JP4004407B2 - アルカンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸を用いて酸化し、アルカンジカルボン酸を製造する方法に関する。さらに詳しくは、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸を用いて断熱型反応器で酸化する際に、該断熱型反応器の温度にかかわらず、生成するアルカンジカルボン酸の収率が高い、アルカンジカルボン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを、硝酸を用いて、高められた温度でアルカンジカルボン酸に酸化できることは公知である。また、断熱型反応器を用いてシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸酸化し、アルカンジカルボン酸を製造する方法も知られている。例えば、特公昭43−19529号公報には、出発物質を40〜70%硝酸80〜400倍容量と激しく混合し、反応の間、反応温度の上昇が25℃を超えないように硝酸の量を調節し、反応を常圧又は加圧下に45〜90℃の温度で進行させ、4分以下の滞留時間の後、反応帯から排出した反応混合物を酸化窒素から分離し、反応混合物から水の蒸発によって反応帯における濃度にほぼ相当する高さに硝酸濃度を再び上昇させ、反応混合物の一部からアルカンジカルボン酸を通常の方法で分離し、母液を反応混合物の残りと一緒にし、この一緒にした混合物を新しい出発物質と激しく混合し、そして反応帯に戻すことを特徴とする、高められた温度で循環系中で一段階で、シクロアルカノール、シクロアルカノン、又はシクロアルキルアミン及び/又は少なくとも4個の炭素原子を有するω−ヒドロキシルアルカンカルボン酸、このω−ヒドロキシルアルカンカルボン酸のラクトン又はテトラヒドロフランを、硝酸で酸化することによるアルカンジカルボン酸の連続的製造方法が示されている。この中では、硝酸(すなわち、循環路に送られる硝酸及び/又は新しく供給される硝酸)を反応帯中に出発物質と混合して導入する際に、硝酸と出発物質(すなわちシクロアルカノール、シクロアルカノン、又はシクロアルキルアミン及び/又は少なくとも4個の炭素原子を有するω−ヒドロキシルアルカンカルボン酸、このω−ヒドロキシルアルカンカルボン酸のラクトン又はテトラヒドロフラン)との混合をできるだけ短時間に行うのが望ましいことが記載されている。例えばインジェクター、混合ノズル又はタービン混合器を用いて、出発物質が遅くとも5秒後に透明に溶解するような条件で混合させることが好ましいと記載されている。特にシクロヘキサノール及びシクロヘキサノンの酸化の場合は、混合後0.05〜0.1秒で透明な溶液を得るように努力するべきであることが開示されている。その理由は、短時間での混合を実施しないと、反応帯における温度が局部的に高くなり、アルカンジカルボン酸の収率が減少するためであると述べられている。しかしながら、特公昭43−19529号公報に記載されている混合時間でも、アルカンジカルボン酸の収率は必ずしも高くない。このことは、特公昭43−19529号公報に定義されている混合時間が適切でないことを示している。
【0003】
シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンを硝酸酸化しアジピン酸を生成する反応において、温度が高いと得られるアジピン酸の収率が低下することは別の文献でも公知である。すなわち、Preparation of adipic acid by oxidation of cyclohexanol and cyclohexanone with nitric acid(シクロヘキサノールとシクロヘキサノンの硝酸酸化によるアジピン酸の調製),W.J.VAN ASSELT and D.W.VAN KREVELEN,Rec.Tra.Chem.,82,51〜67,429〜437,438〜449(1963)には、マグネティックスターラーと冷却ジャケットを備えた円筒型の容器内でのバッチ酸化反応テスト結果から、高温、特に60℃以上では、触媒としてCuが存在していてもアジピン酸収率が低下していくことを、示している。
従って、特公昭43−19529公報では、滞留時間又は混合時間を極めて短く規定しているにもかかわらず、反応を常圧又は加圧下に45〜90℃の温度で進行させるとしている。さらに特公昭43−19529号公報の実施例では、断熱型反応器の出口温度は70℃と明記している。
【0004】
ところが、一方で、同じPreparation of adipic acid by oxidation of cyclohexanol and cyclohexanone with nitric acid,W.J.VAN ASSELT and D.W.VAN KREVELEN,Rec.Tra.Chem.,82,51〜67,429〜437,438〜449(1963)より得られる、シクロヘキサノールやシクロヘキサノンからアジピン酸への反応速度を使用して計算を行うと、同一アジピン酸収率を得るために必要な硝酸濃度は、温度の低下と共に増えていくことも明らかである。
このことは、従来の技術では、低温でアジピン酸収率は高まるが、酸化に使用する硝酸量が多くなることを示している。すなわち、前記特公昭43−19529号公報に示される方法は、45〜90℃の低温でシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸酸化するため、消費される硝酸量が多くなるという問題を有している。
【0005】
特公昭48−21088号公報には硝酸の消費量を削減する方法が述べられている。当該公報は本質的に少量の硝酸しか消費しない液相硝酸酸化によってシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンをアルカンジカルボン酸に変える方法を開示している。すなわち、硝酸の消費量を減少させる改良を有する、シクロアルカノール及びシクロアルカノンからなる群から選択した反応成分の液相硝酸酸化によるアルカンジカルボン酸の製造法において、該反応成分を銅−バナジウム触媒の存在下で温度90〜140℃で硝酸と接触させ、0.30−0.60重量%の酸化された銅、0.01−0.50重量%の酸化されたバナジウム、及び0.5より大きい平均の酸素対窒素比を有する硝酸還元生成物を含む反応混合物の少なくとも一部を循環させ、この際、循環流対反応成分の重量比を200〜1300に維持し、且つ該重量比と酸化されたバナジウム濃度の積が30〜60となるように維持し、次いで該アルカンジカルボン酸を回収することを特徴とする方法、が開示されている。ここでの循環は以下に述べる本発明における硝酸水溶液の大循環流とは異なり、反応系だけでの循環である。本明細書ではこれを反応系循環流と定義する。
【0006】
更に特公昭48−21088号公報には、流入シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを反応装置からの反応系循環流と混合する際に、適当な混合装置、例えば通風管混合機(draft−tube−mixer)を流れの混合を容易にするために用いてもよい旨が記載されている。しかしながらこの方法では、反応系循環流対反応成分の重量比を200〜1300と、極めて多く設定する必要がある。反応系循環量が多くなると、それだけの循環量を確保するために大型のポンプや圧力損失を考慮した配管や反応器が必要となり、設備費,電力比例費共に不利である。
以上列記したように、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを、硝酸を用いてアルカンジカルボン酸に酸化する技術は公知であるが、これらはアルカンジカルボン酸の収率を高めるために、反応域の温度は90℃以下とするか、90℃を超える温度でも極めて多い反応系硝酸循環量を必要としている。そして、反応域の温度を90℃以下とすると、硝酸消費量が多くなり、離脱塔での空気量が多くなり、系内を大循環する生成アルカンジカルボン酸を含む硝酸水溶液大循環流の量が多く、晶析器や濃縮塔の負荷が増大するという問題があった。また、90℃を超える温度でもアルカンジカルボン酸の収率を維持するには、反応系硝酸循環量が莫大になるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の従来技術の問題点を解決し、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを、硝酸を用いて断熱型反応器で酸化しアルカンジカルボン酸を製造する方法において、該断熱型反応器の温度にかかわらず、反応系硝酸循環量を必要以上に多くすることなしに、アルカンジカルボン酸の収率を高くし、硝酸必要量を低減し、離脱塔での空気量を低減し、硝酸水溶液の大循環流量を少なくし、晶析器や濃縮塔の負荷を下げ得る方法を提供することにある。
シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸酸化し、アルカンジカルボン酸を得るに際し、該断熱型反応器出口の温度を上げることができれば、反応器の出口の反応液中の生成アルカンジカルボン酸の濃度を上げることができるため、上記硝酸の使用量が抑えられるという利点の他に、前記特公昭43−19529号公報記載の離脱塔へ供給するべき空気量を減らすことができる。
【0008】
断熱型反応器出口の温度を上げることができる場合の利点は他にもある。一般に、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸酸化してアルカンジカルボン酸を生成するプロセスでは、生成アルカンジカルボン酸を含む硝酸水溶液は反応に必要な硝酸に対して大過剰の硝酸を含んでいる。そのため、生成アルカンジカルボン酸を含む硝酸水溶液から、晶析や蒸留等により生成アルカンジカルボン酸を分離した後、過剰の硝酸を濃縮回収して、循環再利用する。本明細書ではこれを硝酸水溶液の大循環流と定義する。
該断熱型反応器出口の温度を上げることができれば、反応器の出口の反応液中の生成アルカンジカルボン酸の濃度を上げることができるため、系内大循環流、すなわち生成アルカンジカルボン酸を含む硝酸水溶液の量を下げることができ、その結果、晶析器や濃縮塔の負荷が削減できる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを、硝酸を用いて断熱型反応器で酸化し、アルカンジカルボン酸を製造する方法において、該断熱型反応器の温度にかかわらず、反応系内硝酸循環量と全系の大循環流量を共に多くすることなしにアルカンジカルボン酸の収率を高める方法として、特定のシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと硝酸の混合方法を用いれば、上記の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明の第1の態様は、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを、硝酸水溶液によって酸化し、アルカンジカルボン酸を製造する方法であって、フィードノズル及びミキシング装置を含んでなる断熱型反応器を用いて、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを線速8×10 −2 m/秒以上の速さでフィードノズルからフィードすることを特徴とするアルカンジカルボン酸の製造方法である。
発明の第2の態様は、該断熱型反応器の出口温度が90℃を超える温度である、発明の第1の態様の方法である。
【0011】
発明の第3の態様は、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置において、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、1.5℃以下の標準偏差を持つ、発明の第1又は第2の態様の方法である。
発明の第4の態様は、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、該ミキシング装置から該断熱型反応器の半径と同一距離だけ離れた位置において、1.5℃以下の標準偏差を持つ、発明の第1又は第2の態様の方法である。
【0012】
発明の第5の態様は、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの未反応物とを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置において、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、1.5℃以下の標準偏差を持ち、かつ、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、該ミキシング装置から該断熱型反応器の半径と同一距離だけ離れた位置においても1.5℃以下の標準偏差を持つ、発明の第1〜4の態様のいずれかの方法である。
【0013】
発明の第6の態様は、該硝酸水溶液が、硝酸酸化反応の後、該断熱型反応器から排出された反応混合物から酸化窒素,酸化二窒素,二酸化窒素,及び亜硝酸を分離し、次いで該断熱型反応器中で生成した水を該反応混合物から蒸発させることによって、反応器入口における硝酸濃度にほぼ相当する高さの硝酸濃度にまで該反応混合物を濃縮し、濃縮された該反応混合物の一部から該アルカンジカルボン酸を分離し、母液中の硝酸を別の濃縮系で濃縮し、該母液と該濃縮された反応混合物の残りとを一緒にし、この一緒にした混合物を新しい硝酸水溶液と混合し、そして反応器に戻された硝酸水溶液である、発明の第1から第5の態様のいずれかの方法である。
発明の第7の態様は、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンが、シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンであり、製造される該アルカンジカルボン酸がアジピン酸である、発明の第1から第6の態様のいずれかの方法である。
【0014】
本発明の方法に従えば、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと硝酸水溶液の混合状態を規定するため、該断熱型反応器の温度にかかわらず、反応系内硝酸循環量と全系の大循環流量を共に多くすることなく、アルカンジカルボン酸の収率を高くすることができる。また、本発明の方法に従えば、必要な硝酸量を削減することができ、離脱塔での空気量を低減し、晶析器や濃縮塔の負荷を下げることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、シクロアルカノールとは、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノールが挙げられ、シクロアルカノンとしては、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロドデカノンが挙げられる。
上記のそれぞれを単独で原料として用いてもよく、混合物を原料としてもよい。本発明においてシクロアルカノールとしては、シクロヘキサノールが好ましく、シクロアルカノンとしてはシクロヘキサノンが好ましい。たとえば、シクロヘキサノールとシクロヘキサノンの混合物を原料としてもよいし、シクロヘキサノールのみを原料としてもよい。これら原料は、反応後に未反応のシクロアルカノールおよび/またはシクロアルカノンとして残ることはある。
【0016】
本発明における、硝酸水溶液とは、硝酸濃度10〜70%の水溶液のことをいい、硝酸濃度40〜65%の水溶液が好ましく、硝酸濃度50〜65%の水溶液がより好ましい。ここで硝酸濃度とは、生成物のアルカンジカルボン酸や未反応物のシクロアルカノンおよび/またはシクロアルカノールを除いた、純粋にHNO3とH2Oの量から得られる硝酸の濃度、すなわち、[HNO3/(H2O+HNO3)]を言う。
本発明における、アルカンジカルボン酸とは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ドデカンジ酸が挙げられ、シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンを原料とした時に得られる、アジピン酸が好ましい。
【0017】
本発明においては、前記シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと硝酸水溶液とを混合する方法が重要である。
すなわち、本発明における一つの方法では、該シクロアルカノール及び/又はシクロア
ルカノンを線速8×10−2m/秒以上の速さでフィードできるフィードノズルを用いて、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンをフィードする。本発明におけるいま一つの方法は、硝酸水溶液とシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの混合にミキシング装置を用いることである。
【0018】
第1図に、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの該フィードノズル 1の一例を示す。第1図は2本のフィードノズル 1を示すが、これは1本であっても良いし、3本以上であってもよい。フィードノズルの先端は穴の数が1つの単なる単管であってもよいし、ノズルの穴が2以上であってもよい。重要なのは該フィードノズルから供給されるシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノン 2の線速である。
本発明においては、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノン 2の線速とは、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノン 2のフィードノズル 1の先端における線速を言い、8×10−2m/秒以上が好ましい。より好ましくは1×10−1m/秒以上、さらには10m/秒以上がより好ましい。
【0019】
本発明における、ミキシング装置 3とは、配管内での液液混合に使われる通常のミキサーのことを言い、ジェットミキサー,スタティックミキサー,バンバリーミキサー,インターナルミキサー,オリフィスミキサー,インペラーなどがあるが、スタティックミキサーが構造が簡単で混合能力も高く、好ましい。各種スタティックミキサーについては、化学工学便覧,改訂6版,P452,丸善株式会社(1999)に記載されているが、旋回流を強制的に作るOHR社製のミキサーの如きミキサーでもよい。
本発明においては、該ミキシング装置 3の数は限定されない。すなわち、いくつかの該ミキシング装置を直列的につないでもよいし、硝酸水溶液 4中に並列的にいくつか並べてもよい。並列的に該ミキシング装置を並べた場合は、特定のミキシング装置のみに、あるいはこれらに共通のフィードノズルを設置してもよいが、それぞれの該ミキシング装置に各々該フィードノズルを設置することが好ましい。直列的に並べた場合は、最初の該ミキシング装置だけに該フィードノズルを設置してもよいし、それぞれの該ミキシング装置に該フィードノズルを個別に設置してもよい。
【0020】
該フィードノズル 1と該ミキシング装置 3の間隔は離れていてもよいが、その間隔は10mm以下であることが好ましく、より好ましくは、5mm以下である。第2図に示す如く、該ミキシング装置 3内に該フィードノズル 1が完全に組み込まれていてもよい。
本発明においては、該フィードノズル 1での該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノン 2の線速と、該ミキシング装置 3内での硝酸水溶液 4の線速の比は1×10−2以上であることが好ましい。
これらはシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと硝酸水溶液が瞬時に混合されることを目的としているのであるが、混合時間短縮だけでは不十分である。シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィードノズルが、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを8×10−2m/秒以上で供給できることが重要である。
【0021】
本発明においては、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィードノズルの方向は硝酸水溶液の流れに対して平行に近い方がよい。ミキシング装置としてT字管を用いても構わないが、ミキシング装置にスタティックミキサーを用いて、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィードノズルを、硝酸水溶液の流れに平行になるように設置する方が好ましい。いずれにしても該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィード線速が8×10−2m/秒以上でフィードできることを満足するべきである。
本発明においては、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールの未反応物とを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置において、1.5℃以下の標準偏差を持つことが好ましい。ここで標準偏差とは以下の式(1)で表されるものをいう。
【0022】
【化1】
n:断熱型反応器の半径方向で、温度を測温する点の数 n≧10
T(℃):断熱型反応器の半径方向の各点の温度
【0023】
上記式のnは、温度を測温する点数である。また、各測温点の間隔は5mm以下である。反応器の壁面から、半径方向に反対側の壁面まで、5mm以下の間隔で測温する。従って、直径が100mmの装置であれば、21点の測温点数となる。
例えば、該断熱型反応器の径が100mmで、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールの未反応物とを含む流体の流量が0.6m3/hrであって、nが21であれば、該ミキシング装置から2.5秒だけ流れた位置とは、該ミキシング装置から53mmだけ離れた位置となる。
【0024】
すなわち、該位置は、該ミキシング装置がジェットミキサー,スタティックミキサー,バンバリーミキサー,インターナルミキサー,オリフィスミキサー,インペラーなどの場合は、該ミキシング装置を流体が出た位置から53mmだけ離れた位置となる。
その位置で半径方向の温度プロファイルを測定点21点で測温する。
該ミキシング装置がT字管やインジェクターの場合は、ミキシング装置から2.5秒だけ離れた位置の起点は、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィードノズルの、硝酸水溶液の流れの後流側とする。
【0025】
該標準偏差が1.5℃を超えると、局部的に温度が上昇している部分ができ、アルカンジカルボン酸の収率が低下する。シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸を用いて酸化しアルカンジカルボン酸を製造する方法においては、その反応が逐次反応で該逐次反応の前半が低温、後半が高温であれば、アルカンジカルボン酸の選択率が向上する。しかも該反応は発熱反応である。該断熱型反応器の半径方向温度プロファイルの標準偏差が1.5℃以下であれば、該断熱型反応器の入口から出口にかけて温度が上昇していくため、上記逐次反応に対して理想的な、流れ方向の温度プロファイルが得られる。反対に該標準偏差が1.5℃を超えると、該反応器内で温度の高い部分ができ、選択率、すなわち収率が低下することになる。
【0026】
本発明において、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールの未反応物とを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置における該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルを、1.5℃以下の標準偏差とするために、前述したとおり、該ミキシング装置をいくつか並列的に並べてもよい。数mの径を持つ反応器内に数個の該ミキシング装置を並列的に設置することで、該ミキシング装置から2.5秒だけ離れた位置における該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルを平坦にすることができる。
【0027】
また、本発明においては、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールと該硝酸水溶液の反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールの未反応物とを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置における該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルを、1.5℃以下の標準偏差とするため、該ミキシング装置の出口に整流板を設けてもよい。本発明における整流板としては、多孔板,通常蒸留塔に使用するバッフルトレイ,リップトレイなどがある。該整流板は該ミキシング装置の直近にあってもよいが、数cmから数m離れていてもよく、また反応器内に2枚以上あってもよいが、上記記載の温度プロファイルを持つことが好ましい。該整流板を2枚以上持つ場合も、上記温度プロファイルは、該ミキシング装置から2.5秒だけ離れた位置での分布を言う。
【0028】
本発明においては、また、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、該ミキシング装置から該断熱型反応器の半径と同一距離だけ離れた位置においても、1.5℃以下の標準偏差を持つことが好ましい。
この場合も、距離の起点は、該ミキシング装置がジェットミキサー,スタティックミキサー,バンバリーミキサー,インターナルミキサー,オリフィスミキサー,インペラーなどの場合は、該ミキシング装置を流体が出た位置とし、該ミキシング装置がT字管の場合は、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィードノズルの、硝酸水溶液の流れの後流側とする。
【0029】
更に、本発明においては、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールの未反応物とを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置において、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、1.5℃以下の標準偏差を持ち、かつ、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、該ミキシング装置から該断熱型反応器の半径と同一距離だけ離れた位置においても1.5℃以下の標準偏差を持つと、より好ましい。
【0030】
本発明における温度プロファイルの標準偏差は、商業スケールで、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸水溶液を用いて酸化しアルカンジカルボン酸を製造する場合に重要である。温度プロファイルの標準偏差は、いわゆるベンチスケールでは反応管径が10mm前後と小さいため、整流板を使用しなくても、あるいは、ミキシング装置を並列にいくつか並べなくても、1.5℃より小さくなることが多いと考えられるが、商業スケールでは、1.5℃以下とするために上記の如き対策が必要となる。ここで商業スケールとは、100mm以上、好ましくは500mm以上の反応管径を持つ断熱型反応器を用いるスケールを言う。
【0031】
本発明における断熱型反応器とは、橋本健治編著「工業反応装置」(培風館,1984)25〜26頁記載の純粋な断熱方式の反応器をいい、一段だけの一段断熱型反応器がより好ましいが、数段に分割して段間に熱交換器を設けて熱の供給又は除去を行う中間熱交換・多段断熱型反応器であってもよい。
シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸水溶液を用いて酸化しアルカンジカルボン酸を製造する方法で、等温型反応器を用いる方法がある。この場合は等温であるので、当然温度プロファイルの標準偏差は1.5℃以下となるが、前記記載の逐次反応が同一温度で進むため、アルカンジカルボン酸の選択率が下がる。また、断熱型反応器であれば、反応によって発生する熱量を硝酸の濃縮熱に利用することができるが、等温型反応器では反応熱を除熱するための冷却設備が必要となり、かつ、硝酸濃縮用の熱が別途必要となる。
【0032】
本発明においては、該断熱型反応器の出口温度は特に規定はないが、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃を超える温度とする。シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを線速8×10−2m/秒以上の速さでフィードできる該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィードノズル、及びミキシング装置を含んでなる断熱型反応器を用いれば、該断熱型反応器出口温度を、好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃を超える温度にしても、得られるアルカンジカルボン酸の収率は、従来の技術と比較して低下せず、むしろ向上する。従って、前述したとおり、該断熱型反応器出口温度を、好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃を超える温度とすることで、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの硝酸による酸化に消費される硝酸量を減らすことができると共に、該断熱型反応器出口の反応液中の生成アルカンジカルボン酸濃度を上げることができる。従って、系内を循環している、生成アルカンジカルボン酸を含む硝酸水溶液大循環流の量を下げることができ、晶析器や濃縮塔の負荷が削減できる。
【0033】
例えばアルカンジカルボン酸がアジピン酸で、該断熱型反応器の出口温度が90℃の場合と、75℃の場合とを考える。アジピン酸の配管やバルブでの析出を防止するために、溶解度上10℃の余裕を取るとすると、出口温度が90℃であれば、溶解度80℃相当のアジピン酸約22wt%を含むことができるが、75℃であれば65℃の溶解度、約15wt%のアジピン酸しか含むことができない。従って、同じアジピン酸の生産量を得るためには、反応系から晶析系へ抜き出す量、すなわち硝酸水溶液の大循環量は22/15=1.5倍になる。硝酸水溶液大循環量が減れば晶析器や濃縮塔の負荷が減る。更に晶析器ではアジピン酸濃度が高いほど、晶析に必要なエネルギーも当然少なくて済む。
【0034】
また、本発明の方法に従えば、該断熱型反応器出口温度を、好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃を超える温度でアルカンジカルボン酸の収率を維持するために、反応系の硝酸循環量を上げる必要がない。従来の技術では、反応器出口温度を90℃を超える温度にした場合に、アルカンジカルボン酸の収率を維持するため、反応系硝酸循環量対反応成分の重量比を200以上と極端に多くしなければならなかった。シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを線速8×10−2m/秒以上の速さでフィードできる該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンのフィードノズル、及びミキシング装置を含んでなる断熱型反応器を用いれば、反応系循環流対反応成分の重量比は200未満で、該断熱型反応器出口温度が90℃を超える温度でもアルカンジカルボン酸の収率を高くすることができる。
【0035】
本発明においては、硝酸酸化反応の後、該断熱型反応器から排出された反応混合物から酸化窒素,酸化二窒素,二酸化窒素,及び亜硝酸を分離し、次いで該断熱型反応器中で生成した水を該反応混合物から蒸発させることによって反応器入口における硝酸濃度にほぼ相当する高さの硝酸濃度にまで該反応混合物を濃縮し、濃縮された該反応混合物の一部から該アルカンジカルボン酸を分離し、母液中の硝酸を別の濃縮系で濃縮し、該母液と該濃縮された反応混合物の残りとを一緒にし、この一緒にした混合物を新しい硝酸水溶液と混合し、そして反応器に戻すことができる。
ここで言う、反応器入口における硝酸濃度にほぼ相当する高さの硝酸濃度とは、たとえば、反応器入口における硝酸濃度−5.0wt%以内を指す。
【0036】
本発明の方法を工学的に適用した場合の一実施態様を示す図面に従って、本発明を詳細に説明する。
第3図の(31)は断熱型反応器である。該反応器(31)の下部から反応系循環流である硝酸水溶液(32)がポンプ(33)にて送られてくる。シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを線速8×10−2m/秒以上の速さでフィードできるフィードノズル(34)より、シクロアルカノン及び/又はシクロアルカノール(35)がフィードされる。該反応系循環流(32)と該シクロアルカノン及び/又はシクロアルカノール(35)は保持板(36)によって保持されたミキシング装置(37)によって瞬時に混合される。該ミキシング装置(37)の出口から数百mmの位置に多孔板(38)が設置されている。90℃より高い温度で該反応器(31)を出た反応生成物は離脱塔(39)に導入されて、エアー(40)をフィードして酸化窒素,亜硝酸,二酸化窒素,酸化二窒素等(41)がストリッピングされる。ストリッピングされたガスは吸収塔で吸収され、硝酸として回収される。なお、該離脱塔(39)と該吸収塔との間に、温暖化ガスである酸化二窒素を分解する設備を設けてもよい。該離脱塔(39)を出た反応生成物は硝酸濃縮塔(42)へフィードされる。該硝酸濃縮塔(42)は減圧塔で、ここでは、反応熱の一部が硝酸の濃縮に利用される。硝酸回収用に水又は後段の晶析工程で使用された洗浄水等(49)を降らせる。該硝酸濃縮塔(42)にて反応帯における濃度にほぼ相当する濃度まで濃縮された硝酸水溶液(43)はポンプ(33)にて反応系循環流(32)を形成する。また、該硝酸濃縮塔(42)のボトム液(43)の一部は反応系より抜き出され、晶析工程(44)を経て製品(45)となる。晶析工程(44)より出てくる母液(46)は別の濃縮工程(47)を経て濃縮され、大循環流(48)を形成する。該大循環流(48)は先の反応系循環流(32)と混合される。該断熱型反応器の入り口での該反応系循環硝酸水溶液中の硝酸濃度を一定にするために新しい硝酸(50)がフィードされる。
上記反応系循環流(32)と大循環流(48)の硝酸水溶液中には、分離されずに残った該アルカンジカルボン酸が含まれる。該硝酸水溶液に含まれる該アルカンジカルボン酸の濃度は5〜40%であるが、あまり濃度が高いと飽和溶解度以上となり、配管や中継タンクなどでの結晶の析出を防ぐ目的で該硝酸水溶液を加温する必要があるため、5〜30%が好ましい。
【0037】
本発明においては、該断熱型反応器出口温度を、好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃を超える温度にできるので、反応系循環流硝酸水溶液、及び大循環流硝酸水溶液に含まれる該アルカンジカルボン酸の濃度を高くすることができる。
【0038】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって本発明を説明する。
以下に、混合時間は同じであるが、反応物であるシクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを線速8×10−2m/秒以上の速さでフィードした場合と、それ以下の線速でフィードした場合とのアルカンジカルボン酸の収率を比較してみる。ここで混合時間は、フェノールフタレインをトレーサーとしてNaOHとH2SO4を混合させたときに、フェノールフタレインの色が消えるまでの時間を言う。
また、以下では、該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノールの未反応物とを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置を、単に2.5秒の位置、と表現する。
【0039】
実施例1
内径30mmのノリタケ社製スタティックミキサーを4エレメント用いた191mmの混合部を持つ、スタティックミキサーを含んだ長さが686mmの反応器を用意した。該スタティックミキサーにフェノールフタレインで着色した0.004NのNaOHを流入した。第1図に示すとおり、該スタティックミキサーの直前に内径1mmのフィードノズルを2本設置し、該フィードノズルより1NのH2SO4をフィードした。フェノールフタレインの色が消えるところまでの距離を時間に換算し、これを混合時間とした。NaOHを0.95[lit/hr],H2SO4を102[lit/hr]で通液し混合時間を求めたところ、1.1秒であった。
次に、同じスタティックミキサーとフィードノズルを用いて、シクロヘキサノールの硝酸酸化反応を行った。すなわち、該スタティックミキサーにCuを0.5wt%,Vを0.05wt%含む、73.8℃,54.6wt%の硝酸水溶液を133kg/hrで通液し、該フィードノズルよりシクロヘキサノールを0.9kg/hrで5時間フィードした。該反応器の出口の温度は91.8℃であった。このときの混合時間は1.1秒であり、シクロヘキサノールの線速は0.17m/秒であった。反応器出口の液をサンプリングし、アジピン酸の収率を測定したところ、理論値に対して94.1mol%であった。このときの硝酸消費量は0.967kg−HNO3/kg−アジピン酸であった。また、混合器から15mmの位置での温度プロファイルを測定したところ、温度の標準偏差は0.50℃であった。
【0040】
比較例1
内径16.1mm,長さ250mmのT字管を混合部とする、T字管を含んだ長さが650mmの反応器を用意した。該T字管の一方にフェノールフタレインで着色した0.004NのNaOHを0.738[lit/hr]で流入した。もう一方より1NのH2SO4を115[lit/hr]でフィードした。フェノールフタレインの色が消えるところまでの距離を時間に換算し、混合時間を求めたところ1.1秒であった。
次に、同じT字管を用いて、シクロヘキサノールの硝酸酸化反応を行った。すなわち、該T字管にCuを0.5wt%,Vを0.05wt%含む、75.6℃,55.0wt%の硝酸水溶液を150kg/hrで通液し、該フィードノズルよりシクロヘキサノールを0.7kg/hrで5時間フィードした。該反応器の出口の温度は91.0℃であった。このときの混合時間は1.1秒であり、シクロヘキサノールの線速は0.001m/秒であった。反応器出口の液をサンプリングし、アジピン酸の相対モル収率を測定したところ、91.6mol%であった。このときの硝酸消費量は1.018kg−HNO3/kg−アジピン酸であった。また、混合器から8mmの位置での温度プロファイルを測定したところ、温度の標準偏差は0.90℃であった。
実施例1と同じ平均温度、同じ混合時間であるが、比較例1はシクロヘキサノールの線速が8×10−2m/秒以下であるので、アジピン酸収率が悪かった。
【0041】
実施例2
内径10mmのT字管で、シクロヘキサノールのフィード側の内径のみを2mmに狭めたT字管を用いて、比較例1と同じ方法で混合時間を求めたところ、1.1秒であった。次に、同じT字管を用いて、シクロヘキサノールの硝酸酸化反応を行った。すなわち、該T字管にCuを0.5wt%,Vを0.05wt%含む、78.1℃,55.3wt%の硝酸水溶液を132kg/hrで通液し、該フィードノズルよりシクロヘキサノールを0.9kg/hrで5時間フィードした。該反応器の出口の温度は91.3℃であった。このときの混合時間は1.1秒であり、シクロヘキサノールの線速は0.09m/秒であった。反応器出口の液をサンプリングし、アジピン酸の相対モル収率を測定したところ、94.0mol%であった。このときの硝酸消費量は0.968kg−HNO3/kg−アジピン酸であった。また、混合器から5mmの位置での温度プロファイルを測定したところ、温度の標準偏差は0.70℃であった。混合器から2.5秒の位置での温度の標準偏差は0.50℃であった。
比較例1と同じT字管タイプのミキシング装置で、同じ平均温度、混合時間であるが、実施例2はシクロヘキサノールの線速が8×10−2m/秒以上であるので、アジピン酸収率が実施例1と同様高かった。
【0042】
実施例3
内径12mmのスタティックミキサーを混合部とする、スタティックミキサーを含んだ長さが700mmの反応器に1NのH2SO4を99[lit/hr]で流入した。該スタティックミキサーの直前に径1mmの穴を持つフィードノズルを2本設置し、該フィードノズルよりフェノールフタレインで着色した0.004NのNaOHを0.967[lit/hr]でフィードした。実施例1と同じ方法で混合時間を求めたところ0.07秒であった。
次に、同じスタティックミキサーとフィードノズルを用いて、シクロヘキサノールの硝酸酸化反応を行った。すなわち、該スタティックミキサーにCu0.5wt%,V0.04wt%を含む、78.4℃,55.3wt%の硝酸水溶液を130kg/Hでフィードし、該フィードノズルよりシクロヘキサノールを0.917kg/hrでフィードした。従って、反応系循環流とシクロヘキサノールの重量比は142であった。また、混合時間は0.07秒、シクロヘキサノールの線速は0.17m/秒であった。スタティックミキサーの出口から6mmの位置での半径方向温度プロファイルを測温したところ、標準偏差は0.60℃であった。このときの反応器出口の温度は91.2℃であった。
反応器出口のガスを離脱塔に導入し、離脱塔にて酸化窒素,二酸化窒素,酸化二窒素,及び亜硝酸をエアーストリッピングした後、濃縮塔で濃縮した。該濃縮塔の塔底温度は約80℃,塔底から排出される硝酸水溶液中のアジピン酸濃度は21wt%であった。該硝酸水溶液の一部を系外に抜き出し、残りの硝酸水溶液は反応系循環流として反応器に戻した。得られたアジピン酸は理論値に対して96.2wt%の収率であった。反応器の入口での硝酸濃度が55.3wt%になるように、新しい硝酸を加えた。アジピン酸あたりの硝酸消費量は806[kg/T−アジピン酸]であった。
【0043】
比較例2
内径11mmのインジェクターを混合部とする、インジェクターを含んだ長さが800mmの反応器に1NのH2SO4を99[lit/hr]で流入した。該インジェクターよりフェノールフタレインで着色した0.004NのNaOHを0.503[lit/hr]でフィードした。実施例1と同じ方法で混合時間を求めたところ0.05秒であった。
次に、同じインジェクターを用いて、シクロヘキサノールの硝酸酸化反応を行った。すなわち、該インジェクターを含む反応器にCu0.5wt%,V0.04wt%を含む、60℃,60wt%の硝酸水溶液を130kg/Hで導入した。シクロヘキサノールが0.05秒後に透明に溶解する内径11mmのインジェクターによって、硝酸水溶液に垂直に、シクロヘキサノールを0.477kg/Hでフィードした。このときシクロヘキサノールの線速は0.002m/秒であった。インジェクターから6mmの位置での半径方向温度プロファイルを測温したところ、標準偏差は0.70℃であった。反応混合物は70℃で反応器から去り、離脱等に導入された。離脱塔にて酸化窒素,二酸化窒素,酸化二窒素,及び亜硝酸をエアーストリッピングした後、濃縮塔に送られた。濃縮塔で硝酸濃度を約56wt%まで濃縮した。該濃縮塔の塔底温度は約55℃,塔底から排出される硝酸水溶液中のアジピン酸濃度は9wt%であった。該硝酸水溶液の一部を系外に抜き出し、残りの硝酸水溶液は反応系循環流として反応器に戻した。得られたアジピン酸は理論値に対して95.0wt%の収率であった。反応器の入口での硝酸濃度が60wt%になるように、新しい硝酸を加えた。アジピン酸あたりの硝酸消費量は840[kg/T−アジピン酸]であった。
実施例2と比較して、反応温度が低いためアジピン酸あたりの硝酸消費量が多かった。反応温度が低く、混合時間も短いにも関わらずアジピン酸収率が低かった。更に、反応温度が低いために濃縮塔の塔底から晶析系へ抜き出される硝酸水溶液中のアジピン酸濃度が低かった。実施例2と同じだけのアジピン酸を得るためには、21/9=2.3倍の量を抜き出すことになる。このことは、商業プロセスでの晶析系及びその後段の別の濃縮系の負荷が大きくなることを示している。
【0044】
比較例3
ステンレス鋼製連続等温型装置にCu0.5wt%,V0.04wt%を含む、110℃,50wt%の硝酸水溶液130kg/Hと、シクロヘキサノール0.13kg/Hを13mm内径のT字管にて混合した後、供給した。このときシクロヘキサノールの線速は0.0003m/秒であり、混合時間は1.05秒であった。反応混合物は一部を晶析系へ抜き出し、一部を反応系へ循環した。この反応系循環硝酸水溶液とシクロヘキサノールの重量流量比は1000であった。この時、アジピン酸収率は理論値に対して94.1wt%であった。アジピン酸あたりの硝酸消費量は807[kg/T−アジピン酸]であった。
実施例2と比較して、シクロヘキサノールの線速が小さいためアジピン酸収率が低かった。更に、反応系循環流が1000:142と7倍多いため反応器や循環ポンプ、配管の負荷も7倍となった。
【0045】
実施例4
内径80mmのスタティックミキサーに1NのH2SO4を123m3/hrで流入した。該スタティックミキサーの直前に径2.4mmの2つの穴を持つフィードノズルを2本設置し、該フィードノズルよりフェノールフタレインで着色した0.004NのNaOHを1.2m3/hrでフィードした。実施例1と同じ方法で混合時間を求めたところ0.05秒であった。
内径1000mm、高さ10000mmの断熱型反応器にCu0.5wt%,V0.04wt%を含む、78.2℃,53.6wt%の反応系循環硝酸水溶液を780T/Hでフィードした。断熱型反応器に硝酸水溶液の流れに平行に内径80mmのスタティックミキサーを5個設置し、それぞれのミキサーには硝酸水溶液の流れにほぼ平行に径2.4mmの2つの穴を持つ内径10mmのフィードノズルを2本ずつ設置した。該フィードノズルからシクロヘキサノールを5.6T/Hでフィードした。従って、反応系循環流とシクロヘキサノールの重量比は138であった。また、混合時間は0.05秒、シクロヘキサノールの線速は18.3m/秒であった。スタティックミキサーの出口から300mmの位置に多孔板を設置した。スタティックミキサーの出口から2.5秒の位置での半径方向温度プロファイルを測温したところ、標準偏差は1.00℃であった。また、スタティックミキサーの出口から500mmの位置での標準偏差も1.00℃であった。このときの断熱型反応器出口の温度は95℃であった。
反応器出口のガスを離脱等に導入し、離脱塔にて酸化窒素,二酸化窒素,酸化二窒素,及び亜硝酸をエアーストリッピングした後、塔頂圧20KPaの濃縮塔で硝酸濃度を約40wt%まで濃縮した。該濃縮塔の塔底温度は約80℃,塔底から排出される硝酸水溶液中のアジピン酸濃度は21wt%であった。該硝酸水溶液の一部を晶析工程に送り、残りの硝酸水溶液は反応系循環流として断熱型反応器に戻した。抜き出されて晶析工程に送られた硝酸水溶液はふつうの方法で晶析,精製してアジピン酸を得た。得られたアジピン酸は理論値に対して95.8wt%の収率であった。晶析工程より排出された母液は、別の濃縮工程で濃縮し、上記反応系循環流へ戻した。このとき、断熱型反応器の入口での硝酸濃度が53.6wt%になるように、新しい硝酸を加えた。アジピン酸あたりの硝酸消費量は800[kg/T−アジピン酸]であった。
【0046】
実施例5
多孔板を設置しない以外は、実施例4と全く同じ方法で、Cu0.5wt%,V0.04wt%を含む、77℃,55.0wt%の反応系循環硝酸水溶液を780T/Hでフィードし、フィードノズルからシクロヘキサノールを5.6T/Hでフィードした。スタティックミキサーの出口から2.5秒の位置での半径方向温度プロファイルを測温したところ、標準偏差は2.50℃であり、該断熱型反応器出口の温度は95℃であった。スタティックミキサーの出口から500mmの位置での標準偏差は2.44℃であった。得られたアジピン酸は理論値に対して95.1wt%の収率であった。標準偏差が1.5℃以上であるので、実施例4よりはアジピン酸収率が低かった。
【0047】
実施例6
断熱型反応器の入口温度を68℃とする以外は、実施例4と全く同じ方法で、Cu0.5wt%,V0.04wt%を含む、55.0wt%の反応系循環硝酸水溶液を780T/Hでフィードし、フィードノズルからシクロヘキサノールを5.6T/Hでフィードした。スタティックミキサーの出口から2.5秒の位置での半径方向温度プロファイルを測温したところ、標準偏差は1.00℃であり、該断熱型反応器出口の温度は85℃であった。得られたアジピン酸は理論値に対して96.6wt%の収率であり、実施例4より若干良くなったが、温度が低いために硝酸消費量が実施例4の800[kg硝酸/Tアジピン酸]に対し、834と多くなった。更に、反応器出口のガスを離脱等に導入し、離脱塔にて酸化窒素,二酸化窒素,酸化二窒素,及び亜硝酸をエアーストリッピングした後、塔頂圧20KPaの濃縮塔で硝酸濃度を約40wt%まで濃縮した。該濃縮塔の塔底温度は約70℃,塔底から排出される硝酸水溶液中のアジピン酸濃度は15wt%であった。実施例4より低いアジピン酸濃度であるので、反応系での硝酸水溶液大循環量は実施例4の1.4倍となり、また、後段の晶析器の負荷も1.4倍増えた。
【0048】
比較例4
内径2.9mm,長さ250mmのT字管を混合部とする、T字管を含んだ長さが650mmの反応器を用意した。比較例1と同様の方法でフェノールフタレインの色が消えるところまでの距離を時間に換算し、混合時間を求めたところ0.01秒であった。
次に、同じT字管を用いて、シクロヘキサノールの硝酸酸化反応を行った。すなわち、該T字管にCuを0.5wt%,Vを0.05wt%含む、78.4℃,55.0wt%の硝酸水溶液を150kg/hrで通液し、該フィードノズルよりシクロヘキサノールを0.7kg/hrで5時間フィードした。該反応器の出口の温度は91.0℃であった。このときの混合時間は0.01秒であり、シクロヘキサノールの線速は0.03m/秒であった。反応器出口の液をサンプリングし、アジピン酸は理論値に対して、94.7wt%であった。このときの硝酸消費量は0.915kg−HNO3/kg−アジピン酸であった。また、混合器から2.5秒の位置での温度プロファイルを測定したところ、温度の標準偏差は0.80℃であった。
実施例3より速い混合時間であるが、比較例4はシクロヘキサノールの線速が8×10−2m/秒以下であるので、アジピン酸収率が悪かった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法に従えば、シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを硝酸を用いて断熱型反応器で酸化し、アルカンジカルボン酸を製造する方法において、該断熱型反応器の温度にかかわらず、反応系硝酸循環流量を必要以上に多くすることなしに、アルカンジカルボン酸の収率を高くし、硝酸必要量を低減し、離脱塔での空気量を低減し、硝酸水溶液の大循環流量を少なくし、晶析器や濃縮塔の負荷を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明の方法におけるミキシング装置の概略図である。
【図2】第2図は本発明の方法におけるミキシング装置の概略図である。
【図3】第3図は本発明の方法を工学的に利用した場合の反応系,晶析系,濃縮系の一実施態様を示す概略図である。
Claims (7)
- シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを、硝酸水溶液によって酸化し、アルカンジカルボン酸を製造する方法であって、フィードノズル及びミキシング装置を含んでなる断熱型反応器を用いて、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを線速8×10 −2 m/秒以上の速さでフィードノズルからフィードすることを特徴とするアルカンジカルボン酸の製造方法。
- 該断熱型反応器の出口温度が90℃を超える請求項1記載の方法。
- 該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置において、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、1.5℃以下の標準偏差を持つ、請求項1又は2記載の方法。
- 該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、該ミキシング装置から該断熱型反応器の半径と同一距離だけ離れた位置において、1.5℃以下の標準偏差を持つ、請求項1又は2記載の方法。
- 該硝酸水溶液と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンと該硝酸水溶液とからの反応生成物と、該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンの未反応物とを含む流体が、該ミキシング装置を出てから2.5秒だけ流れた位置において、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、1.5℃以下の標準偏差を持ち、かつ、該断熱型反応器の半径方向の温度プロファイルが、該ミキシング装置を出た位置から該断熱型反応器の半径と同一距離だけ離れた位置においても1.5℃以下の標準偏差を持つ、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
- 該硝酸水溶液が、硝酸酸化反応の後、該断熱型反応器から排出された反応混合物から酸化窒素,酸化二窒素,二酸化窒素,及び亜硝酸を分離し、次いで該断熱型反応器中で生成した水を該反応混合物から蒸発させることによって、反応器入口における硝酸濃度にほぼ相当する高さの硝酸濃度にまで該反応混合物を濃縮し、濃縮された該反応混合物の一部から該アルカンジカルボン酸を分離し、母液中の硝酸を別の濃縮系で濃縮し、該母液と該濃縮された反応混合物の残りとを一緒にし、この一緒にした混合物を新しい硝酸水溶液と混合し、そして反応器に戻された硝酸水溶液である、請求項1から5のいずれか一項記載の方法。
- 該シクロアルカノール及び/又はシクロアルカノンが、シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンであり、製造される該アルカンジカルボン酸がアジピン酸である、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。
詳細な説明
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