JP4007211B2 - 通信コントローラ、通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信が多重化されたネットワークシステムに用いられる通信コントローラ等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の制御装置を通信線を用いたネットワークで接続し、各々の制御装置が互いに協調しながら制御を行う分散システムが実現されている。これらは、制御を行う上で他の制御装置との通信が欠かせないため、システムの信頼性を向上させるべく通信線を多重化することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に示す技術は、各制御装置が複数の通信線で接続され、送信時には送信側の制御装置が各々の通信線にほぼ同時にメッセージを送信し、受信側の制御装置が、最初に受信したメッセージ以外のメッセージを破棄し、送信側の制御装置に応答メッセージを送信するという技術である。このように通信線が多重化されていれば、通信線の幾つかに障害が発生した場合でも少なくとも1つの通信線が正常であれば問題なく通信を行うことができる。
【0004】
ここで、多重化された通信を行う従来の通信システムの一例について、図4に示す通信システム110のブロック図を用いて説明する。
通信システム110は、AT(Automatic Transmission)の制御を行うAT−ECU11と、VSC(Vehicle Stability Control)システムの制御を行うVSC−ECU13と、エンジンの制御を行うエンジンECU120と、これらのECU間を結ぶ通信線15とを備える。この通信線15は、第1のサブ通信線15aと第2のサブ通信線15bとの2系統からなり、各ECU(AT−ECU11、VSC−ECU13及びエンジンECU120)が2系統の通信を行うことができるように構成されている。次にこの2系統の通信についてエンジンECU120を例に挙げて説明する。
【0005】
エンジンECU120は、エンジンを制御するためのプログラムを実行するマイコン121と、プロトコル処理等を実行する通信コントローラ123と、通信線15から受け取った電気信号に対して各種の信号処理及び通信コントローラ123から受け取ったフレームに対して各種の信号処理を実行する2つのトランシーバ125a,125bとを備える。このうち通信コントローラ123は、メインコントローラ130とサブコントローラ140とからなり通信ポートを2系統有している。
【0006】
メインコントローラ130は、受信レジスタ131、送信レジスタ133、受信処理部135及び送信処理部137を備える。受信処理部135は、トランシーバ125aから受け取ったフレームから受信メッセージ(受信本文)を取り出し、受信レジスタ131は、その取り出された受信メッセージを記憶する。送信レジスタ133は、マイコン121から受け取った送信メッセージ(送信本文)を記憶し、送信処理部137は、送信レジスタ133が記憶する送信メッセージを読み出して所定の通信プロトコルにしたがったフレームを生成する。
【0007】
一方、サブコントローラ140は、受信レジスタ141、送信レジスタ143、受信処理部145及び送信処理部147を備える。サブコントローラ140の各部は基本的にメインコントローラ130と同じであるため説明は省略する。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−262350号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成されたエンジンECU120では、マイコン121で実行されるプログラム中で何らかの送信処理が発生すると、マイコン121は、まずメインコントローラ130の送信レジスタ133に送信メッセージを書き込み、続いてサブコントローラ140の送信レジスタ143に送信メッセージを書き込み、送信指令をメインコントローラ130とサブコントローラ140とに発行(具体的にはコントロールフラグを立てる等して行われる)する。つまり、通信コントローラ123が備える2つの通信ポートに対して送信メッセージの書き込みや送信指令を発行する必要があり、通信コントローラが1つの通信ポートしか有しない場合と比べてマイコンの処理負荷が増えるという欠点があった。また、マイコンの処理負荷は通信コントローラの通信ポートの数に比例して増大するため、通信線の多重度を上げることも難しかった。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、通信コントローラを制御するマイコンに負荷をかけることなく通信の多重化を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の通信コントローラは、メインコントローラとサブコントローラとを備える。このうち、メインコントローラは、他の電子装置から送信されたフレームに基づいて受信メッセージを生成する第1の受信処理部と、その第1の受信処理部で生成された受信メッセージを記憶する第1の受信レジスタと、マイコンから受け取った送信メッセージを記憶する第1の送信レジスタと、その第1の送信レジスタに記憶された送信メッセージに基づいてフレームを生成して他の電子装置に送信する第1の送信処理部とを有する。一方、サブコントローラは、他の電子装置から送信されたフレームに基づいて受信メッセージを生成する第2の受信処理部と、その第2の受信処理部で生成された受信メッセージを記憶する第2の受信レジスタと、送信メッセージを記憶する第2の送信レジスタと、その第2の送信レジスタに記憶された送信メッセージに基づいてフレームを生成して他の電子装置に送信する第2の送信処理部とを有する。
【0012】
そして、メインコントローラの第1の送信レジスタが、マイコンから送信メッセージを受け取るとサブコントローラの第2の送信レジスタに転送し、サブコントローラの第2の送信処理部は、第2の送信レジスタに記憶された、メインコントローラの第1の送信レジスタから転送された送信メッセージに基づいてフレームを生成し、他の電子装置に送信する。
【0013】
従来、通信ポートを複数有する通信コントローラの場合、マイコンがこれらの複数のポートに対してそれぞれ送信処理を行う必要があるため、1ポートしか有しない通信コントローラの場合に比べてマイコンの処理負荷が高かった。それに対し、本発明の通信コントローラは、送信メッセージがマイコンからメインコントローラの第1の送信レジスタに入力されると、サブコントローラの第2の送信レジスタにその送信メッセージを転送する。つまり、通信コントローラ内で送信メッセージのコピーを行って通信の多重化を行う。このため、本発明の通信コントローラを用いれば、マイコンは、1ポートしか有しない通信コントローラの場合と同程度の処理負荷で、多重化された通信を行うことができる。
【0014】
ところで、一般的に通信線を多重化した場合、何れの通信線によって送られてくるメッセージが正常なのか否かを判断する必要がある。その際、マイコンが各々の通信線で送信されてきたメッセージすべてを読み込んだ後、判断する方式を採る場合がある。このような方式を採る場合は、1ポートしか有しない通信コントローラを用いる場合と比べてマイコンの処理負荷が高いという問題があった。
【0015】
そこで、受信の場合について考えると、請求項に記載のような通信コントローラであるとよい。つまり、メインコントローラの第1の受信レジスタに記憶された受信メッセージとサブコントローラの第2の受信レジスタに記憶された受信メッセージとを比較する比較手段備えるようにする。そして、第1の受信レジスタ及び第2の受信レジスタの何れかに受信メッセージが記憶されると、比較手段が、第1の受信レジスタと第2の受信レジスタとから受信メッセージを読み込んでそれらを比較し、その比較結果を表す信号をマイコンに伝達するようになっているとよい。
【0016】
このようになっていれば、各々の受信レジスタの受信メッセージが等しくないときのみ、マイコンはすべての受信レジスタから受信メッセージを読み込めばよく(あるいは等しくない場合はすべての受信メッセージを破棄してしまってもよい)。各々の受信レジスタの値が等しければ、何れか一つの受信レジスタから受信メッセージを読み出すだけでよくなる。このため、マイコンの処理負荷が軽くなるという効果がある。
【0017】
また、通信線に何らかの異常があったりノイズがのったりして通信線上の信号が不正であった場合は、多くの場合プロトコル上のエラーで受信処理部は受信メッセージを生成することができない。つまり、受信レジスタは、受信メッセージが記憶されずに空の状態となる。
【0018】
したがって、そのような場合を考えると請求項に記載のようになっていてもよい。つまり、第1の受信レジスタと第2の受信レジスタとについて受信メッセージが記憶されているか否かを判定する判定手段を更に備えるようにする。そして、判定手段が、前記判定を行った結果、第1の受信レジスタには受信メッセージが記憶されておらず、第2の受信レジスタには受信メッセージが記憶されていた場合、第2の受信レジスタから第1の受信レジスタに受信メッセージを転送させるようになっているとよい。
【0019】
このようになっていれば、何らかの障害で第1の受信レジスタに受信データが記憶されない場合であっても、第2の受信レジスタから受信メッセージが転送されるため、マイコンは第1の受信レジスタから受信メッセージを取得することができる。つまり、マイコンは受信時も1ポートのみ(メインコントローラ)にアクセスするだけでよくなり、他のポート(サブコントローラ)にアクセスする必要がなくなる。その結果、マイコンとサブコントローラとの間の回路をなくすことができ、装置全体を小さくすることができる。
ところで、通信コントローラは、従来のようなマイコンが各々の通信ポートに対して書き込み及び読み込みを行うような動作モードに切り替えられるようになっていてもよい。つまり、請求項に記載のように、更に、メインコントローラとサブコントローラとを独立して動作させるスイッチ手段を備え、スイッチ手段はマイコンからの指令によって機能し、スイッチ手段が機能すると、メインコントローラとサブコントローラとはお互いにメッセージの授受を行わず、サブコントローラの送信レジスタはマイコンから直接送信メッセージを受け取って送信メッセージを記憶し、サブコントローラの受信レジスタは記憶している受信メッセージを直接マイコンに伝達するようになっていてもよい。尚、ここで言うスイッチ手段の具体例としては、メインコントローラとサブコントローラとを電気的に切り離してしまう遮断回路のようなものであるとよい。
【0020】
このようになっていると、使用方法や使用状況に応じてマイコンからの指令によって従来の動作モードに切り替えることができて通信コントローラの使い勝手が向上する。
また、通信コントローラは、メインコントローラを1つとサブコントローラを1つ備えるようになっていてもよいが、請求項に記載のように、サブコントローラを複数備えるようになっていてもよい。
【0021】
このようになっていれば、通信をより多重化することができ、通信の信頼性を向上させることができる。しかも、その場合でも、マイコンは、1ポートしか有しない通信コントローラと同程度の処理負荷で、多重化された通信を行うことができる。
【0022】
そして、請求項に記載のように、上述したような通信コントローラを備えた通信システムを構成するとよい。つまり、請求項1〜請求項の何れかに記載の通信コントローラを複数備え、各々の通信コントローラのメインコントローラは、他の通信コントローラのメインコントローラあるいはサブコントローラと通信を行い、各々の通信コントローラのサブコントローラは、他の通信コントローラのメインコントローラあるいはサブコントローラと通信を行うようにして実現するとよい。
【0023】
このようになっていれば、上述した通信コントローラを備える各々の装置が、上述した効果を享受することができ、システム全体の信頼性を向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうることは言うまでもない。
【0025】
図1は、実施例の通信コントローラ23が用いられた通信システム10を示すブロック図である。通信システム10は、AT(Automatic Transmission)の制御を行うAT−ECU11と、VSC(Vehicle Stability Control)システムの制御を行うVSC−ECU13と、エンジンの制御を行うエンジンECU20と、これらのECU間を結ぶ通信線15とを備える。この通信線15は、第1のサブ通信線15aと第2のサブ通信線15bとの2系統からなり、各ECU(AT−ECU11、VSC−ECU13及びエンジンECU20)が2系統の通信を行うことができるように構成されている。尚、通信線15は、銅線等のメタリックケーブルであってもよいし、光ケーブルであってもよいし、無線であってもよい。
【0026】
AT−ECU11とVSC−ECU13とエンジンECU20とは、共にほぼ同様の構成を有しているため、ここではエンジンECU20を中心に説明する。エンジンECU20は、マイコン21と通信コントローラ23と2つのトランシーバ25a,25bとを備える。
【0027】
このうち、マイコン21は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、エンジンをコントロールするための点火タイミングや、バルブリフト量や、燃料噴出量等を決定する。
【0028】
また、通信コントローラ23は、メインコントローラ30とサブコントローラ40とからなり通信ポートを2系統有する。
このうち、メインコントローラ30は、受信レジスタ31、送信レジスタ33、受信処理部35及び送信処理部37を備える。受信処理部35は、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、トランシーバ25aから受け取ったフレームから受信メッセージ(受信本文)を取り出す。受信レジスタ31は、その取り出された受信メッセージを記憶する。送信レジスタ33は、マイコン21から受け取った送信メッセージ(送信本文)を記憶する。送信処理部37は、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、送信レジスタ33が記憶する送信メッセージを読み出して所定の通信プロトコルにしたがったフレームを生成する。
【0029】
一方、サブコントローラ40は、受信レジスタ41、送信レジスタ43、受信処理部45及び送信処理部47を備える。サブコントローラ40の受信レジスタ41、送信レジスタ43、受信処理部45及び送信処理部47は、それぞれメインコントローラ30の受信レジスタ31、送信レジスタ33、受信処理部35及び送信処理部37と同等の機能を有する。
【0030】
また、トランシーバ25a、トランシーバ25bは、それぞれサブ通信線15a、サブ通信線15bから受け取った電気信号に対してレベル変換やノイズ除去等の各種の信号処理を施してフレームを抽出し、抽出したフレームをそれぞれ受信処理部35、受信処理部45に渡す。また、トランシーバ25a、トランシーバ25bは、それぞれ送信処理部37、送信処理部47から受け取ったフレームに対してレベル変換等の信号処理を施してそれぞれサブ通信線15a、サブ通信線15bに送信する。本実施例では、トランシーバ25a及びトランシーバ25bは、通信コントローラ23と別体となっているが一体化されていてもよい。
【0031】
また、比較器51は、メインコントローラ30の受信レジスタ31とサブコントローラ40の受信レジスタ41とから受信メッセージを読み込んで比較を行う。そして、一致して正常であったときや、不一致で異常があったとき等にマイコン21に通知する。
【0032】
ここまでで、エンジンECU20の構成について説明したが、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を示しておく。メインコントローラ30がメインコントローラに相当し、サブコントローラ40がサブコントローラに相当する。また、メインコントローラ30の受信レジスタ31、送信レジスタ33、受信処理部35、送信処理部37が、それぞれ第1の受信レジスタ、第1の送信レジスタ、第1の受信処理部、第1の送信処理部に相当する。また、サブコントローラ40の受信レジスタ41、送信レジスタ43、受信処理部45、送信処理部47が、それぞれ第2の受信レジスタ、第2の送信レジスタ、第2の受信処理部、第2の送信処理部に相当する。また、比較器51が比較手段に相当する。
【0033】
次にエンジンECU20を例に挙げて、AT−ECU11及びVSC−ECU13との通信について説明する。
(1)送信処理
通信コントローラ23で実行される送信処理について図2のフローチャートを用いて説明する。この送信処理は、マイコン21で実行されるプログラムの中で他のECU(AT−ECU11やVSC−ECU13)に対してメッセージを送信するステップになったときに、マイコン21からの指示で実行が開始される。尚、この指示は、マイコン21から通信コントローラ23に対して何らかの制御信号を送ることによって伝わるようになっていてもよいし、マイコン21がメインコントローラ30の送信レジスタ33に送信メッセージを書き込むことによって伝わるようになっていてもよい。
【0034】
開始されるとまず、メインコントローラ30の送信レジスタ33が、マイコン21から送られた送信メッセージを記憶する(S110)。送信レジスタ33が送信メッセージを記憶すると、その記憶した送信メッセージをサブコントローラ40の送信レジスタ43に転送する(S115)。この転送は、1ビットづつ転送するシリアル転送であってもよいし、複数ビットまとめて転送するパラレル転送であってもよい。転送が完了すると、転送が完了した旨をマイコン21に伝達する(S120)。この伝達方法は、マイコン21に対して何らかの制御信号を送ることによって伝達するようになっていてもよいし、通信コントローラ23内に制御用のレジスタを設けてそのレジスタをONにし、マイコン21がそのレジスタの内容を監視することによって伝達するようになっていてよい。マイコン21は、転送完了を認識すると送信指示を通信コントローラ23に対して行う。
【0035】
通信コントローラ23は、マイコン21から送信指示を受け取るまで待機し(S125)、マイコン21から送信指示を受け取ると送信処理部37と送信処理部47とが、それぞれ送信レジスタ33と送信レジスタ43とから送信メッセージを読み出す(S130)。
【0036】
そして、送信処理部37と送信処理部47は、所定のプロトコルにしたがって送信メッセージからフレームを生成する(S135)。送信処理部37と送信処理部47はフレームの生成が完了すると、各々トランシーバ25aとトランシーバ25bとにフレームを渡して他のECUへフレームを送信させ、本処理(送信処理)を終了する。
【0037】
(2)受信処理
次に、通信コントローラ23で実行される受信処理について図3のフローチャートを用いて説明する。受信処理は、受信処理部35又は受信処理部45の何れかにトランシーバ25a、トランシーバ25bからフレームが渡されると実行を開始する。
【0038】
まず、受信処理部35及び受信処理部45が所定のプロトコルに基づいてフレームを分解し、受信メッセージを生成する(S210)。受信処理部35及び受信処理部45が受信メッセージを生成すると、各々の受信メッセージを受信レジスタ31及び受信レジスタ41が記憶する(S215)。
【0039】
次に、比較器51が受信レジスタ31及び受信レジスタ41から受信メッセージの読み込みを試みる(S220)。そしてまず、受信レジスタ31及び受信レジスタ41から受信メッセージが読み込めたか否かによって処理を分岐する(S225)。受信レジスタ31及び受信レジスタ41の両方から受信メッセージが読み込めたのであれば(S225:Y)、次にそれらの受信メッセージが等しいか否かを判定する(S230)。等しければ(S230:Y)、受信レジスタ31及び受信レジスタ41に記憶されている受信メッセージが等しい旨をマイコン21に通知し(S235)、本処理(受信処理)を終了する。一方、等しくなければ(S230:N)、受信レジスタ31及び受信レジスタ41に記憶されている受信メッセージが等しくない旨をマイコン21に通知し(S240)、本処理(受信処理)を終了する。これらの通知を受け取ったマイコン21は、通知内容に応じた処理を行う。例えば、等しいという通知を受け取った場合はどちらか一方の受信レジスタからのみ受信メッセージを読み込んで後続の処理を行う。また、等しくないという通知を受け取った場合は、受信レジスタ31及び受信レジスタ41の両方から受信メッセージを読み込んで更に比較し、何れか一方の受信メッセージを採用したり両方の受信メッセージに基づいて適切な受信メッセージを推定したり、あるいは、送信元のECUに再送依頼を行ったりする。
【0040】
ところで、受信レジスタ31及び受信レジスタ41の何れか一方から受信メッセージが読み込めなかった場合は(S225:N)、読み込めた方の受信レジスタを示す識別情報をマイコン21に通知し(S245)、本処理(受信処理)を終了する。この通知を受け取ったマイコン21は、読み込めた方の受信レジスタから受信メッセージを読み込んで後続の処理を行う。
【0041】
ここまでで、実施例の通信コントローラ23について説明したが、実施例の通信コントローラ23を用いることにより以下のような効果が生まれる。
通信コントローラ23は、メインコントローラ30の送信レジスタ33が送信メッセージを記憶すると、サブコントローラ40の送信レジスタ43にその送信メッセージを転送する。したがって、マイコン21は、従来の通信コントローラを用いる場合のように複数のポートに対してそれぞれ送信処理を行う必要がなく、1ポートしか有しない通信コントローラの場合と同程度の処理負荷で、多重化された通信を行うことができる。したがって、容易に通信の多重化を行うことができ、信頼性向上に役立つ。
【0042】
また、通信コントローラ23は、比較器51が受信レジスタ31及び受信レジスタ41から受信メッセージ読み込んで比較し、その比較結果をマイコン21に通知する。このため、各々の受信レジスタの受信メッセージが等しくないときのみ、マイコン21は受信レジスタ31及び受信レジスタ41の両方から受信メッセージを読み込めばよく、各々の受信レジスタの受信メッセージが等しければ、何れか一つの受信レジスタから受信メッセージを読み出すだけでよくなる。このため、受信時もマイコン21の処理負荷が従来に比べて軽くなるという効果がある。
【0043】
以下、他の実施例について述べる。
(イ)上記実施例では、比較器51が、受信レジスタ31及び受信レジスタ41から受信メッセージを読み込みを試みて、それら両方から受信メッセージを読み込めたか否かを判定するが(図3のS225参照)、判定した結果、受信レジスタ31の方からは受信メッセージを読み込むことができなかったときには、更に、受信レジスタ41に記憶されている受信メッセージを受信レジスタ31に転送するようになっていてもよい(このときの比較器51は特許請求の範囲に記載の判定手段に相当する)。
【0044】
このようになっていると、マイコン21は、受信メッセージを受信レジスタ31からのみ取得するようにすることもできる。その結果、受信レジスタ41とマイコン21とを結ぶ通信線を省略することができ、エンジンECU20の小型化に貢献する。ただし、上記通信線を省略してしまうと、その後の処理で比較器51が受信レジスタ31及び受信レジスタ41に記憶されている受信メッセージについて等しいか否かを判定した結果、受信メッセージが等しくなかった場合にその旨をマイコン21に通知した場合でも(図3のS240参照)、マイコン21は、受信レジスタ41から直接受信メッセージを読み込むことができない。このため、受信レジスタ41に記憶されている受信メッセージは読み込まないか、受信レジスタ31から受信メッセージを読み込んだ後、受信レジスタ41に記憶されている受信メッセージを受信レジスタ31に転送させて読み込む必要がある。
【0045】
(ロ)通信コントローラ23は、更に、メインコントローラ30とサブコントローラ40とを電気的に切り離して独立して動作させる遮断回路を備えるようにしてもよい。この遮断回路はマイコン21からの指令によって機能し、遮断回路が機能すると、メインコントローラ30とサブコントローラ40とはお互いにメッセージの授受を行わず、送信レジスタ43はマイコン21から直接送信メッセージを受け取って送信メッセージを記憶し、受信レジスタ41は記憶している受信メッセージを直接マイコン21に伝達するようになっていてもよい。
【0046】
このようになっていると、使用方法や使用状況に応じてマイコン21からの指令によって従来の動作モードに切り替えることができて通信コントローラ23の使い勝手が向上する。
(ハ)通信コントローラ23は、サブコントローラ40を1つだけでなく複数備えるようになっていてもよい。その場合も当然ながら、送信処理時はメインコントローラ30の送信レジスタ33から各々のサブコントローラの送信レジスタに対して送信メッセージを転送するようになっている。
【0047】
このようになっていれば、通信をより多重化することができ、通信の信頼性を向上させることができる。しかも、その場合でも、マイコン21は、1ポートしか有しない通信コントローラと同程度の処理負荷で、多重化された通信を行うことができる。
【0048】
(ニ)サブコントローラ40の送信レジスタ43を無くし、サブコントローラ40の送信処理部47がメインコントローラ30の送信レジスタ33から送信メッセージを取得するようになっていてもよい。この場合は前述の転送は必要ない。このようになっていても、マイコン21は、従来の通信コントローラを用いる場合のように複数のポートに対してそれぞれ送信処理を行う必要がなく、1ポートしか有しない通信コントローラの場合と同程度の処理負荷で、多重化された通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の通信コントローラを用いた通信システムを説明するためのブロック図である。
【図2】送信処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】従来の通信システムを説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
10…通信システム、11…AT−ECU、13…VSC−ECU、15…通信線、15a…第1の通信線、15b…第2の通信線、20…エンジンECU、21…マイコン、23…通信コントローラ、25a…トランシーバ、25b…トランシーバ、31…受信レジスタ、33…送信レジスタ、35…受信処理部、37…送信処理部、41…受信レジスタ、43…送信レジスタ、45…受信処理部、47…送信処理部、51…比較器、110…通信システム、120…エンジンECU、121…マイコン、123…通信コントローラ、125a…トランシーバ、125b…トランシーバ、131…受信レジスタ、133…送信レジスタ、135…受信処理部、137…送信処理部、141…受信レジスタ、143…送信レジスタ、145…受信処理部、147…送信処理部

Claims (5)

  1. 演算を実行するマイコンと、通信を行う通信コントローラとを備えた電子装置において用いられるその通信コントローラであって、
    他の電子装置から送信されたフレームに基づいて受信メッセージを生成する第1の受信処理部と、その第1の受信処理部で生成された受信メッセージを記憶する第1の受信レジスタと、前記マイコンから受け取った送信メッセージを記憶する第1の送信レジスタと、その第1の送信レジスタに記憶された送信メッセージに基づいてフレームを生成して他の電子装置に送信する第1の送信処理部とを有するメインコントローラと、
    他の電子装置から送信されたフレームに基づいて受信メッセージを生成する第2の受信処理部と、その第2の受信処理部で生成された受信メッセージを記憶する第2の受信レジスタと、送信メッセージを記憶する第2の送信レジスタと、その第2の送信レジスタに記憶された送信メッセージに基づいてフレームを生成して他の電子装置に送信する第2の送信処理部とを有するサブコントローラと、
    前記第1の受信レジスタに記憶された受信メッセージと前記第2の受信レジスタに記憶された受信メッセージとを比較する比較手段と、
    を備え、
    前記第1の送信レジスタは、前記マイコンから送信メッセージを受け取ると前記第2の送信レジスタに転送し、前記第2の送信処理部は、前記第2の送信レジスタに記憶された、前記第1の送信レジスタから転送された送信メッセージに基づいてフレームを生成し他の電子装置に送信し、
    前記比較手段は、前記第1の受信レジスタ及び前記第2の受信レジスタの何れかに受信メッセージが記憶されると、前記第1の受信レジスタと前記第2の受信レジスタとから受信メッセージを読み込んでそれらを比較し、その比較結果を表す信号を前記マイコンに伝達すること、
    を特徴とする通信コントローラ。
  2. 請求項1に記載の通信コントローラにおいて、
    更に、前記第1の受信レジスタと前記第2の受信レジスタとについて受信メッセージが記憶されているか否かを判定する判定手段を備え、
    前記判定手段は、前記判定を行った結果、前記第1の受信レジスタには受信メッセージが記憶されておらず、前記第2の受信レジスタには受信メッセージが記憶されていた場合、前記第2の受信レジスタから前記第1の受信レジスタに受信メッセージを転送させることを特徴とする通信コントローラ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の通信コントローラにおいて、
    更に、前記メインコントローラと前記サブコントローラとを独立して動作させるスイッチ手段を備え、
    前記スイッチ手段は前記マイコンからの指令によって機能し、前記スイッチ手段が機能すると、前記メインコントローラと前記サブコントローラとはお互いにメッセージの授受を行わず、前記送信レジスタは前記マイコンから直接送信メッセージを受け取ってその送信メッセージを記憶し、前記受信レジスタは記憶している受信メッセージを直接前記マイコンに伝達することを特徴とする通信コントローラ。
  4. 請求項1〜請求項の何れかに記載の通信コントローラは、前記サブコントローラを複数備えることを特徴とする通信コントローラ。
  5. 請求項1〜請求項の何れかに記載の通信コントローラを複数備え、
    各々の通信コントローラの前記メインコントローラは、他の通信コントローラの前記メインコントローラあるいは前記サブコントローラと通信を行い、
    各々の通信コントローラの前記サブコントローラは、他の通信コントローラの前記メインコントローラあるいは前記サブコントローラと通信を行うことを特徴とする通信システム。
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