JP4002123B2 - 表面実装機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着ノズル内の圧力変化を検出するセンサを備えた表面実装機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板に実装用部品を供給する表面実装機においては、実装用部品が吸着装置によって吸着され、テープフィーダなどの部品供給部からプリント配線板に移載されている。
前記吸着装置は、空気吸込口が開口された吸着ノズルと、この吸着ノズルから空気を吸引する空気ポンプとを備えており、前記空気吸込口が実装用部品で閉塞されるように吸着ノズルを実装用部品に接触させることによって実装用部品を吸着する。
【0003】
また、この吸着装置は、空気の吸引用通路の途中に真空圧センサが設けられ、このセンサによって検出された圧力に基づいて吸着ノズルに実装用部品が吸着されているか否かを検出するように構成されている。この吸着の有無の判定は、吸着ノズルで実装用部品を吸着するために必要最低限の吸引力が生じるような圧力を判定圧力として設定し、この判定圧力と実際に検出された圧力とを比較して行われる。すなわち、真空圧センサによって検出された圧力が前記判定圧力より低い(真空圧力=負となるゲージ圧力の絶対値、いわゆる負圧圧力が高い)場合には、吸着ノズルに実装用部品が吸着されていると判定され、これとは逆に、判定圧力より検出圧力の方が高い(真空圧力が低い)場合には、吸着されていないと判定される。
【0004】
前記真空圧センサによって検出された圧力は、吸着の有無を判定する他に、吸着ノズルの清掃時期を検出したり、プリント配線板に実装用部品を載置させた後に吸着の有無を検出して載置ミスを判別するためにも用いられている。吸着ノズルの空気吸込口は、吸着回数が多くなるにしたがって異物が開口部分に付着して狭くなることがあり、このような場合には、空気吸込口から大気の流入による圧力上昇作用より空気ポンプの吸引による圧力低下作用の影響が相対的に大きくなり、吸引系の圧力が相対的に低くなるからである。このように吸引系の圧力が低下したことを前記センサで検出することによって、吸着ノズルを清掃する時期に達しているか否かを判定することができる。
【0005】
また、プリント配線板に実装用部品を載置させてから吸着ノズルが上昇しているにもかかわらず予測できない何らかの原因で吸着ノズルに実装用部品が付着しているような場合には、吸着ノズルに実装用部品が吸着されていない状態(以下、この状態をノズル開放状態という)に較べてノズル内の圧力が低くなることから、これをセンサで検出することによって、載置ミスが起こったことを検出することができる。
【0006】
一方、近年の表面実装機においては、多くの種類の実装用部品を実装することができるように、吸着面の形状・大きさが異なる吸着ノズルを複数用意しておき、これらの吸着ノズルのなかから実装用部品に適合するものを選択して装着することが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸着ノズルを空気吸込口の口径が小さい他の吸着ノズルと交換すると、吸着の有無の判定や清掃時期の検出を正確に行うことができなくなるおそれがあった。これは、吸着ノズルに実装用部品が吸着されている状態(以下、この状態をノズル吸着状態という)でのノズル内の圧力は、吸着ノズルを交換しても略一定であるが、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルに交換することにより、ノズル開放状態でのノズル内の圧力が相対的に低くなるからである。
【0008】
すなわち、大口径の吸着ノズルから小口径の吸着ノズルに交換することによって、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力と、ノズル開放状態でのノズル内の圧力との差圧が交換前に較べて小さくなり、この狭い圧力範囲の中で真空圧センサによって判定圧力との大小を比較するための検出圧力を検出しなければならないからである。
従来の表面実装機においては、真空圧センサとしてダイヤフラム式のものが用いられており、空気吸込口の口径が大きい吸着ノズルを使用している状態での大きな圧力変化に耐えられるものが採用されている。
このような真空圧センサは、上述したように狭い圧力範囲の中で前記判定圧力を検出できるような分解能を有してはいないから、判定圧力を検出するうえでの精度が低くなる。この結果、上述したように吸着の有無の判定などが不正確になる。
【0009】
このような不具合は、吸着ノズルの空気吸込口の口径に適合するように真空圧センサを複数設けることによって解消することができるが、このような構成を採ると、真空圧センサに接続するA/D変換回路などの電子部品が真空圧センサと同数だけ必要になり、コストが著しく高くなってしまう。
【0010】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、コストダウンを図りながら、吸着ノズルを口径が異なるものに交換しても吸着の有無の判定や清掃時期の検出を正確に行うことができる表面実装機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る表面実装機は、吸着ノズルの吸引系における前記センサより下流側に、複数の吸引用通路を並列に接続するとともに、これらの通路に開閉弁と絞りとをそれぞれ設け、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルを使用するときは、前記口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用するときに較べて、前記複数の開閉弁のうち開いている開閉弁の数を減少させ、かつ空気が流れる絞りの通路断面積の総和を相対的に小さくするものである。
本発明によれば、開閉弁を全て開くことにより、一つの吸着ノズルから複数の吸引用通路に空気が吸込まれてノズル内の圧力を相対的に低下させることができ、開いている開閉弁の数を減らすことによって、吸着ノズルでの吸入空気流量が減少してノズル内の圧力が相対的に高くなる。このため、吸着ノズルを空気吸込口の口径が相対的に小さいものに交換したときに、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力とノズル開放状態でのノズル内の圧力との差圧を大きくすることができる。
【0012】
この結果、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルに交換したときにも、真空圧センサによって検出する圧力の範囲を広くとることができるようになるから、吸着ノズル毎の吸着の有無の判定や清掃時期の検出などを一つの真空圧センサで正確に行うことができる。
【0013】
請求項2に記載した発明に係る表面実装機は、請求項1に記載した発明に係る表面実装機において、絞りは、吸引用通路毎に所定圧力差における空気流量が異なるものが用いられているものである。
この発明によれば、吸着ノズルの空気吸込口の口径に適合する空気流量をもって空気を吸引するように吸引系を構成し、絞りより上流の真空圧力特性を変更することができる。
【0014】
すなわち、空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用する場合には、相対的に空気流量が多くなる吸引用通路の開閉弁を開き、前記口径が相対的に小さい吸着ノズルを使用する場合には、相対的に空気流量が少なくなる吸引用通路の開閉弁を開くことによって、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力とノズル開放状態でのノズル内の圧力との差圧を、吸着ノズルを交換しても略等しくすることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明に係る表面実装機は、請求項1に記載した発明に係る表面実装機において、絞りは、吸引用通路毎に所定圧力差における空気流量が等しくなるものが用いられているものである。
この発明によれば、吸引用通路を複数設けるに当たって、絞りの種類を1種類とすることができるから、構成が単純になり、組立作業やメンテナンスが容易になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る表面実装機の一実施の形態を図1ないし図9によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る吸着ノズルを装着した表面実装機の平面図、図2は同じく正面図である。図3ないし図6は吸着装置の構成を示す図で、図3は空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用している状態を示し、図4は空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルを使用している状態を示し、図5は空気吸込口の口径が最大の吸着ノズルを使用している状態を示し、図6は正圧を加えている状態を示す。
図7は空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用しているときのノズル内の圧力の変化を示すグラフ、図8は空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルを使用しているときのノズル内の圧力の変化を示すグラフである。図9はエジェクタの吸入空気の流量特性を示すグラフである。
【0017】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による表面実装機である。この表面実装機1は、基台2の上部にプリント配線板3を搬送するためのコンベア4と、吸着ノズル5(図2参照)を有する吸着装置6(図3〜図6参照)と、吸着ノズル5を移動させるノズル移動手段7とを備えており、吸着装置6が異なる他は、従来のものと同等に構成されたものである。
【0018】
前記コンベア4は、プリント配線板3を図1において基台2の左右方向(以下、この方向を単にX方向という)に搬送し、図示していないクランプ機構によって作業位置に保持するように構成されている。このコンベア4の両側方には、実装用部品8(図1参照)が収納されたテープフィーダ9と、撮像式判定手段(図示せず)のカメラ10が設けられている。前記撮像式判定手段は、前記カメラ10によって撮られた画像と正常時の画像とを比較し、部品の吸着の有無や部品の吸着位置を検出するように構成されたものである。
【0019】
前記ノズル移動手段7は、前記コンベア4の上方でコンベア4の搬送方向とは直交する方向(以下、この方向を単にY方向という)に延びる2本の固定レール11を有するY方向移動装置12と、前記固定レール11,11どうしの間に架け渡された可動レール13を有するX方向移動装置14と、このX方向移動装置14に取付けたノズル保持用のヘッドユニット15などによって構成されている。
【0020】
前記Y方向移動装置12は、前記固定レール11に沿って延びるボールねじ軸と、このボールねじ軸16を駆動するサーボモータ17とによってX方向移動装置14の可動レール13をY方向に往復させるように構成されている。前記X方向移動装置14は、可動レール13に沿って延びるボールねじ軸18と、このボールねじ軸18を駆動するサーボモータ19とによってヘッドユニット15をX方向に往復させるように構成されている。
【0021】
前記ヘッドユニット15は、吸着ノズル5を保持する吸着ヘッド21がX方向に間隔をおいて複数設けられており、それぞれの吸着ヘッド21を上下方向(Z方向)に移動させる昇降装置(図示せず)と、上下方向を軸線として回転させる回転駆動装置(図示せず)とが設けられている。また、複数種の大きさおよび空気吸込口の口径の異なる吸着ノズル5それぞれ吸着ヘッド21の数だけ収納する不図示の吸着ノズル載置台が基台2上に設けられる。後述する制御装置31は必要に応じ、ヘッドユニット15を吸着ノズル載置台上方に移動させ、所望の吸着ヘッド21毎に吸着ノズル5の交換を実施させる。この実施の形態による表面実装機1は、3種類の吸着ノズル5を交換して使用する。
【0022】
吸着装置6は、図3〜図6に示すように、吸着ノズル5と真空発生器22との間に第1の吸引用通路23と第2の吸引用通路24とが介装されている。前記真空発生器22は、この実施の形態では、例えば工場などのサービスエアーを圧力源として空気を吸引するエジェクタによって構成されている。
【0023】
前記第1の吸引用通路23と第2の吸引用通路24は、それぞれ途中に開閉弁25,26が介装されるとともに、この開閉弁25,26より上流側に位置するように絞り27,28が設けられており、並列になるように吸着ノズル5に接続されている。これら第1および第2の吸引用通路23,24の上流側端部は、吸着ノズル5の下流側近傍に設けられた上流側通路29に接続されており、下流側端部は、前記真空発生器22にそれぞれ接続されている。
【0024】
前記開閉弁25,26は、この実施の形態では3ポート電磁弁で、第1の吸引用通路23と第2の吸引用通路24とで同一のものが用いられている。これらの開閉弁25,26は、前記ヘッドユニット15に設けられ、図1中に符号31で示す制御装置によって開閉が切換えられる。
前記絞り27,28は、前記開閉弁25,26と同様にヘッドユニット15に設けられており、第1の吸引用通路23の空気流量より第2の吸引用通路24の空気流量の方が少なくなるように、通路断面積が異なるものが用いられている。
【0025】
すなわち、第1の吸引用通路23の絞り27は、相対的に絞り27の前後の圧力差を所定値とするとき通過する空気流量、すなわち所定圧力差における空気流量が多くなるものが使用され、第2の吸引用通路24の絞り28は、相対的に所定圧力差における空気流量が少なくなるものが使用されている。また、これらの絞り27,28は、この実施の形態では、第1および第2の吸引用通路23,24の空気流量を微調整して配管長や真空発生器22の真空圧力などのばらつきを相殺することができるように、可変絞りによって形成されている。
【0026】
第1および第2の吸引用通路23,24の上流側端部と吸着ノズル5との間に設けられた前記上流側通路29には、吸着ノズル5内の圧力を検出するための真空圧センサ32が接続されている。この真空圧センサ32は、従来のものと同等のダイヤフラム式のものが用いられており、前記制御装置31に接続され、この制御装置31に検出データを送出する。
【0027】
前記制御装置31は、吸着ノズル5の交換に対応するように前記開閉弁25,26の開閉を切換えるとともに、前記真空圧センサ32の検出データに基づいて吸着の有無の判定や清掃時期の検出を行う。これらの判定や検出の手法は従来と同一であるから、ここでは詳細な説明は省略する。
【0028】
また、前記上流側通路29には、正圧供給用通路33が接続されている。この正圧供給用通路33は、実装用部品8をプリント配線板3に載置させて吸着ノズル5での吸引が停止されたときに正圧を吸着ノズル5に供給し、実装用部品8が速く吸着ノズル5から離れるようにするためのもので、正圧エアー供給源34と吸着ノズル5との間に開閉弁35が介装された構成のものである。この開閉弁35も電磁弁からなり、前記制御装置31によって開閉が切換えられる。
【0029】
次に、上述したように構成された吸着装置の動作について説明する。先ず、3種類の吸着ノズル5のうち、空気吸込口の口径が中間の大きさになるような吸着ノズル5(例えば標準的な吸着ノズル)を装着した場合について説明する。この吸着ノズル5を使用するときには、図3に示すように、第1の吸引用通路23の開閉弁25を開き、第2の吸引用通路24の開閉弁26を閉じる。正圧供給用通路33の開閉弁34は閉じておく。
【0030】
このように開閉弁25,26の開閉を切換えることによって、第1の吸引用通路23の絞り27によって規制される空気流量だけ吸着ノズル5に空気が吸込まれ、吸着ノズル5が吸引状態になる。
この吸着ノズル5によって実装用部品8をテープフィーダ9からプリント配線板3に移載するためには、先ず、吸着ノズル5を前記吸引状態としてX方向移動装置14およびY方向移動装置12によってテープフィーダ9の実装用部品8の上方へ移動させ、次に、ヘッドユニット15の昇降装置によって下降させる。
【0031】
吸着ノズル5が下降して実装用部品8に上方から接触することによって、吸着ノズル5に実装用部品8が吸着される。このように吸着ノズル5が実装用部品8を吸着することにより、ノズル内の圧力は図7に示すように変化する。すなわち、ノズル内の圧力は、実装用部品8が吸着されていないノズル開放状態のときには相対的に高い(真空圧力が相対的に低い)が、吸着開始後から次第に低下し、ノズル吸着状態で最低になる。なお、ここでいう真空圧力とは、1気圧で0になり、減圧されることにより圧力値が上昇するような圧力のことである。
【0032】
ノズル開放状態でのノズル内の圧力と、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力との差圧を図7中にP1で示す。この差圧P1が充分に大きくとれるような吸着ノズル5においては、吸引空気流量を相対的に多くすることによって、吸着した状態を安定させることができる。なお、空気吸込口から真空発生器22までの上流側通路29、吸引通路23,24それぞれにおける位置と負圧圧力の関係は以下の通りである。空気吸込口の外側では大気圧であり負圧は0であり、空気の流れによる圧力降下で、真空発生器22に近付くほど負圧が大きくなってゆき、真空発生器22で最大負圧となる。空気の流れが止まる、すなわち、空気吸込口が完全密閉されると、過渡時は別とし時間が経過すると、上流側通路29および吸引通路23,24内は、位置によらず最大負圧となる。
【0033】
すなわち、ノズル吸着状態においては、空気の流れが止まるが、空気吸込口での圧力降下が極めて大きくなるため、吸引通路23,24内は、ほぼ最大負圧となる。一方、ノズル開放状態においては、空気吸込口を通過するとき空気吸込口の口径に応じて圧力降下(開口が大きいほど圧力降下小)し、上流側通路29、吸引通路23,24を下流に向かうにしたがい僅かずつ圧力降下(すなわち負圧が増大)していく。図7でのノズル開放状態の真空圧力は、真空圧センサ32の取付位置での圧力であり、全体の圧力降下量=最大負圧値に上流部の圧力降下割合を乗じた負圧値となる。
【0034】
上述したように吸着ノズル5に実装用部品8を吸着させた後に、制御装置31によって吸着の有無が判定される。この判定は、真空圧センサ32によって検出された圧力が判定圧力より低いか否かを判別することによって行われる。真空圧センサ32は、前記差圧P1に相当する圧力範囲の圧力を正確に検出できるようなものが用いられており、このため、判定圧力とノズル吸着状態でのノズル内の圧力との比較結果が実際の状態と異なることはない。
【0035】
上述した吸着動作は、ヘッドユニット15に複数設けられた吸着ノズル5の全てにおいてそれぞれ行われる。
全ての吸着ノズル5に部品を吸着させた後、吸着ノズル5をX方向移動装置14およびY方向移動装置12によってカメラ10の上方に移動させる。そして、カメラ10によって吸着ノズル5の下端部が下方から撮影され、後工程で実装用部品8をプリント配線板3へ載置するときに正しい位置に置くことができるように、撮像式判定手段によって実装用部品8の吸着位置が検出される。
【0036】
撮像式判定手段による検出が終了した後に、吸着ノズル5をX方向移動装置14およびY方向移動装置12によってプリント配線板3の所定の載置位置の上方に移動させ、その後、昇降装置によって下降させる。この下降工程では、実装用部品8がプリント配線板3上に載置されるように、吸着ノズル5が予め定めた距離だけ下降される。
【0037】
実装用部品8がプリント配線板3上に載置された後、図6に示すように、第1の吸引用通路23の開閉弁25を閉じるとともに、正圧エアー供給用通路の開閉弁35を開く。この開閉弁35は、開いた直後に閉じる。この弁操作により、吸着ノズル5で吸引が瞬間的に停止され、実装用部品8がプリント配線板に載置された状態を保ちながら吸着ノズル5から離れ、プリント配線板3に押付けられるようにして載置される。
【0038】
このように実装用部品8をプリント配線板3に載置した後、吸着ノズル5を上昇させてヘッドユニット15とともに初期位置に戻す。このときには、開閉弁25を再び開き、制御装置31が吸着の有無を再び判定する。すなわち、真空圧センサ32によって検出されたノズル内の圧力が判定圧力より高い場合には、載置に成功していると判定され、これとは逆の場合には、載置に失敗していると判定される。なお、載置の失敗や吸着の失敗などのエラーを検出したときには、制御装置31は、図示していないアラームを作動させるとともに、装置全体を停止させる。
【0039】
また、前記制御装置31は、例えば載置工程が終了した後に吸着ノズル5を初期位置に復帰させる途中で、吸着ノズル5が清掃時期に達しているか否かを判定する。この判定は、真空圧センサ32によって検出されたノズル内の圧力と、予め定めた清掃判定用の圧力とを比較することによって行う。
【0040】
吸着ノズル5は、吸着する実装用部品8の種類に対応するように交換される。3種類の吸着ノズル5のうち、例えば極小部品を吸着するために空気吸込口の口径が最も小さいものに吸着ノズル5が交換された場合には、図4に示すように、第1の吸引用通路23の開閉弁25を閉じるとともに、第2の吸引用通路24の開閉弁26を開く。
【0041】
このように開閉弁25,26の開閉を切換えることにより、吸着ノズル5には、第2の吸引用通路24の絞り28によって規制される空気流量だけ空気が吸込まれるようになる。この絞り28は、第1の吸引用通路23の絞り27に較べて空気流量が少なくなるものであるから、空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用する場合に較べて、吸着ノズル5に吸込まれる空気が減少し、ノズル開放状態でのノズル内の圧力が相対的に高く(真空圧力が低く)なる。
【0042】
このため、吸着ノズル5の空気吸込口の口径が小さいにもかかわらず、ノズル開放状態でのノズル内の圧力と、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力との差圧を大きくとることができるようになる。この差圧を図8中に符号P2で示す。図8においては、同じ吸着ノズルを従来の表面実装機に用いた場合の圧力変化を二点鎖線で示している。同図から判るように、従来では前記差圧(P3)が小さくなっていたのに対し、この実施の形態による表面実装機1においては、空気吸込口の口径が大きい吸着ノズルを使用した場合と同等の差圧が生じるようになった。
【0043】
エジェクタからなる真空発生器22は、図9に示すように、加圧源の圧力が変わっても吸入空気量が略一定で、第1の吸引用通路23を使用する場合と、第2の吸引用通路24を使用する場合とで絞り27,28の下流側に作用する負圧が略等しくなる。このため、絞り27,28による絞り量を調整することによって、前記差圧P1と差圧P2が略等しくなるように設定することができる。両差圧P1,P2が略等しくなることにより、制御装置31が吸着の有無の判定や清掃時期の検出などを行うときに、真空圧センサ32の使用条件を略一定にすることができる。
【0044】
3種類の吸着ノズル5のうち、空気吸込口の口径が最も大きい吸着ノズル5を使用する場合や、吸着面と実装用部品8との間に隙間が大きく形成されて吸気の漏洩が多くなるような吸着ノズル5を使用する場合には、図5に示すように、第1の吸引用通路23の開閉弁25と第2の吸引用通路24の開閉弁26の両方を開く。このように開閉弁25,26を開くことにより、吸着ノズル5の口径が大きくても吸着ノズル5の吸入空気流量を増大させることができる。このことは、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズル5を使用するときは、前記口径が相対的に大きい吸着ノズル5を使用するときに較べて、前記複数の開閉弁25,26のうち開いている開閉弁の数を減少させ、かつ空気が流れる絞りの通路断面積の総和を相対的に小さくすることを意味する。
【0045】
このため、このような吸着ノズル5を使用する場合でもノズル開放状態でのノズル内の圧力が過度に高くなる(真空圧力が過度に低くなる)ことはなく、ノズル開放状態でのノズル内の圧力と、ノズル開放状態でのノズル内の圧力との差圧を他の2種類の吸着ノズル5を使用した場合と同等に大きくすることができる。この結果、真空圧センサ32の使用条件が3種類の吸着ノズル5で略等しくなるから、前記制御装置31による吸着の有無などの判定を正確に行うことができる。
【0046】
したがって、この実施の形態による表面実装機1は、吸着ノズル5の吸引系における真空圧センサ32より下流側に、第1の吸引用通路23と第2の吸引用通路24とを並列に接続するとともに、これら二つの吸引用通路に開閉弁25,26と絞り27,28とを設けたものであるから、両方の開閉弁25,26を開くことにより、一つの吸着ノズル5から二つの吸引用通路23,24に空気が吸込まれてノズル内の圧力を相対的に低下させることができ、開閉弁25,26のうち一方を閉じる(開いている開閉弁の数を減らす)ことによって、吸着ノズル5での吸入空気流量が減少し、ノズル内の圧力を相対的に上昇させることができる。
【0047】
このため、吸着ノズル5を空気吸込口の口径が相対的に小さいものに交換したときに、開いている開閉弁25,26の数を減らすことにより、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力と、ノズル開放状態でのノズル内の圧力との差圧を大きくすることができる。
この結果、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズル5に交換したときにも、真空圧センサ32によって検出する圧力の範囲を広くとることができるようになるから、吸着の有無の判定や清掃時期の検出などを、一つの真空圧センサ32で正確に行うことができるようになった。
【0048】
また、第1の吸引用通路23の絞り27と、第2の吸引用通路24の絞り28は、空気流量が異なるものが用いられており、吸着ノズル5の空気吸込口の口径に適合する空気流量をもって空気を吸引するように吸引系を構成することができる。すなわち、空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズル5を使用する場合には、空気流量が相対的に多くなる第1の吸引用通路23の開閉弁25を開き、前記口径が相対的に小さい吸着ノズル5を使用する場合には、空気流量が相対的に少なくなる第2の吸引用通路24の開閉弁26を開くことによって、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力とノズル開放状態でのノズル内の圧力との差圧(P1,P2)を吸着ノズル5を交換しても略等しくすることができる。
【0049】
さらに、この実施の形態のように吸引用通路を二つ設ける場合に、吸引用通路毎の絞り27,28として互いに空気流量が異なるものを使用することにより、第1の吸引用通路23のみを使用する場合と、第2の吸引用通路24のみを使用する場合と、これら両吸引用通路23,24の両方を同時に使用する場合との三つの形態を採ることができるから、3種類の吸着ノズル5を使用することができるという利点もある。
【0050】
この実施の形態では、第1および第2の吸引用通路24の両方に絞り27,28を設ける例を示したが、吸入空気流量を増大させるためには、第1の吸引用通路23には絞り27を設けなくてもよい。この構成を採る場合であっても、3種類の吸着ノズル5を交換して使うことができる。なお、図8について圧力降下の点から説明する。ノズル開放状態の場合、空気吸込口の口径が大きいものにおいては全体の圧力降下量に対する空気吸込口での圧力降下の割合が少なく、その分上流側通路29、第1の吸引通路23あるいは第2の吸引通路24での圧力降下の影響がで易い。すなわち、真空圧センサ32の取付位置での圧力は、通路の圧力降下の影響を受けて真空圧力(=負圧圧力)は大きくなる。ノズル吸着状態の真空圧センサ32による検知真空圧力は略最大負圧であるから、差圧はP3となる。
【0051】
一方、ノズル開放状態の場合、空気吸込口の口径が大きいものにおいて真空圧センサ32の下流に絞りを配置する時には、全体の圧力降下量に対する空気吸込口での圧力降下の割合が少ない一方、絞りでの圧力降下の割合が大きいので、その分真空圧センサ32の取付位置での圧力の低下量は少なくなり、検知圧力は大気圧に近く(真空圧力は小さく)なる。このため、ノズル吸着状態の検知真空圧力とノズル開放状態の検知真空圧力との差圧はP2となる。
【0052】
(第2の実施の形態)
絞りは、吸引用通路毎に空気流量が等しくなるものを用いることができる。このように構成するときの実施の形態を図10ないし図12によって説明する。図10〜図12は1種類の絞りで複数の吸引用通路を形成した他の実施の形態を示す図で、図10は空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用している状態を示し、図11は空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルを使用している状態を示し、図12は正圧を加えている状態を示す。
これらの図において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0053】
図10〜図12に示す吸着装置41は、第1の吸引用通路23の絞り27と第2の吸引用通路24の絞り28とが同一のものであり、第1の吸引用通路23での空気流量と第2の吸引用通路24での空気流量とが略等しくなるように形成されている。
このように構成された吸着装置41においては、空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズル5を使用する場合には、図10に示すように、両方の吸引用通路23,24の開閉弁25,26をそれぞれ開いて行う。また、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズル5を使用する場合には、二つの開閉弁25,26のうち何れか一方を閉じることによって行う。例えば、このときには、図11に示すように、第2の吸引用通路24の開閉弁26を閉じる。このことは、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズル5を使用するときは、前記口径が相対的に大きい吸着ノズル5を使用するときに較べて、前記複数の開閉弁25,26のうち開いている開閉弁の数を減少させ、かつ空気が流れる絞りの通路断面積の総和を相対的に小さくすることを意味する。
【0054】
このように吸引用通路の数が減ることにより、吸着ノズル5での吸入空気流量が低減されてノズル内の圧力が相対的に高くなる。このため、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズル5を使用する場合と、前記口径が相対的に大きい吸着ノズル5を使用する場合とで前記差圧を大きくとることができるから、真空圧センサ32が一つであるにもかかわらず、前記二つの形態において制御装置31での判定・検出が正確に行われるようになる。
【0055】
実装用部品8をプリント配線板に載置した後に吸着ノズル5に正圧を加えるときには、図12に示すように、両方の開閉弁25,26を閉じるとともに、正圧供給用通路33の開閉弁35を開くことによって行う。
この実施の形態で示すように吸引用通路を複数設けるに当たって絞り27,28の種類を1種類とすることにより、吸着装置41の構成が単純になり、組立作業やメンテナンスが容易になる。
【0056】
上述した第1および第2の実施の形態では、説明の便宜上開閉弁25,26,35をそれぞれ独立した電磁弁によって構成する例を示したが、開閉弁の種類はこれに限定されることはなく、適宜変更することができる。すなわち、例えば一つのアクチュエータによって3位置に切換わる弁体が一体に形成された弁を用いてもよい。また、絞り27,28は、上記実施の形態では可変絞りを用いたが、固定絞りでもよいし、このように部品として形成された絞りを使用する他に、開閉弁25,26を有する管路の空気通路径や長さを変え、管路全体を実質的に絞り27,28として機能させることによって絞りを構成してもよい。
【0057】
さらに、開閉弁25,26および絞り27,28は、第1および第2の実施の形態ではヘッドユニット15に設けているが、これらの部材を設ける位置は適宜変更することができる。例えば、開閉弁25,26および絞り27,28を真空発生器22のハウジング内に設けることもできる。第1および第2の実施の形態で示したようにヘッドユニットに開閉弁25,26と絞り27,28とを設けることによって、吸引用通路23,24を切換えたときの応答性を向上させることができる。
【0058】
さらにまた、真空発生器22は、エジェクタに限定されることはなく、吸入空気流量が大きく変動することがないものであれば、容積式または遠心式の空気ポンプや他の減圧装置を用いることができる。加えて、第1および第2の実施の形態で示したように、一つの真空発生器22に全ての吸引用通路23,24を接続する他に、吸引用通路と同数だけ真空発生器22を設け、各吸引用通路にそれぞれ真空発生器22を接続する構成を採ることもできる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、吸着ノズルを空気吸込口の口径が相対的に小さいものに交換したときに、開いている開閉弁の数を減らすことによって、ノズル開放状態でのノズル内の圧力が相対的に高くなるから、ノズル吸着状態での圧力とノズル開放状態での圧力との差圧を大きくすることができる。
したがって、空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルに交換されたときにも、真空圧センサによって検出する圧力の範囲を広くとることができるようになるから、吸着の有無の判定や清掃時期の検出などを、一つの真空圧センサで正確に行うことができるようになる。この結果、コストダウンを図りながら、信頼性が高い表面実装機を提供することができる。
【0060】
請求項2記載の発明によれば、吸着ノズルの空気吸込口の口径に適合する空気流量をもって空気を吸引するように吸引系を構成することができるから、ノズル吸着状態でのノズル内の圧力とノズル開放状態でのノズル内の圧力との差圧を吸着ノズルを交換しても略等しくすることができるようになる。このため、吸着の有無の判定や清掃時期の検出などをより一層正確に行うことができる。
【0061】
請求項3記載の発明によれば、吸引用通路を複数設けるに当たって、絞りの種類を1種類とすることができるから、構成が単純になり、組立作業やメンテナンスが容易になる。このため、製造コストおよびランニングコストが低い表面実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る吸着ノズルを装着した表面実装機の平面図である。
【図2】 本発明に係る吸着ノズルを装着した表面実装機の正面図である。
【図3】 空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズル5を使用している状態を示す構成図である。
【図4】 空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズル5を使用している状態を示す構成図である。
【図5】 空気吸込口の口径が最大の吸着ノズル5を使用している状態を示す構成図である。
【図6】 正圧を加えている状態を示す構成図である。
【図7】 ノズル内の圧力の変化を示すグラフである。
【図8】 ノズル内の圧力の変化を示すグラフである。
【図9】 エジェクタの吸入空気の流量特性を示すグラフである。
【図10】 空気吸込口の口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用している状態を示す構成図である。
【図11】 空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルを使用している状態を示す構成図である。
【図12】 正圧を加えている状態を示す構成図である。
【符号の説明】
1…表面実装機、5…吸着ノズル、6,41…吸着装置、8…実装用部品、22…真空発生器、23…第1の吸引用通路、24…第2の吸引用通路、25,26…開閉弁、27,28…絞り、32…真空圧センサ。

Claims (3)

  1. 実装用部品の種類に対応して空気吸込口の口径が異なる部品吸着用の吸着ノズルを交換可能に設け、この吸着ノズルの下流側の圧力をセンサによって検出する表面実装機において、前記吸着ノズルの吸引系における前記センサより下流側に、複数の吸引用通路を並列に接続するとともに、これらの通路に開閉弁と絞りとをそれぞれ設けてなり、
    空気吸込口の口径が相対的に小さい吸着ノズルを使用するときは、前記口径が相対的に大きい吸着ノズルを使用するときに較べて、前記複数の開閉弁のうち開いている開閉弁の数を減少させ、かつ空気が流れる絞りの通路断面積の総和を相対的に小さくすることを特徴とする表面実装機。
  2. 請求項1記載の表面実装機において、絞りは、吸引用通路毎に所定圧力差における空気流量が異なるものが用いられていることを特徴とする表面実装機。
  3. 請求項1記載の表面実装機において、絞りは、吸引用通路毎に所定圧力差における空気流量が等しくなるものが用いられていることを特徴とする表面実装機。
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