JP4004879B2 - 生地圧延ロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生地圧延ロールに関する。うどんやそば等の麺を製麺機によって製造する場合、小麦粉と水を混合して捏ねた麺生地を一対の圧延ロール間に通すことによって薄い平板状に延ばされた麺生地を形成し、この延ばされた麺生地を所望の幅に切断して最終的に麺が形成される。本発明は、かかる麺生地を圧延する生地圧延ロールに関する。
なお、本発明の生地圧延ロールは、麺生地の圧延だけでなく、パンやクッキー、パスタ等の生地の圧延にも使用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、製麺機によって製造される麺では、その材料となる麺生地の加水量は28〜38%が主流であった。このように加水量の少ない麺生地では、圧延するのに非常に大きな力が必要であったため、鋳鉄やステンレス製の圧延ロールが使用されていた。
【0003】
近年、麺生地の加水量を多くすることが麺質の向上に重要であることが分かってきている。例えば、手打ちうどんや手打ちそば等に代表される手打ち麺は多加水麺の最高峰に位置付けられる。
ところが、加水量の多い麺生地は圧延ロールにくっつきやすくなるので、従来の鋳鉄やステンレス製のロールでは圧延できない。そこで、加水量の多い麺生地を圧延するためのロールとして、樹脂製のロールや表面にフッ素樹脂やテフロン等を加工したロールが使用されている。このようなロールを使用すれば、ロール表面に麺生地がくっつかないし、麺生地とロールとの間の摩擦も低減できるので、加水量の多い麺生地を形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、麺生地への加水量が多くなる程最終的に製造される麺の品質は向上するが、加水量が多くなる程麺生地は柔らかくなる。一方、従来のロールは、たとえフッ素樹脂等が表面に加工されていても、麺生地に比べてはるかに硬いものであるし、樹脂製のロールであっても、ロール自体の強度を保たねばならないので、必然的に麺生地よりもはるかに硬いものが使用される。図3に示すように、麺生地Aは、一対のロール101 ,101 間において最も間隙が狭くなったところ(図3(A)ではC−C間)で加圧されるが、従来の樹脂製のロールやフッ素樹脂加工ロールは硬く変形しないので、麺生地Aを加圧している部分の幅が狭くなる。つまり、従来のロールは、麺生地Aの一点だけに力を加えることになるから、加圧された部分に加わる圧力が非常に大きくなる。すると、一対のロール101 ,101 間で圧延された麺生地Aは、圧力の加わった狭い範囲のみが強制的に引き伸ばされてしまい、麺の内部組織が破壊されてしまう可能性が高くなる。このため、品質向上のために加水量を多くしたことが、かえって老化の早い品質の悪い麺生地Mを製造することになってしまうという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑み、加水量の多い生地を圧延しても、品質が低下することを防ぐことができ、麺生地を圧延した場合には手打ち麺に近い高品質の麺生地を製造することができる生地圧延ロールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の生地圧延ロールは、生地を圧延するための一対のロールからなり、該一対のロールのうち、一のロールが、そのロール周面に弾性層が形成された弾性ロールであり、該弾性ロールの弾性層は、その硬さが生地を加圧したときに生地とともに変形する硬さに調整されていることを特徴とする。
請求項2の生地圧延ロールは、請求項1記載の発明において、生地を圧延するための一対のロールからなり、該一対のロールが、いずれもそのロール周面に弾性層が形成された弾性ロールであることを特徴とする。
請求項3の生地圧延ロールは、請求項1または2記載の発明において、前記弾性層の素材が、ゴムであることを特徴とする。
請求項4の生地圧延ロールは、請求項1または2記載の発明において、前記ロールの弾性層が、ロール周面に弾性を有する素材のシートを巻き掛けて形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、一のロールのロール周面に弾性層が形成されており、しかも、弾性層は、その硬さが生地を加圧したときに生地とともに変形する硬さに調整されているので、生地の圧延時には、生地だけでなく、弾性層も変形する。このため、一対のロールにより生地を面で圧延することができる。つまり、一対のロールが生地を加圧する面積を広くすることができる。よって、生地に加わる圧力を小さくすることができるので、柔らかい加水量の多い生地であっても、無理な圧力を加えることなく圧延することができる。しかも、生地の内部組織を破壊することなく圧延することができるので、高品質の生地を製造することができる。
請求項2の発明によれば、ロールのロール周面に弾性層が形成されており、しかも、弾性層は、その硬さが生地を加圧したときに生地とともに変形する硬さに調整されているので、生地の圧延時には、生地だけでなく、弾性層も変形する。このため、一対のロールにより生地を面で圧延することができる。つまり、一対のロールが生地を加圧する面積を広くすることができる。よって、生地に加わる圧力を小さくすることができるので、柔らかい加水量の多い生地であっても、無理な圧力を加えることなく圧延することができ、生地の内部組織を破壊することなく圧延することができる。しかも、一対のロールがいずれもロール周面に弾性層が形成された弾性ロールであるから、うどんや蕎麦などの麺生地を圧延した場合、手打ち職人が麺生地を手打作業をしているときに近い状態で麺生地を延ばすことができる。よって、手打ち職人によって延ばされた麺生地に近い品質の麺生地を製造することができるから、高品質の麺生地を製造することができる。
請求項3の発明によれば、弾性層の素材がゴムであるから、その硬さを生地を加圧したとき変形する程度の硬さにすることができる。よって、一対のロールが生地を加圧する面積を広くすることができるし、生地に加わる圧力を小さくすることができ、しかもコストを安くすることができる。
請求項4の発明によれば、ロールのロール周面に弾性を有する素材のシートを巻き付けているだけであるから、既存の圧延ロールを、簡単かつ安価に本発明の生地圧延ロールに変えることができる。よって、既存の圧延ロールを、簡単かつ安価に加水量の多い生地を圧延することができる圧延ロールに変えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の生地圧延ロールは、小麦粉等を水と混合して捏ねて形成された生地を圧延するためのものである。とくに、製麺作業において、麺生地を圧延するときに使用する仕上ロールとして使用すると好適なものである。
本発明の生地圧延ロールは、麺生地の圧延だけでなく、パンやクッキー、パスタ等の生地の圧延にも使用することができるものであるが、以下には、代表として、うどんや蕎麦などの麺生地を圧延する生地圧延ロールを説明する。
なお、以下の説明では、便宜上、圧延される前の麺生地を麺生地Aで示し、圧延された後の麺生地を麺生地Mで示している。
【0009】
図1は本実施形態の生地圧延ロール10の説明図であって、(A)は側面図、(B)は正面図である。同図に示すように、本実施形態の生地圧延ロール10は、一対のロール11,12から構成されている。この一対のロール11,12は、そのロール周面に、弾性層12が形成された弾性ロールである。
この一対のロール11,12のロール周面に形成されている弾性層13は、その素材が、例えばゴムや樹脂等、弾性を有する素材であり、一対のロール11,12によって麺生地Aを加圧したとき麺生地Aとともに変形する程度の硬さに調整されたものである。
なお、弾性層13の素材は、麺生地Aを加圧したときに麺生地Aとともに変形する程度の硬さであればよく、特に限定はないが、ゴムを使用すれば、弾性層13の硬さを簡単に麺生地Aを加圧したとき変形する程度の硬さに調整することができるし、しかもコストを安くすることができる。
【0010】
このため、一対のロール11,12を、その両者の間隔が形成する麺生地Mの厚さよりわずかに狭くなるように配置し、この一対のロール11,12間に麺生地Aを供給すれば、麺生地Aを圧延して延ばすことができ、所定の厚さまで圧延された麺生地Mを形成することができる。
【0011】
しかも、一対のロール11,12のロール周面に弾性層13が形成されており、この弾性層13は、その硬さが麺生地Aを加圧したときに麺生地Aとともに変形する程度の硬さに調整されている。このため、麺生地Aの圧延時には、麺生地Aだけでなく、弾性層13も変形し、一対のロール11,12間において、もっとも間隔が狭い部分の幅Wが広くなる。すると、従来のロールが麺生地の一点だけに力を加えて圧延しているのに対し、本実施形態の生地圧延ロール10は幅Wの範囲全体に力を加えることができるから、一対のロール11,12によって麺生地Aを面で圧延することができる。つまり、一対のロール11,12が麺生地Aを加圧する面積を広くすることができる。よって、麺生地Aに加わる圧力を小さくすることができるので、柔らかい加水量の多い麺生地Aであっても、無理な圧力を加えることなく圧延することができる。したがって、麺生地Aの内部組織を破壊することなく圧延することができるから、高品質の麺生地Mを製造することができる。。
【0012】
なお、図2に示すように、一対のロール11,12のうち、いずれか一方のロールのみを弾性ロールとして、他方のロールを一般的なロール、つまりロール周面が硬いロールを使用してもよいが、一対のロール11,12をいずれもロール周面に弾性層13が形成された弾性ロールとすると、とくに高品質の麺生地Mを製造することができる。
手打職人の手打作業において、麺棒に麺生地を巻き付けた状態で麺打板に押し付けたり、麺生地を複数枚重ねた状態で足で踏んだりして麺生地を延ばすが、このとき、麺棒や麺打板等、麺生地よりも非常に硬い材料に接触している部分よりも、麺生地同士の間に挟まれている麺生地がもっともよく延び、品質の良い麺生地となることが知られている。本願のごとく一対のロール11,12を弾性ロールとすれば、麺生地Aは柔らかい弾性層13によって挟まれた状態で延ばされる、つまり、手打ち職人が麺生地を手打作業をしているときに近い状態で、しかも品質の良い麺生地が製造される状態に近い状態で麺生地Aを延ばすことができる。
したがって、一対のロール11,12を弾性ロールとすれば、手打ち職人によって延ばされた麺生地に近い品質の麺生地Mを製造することができるから、さらに高品質の麺生地Mを製造することができる。
【0013】
さらに、一対のロール11,12は、一般的なロールのロール周面に、弾性を有する素材のシートを巻き付けて弾性層13を形成したものでもよい。この場合、既存の製麺機の圧延ロールを、簡単かつ安価に生地圧延ロールに変えることができるから、既存の製麺機を、加水量の多い麺生地を圧延することができる製麺機に簡単かつ安価に変えることができる。
【0014】
なお、上下一対のロール11,12には同径のロールを使用しなくてもよく、一方に小径のロールを使用し、他方が大径のロールを使用してもよい。
さらになお、下方のロール12として、つば付きロールを使用してもよい。この場合、一定の幅の麺生地Mを形成することができる。
さらになお、一対のロール11,12の周面、つまり弾性層13の表面に凹凸を設けてもよく、この場合圧延と同時にもみひねり効果が得られる。
【0015】
さらになお、上方のロール11は、その回転軸がスプリング等の緩衝部材を介して上下に移動可能、つまり下方のロール12に対して接近離間可能に支持されていてもよい。この場合、上下のロール11,12間に厚さの厚い麺生地Aが供給されても、麺生地Aの厚さに応じて上方のロール11が上方に移動するから、麺生地Aに過大な圧力が加わることを防ぐことができ、麺生地Aの内部組織が破壊されることを防ぐことができる。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、柔らかい加水量の多い生地であっても、無理な圧力を加えることなく圧延することができ、高品質の生地を製造することができる。
請求項2の発明によれば、柔らかい加水量の多い生地であっても、無理な圧力を加えることなく圧延することができ、生地の内部組織を破壊することなく圧延することができる。しかも、麺生地の場合、手打ち職人によって延ばされた麺生地に近い品質の麺生地を製造することができるから、高品質の麺生地を製造することができる。
請求項3の発明によれば、一対のロールが生地を加圧する面積を広くすることができるし、生地に加わる圧力を小さくすることができ、しかもコストを安くすることができる。
請求項4の発明によれば、既存の圧延ロールを、簡単かつ安価に加水量の多い生地を圧延することができる圧延ロールに変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の生地圧延ロール10の説明図であって、(A)は正面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】他の実施形態の生地圧延ロール10の概略説明図である。
【図3】従来の生地圧延ロールの説明図であって、(A)は正面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【符号の説明】
10 生地圧延ロール
11 ロール
12 ロール
13 弾性層
Claims (4)
- 生地を圧延するための一対のロールからなり、
該一対のロールのうち、一のロールが、そのロール周面に弾性層が形成された弾性ロールであり、
該弾性ロールの弾性層は、その硬さが生地を加圧したときに生地とともに変形する硬さに調整されている
ことを特徴とする麺生地圧延ロール。 - 生地を圧延するための一対のロールからなり、
該一対のロールが、いずれもそのロール周面に弾性層が形成された弾性ロールであり、
該弾性ロールの弾性層は、その硬さが生地を加圧したときに生地とともに変形する硬さに調整されている
ことを特徴とする麺生地圧延ロール。 - 前記弾性層の素材が、ゴムである
ことを特徴とする請求項1または2記載の麺生地圧延ロール。 - 前記ロールの弾性層が、ロール周面に弾性を有する素材のシートを巻き掛けて形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の麺生地圧延ロール。
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