JP4005772B2 - 導電ペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド膜、プリント回路などの配線、カーボン抵抗器などの電極などとして有用なファインライン印刷が可能で、導電性の高い皮膜を形成できる導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子デバイスの配線や電極などに使用する導電ペーストとしては、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀−パラジウム(Ag-Pd)などの金属ペーストが用いられてきた。そして、導電性ペーストには、2つのタイプ、すなわち、金属粉末と少量のガラスフリット、樹脂結合剤(バインダー)および溶剤とからなり、成膜後乾燥し、高温で焼成することにより樹脂バインダーを焼失し、ガラスフリットおよび/または含有金属粉末を溶融させることにより膜付けする第1のタイプと、金属粉末と樹脂バインダーと溶剤からなり、成膜後乾燥して膜付けするもの、即ち樹脂バインダー中に金属粉末を含有せしめ、金属粉末の粒子間接触により導電性を付与するもので成膜後も樹脂バインダーが残留する第2のタイプとが含まれる。
【0003】
前記2つのタイプの導電ペーストの中で、後者の低温成膜タイプ(樹脂型タイプ)は、低温で成膜できるためプラスチックなどの基材にも導電膜を形成できるという利点があるが、その導電性は導電粒子の粒子間接触により得られるため、一般的に前者の高温成膜タイプに比べ膜の比抵抗は2桁程高い。そこで、粒子の形状、大きさ、粒度分布および樹脂バインダーとの配合比率などを最適化させることにより、得られる膜の導電性を高める検討がなされている。その主な方策としては、比較的大きな粒径(数10ミクロン)のフレーク状の粒子を配合して、膜形成時の粒子同士の接触部位の減少と粒子間接触の接触面積の増大を図ることがなされている。これは、膜内抵抗は粒子内抵抗と粒子間抵抗に分かれるが、抵抗値の高い粒子間抵抗を低減するために、粒子径を大きくして接触部位を減らそうとするものである。
【0004】
しかし、近年、プリント回路の配線用途などでは、数10ミクロンといった細かな配線パターンが要求されるようになってきた。これに対し、粒子径を大きくして粒子間抵抗を低減させる従来の方法では確かに膜の導電性は向上するものの、スクリーン印刷法によりライン印刷を行う場合に、ペースト中に内包する導電粒子が大きいことおよび形状がフレーク状(偏平状)であることのため、メッシュの細かい紗を用いた場合や、数10ミクロンといったファインラインの印刷成膜を行なおうとする場合に目詰まりを起こし、所望するファインラインの印刷は困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、優れた導電性をもつと共に、従来困難であった数10μmのファインライン成膜を可能とする導電ペーストを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt、Au、Pt、Pd、Cu、Niの中から選ばれた少なくとも1種の導電性金属粒子、有機結合剤、溶剤からなるスクリーン印刷用導電ペーストにおいて、該導電性金属粒子の平均粒径が0.2〜5μmであり、かつ、該導電ペーストが、さらに、該導電性金属粒子の表面電荷と同符号である正の表面電荷を有し、かつ、吸油量が0.5ml/g以上、比表面積が50m2/g以上である超微粒子を、導電ペースト中の全固形分に対して3〜20体積%含有することを特徴とする導電ペーストが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の導電ペーストに用いられる導電性金属粒子は、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt、Au、Pt、Pd、Cu、Niの粒子の中から選ばれる。導電性金属粒子の形態は格別限定されるものではない。導電性金属粒子の平均粒径は0.2〜5μmである。導電性金属粒子の配合量は、導電ペースト中の全固形分に対して50〜70体積%であることが好ましい。導電性金属粒子の平均粒径が0.2μm未満であったり、その配合量が過少であると十分な導電性が得られない。逆に、導電性金属粒子の平均粒径が5μmを超えるとファインラインの印刷が困難になる。また、導電性金属粒子の配合量が過大であると導電膜の付着力が低くなる。
【0008】
また、有機結合剤としては、蒸発乾燥型あるいは熱硬化型の樹脂が用いられ、従来、前記第2のタイプ(樹脂型タイプ)の導電性ペーストの調製に用いられていた樹脂バインダーが使用できる。樹脂バインダーとしては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、エチルセルロースなどのセルロース誘導体系、フェノール系、エポキシ系の樹脂が挙げられる。バインダーの使用量は、導電膜の付着力、導電性およびファインライン印刷適性のバランスのうえから、導電ペースト中の全固形分に対して20〜40体積%であることが好ましい。溶剤としては、スクリーン印刷用として比較的高沸点で蒸気圧の高い溶剤が用いられ、例えばブチルカルビトールアセテート、テルピネオール、エチルカルビトール、メンタノールなどが挙げられる。
【0009】
本発明の導電ペーストでは、導電ペースト中に含有される上記導電性粒子の表面電荷と同符号である表面電荷を有し、かつ吸油量が0.5ml/g以上で、比表面積が50m2/g以上である超微粒子を導電ペースト中に含有させる。導電性金属粒子および超微粒子の表面電荷は、水中に懸濁させ直流電圧を負荷した際の粒子移動(電気泳動)方向により簡易に測定することができる。表面正電荷を有する超微粒子としては、例えば、アルミナ、マグネシア、酸化亜鉛などが挙げられる。導電性金属粒子と異符合である負の表面電荷を有する超微粒子を用いた場合は、超微粒子は導電性金属粒子の表面にヘテロ凝集するため、導電性金属粒子間の接触を妨げ導電性を悪化させる。
【0010】
ここで吸油量とは、超微粒子を含有させる導電ペースト中の溶剤を使用し、JIS K5101に準拠して測定した値をいう。このような超微粒子を含有させることにより、成膜後乾燥時にヘテロ凝集を起こさせることなく乾燥収縮を助長させることができ、これにより粒子間接触を強固のものとし、結果として膜の導電性を向上させることができる。吸油量が0.5ml/g未満であると、乾燥収縮効果が発揮されず、印刷ラインの巾が大きくなる。吸油量は1ml/g以上であることが好ましい。吸油量に格別上限はないが、一般に、入手し易さ、取扱性からみて吸油量5ml/g以下のものが好ましく用いられる。
使用される超微粒子の比表面積は50m2/g以上、好ましくは100m2/g以上である。比表面積が50m2/g未満であると、乾燥収縮効果が小さく、印刷ラインの巾が大きくなる。比表面積に格別上限はないが、一般に、入手し易さ、取扱性からみて比表面積1,000m2/g以下のものが好ましく用いられる。
また、使用される超微粒子の粒径は格別重要ではないが、概して、吸油量および比表面積と関連を有し、吸油量0.5ml/g以上、比表面積50m2/g以上の超微粒子には、通常一次粒子径0.1μm以下のものが多い。好ましい一次粒子径は0.01〜0.1μmの範囲である。
【0011】
また、該超微粒子は、導電ペースト中の全固形分に対して3〜20体積%となるように配合する。5〜10体積%配合することが好ましい。3体積%より少ないと超微粒子配合による乾燥収縮が小さくなり、このため導電粒子間接触を強化することができず、膜の導電性向上の効果を発揮することができない。また、20体積%を超えると乾燥収縮効果は向上するが配合超微粒子量が多すぎて逆に導電粒子間接触が阻害される。
【0012】
これらの導電性金属粒子、有機結合剤、溶剤、導電性粒子の表面電荷と同符号の表面電荷を有し、かつ、吸油量が0.5ml/g以上、比表面積が50m2/g以上である超微粒子を常法に従って混合することにより本発明の導電ペーストが得られる。例えば、有機結合剤を溶剤に加え、加熱、攪拌して溶解し、この溶液に所定量の導電性金属粒子、所定量の導電性粒子の表面電荷と同符号の表面電荷を有し、かつ、吸油量が0.5ml/g以上、比表面積が50m2/g以上である超微粒子および必要に応じ溶剤を配合し、予備混錬を行った後、3本ロールミルを用いて均一混錬、分散することにより、導電ペーストが得られる。
【0013】
(実施例1)
銀粉(同和鉱業製、Ag-1S、平均粒子径:0.9μm、形状:粒状)59.88重量部とアルミナ超微粒子(日本エアロジル製、Al2O3-C、平均一次粒子径:13nm、比表面積:100m2/g)2.76重量部をエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液28.24重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール9.12重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉、アルミナ超微粒子およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、10体積%および30体積%であった。
用いた銀粉およびアルミナ超微粒子は電気泳動試験より測定したところ表面正電荷を有していた。また、アルミナ超微粒子のテルピネオール吸油量は1.32ml/gであった。
【0014】
この導電ペーストを用い125μm厚の透明ポリエチレンテレフタレートフィルム上に下記のスクリーン印刷試験を行った。
スクリーンマスク:メッシュ:ST-400、乳剤厚:10μm、枠サイズ:320mm×320mm、マスクパターン構造:▲1▼ライン幅/スペース幅(μm)=30/30、40/40、50/50、60/60、70/70、80/80、100/100、120/120、150/150、200/200の縦横ストライプライン、▲2▼100mm×100mmのベタパターン
印刷機:マイクロ・テック製スクリーン印刷機、MT−320
印刷条件:クリアランス:2mm、印圧:3kg/cm2、背圧:1.3kg/cm2、スキージ速度:20mm/sec、スキージゴムアタック角度:70°、スクレッパ圧:2.5kg/cm2、スクレッパ速度:30mm/sec
乾燥条件:150℃に設定したオーブン中に10分間投入し乾燥した。
印刷膜の評価:得られたストライプライン印刷画像を光学顕微鏡にて観察し、印刷ダレやペーストの目詰まりによるスペース部分の欠如やライン切れがなくなるL/S(ライン幅/スペース幅)値の下限値を解像度とした。また、表面粗さ計による膜厚測定と4探針法によるシート抵抗値測定により膜の比抵抗を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0015】
(実施例2)
銀粉(同和鉱業製、Ag-1S、平均粒子径:0.9μm、形状:粒状)59.08重量部とアルミナ超微粒子(日本エアロジル製、Al2O3-C、平均一次粒子径:13nm、比表面積:100m2/g)4.89重量部をエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液20.42重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール15.60重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉、アルミナ超微粒子およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、18体積%および22体積%であった。
用いた銀粉およびアルミナ超微粒子は電気泳動試験より測定したところ表面正電荷を有していた。また、アルミナ超微粒子のテルピネオール吸油量は1.32ml/gであった。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1に示す。
【0016】
(実施例3)
銀粉(同和鉱業製、Ag-1S、平均粒子径:0.9μm、形状:粒状)60.61重量部とアルミナ超微粒子(日本エアロジル製、Al2O3-C、平均一次粒子径:13nm、比表面積:100m2/g)0.84重量部をエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液35.24重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール3.32重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉、アルミナ超微粒子およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、3体積%および37体積%であった。
用いた銀粉およびアルミナ超微粒子は電気泳動試験より測定したところ表面正電荷を有していた。また、アルミナ超微粒子のテルピネオール吸油量は1.32ml/gであった。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1に示す。
【0017】
(実施例4)
金粉(昭栄化学工業製、Au-314、平均粒子径:1.2μm、形状:粒状)73.29重量部とアルミナ超微粒子(日本エアロジル製、Al2O3-C、平均一次粒子径:13nm、比表面積:100m2/g)1.84重量部をエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液18.81重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール6.06重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉、アルミナ超微粒子およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、10体積%および30体積%であった。
用いた金粉およびアルミナ超微粒子は電気泳動試験より測定したところ表面正電荷を有していた。また、アルミナ超微粒子のテルピネオール吸油量は1.32ml/gであった。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1に示す。
【0018】
(比較例1)
銀粉(同和鉱業製、Ag-1S、平均粒子径:0.9μm、形状:粒状)59.88重量部とエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液37.65重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール4.56重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、40体積%である。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1に示す。
【0019】
(比較例2)
銀粉(同和鉱業製、FA-6-7、平均粒子径:8.5μm、形状:フレーク状)59.88重量部とエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液37.65重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール4.56重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、40体積%であった。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1示す。
【0020】
(比較例3)
銀粉(同和鉱業製、Ag-1S、平均粒子径:0.9μm、形状:粒状)59.88重量部とシリカ超微粒子(日本エアロジル製、AEROSIL130、平均一次粒子径:16nm、比表面積:130m2/g)2.09重量部をエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液28.24重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール9.12重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉、シリカ超微粒子およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、10体積%および30体積%であった。
電気泳動試験より測定したところ、用いた銀粉は表面正電荷を有し、シリカ超微粒子は表面負電荷を有していた。また、シリカ超微粒子のテルピネオール吸油量は2.12ml/gであった。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例4)
銀粉(同和鉱業製、Ag-1S、平均粒子径:0.9μm、形状:粒状)58.68重量部とアルミナ超微粒子(日本エアロジル製、Al2O3-C、平均一次粒子径:13nm、比表面積:100m2/g)5.94重量部をエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液16.60重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール18.77重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉、アルミナ超微粒子およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、22体積%および18体積%であった。
用いた銀粉およびアルミナ超微粒子は電気泳動試験より測定したところ表面正電荷を有していた。また、アルミナ超微粒子のテルピネオール吸油量は1.32ml/gであった。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1に示す。
【0022】
(比較例5)
銀粉(同和鉱業製、Ag-1S、平均粒子径:0.9μm、形状:粒状)59.88重量部とアルミナ微粒子(大明化学工業製、TM-DR、平均一次粒子径:100nm、比表面積:15m2/g)2.76重量部をエチルセルロース(日新化成製、EC(100cP))11.11重量%のテルピネオール溶液28.24重量部に配合、予備混錬し、さらにテルピネオール9.12重量部を添加し、3本ロールミルにより十分混錬して導電ペーストを得た。
ペースト中の固形分は全ペースト中の20体積%であり、固形分中の銀粉、アルミナ超微粒子およびエチルセルロースはそれぞれ60体積%、10体積%および30体積%である。
用いた銀粉およびアルミナ微粒子は電気泳動試験より測定したところ表面正電荷を有し、アルミナ微粒子のテルピネオール吸油量は0.25ml/gであった。
得られたペーストを用い実施例1と同様に印刷試験を行い、得られた印刷膜の評価をした。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1〜4に示されるように、本発明の導電ペーストを用いると40〜50μmのファインラインの印刷が可能となり、しかも導電性も比抵抗値として約1×10−4 という優れた導電性が得られる。
一方、比較例1の粒状の銀粉のみを使用し、吸油量の大きい超微粒子を配合しない導電ペーストでは、得られるラインの幅が60μmと大きくなり、求められる細いライン幅を得ることができず、また導電性も2×10−4 と低下する。また、比較例2では、平均粒子径の大きいフレーク状の銀粉を使用したために導電性は、要求特性を満足するものとなっているが、得られるラインの幅が120μmとなり、また、吸油量の大きい超微粒子を含まないため、求められる細いライン幅を得ることはできない。比較例3では、表面正電荷をもつ銀粉に対し、表面負電荷をもつシリカ超微粒子を導電ペースト中に含有させたため、得られるラインの幅が大きくなると共にシリカ超微粒子が導電粒子の表面にヘテロ凝集し導電粒子間の接触を妨げるため、導電性が悪化している。比較例4では、吸油量の大きいアルミナ超微粒子を22体積%と多量に配合したため、乾燥収縮効果は向上し、得られるラインの幅は40μmとなっているが、配合超微粒子量が多すぎて逆に導電粒子間接触が阻害されるため導電性が大きく悪化している。比較例5では、吸油量の少ないアルミナ粒子を使用したため、乾燥収縮効果が発揮されず、得られるラインの幅が100μmと解像度が大きく劣っている。
【0025】
【発明の効果】
導電性金属粒子、有機結合剤、溶剤からなるスクリーン印刷用導電ペーストにおいて、本発明に従って、導電性金属粒子として平均粒径の小さなものを用い、かつ、さらに、吸油量の大きい超微粒子を導電ペースト中に配合することによって、優れた導電性をもつとともに、従来困難であった数10μmのファインライン成膜が可能な導電ペーストが得られる。
Claims (2)
- Ag、Ag−Pd、Ag−Pt、Au、Pt、Pd、Cu、Niの中から選ばれた少なくとも1種の導電性金属粒子、有機結合剤、溶剤からなるスクリーン印刷用導電ペーストにおいて、該導電性金属粒子の平均粒径が0.2〜5μmであり、かつ、該導電ペーストが、さらに、該導電性金属粒子の表面電荷と同符号である正の表面電荷を有し、かつ、吸油量が0.5ml/g以上、比表面積が50m2/g以上である超微粒子を、導電ペースト中の全固形分に対して3〜20体積%含有することを特徴とする導電ペースト。
- 前記超微粒子が、アルミナ、マグネシアおよび酸化亜鉛の中から選ばれたものである請求項1に記載の導電ペースト。
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