JP4004144B2 - 砂入人工芝の再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、砂入人工芝の再生装置に関するもので、風化して固くなった砂入人工芝の表面をかき起こして新しい人工芝が備えている弾力性や柔軟性を回復させる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
砂入人工芝はナイロン製の人工芝の葉の間に硅砂を擦り込むことによって適度なクッション性を持たせたもので、テニスコート、野球場、ゴルフ場、公園の遊歩道などに用いられており、膝への負担が少なく、ボールのバウンドを適度に抑え、かつ保守も容易なことから、テニスコートに広く利用されている。しかしこのような優れた特性を有する砂入人工芝も、長期間の使用によりコート面が徐々に固くなって膝への負担が増大し、ボールのバウンドも大きくなるという現象が生じてくるため、古くなったものは新しく張り替えるという作業が必要であった。
【0003】
長期間の使用により砂入人工芝の表面特性が劣化するのは、葉の間に擦り込んだ硅砂が破壊されて細かくなり、砂の表面に付いたゴミや苔のために、表層の砂が粘土化して固くなり、初期の弾性が失われるためと考えられる。そこで砂の表面に空気流を噴射して砂の表面を解きほぐすことにより、人工芝のクッション性を回復させる再生装置が、たとえば特開平4−120306号公報、特開平5−51915号公報、特開平7−76804号公報等に示されている。また回転体の表面に掘り起こし要素やブラシ要素を設けて人工芝の表面を摺擦することにより、テニスコートの表面の再生や清掃を行う装置が、特開昭59−141614号公報、特開平5−500185号公報等に示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
コート表面に高圧空気を噴射して人工芝の再生を行うものは、消費動力が大きいこと、作業中に舞い上がる粉塵が周囲の環境を悪化させること、ノズルの配置や噴流の速度を正確にコントロールしないと、再生されたコート面に凹凸を生ずることなどの問題があり、また従来の回転ブラシ等を用いる装置では、主に清掃を目的としたもので、コート面の再生が不充分てあったり、砂の掘り起こしが不均一であるなどの問題がある。
【0005】
この発明は、より簡易な装置で人工芝の表面を均一に再生することが可能な取り扱いの簡便な装置を得ることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の発明に係る砂入人工芝の再生装置は、自走ないし牽引式車両のフレームの下方ないし後方で水平軸まわりに回転可能に軸支された回転円筒6と、この回転円筒の駆動手段25と、回転円筒の周面に螺旋状に植立されたスパイクピン7と、基端を前記車両のフレームに枢支されて回転円筒6を上下移動自在に支持する昇降フレーム5と、昇降フレーム5の昇降手段11と、昇降フレーム5に装着されてスパイクピン7の侵入深さを調整する深さ調整シュー14とを備えている。
【0007】
本願の発明に係る砂入人工芝の再生装置では、回転円筒6の回転中心軸26が車両の進行方向に対して傾斜している。
【0008】
更に、本願の発明に係る砂入人工芝の再生装置では、昇降フレーム5の揺動中心軸22が車両の進行方向に対して傾斜させて回転円筒6の回転中心軸26と平行に設けられている。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は砂入人工芝の再生装置の第1例を示した図である。車両1はグランドの整備などに用いられているスポーツトラクタで、再生装置2は当該スポーツトラクタのフレーム3の下に装着されている。再生装置2は車体フレーム3に固定した軸受部4に基端を枢支されて、上下揺動する平面コ字形の昇降フレーム5を備えており、この昇降フレーム5の上縁には補強板5aが固着されている。補強板5aには昇降フレームの揺動端に軸支された回転円筒6との干渉を避けるための開口5bが設けられている。
【0010】
昇降フレームに両端で軸支された回転円筒6には、その長手方向中心(車体中心と一致している)に対称な螺旋8に沿ってスパイクピン7が植立されている。スパイクピン7は陸上競技用シューズの長さ16mmのスパイクを流用して、回転円筒6の表面にねじこんで固定してある。このスパイクピン7を螺旋8に沿って植立することで、車両幅方向のピン間隔を狭くしており、さらに螺旋8を二重螺旋あるいは三重螺旋とすることで、人工芝の表面の固まった砂を万遍なくかつ細かくかき起こすのに必要な細かいピン間隔が実現できる。
【0011】
車両1の運転席9には、下方中間位置をピン10で枢支した操作レバー11が設けられており、この操作レバー11の下端12が連結リンク13を介して昇降フレーム5に連結されている。操作レバー11を後方に引くことにより、昇降フレーム5が上動し、回転円筒6が持ち上げられる。昇降フレーム5の揺動端両側には、ボルトとロックナットとにより高さ調整可能な深さ調整シュー14が装着されている。この深さ調整シュー14は再生しようとする人工芝の表面に当接して、回転円筒6の高さを調整しており、再生しようとする人工芝の表面の砂の状態にもよるが、スパイクピン7の先端が砂の表層部分に4〜8mm侵入する高さに設置するのが好ましい結果が得られる。
【0012】
回転円筒6の回転駆動力は、スポーツトラクタ1の車体下面に突出している回転取出軸15によって供給されており、図2に示すように、回転取出軸15に装着されたプーリ16の回転がベルト17により車体フレーム3側方に設けた側方プーリ18に伝達され、傘歯車19で水平軸まわりの回転に変換されている。水平軸に固着された第1中間プーリ21は、揺動中心軸22に回転自在に取り付けられた第2中間プーリ23とベルト24によって連結されている。第2中間プーリ23には駆動スプロケット25が一体的に固着されている。このスプロケット25は回転円筒の回転中心軸26に固着された従動スプロケット27にチェン28で連結されている。チェン28の緩みは、昇降フレームに軸着されたアイドルローラ29によって吸収される。回転取出軸の回転は、側方プーリ18、中間プーリ21、23及び駆動スプロケット25を介して回転円筒6の中心軸26に取り付けた従動スプロケット27に伝達されている。上記構成により回転円筒6はその昇降と無関係に一定速度で回転駆動される。
【0013】
図3は砂入人工芝の再生装置の第2例を示した図で、この第2例のものでは、回転円筒6が車両1の走行方向に対して15度斜めにして装着されている。斜めにした回転円筒6への回転力の伝達は、第1例のものと同じ回転駆動系で行っており、従動スプロケット27を球面スプライン31を介して回転円筒の中心軸26に取り付けることにより、回転円筒6の傾斜に対応させている。
【0014】
以上のように構成された装置により、古くなって表層が固くなったテニスコートの表面をスパイクピン7の侵入深さ3mm、6mm及び9mmで再生試験を行った結果、6mmの深さでかき起こし再生を行ったときに、最も良好な結果が得られた。しかしながらこの再生装置で完全に元の状態で復帰させることは不可能である。それは長期間の使用によって表面の砂の粒径が微細化されているためであり、最終的には表層の砂を入れ替えて再生を図る必要がある。砂の入れ替えを伴う再生の場合には、スパイクピン7の侵入深さを深めに設定して、より多くの砂をかき起こした後、入れ替えるようにするのが好ましい。
【0015】
図4及び図5は砂入人工芝の再生装置の第3例を示した図である。この第3例のものでは、再生装置2は固定フレーム32と昇降フレーム5とを備えており、固定フレーム32をスポーツトラクタの車体フレーム3に固定することにより、再生装置2を取り付けることができるようになっている。回転円筒6は第2例のものと同様に、昇降フレーム5の揺動端に車両の進行方向に対して斜めに装着されており、かつこの第3例のものでは、昇降フレーム5の揺動中心軸22が回転円筒の回転中心軸26と平行すなわち車両1の進行方向に対して斜めになっている。従って昇降フレーム5は平面視で斜めに潰れたコ字形をしている。
【0016】
回転円筒6を回転駆動する駆動系は、第1例のものと同様であるが、回転中心軸26及び揺動中心軸22が斜めになっているため、全体が斜めに配置されている。そしてこの回転駆動系の側方プーリ18、傘歯車19、揺動中心軸22及び駆動スプロケット25は、いずれも固定フレーム32に軸支されており、固定フレーム32を装脱することにより、車体フレーム3から取り外すことができるようになっている。
【0017】
図6は砂入人工芝の再生装置の第4例を示した図で、回復作業時にスボーツトラクタで牽引して使用するものである。再生装置2の昇降フレーム5は、断面円弧形の前面板35、両側側板36及び天板37からなる箱形であり、天板37の上面に車体フレーム3の軸受部4に装架された揺動中心軸22に係止される逆L形の連結杆38が設けられている。連結杆の側部には後述するボールナットを嵌装する止め具39が設けられている。昇降フレーム5の両側側板36には、前面板側にブラシローラ40が車両の進行方向と直交する方向に装架され、その後方にスパイクピン7を植設した回転円筒6がブラシローラ40と平行に装架されている。ブラシローラ及び回転円筒の回転方向はスボーツトラクタの進行方向と逆方向(図上右回転方向)である。回転円筒の後方両側には深さ調整シュー14が装着されている。
【0018】
前面板35の表面中央にはギヤボックス41が固設されており、ギヤボックスの傘歯車に基端が連結された第1中間軸42が連結杆38と平行に設けられている。ギヤボックス41には第1中間軸の傘歯車と噛合する傘歯車が固着された第2中間軸43が前面板35と平行に配置されており、第2中間軸の一端に固着された駆動スプロケットと、ブラシローラの中心軸44及び回転円筒の回転中心軸26のそれぞれに固着された従動スプロケットとが側板の外側でチェーン28で連結されている。
【0019】
一方、スポーツトラクタの下面に突出している回転取出軸15は、傘歯車機構45によって車体フレーム3の底面に沿って車両の進行方向に設けたシャフト46に連結されており、シャフト46と第1中間軸42とは自在継手47によって連結されている。また、スポーツトラクタの後部にはボールナット48を螺合したボーネねじ49のモータ50が揺動自在に装着されている。なお、再生装置の昇降フレーム5にガソリンエンジンを搭載して、その出力によって回転円筒6及びブラシローラ40を駆動してもよい。
【0020】
スポーツトラクタで再生装置を牽引するときは、揺動中心軸22に連結杆38を係止し、連結杆の止め具39にボールナット48を嵌合し、シャフト46と第1中間軸42とを自在継手で連結する。人工芝の固さをみて深さ調整シュー14の高さを決め、必要があれば天板に錘51を載せ、再生装置をスポーツトラクタで牽引しながら砂入り人工芝上を走行させる。再生装置のスパイクピン7が人工芝に擦り込まれた珪砂をまんべんなく掘り起こし、掘り起こされた珪砂をブラシローラ40が再生装置の後方へ飛ばす。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1例の再生装置の側面図
【図2】 第1例の再生装置の底面図
【図3】 第2例の再生装置の底面図
【図4】 第3例の再生装置の側面図
【図5】 第3例の再生装置の底面図
【図6】 第4例の再生装置の側面図
【符号の説明】
1 車両
昇降フレーム
6 回転円筒7 スパイクピン
11 操作バー
14 深さ調整シュー
22 揺動中心軸
25 駆動スプロケット
26 回転中心軸

Claims (1)

  1. 自走ないし牽引式車両のフレームの下方ないし後方で水平軸まわりに回転可能に軸支された回転円筒(6)と、この回転円筒の駆動手段(25)と、回転円筒の周面に螺旋状に植立されたスパイクピン(7)と、基端を前記車両のフレームに枢支されて回転円筒(6)を上下移動自在に支持する昇降フレーム(5)と、昇降フレーム(5)の昇降手段(11)と、昇降フレーム(5)に装着されてスパイクピン(7)の侵入深さを調整する深さ調整シュー(14)とを備え
    回転円筒 (6) の回転中心軸 (26) が車両の進行方向に対して傾斜しており、昇降フレーム (5) の揺動中心軸 (22) が当該傾斜させた回転中心軸 (26) と平行に設けられていることを特徴とする、砂入人工芝の再生装置。
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