JP4006928B2 - 画像送信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばファクシミリ装置のように、遠隔地にある端末装置に画情報を送信して、その端末装置側にて送信した画情報に基づく画像出力を行わせるための画像送信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ファクシミリ装置等の画像送信装置では、通信相手となる端末装置への画情報の送信を行う場合に、その端末装置が電話番号等によって特定されると直ちに画情報の送信を開始するが、送信先通話中等の理由によって画情報の送信が行えないと、リダイヤル機能によって一定時間経過後再び画情報の送信を試みるようになっている。つまり、画像送信装置では、画情報の送信が行えないと、その後、送信が成功するまで、あるいは予め定められた規定回数分だけ、何回かにわたって周期的に画情報送信の試みを繰り返して行うようになっている。
【0003】
ところで、画像送信装置は、近年、いわゆるモバイル端末装置に対して画情報を送信する機会が増えつつある。ここでいうモバイル端末装置とは、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータに接続される携帯電話機やPHS(以下、これらを「携帯電話」と総称する)をはじめとした情報携帯端末装置のことである。
【0004】
このようなモバイル端末装置は、その携帯性ゆえ場所を選ばずに使用できるメリットがある一方、バッテリ給電方式の制約(給電寿命の短さ)等によって、常に画情報を受信できる状態にあるとは限らないというデメリットがある。また、給電可能な状態にあっても、利用マナー等を考慮すると、画情報を受信できる状態にしない方が好ましい場合もあり得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像送信装置では、通信相手となる端末装置が特定されると、その通信相手の都合(端末装置側で画情報の受信準備ができているか否か)にかかわらず、画情報の送信を開始してしまう。したがって、特に、通信相手がモバイル端末装置である場合には、その通信相手が画情報を受信できる状態でないのに、画像送信装置側で何度も周期的に画情報送信の試みを繰り返すが、結果として画情報の送信を完了できない、といったことが生じる可能性が高くなってしまう。
【0006】
このことから、画像送信装置の中には、例えば特開平11−289399号公報に開示されているように、モバイル端末装置へファクシミリ送信するときに、送信先利用者が携帯している携帯電話やページャ(ポケットベル)等へ事前にファクシミリ送信する旨を伝えることで、相手先にファクシミリ受信のための準備を促すようにしたものもある。
【0007】
ところが、モバイル端末装置側では、ファクシミリ送信する旨が伝えられても、例えば移動中といった場合のように、すぐに画情報の受信準備を行うことができない場合もあり得る。また、画像送信装置側でも、単にファクシミリ送信する旨を伝えるだけで、どの時点で画像送信装置側の受信準備が整ったかを確認することができない。したがって、例えば特開平11−289399号公報に開示されたような画像送信装置を用いた場合であっても、その通信相手の都合にかかわらず画情報の送信を開始する点は上述した場合と相違なく、結果として画情報の送信を完了できない可能性がある。
【0008】
しかも、画情報の送信を完了できなかった場合には、それまでの間に何度も周期的に画情報送信の試みを繰り返すので、画像送信装置側における処理負荷が多大となってしまう。また、モバイル端末装置側でも、何度も繰り返される画情報送信の試みが大きな負担になってしまうおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、モバイル端末装置に対して画情報を送信する場合であっても、そのモバイル端末装置側の受信準備が整っていなければ何度も送信動作を行うのを防止しつつ、そのモバイル端末装置への画情報の送信を確実に行うことのできる画像送信装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために案出された画像送信装置で、通信相手となる端末装置へ送信すべき画情報および当該端末装置に関する情報を管理する端末情報管理テーブルを記憶する記憶手段と、前記記憶手段が記憶している画情報を前記端末装置へ送信する送信手段と、前記記憶手段が記憶している端末情報管理テーブルを参照しつつ前記端末装置の端末種別が携帯型のものであるか否かを識別する識別手段と、前記端末装置へ画情報を送信する旨を通知して、これに対する当該端末装置からの応答結果に基づいて当該端末装置が画情報を受信する能力があるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において画情報を受信する能力がないと判断された場合に、前記端末装置が携帯型のものであると前記識別手段が識別すれば、当該端末装置に対する前記送信手段での送信動作を停止させ、その後に前記端末装置からの送信要求があると当該端末装置に対する前記送信手段での送信動作を再開させる送信制御手段を備え、前記送信制御手段は、前記端末装置からの送信要求が電子メールであった場合に、当該電子メールの内容を解釈し、その解釈結果に基づいて再開させる送信動作について設定されている送信条件の属性を更新することで、当該送信条件を可変させることを特徴とするものである。
【0011】
上記構成の画像送信装置によれば、送信手段が携帯型の端末装置へ画情報を送信する場合には、その端末装置が画情報を受信する能力があるか否かを判断手段が判断する。このときの判断手段による判断は、その端末装置へ通知した画情報を送信する旨に対する応答結果に基づいて行う。そして、端末装置に画情報を受信する能力がなければ、その端末装置に対する送信手段での送信動作を停止させ、その後に端末装置からの送信要求があると当該端末装置に対する送信動作を再開させる。したがって、送信手段は、端末装置に画情報を受信する能力がないにもかかわらず、何度もその端末装置への送信動作を繰り返し行ってしまうことがなくなる。しかも、端末装置からの送信要求が電子メールであった場合に、その電子メールの内容に応じて、端末装置への画情報の送信条件を可変させるので、当該端末装置の利用者に対する利便性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る画像送信装置について説明する。
【0013】
先ず、はじめに、本発明に係る画像送信装置が用いられるネットワークシステムについて説明する。図1は、本発明に係る画像送信装置が用いられるネットワークシステムの一例を示すシステム構成図である。図例のように、このネットワークシステムは、送信側部分10と受信側部分20とに大別される。
【0014】
送信側部分10は、複数のホスト装置11と、ファクシミリ装置(以下、単に「ファクシミリ」という)12と、プリンタ装置(以下、単に「プリンタ」という)13と、モデム装置(以下、単に「モデム」という)14と、これらを互いに接続するLAN(Local Area Network)15と、から構成されている。このうち、ファクシミリ12およびプリンタ13が、本発明に係る画像送信装置として機能し得るものである。
【0015】
ファクシミリ12は、送信側部分10と受信側部分20との間に結ぶ公衆回線網30に接続しているもので、原稿を光学的に走査して画情報(イメージデータ)を取得すると、その公衆回線網30を通じて、取得した画情報を受信側部分20へ送信するものである。
【0016】
プリンタ13は、ホスト装置11で生成された画像に関するデータを受け取ると、これを公衆回線網30を通じて送信可能な画情報(イメージデータ)に展開するとともに、その画情報をLAN15、モデム14および公衆回線網30を経由して受信側部分20へ送信するものである。すなわち、プリンタ13は、LAN15上において画情報転送サーバとして機能するようになっている。
【0017】
一方、これらファクシミリ12およびプリンタ13から画情報が送られてくる受信側部分20は、例えば、携帯電話21と、プリンタ22と、から構成されている。さらに、携帯電話21とプリンタ22との間は、専用(シリアル)ケーブルや無線LAN等によって互いに接続されている。これにより、携帯電話21は、ファクシミリ12またはプリンタ13からの画情報を受信して、これをプリンタ22へ転送し、そのプリンタ22にて印刷出力させるようになっている。
【0018】
つまり、携帯電話21は、本発明における携帯型の端末装置として機能するものである。ただし、受信側部分20は、例えば画像表示機能を有したノート型のパーソナルコンピュータが携帯電話21と接続したものであったり、携帯電話21以外の通信機能を有した情報携帯端末装置等であってもよい。ただし、携帯型の端末装置以外の通常のファクシミリ等であっても、送信側部分10からの画情報を受信し得ることは勿論である。
【0019】
次いで、以上のようなネットワークシステムにて用いられる、本発明に係る画像送信装置の概略構成について、ファクシミリ12の構成を例に挙げて説明する。図2は、本発明に係る画像送信装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図例のように、ファクシミリ12は、主に、入力装置12aと、補助記憶装置12bと、通信装置12cと、印刷装置12dと、記憶装置12eと、CPU(Central Processing Unit)12fと、を備えている。
【0021】
入力装置12aは、例えばスキャナ装置からなるもので、原稿を光学的に走査して、その原稿から画情報を読み取るものである。なお、画像送信装置がプリンタ13である場合には、この入力装置12aはなくてもよい。
【0022】
補助記憶装置12bは、例えばハードディスク装置からなるもので、入力装置12aが読み取った画情報をスプールデータとして記憶したり、後述する端末情報管理テーブルや送信ジョブ管理テーブル等の各種情報テーブルを記憶保持しているものである。
【0023】
通信装置12cは、例えば各種の通信インターフェースからなるもので、LAN15を介してホスト装置11と各種情報の授受を行ったり、補助記憶装置12b内の画情報についてのファクシミリ送信を公衆回線網30を通じて行ったり、公衆回線網30上の通信相手から送られる各種情報を受信するものである。
【0024】
印刷装置12dは、例えばプリンタエンジンからなるもので、入力装置12aで読み取った画情報、通信装置12cを介してホスト装置11から取得した画情報または通信装置12cを介して公衆回線網30上の通信相手からファクシミリ送信された画情報を、記憶用紙上に印刷出力するものである。
【0025】
記憶装置12eは、例えばROM(Read Only Memory)等の半導体メモリからなるもので、CPU12fが動作するのに必要となるプログラムを予め格納しているものである。
【0026】
CPU12fは、記憶装置12e内のプログラムを実行することにより、上述した各部、すなわちファクシミリ12全体の動作制御を行うものである。このCPU12fが行う動作制御の一例としては、詳細を後述するように、入力装置12aで読み取った画情報の受信側部分20への送信ジョブ制御がある。
【0027】
ここで、CPU12fが送信ジョブ制御を行う際に用いられる補助記憶装置12b内の各種情報テーブルについて説明する。先ず、情報テーブルの一つである端末情報管理テーブルについて説明する。図3は、本発明に係る画像送信装置における端末情報管理テーブルの一具体例を示す説明図である。
【0028】
端末情報管理テーブルは、画情報の送信先に関する情報を管理するアドレス帳として機能するもので、図3に示すように、「テーブル番号」、「端末識別設定」、「電話番号」、「メールフラグ」、「電子メールアドレス」等の項目からなるものである。これらの項目の内容は、事前に、あるいは画情報送信ジョブの発行時に、ファクシミリ12のユーザによって端末情報管理テーブル内に登録されるものとする。したがって、端末情報管理テーブルには、複数の送信先に関する情報に対応すべく、複数の「テーブル番号」が存在している。なお、登録可能件数に制限がある場合には、一旦登録された内容を使用頻度や登録期間等に応じて削除するようにすればよい。
【0029】
ところで、これらの項目のうち、「電話番号」は、画情報の送信先となる端末装置の電話番号(ファクシミリ番号)を表している。そして、「端末識別設定」は、その端末装置の端末種別によって異なるフラグであり、例えば携帯電話21のような携帯型の端末装置であれば後述する再発呼禁止端末としての指定のために「○」とされ、他は「×」とされるようになっている。なお、端末種別がユーザによって登録されなかった場合には、CPU12fが電話番号を基に、例えば「090」等で始まるような携帯電話番号であれば「○」と判断して、その旨を端末情報管理テーブル内に登録する。
【0030】
また、これらの項目のうち、「電子メールアドレス」は、画情報の送信先となる端末装置と関連のある電子メールアドレスを表している。これは、電子メールを受信可能な携帯電話の存在に対応したものである。そして、「メールフラグ」は、画情報の送信ジョブの実行時における電子メール送信の要否を表すフラグであり、「○」であれば発呼の代わりに電子メールを送信し、「◎」であれば発呼かつメール送信を行うことを表している。
【0031】
続いて、補助記憶装置12b内の他の情報テーブルである送信ジョブ管理テーブルについて説明する。図4は、本発明に係る画像送信装置における送信ジョブ管理テーブルの一具体例を示す説明図である。
【0032】
送信ジョブ管理テーブルは、CPU12fが処理すべき画情報送信ジョブの状態を管理するためのもので、図4に示すように、「ドキュメント名」、「状態」、「テーブル番号」、「ユーザ名」、「送信指定日時」等の項目からなるものである。これらの項目の内容は、画情報送信ジョブの発行時にCPU12fによって送信ジョブ管理テーブル内に登録され、その後画情報送信ジョブが完了するまでの間随時CPU12fによって更新され、画情報送信ジョブの完了時に送信ジョブ管理テーブル内から削除される。
【0033】
すなわち、CPU12fは、送信すべき画情報を識別するための「ドキュメント名」、その送信先となる端末装置に関する情報が登録されている端末情報管理テーブルの「テーブル番号」および画情報送信ジョブを発行した「ユーザ名」によって、処理すべき画情報送信ジョブを特定するとともに、「状態」の内容に応じてその画情報送信ジョブの状態を判断する。画情報送信ジョブの「状態」としては、画情報を送信可能であるがその送信を行っていない状態である「送信待ち」、送信時刻待ちの状態である「待機中」、送信先となる端末装置から受信可能状態になった旨を表す送信要求を待つ「受信待ち」、送信準備中の状態である「準備中」、送信操作が停止されている状態である「停止中」等がある。
【0034】
次に、以上のような補助記憶装置12b内の各種情報テーブルを参照しつつ、CPU12fが画情報送信ジョブを制御する場合の処理動作例について説明する。なお、ここでも、送信すべき画情報を入力装置12aで読み取って送信するファクシミリ動作を例に挙げて説明する。図5は、本発明に係る画像送信装置での特徴的な処理動作例を示すフローチャートである。
【0035】
図例のように、CPU12fは、先ず、補助記憶装置12b内の送信ジョブ管理テーブルを参照して、処理すべき画情報送信ジョブがあるか否かを調べる(ステップ101,以下ステップを「S」と略す)。そして、画情報送信ジョブが存在する場合には、その画情報送信ジョブが新規ジョブであれば(S102)、入力装置12aで送信すべき画情報を読み取って圧縮し(S103)、圧縮後の画情報を補助記憶装置12b内に格納させる(S104)。
【0036】
圧縮後画情報の格納後、CPU12fは、その画情報送信ジョブについて既に行っている再試行回数(リダイヤル回数)が規定回数を超えているか否かを調べ(S105)、規定回数を超えていた場合には操作パネル等からユーザに対してエラー通知を行い(S106)、補助記憶装置12b内に格納されている圧縮後画情報を削除して(S107)、ジョブ待ち状態に戻る(S101)。
【0037】
一方、規定回数を超えてなかった場合には、CPU12fは、補助記憶装置12b内の端末情報管理テーブルを参照しつつ、その画情報送信ジョブに係る送信先となる端末装置への発呼を行い、その端末装置との回線接続動作を試みる(S108)。その結果、回線接続できなければ(S109)、CPU12fは、再び上述した接続動作のための各ステップ(S105〜S108)を繰り返して行う。
【0038】
そして、回線接続できれば、CPU12fは、その回線接続した通信相手である端末装置への画情報の送信が可能であるか否かを判断する(S110)。この判断は、回線接続時における通信相手とのネゴシエーションにより、その通信相手の能力を問い合わせ、その通信相手からの応答結果を基に行えばよい。この判断の結果、画情報を送信できるようであれば、CPU12fは、その画情報を補助記憶装置12b内から取り出して通信装置12cおよび公衆回線網30を通じて端末装置へ送信し(S111)、再びジョブ待ち状態に戻る(S101)。
【0039】
ただし、例えば、通信相手とのネゴシエーションによりその通信相手に画情報の受信能力がないと分かった場合や、回線接続後の呼切断によりネゴシエーションが行えなかった場合のように、通信相手である端末装置への画情報の送信が可能でないと判断した場合には、CPU12fは、続いて、補助記憶装置12b内の端末情報管理テーブルを参照しつつ、その端末装置の端末種別が携帯型のものであるか否か、すなわち端末情報管理テーブルにおける「端末識別設定」が「○」であるか否かを調べる(S112)。そして、「端末識別設定」が「×」であれば、通信相手である端末装置は携帯型のものではないので、CPU12fは、再び上述した接続動作のための各ステップ(S105〜S111)を繰り返して行う。
【0040】
これに対して、「端末識別設定」が「○」であれば、通信相手である端末装置は再発呼禁止端末として指定された携帯型のものであることから、CPU12fは、その端末装置への画情報送信ジョブについて、送信ジョブ管理テーブルにおける「状態」の内容を「待機中」に変更して(S113)、再びジョブ待ち状態に戻る(S101)。
【0041】
これは、例えば、通信相手である端末装置が携帯電話21であった場合に、その携帯電話21との回線接続ができても、その携帯電話21がプリンタ22と接続状態になければ、画情報を受信することができないので携帯電話21側で呼切断すると考えられ、その場合に何度もその携帯電話21への画情報の送信動作を繰り返し行ってしまうことを防止するためである。つまり、CPU12fでは、例えば、通信相手である端末装置との回線接続が成立したのもかかわらず、その後直ちに呼切断され、しかもその端末装置が再発呼禁止端末として指定された携帯型のものである場合には、その端末装置での画情報の受信準備が整っていないと判断し、その端末装置への画情報の送信動作を停止する。これにより、その端末装置へ送信すべき画情報は補助記憶装置12b内に記憶されたままとなり、またその画情報送信ジョブについての「状態」は「待機中」に更新される。
【0042】
ところで、補助記憶装置12b内の端末情報管理テーブルには、通信相手である端末装置の「電話番号」のみならず、その端末装置の「電子メールアドレス」も登録されていることがある。したがって、この場合に、CPU12fは、端末情報管理テーブルの「メールフラグ」を参照しつつ、その端末装置との回線接続のための発呼に代わって電子メールを送信したり、あるいはその端末装置への発呼とメール送信との両方を行ったりする。
【0043】
図6は、本発明に係る画像送信装置が送信する電子メールの内容の一具体例を示す説明図である。図例のように、このときに送信する電子メールとしては、送信すべき画情報の内容を詳細に特定するためのもの、すなわち送信すべき画情報の「タイトル」、その「ジョブ番号」、「送信者」、「内容」等といった画情報の内容に関する情報と、送信すべき画情報の「転送先」、「送信時刻」、「受信確認」等といった応答用のメッセージとからなるものが考えられる。このような電子メールを送信することによって、通信相手側では、送信すべき画情報の内容を容易に特定し得るようになる。
【0044】
なお、電子メールの内容は、ファクシミリ12のユーザが書き込むようにしても、あるいはCPU12fが画情報送信ジョブの内容から判断して自動的に書き込むようにしてもよい。また、このような電子メールを発呼に代わって送信する場合には、その送信時点で通信相手との回線接続は行われないので、電子メールの送信後直ちにその画情報送信ジョブについての「状態」が「待機中」に変更されるものとする。
【0045】
ここで、画情報の送信先となる端末装置での処理動作例について簡単に説明する。ただし、ここでは、端末装置が携帯電話21である場合についてのみ説明する。
【0046】
ファクシミリ12から携帯電話21に対して回線接続のための発呼があった場合、携帯電話21側では、電源が入った状態であれば、その発呼を受けて回線接続を成立させる。ところが、そのときに携帯電話21がプリンタ22と接続状態になければ、携帯電話21側では画情報を受信することができないので、携帯電話21の利用者は、一旦成立した回線接続を呼切断した後、その携帯電話21とプリンタ22とを接続状態にし、ファクシミリ12からの画情報を受信可能な状態にする。
【0047】
そして、ファクシミリ12からの画情報を受信可能な状態になると、携帯電話21の利用者は、その携帯電話21からファクシミリ12に対して発呼する。つまり、携帯電話21側では、その携帯電話21をプリンタ22のモデムとして設定できた時点で、ファクシミリ12への発呼を行う。これにより、ファクシミリ12には、携帯電話21が画情報を受信可能になった旨、すなわち携帯電話21からの画情報の送信要求が伝えられることになる。
【0048】
ただし、ファクシミリ12から電子メールの送信があった場合は、携帯電話21では、ファクシミリ12に対する発呼を行うのではなく、送信された電子メールに対する返信メールを返送することによって、これを画情報の送信要求とするようにしてもよい。
【0049】
図7は、本発明に係る画像送信装置に対して返信される電子メールの内容の一具体例を示す説明図である。図例のように、このときに返信される電子メールとしては、送信すべき画情報の送信条件を詳細に特定するためのもの、すなわち送信すべき画情報の「タイトル」、その「ジョブ番号」等といった画情報を特定するための情報と、希望送信先の電話番号等の「転送先」、希望する「送信時刻」、「受信確認」等といった送信条件に関する情報とからなるものが考えられる。このような電子メールを返信することによって、携帯電話21側では、ファクシミリ12に対して画情報の送信条件を指示し得るようになる。
【0050】
次に、以上のような携帯電話21からの画情報の送信要求があった場合におけるファクシミリ12での処理動作例について説明する。図8は、本発明に係る画像送信装置での特徴的な処理動作例を示すフローチャートである。
【0051】
図例のように、ファクシミリ12では、「状態」が「待機中」である画情報送信ジョブが存在している場合、ジョブ待ち状態にある間は通信装置12cが常に公衆回線網30からの着呼を待っている(S201)。この着呼は、既に述べたように、画情報の送信先でその画情報の受信準備ができたことを意味する。
【0052】
そして、着呼待ちの状態で、公衆回線網30上からの着呼があると(S202)、CPU12fは、通信装置12cを介してその発呼元、例えば携帯電話21に関する情報(電話番号等)を、送信先相手情報として取得する(S203)。送信先相手情報を取得すると、続いて、CPU12fは、補助記憶装置12b内の端末情報管理テーブルおよび送信ジョブ管理テーブルを参照して、その送信先相手情報によって特定される通信相手への待機中ジョブがあるか否かを判断する(S204)。
【0053】
待機中ジョブがなければ、公衆回線網30上からの着呼は、通常のファクシミリ受信動作である可能性が高い。そのため、ファクシミリ12では、通信装置12cによる受信ドキュメントがあるか否かの判断を経た後に(S205)、受信ドキュメントがあれば、その受信処理を行って(S206)、印刷装置12dでその受信ドキュメントを出力する、といった通常のファクシミリ受信動作を行う。
【0054】
一方、待機中ジョブがあった場合には、CPU12fは、その待機中ジョブについて、送信ジョブ管理テーブルにおける「状態」の内容を「待機中」から「送信待ち」に変更して(S209)、それ以降、上述した場合と同様にして、その着呼元である携帯電話21に対するファクシミリ送信動作を行う(図5参照)。
【0055】
ただし、携帯電話21からの着呼がある前に、あるいは携帯電話21からの着呼に代わって、返信メールが届いていた場合には(S207)、CPU12fは、その返信メールの内容を解釈し、その解釈結果に基づいて「待機中」から「送信待ち」に変更する画情報送信ジョブの送信条件、すなわち例えばその画情報送信ジョブの「転送先」や「送信時刻」等といった属性を更新する。そして、それ以降、上述した場合と同様にして、その転送先に対するファクシミリ送信動作を行う(図5参照)。
【0056】
このように、CPU12fは、電子メールの応答を受けて画情報送信ジョブの状態の変更を行うようにすることも考えられる。なお、この場合、電子メールは、リアルタイムに受信できないため、CPU12fは、定期的にメールボックスを確認するほかに、着呼を受けた時点でメールボックスを確認するようにすればよい。
【0057】
以上のように、本実施形態で説明したファクシミリ12は、通信相手である携帯電話21が画情報を受信可能な状態になければ、その携帯電話21に対する画情報の送信動作を停止し、その後携帯電話21から送信要求としての着呼があれば、その携帯電話21への送信動作を再開させるようになっている。そのため、携帯電話21側での画情報の受信準備が整っていないにもかかわらず、何度もその携帯電話21への送信動作を繰り返し行ってしまうことがなくなる。さらには、画情報の送信動作を停止しても、携帯電話21での受信準備が整った段階で送信動作を再開するので、これによりその携帯電話21への画情報の送信を確実に完了させることができる。
【0058】
したがって、このファクシミリ12を用いれば、携帯電話21等のモバイル端末装置に対して画情報を送信する場合であっても、そのモバイル端末装置側の受信準備が整っていなければ何度も送信動作を行ってしまうのを防止しつつ、そのモバイル端末装置への画情報の送信を確実に行うことのできるので、従来のように送信側部分10側での処理負荷が多大となったり、受信側部分20に大きな負担を与えてしまうといったことがなくなる。
【0059】
ところで、本実施形態のファクシミリ12では、送信動作の停止中、すなわち待機中ジョブについての画情報が補助記憶装置12b内に記憶される。ただし、例えば長期間にわたって待機中ジョブが存在していると、補助記憶装置12b内の記憶容量を圧迫することになる。したがって、ファクシミリ12では、所定期間を経過しても送信要求がない待機中ジョブについては、その待機中ジョブに関する情報およびその待機中ジョブについての画情報を、CPU12fが補助記憶装置12b内から削除することで、補助記憶装置12b内の記憶容量が必要以上に圧迫されるのを防ぐようにしてもよい。このとき、補助記憶装置12b内からの削除は、所定期間の経過を条件に行うのではなく、例えば使用記憶容量が所定量を超えた場合に古いものから順に削除することも考えられる。
【0060】
また、本実施形態のファクシミリ12では、通信相手である端末装置が携帯電話21であるか否かを識別しているので、その通信相手がモバイル端末装置であることを的確に識別することができ、通信相手がモバイル端末装置であるがゆえに発生し得る無駄な送信動作の繰り返し等を確実に防止できるようになる。
【0061】
しかも、本実施形態のファクシミリ12では、携帯電話21であるか否かの識別を電話番号に基づいて行っているので、非常に容易かつ迅速にその識別を行うことができる。ただし、発呼に代わって電子メールを送信する場合には、予め電子メールアドレスが登録されている端末情報管理テーブルを参照しつつ、送信先の電子メールアドレスに対応する電話番号を認識することで、その送信先が携帯電話21であるか否か識別すればよい。
【0062】
なお、本実施形態では、ファクシミリ12が本発明に係る画像送信装置として機能する場合を例に挙げて説明したが、プリンタ13が本発明に係る画像送信装置として機能する場合についても、画情報等の授受がLAN15およびモデム14を経由する以外は全く同様である。
【0063】
ただし、画像送信装置がファクシミリ12とプリンタ13とのいずれであっても、本実施形態のように画像送信装置を直接公衆回線網30に接続するのではなく、インターネットを介して接続すれば、接続料金を安くできるという利点が得られる。この場合は、情報授受の際に使用するプロトコルを、例えばインターネットファクシミリ、IPP(Internet Print Protocol)等といったインターネットに適したものとすればよい。
【0064】
また、本実施形態では、通信相手である端末装置へ画情報を送信する旨を電子メールにて通知する場合についても説明したが、このようにすれば端末装置側でその画情報についての情報を多く得られるようになるので、例えばどの時点で受信するか等の判断が容易となり、結果として端末装置側の利用者に対する利便性が向上する。しかも、本実施形態では、その電子メールに対する返信メールの内容に応じて、ファクシミリ12のCPU12fが端末装置側への画情報の送信条件を可変させる場合についても説明したが、このようにすれば端末装置側の利用者に対する利便性がより一層向上することになる。
【0065】
また、本実施形態では、携帯電話21をプリンタ22のモデムとして使用する場合を例に挙げて説明したが、この場合、ファクシミリ12等の画像送信装置は、画情報を携帯電話21に送信し、その携帯電話21が受信した画情報をプリンタ22に転送することによって印刷を行うので、プリンタ22に対する細かな設定を省くことができる。したがって、画情報の送信にあたって、プリンタ22に設定されているIP(Internet Protocol)アドレス等を使用しないので、セキュリティの問題から印刷できないといったことも避け得るようになる。
【0066】
さらには、携帯電話21では表示できないHTML(Hyper Text Markup Language)ファイルやPDF(Portable Document Format)ファイル等が見たい場合であっても、その携帯電話21でWWW(World Wide Web)サーバ等からHTMLファイルを入手しながら、これを印刷データとしてプリンタ22に転送するといったことも行える。そして、プリンタ22が転送されたファイルをイメージメモリ等に展開して印刷を行えば、イメージ等表示できないような携帯電話21を用いてHTMLファイルやPDFファイル等を取得することが可能になる。
【0067】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の画像送信装置は、通信相手である端末装置に画情報を受信する能力がなければ、その端末装置に対する画情報の送信動作を停止させるようになっている。そのため、モバイル端末装置に対して画情報を送信する場合であっても、その端末装置側の受信準備が整っていなければ何度も送信動作を繰り返してしまうことがない。したがって、この画像送信装置を用いれば、送信側での処理負荷が多大となるのを防ぎつつ、モバイル端末装置に対して容易に画情報を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像送信装置が用いられるネットワークシステムの一例を示すシステム構成図である。
【図2】 本発明に係る画像送信装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図3】 本発明に係る画像送信装置における端末情報管理テーブルの一具体例を示す説明図である。
【図4】 本発明に係る画像送信装置における送信ジョブ管理テーブルの一具体例を示す説明図である。
【図5】 本発明に係る画像送信装置での特徴的な処理動作例を示すフローチャート(その1)である。
【図6】 本発明に係る画像送信装置が送信する電子メールの内容の一具体例を示す説明図である。
【図7】 本発明に係る画像送信装置に対して返信される電子メールの内容の一具体例を示す説明図である。
【図8】 本発明に係る画像送信装置での特徴的な処理動作例を示すフローチャート(その2)である。
【符号の説明】
11…ホスト装置、12…ファクシミリ、12b…補助記憶装置、12c…通信装置、12f…CPU、13…プリンタ、14…モデム、21…携帯電話、22…プリンタ
Claims (10)
- 通信相手となる端末装置へ送信すべき画情報および当該端末装置に関する情報を管理する端末情報管理テーブルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している画情報を前記端末装置へ送信する送信手段と、
前記記憶手段が記憶している端末情報管理テーブルを参照しつつ前記端末装置の端末種別が携帯型のものであるか否かを識別する識別手段と、
前記端末装置へ画情報を送信する旨を通知して、これに対する当該端末装置からの応答結果に基づいて当該端末装置が画情報を受信する能力があるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において画情報を受信する能力がないと判断された場合に、前記端末装置が携帯型のものであると前記識別手段が識別すれば、当該端末装置に対する前記送信手段での送信動作を停止させ、その後に前記端末装置からの送信要求があると当該端末装置に対する前記送信手段での送信動作を再開させる送信制御手段を備え、
前記送信制御手段は、前記端末装置からの送信要求が電子メールであった場合に、当該電子メールの内容を解釈し、その解釈結果に基づいて再開させる送信動作について設定されている送信条件の属性を更新することで、当該送信条件を可変させる
ことを特徴とする画像送信装置。 - 前記端末装置からの送信要求が所定期間を経過してもなければ、当該端末装置へ送信すべき画情報を前記記憶手段内から削除する記憶制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像送信装置。
- 前記識別手段は、前記端末装置が携帯電話機であるか否かを識別するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像送信装置。
- 前記識別手段は、前記端末装置の端末種別の識別を、当該端末装置に係る電話番号に基づいて行うことを特徴とする請求項3記載の画像送信装置。
- 前記識別手段は、前記端末装置の端末種別の識別を、当該端末装置に係る電子メールアドレスが予め登録されているアドレステーブルに基づいて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像送信装置。
- 前記画像送信装置がファクシミリ装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像送信装置。
- 前記画像送信装置が画情報転送サーバ装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像送信装置。
- 前記送信手段は、インターネットを介して前記端末装置への画情報の送信を行うものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像送信装置。
- 前記判断手段は、前記端末装置へ画情報を送信する旨を電子メールにて通知するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像送信装置。
- 前記送信手段は、画情報を画像出力装置に転送する機能を有した端末装置に対して画情報の送信を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像送信装置。
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