JP4003224B2 - 繊維補強ホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内側ゴム層と外側ゴム層との間に繊維補強層を設けて一体に加硫成形した繊維補強ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用のオイル系ホース、エア系ホース等においては、耐熱性,耐油性,耐圧性,シール性等の各種の性能が要求されることから、例えば実公平6−47720号公報に見られるように、内側ゴム層と外側ゴム層との少なくとも一方を耐熱性や耐油性に優れたアクリルゴム系の材料を以て構成し、かつ、内側ゴム層と外側ゴム層との間に耐熱性,耐薬品性,強度等の優れたアラミド系補強糸を用いた繊維補強層を設けて、これらを一体に加硫成形している。
【0003】
ところで、アラミド系補強糸は非常に高価であり、ホース製作時のコストアップを招いてしまうため、より安価に利用できる補強糸(その代表的なものがポリエステル補強糸やポリアミド補強糸である。)を用いて繊維補強層を構成したいと言う要求が一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アラミド系補強糸と異なり、ポリエステル補強糸やポリアミド補強糸は熱,オイルあるいは特定の加硫剤等により劣化し易い。従って、ポリエステル補強糸やポリアミド補強糸の繊維補強層を設けるについては、その充分な劣化対策が必要であり、しかもこの対策が他面においてアクリルゴムの物性やホースの良好な加硫接着を阻害するものであってはならない。
【0005】
例えば、特開平10−205660号公報に係る「繊維補強ゴムホース」の発明では、ポリエステル補強糸からなる繊維補強層を設けると共に、内側ゴム層と外側ゴム層との少なくとも一方をカルボキシル基架橋席含有アクリルエラストマーで構成し、かつ、これに加硫剤として多価アミンを配合している。
【0006】
しかし、アクリルエラストマーの架橋席とされたカルボキシル基は、ポリエステル補強糸の耐熱,耐油劣化等の防止上からは必ずしも好適ではなく、繊維補強層の劣化に基づくホースの耐圧性不足を招く恐れがある。
【0007】
一方、特開平9−227749号公報に係る「エラストマー組成物及びゴムホース」の発明では、アクリルゴムに優れた押出し加工性や引張り強度を与えるために、エポキシ基含有アクリルゴムに対してチオウレア化合物,イミダゾール化合物,第4級アンモニウム塩等を配合しているが、繊維補強ホースを対象とせず、よって補強糸の劣化対策には何ら触れていない。
【0008】
そこで本発明は、加硫系配合物やアクリルゴムの架橋席等の最適化対策を一体的に実施することにより、繊維補強層の劣化防止とアクリルゴムの良好な物性や加硫接着性を同時に実現し、結果的にポリエステル繊維補強層を有する繊維補強ホースの耐熱性,耐油性,耐圧性,シール性等の各種性能を確保することを、解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、少なくとも一方がアクリルゴムからなる内側ゴム層と外側ゴム層との間に、ポリエステル補強糸又はポリアミド補強糸の繊維補強層を設けて一体に加硫成形した繊維補強ホースにおいて、前記アクリルゴムがエポキシ基含有アクリルゴムであり、かつ、これにトリメチルチオウレアを一部に含む加硫系配合物が配合されている、繊維補強ホースである。
【0010】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係る加硫系配合物におけるトリメチルチオウレアの配合量が、アクリルゴム100重量部に対して0.05〜1.5重量部である、繊維補強ホースである。
【0012】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明において、加硫系配合物が、前記トリメチルチオウレアと、それぞれ適量のイミダゾール化合物及び4級アンモニウム塩からなる、繊維補強ホースである。
【0013】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第3発明において、アクリルゴムのエポキシ基含有量が0.7〜2.3重量%である、繊維補強ホースである。
【0014】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第4発明において、アクリルゴムが、エチルアクリレートが60重量%以上であるモノマー組成を有する、繊維補強ホースである。
【0015】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第5発明において、アクリルゴムに配合するカーボンブラックの平均粒子径が30〜75nmである、繊維補強ホースである。
【0016】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、
前記第1発明〜第6発明に係るポリエステル補強糸の含有するカルボキシル基末端基の含有量が20当量/トン以下である、繊維補強ホースである。
【0017】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明において、アクリルゴムとしてエポキシ基含有アクリルゴムを用いるので、前記従来技術のようにカルボキシル基架橋席含有アクリルエラストマーを用いる場合に比較して、ポリエステル補強糸やポリアミド補強糸の劣化が小さい加硫剤(イミダゾール化合物など)を用いることができると言う理由から、ポリエステル補強糸の劣化防止上好適である。
【0018】
又、劣化し易いポリエステル(又はポリアミド)繊維補強層が不可避的にある程度劣化したとしても、加硫系配合物の一部にチオウレア化合物を含むので、加硫成形されたアクリルゴムが繊維補強層の劣化を有効にカバーし得る常態物性(特に圧縮永久歪)を示し、金属製パイプ等との接合部におけるホースのシール性を確保できる。
【0019】
(第2発明の作用・効果)
チオウレア化合物を過剰に(例えば2重量部以上)配合すると、アラミド系等の芳香族ポリアミド補強糸に対しては劣化作用を示さないが、ポリエステル補強糸やポリアミド補強糸に対してはその劣化を促進することが分かっている。しかし第2発明では、他の加硫系配合物の併用下に、チオウレア化合物の配合量を1.5重量部以下とすることにより、かかる不具合を回避できる。
【0020】
加硫系配合物におけるチオウレア化合物の配合量が、アクリルゴム100重量部に対して0.05重量部未満の場合、アクリルゴムの過大な圧縮永久歪を防止する上で、必ずしも好ましくない。
【0021】
(第3発明の作用・効果)
第3発明においては、チオウレア化合物としてトリメチルチオウレアを用いるので、第1発明又は第2発明におけるチオウレア化合物の効果を最も好ましく得ることができる。
【0022】
(第4発明の作用・効果)
本発明の加硫系配合物として、チオウレア化合物と共に用いる他の加硫剤,加硫促進剤の種類は余り限定されないが、第4発明のように加硫剤としてイミダゾール化合物、加硫促進剤として4級アンモニウム塩をそれぞれ適量(例えば、アクリルゴム100重量部に対して前者を0.1〜3重量部、後者を0.1〜3重量部)用いることにより、結果的にチオウレア化合物の過剰な使用を回避できると共に、アクリルゴムに適切な常態物性を与え、圧縮永久歪を小さくすると言う効果を得ることができる。
【0023】
(第5発明の作用・効果)
第5発明において、アクリルゴムのエポキシ基含有量を0.7重量%以上とするので、アクリルゴムに適切な常態物性、圧縮永久歪を与えることができる。又、アクリルゴムのエポキシ基含有量を2.3重量%以下とするので、架橋席の過剰による押出加工性等の悪化を防止することができる。
【0024】
(第6発明の作用・効果)
第6発明において、アクリルゴムが、エチルアクリレートが60重量%以上であるモノマー組成を有するので、エンジンオイル等の油との接触又は浸漬によるアクリルゴム層の体積変化が小さく、従ってアクリルゴム中の加硫剤の補強糸層への移行を低減できるため、補強糸の劣化を低減させることができる。
【0025】
(第7発明の作用・効果)
第7発明において、アクリルゴムに配合するカーボンブラックの平均粒子径を30〜75nmとするので、その平均粒子径が過小(例えば30nm未満)である場合のような加工性の悪さを回避でき、繊維補強ホースにおける内/外ゴム層の良好な押出加工性を確保することができる。
【0026】
(第8発明の作用・効果)
第8発明において、含有するカルボキシル基末端基の含有量が20当量/トン以下であるポリエステル補強糸を用いて繊維補強層を構成するので、繊維補強ホースの耐圧性を確保できる。その理由は、カルボキシル基末端基の量を低減させることにより、加硫系配合物中のチオウレア化合物による補強糸の劣化を防止できるためと推定される。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第8発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言うときは、第1発明〜第8発明を一括して指している。
【0028】
〔繊維補強ホース〕
本発明の繊維補強ホースは、内側ゴム層と外側ゴム層との間にポリエステル補強糸あるいはポリアミド補強糸の繊維補強層を設けて一体に加硫成形され、かつ、前記内側ゴム層と外側ゴム層の一方又は双方がアクリルゴムからなるものである。
【0029】
内側ゴム層が繊維補強ホースの最内層を構成していても良いし、内側ゴム層の更に内側に他のゴム等の材料からなる最内層が形成されていても良い。又、外側ゴム層が繊維補強ホースの最外層を構成していても良いし、外側ゴム層の更に外側に他の材料からなる最外層が形成されていても良い。
【0030】
繊維補強ホースの用途は限定されないが、特に耐熱性,耐油性,耐圧性,シール性等の性能が要求される用途、例えば自動車用のオイル系ホース,ラジエーターホース,自動変速機油の冷却配管用オイルホース,エンジンオイルの冷却配管用オイルホース,エア系ホース等が好適である。
【0031】
〔アクリルゴム〕
繊維補強層の内側ゴム層及び/又は外側ゴム層を構成するアクリルゴムは、架橋席としてエポキシ基を含有するものであって、エポキシ基を含有する架橋席モノマーと、これに対して共重合可能な少なくとも一種のモノマーとを、乳化重合,懸濁重合,溶液重合,塊状重合等の公知の方法で共重合させたものである。
【0032】
上記架橋席モノマーとしては、例えばグリシジルアクリレート,グリシジルメタクリレート,アリルグリシジルエーテル,メタアリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。そして第5発明の作用・効果として前記した理由から、アクリルゴムのエポキシ基含有量が0.7〜2.3重量%となるような比率でこれらの架橋席モノマーを共重合させることが好ましい。
【0033】
架橋席モノマーに対して共重合可能なモノマーの主成分としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート等の公知の各種アクリル酸アルキルエステルや、2−メトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート等の公知の各種アクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる。
【0034】
なお、第6発明のように、アクリルゴムが、エチルアクリレートが60重量%以上であるモノマー組成を有することが、前記したような補強糸の劣化の低減と言う作用・効果上の理由から好ましい。
【0035】
架橋席モノマーに対して共重合可能なその他の成分としては、1,1−ジヒドロペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,5−トリヒドロペルフルオロヘキシル(メタ)アクリレート等の公知の各種含フッ素アクリル酸エステルや、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の公知の各種水酸記含有アクリル酸エステルや、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の公知の各種第3級アミノ基含有アクリル酸エステルや、メチルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の公知の各種メタクリレートの他、公知の各種のアルキルビニルケトン、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニル芳香族化合物、ビニルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルフマレート等が挙げられる。
【0036】
本発明に用いるアクリルゴムの例を商品名によって例示的に列挙すると、日本メクトロン社製の商品名ノックスタイト,日本ゼオン社製の商品名ニポールAR,東亜ペイント社製の商品名トアアクロン,電気化学工業社製の商品名デンカER,日信化学工業社製の商品名RVシリーズ,住友化学工業社製の商品名エスプレンEMA,日本合成ゴム社製の商品名JSR−AR及びAREX等を挙げることができる。
【0037】
〔加硫系配合物〕
アクリルゴムに適用される加硫系配合物は、チオウレア化合物と、これに併用される他の加硫剤及び/又は加硫促進剤からなる。
【0038】
チオウレア化合物としては、例えばトリメチルチオウレア、エチレンチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレア,ジオルソトリルチオウレア,ジエチルチオウレア,ジブチルチオウレア,ジラウリルチオウレア等の各種のチオウレア化合物を用いることができるが、特にトリメチルチオウレアがアクリルゴムの圧縮永久歪を改良する効果が大きい。
【0039】
チオウレア化合物の過剰配合を避けつつ充分な加硫接着性を得るために、加硫系配合物としては、チオウレア化合物の他に適量の加硫剤及び/又は加硫促進剤を配合することが好ましい。このような加硫剤や加硫促進剤の種類は特段に限定されないが、例えば加硫剤としてイミダゾール化合物を、加硫促進剤として4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。その場合において、アクリルゴム100重量部に対して、イミダゾール化合物は0.2〜3重量部、4級アンモニウム塩は0.1〜3重量部配合することが好ましい。
【0040】
上記イミダゾール化合物としては、イミダゾール骨格における各置換位置に任意の原子又は原子団が置換したものを任意に使用することができ、例示すれば、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール・トリメリット酸塩、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール及びそのトリメリット酸塩、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1)’〕エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物、N,N’−ビス(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)尿素、N,N’−〔2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル〕アジポイルジアミド、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド等が挙げられる。
【0041】
上記4級アンモニウム塩としても任意のものを使用することができ、例示すれば、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルピリジウムクロライド、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−ベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジウムアイオダイド等が挙げられる。
【0042】
〔カーボンブラック〕
アクリルゴムにはカーボンブラックを配合することも好ましい。但し、平均粒子径(電顕法で測定される長さ平均粒子径で表示される値)が30nm未満のカーボンブラックはゴムの押出加工性の悪化と言う不具合を伴う場合があるため、30nm以上の平均粒子径のものが好ましい。又、平均粒子径が75nmを超えると、常態物性の悪化、押出加工性の悪化の点で好ましくない場合がある。
【0043】
好ましいカーボンブラックを商品名で表記すると、東海カーボン社製のシースト116,シーストSO,シーストS等を挙げることができる。これらのカーボンブラックの配合量は特段に限定されないが、アクリルゴム100重量部に対し、30〜100重量部が好ましい。
【0044】
〔繊維補強層〕
繊維補強層はポリエステル補強糸あるいはポリアミド補強糸からなるものを用いる。ポリエステル補強糸あるいはポリアミド補強糸の種類やデニール数等は限定されない。又、繊維補強層はこれらの補強糸をブレード巻きしたものでも、スパイラル巻きしたものでも良く、スパイラル巻きの場合において一重あるいは二重の逆方向のスパイラル巻き又はその二重のスパイラル巻きの間に中間ゴム層を介在させたもの等の実施形態を任意に採用することができる。
【0045】
ポリエステル補強糸としては、含有するカルボキシル基末端基の含有量が20当量/トン以下であるポリエステルを用いたものが、前記第8発明の作用・効果の欄で説明した理由から、好ましい。
【0046】
【実施例】
〔第1実施例〕
(アクリルゴム組成物の調製)
末尾の表1(表中の「n−BA」とはn−ブチルアクリレート、「EA」とはエチルアクリレートであり、表中の数値の単位は重量%である)に示すモノマー組成のアクリル系エラストマーA〜F100重量部に対して、それぞれ末尾の表2における実施例1−1〜1−7、末尾の表3における比較例1−1〜1−6の各例に示すように配合物を添加(表中の数値の単位はいずれも重量部である)して混練し、各例に係るアクリルゴム組成物を得た。
【0047】
なお、表2,3において、「シースト116」〜「シースト6」はいずれも東海カーボン社製のカーボッブラックであって、その平均粒子径は、シースト116が38nm,シーストSOが43nm,シーストSが66nm,シースト6が22nmである。又、「アサヒサーマル」は旭カーボン社製のカーボッブラックであって、その平均粒子径は80nmである。
【0048】
又、表2,3に示すように、各例において、イミダゾール化合物(1,2ジメチルイミダゾール)を0.5重量部、4級アンモニウム塩(オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド)を0.5重量部配合し、かつ、比較例1−1を除いては、チオウレア化合物(トリメチルチオウレア)をそれぞれ表に記載の通りの重量部ずつ配合している。
【0049】
(押出加工性)
アクリルゴム組成物の押出加工性の評価を、ASTM D2230に準拠して、未加硫ゴムに40°C×72時間後の熱老化を施した後のガーベイダイ評価によって行った。表2,3における「エッジ」の表記はガーベイダイによる押出成形物のエッジ部分の外観(鋭利性と連続性)を表し、「エッジ」欄の数値は、1(劣)から10(優)までの10段階評価の値を表す。又、表2,3における「表面肌」の表記は表面肌の平滑性を表し、「表面肌」欄の「A〜E」の文字はそれぞれA(優)からE(劣)までの5段階評価の記号を表す。
【0050】
(物性)
各例に係るアクリルゴム組成物を用いて、6インチミキシングロールにより厚さ2mmの未加硫ゴムシートを作製し、これに160°C×60分のプレス加硫の後、150°C×8時間のオーブン加硫を施して、常態物性評価用のゴム試験片を得た。
【0051】
これらのゴム試験片につき、JIS K6301に準拠して、常態物性としての引張り強さ(MPa),伸び(%),硬さ(JIS−A)と、150°C×72時間の条件による圧縮永久歪とを評価した。その結果を表2,3に示す。
【0052】
(耐油性)
上記各例に係るゴム試験片を、市販の自動変速機油に150°C×72時間の条件で浸漬した場合の体積変化率(%)を、JIS K6301に準拠して測定した。その結果を表2,3に示す。
【0053】
(ポリエステル繊維劣化性−1)
カルボキシル基末端基の量が35当量/トンのポリエステル繊維からなり、1500デニールで、引張り強度が115N/本である長さ30mmのポリエステル補強糸(ポリエステル繊維−1)を、上記と同様の手段で作製した厚さ2mmの各例に係る未加硫ゴムシート2枚の間にサンドイッチ状に挟み、これらの積層体に160°C×60分のプレス加硫の後、150°C×8時間のオーブン加硫を施して、次の測定を行った。
【0054】
a)未処理:上記オーブン加硫後の積層体からポリエステル繊維−1を取り出し、JIS L1017に準拠してその引張り強度を測定した。その測定結果は、表2,3の「ポリエステル繊維−1 劣化性」中の「未処理」の欄に、元の強度(115N)に対する強度低下率(負のパーセンテージ)として表記した。
【0055】
b)空気老化後:上記オーブン加硫後の積層体を150°C×240時間の条件で空気老化させた後、上記a)と同様にして、ポリエステル繊維−1の引張り強度を測定し、かつ測定結果を表2,3の「空気老化」の欄に表記した。
【0056】
c)油中浸せき後:上記オーブン加硫後の積層体を市販の自動変速機油に150°C×240時間の条件で浸せきした後、上記a)と同様にして、ポリエステル繊維−1の引張り強度を測定し、かつ測定結果を表2,3の「油中浸せき」の欄に表記した。
【0057】
(ポリエステル繊維劣化性−2)
カルボキシル基末端基の量が15当量/トンのポリエステル繊維からなり、1500デニールで、引張り強度が130N/本である長さ30mmのポリエステル補強糸(ポリエステル繊維−2)を用い、上記の「ポリエステル繊維劣化性−1」と同様に積層体を形成して加硫を行った後、上記と同じa)〜c)の測定を行い、それらの測定結果を表2,3の「ポリエステル繊維−2 劣化性」中の各該当欄に表記した。
【0058】
(ポリアミド繊維劣化性)
ポリアミド繊維からなり、1260デニールで、引張り強度が116N/本である長さ30mmのポリアミド補強糸を用い、上記の「ポリエステル繊維劣化性−1」と同様に積層体を形成して加硫を行った後、上記と同じa)〜c)の測定を行い、それらの測定結果を表2,3の「ポリアミド繊維 劣化性」中の各該当欄に表記した。
【0059】
(第1実施例に係る各例の評価結果)
第1実施例に係る各例において、実施例1−1〜1−7は、いずれの評価項目においても、満足できる結果であった。
【0060】
これに対して、アクリルゴム組成物にチオウレア化合物が配合されていない比較例1−1は、圧縮永久歪が劣っていた。チオウレア化合物の配合量が多過ぎる比較例1−2は、押出加工性とポリエステル繊維劣化性及びポリアミド繊維劣化性が劣っていた。カーボンブラックの平均粒子径が小さ過ぎる比較例1−3は、押出加工性が悪く(組成物のゲル化による粘度の増大が原因と思われる)、かつ圧縮永久歪が劣っていた。カーボンブラックの平均粒子径が大き過ぎる比較例1−4は、押出加工性が悪く、かつゴム試験片の引張り強さが不十分であった。アクリルゴムのエポキシ基含有量が少なすぎる比較例1−5は、圧縮永久歪が劣っていた。アクリルゴムのエポキシ基含有量が多すぎる比較例1−6は、押出加工性が劣っていた。
【0061】
又、第1実施例に係る各例において、ポリエステル繊維−1に比較して、ポリエステル繊維−2は、前記の「b)空気老化後」及び「c)油中浸せき後」のいずれの評価においても、強度低下が小さかった。
【0062】
〔第2実施例〕
(繊維補強ホースの作製)
ホースの最内層である内側ゴム層(内面ゴム)と、ホースの最外層である外側ゴム層(外面ゴム)との間に、ポリエステル補強糸(前記ポリエステル繊維−1又はポリエステル繊維−2)の繊維補強層を設けて一体に加硫成形された繊維補強ホースを作製した。
【0063】
その際、末尾の表4に示す実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−3の各例につき、それぞれ表4に示す材料を用いた内面ゴムを、押出機によって2.0mmの厚さに押出し、次いで表4に示すポリエステル補強糸を編組して繊維補強層を構成し、更にその上に表4に示す外面ゴムを1.5mmの厚さに押出した。これらの各例に係る未加硫の繊維補強ホースは、いずれも内径が7.0mm、外径が14.5mmであった。
【0064】
そして各例に係る未加硫ホースを、鉄製マンドレルに挿入した後、スチーム加硫缶にて160°C×60分のスチーム加硫を行い、更にマンドレルから抜取った後、ギヤー式オーブンにて150°C×8時間の熱風加硫を行って、各例に係る繊維補強ホースとした。
【0065】
(押出加工性)
各例に係る加硫後の繊維補強ホースの外側ゴム層表面を観察し、表面が平滑であるものを「○」、表面が荒れているものを「×」と評価して、表4の「押出肌」の欄に表記した。
【0066】
(ホースの破裂圧)
図1に示すように、各例に係る繊維補強ホース1の一端を、閉止したパイプ2等のメクラ栓により密閉し、他端は水圧ポンプ3に接続して、繊維補強ホース1のこれら両端をクランプ治具4で緊密に締付けたもとで、昇圧速度0.98〜1.96MPa/min.で水圧ポンプを作用させることにより、初期の破裂試験を行った。又、市販のATF(トヨタキャッスルオートフルードDII)を各例に係る繊維補強ホース内に封入し、オーブン中にて150°C×240時間の熱老化をさせた後に同上の破裂試験(老化後の破裂試験)を行った。
【0067】
評価結果を表4中の「破裂圧」の欄に示すが、実用上、老化後の破裂試験における破裂圧が6MPa以上であることが、望ましい目標値と考えられる。
【0068】
(ホースのシール性)
各例に係る繊維補強ホースの一端に、Sn−Znメッキを表面に施した鋼管パイプを挿入し、クランプ治具を用いて締付け固定した後、水圧ポンプによって他端より0.6MPa/min.の速度で昇圧することにより初期のシール圧を測定した。又、上記の破裂圧試験の場合と同様に市販ATFを封入してオーブン中にて熱老化をさせ、その後に同上のシール圧測定(老化後のシール性)を行った。
【0069】
評価結果を表4中の「シール性」の欄に示すが、実用上、老化後のシール圧測定値が2MPa以上であることが、望ましい目標値と考えられる。
【0070】
(第2実施例に係る各例の評価結果)
第2実施例に係る各例において、実施例2−1〜2−4は、破裂圧,シール性のいずれの目標値も満足した。その中でも、ポリエステル繊維−2を用いた実施例2−2は、ポリエステル繊維−1を用いた実施例2−1に比較して、老化後の破裂圧の低下が殆ど認められない。
【0071】
これに対して、圧縮永久歪の悪い比較例1−1材を用いた比較例2−1は、押出加工性と破裂圧において満足できるが、老化後のシール性が劣っていた。押出加工性の悪い比較例1−2材を用いた比較例2−2は押出加工性が劣ると共に、ポリエステル繊維−1を用いた繊維補強層の劣化のために老化後の破裂圧が劣り、かつ繊維補強層の劣化のために老化後のシール性もやや劣っていた。押出加工性と圧縮永久歪が悪い比較例1−3材を用いた比較例2−3は、押出加工性が劣ると共に、老化後のシール性も劣っていた。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る破裂試験の実施要領を示す図である。
【符号の説明】
1 繊維補強ホース
3 水圧ポンプ
Claims (7)
- 少なくとも一方がアクリルゴムからなる内側ゴム層と外側ゴム層との間に、ポリエステル補強糸又はポリアミド補強糸の繊維補強層を設けて一体に加硫成形した繊維補強ホースにおいて、
前記アクリルゴムがエポキシ基含有アクリルゴムであり、かつ、これにトリメチルチオウレアを一部に含む加硫系配合物が配合されていることを特徴とする繊維補強ホース。 - 前記加硫系配合物におけるトリメチルチオウレアの配合量が、アクリルゴム100重量部に対して0.05〜1.5重量部であることを特徴とする請求項1に記載の繊維補強ホース。
- 前記加硫系配合物が、前記トリメチルチオウレアと、それぞれ適量のイミダゾール化合物及び4級アンモニウム塩からなることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の繊維補強ホース。
- 前記アクリルゴムのエポキシ基含有量が0.7〜2.3重量%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の繊維補強ホース。
- 前記アクリルゴムが、エチルアクリレートが60重量%以上であるモノマー組成を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の繊維補強ホース。
- 前記アクリルゴムに配合するカーボンブラックの平均粒子径が30〜75nmであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の繊維補強ホース。
- 前記ポリエステル補強糸の含有するカルボキシル基末端基の含有量が20当量/トン以下であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の繊維補強ホース。
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