JP4001567B2 - 霊柩車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、棺を出し入れ可能に収納し、輸送する霊柩車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人が死亡したときに、自宅や病院から遺体を納めた棺を葬儀場に運ぶときや、棺を葬儀場から火葬場に輸送するときには、霊柩車が使用される。
霊柩車の種類としては、御宮の形をした宮型や、洋式のバン型がある。
【0003】
特開平8−24299号公報(特許文献1)には、霊柩寝台車兼用宮型霊柩車において、室内の左右両側に社の外観を有する御宮を、当該室内から室外へ移送することが出来る御宮用ガイドレールが敷設され、その後部扉が御宮を室内外に出し入れすることが出来るように観音開きなどの開閉式扉に構成され、その室内の御宮用ガイドレールの内側底部に棺または担架収納用ガイドローラを敷設したものが開示されている。
【0004】
また、特開平9−108281号公報(特許文献2)には、流線型の車体であっても、簡単な改良で車体後部の室内有効面積を広く確保して、ドアパネルと棺等の衝突を防止するために、バン型車体の後部を開口して搬入口を設け、この搬入口に、搬入口の下部から略垂直に立ち上がるドアパネルと、ドアパネルの両側部から搬入口の両側部に延設される略垂直な左右一対のサイドパネルと、ドアパネルの上端部から搬入口の上端部に延設される略水平なルーフパネルとからなる増設部を設けた霊柩寝台車が開示されている。
【0005】
一方、霊柩車ではないが、貨物輸送のための車両の後部扉を観音開き式に全開したときに扉が開きすぎないようにするために、扉を90度開いてから前方へスライドさせることにより荷箱の側壁に沿って収納可能とした貨物車両の扉の構造が提案されている(例えば実公平6−29416号公報(特許文献3)、特開2000−177394号公報(特許文献4))。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−24299号公報
【特許文献2】
特開平9−108281号公報
【特許文献3】
実公平6−29416号公報
【特許文献4】
特開2000−177394号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された霊柩寝台車兼用宮型霊柩車においては、車両の観音開き式後部扉を両側に180度まで全開しなければ御宮を出し入れするのに扉が邪魔になるが、後部扉を全開すると、車幅よりも2倍の幅まで扉が突出するので、扉が邪魔になると共に、危険でもある。
【0008】
特許文献2に開示されたバン型の霊柩車においては、車体後部の跳ね上げ式の扉と棺の後部とが緩衝することを防止するために、ドアパネルとサイドパネルとルーフパネルを改造ないし増設しなければならず、一般に高級車が用いられることが多い車体の外観を損なうという問題がある。
【0009】
また、特許文献3および4に開示された貨物車両の扉は、90度開いてから前方へスライドさせることにより収納できるため、安全性を確保することができるという利点があるが、車両の荷箱の外側に扉をスライドさせるためのガイドレールを設けているために、バン型霊柩車などの、車体が箱形でない車両には適用できないという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、車体の外観を損なうことがなく、また棺を安定して収納できる構造の霊柩車を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の霊柩車は、跳ね上げ式後部扉をもつ車両の後部室の床面に、棺載置台をスライド自在に取り付け、前記跳ね上げ式後部扉の内側に前記後部室の後部開口を覆う観音開き式内扉を設けた霊柩車であって、前記棺載置台の両側の床面に、前記後部室の両壁面とは所定の間隙をおいて前記棺載置台のスライド方向と同一方向に左右一対のリニアレールを設置すると共に、前記リニアレールと対向する天井面にも左右一対のリニアレールを設置し、これらのリニアレールに移動可能に可動子を取り付け、前記観音開き式内扉の背面の外側寄り上下部に設けたヒンジを前記可動子に回動自在に取り付けることで、前記内扉が閉扉状態から90度開いた状態で前記後部室の両壁面と前記リニアレールとの間の空間に収納できるようにしたものである。
【0012】
前記内扉の収納時に前記リニアレールにおける前記内扉の裏面が対面する側に、プラスチック製の扉ガイドを取り付けるとともに、前記扉ガイドの前方を、前記内扉の裏面の回動軌跡に沿った円弧状としたことにより、内扉のがたつきを抑制し、また、内扉の開閉のための回転運動と、収納、引き出しの際の直進運動との境目を円滑につなぐことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態における観音開き式内扉を閉めた状態の霊柩車の背面図、図2は観音開き式内扉を開けた状態の背面斜視図、図3は観音開き式内扉を後部室内に押し込んだ状態の背面斜視図である。
図中、1は霊柩車の車両本体、2は跳ね上げ式後部扉、3は観音開き式内扉を示している。
【0014】
図4は、内扉3の取り付け部を抽出して描いた斜視図である。図4において、後部室の床面には、後部室の両側壁よりも少し内側の位置に、リニアベース4が固定され、そのリニアベース4と対向する天井面にもリニアベース4が設置されている。各リニアベース4にはリニアレール5と、内扉3の裏面上下部に当たって内扉3のがたつきを抑制する扉ガイド6を設けている。内扉3の表面側に設けられた取っ手7は、ロック棒8と連動しており、取っ手7を引くとロック棒8が後退して、扉枠(図示せず)に設けたロック穴から離脱して扉が開くようになっている。ロック棒8の上下端は斜めにカットされており、内扉3を閉めるときに、ロック棒8が引っ込み、ロック穴に係合してロック状態となるので、取っ手7を操作しないでも扉を閉めることができる。
【0015】
図5は、リニアベース4とリニアレール5と扉ガイド6と可動子9の組み立て状態を示す分解斜視図である。図5は、右床面の状態を示しているが、右天井面、左床面、左天井面にも、対称状態で取り付けられる。図5に示すように、リニアベース4が取付金具4aにより床面、天井面に固定され、これに、可動子9を嵌め込んだリニアレール5と扉ガイド6が、それぞれボルト等で固定される。リニアベース4には、可動子9の抜け止めのための端板4bが取り付けられる。端板4bの表面には、ゴム板が貼り付けられている。扉ガイド6は、アルミニウムの押し出し成形部材6aにプラスチック製の板材6bが嵌め込まれたものであり、前方は円弧状部6cとなっている。
【0016】
図6は、可動子9とヒンジ11の取付状態を示す斜視図である。この図は、右上部を示しているが、右下部、左上下部も、対称状態に取り付けられる。可動子9には可動子取付板10が固定され、可動子取付板10にはヒンジ11がボルト12により90度回転可能に取り付けられている。このヒンジ11に、内扉3が取り付けられる。なお、図中13は、上下の可動子取付板10に固定された飾り板である。
【0017】
以上のように構成された構造における内扉の開閉動作を図7の平面図を用いて説明する。内扉3が閉じた状態では、ヒンジ11は一番手前側にあるため、可動子9もリニアレール5の一番手前側に位置している。内扉3を(a)の位置から(b)の位置まで90度開くと、可動子9はそのままの状態でボルト12を中心としてヒンジ11が90度回転する。この間、内扉3の上下端部は、扉ガイド6の円弧上部6cを滑る状態で回転するが、前後方向には動かない。図7の(b)の位置(図2参照)まで回転すると、内扉3の裏側上下面が扉ガイド6と平行になり、内扉3を押し込むと、ヒンジ11を取り付けている取付板10とともに可動子9がスライド可能となり、リニアレール5に沿って内扉3を(c)の状態(図3参照)にまで収納することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、棺載置台の両側の床面に、後部室の両壁面とは所定の間隙をおいて棺載置台のスライド方向と同一方向に左右一対のリニアレールを設置すると共に、リニアレールと対向する天井面にも左右一対のリニアレールを設置し、これらのリニアレールに移動可能に可動子を取り付け、観音開き式内扉の背面の外側寄り上下部に設けたヒンジを可動子に回動自在に取り付け、内扉が閉扉状態から90度開いた状態で後部室の両壁面とリニアレールとの間の空間に収納できるようにしたので、車体の外観を損なうことがなく、また棺を安定して収納することができる。
また、内扉の収納時にリニアレールにおける内扉の裏面が対面する側に、プラスチック製の扉ガイドを取り付けるとともに、扉ガイドの前方を、内扉の裏面の回動軌跡に沿った円弧状としたことにより、内扉のがたつきを抑制し、また、内扉の開閉のための回転運動と、収納、引き出しの際の直進運動との境目を円滑につなぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における観音開き式内扉を閉めた状態の霊柩車の背面図である。
【図2】 本実施の形態における観音開き式内扉を開けた状態の背面斜視図である。
【図3】 本実施の形態における観音開き式内扉を後部室内に押し込んだ状態の背面斜視図である。
【図4】 本実施の形態における内扉の取り付け部を抽出して描いた斜視図である。
【図5】 本実施の形態におけるリニアベースとリニアレールと扉ガイドと可動子の組み立て状態を示す分解斜視図である。
【図6】 本実施の形態における可動子とヒンジの取付状態を示す斜視図である。
【図7】 本実施の形態における内扉の開閉動作を示す平面図である。
【符号の説明】
1 霊柩車の車両本体
2 跳ね上げ式後部扉
3 観音開き式内扉
4 リニアベース
5 リニアレール
6 扉ガイド
7 取っ手
8 ロック棒
9 可動子
10 可動子取付板
11 ヒンジ
12 ボルト
13 飾り板

Claims (2)

  1. 跳ね上げ式後部扉をもつ車両の後部室の床面に、棺載置台をスライド自在に取り付け、前記跳ね上げ式後部扉の内側に前記後部室の後部開口を覆う観音開き式内扉を設けた霊柩車であって、
    閉じた状態の前記観音開き式内扉の背後の前記棺載置台の両側の床面に、前記後部室の両壁面とは所定の間隙をおいて前記棺載置台のスライド方向と同一方向に左右一対のリニアレールを設置すると共に、前記リニアレールと対向する天井面にも左右一対のリニアレールを設置し、これらのリニアレールに移動可能に可動子を取り付け、前記観音開き式内扉の背面の外側寄りの箇所に設けたヒンジの上下部を前記可動子に回動自在に取り付け、前記内扉が閉扉状態から90度開いた状態で前記後部室の両壁面と前記リニアレールとの間の前記所定の間隙を有する空間に収納できるようにし、かつ前記観音開き式内扉は、閉じたときに、前記各リニアレールの手前側端部と前記所定の間隙を有する空間とを覆うものであることを特徴とする霊柩車。
  2. 前記内扉の収納時に前記リニアレールにおける前記内扉の裏面が対面する側に、プラスチック製の扉ガイドを取り付けるとともに、前記扉ガイドの前方を、前記内扉の裏面の回動軌跡に沿った円弧状としたことを特徴とする請求項1記載の霊柩車。
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