JP4005688B2 - 4サイクルエンジン用鍛造ピストン - Google Patents

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    • F01M1/08Lubricating systems characterised by the provision therein of lubricant jetting means
    • F01M2001/086Lubricating systems characterised by the provision therein of lubricant jetting means for lubricating gudgeon pins
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F2200/00Manufacturing
    • F02F2200/04Forging of engine parts

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4サイクルエンジン用鍛造ピストンに関し、特に鍛造時にピンボス部とスカート部とを連結するリブ部に欠肉が発生するのを防止してピンボス部,スカート部の剛性を高めることができるようにしたピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から4サイクルエンジン用鍛造ピストンとして、略円盤状のヘッド部の下面の左右側部から左右一対のピンボス部を下方に突設するとともに、該ヘッド部の外周縁の左右ピンボス部間から前後一対のスカート部を上記ピンボス部の下端より下方に延びるように設け、該スカート部と上記ピンボス部とを連結する前後左右4箇所のリブ部を上記ヘッド部の下面から下方に延びるように設けたものがある。
【0003】
上記前後左右のリブ部は、エンジン運転中の爆発力や慣性力に起因してシリンダ壁からスカート部に作用する反力,コンロッドからピンボス部に作用する反力や作用力等によりスカート部,ピンボス部が前後方向あるいは左右方向に変形するのを防止するためのものであり、さらに爆発力によるヘッド部の変形によりピンボス部の下端部が左右に開くように変形するのを防止するためのものである。即ち、上記リブ部は主としてピストンのスカート部,ピンボス部の剛性を高めるためのものである。
【0004】
上記リブ部は、上記スカート部,ピンボス部の剛性を高めるという本来の目的を達成できるように、ヘッド部の下面からスカート部,ピンボス部の下端縁まで延びるように、可能な限り広い面積に渡って形成される。そのため、従来、上記リブ部は、その下端縁がスカート部,ピンボス部との接続部同士を直線状に結ぶ形状となるように形成するのが一般的である。一方、エンジンの高速回転を可能にするにはピストンの軽量化が重要であり、上記リブ部は軽量化を図るために可能な限り薄肉に形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記鍛造ピストンは、アルミニュウム合金等からなる鍛造ピストン用素材を相対移動可能な雄金型,雌金型間に配置し、両金型の相対移動により所定のピストン形状に加圧成形した鍛造成形品に、ヘッド部及びスカート部外周面の仕上げ、ヘッド部外周面のリング溝形成、さらには左右のピンボス部を貫通するピストンピン穴形成等の機械加工を施し、必要に応じて表面処理や熱処理等を施すことにより製造される。
【0006】
上記リブ部の成形工程を詳細に観察すると、素材を金型で加圧するに伴って、上下の金型の間の鍛造後リブ部となる空隙にヘッド部,ピンボス部,スカート部から素材が流れ込みリブ部が形成される。
【0007】
ところが上記リブ部は軽量化のために可能な限り薄肉に形成されており、しかも上記従来の鍛造ピストンのようにその下端縁が直線状に形成されていることから、上記素材の流れ込みにおいて、ヘッド部,ピンボス部,スカート部の何れからも遠い部分、つまりリブ部下端縁の中央部(ピンボス部とスカート部との中間部)には上記素材が流れ込み難い。
【0008】
そのため鍛造工程における加圧力が小さい場合は欠肉が発生する懸念があり、しかもこの欠肉の発生状況は一定でなくばらつきがある。仮に切り欠き形状の欠肉が発生した場合には応力集中が発生し易く、エンジン運転時にリブ部が破損し、スカート部,ピンボス部の変形が生じる恐れがある。これを防止するためには上記加圧力を大きくする必要があり、その結果鍛造装置の大型化をまねく問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたもので、鍛造時の加圧力を大きくすることなくリブ部の欠肉の発生を防止でき、欠肉に起因するスカート部,ピンボス部の剛性の低下を防止できる4サイクルエンジン用鍛造ピストンを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、少なくともSiを11〜13重量%含有する鍛造用アルミニウム合金素材を用いた内燃機関用鍛造ピストンであって、略円盤状のヘッド部と、該ヘッド部の外周部から下方に突設する左,右一対のピンボス部と、上記ヘッド部の外周縁から上記ピンボス部の下端よりも下方に延びている前,後一対のスカート部と、該前,後スカート部の左端部と左側のピンボス部とをそれぞれ連結し、上記ヘッド部から下方に延びている前,後一対の左側のリブ部と、上記前,後スカート部の右側端部と右側のピンボス部とをそれぞれ連結し、上記ヘッド部から下方に延びている前,後一対の右側のリブ部とを備え、上記各リブ部の下端縁の、上記ピンボス部との接続部からボス側中間部までのボス側部分をピストン上面までの寸法H1が一定か又は上記ボス側中間部側ほど増加するように形成し、上記各リブ部の下端縁の、上記スカート部との接続部からスカート側中間部までのスカート側部分をピストン上面までの寸法H2が一定か又は上記スカート側ほど増加するように形成し、上記各リブ部の下端縁の、上記ボス側部分とスカート側部分との間の中央部分を略円弧状の凹状に形成し、かつ上記スカート側部分のピストン上面までの寸法H2をボス側部分のピストン上面までの寸法H1より大きくし、かつ中央部分の最も凹んでいる部分のピストン上面までの寸法H0を上記スカート側部分の寸法H2及びボス側部分の寸法H1よりも小さくしたことを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、上記鍛造用アルミニウム合金素材は、さらにCuを3.5〜4.5重量%、Mgを0.4〜0.6重量%、Feを0.15〜0.35重量%、Mnを0.15〜0.35重量%、Crを0.1〜0.3重量%含有することを特徴としている。
【0012】
【発明の作用効果】
請求項1の発明によれば、リブ部24a,24bの下端縁24cの上記ボス側部分24dに続く中央部分24fをピストン上面までの寸法Hが上記ボス側部分24dより小さい凹状に形成したので、鍛造工程でのピストン素材の流れ込みにおいて、上記中央部分24fのヘッド部,ピンボス部,スカート部からの流れ込み距離の大きさ(遠さ)を緩和でき、該中央部分24fを鍛造用金型の型面形状通りに成形することが可能であり、該下端縁の中央部分24fに欠肉が発生するのを防止できる。そのためエンジン運転時にリブ部が破損したり、スカート部,ピンボス部が変形したりするのを防止でき、加圧力を大きくする必要がなく、鍛造装置の大型化をまねくことがない。
【0013】
またリブ部24a,24bの下端縁24cのボス側部分24d及びスカート側部分24eの両方を中央部分24fより下方に延長したので、リブ24a,24bのボス側部分24d及びスカート側部分24e自体の面積が大きくなり、この点からピンボス部22a,22b部分及びスカート部23a,23b部分の剛性をさらに高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図10は本発明の一実施形態による4サイクルエンジン用鍛造ピストンを説明するための図であり、図1は該ピストンを備えた4サイクルエンジンの断面側面図、図2は該ピストンの平面図、図3は一部断面側面図、図4は断面側面図、図5は一部断面底面図、図6,図7は模式図、図8,図9は鍛造装置の断面模式図、図10は鍛造工程を説明するための模式図である。なお、本実施形態における前後左右とは、エンジンを吸気側から見たときの前後左右の意味である。
【0016】
図1において、1は本実施形態ピストンを備えた自動二輪車用エンジンである。該エンジン1は水冷式並列4気筒5バルブエンジンであり、クランクケース2上にシリンダボディ3,シリンダヘッド4を積層してヘッドボルト5で結合し、該シリンダヘッド4の上側合面4gにヘッドカバー6を被せた概略構造を有し、クランク軸を車幅方向に向けて車体フレームに搭載される。
【0017】
上記シリンダボディ3に圧入によりあるいは鋳込みにより挿入配置されたシリンダライナ7のシリンダボア7a内にはピストン20が摺動自在に挿入配置されており、該ピストン20はコンロッド8により図示しないクランク軸に連結されている。
【0018】
また上記シリンダヘッド4のシリンダボディ側合面4aには上記シリンダボア7a,ピストン20の上面とで燃焼室Bを形成する略半球状のヘッド側燃焼凹部4bが凹設されている。該燃焼凹部4bには2つの排気弁開口4i,3つの吸気ポート4jが略シリンダボア7aの外周に沿うように開口しており、該各開口4i,4jはそれぞれ排気ポート4c,吸気ポート4dによりシリンダヘッド4の前側壁4e,後側壁4fに導出されている。また上記燃焼凹部4bの略中央に点火プラグ29の電極が臨んでいる。さらにまた、図示していないが上記吸気ポート4dの外方接続開口4hには気化器が接続されている。なお上記吸気ポート4dに燃料噴射弁を装着し、吸気弁10の傘部10aの裏面に向けて燃料を噴射するようにしても良い。
【0019】
上記排気ポート4c,吸気ポート4dの燃焼室側開口4i,4jはそれぞれ2本の排気弁9,3本の吸気弁10の傘部9a,10aにより開閉可能となっており、該各排気弁9,各吸気弁10はバルブスプリング11a,11bで閉方向に付勢されている。また上記各排気弁9,吸気弁10は上端に装着されたバルブリフタ12a,12bを介して排気カム軸13a,吸気カム軸13bで開閉駆動される。
【0020】
ここで、上記3本の吸気弁10のうち中央の吸気弁は図1に示す左右の吸気弁10よりシリンダボア軸線となす角度が小さくなるように、つまりより起立させた状態に配置されている。これにより上記ヘッド側燃焼凹部4bの表面形状をより球面形状に近づけるとともに、燃焼室容積を小さくして圧縮比を高めており、さらにまた後述するようにピストン頂面のリセス部の深さを浅くしている。
【0021】
上記ピストン20は、略円盤状のヘッド部21と、該ヘッド部21の下面の左右外側部分から下方に一体に突設する左,右一対のピンボス部22a,22bと、上記ヘッド部21の外周縁のピンボス部22a,22b間部分から該ピンボス部22a,22bの下端より下方まで一体に延びる前,後一対のスカート部23a,23bとを備えたタイプのものである。
【0022】
上記ヘッド部21の外周面には第1,第2圧縮リング用リング溝21f,21f及びオイルリング用リング溝21gが凹設されている。また上記ヘッド部21の上面の中央部には大略球面状のピストン側燃焼凹部21aが凹設されている。さらに上記ヘッド部21の上面には、上記各排気弁9の傘部9aとの干渉を回避するための2つの排気側リセス部21b及び上記各吸気弁10の傘部10aとの干渉を回避するための3つの吸気側リセス部21cが大略半円形状に、かつ上記上面の外周に沿って位置するように凹設されている。なお、21jは上記オイルリング溝21gとピストン内部とを連通するオイル孔である。
【0023】
なお、21hは上記燃焼凹部21aの中央部に突設された加工用捨てボスであり、これは鍛造成形時に形成されたもので、ピストン外周面の機械加工時に使用され、その後切削除去される。また21iは上記ピストン側燃焼凹部21a上に刻印された排気方向示す矢印である。
【0024】
さらにまた上記ヘッド部21の上面の外周部(図2に交差する斜線を施した領域)には環状で平坦面をなすスキッシュ部21dが形成されており、該スキッシュ部21dと上記燃焼凹部21aとの稜線Aは上記リセス部21b,21c内を通過している。ここで、上記燃焼凹部21aを、稜線Aがリセス部21b,21cを通る大きさに設定したことにより、該凹部21aのリセス部部分の深さの分だけ各リセス部21b,21cの実質的なピストン上面からの凹み深さが浅くなっている。これにより後述するように、該リセス部によるタンブル流阻害作用が緩和される。
【0025】
なお、上記シリンダヘッド4の上記ヘッド側燃焼凹部4bの外周部の上記スキッシュ部21dに対向する外周部分4kは、シリンダボディ側合面4aと面一の平坦面をなしており、このようにピストン側及びシリンダヘッド側に平坦面を形成したことにより圧縮行程の終期において混合気がシリンダボア中央側に押し出されるように流れるスキッシュ流が発生する。
【0026】
また上記左右のピンボス部22a,22bにはクランク軸と平行にピストンピン穴25が貫通形成されている。このピストンピン穴25の内周面の軸方向左右両端部にはピストンピンの抜け止めを行うサークリップ用溝25aが凹設されており、また該ピストン穴25の内周面上部には前後一対のオイル溝25bが軸方向に貫通するように凹設されている。なお、25cは上記サークリップを着脱する際の工具の逃げ溝、25dは鍛造工程において押し出しシリンダ41の押し出しロッド42が当接する座である。
【0027】
また上記前,後スカート部23a,23bの左端部23c,23cと左側のピンボス部22aとは前後一対の左側のリブ部24a,24aにより連結されており、また上記前,後スカート部23a,23bの右端部23d,23dと右側のピンボス部22bとは前後一対の右側のリブ部24b,24bにより連結されている。これら左側,右側のリブ部24a,24bは上記ヘッド部21の下面から下方に一体に延びている。
【0028】
上記リブ部24a,リブ部24bは軽量化のために薄肉に形成されており、またその下端縁24cの上記ピンボス部22a,22bとの接続部aからボス側中間部bまでのボス側部分24dは、上記ピンボス部22a,22bの下端縁と略同じ高さに位置し、ピストン上面までの寸法はH1一定となっている。なお、該ボス側部分24dを、上記寸法H1が上記ボス側中間部b側ほど増加するように斜めに形成してもよい。
【0029】
また上記下端縁24cの上記ボス側部分24dに続く中央部分24fは略円弧の凹状に形成されており、該中央部分24fの最も凹んでいる部分の上記ピストン上面までの寸法はHo(<H1)となっている。なお、上記中央部分24fの大部分はピストン上面までの寸法が上記ボス側部分24dより小さくなっている。
【0030】
さらにまた上記各リブ部24a,24bの下端縁24cの、上記スカート部23a,23bとの接続部dからスカート側中間部cまでのスカート側部分24eは上記ボス側部分24dより下方に位置し、ピストン上面までの寸法はH2(>H1)一定となっている。なお、該スカート側部分24eを、上記寸法H2がスカート側ほど増加するよう斜めに形成してもよい。
【0031】
図8は上記ピストン20を鍛造するためのプレス装置30を模式的に示している。同図において、プレス装置30は、下部に配置固定された台盤31の上面に下型32及びサイド金型33を保持する下型保持部材34を配置固定し、上方に上型35を保持する上型保持部材36をスライダ37の下面に固定して配置し、該スライダ37を支柱38により上下移動可能に支持し、該スライダ37を油圧シリンダ39のピストンロッド40で移動させるように構成されている。
【0032】
上記サイド金型33は上記ピストン20の外周面形状に対応した形状の型穴33aを有し、該型穴33a内にピストン20の内面形状に対応した形状の型面32aを有する上記下型32が嵌合配置されている。ここで、上記下型32の型面32aの、上記リブ部の下端縁24cに対応する部分は、上記ボス側部分24d,中央部分24f,スカート側部分24eに対応した形状部分32b,32c,32dを有している(図10参照)。
【0033】
また上記台盤31内には鍛造成形品を取り外すための押し出しシリンダ41が配置されており、該シリンダ41の押し出しロッド42は上記ピンボス部を形成するための空隙に臨んでいる。なお、34aは下型保持部材34のに突設されたストッパ部であり、該ストッパ部34aにより上記上型保持部材36の下降位置を規制する。また43は上記サイド金型33内に配置され、該金型を所定温度に保持するヒータ、43aは給電用リード線である。
【0034】
上記上型35はその下端部に上記ピストン20の上面形状に対応した形状の型面35aを有し、その内部には該上型35を所定温度に保持するヒータ44が挿入配置されている。上記上型35を上型保持部材36がストッパ部34aに当接するまで下降させると、上記ピストン20のピンボス部,スカート部,リブ部に対応した空隙(キャビティ)が形成される。なお44aは給電用リード線である。
【0035】
本実施形態のピストン20の鍛造に当たっては、アルミニュウム合金(表1に示す材料が採用可能である)のインゴット等を1つのピストンに要する大きさに切断した鍛造用アルミ素材Wを鍛造に適した温度に加熱し、上記下型32とサイド金型33とで形成された空間内に配置し、上型35により油圧シリンダ39で加圧する。該上型35の下降に伴って上記アルミ素材Wの上面が上型35の型面35aに応じた形状に成形されるとともに、該アルミ素材Wの一部の上記ピンボス用空間,スカート部用空間,及びリブ部用空間への流れ込みが始まり、下型保持部材34のストッパ部34aに上型保持部材36の下面が当接するまで上型35を下降させると鍛造成形が終了する。
【0036】
なお、上記鍛造成形品は、硬度70〜80(HRB)とされ、495゜cに2.5時間保持した後水冷し、さらに200゜cに6時間保持する熱処理が施すのが好ましい。
【0037】
【表1】
Figure 0004005688
【0038】
このような鍛造成形においては、上記ピストン素材Wの一部が上記ピン保持部,及びスカート部用空間に流れ込み、続いて上記リブ部用空間に流れ込み、このようにして上記リブ部24a,24bが形成されることとなる。そのため特に該リブ部24a,24bの下端縁24cのヘッド部,ピン保持部及びスカート部の何れからも離れた部分に位置する上記中央部分24fには上記ピストン素材が到達し難い傾向があり、極端な場合には切り欠き形状の欠肉が発生する懸念がある。
【0039】
本実施形態では、上記リブ部24a,24bの下端縁24cの上記中央部分24fをヘッド部21側に円弧状に凹む形状とするとともに、下型32の型面32aの、上記中央部分24fに対応する部分32cを上方に凸の円弧形状としたので、該中央部分24fのヘッド部21,ピンボス部,スカート部からの遠さが緩和される。そのため上記リブ部24a,24bの下端縁24cは下型32の型面32aの形状通りに成形され、欠肉の発生が防止される。その結果、切り欠き状の欠肉等による応力集中によりリブ部が破損したり、スカート部23a,23b、ピンボス部22a,22b等の剛性が低下したりする問題を回避できる。
【0040】
また本実施形態では、上記リブ部24a,24bの下端縁24cのボス側部分24dについてはピンボス部22aの下端付近まで延長し、スカート側部分24eについてはボス側部分24dよりさらに下方に延長したので、それだけリブ部の面積が大きくなり、この点からリブ部自体の剛性を大きくすることができ、それだけピンボス部,スカート部の剛性を高めることができる。
【0041】
また本実施形態エンジン1では、吸気行程において吸気弁10が開きピストン20が下降するとそれに伴って混合気が、吸気弁開口4jの特にシリンダ中心側寄り部分を通ってシリンダボア7a内に吸入され、シリンダボア7aの排気側内表面に沿ってシリンダ軸線方向に流れる。そして上記ピストン20の上面の中央部に球面状のピストン側燃焼凹部21aを形成したので、上記シリンダ軸線方向に流れる混合気流が上記球面状の燃焼凹部21aに沿って反転しつつ流れ、タンブル流が発生し易い。
【0042】
また圧縮行程においてピストン20が上昇する場合においても、ピストン上面の球面状の燃焼凹部21aにより上記発生したタンブル流が残留し易い。さらにまたピストン20の上昇に伴ってピストン側の燃焼凹部21aとシリンダヘッド4側の燃焼凹部4bにより燃焼室Bが形成されるのであるが、ピストン側の燃焼凹部21aが球面形状をなしていることから、ピストン上面が平坦であったり上方に突出しているものに比べて上記燃焼室B全体が球形状に近くなり、この点から圧縮行程の終期においても上記タンブル流が残留する(図1,図10参照)。
【0043】
また本実施形態では、上記ピストン20のヘッド部21の上面の外周部に環状で平坦面をなすスキッシュ部21dを形成したので、圧縮行程の終期においては上記ピストン側燃焼凹部21aのスキッシュ部21dとヘッド側燃焼凹部4bの外周部分4kとでシリンダボア外周部の混合気が中心側に押し出されるスキッシュ流を形成し易い。これらのスキッシュ流及び上記タンブル流によって混合気の霧化が促進され、燃焼性が向上してエンジン性能が向上する。
【0044】
ここでエンジン性能の向上を図るために、燃焼室容積を小さくして圧縮比を高くすべくピストンの上死点位置をシリンダヘッドの合面側に近接させたり、高速回転時の吸入空気量を増大するために吸気行程と排気行程とをオーバーラップさせることが行われている。この場合、ピストンと吸気弁,排気弁との干渉を回避するためにピストン上面にリセス部を凹設することが行われている。
【0045】
ところが上記リセス部はピストン上面に形成された凹部であるから、上記タンブル流の発生に対してはこれを阻害するように作用する。そこで本実施形態では、上記球面状の燃焼凹部21aをピストン上面に形成するに当たり、該凹部21aと上記スキッシュ部21cとの稜線Aが上記リセス部21b,21c内を通るように形成した。そのため該燃焼凹部21aのリセス部における深さの分だけ上記リセス部21b,21cの凹み深さが緩和され、その結果、リセス部21b,21cによる上記タンブル流に対する阻害作用が緩和される。
【0046】
また本実施形態では、ピストン20の上死点位置をシリンダヘッド4の燃焼凹部4b側に近接させたので、それだけエンジンの全高を低くできる。またピストン20の上面に燃焼凹部21aを凹設したので、該凹部21aからピストンリングまでの距離に短くなり、それだけ熱がヘッド部21からピストンリングを介してシリンダライナ7に伝達され易く、放熱上有利となる。
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による鍛造ピストンを備えたエンジンの断面側面図である。
【図2】上記ピストンの平面図である。
【図3】上記ピストンの一部断面側面図である。
【図4】上記ピストンの断面側面図(図3のIV−IV線断面図)である。
【図5】上記ピストンの一部断面底面図である。
【図6】上記ピストンのリブ部を説明するための模式図である。
【図7】上記ピストンとシリンダヘッドとで構成される燃焼室を説明するための模式図である。
【図8】上記ピストンの鍛造用プレス装置の断面模式図である。
【図9】上記ピストンの鍛造用プレス装置の断面模式図である。
【図10】上記ピストンの鍛造行程を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 4サイクルエンジン
21 ヘッド部
22a,22b ピンボス部
23a,23b スカート部
23c 左端部
23d 右端部
24a,24b 左側,右側のリブ部
24c 下端縁
24d ボス側部分
24e スカート側部分
24f 中央部分
a 接続部
b ボス側中間部
c スカート側中間部

Claims (2)

  1. 少なくともSiを11〜13重量%含有する鍛造用アルミニウム合金素材を用いた内燃機関用鍛造ピストンであって、
    略円盤状のヘッド部と、該ヘッド部の外周部から下方に突設する左,右一対のピンボス部と、上記ヘッド部の外周縁から上記ピンボス部の下端よりも下方に延びている前,後一対のスカート部と、該前,後スカート部の左端部と左側のピンボス部とをそれぞれ連結し、上記ヘッド部から下方に延びている前,後一対の左側のリブ部と、上記前,後スカート部の右側端部と右側のピンボス部とをそれぞれ連結し、上記ヘッド部から下方に延びている前,後一対の右側のリブ部とを備え、
    上記各リブ部の下端縁の、上記ピンボス部との接続部からボス側中間部までのボス側部分をピストン上面までの寸法H1が一定か又は上記ボス側中間部側ほど増加するように形成し、上記各リブ部の下端縁の、上記スカート部との接続部からスカート側中間部までのスカート側部分をピストン上面までの寸法H2が一定か又は上記スカート側ほど増加するように形成し、上記各リブ部の下端縁の、上記ボス側部分とスカート側部分との間の中央部分を略円弧状の凹状に形成し、かつ上記スカート側部分のピストン上面までの寸法H2をボス側部分のピストン上面までの寸法H1より大きくし、かつ中央部分の最も凹んでいる部分のピストン上面までの寸法H0を上記スカート側部分の寸法H2及びボス側部分の寸法H1よりも小さくしたことを特徴とする4サイクルエンジン用鍛造ピストン。
  2. 請求項1において、上記鍛造用アルミニウム合金素材は、さらにCuを3.5〜4.5重量%、Mgを0.4〜0.6重量%、Feを0.15〜0.35重量%、Mnを0.15〜0.35重量%、Crを0.1〜0.3重量%含有することを特徴とする4サイクルエンジン用鍛造ピストン。
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