JP4003335B2 - 半導体力学量センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサチップ及びこのセンサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップを備えた半導体力学量センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、車両用エアバッグなどに用いられる半導体加速度センサにあっては、作用する加速度の大きさに応じた信号を発生するセンサチップと、このセンサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップとを外部端子が設けられたセラミックパッケージ内に収納し、当該パッケージをプリント基板に実装して車両に搭載する構成となっており、このものでは、センサチップ及び回路チップ間、並びに回路チップ及びパッケージ間をボンディングワイヤを介して電気的に接続することが一般的となっている。このような半導体加速度センサにおいて、センサチップ及び回路チップをパッケージ内に横に並べて収納する構成とした場合には、実装用面積が大きいパッケージが必要となって、全体の大型化が避けられないという事情がある。このため、従来では、回路チップ上にセンサチップを段積み状に搭載する構成とし、以て全体の小型化を図ることが考えられている。
【0003】
上記のような半導体加速度センサを例えばサイドエアバッグに適用しようとすると、車両の正面方向に加わる加速度の検出に加え、側面方向に加わる加速度の検出も必要であり、各検出方向にセンサチップの加速度検出軸が向くように2つのパッケージを基板実装方向(位置)を適宜変更して基板に実装する必要があった。この場合、基板側に形成する配線の設計が複雑になり、場合によっては、配線のための領域を大きくする必要も生じる。従って、加速度検出軸が異なる場合であっても、基板に対するパッケージ実装向きを変えないで基板実装可能とすること、換言すれば、センサチップに設定された加速度検出軸をパッケージ内で任意に且つ容易に変更できるようにすることが要望されている。
【0004】
しかしながら、上記のように回路チップ上にセンサチップを段積み状に搭載することにより全体の小型化を図ったものにおいて、前記要望を踏まえて単純にセンサチップの配置向きを変えて加速度検出軸の方向を変更しようとすると、センサチップ上の電極パッドと回路チップ上の電極パッドとの間の距離が長短変化することになるため、場合によってはボンディングワイヤの延長寸法が極端に長くなることがある。このような状態では、ボンディングワイヤが垂れてショートする恐れや、センサチップが容量検出型の場合にワイヤ長が長くなることに起因する浮遊容量や寄生容量などの影響によって加速度検出特性が悪化するという問題点が出てくる。また、このような問題点に対処するために、センサチップ及び回路チップを1チップに集積化することも考えられているが、このような構成では、その製造プロセスが複雑になってコストが大幅に上昇するという新たな問題点が出てくる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、回路チップ上にセンサチップを配置した半導体力学量センサにおいて、力学量検出軸の方向を変更する際にボンディングワイヤの延長寸法が無闇に長くなることのない半導体力学量センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した手段を採用できる。この手段によれば、回路チップ上に設けられたチップマウント領域にセンサチップを搭載する構成となっているから、それらセンサチップ及び回路チップによる占有面積を小さくできて全体の小型化を実現できるようになる。また、上記チップマウント領域は、上記センサチップを、当該センサチップが有する所定の力学量検出軸を少なくとも第1の方向及び該第1の方向と異なる第2の方向の何れか1つに向けて選択的に搭載可能な領域として設定されていると共に、回路チップ側の電極パッド、つまり上記センサチップ側の電極部とボンディングワイヤを介して電気的に接続される電極パッドは、そのセンサチップが選択される全ての搭載状態に合わせて当該センサチップ側の電極部と近接するように配置されてなるものであるから、ボンディングワイヤの延長寸法が無闇に長くなる恐れがなくなり、しかも力学量検出軸の方向を容易に変更できるようになる。
【0007】
すなわち、複数存在する電極パッドを1グループとした電極パッド群が前記チップマウント領域を囲むように複数配置されているから、センサチップを、その力学量検出軸が前記第1の方向及び第2の方向の何れか1つに向いた状態となるように上記チップマウント領域に搭載した場合には、当該センサチップ側の電極部とこれに近い距離にある電極パッド群との間をボンディングワイヤにより接続すれば良いことになる。この結果、力学量検出軸の方向を容易に変更できるようになり、しかも、このような変更が行われた場合でもボンディングワイヤの延長寸法が無闇に長くなる恐れがなくなるものである。また、回路チップの構造が複雑になるものの、1種類の回路チップを用意するだけで済むからコストの高騰を極力防止できるようになる。
【0008】
請求項2に記載した手段によれば、回路チップ側にはリング状電極パッドが前記チップマント領域を包囲した状態で同心円状に配置されているから、センサチップが、その力学量検出軸の向きが任意の方向に設定された状態で上記チップマウント領域に搭載されたときには、当該センサチップ側の電極部と電極パッドとの間をボンディングワイヤにより最短距離で接続できるようになる。この結果、力学量検出軸の方向を容易に変更できると共に、ボンディングワイヤの延長寸法を最短にできるものである。また、回路チップの構造が複雑になるものの、1種類の回路チップを用意するだけで済むからコストの高騰を極力防止できるようになる。
【0009】
前記目的を達成するために請求項5に記載した製造方法を採用できる。この製造方法によれば、所定の力学量検出軸を備えたセンサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップの表面に、少なくとも第1の方向または該第1の方向と異なる第2の方向に前記力学量検出軸が向くように前記センサチップを選択的に搭載可能なチップマウント領域と、このチップマウント領域を囲むように配置された複数の電極パッドを1グループとした電極パッド群を複数形成した上で、そのチップマウント領域に対して、前記力学量検出軸の向きを前記第1の方向及び前記第2の方向の何れか1つに合わせた状態で前記センサチップを搭載することになる。そして、上記回路チップの複数の電極パッド群のうち、前記センサチップの電極部に近接する電極パッド群を選択して前記電極部と当該選択した電極パッド群とをボンディングワイヤにて接続することになる。
【0010】
従って、回路チップ上に設けられたチップマウント領域にセンサチップが搭載されることになるから、それらセンサチップ及び回路チップによる占有面積を小さくできて全体の小型化を実現できるようになる。この場合、回路チップ表面に形成されるチップマウント領域は、センサチップの力学量検出軸が少なくとも第1の方向または該第1の方向と異なる第2の方向に向くように当該センサチップを選択的に搭載可能な状態とされるものであり、また、センサチップの電極部を回路チップ側の複数の電極パッド群にボンディングワイヤにて接続する際には、回路チップの複数の電極パッド群のうち、当該センサチップの電極部に近接するものが選択されて接続されることになるから、力学量検出軸の方向を容易に変更できるようになると共に、ボンディングワイヤの延長寸法が無闇に長くなる恐れがなくなり、スムーズなワイヤボンディングを実施できる。
また、前記目的を達成するために請求項6に記載した製造方法を採用できる。この製造方法によれば、所定の力学量検出軸を備えたセンサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップの表面に、少なくとも第1の方向または該第1の方向と異なる第2の方向に前記力学量検出軸が向くように前記センサチップを選択的に搭載可能なチップマウント領域と、このチップマウント領域を包囲するリング状にそれぞれ形成されると共に互いに同心円状に配置された複数の電極パッドとを形成した上で、そのチップマウント領域に対して、前記力学量検出軸の向きを前記第1の方向及び前記第2の方向の何れか1つに合わせた状態で前記センサチップを搭載することになる。そして、上記回路チップの複数の電極パッドと、前記センサチップの電極部とをボンディングワイヤにて接続することになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(参考例)
以下、本発明を容量式の半導体加速度センサ及びその製造方法に適用した参考例について図1ないし図7を参照しながら説明する。
図5には半導体加速度センサのためのセンサチップ1の平面構造が示され(但し、図5中の斜線帯は断面を示すものではなく、各構造要素の区別を容易に認識可能にするためのものである)、図6には図5中のA−A線に沿った模式的な断面構造が示されている。
【0012】
これら図5及び図6において、例えば単結晶シリコンにより構成された支持基板2(図6にのみ図示)は、矩形状の開口部2aを備えた正方形状に形成されており、その上面には、不純物拡散により比抵抗が比較的低い状態とされた単結晶シリコン層3が、絶縁膜4(図6にのみ図示)を介して形成されている。この単結晶シリコン層3には、梁構造体5並びに一対の固定電極構造体6、7がマイクロマシニング技術を利用して形成されている。
【0013】
上記梁構造体5は、矩形棒状のマス部8の両端を、矩形枠状の梁部9a及び9bを介してアンカー部10a及び10bに一体に連結した構成となっており、これらアンカー部10a及び10bが支持基板2における対向辺部上に前記絶縁膜4を介して支持されている。これにより、上記マス部8及び梁部9a、9bは、支持基板2の開口部2aに臨んだ状態となっている。この場合、センサチップ1の加速度検出軸(本発明でいう力学量検出軸に相当)は、センサチップ1の主表面と平行した一次元方向となるものであり、前記梁部9a及び9bは、図5中矢印Xで示されたセンサチップ1の加速度検出軸の成分を含む加速度を受けたときにマス部8を当該方向へ変位させると共に、加速度の消失に応じて元の状態に復元させるというバネ機能を備えた構成となっている。
【0014】
さらに、梁構造体5は、マス部8の両側面から当該マス部8と直交した方向へ一体的に突出された複数個ずつの可動電極11a及び11bを備えており、これら可動電極11a及び11bも支持基板2の開口部2aに臨んだ状態となっている。尚、これら可動電極11a及び11bは、実際には多数個ずつ設けられるものであるが、図5では簡略化のため2個ずつのみ示している。また、可動電極11a及び11bは、断面矩形の棒状に形成されていると共に、矩形状の貫通孔12が複数個形成されており、この貫通孔12により複数の矩形枠状体を直線状に連結した形態の所謂ラーメン構造を備えた形状とされている。
【0015】
支持基板2上には、梁構造体5における一方のアンカー部10bと一体に連結された状態の可動電極用配線部13が前記絶縁膜4を介して形成されており、この配線部13上の所定位置、具体的にはセンサチップ1のエッジ部寄りの部位には、ワイヤボンディング用の電極パッド13a(本発明でいう電極部に相当)が例えばアルミニウムにより形成されている。
【0016】
前記固定電極構造体6は、支持基板2上に絶縁膜4を介して形成された固定電極用配線部6aと、前記可動電極11aの一方の側面と所定の検出空隙を存して平行した状態で配置された複数個の第1の固定電極6bとを一体に有した構成となっており、各固定電極6bは、上記固定電極用配線部6aに片持ち状に支持された状態となっている。これにより、上記第1の固定電極6bは、支持基板2の開口部2aに臨んだ状態となっている。
【0017】
また、前記固定電極構造体7は、支持基板2上に絶縁膜4を介して形成された固定電極用配線部7aと、前記可動電極11bの一方の側面(前記可動電極11aにおける前記検出空隙側と反対側の面)と所定の検出空隙を存して平行した状態で配置された複数個の第2の固定電極7bとを一体に有した構成となっており、各固定電極7bは、上記配線部7aに片持ち状に支持された状態となっている。これにより、上記第2の固定電極7bは、支持基板2の開口部2aに臨んだ状態となっている。
【0018】
尚、上記第1及び第2の固定電極6b及び7bは、実際には多数個ずつ設けられるものであるが、図5では簡略化のため2個ずつのみ示している。また、第1及び第2の固定電極6b及び7bは、断面矩形の棒状に形成されていると共に、矩形状の貫通孔14が複数個形成されており、この貫通孔14により複数の矩形枠状体を直線状に連結した形態の所謂ラーメン構造を備えた形状とされている。さらに、上記固定電極用配線部6a及び7a上の所定位置、具体的にはセンサチップ1のエッジ部寄りの部位には、ワイヤボンディング用の電極パッド6c及び7c(本発明でいう電極部に相当)がアルミニウムにより形成されている。
【0019】
支持基板2の周縁部に残存した単結晶シリコン層3は、シールド用薄膜3aとして機能するものであり、そのシールド用薄膜3aと梁構造体5及び可動電極用配線部13との隣接部位には絶縁分離トレンチ15が形成され、シールド用薄膜3aと固定電極用配線部6a及び7aとの各隣接部位には絶縁分離トレンチ16及び17がそれぞれ形成されている。また、シールド用薄膜3a上におけるセンサチップ1のエッジ部寄りの部位には、ワイヤボンディング用の電極パッド3b(本発明でいう電極部に相当)がアルミニウムにより形成されている。
【0020】
上記のように構成されたセンサチップ1にあっては、図5中に矢印で示す加速度検出軸X方向の成分を含む加速度が印加されると、マス部8が当該加速度検出軸X方向へ変位するようになり、その加速度に応じた変位量は、マス部8の質量と梁部9a、9bの復元力、並びに電圧印加状態において可動電極11a及び11bと第1及び第2の固定電極6b及び7bとの各間に作用する静電気力によって決定される。この場合、可動電極11aと第1の固定電極6bとの間に第1のコンデンサが形成され、また、可動電極11bと第2の固定電極7bとの間に第2のコンデンサが形成されるものであり、これら第1及び第2のコンデンサの各静電容量は、上記のようにマス部8に加速度が作用したときの可動電極11a及び11bの変位に応じて差動的に変化するものである。従って、斯様な静電容量の変化を、電極パッド6c、7c、13aを通じて電荷量の変化として取り出すことにより加速度を検出できることになる。
【0021】
図4には、上記センサチップ1を含んで構成された半導体加速度センサ(半導体力学量センサ)18の概略的な縦断面構造が示されている。この図4において、センサチップ1は、当該センサチップ1からの信号を電気的に処理するための回路チップ19に載置状に搭載されるものであり、これらセンサチップ1及び回路チップ19の一体物を、図示しない外部端子を備えたケース状のパッケージ20に形成された凹部20a内に収納すると共に、その凹部20aを蓋21によって気密に封止した構成となっている。即ち、センサチップ1は、回路チップ19に対し可撓性接着剤22を介して接着され、また、回路チップ19は、パッケージ20に対し同じく可撓性接着剤23を介して接着される。この場合、センサチップ1と回路チップ19との間、並びに回路チップ19とパッケージ20との間は、それぞれボンディングワイヤ24及び25を介して電気的に接続される。さらに、蓋21は、パッケージ20に対し金属製シールリング26を介して後述のように取り付けられる。
【0022】
さて、以下においては、センサチップ1及び回路チップ19の関係について具体的に説明する。
図1(a)ないし図3(a)には、上記回路チップ19の平面図が示され、図1(b)ないし図3(b)には、当該回路チップ19上にセンサチップ1を搭載した状態の平面図が示されている。但し、これら図1ないし図3は、ワイヤボンディング用の電極パッドのレイアウト、前記ボンディングワイヤ24及びセンサチップ1の加速度検出軸Xのみを図示した概略的なものである。
【0023】
即ち、回路チップ19は、センサチップ1を載置状に搭載するための正方形状のチップマウント領域27、センサチップ1が有する前記電極パッド3b、6c、7c及び13aと前記ボンディングワイヤ24を介して接続される4個の電極パッド28、パッケージ20が有する図示しない電極パッド群と前記ボンディングワイヤ25を介して接続される複数個(例えば13個)の電極パッド29を有するもので、図1(a)、図2(a)、図3(a)に示すように、それらチップマウント領域27、4個の電極パッド28を異なるレイアウトで設けたものが3種類用意される。そこで、以下においては、各回路チップ19のレイアウトについて説明する。尚、以下の説明では、便宜上、図1(a)の回路チップ19に添字A、図2(a)の回路チップ19に添字B、図3(a)の回路チップ19に添字Cを必要に応じて付すことにする。
【0024】
図1(a)に示す回路チップ19Aは、チップマウント領域27の所定のエッジ部27aを当該回路チップ19Aの基準エッジ部SEと45°の角度を存した状態、換言すれば、センサチップ1の力学量検出軸Xが基準エッジ部SEに対し45°となる方向(第1の方向)へ向いた状態となるように配置すると共に、上記エッジ部27aと沿った領域に、センサチップ1側の電極パッド6c、13a、7cとそれぞれ近接した状態となる3個の電極パッド28を一列状に配置し、さらに、チップマウント領域27における上記エッジ部27aと対向したエッジ部27bと沿った領域に、センサチップ1側の電極パッド3bと近接した状態となる1個の電極パッド28を配置した構成となっている。
【0025】
図2(a)に示す回路チップ19Bは、チップマウント領域27の所定のエッジ部27aを当該回路チップ19Bの基準エッジ部SEと平行させた状態(基準エッジ部SEと0°の角度を存した状態)、換言すれば、センサチップ1の力学量検出軸Xが基準エッジ部SEに対し90°となる方向(第2の方向)へ向いた状態となるように配置すると共に、上記エッジ部27aと沿った領域に、センサチップ1側の電極パッド6c、13a、7cとそれぞれ近接した状態となる3個の電極パッド28を一列状に配置し、さらに、チップマウント領域27における上記エッジ部27aと対向したエッジ部27bと沿った領域に、センサチップ1側の電極パッド3bと近接した状態となる1個の電極パッド28を配置した構成となっている。
【0026】
図3(a)に示す回路チップ19Cは、チップマウント領域27の所定のエッジ部27aを当該回路チップ19Cの基準エッジ部SEと直交させた状態(基準エッジ部SEと90°の角度を存した状態)、換言すれば、センサチップ1の力学量検出軸Xが基準エッジ部SEに対し0°となる方向(第2の方向)へ向いた状態となるように配置すると共に、上記エッジ部27aと沿った領域に、センサチップ1側の電極パッド6c、13a、7cとそれぞれ近接した状態となる3個の電極パッド28を一列状に配置し、さらに、チップマウント領域27における上記エッジ部27aと対向したエッジ部27bと沿った領域に、センサチップ1側の電極パッド3bと近接した状態となる1個の電極パッド28を配置した構成となっている。
【0027】
そして、回路チップ19のチップマウント領域27にセンサチップ1を搭載するときには、回路チップ19A、19B、19Cの中からセンサチップ1の加速度検出軸Xと回路チップ19の基準エッジ部SEとの間に設定される検出角度(45°、0°、90°の何れか)に対応したものを選択するものである。
【0028】
図7には、半導体加速度センサ18の製造手順が概略的な断面図により示されており、以下これについて説明する。
【0029】
即ち、まず、図7(a)に示すように、センサチップ1の下面に液状の可撓性接着剤22を塗布し、この後、図7(b)に示すように、そのセンサチップ1を上述のように選択した回路チップ19のチップマウント領域27にその形状に合致させた状態で搭載して接着する。次いで、図7(c)に示すように、回路チップ19の下面に液状の可撓性接着剤23を塗布し、この後、図7(d)に示すように、当該回路チップ19及びセンサチップ1の一体物を、シールリング26が例えばロー付けにより取り付けられたパッケージ20の凹部20a内に搭載して接着する。
【0030】
尚、上記のような各接着工程を行う場合、チップマウント領域27側に可撓性接着剤22を塗布しておく構成、或いは、凹部20aにおける回路チップ19の搭載領域側に可撓性接着剤23を塗布しておく構成も可能である。また、接着剤22、23として液状のものを使用したが、シート状、固体状、ゲル状などの各種接着剤を使用することもできる。
【0031】
この後には、図7(e)に示すように、センサチップ1の電極パッド3b、6c、7c、13a(図1〜図3参照)と回路チップ19の電極パッド28群(図1〜図3参照)との間をボンディングワイヤ24により電気的に接続すると共に、当該回路チップ19の電極パッド29群(図1〜図3参照)とパッケージ20側の図示しない電極パッド群との間をボンディングワイヤ25により電気的に接続する。尚、このボンディングの順序はどちらが先でも良い。そして、図7(f)に示すように、シールリング26上に蓋21を置き、シームウェルド法により蓋21及びシールリング26間を気密に封止することにより、半導体加速度センサ18を完成させる。
【0032】
上記した本参考例の構成によれば、回路チップ19上に設けられたチップマウント領域27にセンサチップ1を搭載する構成となっているから、それらセンサチップ1及び回路チップ19による占有面積を小さくできる。従って、パッケージ20に必要な実装用面積を小さくできて、当該パッケージ20を小型化できるから、センサ全体の小型化を実現できるようになる。
【0033】
また、チップマント領域27及び電極パッド28及び29群のレイアウトが異なる3種類の回路チップ19(19A、19B、19C)の中から、これに搭載されるセンサチップ1側の電極パッド3b、6c、7c、13aに対し近接した配置状態の電極パッド28群を有するものを選択して使用することになるから、電極パッド3b、6c、7c、13aと4個の電極パッド28との間を電気的に接続するボンディングワイヤ24の延長寸法が無闇に長くなる恐れがなくなる。この結果、ボンディングワイヤ24が垂れて他のボンディングワイヤ24などとショートする恐れがなくなる共に、本参考例のようにセンサチップ1が容量検出型の場合に問題となるワイヤ長の延長に起因した浮遊容量や寄生容量などの影響によって、加速度検出特性が悪化する事態を未然に防止できるようになる。
【0034】
しかも、上記のような回路チップ19の種類選択に応じて、センサチップ1の力学量検出軸Xと回路チップ19の基準エッジ部SEとの間の角度を、45°、0°、90°の何れかに変更できるから、その力学量検出軸Xの方向の変更(加速度検出軸Xとパッケージ20との絶対的な位置関係の変更)を任意且つ容易に行い得るようになる。この結果、本参考例による半導体加速度センサを例えばエアバッグ用として用いる場合、2以上のパッケージ20を、その実装向きを変えないで、車両の正面方向に加わる加速度や側面方向に加わる加速度などの各検出方向にセンサチップ1の加速度検出軸が向くようにセンサチップ1の向きを任意且つ容易に変更して基板に実装するという要求にも確実に応え得るようになる。また、上記のように、チップマウント領域27及び電極パッド28及び29群のレイアウトを変更した状態の回路チップ19を3種類用意するだけで済むから、コストの高騰を抑制できるようになる。
【0035】
(第1の実施の形態)
図8及び図9には本発明の第1実施例が示されており、以下これについて前記参考例と異なる部分のみ説明する。
図8には、本実施例による回路チップ30の平面図が示され、図9には、当該回路チップ30上にセンサチップ1を搭載した状態の平面図が示されている。但し、これら図8及び図9は、ワイヤボンディング用の電極パッドのレイアウト、ボンディングワイヤ及びセンサチップ1の加速度検出軸Xのみを図示した概略的なものである。
【0036】
即ち、回路チップ30は、その上面中央部にセンサチップ1を載置状に搭載するための円形状のチップマウント領域31を有し、センサチップ1が有する電極パッド3b、6c、7c及び13aと接続される4個の電極パッド28を1グループとした例えば8群の電極パッド群が上記チップマウント領域を包囲した形態で同心状に配置すると共に、それらの周囲にパッケージが有する図示しない電極パッド群と接続される複数個の電極パッド29を配置したレイアウトとなっている。尚、回路チップ30は多層配線を使用することが可能であり、このような場合には、電極パッド28からの配線に内層配線を利用できるものである。
【0037】
そして、回路チップ30のチップマウント領域31にセンサチップ1を搭載するときには、そのセンサチップ1の加速度検出軸Xと回路チップ30の基準エッジ部SEとの間の角度を任意に設定するものであり、このように搭載した状態では、図9(a)、(b)、(c)に示すように、当該センサチップ1側の電極パッド3b、6c、7c及び13aとこれに最も近い距離にある電極パッド28群との間をボンディングワイヤ24により接続することになる。尚、図9(a)、(b)、(c)は、加速度検出軸Xと基準エッジ部SEとの間の角度をそれぞれ45°、0°、90°に設定した例であるが、その角度は0°〜360°の範囲で任意に設定できるものである。
【0038】
このような構成とした本実施例によれば、加速度検出軸Xの方向を容易に変更できるようになるから、2以上のパッケージ20を、その実装向きを変えないで、複数の検出方向にセンサチップ1の加速度検出軸が向くようにセンサチップ1の向きを任意且つ容易に変更して基板に実装するという要求にも確実に応え得るようになる。しかも、このような加速度検出軸Xの方向の変更が行われた場合でもボンディングワイヤ24の延長寸法が無闇に長くなる恐れがなくなるから、ボンディングワイヤ24が垂れて他のボンディングワイヤ24などとショートする恐れがなくなる共に、ワイヤ長の延長に起因した浮遊容量や寄生容量などの影響によって、加速度検出特性が悪化する事態を未然に防止できるようになる。また、回路チップ30の構造が複雑になるものの、1種類の回路チップ30を用意するだけで済むからコストの高騰を極力防止できるものである。
【0039】
(第2の実施の形態)
図10には本発明の第2実施例が示されており、以下これについて前記参考例と異なる部分のみ説明する。
図10には、本実施例による回路チップ32上にセンサチップ1を搭載した状態の平面図が示されている。但し、この図10は、ワイヤボンディング用の電極パッドのレイアウト、ボンディングワイヤ及びセンサチップ1の加速度検出軸Xのみを図示した概略的なものである。また、図10中の斜線帯は断面を示すものではなく、各電極パッドの区別を容易に認識可能にするためのものである
即ち、回路チップ32は、その上面中央部にセンサチップ1を載置状に搭載するための円形状のチップマウント領域(図示せず)を有し、センサチップ1が有する電極パッド3b、6c、7c及び13aと接続される4個の電極パッド33を、上記チップマウント領域を包囲した異なる大きさのリング状に形成すると共に、これらを互いに同心円状に配置したレイアウトとなっている。尚、回路チップ30は多層配線を使用することが可能であり、電極パッド33のための配線は内層配線を利用することになる。
【0040】
そして、回路チップ32のチップマウント領域にセンサチップ1を搭載するときには、そのセンサチップ1の加速度検出軸Xと回路チップ32の基準エッジ部SEとの間の角度を任意に設定するものであり、このように搭載した状態では、図10に示すように、当該センサチップ1側の電極パッド3b、6c、7c及び13aと4個の電極パッド33との間をボンディングワイヤ24により最短距離で接続できるようになる。
【0041】
このような構成とした本実施例によっても、加速度検出軸Xの方向を容易に変更できるようになるから、2以上のパッケージ20を、その実装向きを変えないで、複数の検出方向にセンサチップ1の加速度検出軸が向くように、そのセンサチップ1の向きを任意且つ容易に変更して基板に実装するという要求にも確実に応え得るようになる。しかも、このような加速度検出軸Xの方向の変更が行われた場合でもボンディングワイヤ24の延長寸法を最短にできるから、ボンディングワイヤ24が垂れて他のボンディングワイヤ24などとショートする恐れがなくなる共に、ワイヤ長の延長に起因した浮遊容量や寄生容量などの影響によって、加速度検出特性が悪化する事態を未然に防止できるようになる。また、回路チップ32の構造が複雑になるものの、1種類の回路チップ32を用意するだけで済むからコストの高騰を極力防止できるものである。
【0042】
(その他の実施の形態)
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
参考例では、回路チップ19の電極パッドなどのレイアウトを3種類としたが、センサチップ1の力学量検出軸Xと回路チップ19の基準エッジ部SEとの間の角度の多様な変更に対応できるように、さらに多種類のレイアウトを設定することができる。半導体加速度センサに限らず、例えばヨーレートセンサなど、他の半導体力学量センサにも広く適用できるものである。また、上記各実施例では、センサチップ1の検出軸は1つとしているが、一次元方向の検出軸を同一チップ面に複数有するものでも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例を示す回路チップの概略的平面図並びに回路チップ上にセンサチップを搭載した状態での概略的平面図その1
【図2】 回路チップの概略的平面図並びに回路チップ上にセンサチップを搭載した状態での概略的平面図その2
【図3】 回路チップの概略的平面図並びに回路チップ上にセンサチップを搭載した状態での概略的平面図その3
【図4】 半導体加速度センサの概略的な縦断面図
【図5】 センサチップの平面図
【図6】 図5中のA−A線に沿った模式的な断面図
【図7】 製造手順を示す概略的な断面図
【図8】 本発明の第1実施例を示す回路チップの概略的平面図
【図9】 回路チップ上にセンサチップを搭載した状態での概略的平面図
【図10】 本発明の第2実施例を示す回路チップ上にセンサチップを搭載した状態での概略的平面図
【符号の説明】
1はセンサチップ、3b、6c、7c、13aは電極パッド(電極部)、6bは第1の固定電極、7bは第2の固定電極、11a、11は可動電極、18は半導体加速度センサ(半導体力学量センサ)、19、19A、19B、19Cは回路チップ、20はパッケージ、24、25はボンディングワイヤ、27はチップマウント領域、28、29は電極パッド、30は回路チップ、31はチップマウント領域、32は回路チップ、33は電極パッドを示す。
Claims (7)
- 所定の力学量検出軸を有し電極部を備えたセンサチップと、前記センサチップを搭載するためのチップマウント領域とボンディングワイヤを介して前記電極部と電気的に接続される電極パッドが設けられ、前記センサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップとを備えた半導体力学量センサにおいて、
前記回路チップにおけるチップマウント領域は、前記力学量検出軸を少なくとも第1の方向及び該第1の方向と異なる第2の方向の何れか1つに向けて前記センサチップを選択的に搭載可能な領域として設定され、
前記回路チップにおける電極パッドは複数存在し、これらを1グループとした電極パッド群が前記チップマウント領域を囲むように複数配置され、
前記センサチップが前記チップマウント領域に搭載された状態で、当該センサチップ側の電極部とこれに近い距離にある電極パッド群との間を前記ボンディングワイヤにより接続可能に構成したことを特徴とする半導体力学量センサ。 - 所定の力学量検出軸を有し電極部を備えたセンサチップと、前記センサチップを搭載するためのチップマウント領域とボンディングワイヤを介して前記電極部と電気的に接続される電極パッドが設けられ、前記センサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップとを備えた半導体力学量センサにおいて、
前記回路チップにおけるチップマウント領域は、前記力学量検出軸を少なくとも第1の方向及び該第1の方向と異なる第2の方向の何れか1つに向けて前記センサチップを選択的に搭載可能な領域として設定され、
前記回路チップにおける電極パッドは複数存在し、前記チップマウント領域を包囲するリング状にそれぞれ形成されると共に、互いに同心円状に配置されることを特徴とする半導体力学量センサ。 - 前記センサチップは、力学量の作用に応じて変位する可動電極と、この可動電極と所定空隙を存して対向配置された固定電極とを備え、力学量を前記可動電極及び固定電極間に形成されるコンデンサの静電容量の変化として取り出す容量式センサとして構成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の半導体力学量センサ。
- 前記センサチップ及び回路チップを収納するためのパッケージが設けられることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の半導体力学量センサ。
- 所定の力学量検出軸を備えたセンサチップと、このセンサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップとを備えた半導体力学量センサの製造方法において、
前記回路チップ表面に、少なくとも第1の方向または該第1の方向と異なる第2の方向に前記力学量検出軸が向くように前記センサチップを選択的に搭載可能なチップマウント領域と、このチップマウント領域を囲むように配置された複数の電極パッドを1グループとした電極パッド群を複数形成し、
前記力学量検出軸の向きを前記第1の方向及び前記第2の方向の何れか1つに合わせて前記チップマウント領域に前記センサチップを搭載し、
前記回路チップの複数の電極パッド群のうち、前記センサチップの電極部に近接する電極パッド群を選択して前記電極部と前記選択した電極パッド群とをボンディングワイヤにて接続したことを特徴とする半導体力学量センサの製造方法。 - 所定の力学量検出軸を備えたセンサチップと、このセンサチップからの信号を電気的に処理するための回路チップとを備えた半導体力学量センサの製造方法において、
前記回路チップ表面に、少なくとも第1の方向または該第1の方向と異なる第2の方向に前記力学量検出軸が向くように前記センサチップを選択的に搭載可能なチップマウント領域と、このチップマウント領域を包囲するリング状にそれぞれ形成されると共に互いに同心円状に配置された複数の電極パッドとを形成し、
前記力学量検出軸の向きを前記第1の方向及び前記第2の方向の何れか1つに合わせて前記チップマウント領域に前記センサチップを搭載し、
前記回路チップの複数の電極パッドと、前記センサチップの電極部とをボンディングワイヤにて接続したことを特徴とする半導体力学量センサの製造方法。 - 前記ボンディングワイヤのボンディング実行前若しくは実行後に、前記センサチップ及び回路チップの一体物をパッケージ内に収納することを特徴とする請求項5または6記載の半導体力学量センサの製造方法。
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