液に、超音波発生装置(トミー精工、UD-200型)を用いて超音波処理を行うことによって、菌体を破砕した。破砕後、15000rpmにて10分間遠心分離して、破砕残渣を取り除き、粗酵素液を得た。
【0059】
得られた粗酵素液に対して30%飽和となるように硫酸アンモニウムを氷冷下攪拌しながら添加した後、30分間放置し、その後14000rpmにて遠心分離した。得られた上清に、50%飽和となるように硫酸アンモニウムを氷冷下攪拌しながら添加した後、30分間放置し、その後14000rpmにて遠心分離した。得られた沈殿を、緩衝液(20mMビストリス−塩酸緩衝液(pH6.9)、0.1mM ZnBr2)に対して1晩透析した。
【0060】
次いで、透析した粗酵素液を、Q-セファロースFF(ファルマシア社製)を用いたカラムクロマトグラフィー(吸着:緩衝液A(20mMビストリス−塩酸緩衝液pH6.9)、溶出:緩衝液A−0.0〜0.9M塩化ナトリウムグラジエント)により精製した。HCMTase活性画分を集め、さらにセファクリルS-100(ファルマシア社製)ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた活性画分を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、クマシーブリリアントブルー染色することによって、HCMTaseがほぼ単一バンドにまで精製されたことを確認した。
【0061】
[実施例2]酵母由来の組換えHCMTaseの調製−1
(2−1)プローブの合成およびSAM4遺伝子の取得
HCMTase活性を持つポリペプチドをコードするSAM4遺伝子の塩基配列情報を、http://genome-www.stanford.edu/Saccharomyces(Nature 387:7-65 (1997) The nucleotide sequence of Saccharomyces cerevisiae chromosome XVI. 、GenBank Accession No. NC 001148)より入手し、その配列をもとに、HindIII認識部位を含む配列番号3および4に示す合成プライマーを作成した。これらのプライマー各3nmol(100pmol/μl、30μl)を用い、2μlの清酒酵母協会7号の染色体DNAをテンプレートとして、緩衝液(KOD2μl、10×KOD緩衝液10μl、dNTP混合物10μl、DMSO5μl、および蒸留水5μl)中でPCRを行って、SAM4構造遺伝子を含む1kbのDNAを得た。
【0062】
(2−2)SAM4遺伝子を含むプラスミドの調製
上記のようにして得られたSAM4遺伝子を、大腸菌ColE1のDNA複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を有する大腸菌ベクターpUC19のSmaI切断物に連結し、塩化ルビジウム法によって大腸菌JM109中に導入して、SAM4遺伝子を有する組換えプラスミド含む形質転換体を得た。
【0063】
上記形質転換体中の組換えプラスミドに組み込まれた遺伝子について、蛍光標識プライマーを用いたジデオキシターミネーター法により、377 Automate Sequencing System(パーキンエルマー社製)により塩基配列を決定した。この遺伝子は、978塩基の構造遺伝子領域を有し、325個のアミノ酸をコードし、これは上記SAM4遺伝子の塩基配列情報と完全に一致していた。なお、これは、上記(1−2)で得られた大腸菌由来のHCMTaseのアミノ酸配列と、約29%の相同性を有するものである。
【0064】
(2−3)SAM4遺伝子を含む発現ベクターおよび形質転換体の作成
上記の組換えプラスミドを、制限酵素HindIIIで切断してDNA断片を切り出し、SAM4のDNAを含む1kbのDNA断片を、アガロースゲル電気泳動によって精製した。酵母2μmDNA複製起点およびLEU2遺伝子を有する酵母発現ベクターpAAH5(Gene, 8:121 (1979))のADH1のプロモーターとターミネーターとの間をHindIIIで切断し、精製された1kbのDNA断片を連結して、発現ベクターpAHCMTを得た(図3を参照のこと)。
【0065】
得られた発現ベクターpAHCMTを、酢酸リチウム法(J. Bacteriol., 153:163, 1983)によってSaccharomyces cerevisiae TD4(a, his, leu, urs, trp)に導入し、ADC1プロモーターから正しく転写されるものを選択して、形質転換体TD4−SAM4−5株を得た。
【0066】
(2−4)HCMTaseの調製
上記(2−3)で得られたHCMTase高生産組換え酵母を、SD培地(0.67%イーストナイトロジェンベース(除アミノ酸、Difco社より入手)、2%グルコース)50mlに植菌し、30℃にて15時間予備培養し、その培養液を800mlの同じ培地を入れた2L容ジャーファンメンターに接種し、30℃にて15時間通気攪拌培養した。この培養液を、8Lの同じ培地を入れた10L容ジャーファーメンターに接種し、さらに23時間培養した。次に、培養液を、3000rpmにて10分間遠心分離して菌体を回収し、菌体重量と等量の緩衝液(20mMビストリス−塩酸緩衝液(pH7.0)、0.1mM ZnBr2)に菌体を懸濁した。ダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製KDL型)を用いて、菌体を破砕した。破砕後、8000rpmにて10分間遠心分離して、破砕残渣を取り除き、粗酵素液を得た。
【0067】
得られた粗酵素液に対して50%飽和となるように硫酸アンモニウムを氷冷下攪拌しながら添加した後、30分間放置し、その後14000rpmにて遠心分離した。得られた上清に、85%飽和となるように硫酸アンモニウムを氷冷下攪拌しながら添加した後、30分間放置し、その後14000rpmにて遠心分離した。得られた沈殿を、緩衝液(20mMビストリス−塩酸緩衝液(pH6.9)、0.1mM ZnBr2)に対して一晩透析した。
【0068】
次いで、透析した粗酵素液を、Q-セファロースFF(ファルマシア社製)を用いたカラムクロマトグラフィー(吸着:緩衝液A(50mMビストリス−塩酸緩衝液pH6.9)、溶出:緩衝液A−0.0〜0.6M塩化ナトリウムグラジエント)により精製した。HCMTase活性画分を集め、さらにセファクリルS-100(ファルマシア社製)ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた活性画分を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、クマシーブリリアントブルー染色することによって、HCMTaseがほぼ単一バンドにまで精製されたことを確認した。
【0069】
[実施例3]酵母由来の組換えHCMTaseの調製−2
(3−1)HCMTase活性を有する酵素をコードするMHT1遺伝子を含む形質転換体の作成
実施例2のSAM4遺伝子の代わり、(http://genome-www.stanford.edu/Saccharomyces(Nature 387:7-65 (1997) The nucleotide sequence of Saccharomyces cerevisiae chromosome XII. 、GenBank Accession No. NC 001144)より得られた酵母のMHT1遺伝子の配列情報をもとに、配列番号5および6に示すプライマーを合成して、実施例2と同様に組換えプラスミドを作成した。組換えプラスミドに組み込まれた遺伝子は、975塩基の構造遺伝子領域を有し、324個のアミノ酸をコードしており、上記MHT1の塩基配列情報と完全に一致していた。なお、これは、上記(1−2)で得られた大腸菌由来のHCMTaseのアミノ酸配列と、約30%の相同性を有するものである。
【0070】
次いで、実施例2と同様の操作によって発現ベクターを作成した後、形質転換体TD4−MHT1−6株を得た。
【0071】
(3−2)HCMTaseの調製
上記(3−1)で得られたHCMTase高生産組換え酵母を、SD培地(0.67%イーストナイトロジェンベース(除アミノ酸、Difco社より入手)、2%グルコース)50mlに植菌し、30℃にて15時間予備培養し、その培養液を800mlの同じ培地を入れた2L容ジャーファンメンターに接種し、30℃にて15時間通気攪拌培養した。この培養液を、8Lの同じ培地を入れた10L容ジャーファーメンターに接種し、さらに23時間培養した。次に、培養液を、3000rpmにて10分間遠心分離して菌体を回収し、菌体重量と等量の緩衝液(20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8))に菌体を懸濁した。ダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製KDL型)を用いて、菌体を破砕した。破砕後、8000rpmにて10分間遠心分離して、破砕残渣を取り除き、粗酵素液を得た。
【0072】
得られた粗酵素液に対して50%飽和となるように硫酸アンモニウムを氷冷下攪拌しながら添加した後、30分間放置し、その後14000rpmにて遠心分離した。得られた上清に、70%飽和となるように硫酸アンモニウムを氷冷下攪拌しながら添加した後、一晩放置し、その後8000rpmにて遠心分離した。得られた沈殿を、緩衝液(20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8))に対して一晩透析した。
【0073】
次いで、透析した粗酵素液を、Q-セファロースFF(ファルマシア社製)を用いたカラムクロマトグラフィー(吸着および洗浄:10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、溶出:20〜200mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)濃度グラジエント)により精製した。HCMTase活性画分を集め、さらにセファクリルS-100(ファルマシア社製)ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた活性画分を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、クマシーブリリアントブルー染色することによって、HCMTaseがほぼ単一バンドにまで精製されたことを確認した。
【0074】
[実施例4]測定試薬安定性試験
日立7170自動分析装置を用いて、測定試薬の安定性について以下のように試験を行った。
【0075】
正常コントロール血清セラクリアHE(アズウェル社)にホモシスチンを0、10、20、30、40、および50μM(ホモシステイン換算値0〜100μM)添加した試料20μlに、測定試薬A[100mM PIPES(pH7.0)、120U/L HCMTase(YagD、MHT1、およびSAM4由来のいずれかの酵素)、10mMジチオスレイトール、0.45mM D-メチオニンメチルスルホニウム、0.3mM臭化亜鉛、1.2mM DA-67、および0.01%トリトンX-100]50μlを添加して混合し、37℃にて約5分間反応させた。なお、HCMTaseの1Uは、D-メチオニンメチルスルホニウムをメチル供与体とし、ホモシステインをメチル受容体として用いたとき、1分間あたり1μmolのD-メチオニン合成を触媒する酵素量である。次に、測定試薬B[100mM PIPES (pH7.0)、8mM N-エチルマレイミド、0.003mMフェロシアン化カリ、および0.01%トリトンX-100]150μlを添加して混合し、37℃にて約5分間反応させた。続いて、測定試薬C[100mM PIPES (pH7.0)、3.5U/ml D-アミノ酸オキシダーゼ、4.8U/mlパーオキシダーゼ、1mM FAD、および0.01%トリトンX-100]100μlを添加して混合し、37℃にてさらに約5分間反応させた。測定ポイント16から34における吸光度(主波長660nm、副波長750nm)変化を測定した。
【0076】
測定試薬Aを4℃にて2日間および12日間保存した後、用時調製した測定試薬BおよびCをともに用いて、上記と同様に測定した。その結果を、横軸を添加ホモシスチン濃度、縦軸を添加したホモシステインに対応する吸光度変化として図4に示した。図から明らかなように、測定試薬Aに大腸菌由来のHCMTase(YagDの遺伝子産物)を用いた場合の測定結果は、12日間の保存後も、調製直後の結果とほぼ同様の定量性を備えており、測定試薬Aが非常に安定であることがわかった。一方、酵母由来の酵素(MHT1およびSAM4の遺伝子産物)を用いた測定試薬Aでは、2日間保存後には、良好な結果が得られなかった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の細菌由来のHCMTaseを含むホモシステイン測定用組成物および/またはキットにより、微量濃度のホモシステインを、迅速、簡便かつ感度よく測定することが可能になった。この組成物は、測定試薬として混合して調製した後も安定であるため、冷蔵保存が可能である。そのため、調製された測定試薬および/またはキットの形態で販売ルートに載せることができ、使用時の利便性に優れている。また、測定試薬形態で安定であるため、不安定な測定試薬を用いるよりも、測定の精度が確保され得る。
【0078】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ホモシステイントランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを用いるホモシステイン測定の反応概略図である。
【図2】発現ベクターpKHCMTの作成の概略図である。
【図3】発現ベクターpAHCMTの作成の概略図である。
【図4】種々の量のホモシステインを添加した試料中のホモシステイン測定において、YagD、MHT1、およびSAM4遺伝子由来の各HCMTaseを用いた場合の、用時調製、2日間保存後、および12日間保存後のそれぞれの吸光度変化による定量性を示すグラフである。
Claims (8)
- 大腸菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを含む、ホモシステイン測定用組成物。
- 前記ホモシステインメチルトランスフェラーゼが組換え酵素である、請求項1に記載の組成物。
- さらにチオール化合物を含む、請求項1または2に記載の組成物。
- 試料中のホモシステインを検出または測定するための方法であって、
(a)該試料中のホモシステインをチオール化合物で還元処理する工程;
(b)還元されたホモシステインに、大腸菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを作用させ、D-メチオニンを生じさせる工程;および
(c)生成したD-メチオニンを、(i)SH試薬の存在下で酵素的に酸化して過酸化水素を生成させ、生成した過酸化水素を酸化系発色剤により発色させることによって、または(ii)D-アミノ酸変換酵素を作用させてオキソ酸および/またはアンモニアを生成させ、生成したオキソ酸および/またはアンモニアを検出または測定することによって、検出または測定する工程、
を含む、方法。 - 前記工程(a)および(b)が同時に行われる、請求項4に記載の方法。
- チオール化合物、大腸菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼ、D-メチオニンメチルスルホニウム、およびD-アミノ酸変換酵素を含む、ホモシステイン測定用キット。
- 前記D-アミノ酸変換酵素が、D-アミノ酸オキシダーゼである、請求項6に記載のキット。
- 大腸菌由来のホモシステインメチルトランスフェラーゼおよびD-メチオニンメチルスルホニウムを緩衝液中で混合して調製された、ホモシステイン測定試薬。
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