JP4005384B2 - 有機繊維基材含浸用エポキシ樹脂組成物ならびにそれを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機繊維基材含浸用の難燃性エポキシ樹脂組成物に関する。また、このエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板ないしは金属箔張り積層板、プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器に組込むエポキシ樹脂プリント配線板には、燃えにくいこと、燃え広がりにくいことと言った安全性が求められている。そこで、臭素化エポキシ樹脂やエポキシ樹脂の硬化剤として臭素付加フェノールノボラック樹脂等を使用し、難燃性を付与している。しかし、臭素・塩素のようなハロゲンを含有する材料を高温下で長時間使用するとハロゲン化物の解離の懸念があるし、ハロゲン含有材料を焼却処理すると有害なハロゲン化物発生の心配がある。近年は、環境安全の面から、ノンハロゲンで難燃性を付与するという方向に変わりつつある。ハロゲン化合物に代わり、難燃性付与剤としてリン化合物が注目されている。
【0003】
このリン化合物は、殆どがリン酸エステル系で、低融点(80〜100℃)の化合物であるので、燃焼時の高温で容易に熱分解する。熱分解で生成するポリリン酸の炭化皮膜が樹脂を酸素及び熱から遮蔽することによって、難燃効果が発揮される。ノンハロゲンで難燃性を付与した積層板やプリント配線板は、リン化合物や水酸化アルミニウム等の無機充填材を多く配合することにより、難燃性を付与している。
【0004】
一方、プリント配線板や多層プリント配線板は、銅箔配線パターンの細線化により、銅箔と絶縁層との接着性が強く要求されるようになってきた。また、環境の問題より、部品実装工程において、鉛フリー半田による実装が着目されるようになり、リフロー温度が高温となり、プリント配線板や多層プリント配線板の耐熱性も併せて要求されるようになってきた。
【0005】
前述したように、リン化合物は、殆どが低融点であるため、上記のような高温下では容易に遊離し、銅箔と樹脂界面の接着力及び耐熱性に悪影響を及ぼすので、これを多く配合することは望ましくない。また、水酸化アルミニウム等の無機充填材も熱分解温度が280〜300℃付近にあるため、耐熱性の観点からは、多く配合することは望ましくない。さらに、多層プリント配線板の中でも表層にファイン層を設けたビルドアップ基板と呼ばれるプリント配線板が高密度実装用として主流であり、ノンハロゲンのビルドアップ基板の開発も進められている。ビルドアップ基板の場合、そのファイン層は熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂を主体とし、芯材を使用しないことが多く、ノンハロゲンのビルドアップ基板も例外ではない。従って、ファイン層をノンハロゲンで難燃化するためには、ノンハロゲン難燃剤を多量に必要とするため、樹脂に難燃骨格を導入する開発あるいは無機充填材を高充填する等のプロセス的な開発が進められている。
【0006】
さらに、ノンハロゲンで難燃性を付与するために、2官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂やビスフェノールS型エポキシ樹脂を配合する提案があるが、これらエポキシ樹脂はエポキシ基が分子鎖の両末端にしかないため、樹脂硬化物の架橋密度が小さくなり、耐熱性が低下する傾向にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ノンハロゲンで難燃性を付与するためのリン化合物の配合量を制限し、無機充填材や2官能エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂ならびにビスフェノールS型エポキシ樹脂の配合をできるだけ排除した上で、難燃性を付与し、且つ、銅箔の接着強度及び耐熱性を低下させない有機繊維基材プリント配線板に適したエポキシ樹脂組成物を提供することである。また、このエポキシ樹脂組成物を適用した有機繊維基材のプリプレグ、積層板ないしは金属箔張り積層板、プリント配線板ないしは多層プリント配線板を提供することを課題とする。さらに、多層プリント配線板の中でもビルドアップ基板については、前述した難燃性、配線の接着強度および耐熱性を十分に確保することは勿論であり、かつ高信頼性のバイアホールを形成することが必須である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エポキシ樹脂と、リン化合物と、硬化剤とからなる有機繊維基材含浸用のエポキシ樹脂組成物に係わるものであり、上記課題を解決するために、本発明に係る有機繊維基材含浸用エポキシ樹脂組成物は、次の組成を有することを特徴とする。
【0009】
エポキシ樹脂は、3官能エポキシ樹脂とフェノール類ノボラック型エポキシ樹脂とが配 合質量比率90/10〜50/50の範囲で配合されて構成される。また硬化剤は、パラクレゾールノボラック樹脂であり、エポキシ樹脂組成物の樹脂固形分中のリン含有量は、1.4〜1.8質量%の範囲である。
【0010】
上記樹脂組成物の硬化物が燃焼するときには、リン化合物は熱分解によりポリリン酸の炭化皮膜を生成し、これが樹脂を酸素及び熱から遮蔽することによって難燃効果を発揮する。
【0011】
さらに、パラクレゾールノボラック樹脂の配合も難燃性付与に寄与しており、その理由は次のように推測される。高分子化合物の燃焼には、熱転移→架橋→炭化の機構があり、燃焼反応がラジカル的に進行していると考えられる(株式会社共栄通信社発行「高分子」49巻4月号(2000年),第242頁〜247頁,武田 邦彦著)。クレゾールノボラック樹脂硬化物の燃焼の場合、フェノキシラジカル又はベンジルラジカルを経由していると推定され、パラクレゾールノボラック樹脂硬化物は、オルソ及びメタクレゾールノボラック樹脂硬化物に比べ、比較的安定な共鳴構造をとることができ、炭化に至る反応が進みやすいために燃えにくくなると推測される。パラクレゾールノボラック樹脂を配合することにより、初めて、リン含有量を上記のように制限しながら難燃性の付与ができることになる。
【0012】
有機繊維基材の積層板やプリント配線板は、基材自体が可燃性であるので難燃性付与には特別の工夫を要するが、上記の樹脂組成により、樹脂固形分中のリン含有量を少なく制限しながらノンハロゲンで難燃性付与が可能になる。リン含有量を少なく制限したことにより、銅箔の接着力と耐熱性の確保が同時に可能になっている。また、エポキシ樹脂として多官能エポキシ樹脂であるフェノール類ノボラック型エポキシ樹脂を配合することにより樹脂の架橋密度が大きくなるので、このことも銅箔の接着力と耐熱性確保に寄与している。
【0013】
3官能エポキシ樹脂とフェノール類ノボラック型エポキシ樹脂の配合質量比率は、3官能エポキシ樹脂が、多くなると耐熱性が低下し、少なくなると難燃性が付与できなくなるので、90/10〜50/50の範囲とする。また、樹脂固形分中のリン含有量は、少なくなると難燃性が付与できず、多くなると銅箔接着強度と耐熱性が低下するので、1.4〜1.8質量%の範囲とする。
【0014】
パラクレゾールノボラック樹脂とエポキシ樹脂に基づく、水酸基/エポキシ基の当量比は、好ましくは、0.8〜1.4である。この当量比が少なくなるとエポキシ樹脂が多くなり、難燃性が低下してくる。一方、この当量比が多くなると未反応のまま残る水酸基の影響により吸湿後の耐熱性に影響が出てくる。
【0015】
上記エポキシ樹脂組成物をシート状の有機繊維基材に含浸し乾燥してプリプレグとするが、有機繊維基材は以下の電気絶縁用不織布が望ましい。
【0016】
パラ型アラミド繊維を主成分とし、熱硬化性樹脂バインダと、軟化温度220℃以上の熱可塑性樹脂の繊維チョップと繊維パルプとフィブリドから選ばれる第二バインダとにより、繊維同士を結着した不織布であり、前記パラ型アラミド繊維として、ポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維パルプ、又はポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維チョップとポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維パルプを含む電気絶縁用不織布である。
【0017】
上記構成の不織布は、軟化温度220℃以上の熱可塑性樹脂の繊維チョップが熱融着や熱軟化による変形で絡み合うことにより繊維同士を結着している。繊維パルプやフィブリドは、それ自体で絡み合う能力があり、パラ型アラミド繊維と一緒に抄造することにより繊維同士を結着している。このような第二バインダによる結着と熱硬化性樹脂バインダによる結着とが、積層板やプリント配線板としたときの樹脂と基材界面の剥離を軽減することにつながっている。銅箔−樹脂界面の接着力に比べ樹脂−基材界面の接着力が弱い場合、銅箔の剥がれは銅箔−樹脂界面ではなく樹脂−基材界面で起こっており、このことが全体の接着力低下の原因であることが我々の検討の中で判明している。プリプレグを構成する基材として、この電気絶縁用不織布の選択は、銅箔接着強度の確保に極めて有効である。また、この電気絶縁用不織布の選択は、プリプレグの寸法収縮を抑制する効果もある。また、多層プリント配線板の中でもビルドアップ基板において、ファイン層をノンハロゲンで難燃化するために水酸化アルミニウム等の難燃化無機充填材を高充填するとバイアホールの加工性が懸念される。また、ファイン層に芯材が含まれていないため、その絶縁層のノンハロゲン難燃剤による機械強度の低下が顕著になり、その低下が著しい場合、ファイン層にクラックが入ることが考えられる。そこで、本発明のプリプレグを用いてプリント配線板、特にビルドアップ基板のバイアホールを具備するファイン層(絶縁層)に用いれば、難燃性、配線の接着強度および耐熱性を十分に確保することは勿論であり、バイアホールの加工性およびファイン層の強度低下を極めて良好に抑制できる。特にバイアホールの加工性が良好であることは、絶縁層を構成する材料がすべて有機物であるためである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、フェノール類ノボラック型エポキシ樹脂の種類を特に限定するものではなく、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等を適宜選択できる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に比べメチル基が少ない分、難燃性がよくなる。そのほか、ビスフェノール類ノボラック型エポキシ樹脂を選択してもよい。硬化促進剤として、2−エチル4−メチルイミダゾール等を配合する。
【0019】
また、樹脂組成物の成分であるリン化合物は、リン系ポリオール、エポキシ樹脂と反応しない添加型リン酸エステル、エポキシ樹脂と反応する反応型リン酸エステル等である。反応型リン酸エステルは、エポキシ樹脂と反応し、硬化剤であるパラクレゾールノボラック樹脂とエポキシ樹脂の架橋反応を妨げるので、好ましくは、添加型リン酸エステルを選択する。
【0020】
更に、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機化合物粉末を配合して難燃性を高めることができる。しかし、配合量が多量にならないように配慮すべきである。無機化合物粉末の配合量が多いと、プリプレグの表面に無機化合物粉末が残り、金属箔(プリント配線)と樹脂の界面の接着性が低下する。また、耐熱性及びバイアホール加工性が低下する。接着性、耐熱性及びバイアホール加工性を低下させない程度の量であれば、難燃性付与のために、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機化合物粉末を配合することを妨げるものではない。
【0021】
プリプレグは、上記エポキシ樹脂組成物をシート状の有機繊維基材に含浸し乾燥(加熱乾燥)して製造する。プリント配線板は、まず、前記プリプレグの層に金属箔を重ね、これらを加熱加圧成形して金属箔張り積層板とし、金属箔を所定の配線パターンにエッチング加工して製造する。多層プリント配線板は、前記プリント配線板にプリプレグを介して金属箔を重ね加熱加圧成形により一体化し、表面の金属箔を所定の配線パターンにエッチング加工して製造する。さらに表面にプリプレグを介して金属箔を重ね加熱加圧成形により一体化し、表面の金属箔を所定の配線パターンにエッチング加工して、配線層数を増やすこともできる。別の方法では、複数枚のプリント配線板の間にプリプレグを介在させ、表面にはプリプレグを介して金属箔を重ね、これらを加熱加圧成形により一体化し、表面の金属箔を所定の配線パターンにエッチング加工する。積層板やプリント配線板は、本発明に係るプリプレグと他のプリプレグ、例えば、ガラス繊維基材プリプレグを組合せて使用し、構成してもよい。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例を説明する。プリント配線板の絶縁層の難燃性、銅箔接着強度、耐熱性を確認するために、以下の例では、便宜上、プリプレグ5枚を重ねた両側に18μm厚の銅箔を配し加熱加圧成形した銅張り積層板(0.5mm厚)を製造し、試験に供した。さらに、ビルドアップ基板は、所望の層数のノンハロゲン基板の両面あるいは片面に本発明のプリプレグを介して金属箔を加熱加圧成形により一体化した後、金属箔の所定の位置をエッチングし、さらにそのエッチングしたところを炭酸ガスレーザー等で穴加工する。さらに基板全面を金属めっきした後、所定の配線パターンにエッチング加工して製造する。さらにこれら一連の工程を繰り返すことでより高多層のプリント配線板も製造できる。尚、本発明の構成のプリント基板であれば効果が得られるので、製造方法は本実施の形態に示したものに限定されない。
【0023】
実施例1〜10、比較例1〜4
シート状の有機繊維基材として、次のように調製した電気絶縁用不織布を用いる。
【0024】
ポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維(デュポン製「ケブラー」)チョップとポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維パルプと第二バインダとしてポリ−m−フェニレンイソフタラミド繊維(帝人製「コーネックス」)チョップを水中に分散し混抄する。ポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維パルプは、ポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維チョップを叩解したものである。
【0025】
上記抄造物に適用する熱硬化性樹脂バインダは、エポキシ樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業製「VコートA」)とブロックイソシアネート樹脂(大日本インキ化学工業製「CR−60B」)を主成分とし、エポキシ樹脂の質量10に対するブロックイソシアネート樹脂の配合質量(硬化剤質量)を1とする。この熱硬化性樹脂バインダを上記抄造物にスプレーして加熱乾燥し不織布を製造した。さらに、この不織布を、線圧力200kN/m、温度333℃に設定した一対の熱ロールの間に通すことにより加熱圧縮し、単位質量72g/m2の不織布とした。熱硬化性樹脂バインダ付着量8質量%である。
【0026】
上記不織布を基材とし、これに含浸するエポキシ樹脂組成物として、エポキシ樹脂が3官能エポキシ樹脂(三井化学(株)製「VG3101M80」)とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成(株)製「YDCN704EK75」)、リン化合物がリン酸エステル(大八化学(株)製「PX−200」)、硬化剤がパラクレゾールノボラック樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YLH−987」)である樹脂ワニスを調製した。この樹脂ワニスは、メチルエチルケトンを溶媒とし樹脂固形分が70質量%であり、樹脂固形分中に硬化促進剤として0.2質量%の2−エチル4−メチルイミダゾールを含有している。
【0027】
表1,2には、各例における樹脂ワニスの、3官能エポキシ樹脂とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の固形分換算配合質量比率(表中、「3エポ/クレノボ比」と表記)、リン酸エステルに基づく、樹脂固形分中のリン含有量(表中、「リン含有量」と表記)、パラクレゾールノボラック樹脂とエポキシ樹脂に基づく、水酸基/エポキシ基の当量比(表中、「OH/エポ当量比」と表記)を、それぞれ示した。
【0028】
上記各ワニスを上記電気絶縁用不織布に含浸し、150℃−5分間乾燥してプリプレグを得た。樹脂の含有量は、53質量%である。このプリプレグを用い、銅張り積層板を製造した。成形条件は、温度170℃,圧力4.9MPaで60分間の加熱加圧成形である。
【0029】
【表1】
【表2】
実施例11〜17
樹脂ワニスにおける、3官能エポキシ樹脂とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の固形分換算配合質量比率(表中、「3エポ/クレノボ比」と表記)、リン酸エステルに基づく、樹脂固形分中のリン含有量(表中、「リン含有量」と表記)、パラクレゾールノボラック樹脂とエポキシ樹脂に基づく、水酸基/エポキシ基の当量比(表中、「OH/エポ当量比」と表記)を、表3に示すとおりとし、そのほかは、実施例3と同様にして銅張り積層板を製造した。
【0030】
【表3】
実施例18
シート状有機繊維基材として、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維を主成分とし、ポリメタフェニレンイソフタラミド繊維のフィブリル化繊維を混抄して繊維同士を結着した電気絶縁用不織布を使用し、そのほかは、実施例3と同様にして銅張り積層板を製造した。
【0031】
比較例5
エポキシ樹脂組成物として、エポキシ樹脂を3官能エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂(配合質量比率70/30)とし、そのほか、リン含有量、硬化剤としてパラクレゾールノボラック樹脂の配合、水酸基/エポキシ基当量比は、実施例3と同様にして銅張り積層板を製造した。
【0032】
比較例6〜7
硬化剤として、オルソクレゾールノボラック樹脂(比較例6)、メタクレゾールノボラック樹脂(比較例7)を使用するほかは、実施例3と同様にして銅張り積層板を製造した。
【0033】
上記各例の銅張り積層板について、難燃性、銅箔引き剥がし強さ、耐熱性の評価結果を表4〜表7に示した。表中に示した各特性は、次のように評価した。
【0034】
難燃性は、UL−94試験法に基づき残炎時間(秒)を測定した。
【0035】
銅箔引き剥がし強さは、JISに基づき測定した。
【0036】
耐熱性は、試料として、250×250mmサイズの銅張り積層板を85℃−85%RHの恒温恒湿槽に48時間放置後に取り出し、これを280℃の半田槽に浮かべ、表面に膨れが発生するまでの時間を測定した。
【0037】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
実施例1〜10と比較例1〜4の対照より、樹脂固形分中のリン含有量を1.4〜1.8質量%とし、3官能エポキシ樹脂/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の配合質量比率を90/10〜50/50の範囲とすることにより、難燃性と共に、銅箔引き剥がし強さ及び耐熱性を確保できることが判る。リン含有量が、1.4質量%未満では難燃性の付与が難しくなり、1.8質量%を越えると銅箔引き剥がし強さと耐熱性が低下することになる。また、3官能エポキシ樹脂/クレゾールノボラック型エポキシ脂樹の配合質量比率について見ると、3官能エポキシ樹脂が多くなると耐熱性を確保できず、クレゾールノボラック型エポキシ脂樹が多くなると多官能エポキシ樹脂成分が増えることになって難燃性の付与が難しいことになる。
【0038】
実施例12〜16と実施例11,17の対照より、水酸基/エポキシ基の当量比を0.8〜1.4とすることにより、難燃性と耐熱性をより高いレベルに維持できることが判る。
【0039】
実施例3と実施例18は、同じエポキシ樹脂組成物を適用しても、シート状の有機繊維基材の選択により銅箔引き剥がし強さと耐熱性が変わることを示している。実施例18は、他の実施例に比べて銅箔引き剥がし強さと耐熱性が低いレベルにあるが、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を適用しないと、難燃性の付与は難しく、銅箔引き剥がし強さと耐熱性も不十分となる。やはり、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を適用することが、課題解決の有効な手段となる。
【0040】
比較例5は、2官能エポキシ樹脂を配合すると耐熱性を維持できないことを示している。比較例6及び7は、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック樹脂を配合してもメタクレゾールノボラック樹脂を配合しても、難燃性の付与は難しいことを示しており、硬化剤としてパラクレゾールノボラック樹脂を配合することにより初めて難燃性を確保できることを明らかにしている。
【0041】
次に、実施例3,10,14のプリプレグを用いたビルドアップ基板について説明する。
【0042】
はじめに本実施例のビルドアップ基板の製造法について説明する。4層のノンハロゲンスルーホール基板の両面に本発明のプリプレグを介して銅箔(18μm)を温度170℃,圧力4.9MPaで60分間の条件下で一体化した後、積層された銅箔の所定の位置をφ130μmの円形にエッチングし、さらにそのエッチングした部分に炭酸ガスレーザーでφ70μmの穴加工した。さらに基板全面を厚み18μmの銅めっきした後、エッチング法により所定の配線パターンを加工して6層の評価基板を作製した。比較例8〜10は、銅箔に実施例3,10および14の樹脂をコーティングして半硬化にしたものを実施例と同様の4層のノンハロゲンスルーホール基板の両面に積層した。それ以外は全く実施例の基板と同様の方法で作製した。
【0043】
次に基板の評価について説明する。作製した6層基板に端子ピッチが0.8mmの20mm角のダミーチップを実装し、熱衝撃試験を行なった。熱衝撃試験の条件は、−65℃と125℃で各30minである。
【0044】
表8に結果を示す。表の数値は,破断までのサイクル数を示す。
【0045】
【表8】
比較例8〜10の信頼性寿命が短いことは、織布あるいは不織布等の補強材が含まれないため、チップと基板との間の熱膨張のミスマッチによる応力が増大するからである。さらに、ノンハロゲン難燃剤が含まれるためビルドアップ層の破断強度が小さくなり、チップと基板間の応力に耐えることができないため、絶縁層にクラックが入る。一方、実施例19〜21は、アラミド不織布を補強材として含むため、熱膨張が極めて小さく、さらに破断強度も大きくなる。従って、本発明のプリント配線板であれば、高信頼性かつノンハロゲンである高密度実装用プリント配線板を提供することができる。
【0046】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を適用することにより、有機繊維基材を使用しながら、ノンハロゲンで充分な難燃性を確保し、且つ、銅箔接着強さと耐熱性の低下を招かないプリント配線板を提供できる。特に、プリント配線板において、ノンハロゲンかつ高信頼性の高密度実装用の基板を提供できる。
Claims (9)
- エポキシ樹脂と、リン化合物と、硬化剤とからなる有機繊維基材含浸用のエポキシ樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂は、3官能エポキシ樹脂とフェノール類ノボラック型エポキシ樹脂とが配合質量比率90/10〜50/50の範囲で配合されて構成され、
前記硬化剤は、パラクレゾールノボラック樹脂であり、
前記エポキシ樹脂組成物の樹脂固形分中のリン含有量は、1.4〜1.8質量%の範囲であること、
を特徴とする有機繊維基材含浸用エポキシ樹脂組成物。 - パラクレゾールノボラック樹脂とエポキシ樹脂に基づく、水酸基/エポキシ基の当量比が、0.8〜1.4であることを特徴とする請求項1記載の有機繊維基材含浸用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物を、シート状の有機繊維基材に含浸し乾燥してなることを特徴とするプリプレグ。
- シート状の有機繊維基材が以下の電気絶縁用不織布であることを特徴とする請求項3記載のプリプレグ。
パラ型アラミド繊維を主成分とし、熱硬化性樹脂バインダと、軟化温度220℃以上の熱可塑性樹脂の繊維チョップと繊維パルプとフィブリドから選ばれる第二バインダとにより、繊維同士を結着した不織布であり、前記パラ型アラミド繊維として、ポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維パルプ、又はポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維チョップとポリ−p−フェニレンテレフタラミド繊維パルプを含む電気絶縁用不織布。 - 請求項3又は4記載のプリプレグの層を一部ないし全部として加熱加圧成形してなることを特徴とする積層板。
- 請求項5記載の積層板の少なくとも片面に金属箔が一体化されている金属箔張り積層板。
- 請求項3又は4記載のプリプレグの層を加熱加圧成形してなる絶縁層を備えたことを特徴とするプリント配線板。
- 請求項3又は4記載のプリプレグの層を加熱加圧成形してなる絶縁層を備え、当該絶縁層に金属めっきからなるバイアホールを具備することを特徴とするプリント配線板。
- 請求項3又は4記載のプリプレグの層を加熱加圧成形してなる絶縁層を備え、かつ金属めっきからなるバイアホールを具備する当該絶縁層が最外層に配置されることを特徴とするプリント配線板。
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