JP4003248B2 - 含フッ素化合物、光学薄膜およびそれを用いた反射防止性物品 - Google Patents

含フッ素化合物、光学薄膜およびそれを用いた反射防止性物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素化合物、光学薄膜およびそれを用いた反射防止物品に関し、特に、テレビのブラウン管や液晶表示装置用の反射防止膜、CRTモニター用反射防止フィルターなどの各種表示装置の反射防止用のみならず、展示物のケースやショーウインド、絵画の額、窓ガラス、光学レンズ、メガネレンズなどの反射防止などに好適に用いられる光学薄膜および反射防止性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置などに用いられる反射防止用フィルターなどの反射防止性物品は、基板に低屈折率の光学薄膜を単層で設けるか、もしくは高屈折率および低屈折率の光学薄膜を交互に多層に設けて反射防止層としている場合が多い。
【0003】
このような光学薄膜を得る方法としては、蒸着やスパッタなどによって無機物を基板に積層するのが一般的であり、このようにして得られる反射防止膜は低反射で耐擦傷性に優れる。しかし、無機物を蒸着やスパッタして反射防止処理する方法は、高性能な反射防止層が得られるものの、真空を必要とする大がかりな装置を用いるので生産性が悪く、製造コストは高価であった。また、これらの方法は、蒸着もしくはスパッタ時に基板が80℃以上に加熱されるので、耐熱性の点などから使用できる基板が限定されていた。
【0004】
また、近年、低屈折率の有機物質を溶媒に溶解した後、基板に低屈折率の有機物質をコーティングして低屈折率有機薄膜を形成して反射防止膜とする方法が知られるようになった。このような溶液コーティング法は、例えば特開平4−355401号公報や特開平6−18705号公報などに開示されている。これら溶液コーティング法で用いられる低屈折率物質は、フッ素含有率の高い樹脂であり、優れた反射防止特性を示している。また、これらは溶液コーティングにより薄膜を形成するので、無機物を蒸着やスパッタして反射防止処理する方法とは異なり、生産性よく反射防止膜を形成することが可能である。
【0005】
しかしながら、特開平4−355401号公報あるいは特開平6−18705号公報に記載の含フッ素樹脂からなる有機薄膜は、溶液コーティングが可能なので生産性がよく、低屈折率のため優れた反射防止特性を示すが、これらの含フッ素樹脂硬化物は架橋密度が低いので表面硬度が低く、耐擦傷性に劣るという問題があった。さらに、コーティングした後、加熱硬化を必要とするため、耐熱性の点などから使用できる基板が限定されていた。
【0006】
また、表面硬度が高く架橋密度の高い含フッ素樹脂として米国特許第3,310,606号公報に開示されているパーフルオロジビニルエーテルの硬化物が挙げられているが、この硬化物は溶剤に不溶で高温、高圧下で成型する必要があるため光学薄膜を得ることはできない。
【0007】
これに対し、特開平8−239430号公報では、特定の化学構造を持つ含フッ素ジ(メタ)アクリル酸エステルを提案している。しかしながら、これらの化合物は一般に極性が低く、下層に対する密着性の点で問題を生じていた。さらに、該化合物を生産する上でもエステル化及び精製工程に手間を要するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低反射性及び耐擦傷性に優れる光学薄膜とそれを用いた反射防止性物品、さらにそれらの原料となる不飽和二重結合基、及び極性基を分子内にもつ生産容易な新規含フッ素化合物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の含フッ素化合物は次の構成を有する。
【0010】
(1)下記一般式で示されることを特徴とする含フッ素化合物。
【0011】
(CH2=CR1COOR2OCO)2Rf
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は1つの水酸基を持つ炭素数1〜10のシクロヘキシル環を有してもよいアルキレン基を表し、Rfは含フッ素アルキル基を表す。)
また、本発明の光学薄膜は次の構成を有する。
【0012】
(2)上記一般式で示される含フッ素化合物を含む組成物が重合してなることを特徴とする光学薄膜。
【0013】
(3)上記(2)に記載の光学薄膜を用いることにより得られることを特徴とする反射防止性物品。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の光学薄膜とは、光線が上部に薄膜が存在している基材に入射した時、光線が屈折率の異なる境界で交差して干渉をおこす薄膜をいう。光学薄膜では、反射光は入射光の干渉光として出現する。例えば、透明基板上に透明な光学薄膜を一層設けたとき、入射反射光の一部は空気と薄膜との境界で反射し、一部は薄膜と基板界面で反射し、全体として反射光はそれらの干渉光となる。干渉光は結果的に基材の反射率を低減もしくは増加させる。光学薄膜は、光が干渉作用をおこす程度に薄く、基板の反射率は光学薄膜の屈折率と膜厚に依存する。
【0015】
本発明は、用途的に限定されるものではないが、主として反射率の低減を目的とした低屈折率の光学薄膜を提供するものであり、光学薄膜の膜厚はλ/4nの奇数倍が好ましい。ここで、λは薄膜内での光の波長を示し、光の波長がある程度の幅で存在している場合は、λは光の中心波長を示す。nは膜屈折率を表す。本発明で対象となる光の波長は、多くの場合可視光であり、中心波長は通常人間が感じる500〜550nmに設定するのが好ましい。
【0016】
本発明の光学薄膜の膜厚は、膜の屈折率にもよるが、可視光における光干渉による反射率の低減効果を発揮させる観点から、好ましくは70〜700nm、より好ましくは、80〜120nm、さらに好ましくは、90〜110nmである。
【0017】
低屈折率膜を光学膜厚よりも厚く物品の表面に設けて反射防止を付与した場合は、光干渉による反射率の低減効果はなく、基材表面の屈折率が低いことによる反射率の低減のみにとどまるので、光学薄膜を設けた場合に比べて反射率が高くなり反射防止効果は劣る。
【0018】
反射防止効果を高めるには、基材自体または基材表面の膜の、D線で測定した屈折率の値が1.56以上、好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.70以上の比較的高い屈折率を有するものを用い、その上に該基材または基材表面の膜より低い屈折率の膜を設けることが好ましい。また、基材表面上に膜を有する場合の膜としては屈折率が好ましくは後述する範囲であるほか、さらに、導電性をもつものであっても良い。例えば、屈折率の値が1.6の基材上に屈折率1.38の薄膜を設ける場合、薄膜の膜厚を適当に選択すれば反射率は1%以下とすることができる。
【0019】
ポリメチルメタクリレート(以下、PMMA)やガラスなど、屈折率が1.56よりも小さい基材であっても反射防止効果を持たせる観点から、基材上に設ける光学薄膜の屈折率を1.45以下、さらには1.42以下とするのが好ましい。
【0020】
本発明の光学薄膜では、重合後の表面硬度が鉛筆硬度H以上である。表面硬度が低いと、得られた膜の耐擦傷性が劣り、耐久性が低下するという問題を生じる。
【0021】
本発明で使用される不飽和二重結合を2つ以上有する含フッ素化合物は、下記一般式
(CH2=CR1COOR2OCO)2Rf
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は1つの水酸基を持つ炭素数1〜10のシクロヘキシル環を有してもよいアルキレン基を表し、Rfは含フッ素アルキル基を表す。)で示されるが、R1、R2、Rfはそれぞれ直鎖であっても分岐を有していても良い。
【0022】
このような不飽和二重結合を2つ有する含フッ素化合物としては、例えば、下記の化合物が例示される。
【0023】
【化1】
Figure 0004003248
【化2】
Figure 0004003248
【化3】
Figure 0004003248
【化4】
Figure 0004003248
【化5】
Figure 0004003248
なお、上記一般式においてkは2以上12以下の整数であるが、屈折率を低減させ、耐擦傷性を向上させる観点から、kは4以上10以下とするのが好ましい。
【0024】
本発明の含フッ素化合物を合成する方法を以下に示す。含フッ素ジカルボン酸とエポキシ基をもつ(メタ)アクリレートから得られる含フッ素ジ(メタ)アクリレートは、カルボン酸1化学等量に対して、0.3〜2.0化学等量、より好ましくは0.5〜1.5化学等量たる比で反応させることにより製造することができる。
【0025】
この際、反応溶剤を添加することができ、これらに該当する物としては、両者を溶かすことのできる溶剤であれば特に問わず、一般に有機溶剤が用いられる。
【0026】
さらに、反応を促進させる目的で、触媒を使用することが好ましい。例えば、ピリジン、イソキノリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピコリン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、BF3等が用いられる。またその使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.3〜5.0重量%である。
【0027】
また、反応中の重合を禁止するために、重合禁止剤を使用することが好ましく、その例としては、例えばメトキノン、ハイドロキノン、フェノチアジン等をあげることができる。その添加量は好ましくは反応原料混合物に対して、0.01〜5%、より好ましくは0.05〜3%である。
【0028】
反応温度は希釈溶媒、触媒により異なるが、原料、反応中間体、生成物等の熱重合が起こらない温度が好ましく、40〜150℃であり、 より好ましくは50〜130℃である。反応時間は、触媒、反応温度に依存するが、2〜80時間である。反応終了後は、未反応の(メタ)アクリレート、希釈溶剤等を留去することができ、また、これらを除去することなく次に用いることもできる。」
上記した不飽和二重結合を2つ有する含フッ素化合物の他に、必要に応じて、不飽和二重結合を含む含フッ素化合物、重合開始剤、その他のモノマーや化合物を組成物中に加えることができる。これらのモノマーや化合物は、適宜、硬度、屈折率の調整、コーティング性の調整などのために加えられ、重合して光学薄膜とすることができる。
【0029】
このような不飽和二重結合を1つ含む含フッ素化合物としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、β−(パーフロロオクチル)エチルメタアクリレートなどの単官能含フッ素(メタ)アクリレートなどがあげらる。光学薄膜の屈折率を下げるためには、不飽和二重結合を1つ含むフッ素含有量の多い化合物を添加するのが好ましい。また、ジフルオロビニル化合物を少量添加して光学薄膜の硬度を上げることもできる。
【0030】
さらに、市販の多官能モノマーなどを、硬度、屈折率の調整やその他の性能付与のために組成物中に加えることができる。多官能モノマーの使用量は、屈折率が上昇して、反射防止性能が低下するのを防止する観点から、50重量%以下、さらには40重量%以下が好ましい。
【0031】
このような多官能モノマーとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、相溶性がよく、鉛筆硬度H以上となる硬化物が得られるものであれば特に限定されない。
【0032】
さらにコーティング性を良くするために塗膜の表面を平滑化する効果を持つレベリング剤を添加してもよく、添加量は、好ましくは硬化物全体の0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
【0033】
本発明の光学薄膜において熱重合法、光重合法、電子線重合法など、重合の方法は特に限定されないが、好ましくは、基板の耐熱性に影響を受けない光重合法により硬化される。熱重合開始剤としては、アゾイソブチロニトリル等のアゾ系化合物の他にパーオキサイド系化合物等が用いられる。また光重合開始剤としては、例えば、イソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1などが挙げられるが、特に限定されない。光重合開始剤の添加量は、硬化物組成全体の0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0034】
本発明では、必要に応じて、光重合開始剤、市販の多官能モノマー、レベリング剤等を含む組成物をそのまま、もしくは適当な溶剤で適当な濃度に希釈したものが基板の上に、例えば、スピンコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコーティング、バーコーターコーティング、ロールコーティング、カーテンフローコーティングなどの方法で均一に塗布される。その後、溶媒を加熱等で留去したのち加熱または光照射により効果膜を形成する。なかでも低圧もしくは高圧水銀灯、キセノン灯などを用いた紫外線照射によるものが好ましい。
【0035】
本発明の光学薄膜により反射防止性能を施す基板は、特に限定されないが、例えば、通常のガラスや、厚さ1mm以下の薄板ガラス、ポリカーボネート樹脂やPMMA樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などの樹脂透明基板、PETフィルムなどのフィルム類などが挙げられる。
【0036】
また、本発明の光学薄膜を基材に形成する場合、密着性や塗布性を向上させるなどの目的で、必要に応じて、基材を表面処理したり、基材と前記光学薄膜との間に中間膜を設けることができる。かかる中間膜として前記光学薄膜よりも高屈折率の光学薄膜を設ける場合は、反射防止効果が高まり、さらに、高屈折率薄膜と本発明の光学薄膜を交互に多数積層することにより、より優れた反射防止物品を得ることができる。反射防止効果を高めるためには、膜を基材表面に設ける場合の屈折率は、基材と同等もしくはそれより高い、1.56以上、さらには1.6以上、特に1.7以上とするのが好ましい。高屈折率膜の形成方法、素材には特に限定されない。さらに、これらの高屈折率膜に導電性をもたせたものも好ましく使用することができる。
また、本発明の光学薄膜は低反射性のみならず、フッ素元素の効果による撥水性を付与することができる。
【0037】
【実施例】
本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
【0038】
[含フッ素ジ(メタ)アクリレート体の合成]
(1)含フッ素ジカルボン酸(HOCO(CF2)8COOH)0.05mol、グリシジル(メタ)アクリレート0.10mol、ハイドロキノン140mg、ピリジンを240mg、トルエン50gを、窒素で完全に置換され攪拌機、温度計、コンデンサを備えた500ccの三つ口フラスコに仕込み、窒素パージ下で70°Cで40時間加熱攪拌した。溶媒を留去して本発明の不飽和二重結合を有する、
含フッ素ジアクリレート体
CH2=CHCOOCH2CH(OH)CH2OCO(CF2)8COOCH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2(I)
CH2=CHCOOCH2CH2CH(OH)OCO(CF2)8COOCH(OH)CH2CH2OCOCH=CH2
または、含フッ素ジメタクリレート体
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCO(CF2)8COOCH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2(II)
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCO(CF2)8COOCH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2
を得た。
(2)(1)においてグリシジルメタクリレートの代わりにアクリロイルオキシメチレンシクロヘキセンオキサイドを用い、次式で表される含フッ素アクリレート体(III )を得た。
【0039】
【化6】
Figure 0004003248
(3)ピリジンの代わりに、BF3を150mg用いた以外は(1)と同様にして、本発明の不飽和二重結合を有する含フッ素ジアクリレート体
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCO(CF2)8COOCH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2および
CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH(OH)OCO(CF2)8COOCH(OH)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
または、含フッ素ジメタクリレート体
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OCO(CF2)8COOCH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2および
CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH(OH)OCO(CF2)8COOCH(OH)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2を得た。
【0040】
実施例1
本発明の不飽和二重結合を有する含フッ素化合物(I)5部と、光開始剤としてイソプロピルチオキサントン0.2部、イソブタノール90部を混合、攪拌して、塗布液を調製した。その塗布液を、ハードコートしたポリカーボネート基板に膜厚100nmとなるようにディップコート法で塗布した後、高圧水銀灯を用いて3分間で5000mJ/cm2 UV照射し、重合させた。ハードコートしたポリカーボネート基板の屈折率は1.59であった。
得られた光学薄膜基板の540nmにおける反射率および、重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に示した。
【0041】
得られた光学薄膜基板は低反射率であり、かつ耐擦傷性に優れたものであった。 なお、薄膜の耐消しゴム性は、LION、No50の消しゴムを用い、1Kg加重のもとで5往復した後の傷の発生の有無を観察して評価した。
【0042】
実施例2
本発明の不飽和二重結合を有する含フッ素化合物(II)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、光学薄膜を作製し評価した。結果を表1に示した。
【0043】
実施例3
本発明の不飽和二重結合を有する含フッ素化合物(III )を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、光学薄膜を作製し評価した。結果を表1に併せて示した。
【0044】
実施例4
本発明の不飽和二重結合を有する含フッ素化合物
CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH(OH)OCO(CF2)6COOCH(OH)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
80部と、パーフルオロオクチルエチルアクリレート15部、トリメチロールプロパントリアクリレート5部、イソブタノール900重量部、および開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1部を混合攪拌して、塗布液を調製した。ハードコートしたポリカーボネート基板の上に、塗布液をスピンコート法で膜厚100nmとなるように塗布した後、高圧水銀灯を用いて3分間で5000mJ/cm2 UV照射し重合させた。なお、ハードコートしたポリカーボネート基板の屈折率は1.59であった。
光学薄膜基板の540nmにおける反射率および、重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に併せて示す。
【0045】
得られた光学薄膜基板は低反射率であり耐擦傷性に優れたものであった。
【0046】
実施例5
本発明の不飽和二重結合を有する含フッ素化合物(I)95部、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート5重量部、および光開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1を1重量部、さらに、レベリング剤としてSH190(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)を0.3重量部、溶剤として酢酸−n−ブチル50重量部を混合、攪拌して、塗布液を調製した。ポリカーボネート基板の上に、金属酸化物と多官能アクリレート混合物からなる150nmの厚みで屈折率1.7のハードコートを形成し、さらにその上に、上記塗布液をスピンコート法で膜厚100nmとなるように塗布した後、高圧水銀灯を用いて3分間で5000mJ/cm2 UV照射し重合させ、ポリカーボネート基板上に高屈折率薄膜および低屈折率薄膜の2層膜を設けた。
【0047】
光学薄膜基板の540nmにおける反射率および、重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に併せて示す。
【0048】
得られた光学薄膜基板は低反射率であり耐擦傷性に優れたものであった。
【0049】
実施例6
実施例1において、塗料塗布基板をPMMAとした他は、実施例1と同様にして光学薄膜基板を作製した。PMMA基板の屈折率は1.50であった。
【0050】
光学薄膜基板の540nmにおける反射率および、重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に併せて示す。
【0051】
得られた光学薄膜基板は低反射率であり耐擦傷性に優れたものであった。
【0052】
比較例1
ネオペンチルグリコールジアクリレート5重量部と、光開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.4重量部、イソプロピルアルコール90重量部を混合、攪拌して、塗布液を調製した。その塗布液をディップコート法でハードコートされたポリカーボネート基板に膜厚100nmとなるように塗布した後、高圧水銀灯を用いて3分間で5000mJ/cm2 UV照射し重合させた。なお、ハードコートしたポリカーボネート基板の屈折率は1.59であった。
光学薄膜基板の540nmにおける反射率および、重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に併せて示す。
【0053】
得られた薄膜の反射防止効果は低かった。
【0054】
比較例2
基板としてPMMAを用いた他は、比較例1と同様にして、PMMA基板上に薄膜を形成した。PMMA基板の屈折率は1.50であった。
【0055】
540nmにおける反射率および、重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に併せて示す。
【0056】
得られた薄膜の反射防止効果は低かった。
【0057】
比較例3
市販のフッ素含有樹脂(旭硝子(株)製、サイトップ)の2%溶液をハードコートされたポリカボネート基板に膜厚100nmになるようにディップコート法で塗布した後、90℃で1時間乾燥させて光学薄膜を得た。なお、ハードコート膜の屈折率は1.7であった。
【0058】
540nmにおける反射率および、重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に併せて示す。
【0059】
柔らかい重合硬化物となり、消しゴムにより傷が発生した。
【0060】
比較例4
下記化学式
C8H17(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
で表される市販のフッ素含有樹脂(三菱レイヨン(株)製、FM17)3重量部をパーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン97重量部に溶解して得られた3%溶液を、ハードコートされたポリカボネート基板に膜厚100nmになるようにディップコート法で塗布した後、80℃で1時間乾燥させて光学薄膜を得た。 540nmにおける反射率および重合硬化物の鉛筆硬度、D線における屈折率、薄膜の耐消しゴム性を表1に併せて示す。なお、ハードコート膜の屈折率は1.7であった。
【0061】
柔らかい重合硬化物となり、消しゴムにより傷が発生した。
【0062】
【表1】
Figure 0004003248
【0063】
【発明の効果】
本発明の含フッ素化合物は、耐擦傷性に優れ、耐候性、耐熱性が良好でかつ、コート性の良い反射防止性の光学薄膜を形成する材料となる。かかる光学薄膜は反射防止性のみならず撥水性を有する。
【0064】
また、本発明の光学薄膜から得られる反射防止性物品は、テレビのブラウン管や液晶表示装置用の反射防止膜、CRTモニター用反射防止フィルターなどの各種表示装置の反射防止用、展示物のケースやショーウインド、絵画の額、窓ガラス、光学レンズ、メガネレンズなどとして利用できる。

Claims (12)

  1. 下記一般式で示されることを特徴とする含フッ素化合物。
    (CH2=CR1COOR2OCO)2Rf
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は1つの水酸基を持つ炭素数1〜10のシクロヘキシル環を有してもよいアルキレン基を表し、Rfは含フッ素アルキル基を表す。)
  2. R2が(CH2)qCH(OH)CH2または(CH2)qCH2CH(OH)[qは1〜3の整数]であることを特徴とする請求項1記載の含フッ素化合物。
  3. R2がシクロヘキシル環を有することを特徴とする請求項1記載の含フッ素化合物。
  4. 下記一般式で示される含フッ素化合物を含む組成物が重合してなることを特徴とする光学薄膜。
    (CH2=CR1COOR2OCO)2Rf
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は1つの水酸基を持つ炭素数1〜10のシクロヘキシル環を有してもよいアルキレン基を表し、Rfは含フッ素アルキル基を表す。)
  5. 下記一般式で示される含フッ素化合物100重量部に対し、多官能(メタ)アクリレートを50重量部以下加えて得られた組成物が重合してなることを特徴とする光学薄膜。
    (CH2=CR1COOR2OCO)2Rf
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は1つの水酸基を持つ炭素数1〜10のシクロヘキシル環を有してもよいアルキレン基を表し、Rfは含フッ素アルキル基を表す。)
  6. 多官能(メタ)アクリレートが3〜4官能(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項5に記載の光学薄膜。
  7. Rfが(CF2)k(kは2以上12以下の整数)であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光学薄膜。
  8. Rfが(CF2)m(mは4以上10以下の整数)であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光学薄膜。
  9. D線における屈折率が1.45以下であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の光学薄膜。
  10. 光により重合してなることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の光学薄膜。
  11. 請求項4〜10のいずれかに記載の光学薄膜を基材上に設けてなることを特徴とする反射防止性物品。
  12. 請求項4〜10のいずれかに記載の光学薄膜を屈折率1.56以上の膜を有する基材上に設けてなることを特徴とする反射防止性物品。
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