JP4007598B2 - サセプタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サセプタおよびその製造方法に関し、より詳細には、SiC被覆カーボン材からなるワーク処理用サセプタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハの成膜、熱処理等の各種処理においては、半導体ウエハは、サセプタに載置されて行われる。例えば、シリコンウエハのエピタキシャル成長用サセプタとしては、一般に、円盤状のカーボン基材にワーク載置面を加工して、これをSiC膜により被覆したSiC被覆カーボン材からなるサセプタが用いられている。
【0003】
このような従来のサセプタは、変形により、ウエハ面内での均一な熱伝導が妨げられ、スリップの発生、面内におけるエピ膜厚の不均一等の課題を生じていた。
特に、ヘテロエピタキシャルウエハの場合は、熱伝導率の異なる異種物質の存在により、ウエハ面内での熱伝導は、より不均一となりやすかった。
【0004】
また、基材表面をSiC膜で被覆したサセプタにおいては、前記基材とSiCとの熱膨張係数の差が小さい場合、SiC被膜は剥離しやすく、一方、両者の熱膨張係数の差が大きい場合には、SiC被膜にクラックが発生しやすかった。
【0005】
さらに、基材にウエハ載置面を加工した後、SiC膜により被覆する場合、表面と裏面との表面積の差が大きいと、表面積が小さい方向に凹形状に湾曲変形しやすく、ウエハ載置面をフラット状に形成することは難しかった。
変形の程度によっては、ウエハ載置面にうねりが発生し、ウエハとの間に不均一に空間部が形成され、ウエハ面内の均熱伝導性が妨げられることとなる。
このように、従来のサセプタは、熱容量の観点からも、スループットが十分であるとは言えなかった。
【0006】
上記のような問題点を解消するために、例えば、図7に示すようなサセプタが提案されている(特許文献1参照。)。図7は従来のサセプタ10の断面図であり、図8はこのサセプタ10の上面図を示したものである。図7および図8に示すサセプタは、カーボン基材11をSiC膜12、13で被覆して、全体的に円環状のウエハ支持凸部14の下方に、環状の空隙15を形成したものである。
【0007】
また、図9および図10に示すようなウエハWとワーク載置面との間の所定箇所に隙間を設けたものも提案されている(例えば、特許文献2等参照。)。
図9は、ワーク載置面の外周部に環状溝を形成して凸形状とし、中央部でウエハWを支持し、ウエハWの外周部の下部に空隙25を形成したサセプタ20である。
逆に、図10に示すサセプタ30は、ワーク載置面の中央部に段差を設けて凹形状とし、外周部でウエハWを支持し、ウエハWの中央部の下部に空隙35を形成したものである。
【0008】
また、図11に示すように、カーボン基材41の全面をSiC膜42で被覆したサセプタ40であって、該SiC膜42の膜厚は、ワーク載置面側の方を裏面側よりも薄く形成したものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
これは、カーボン基材を被覆するSiC膜の膜厚を調整することにより、サセプタの変形(反り)を防止しようとするものである。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−161648号公報
【特許文献2】
特開2001−126995号公報
【特許文献3】
特許2566796号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図7および図8に示したような形状のサセプタ10は、環状の空隙15を形成する工程において、当該箇所にカーボンリングを嵌め込んでおき、これを焼き抜くことが必要である。このため、円環状のウエハ支持凸部14は、少なくとも1個の切欠き部16を設けなければならない。
したがって、この切欠き部16があるが故に、ウエハ面内の均熱伝導性が必ずしも十分であるとは言えなかった。
【0011】
また、上記図9に示したようなサセプタ20は、ウエハWの中央部が外周部よりも高温になる傾向があり、十分な面内均熱伝導性は得られなかった。
一方、図10に示したようなサセプタ30の場合には、ウエハWの面内の均熱伝導性はある程度は改善されるものの、ウエハWが撓み、角部Bとの接触によって、ウエハWにスリップが生じるという課題が生じた。
さらに、上記図9および図10に示したようなサセプタにおいては、いずれも、ウエハWの中央部と外周部での温度差が大きくなり易く、さらに、ウエハW裏面に空隙部が広く形成されているため、ウエハとサセプタとの温度差が大きくなる時間帯が存在する。このため、ウエハが反り、外周部がはね上がる、いわゆるカールと呼ばれる現象が生じやすいという課題も有していた。
【0012】
また、上記図11に示したようなサセプタ40においては、たとえウエハWの変形が抑制されたとしても、面内の均熱伝導性は十分であるとは言えなかった。
【0013】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、特に、半導体ウエハのような薄板状のワークの処理用のサセプタであって、SiC被覆カーボン材からなるサセプタにおいて、ワークの面内均熱伝導性を向上させ、サセプタに載置するワークの各種処理におけるスループットの向上を図ることができるサセプタおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るサセプタは、SiC被覆カーボン材からなるワーク処理用サセプタであって、ワーク載置面側はフラット状であり、裏面側は中央部が外周部よりも厚くなるように段差が設けられた凸型円盤状であり、前記ワーク載置面側のSiC被覆膜は、外周部における膜厚が、中央部における膜厚の0.6倍以上0.9倍以下であり、中央部から外周部に向かって連続的に減少しており、前記裏面側のSiC被覆膜は、前記凸型円盤状部の中央部における膜厚が、外周部における膜厚の0.6倍以上0.9倍以下であることを特徴とする。
上記のようなカーボン基材の形状およびSiC被覆膜の膜厚とすることにより、熱容量を小さくすることができ、載置されるワークの面内における均熱伝導性を向上させ、ウエハ等のワークへの成膜、熱処理等の各種処理におけるスループットの向上を図ることができる。
また、裏面側のSiC被覆膜の膜厚は、カーボン基材の形状および反りに伴うサセプタの歪を防止する観点から、ワーク載置面側のSiC被覆膜の膜厚とのバランスを考慮したものである。
【0015】
前記サセプタは、ワークを安定して載置する観点から、前記ワーク載置面が平面または深さ30μm以下で湾曲した凹形状であることが好ましい。
【0017】
さらにまた、サセプタの歪を防止する観点から、前記ワーク載置面側の外周部と裏面側の外周部のSiC被覆膜厚が同等であることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係るサセプタの製造方法は、上記ワーク処理用サセプタを製造する方法であって、表面はフラット状であり、裏面は中央部が外周部よりも厚くなるように段差が設けられた凸形円盤状のカーボン基材に、表面側の外周部には、リング状のマスクを接近させ、裏面側には、外周部に同心円上に複数の貫通孔を有する板状のマスクを接近させて配置して、前記カーボン基材表面にSiC被覆膜を形成させる第1のSiCコーティング処理工程と、前記リング状のマスクと貫通孔を有する板状のマスクとを置き換えて、さらにSiC被覆膜を形成させる第2のSiCコーティング処理工程と、前記リング状のマスクと貫通孔を有する板状のマスクとを再び置き換えて、前記第1のSiCコーティング処理工程と同じ配置で、さらにSiC被覆膜を形成させる第3のSiCコーティング工程とを備えていることを特徴とする。
上記製造法によれば、特定の箇所に、優先的または選択的にSiC被覆膜を形成させ、膜厚を制御することができ、本発明に係るフラット状のワーク載置面を有するサセプタを容易に得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面を参照して、ワークとして半導体ウエハを例に、より詳細に説明する。
図1に、本発明に係るサセプタの概略断面図を示す。
図1に示すサセプタは、カーボン基材1がSiC膜2により被覆されたSiC被覆カーボン材からなる半導体ウエハ処理用サセプタであって、ウエハ載置面側はフラット状であり、裏面側は中央部が外周部よりも厚くなるように段差が設けられた凸型円盤状に形成されている。
サセプタの形状を、上記のように、外周部を薄く、中央部を厚くすることにより、サセプタ全体の熱容量を小さくすることができ、ウエハの熱処理時における昇降温速度を速くすることができ、スループットの向上を図ることができる。
【0020】
なお、前記ウエハ載置面はフラット状に形成されているが、本発明でいうフラトッ状とは、段差を有した形状でなく、滑らかな面であることを意味し、必ずしも水平平面である場合に限られない。
また、ウエハ載置面は、必ずしも、完全なフラット面に限られず、深さ1.5mm以下の一つの座ぐり部が形成された面であってもよい。
ただし、前記フラット状のウエハ載置面は、凸面またはうねりを有する面であることは好ましくなく、平面または深さ30μm以下で湾曲した凹形状であることが好ましい。
ウエハ載置面が凸面である場合、ウエハのスライドまたはポッピングが発生しやすくなる。
また、ウエハ載置面が凹形状であっても、深さ30μmを超える場合、スリップまたは上述のカールの問題が発生しやすくなる。
したがって、前記ウエハ載置面は、ウエハを安定して載置する観点から、平面または深さ30μm以下で湾曲した凹形状であることが好ましい。
【0021】
前記サセプタにおいて、前記ウエハ載置面側のSiC被覆膜は、外周部における膜厚bが、中央部における膜厚aの0.6倍以上0.9倍以下、すなわち、0.6a≦b≦0.9aであることが好ましい。
さらに、前記サセプタの裏面側のSiC被覆膜は、中央部における膜厚cが、外周部における膜厚dの0.6倍以上0.9倍以下、すなわち、0.6d≦c≦0.9dであることが好ましい。
b<0.6aの場合、または、c>0.9dの場合、サセプタの外周部が裏面側に反るような歪が生じる。
逆に、b>0.9aの場合、または、c<0.6dの場合は、サセプタの外周部がウエハ載置面側に反るような歪が生じる。
したがって、0.6a≦b≦0.9a、かつ、0.6d≦c≦0.9dとなるように、SiC被覆膜2の膜厚を調整することにより、フラット状のサセプタを形成することができる。
このとき、ウエハ載置面側の外周部のSiC被覆膜の膜厚bと裏面側の外周部のSiC被覆の膜厚dが同等である、すなわち、b=dであることが、サセプタの歪を防止する観点から、より好ましい。
【0022】
また、前記サセプタは、外周部の厚さが半径の0.1倍以上0.4倍以下であることが好ましい。
外周部の厚さが半径の0.4倍を超える場合、サセプタの熱容量が大きくなりすぎ、ウエハ処理におけるスループットの向上、経済性の観点から好ましくない。
一方、外周部の厚さが半径の0.1倍未満である場合、変形等を生じやすくなり、十分な強度が得られない。
【0023】
なお、本発明に係るサセプタにおいては、これを構成するカーボン基材の熱膨張係数を、SiC被覆膜の熱膨張係数に比べて大きくすることにより、熱処理におけるサセプタ使用時のSiC被覆膜の剥離またはクラックの発生をより防止することができる。
【0024】
本発明に係るサセプタの製造方法によれば、上記のようなSiC被覆膜の膜厚の制御を行うことができる。
本発明に係るサセプタの製造方法は、表面はフラット状であり、裏面は中央部が外周部よりも厚くなるように段差が設けられた凸形円盤状のカーボン基材に、表面側の外周部には、リング状のマスクを接近させ、裏面側には、外周部に同心円上に複数の貫通孔を有する板状のマスクを接近させて配置して、前記カーボン基材表面にSiC被覆膜を形成させる第1のSiCコーティング処理工程と、前記リング状のマスクと貫通孔を有する板状のマスクとを置き換えて、さらにSiC被覆膜を形成させる第2のSiCコーティング処理工程と、前記リング状のマスクと貫通孔を有する板状のマスクとを再び置き換えて、前記第1のSiCコーティング処理工程と同じ配置で、さらにSiC被覆膜を形成させる第3のSiCコーティング工程とを備えたものである。
【0025】
一般に、本発明に係るサセプタのように、裏面に段差を有する形状であり、かつ、SiC膜で被覆されたサセプタは、従来のサセプタと比較して、ウエハ載置面をフラット状に形成することは難しい。
本発明に係る製造方法は、特定の箇所に、優先的または選択的にSiC被覆膜を形成させることにより、目的とするフラット状のウエハ載置面を有するサセプタを形成することを可能としたものである。
【0026】
本発明に係る製造方法の具体的な製造工程を、図1〜図5を参照して、以下に述べる。
まず、板状カーボン材を研削加工し、図2に示すような、表面はフラット状であり、裏面は中央部に凸部を有する凸形円盤状のカーボン基材1を作製する。
そして、図2に示すように、前記カーボン基材1の表面側に、リング状のマスク3を接近させて配置する。
一方、裏面側には、図3に示すような外周部に同心円上に複数の貫通孔4aを有する板状のマスク4を接近させて配置する。
なお、前記マスク3、4は、所定の治具等を用いて(図示せず)、カーボン基材1に接触させないように配置する。
【0027】
表面側に配置される前記マスク3は、外周から半径の20%程度の部分までマスキングできるリング状であることが好ましい。
また、裏面側に配置されるマスク3は、外周から半径の20%程度までの部分に貫通孔4aを有しているものであることが好ましい。
図4に示すマスク4は、貫通孔4aが4個形成されているものであるが、この貫通孔4aの数は特に限定されない。ただし、均等な間隔で形成されていることが好ましい。
【0028】
前記マスク3および4を配したカーボン基材1を、コーティング炉内にセットして、第1のSiCコーティング処理を施す。
図4に、第1のSiCコーティング処理後のカーボン基材1を示す。
図4に示すように、第1のSiCコーティング処理によるSiC被覆膜2aの膜厚は、表面側は中央部が厚く、一方、裏面側の中央部は薄くなる。
通常は、このような形状のカーボン基材の表裏両面に、均等な膜厚でSiCコーティングを施すと、カーボン基材の収縮率は、表面側の方が裏面側に比べて大きいため、高温雰囲気中でのSiCコーティング処理後の冷却時に、表面側がわずかに凹形状に湾曲した形状となる。
本発明においては、上記のようなマスクを使用したコーティング処理を行うことにより、逆に、図4に示すように、表面側がわずかに凸形状に湾曲した形状となる。
【0029】
上記第1のSiCコーティング処理は、1回以上4回以下行い、形成されるSiC被覆膜2aを、10〜40μm程度の範囲内で、適当な膜厚に調整することが好ましい。
なお、SiCコーティング処理方法は、特に限定されるものではないが、通常は、CVD法が用いられる。
【0030】
次に、前記マスク3および4の配置を、上記第1のSiCコーティング処理時と置き換えて、第2のSiCコーティング処理を施す。
図5に、第2のSiCコーティング処理後のカーボン基材1を示す。
図5に示すように、第2のSiCコーティング処理工程においては、カーボン基材1の全面において、第1のSiCコーティング処理によるSiC被覆膜2aと第2のSiCコーティング処理によるSiC被覆膜2bとを合わせたSiC被覆膜全体が、ほぼ均等の膜厚となるように、複数回繰り返しコーティングする。そして、カーボン基材1の全面にほぼ均等の膜厚のSiC被覆膜が形成されると、カーボン基材1の表面側の収縮率が裏面側に比べて大きくなるため、図5に示すように、SiC膜に被覆されたカーボン基材は、全体として、表面側がわずかに凹形状に湾曲した形状となる。
【0031】
さらに、前記マスク3および4の配置を再び置き換えて、上記第1のSiCコーティング処理時と同じ配置として、第3のSiCコーティング処理を施す。
この第3のSiCコーティング処理により、図1に示すように、表面側はフラット状となり、表面側のSiC被覆膜の外周部における膜厚bが、中央部における膜厚aの0.6倍以上0.9倍以下となり、一方、裏面側のSiC被覆膜の凸型円盤状部の中央部における膜厚cが、外周部における膜厚dの0.6倍以上0.9倍以下であるサセプタを得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
表面はフラット状であり、裏面は中央部が外周部よりも厚くなるように段差が設けられた凸形円盤状のカーボン基材を研削加工した。
前記カーボン基材の表面側の外周部に、リング状のマスクを接近させ、一方、裏面側に、外周部に同心円上に複数の貫通孔を有する板状のマスクを接近させて配置し、コーティング炉内にセットして、1500℃以上1850℃以下で、第1のSiCコーティング処理を複数回施した。
次に、両面のマスクを置き換えて、1500℃以上1850℃以下で、第2のSiCコーティング処理を複数回施した。
さらに、両面のマスクを再び置き換えて、第1のSiCコーティング処理時と同じ配置として、第3のSiCコーティング処理を複数回施した。
上記工程により、前記カーボン基材表面にSiC被覆膜を形成させ、図1に示すようなサセプタを作製した。
得られたSiC被覆カーボン材からなるサセプタのSiC被覆膜の各部分における膜厚は、表1に示すとおりである。
【0033】
前記サセプタのウエハ載置面(表面)の反り量を測定した。なお、反り量が−である場合は、表面が凹形状であり、+である場合は、凸形状であることを意味する。
また、前記サセプタにシリコンウエハを載置し、ウエハ面内における均熱伝導性の評価を行った。この評価は、以下の方法により行った。
まず、Ar雰囲気下、1000℃で10分間の熱処理を行ったときのウエハ面内温度を図6において×印で示す5点で測定した。このときの温度変化ΔTが±10℃内、すなわち、|ΔT|≦10(K)のときの評価を○とし、また、ΔTが±20℃を超えるもの、すなわち、|ΔT|>20(K)のときの評価を×とした。
これらの結果を表1に示す。
【0034】
[実施例2および3]
SiC被覆膜を表1の実施例2または3に示すような膜厚とし、それ以外については、実施例1と同様にして、サセプタを作製し、反り量の測定および載置したウエハの面内における均熱伝導性についての評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
【0035】
[比較例1および2]
SiC被覆膜を表1の比較例1または2に示すような膜厚とし、それ以外については、実施例1と同様にして、サセプタを作製し、反り量の測定および載置したウエハの面内における均熱伝導性についての評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
なお、比較例2においては、サセプタ上にウエハを安定して載置させることが困難であり、均熱伝導性の評価を行うことができなかった。
【0036】
[比較例3]
裏面に段差が設けられておらず、両面ともフラット状であるカーボン基材を用い、また、SiC被覆膜を表1の比較例3に示すような膜厚とし、それ以外については、実施例1と同様にして、サセプタを作製し、反り量の測定および載置したウエハの面内における均熱伝導性についての評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
なお、ウエハ載置面には、直線状にうねりが発生した。
【0037】
[比較例4〜6]
SiC被覆膜を表1の比較例4〜6に示すような膜厚とし、それ以外については、実施例1と同様にして、サセプタを作製し、反り量の測定および載置したウエハの面内における均熱伝導性についての評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係るサセプタを用いることにより、載置されるワークの面内均熱伝導性が向上され、サセプタに載置するウエハ等のワークへの成膜、熱処理等の各種処理におけるスループットの向上を図ることができる。
また、本発明に係る製造方法によれば、カーボン基材表面に形成するSiC被覆膜の膜厚を適当に制御することが可能であるため、フラット状のワーク載置面を有する本発明に係るサセプタを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサセプタの断面図である。
【図2】カーボン基材およびマスクの断面図である。
【図3】マスク4の底面図である。
【図4】第1のSiCコーティング処理後のカーボン基材の断面図である。
【図5】第2のSiCコーティング処理後のカーボン基材の断面図である。
【図6】実施例において、ウエハ面内の均熱伝導性の評価における測定箇所を示した図である。
【図7】従来のサセプタを示した断面図である。
【図8】図7に示したサセプタの上面図である。
【図9】サセプタの他の従来例を示した断面図である。
【図10】サセプタの他の従来例を示した断面図である。
【図11】サセプタの他の従来例を示した断面図である。
【符号の説明】
1、11、41 カーボン基材
2、12、13、42 SiC被覆膜(SiC膜)
2a 第1のSiCコーティングによるSiC被覆膜
2b 第2のSiCコーティングによるSiC被覆膜
3、4 マスク
4a 貫通孔
10、20、30、40 サセプタ
14 ウエハ支持凸部
15、25、35 空隙
16 切欠き部
W ウエハ
Claims (4)
- SiC被覆カーボン材からなるワーク処理用サセプタであって、ワーク載置面側はフラット状であり、裏面側は中央部が外周部よりも厚くなるように段差が設けられた凸型円盤状であり、前記ワーク載置面側のSiC被覆膜は、外周部における膜厚が、中央部における膜厚の0.6倍以上0.9倍以下であり、中央部から外周部に向かって連続的に減少しており、前記裏面側のSiC被覆膜は、前記凸型円盤状部の中央部における膜厚が、外周部における膜厚の0.6倍以上0.9倍以下であることを特徴とするサセプタ。
- 前記ワーク載置面は、平面または深さ30μm以下で湾曲した凹形状であることを特徴とする請求項1記載のサセプタ。
- 前記ワーク載置面側の外周部と裏面側の外周部のSiC被覆膜厚が同等であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のサセプタ。
- 請求項1から請求項3までのいずれかに記載のワーク処理用サセプタを製造する方法であって、
表面はフラット状であり、裏面は中央部が外周部よりも厚くなるように段差が設けられた凸形円盤状のカーボン基材に、表面側の外周部には、リング状のマスクを接近させ、裏面側には、外周部に同心円上に複数の貫通孔を有する板状のマスクを接近させて配置して、前記カーボン基材表面にSiC被覆膜を形成させる第1のSiCコーティング処理工程と、
前記リング状のマスクと貫通孔を有する板状のマスクとを置き換えて、さらにSiC被覆膜を形成させる第2のSiCコーティング処理工程と、
前記リング状のマスクと貫通孔を有する板状のマスクとを再び置き換えて、前記第1のSiCコーティング処理工程と同じ配置で、さらにSiC被覆膜を形成させる第3のSiCコーティング工程とを備えていることを特徴とするサセプタの製造方法。
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