JP4000637B2 - 排煙脱硫装置および排煙脱硫方法 - Google Patents

排煙脱硫装置および排煙脱硫方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に重質油焚きのボイラ等の排ガス処理に用いて好適な排煙脱硫装置および排煙脱硫方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ボイラー、各種加熱炉あるいは焼却炉等の排ガス中から亜硫酸ガス等の有害成分を除去するための排煙脱硫装置として、上記排ガス中に含まれる亜硫酸ガス(SO2)を主体とする硫黄酸化物を、石灰石(CaCO3)を溶解または懸濁した水溶液からなる吸収液と接触させて中和するとともに、これを酸化させることにより石膏として除去する、湿式の吸収塔や反応槽を備えた排煙脱硫装置が広く用いられている。
ところで、近年におけるオリマルジョン等の重質油焚きボイラーにおいては、排ガス中の亜硫酸ガス濃度が極めて高いために、主として熱交換器や配管系に対する三酸化硫黄(SO3 )による腐食防止の観点から、これを処理する排煙脱硫装置にあっては、上記反応槽等の上流側に配置された煤塵等を除去するための集塵機等の前段において、排ガスにアルカリ成分、例えばアンモニア(NH3)を接触させることによりSO3 を中和して硫安((NH4)2SO4)とし、これを上記集塵機において捕集するタイプのものが採用されつつある。
【0003】
図3および図4は、従来のこの種の排煙脱硫装置を示すものである。
図3において、この排煙脱硫装置は、図示されないボイラから熱交換器を経た排ガスのダクト1に沿って、順次電気式集塵機2、冷却部3、ジェットバブリング式の反応槽4および熱交換器5が配設されたものであり、上記ダクト1の先端排気側は、煙突6に導かれている。そして、上記ダクト1の電気式集塵機2の上流側には、当該ダクト1内にアンモニアを供給して排ガス中のSO3 と接触させるための、アンモニア導入管7が接続されている。
また、図4は、上記反応槽4の要部を示すものであり、この反応槽4内は、円板状の下部隔壁10および上部隔壁11により、石灰石(CaCO3)を溶解または懸濁した水溶液からなる吸収液を一定の液面高さに貯留する貯留部12と、上下部隔壁10、11間にあって排ガスの入口ダクト13が接続された導入部空間14と、上部隔壁11上方にあって排ガスの出口ダクト15と連通する排出部空間16とに画成されている。上記下部隔壁10には、多数の開口部が穿設されており、各開口部には、スパージャーパイプ(排ガス導入管)17…が垂設され、かつ各スパージャーパイプ17の上記吸収液中にある下部外周壁には、排ガスの噴出孔が穿設されている。他方、上記下部隔壁10と上部隔壁11との間には、上記貯留部の吸収液面上の空間(第1の領域)12aを排出部空間(第2の領域)16側に連通させるガスライザー(排ガス送出管)18…が配設され、さらに上記出口ダクト15内には、ミストエリミネータ19が配設されている。なお、図中符号20は、上記反応槽4の吸収液内に酸化用空気を導入する、酸化用空気供給管であり、符号21は、上記吸収液を撹拌する撹拌機である。
【0004】
また、上記反応槽4の底部には、吸収液中に生成された石膏スラリーを抜出す石膏スラリーの排出管22が設けられ、この排出管22で抜出された石膏スラリーは、ポンプ23によって石膏分離機24に送られ、石膏として回収されるとともに、分離された母液が補給管25を介して再び反応槽4内に戻されるようになっている。
他方、上記反応槽4の入口ダクト13の前段には、送られてくる排ガスを増湿冷却するとともに、上記排ガスに含まれる煤塵等を捕集するための上記冷却部3が設けられており、この冷却部3には、上記反応槽4内の吸収液の一部がポンプ26によって供給されるようになっている。
【0005】
上記構成からなる排煙脱硫装置によって、例えば重質油焚きボイラーの排ガス中に含まれる亜硫酸ガス等を除去するには、上記ボイラーから排出された排ガスを図示されない熱交換器によって冷却した後に、電気式集塵機2の上流側においてアンモニアを供給し、含有されているSO3 と反応させて硫安として固定し、生成された硫安および上記排ガス中の煤塵を上記電気式集塵機2において捕集して除去することにより、排ガス中の煤塵濃度を低下させるとともに、排ガス中に多く含まれるSO3 に起因する上記電気式集塵機2およびその配管系の腐食を防止する。
次いで、上記排ガスを、反応槽4の前段に設けられた上記冷却部3に送って、ポンプ26により吸収液の一部を循環水として用いた冷却水により増湿冷却するとともに、上記排ガス中に残留する煤塵や塩素成分等を捕集したうえで、入口ダクト13から反応槽4の導入部空間14に送気し、各スパージャーパイプ17の下端噴出孔から水平方向に噴出させる。
【0006】
すると、上記排ガスは、吸収液と激しく混合して液相連続のジェットバブリング層を形成し、このジェットバブリング層において高効率な気液接触が行われてSO2が吸収され、このようにして脱硫された排ガスは、ガスライザー18を介して排出部空間16に集められ、出口ダクト15からミストエリミネータ19に送られてミスト分が除去された後に、熱交換機5で再加熱されて煙突6から外部に排気される。
また、これと並行して、SO2を酸化・中和することによって吸収液中に石膏が生成し、結晶成長して粗大粒子化することにより石膏スラリーとなり、これが所定の濃度になると反応槽4底部の上記排出管22から抜出されてポンプ23により石膏分離機24に送られ、石膏として回収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来の排煙脱硫装置においては、排ガス中のSO3 に起因する電気式集塵機2およびその配管系の腐食を確実に防止するために、当該電気式集塵機2の上流側において若干余分なアンモニアを供給するようにしているため、この余分なアンモニアがそのまま反応槽4においても捕集されずに排ガス中に残留してしまい、この結果、煙突6から外部に排出される排ガスに上記アンモニアに起因する異臭が伴うという問題点があった。
また、反応槽4内にあっては、比較的濃度の高いSO2 を除去するに際しては、吸収液中における亜硫酸塩の酸化反応を促進させ、同時に石灰石の溶解・中和の速度を増加させて脱硫効率を高くするために、上記吸収液のpHを弱酸性のうちでは幾分高めの5〜6pHに保持することが有効である。
【0008】
しかしながら、上記吸収液のpHをこのように幾分高めに設定すると、吸収液中に溶解している石膏が微細結晶粒子化して析出するとともに、排ガス中の炭酸ガスが吸収液中に含まれるカルシウムイオンと反応して炭酸カルシウムの微細結晶として析出し、これらによってガスライザー18や上部隔壁11等にスケーリングを発生し易くなるという問題点があり、特にミストエリミネータ19等の後段側に配設されたクリアランスの小さな機器においては、上記スケーリングに起因してその閉塞を招き易いといった問題点があった。
本発明は、このような重質油焚きによって発生する排ガスを処理する際に従来の排煙脱硫装置が有する課題を有効に解決すべくなされたもので、SO3を除去するために排ガスに供給したアンモニアを排ガス中から確実に除去することができ、かつスケーリングも防止し得て高い脱硫効率を達成することが可能となる排煙脱硫装置、および排煙脱硫方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る排煙脱硫装置は、下部隔壁および上部隔壁により、下部隔壁の下方にあって排ガス中の亜硫酸ガスの吸収液を貯留する貯留部と、上下部隔壁間にあって排ガスの入口ダクトが接続された導入部空間と、上部隔壁の上方にあって排ガスの出口ダクトと連通する排出部空間とに画成され、下部隔壁に、上記導入部空間に導かれた排ガスを吸収液中に噴出させる排ガス導入管が垂設されるとともに、下部隔壁と上部隔壁との間に、上記吸収液面上の空間を排出部空間に連通させる排ガス送出管が配設された反応槽を有する排煙脱硫装置において、上記入口ダクトの上流側に、排ガス中のSO3を除去するためのアンモニアの導入管を接続するとともに、上記排出部空間内に、酸性流体を噴射して排ガスと接触させる酸性流体の供給手段を設けてなり、かつ上記酸性流体の供給手段は、上記排ガス送出管の上方に配設されて当該排ガス送出管を上昇する排ガスが衝突する衝突板と、この衝突板の下面に向けて酸性液を飛散させるノズルと、このノズルにポンプを介して上記酸性液を供給する貯槽とを備えてなり、かつ上記排ガス送出管は、その先端部を上記上部隔壁から突出させて取付けられているとともに、上記上部隔壁には、当該上部隔壁上の液体を上記貯槽に戻す流下管が配設されていることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の酸性流体の供給手段は、さらに流量調節弁を介して上記貯槽に酸性液を補給する補給槽と、上記貯槽のpHを測定するpH測定器と、このpH測定器による測定値に基づいて上記流量調節弁を開閉するpH制御装置とを有してなることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の酸性流体の供給手段には、開閉弁を介して先端部のノズルから上記排ガス送出管の内壁に向けて上記酸性流体を噴射する排ガス送出管の湿潤管が配管されていることを特徴とするものである。
【0012】
次いで、請求項4に記載の本発明に係る排煙脱硫方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載の排煙脱硫装置を用い、上記排ガス中のSO3にアンモニアを接触させて当該SO3を除去した後に、上記排ガスを反応槽に送り、この反応槽内の貯留部においてCa成分を含む吸収液と接触させることにより、上記排ガス中からSO2を石膏スラリーとして除去して、SO2が除去された排ガスを排出部空間を介して反応槽から排気する排煙脱硫方法において、上記排出部空間において、SO2が除去された後の排ガスに酸性を接触させて、当該排ガス中に残留するアンモニアを中和して除去することを特徴とするものである。
【0013】
この際に、請求項5に記載の発明は、上記酸性排出部空間内へ循環供給するとともに、上記酸性のpHを2〜4の範囲に保持することを特徴とするものである。
【0014】
請求項1に記載の排煙脱硫装置によれば、反応槽の上流側において、排ガス中のSO3を除去すべく導入されて当該排ガス中に残留したアンモニアが、上記反応槽の排出部空間内において、酸性流体の供給手段から供給された酸性流体と接触して中和されることにより、上記排ガス中から除去される。
また特に、吸収液と接触してSO2が除去された後の飽和状態の排ガスは、排ガス送出管を上昇して、その上方に位置する衝突板の下面に衝突してその流路が変更されるとともに、上記ノズルから衝突板の下面に向けて酸性液を噴射しているので、この酸性液によって当該排ガス中に残留したアンモニアが中和されて上記衝突板の下面に付着する。これと並行して、排ガスが上記衝突板に衝突する際に、当該排ガス中の液滴粒子が分離され、上記衝突板の下面には、噴射された酸性液と分離された液滴粒子とが混合した液膜が形成される。
【0015】
これにより、上記排ガス送出管を上昇する排ガスは、先ず噴射された上記酸性液と直接接触して残留アンモニアが中和されるとともに、さらに衝突板の液膜に衝突してこの液膜中に含まれる酸性液によっても、上記アンモニアが中和されて衝突板の下面に捕捉される。また、上記排ガスが衝突板下面の液膜と衝突することにより、残存する微量のSO2および固体微粒子等の汚染物質も効率的に分離され、上記液膜中に捕捉される。そして、上記中和物質および微量のSO2や固体微粒子等を含む液膜は、排ガスの衝突に伴って順次衝突板の下面に沿ってその外周側に送られ、周縁部から上部隔壁上に流下する。
このようにして上部隔壁上に流下した液体は、排ガス送出管の先端部を上部隔壁から突出させているので、上部隔壁上を流れて流下管から再び上記貯槽に戻される。
【0016】
したがって、排ガス中に含まれるアンモニアを中和してこれを除去することができるとともに、さらに当該排ガス中に残存する微量のSO2および固体微粒子等の汚染物質も効率的に分離して除去することができ、よって排ガスの処理効果を一層向上させることができる。
加えて、上記貯留部と排出部空間とが、少なくとも上部隔壁によって区画されており、かつ排出部空間において噴射した酸性液を流下管から上記酸性液の貯槽に戻しているので、反応槽内の貯留部におけるpHを弱酸性のうちでは幾分高めの5〜6pHに保持したうえで、他方排出部空間においては、酸性液の噴射によってその雰囲気をより低いpHに保持することができ、よって上記貯留部においては高い脱硫効率を得ることができるとともに、排出部空間においてはそのpHを低くすることにより上述したスケーリングの発生を有効に防止することが可能となる。
【0017】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、pH制御装置によって流量調節弁を制御して、逐次酸性液を貯槽内に補給することにより、上記排出部空間におけるpHを最適値の範囲に保持することができる。
また、請求項3に記載の発明にあっては、上記排出部空間における酸性液の噴射と並行して、開閉弁を間欠的にあるいは連続して開いて、上記酸性液を湿潤管の先端部のノズルから上記排ガス送出管の内壁に向けて噴射する。これにより、排ガス送出管の内壁が上記酸性液によって湿潤されるとともに、噴射された酸性液と接触した排ガス中のアンモニアが中和される。ここで、上記排ガス送出管内において噴射された酸性液も、排ガスの流速が大きいために、当該排ガスの流れに伴って、あるいは排ガスと同伴して上記排出部空間に送られる。
したがって、請求項3に記載の発明によれば、上記排ガス送出管の内壁についても、そのドライアップを抑制してスケーリングの発生を防止することが可能となる。
【0018】
次いで、請求項4に記載の排煙脱硫方法によれば、SO2が除去された排ガスを排出部空間に送り、この排出部空間において上記排ガスに酸性流体を接触させることにより、排ガス中に残留するアンモニアを中和して除去することができる。
加えて、請求項5に記載の発明にあっては、上記貯留部排出部空間とを隔壁によって異領域に区画しているので、この排ガスを吸収液と接触させる貯留部におけるpHを弱酸性のうちでは幾分高めの5〜6pHに保持したうえで、他方上記排出部空間においては、酸性液の噴射によってその雰囲気をより低いpHに保持することができ、よって上記貯留部においては高い脱硫効率を得ることができるとともに、排出部空間においてはそのpHを低くすることにより上述したスケーリングの発生およびこれに起因するミストエリミネータ等の閉塞等を有効に防止することができる。
【0019】
ここで、上記排出部空間内へ循環供給する酸性のpHを2〜4の範囲に限定した理由は、上記酸性のpHが2に満たないと、酸性度が強過ぎて反応槽およびその内部を構成する部材に対する酸性腐食の問題が生じて不適当であり、他方上記pHが4を超えると、所望とする充分なスケーリングの防止効果が得られずに不都合だからである。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の排煙脱硫装置の一実施形態を示すもので、全体構成については、図3に示したものと同一であるために、説明中に同一符号を用いてその説明を省略する。また、図4に示したものと同一構成部分についても、図1中において同一符号を付すことにより、その説明を簡略化する。
図1において、この排煙脱硫装置においては、反応槽4内のガスライザー(排ガス送出管)18がその上端部を上部隔壁11から上方に突出させて設けられており、さらに排出部空間16内に、酸性流体を噴射して上記排ガスと接触させるための、酸性流体の供給手段が設けられている。
この酸性流体の供給手段は、ガスライザー18の上方に配設されてこのガスライザー18を上昇する排ガスが衝突する衝突板30と、この衝突板30の下面に向けて酸性液を噴射するノズル31と、このノズル31にポンプ32によって供給管33から酸性液を供給するための貯槽34とを備えたもので、上記貯槽34内には、塩酸(HCl)や、硝酸(HNO3 )等の酸性液が貯留されている。
【0021】
ここで、上記衝突板30は、図2に示すように、上記ガスライザー18の外径寸法よりも大きな円板状の衝突部30aと、この衝突部30aの周縁から外方に向けて漸次下方に傾斜する流下壁部30bとが一体に形成されたもので、上記衝突部30aの中央部に、供給管33の先端部が下方に向けて挿通されている。そして、この供給管33の下端噴出口の下方に、当該供給管33から噴射された酸性液を上記衝突板30の下面側に向けて飛散させる分散板35が取付けられており、この分散板35と上記供給管33の噴出口とによって、上記ノズル31が構成されている。
他方、上記酸性流体の供給手段の貯槽34には、さらに流量調節弁36を介してこの貯槽34に上記酸性液を補給する補給槽37と、上記貯槽34のpHを測定するpH測定器38と、このpH測定器38による測定値に基づいて上記流量調節弁36を開閉するpH制御装置39とが設けられており、上記流量調節弁36は、pH制御装置39によって貯槽34内のpHが2〜4の範囲に保持されるように開閉制御されて所定量の酸性液を補給槽37から貯槽34に補充するようになっている。ちなみに、上記補給槽37から供給される酸性液としては、当該供給手段用として別途調達されたものや、あるいは本排煙脱硫装置における排水処理設備等の系内で発生した低pHの酸性液が使用されている。
【0022】
また、上部隔壁11の外周側には、上記ノズル31からの酸性液の噴射によってこの上部隔壁11上に流下した液体を上記貯槽34に戻すための流下管40が配設されている。さらに、上記供給管33には、ガスライザー18の湿潤管41が枝配管されており、この湿潤管41の中間部には、開閉弁42が介装されている。そして、上記湿潤管41の下端部は、ガスライザー18内の下方に導かれ、その先端部に、上記ガスライザー18の内壁に向けて上記酸性液を噴射するノズル43が取付けられている。
【0023】
次に、以上の構成からなる排煙脱硫装置を用いた本発明に係る排煙脱硫方法の一実施形態について説明する。
この排煙脱硫方法においても、例えば重質油焚きボイラーの排ガス中に含まれる亜硫酸ガス等を除去するに際して、上記ボイラーから排出された排ガスを一旦冷却した後に、電気式集塵機2の上流側においてアンモニアを供給し、含有されているSO3と反応させて硫安として固定し、生成された硫安および上記排ガス中の煤塵を上記電気式集塵機2において捕集して除去したうえで、冷却部3から反応槽4に送り、各スパージャーパイプ17の下端噴出孔から水平方向に噴出させて吸収液と気液接触させ、上記吸収液中にSO2を吸収した後に、脱硫された排ガスを貯留部12の吸収液面上の空間12aからガスライザー18を上昇させるまでの工程については、図3および図4に示したものと同様である。
【0024】
そして、本排煙脱硫方法においては、上記ガスライザー18を上昇した飽和状態の排ガスは、排出部空間16において、その上方に位置する衝突板30の衝突部30a下面に衝突してその流路が上部隔壁11側へと変更される。この際に、上記ノズル31から衝突板30の下面に向けて酸性液を噴射しているので、この酸性液によって排ガス中に残留したアンモニアが中和されて上記衝突板30の下面に付着する。また、排ガスが上記衝突板30に衝突する際に、排ガス中の液滴粒子が分離され、上記衝突板30の下面には、噴射された酸性液と分離された液滴粒子とが混合した液膜が形成される。
【0025】
これにより、上記ガスライザー18を上昇する排ガスは、先ず噴射された上記酸性液と直接接触して残留アンモニアが中和されるとともに、さらに衝突板30の液膜に衝突してこの液膜中に含まれる酸性液によっても、上記アンモニアが中和されて衝突板30の下面に捕捉される。また、上記排ガスが衝突板30下面の液膜と衝突することにより、残存する微量のSO2 および固体微粒子等の汚染物質も効率的に分離され、上記液膜中に捕捉される。そして、上記中和物質および微量のSO2 や固体微粒子等を含む液膜は、排ガスの衝突に伴って順次衝突板30の衝突部30aから流下壁部30b下面に沿って送られ、上記流下壁部30bの周縁部から上部隔壁11上に流下する。
次いで、上部隔壁11上に流下した液体は、ガスライザー18の先端部を上部隔壁11から突出させているので、上部隔壁11上を流れて流下管40から再び上記貯槽34内に戻される。
【0026】
また、これと並行して、開閉弁42を間欠的に開いて、供給管33からの酸性液を湿潤管41を介して先端部のノズル43から上記ガスライザー18の内壁に向けて噴射する。これにより、ガスライザー18の内壁が上記酸性液によって湿潤されるとともに、噴射された酸性液と接触した排ガス中のアンモニアが中和される。そして、上記ガスライザー18内において噴射された酸性液も、排ガスの流速が秒速10m程度と大きいために、この排ガスの流れに伴って、あるいは排ガスと同伴して上記排出部空間16に送られて行く。
他方、上記酸性液の循環により、貯槽34内のpHは徐々に上昇する。そこで、これを検出した上記pH測定器37からの検出信号に基づいて、pH制御装置39によって上記流量調節弁36が開閉制御されることにより、所定量の酸性液が補給槽37から貯槽34に補充されて上記貯槽34内のpHが2〜4の範囲に保持される。
【0027】
このように、上記排煙脱硫装置およびこれを用いた排煙脱硫方法によれば、ガスライザー18の出口において排ガス中に含まれるアンモニアを中和してこれを除去することができるために、煙突から排気される排ガスに上記アンモニアを起因とする異臭を伴うことが無い。加えて、上記衝突板30によって当該排ガス中に残存する微量のSO2および固体微粒子等の汚染物質も効率的に分離して除去することができるために、排ガスの処理効果を一層向上させることができる。
しかも、吸収液上の空間12aと排出部空間16とが上下部隔壁10、11によって区画されており、かつ排出部空間16において噴射した酸性液を流下管40から貯槽34に戻しているので、反応槽4内の貯留部12におけるpHを幾分高めの5〜6pHに保持したうえで、他方排出部空間16においては、酸性液の噴射によってその雰囲気をより低い2〜4pHに保持することができ、よって上記貯留部12においては高い脱硫効率を得ることができるとともに、排出部空間16においてはそのpHを低くすることによりスケーリングの発生や、これに起因するミストエリミネータ19のクリアランスの小さな機器における閉塞等を有効に防止することができる。
【0028】
さらに、排出部空間16内における酸性流体の供給と並行して、上記排ガスを貯留部12側から排出部空間16へと導くガスライザー18内にも、間欠的に上記酸性流体を噴霧しているので、このガスライザー18内においてもアンモニアの中和作用を行なうことができるとともに、当該ガスライザー18の内壁についても、そのドライアップを抑制してスケーリングの発生を防止することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に記載の排煙脱硫装置によれば、反応槽の排出部空間内において、酸性流体の供給手段から供給された酸性流体により排ガス中に残存したアンモニアを中和して除去することができ、特に衝突板によって上記アンモニアの除去に加えて、当該排ガス中に残存する微量のSO2および固体微粒子等の汚染物質も効率的に分離して除去することができ、よって排ガスの処理効果を一層向上させることができるとともに、反応槽内の貯留部におけるpHを幾分高めに保持したうえで、他方排出部空間におけるpHをより低く保持することができるため、上記貯留部においては高い脱硫効率を得ることができ、かつ排出部空間においてはスケーリングの発生を有効に防止することができるといった効果が得られる。
この際に、請求項2に記載の発明によれば、pH制御装置によって上記排出部空間におけるpHを最適値の範囲に保持することができ、さらに請求項3に記載の発明によれば、上記排出部空間における酸性液の噴射と並行して、上記排ガス送出管の内壁についても、そのドライアップを抑制してスケーリングの発生を防止することができる。
【0030】
また、請求項4に記載の排煙脱硫方法によれば、排出部空間において排ガス中に残留するアンモニアを酸性流体で中和して除去することができ、特に請求項5に記載の発明によれば、排ガスを吸収液と接触させる貯留部におけるpHを幾分高めのpHに保持したうえで、他方上記排出部空間におけるpHをより低く保持することができ、よって上記貯留部における高い脱硫効率と、排出部空間におけるスケーリングの防止効果とを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排煙脱硫装置の一実施形態における反応槽の要部を示す縦断面視した構成図である。
【図2】図1の衝突板部分の拡大縦断面図である。
【図3】従来の排煙脱硫装置を示す概略構成図である。
【図4】図3の反応槽を示す縦断面視した構成図である。
【符号の説明】
1 ダクト
2 電気式集塵機
4 反応槽
7 アンモニア導入管
10 下部隔壁
11 上部隔壁
12 貯留部
12a 吸収液面上の空間(第1の領域)
13 入口ダクト
14 導入部空間
15 出口ダクト
16 排出部空間(第2の領域)
17 スパージャーパイプ(排ガス導入管)
18 ガスライザー(排ガス送出管)
30 衝突板
31 ノズル
32 ポンプ
33 供給管
34 貯槽
36 流量調節弁
37 補給槽
38 pH測定器
40 流下管
41 湿潤管
42 開閉弁
43 ノズル

Claims (5)

  1. 下部隔壁および上部隔壁により、上記下部隔壁の下方にあって排ガス中の亜硫酸ガスの吸収液を貯留する貯留部と、上記上下部隔壁間にあって排ガスの入口ダクトが接続された導入部空間と、上部隔壁の上方にあって排ガスの出口ダクトと連通する排出部空間とに画成され、上記下部隔壁に、上記導入部空間に導かれた上記排ガスを上記吸収液中に噴出させる排ガス導入管が垂設されるとともに、上記下部隔壁と上部隔壁との間に、上記吸収液面上の空間を上記排出部空間に連通させる排ガス送出管が配設された反応槽を有する排煙脱硫装置において、
    上記入口ダクトの上流側に、当該排ガス中の三酸化硫黄を除去するためのアンモニアの導入管を接続するとともに、上記排出部空間内に、酸性流体を噴射して上記排ガスと接触させる酸性流体の供給手段を設けてなり、かつ上記酸性流体の供給手段は、上記排ガス送出管の上方に配設されて当該排ガス送出管を上昇する排ガスが衝突する衝突板と、この衝突板の下面に向けて酸性液を飛散させるノズルと、このノズルにポンプを介して上記酸性液を供給する貯槽とを備えてなり、かつ上記排ガス送出管は、その先端部を上記上部隔壁から突出させて取付けられているとともに、上記上部隔壁には、当該上部隔壁上の液体を上記貯槽に戻す流下管が配設されていることを特徴とする排煙脱硫装置。
  2. 上記酸性流体の供給手段は、さらに流量調節弁を介して上記貯槽に酸性液を補給する補給槽と、上記貯槽のpHを測定するpH測定器と、このpH測定器による測定値に基づいて上記流量調節弁を開閉するpH制御装置とを有してなることを特徴とする請求項1に記載の排煙脱硫装置。
  3. 上記酸性流体の供給手段には、開閉弁を介して先端部のノズルから上記排ガス送出管の内壁に向けて上記酸性流体を噴射する排ガス送出管の湿潤管が配管されていることを特徴とする請求項1または2に記載の排煙脱硫装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の排煙脱硫装置を用い、上記排ガス中の三酸化硫黄ガスにアンモニアを接触させて当該三酸化硫黄を除去した後に、上記排ガスを上記反応槽に送り、この反応槽内の上記貯留部においてCa成分を含む上記吸収液と接触させることにより、上記排ガス中から亜硫酸ガスを石膏スラリーとして除去して、上記亜硫酸ガスが除去された排ガスを上記排出部空間を介して上記反応槽から排気する排煙脱硫方法において、上記排出部空間において、亜硫酸ガスが除去された後の上記排ガスに上記酸性を接触させて、当該排ガス中に残留するアンモニアを中和して除去することを特徴とする排煙脱硫方法。
  5. 上記酸性を上記排出部空間へ循環供給するとともに、上記酸性のpHを2〜4の範囲に保持することを特徴とする請求項4に記載の排煙脱硫方法。
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