JP4000563B2 - インクジェット記録媒体用耐水性向上剤、インクジェット記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
インクジェット記録媒体用耐水性向上剤、インクジェット記録媒体およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体用耐水性向上剤、インクジェット記録媒体及びインクジェット記録媒体の製造方法に関する。更に詳細には、紙等のインクジェット記録媒体上に水性インクを用いて印刷されたインクジェット印刷物の耐水性を向上させるインクジェット記録媒体用耐水性向上剤、それを用いて製造したインクジェット記録媒体及びそのインクジェット記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、種々の作動原理による飛翔手段を用いてインク滴を紙等のインクジェット記録媒体上に付着させることにより、画像・文字等を記録する方法である。インクジェット記録方法は、騒音の発生が少なく、高速印字、多色印字が容易であり、記録パターンの融通性が大きく、及び現像定着のプロセスが不要である等の利点を有するので、各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途において急速に普及している。
【0003】
インクジェット記録媒体として普通紙の使用が可能であるが、良好な記録を得るためには、インクジェット記録媒体自体が次の2つの条件を満たしていることが必要である。
【0004】
第1の条件は、インクジェット印刷物の耐水性である。インクジェットの記録には、通常、水性インクを使用するので、インクジェット印刷物の耐水性に欠けるという大きな問題を抱えている。例えば、野外に掲示した場合、雨水がインクジェット印刷物にかかることにより、にじみが生じてインクジェット印刷物が色あせたり、印字した文字等が消失してしまうことがある。また、高湿環境下においては長時間保存するだけでにじみが生じ、インクジェット印刷物が色あせてしまうこともある。こうした傾向は、特にカラーインクジェット印刷物に多く見られる。
【0005】
第2の条件は、インクジェット記録媒体のインク吸収性がよく、インクジェット記録媒体表面に付着したインク滴が速やかに内部に浸透し、インクジェット記録面を手で触れてもインキで手が汚れず、見かけ上乾いた状態になることである(インク定着性)。最近ではダイレクトメールの宛名印刷や請求書の顧客情報印刷などのオンデマンドプリンティング用途に高速インクジェットプリンターが使用されており、200m/min以上の印刷速度に耐えうるインク定着性が要求されている。
【0006】
インクジェット印刷物の耐水性を向上させる方法としては、例えば、特開昭56−84992号公報に記載のポリカチオン高分子電解質を少なくともその表面に含有する記録媒体を用いる方法、特開昭56−99693号公報に記載の陽イオン性界面活性剤を少なくともその表面に含有する記録媒体を用いる方法、及び特開平6−92012号公報には、2級アミンとエピハロヒドリンを反応して得られるカチオン性ポリマーをインクジェット記録用原紙表面に含有させたインクジェット記録用紙が提案されているが、いずれも、その耐水性は未だ満足できるものではなかった。
【0007】
また、特開平10−147057号公報に記載のジメチルアミン及びジエチルアミン等の2級アミンとアンモニアとエピハロヒドリンとを必須成分とする樹脂からなるインクジェット記録紙用添加剤等が開示されているが、その耐水性は未だ満足のできるものではなかった。
【0008】
さらに、特開2001−287354号公報には、2級アミンとエピハロヒドリンとを特定のモル比で反応して得られるカチオン性ポリマーを含有するインクジェット記録媒体用耐水性向上剤が開示されているが、その耐水性は優れるものの、インク定着性については十分な効果が得られず、また、該インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を使用した紙を古紙として回収した場合、サイズ度が低下して文字品位等のインクジェット適性を悪化させるケースがある。内添サイズ剤や表面サイズ剤を増量することでインクジェット適性は改善されるものの紙の製造コストが高くなってしまう問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、インクジェット印刷物の耐水性、インクの定着性を向上させるインクジェット記録媒体用耐水性向上剤、前記インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含有する塗工液を塗工してなる耐水性及びインク定着性に優れ、古紙として回収してもサイズ低下を引き起こさないインクジェット記録媒体、及びそのインクジェット記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明における前記課題を解決するための第1の手段は、
(1)下記一般式(1)で表されるカチオン性化合物[A]を含有してなることを特徴とするインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【化2】
(上記一般式(1)において、R 1 〜R 8 は炭素数が1〜8のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はベンジル基であり、Xはハロゲン原子を表し、nは1又は2である)
【0011】
本発明における前記課題を解決するための第2の手段は、
(2)前記カチオン性化合物[A]が、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、脂環式3級アミン及びこれらの塩から選択される少なくとも 1 つの3級アミン類(a)と脂肪族2級アミン、芳香族2級アミン、脂環式2級アミン、ヘテロ環式2級アミン及びこれらの塩から選択される少なくとも 1 つの2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを100:50〜100:100〜150モル比で反応させて得られる化合物であることを特徴とする前記第(1)記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【0012】
本発明における前記課題を解決するための第3の手段は、
(3)前記カチオン性化合物[A]が、前記3級アミン類(a)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させた後に、前記2級アミン類(b)を反応させて得られる化合物であることを特徴とする前記第(1)又は第(2)に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【0013】
本発明における前記課題を解決するための第4の手段は、
(4)前記一般式(1)においてR1〜R8の全てがメチル基であることを特徴とする前記第(1)〜(3)の内のいずれかに記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【0014】
本発明における前記課題を解決するための第5の手段は、
(5)前記3級アミン類(a)が塩であり、前記2級アミン類(b)を反応させる際に予めアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を添加することを特徴とする前記第(2)〜(4)の内のいずれかに記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【0015】
本発明本発明における前記課題を解決するための第6の手段は、
(6)前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)が水酸化カルシウムであることを特徴とする前記第(5)に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【0017】
本発明における前記課題を解決するための第7の手段は、
(7)前記第(1)に記載されるカチオン性化合物[A]とアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)とを含有することを特徴とするインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【0018】
本発明における前記課題を解決するための第8の手段は、
(8)アルカリ土類金属がカルシウムであることを特徴とする前記第(7)記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤である。
【0019】
本発明における前記課題を解決するための第9の手段は、
(9)前記第(1)〜第(8)のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含有する塗工液を塗工してなることを特徴とするインクジェット記録媒体である。
【0020】
本発明における前記課題を解決するための第10の手段は、
前記第(1)〜第(8)のいずれか一つに記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含有する塗工液を塗工してなることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤に含有されるカチオン性化合物[A]は、3級アミン類(a)と、2級アミン類(b)と、エピハロヒドリン類(c)とを100:50〜100:100〜150モル比で反応させて得ることができる。前記2級アミン類(b)の割合が前記範囲を外れた場合、また、前記エピハロヒドリン類(c)の割合が前記割合を外れた場合は耐水性及びインク定着性が劣るという問題が生じる。
【0022】
カチオン性化合物[A]の反応に使用する3級アミン類(a)は、一つの窒素原子に三つの炭化水素基が結合してなる構造を有する。
【0023】
前記3級アミン類(a)としては、例えば脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、脂環式(脂環族とも称されることがある。)3級アミン及びこれらの塩が挙げられ、これらの3級アミン類(a)の中でも脂肪族3級アミン及びその塩が好ましく、その中でも炭素数が1〜3のアルキル基を有するトリアルキルアミン及びその塩が好ましく、トリメチルアミン及びその塩が特に好ましい。この3級アミン類(a)は、その一種を単独で使用することも、二種以上を併用することもできる。
【0024】
前記脂肪族3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。またこの発明においてはトリベンジルアミンも脂肪族3級アミンとして例示される。
【0025】
前記芳香族3級アミンとしては、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチルトルイジン、ジエチルトルイジン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、N−メチルジトリルアミン、N−エチルジトリルアミン、トリフェニルアミン等が挙げられる。
【0026】
前記脂環式3級アミンとしては、ジメチルアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルアミノメタン、ジメチルアミノシクロオクタン、ジシクロオクチルアミノメタン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロオクチルアミン等が挙げられる。
【0027】
前記3級アミンの塩としては、塩酸塩などの無機酸塩、並びにギ酸塩、及び酢酸塩などの有機酸塩が挙げられる。
【0028】
カチオン性化合物[A]を製造する際に使用する2級アミン類(b)は、一つの窒素原子に二つの炭化水素基及び水素が結合した化合物並びにヘテロ環内に窒素原子を有し、該窒素原子が水素を有している化合物であり、2級アミン及びその塩を言う。
【0029】
前記2級アミン類(b)としては、例えば脂肪族2級アミン、芳香族2級アミン、脂環式2級アミン、ヘテロ環式2級アミン等が挙げられ、これらの2級アミン類の中でも特に脂肪族2級アミンが好ましく、その中でも炭素数が1〜3であるアルキル基を有するジアルキルアミンが好ましく、特にジメチルアミン及びジエチルアミンが好ましく、更にはジメチルアミンが特に好ましい。これら2級アミン類(b)はその一種を単独で使用することも、また二種以上を併用することもできる。
【0030】
前記脂肪族2級アミンとしては、具体的にはジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、及びジベンジルアミン等が挙げられる。
【0031】
前記芳香族2級アミンとしては、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリン、N−ペンチルアニリン、N−ヘキシルアニリン、N−オクチルアニリン、N−デシルアニリン、N−ラウリルアニリン、及びN−ベンジルアニリン等のN−アルキルアニリン、N−メチルトルイジン、N−エチルトルイジン、N−プロピルトルイジン、N−ブチルトルイジン、N−ペンチルトルイジン、N−ヘキシルトルイジン、N−オクチルトルイジン、N−デシルトルイジン、N−ラウリルトルイジン、及びN−ベンジルトルイジン等のN−アルキルトルイジン、並びに、N−メチルナフチルアミン、N−エチルナフチルアミン、N−プロピルナフチルアミン、N−ブチルナフチルアミン、N−ペンチルナフチルアミン、N−ヘキシルナフチルアミン、N−オクチルナフチルアミン、N−デシルナフチルアミン、N−ラウリルナフチルアミン、及びN−ベンジルナフチルアミン等のN−アルキルナフチルアミン等が挙げられる。
【0032】
その他の芳香族2級アミンとしては、ジフェニルアミン、N−フェニル−o−トルイジン、N−フェニル−m−トルイジン、N−フェニル−p−トルイジン、N−トルイル−o−トルイジン、N−トルイル−m−トルイジン、N−トルイル−p−トルイジン、N−フェニルナフチルアミン、及びN−トルイルナフチルアミン等の芳香環が窒素原子に2個結合してなるアミンが挙げられる。
【0033】
脂環式2級アミンとしては、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−プロピルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘキシルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロヘキシルアミン、N−デシルシクロヘキシルアミン、及びN−ラウリルシクロヘキシルアミン等のN−アルキルシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロオクチルアミン、N−エチルシクロオクチルアミン、N−プロピルシクロオクチルアミン、N−ブチルシクロオクチルアミン、N−ヘキシルシクロオクチルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−デシルシクロオクチルアミン、及びN−ラウリルシクロオクチルアミン等のN−アルキルシクロオクチルアミン、並びにジシクロヘキシルアミン、及びジシクロオクチルアミン等のジシクロアルキルアミンを挙げられる。
【0034】
ヘテロ環式2級アミンとしては、ピペリジン、ピロリジン、2−メチルピペリジン、及び4−メチルピペリジン等が挙げられる。
【0035】
上記2級アミンの塩としては、塩酸塩等の無機酸塩類、並びにギ酸塩、及び酢酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
【0036】
カチオン性化合物[A]の反応に使用するエピハロヒドリン類(c)としては、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン等が挙げられる。また、これらを二種以上混合して用いることもできる。これらのエピハロヒドリン類の中でも、エピクロロヒドリンが特に好ましい。
【0037】
次にカチオン性化合物[A]の合成方法について説明する。カチオン性化合物[A]の合成は、3級アミン類(a)と2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とをどのような順序で反応させてもよい。例えば、3級アミン類(a)と2級アミン類(b)とを予め反応器に仕込んでおき、この中にエピハロヒドリン類(c)を徐々に滴下する方法、3級アミン類(a)を予め反応器に仕込んでおき、この中にエピハロヒドリン類(c)を徐々に滴下し、得られた反応混合物中に2級アミン類(b)を添加する方法、及びエピハロヒドリン類(c)を予め反応器に仕込んでおき、この中に3級アミン類(a)を徐々に滴下し、得られた反応物中に2級アミン類(b)を添加する方法、3級アミン類(a)を予め反応器に仕込んでおき、この中に2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを同時に滴下する方法、2級アミン類(b)を予め反応器に仕込んでおき、この中に3級アミン類(a)とエピハロヒドリン類(c)とを同時に滴下する方法等を採用することができる。これらの中でも3級アミン類(a)を予め反応器に仕込んでおき、この中にエピハロヒドリン類(c)を徐々に滴下し、得られた反応混合物中に2級アミン類(b)を添加する方法が好ましい。
【0038】
カチオン性化合物[A]を合成する際の反応温度、反応時間に特に制限は無いが、原料が揮発しない温度が反応温度としては好ましく、反応による発熱を制御できるような反応時間が好ましい。例えば、反応温度20〜120℃、反応時間2時間〜20時間で反応を行うこと出来る。反応は、固形分濃度が10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%となる水溶液中で行うことが好ましいが、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等の溶媒中で行うことも出来る。
【0039】
3級アミン類(a)と2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを前記特定の割合で反応させると、下記一般式(1)で表されるカチオン性化合物[A]を含有する反応混合物が得られる。
【0040】
【化5】
前記一般式(1)におけるR1〜R8、X及びnについては前記した通りである。
【0041】
本発明においては、反応混合物から得られる全固形分に対してこの中に含まれる前記一般式(1)で示されるカチオン性化合物[A]の含有量が通常、80重量%以上である。このように反応混合物中の全固形分におけるカチオン性化合物[A]の含有量が大きいので、この反応混合物をインクジェット記録媒体用耐水性向上剤に使用すると、本発明の目的をよく達成することができるものと、推察される。
【0042】
また、カチオン性化合物[A]を製造する際にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を反応系内に存在させるのが、好ましい。アルカリ土類金属の水酸化物(d’)が系内に存在すると、反応混合物中にアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)が生成している。このアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)とカチオン性化合物[A]とを含有する反応混合物をインクジェット記録媒体用耐水性向上剤として使用すると、カチオン性化合物[A]を単独で使用する場合に比べて耐水性が向上するといった技術的効果が奏される。
【0043】
前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)としては、前者として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが、後者として水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、さらには水酸化カルシウムが特に好ましい。
【0044】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)の使用量は、3級アミン類(a)に対して通常、0.5〜1.0当量である。
【0045】
このとき、▲1▼3級アミン類(a)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させ、2級アミン類(b)とを反応させる際に予めアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を添加すること、▲2▼2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させる際に予めアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を添加して、次いで3級アミン類(a)反応すること、▲3▼2級アミン類(a)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させ、次いで3級アミン類(a)とを反応させる際に予めアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を添加すること、▲4▼3級アミン類(a)と2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させる際に予めアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を添加すること等ができるが、3級アミン類(a)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させ、次いで2級アミン類(b)とを反応させる際に予めアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を添加することが好ましい。
本発明で用いられるアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム等が挙げられる。これらアルカリ土類金属のハロゲン化物の中でも、塩化カルシウムが耐水性向上に効果的であるため特に好ましい。
【0046】
本発明で用いられるアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)の使用量、添加方法に特に制限は無いが、カチオン性化合物[A]に対して1〜40重量%添加するのが耐水性向上、インク定着性向上の点において好ましく、1〜25重量%添加するのが耐水性向上、インク定着性向上の点においてさらに好ましい。このとき、3級アミン類(a)と2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させる前にアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)を反応器に仕込んでもよいし、3級アミン類(a)と2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させている最中にアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)を添加してもよいし、反応終了後に得られたカチオン性化合物[A]含有の反応混合物にアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)を添加してもよい。
【0047】
前記カチオン性化合物[A]を含有する反応混合物は、そのままを本発明に係るインクジェット記録媒体用耐水性向上剤として使用することができ、また、場合によっては前記反応混合物を適宜の溶媒で稀釈してインクジェット記録媒体用耐水性向上剤として使用することもできる。
【0048】
本発明のインクジェット記録媒体は、上記インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含有する塗工液を塗工して製造することができる。
【0049】
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、上記インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含有する塗工液を基材に塗工してインクジェット記録媒体を製造する方法である。
【0050】
本発明のインクジェット記録媒体における基材としては紙が代表的であるが、布、樹脂、フイルム、及び合成紙等の、インクジェット印刷できるものであればいずれの材料をも選択することができる。
【0051】
インクジェット記録媒体の基材として紙を用いる場合に、その紙のパルプ原料としては、クラフトパルプ、及びサルファイトパルプ等の化学パルプの晒又は未晒パルプ、砕木パルプ、機械パルプ及びサーモメカニカルパルプ等の高収率パルプの晒又は未晒パルプ、並びに新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙及び脱墨古紙等の古紙パルプ等が挙げられる。
【0052】
また、基材として紙を用いる場合には前記パルプ原料に加え、填料、染料、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系中性抄紙用サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系中性抄紙用サイズ剤、及び中性抄紙用ロジン系サイズ剤等のサイズ剤、ポリアクリルアミド等の乾燥紙力増強剤、ポリアミドエピクロロヒドリン等の湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、並びに消泡剤等の添加物を、要求される物性を発現するために、必要に応じて使用することができる。
【0053】
填料としては、クレー、タルク、酸化チタン、アルミナ、重質又は軽質炭酸カルシウム、及びシリカ等が挙げられる。これらを併用することもできる。
【0054】
次にインクジェット記録媒体の製造方法について説明する。インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含む塗工液をインクジェット記録媒体の基材に塗工する塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、カレンダー、バーコーター、ナイフコーター、及びエアーナイフコーター等が挙げられる。また、スプレー塗工機により基材表面に塗工することもできる。
【0055】
インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含む塗工液をインクジェット記録媒体の基材に塗工する際には、インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を単独で塗工しても良いし、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、及び両性澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、及びアルギン酸ソーダ等の水溶性高分子、並びに合成高分子ラテックスを塗工液と併用して塗工することもできる。また、表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ等の白色顔料等、並びに特開平6−171207号公報に記載されているバインダーが、ガラス転移温度−50 〜+25 ℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを一種類以上混合してなるもの、及び特開昭62−158084号公報に記載の合成微粒子シリカのようなものを塗工液と併用して塗工してもかまわない。併用して塗工する方法は耐水性向上剤と前記併用物とを混合して調製した液を塗工しても良いし、前記併用物をインクジェット記録媒体用耐水性向上剤と別々に順次塗工しても良い。
【0056】
本発明のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤の塗工量は固形分で0.02〜4g/m2、好ましくは0.2〜2g/m2である。0.02g/m2未満であるとインクジェット記録媒体の耐水性が不十分な場合があり、4g/m2より多くても効果が頭打ちとなり、経済的ではない。上記塗工量を実現するための該耐水性向上剤の塗工液中の濃度は一般的に0.1〜20重量%である。
【0057】
本願発明のインクジェット記録媒体への印刷は、ドロップオンデマンド方式、及び連続方式等、一般的ないずれのインクジェットプリント方式でも印刷することができる。インクジェットプリンタとしては、家庭用、及び業務用のいずれでも良い。家庭用インクジェットプリンタとしては、キヤノン(株)製のBJシリーズ、セイコーエプソン(株)製のPMシリーズ、及びヒューレットパッカードカンパニー製のHP DeskJetシリーズ等が使用できる。インクジェット印刷に使用するインクは、キヤノン(株)、セイコーエプソン(株)、及びヒューレットパッカードカンパニー等が各自、自社のプリンタ用に販売しているインク、並びにサイテックス社の業務用インクジェットプリンタ用SCITEX1007、1008、1011、1040、1068、1069、4107等が使用できる。
【0058】
本発明におけるインクジェット記録媒体用耐水性向上剤によって従来の耐水性向上剤と比較して印刷物の耐水性が大きく向上する機構は必ずしも明らかではないが、本願発明のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤がインクの染料分子と相互作用しやすい形の化学構造を有しているためではないかと推測される。
【0059】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、%は特に断わりがない限り重量%を意味する。
【0060】
(実施例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水11.0g、30%トリメチルアミン水溶液157.6g(0.8モル)、50%ジメチルアミン水溶液45.1g(0.5モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン74.0g(0.8モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させその温度で2時間反応させた。その後、30℃に冷却し、硫酸及び水にて反応液をpH4.0、固形分濃度45%となるように調整し、これをそのままインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aとして用いた。このインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aの物性値を表1に示す。
【0061】
なお、前記反応液の一部を抜き取って、NMRでの同定作業等から、この実施例で得られたインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aは、式(2)で示される構造を有するカチオン性化合物を含有するものと特定された。
【0062】
【化6】
(実施例2)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水95.1g、58%トリメチルアミン塩酸塩水溶液131.8g(0.8モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン74.0g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させ1時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、50%ジメチルアミン水溶液36.1g(0.4モル)と水酸化カルシウム14.8g(0.2モル)とを加え、80℃まで昇温させ1時間かけて反応させた。その後、塩酸及び水にて反応液をpH4.0、固形分濃度50%となるように調整し、これをそのままインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Bとして用いた。このインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Bの物性値を表1に示す。
【0063】
なお、実施例1と同様にしてこの実施例で得られたインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aは、前記式(2)で示される構造を有するカチオン性化合物を含有するものと特定された。
【0064】
(実施例3)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水95.1g、58%トリメチルアミン塩酸塩水溶液131.8g(0.8モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン74.0g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させてその温度で1時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、50%ジメチルアミン水溶液36.1g(0.4モル)と水酸化ナトリウム16.0g(0.4モル)を加え、80℃まで昇温させ1時間反応させた。その後、塩酸及び水にて反応液をpH4.0、固形分濃度50%となるように調整し、これをそのまま耐水性向上剤Cとして用いた。このインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Cの物性値を表1に示す。
【0065】
なお、実施例1と同様にしてこの実施例で得られたインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aは、前記式(2)で示される構造を有するカチオン性化合物を含有するものと特定された。
【0066】
(実施例4)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水64.5g、58%トリメチルアミン塩酸塩水溶液131.8g(0.8モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン74.0g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させてその温度で1時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、50%ジメチルアミン水溶液36.1g(0.4モル)と水酸化カルシウム14.8g(0.2モル)を加え、80℃まで昇温させ1時間反応させた。その後、塩化カルシウム12.3gを添加し、塩酸及び水にて反応液をpH4.0、固形分濃度50%となるように調整し、これをそのままインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Dとして用いた。このインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Dの物性値を表1に示す。
【0067】
なお、実施例1と同様にしてこの実施例で得られたインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aは、前記式(2)で示される構造を有するカチオン性化合物を含有するものと特定された。
【0068】
(実施例5)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水36.8g、30%トリメチルアミン水溶液157.6g(0.8モル)、50%ジメチルアミン水溶液36.1g(0.4モル)、ジエチルアミン7.3g(0.1モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン92.5g(1.0モル)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させてその温度で2時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、硫酸及び水にて反応液をpH3.9、固形分濃度45%となるように調整し、これをそのままインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Eとして用いた。このインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Eの物性値を表1に示す。
【0069】
なお、実施例1と同様にしてこの実施例で得られたインクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aは、前記式(2)で示される構造を有するカチオン性化合物を含有するものと特定された。
【0070】
(比較例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水6.9g、30%トリメチルアミン水溶液98.5g(0.5モル)と50%ジメチルアミン水溶液63.1g(0.7モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン46.3g(0.5モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させてその温度で2時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、塩酸及び水にて反応液をpH4.0、固形分濃度45%となるように調整し、これをそのまま耐水性向上剤fとして用いた。この耐水性向上剤fの物性値を表1に示す。
【0071】
(比較例2)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水54.5g、30%トリメチルアミン水溶液118.2g(0.6モル)と50%ジメチルアミン水溶液45.1g(0.5モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン101.8g(1.1モル)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させてその温度で2時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、塩酸及び水にて反応液をpH4.0、固形分濃度45%となるように調整し、これをそのまま耐水性向上剤gとして用いた。この耐水性向上剤gの物性値を表1に示す。
【0072】
(比較例3)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水87.1gと50%ジメチルアミン水溶液90.2g(1.0モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン92.5g(1.0モル)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させてその温度で2時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、塩酸及び水にて反応液をpH4.1、固形分濃度50%となるように調整し、これをそのまま耐水性向上剤hとして用いた。この耐水性向上剤hの物性値を表1に示す。
【0073】
(比較例4)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を付した500mlの四つ口フラスコに水64.9gと50%ジメチルアミン水溶液90.2g(1.0モル)を仕込み、窒素ガス導入下で40℃を越えないように冷却しながらエピクロロヒドリン69.4g(0.75モル)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで昇温させてその温度で3時間かけて反応させた。その後、30℃に冷却し、硫酸及び水にて反応液をpH5.0、固形分濃度50%となるように調整し、これをそのまま耐水性向上剤iとして用いた。この耐水性向上剤iの物性値を表1に示す。
(実施例6)
実施例1で得たインクジェット記録媒体用耐水性向上剤AをMS−3800(日本食品化工(株)製の酸化澱粉)の水溶液に加え、MS−3800の固形分濃度が10%、インクジェット記録媒体用耐水性向上剤の固形分濃度が4%となる塗工液を調製した。この塗工液を、坪量80g/m2の中性紙に固形分塗工量が2g/m2となるようサイズプレスを用いて両面塗工し、ドラムドライヤーを用いて80℃、50秒の条件で乾燥させた。乾燥後、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室中で24時間調湿し、インクジェット記録媒体Jを得た。その後、評価試験に供した。評価試験の結果を表2に示す。
【0074】
(実施例7〜10、比較例5〜8)
インクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aの代わりに実施例2〜5で得たインクジェット記録媒体用耐水性向上剤B〜E、及び比較例1〜4で得た耐水性向上剤f〜iを用いて実施例6と同様にしてインクジェット記録媒体K〜N、及びo〜rを得た。その後、評価試験に供した。評価試験の結果を表2に示す。
【0075】
(比較例9)
インクジェット記録媒体用耐水性向上剤Aの代わりに水を用いて実施例6と同様にしてインクジェット記録媒体sを得た。その後、評価試験に供した。評価試験の結果を表2示す。
【0076】
評価試験方法
実施例6〜10、比較例5〜9で得たインクジェット記録媒体の評価試験は得られた各インクジェット記録媒体J〜N、o〜sにインクジェットプリンタで印刷した後、以下の測定方法に準じて行った。インクジェットプリンターはエプソン(株)製のMJ−800Cを、インクはサイテックス社のインク(黒インク:SCITEX1040、青インク:SCITEX1068)を使用した。
【0077】
耐水性評価試験
黒インク又は青インクによる印刷がされたインクジェット記録媒体を25℃のイオン交換水に1分間浸漬し、印刷の滲み発生の有無、及び発生した滲みの状態を肉眼で観察し、優5〜劣1に到る等級により段階的に評価した。さらに、各等級の間を10分割し、より詳細な評価を行った。
【0078】
評価基準は以下の通りである。
優5 印刷の滲みが全く発生しない。
良4 印刷の滲みがわずかに発生する。
並3 印刷の滲みが発生するが文字の判別に問題はない。
可2 印刷の滲みがひどく、文字の判別が困難となる。
劣1 印刷の滲みがひどく、文字が判別出来ない。
【0079】
同じ条件で作製した印刷がされたインクジェット記録媒体3枚について耐水性評価試験を行い、評価の平均値を表3に示した。
【0080】
インク定着性評価試験
黒インク又は青インクによる印刷がされたインクジェット記録媒体の印刷部分を印刷直後に指でこすった。印刷面の汚れ方を肉眼で観察し、優5〜劣1に到る等級により段階的に評価した。さらに、各等級の間を10分割し、より詳細な評価を行った。
【0081】
評価基準は以下の通りである。
優5 印刷面の汚れが全く発生しない。
良4 印刷面の汚れがわずかに発生する。
並3 印刷面の汚れが生するが文字の判別に問題はない。
可2 印刷面の汚れがひどく、文字の判別が困難となる。
劣1 印刷面の汚れがひどく、文字が判別出来ない。
【0082】
古紙回収実験
(参考例1)
実施例6で得られたインクジェット記録媒体Jを縦3cm横3cmに細断し、一定量をパルプ離解機に入れ、温水を入れてパルプ濃度1.5%で30分間離解して古紙回収パルプを調製した。晒クラフトパルプ(針葉樹対広葉樹のパルプ比が1対9である混合パルプ)のパルプ濃度を2.5%になるように硬度100ppmの希釈水で希釈し、ビーターを用いて390のカナディアンスタンダードフリーネスまで叩解した。このパルプスラリー0.84リットルと前記古紙回収パルプ0.6リットルとを離解機に秤取し、各々パルプ(乾燥重量基準)に対して、軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製タマパール121S)7%、硫酸バンド0.5%、カチオン化澱粉(ナショナルスターチアンドケミカル社製Cato3210)0.5%、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(日本PMC(株)製AS263)0.15%を添加した。その後、pH8.0の希釈水で濃度0.25%に希釈し、次いで定着剤としてカチオン性ポリアクリルアミド(日本PMC(株)製DS410)0.05%を添加し、ノーブルアンドウッド抄紙機で抄紙して坪量65g/m2の試験紙を得た。湿紙の乾燥はドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。得られた試験紙を恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後、サイズ度をステキヒト法(JISP8122に準拠)で測定した。結果を表3に示す。
【0083】
(参考例2〜7)
インクジェット記録媒体K〜N、r、sについても同様の操作を行い、試験紙を得た。得られた試験紙を恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後、サイズ度をステキヒト法で測定した。結果を表3に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表中の略号の説明
TMA:トリメチルアミン
TMA・HCl:トリメチルアミン塩酸塩
DMA:ジメチルアミン
DEA:ジエチルアミン
EpiCl:エピクロロヒドリン
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【発明の効果】
この発明によると、インクジェット印刷物の耐水性、インクの定着性を向上させるインクジェット記録媒体用耐水性向上剤、前記インクジェット記録媒体用耐水性向上剤を使用して形成されてなる耐水性及びインク定着性に優れ、古紙として回収してもサイズ低下を引き起こさないインクジェット記録媒体、及びそのインクジェット記録媒体の製造方法を提供する。
Claims (10)
- 前記カチオン性化合物[A]が、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、脂環式3級アミン及びこれらの塩から選択される少なくとも1つの3級アミン類(a)と脂肪族2級アミン、芳香族2級アミン、脂環式2級アミン、ヘテロ環式2級アミン及びこれらの塩から選択される少なくとも1つの2級アミン類(b)とエピハロヒドリン類(c)とを100:50〜100:100〜150モル比で反応させて得られる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤。
- 前記カチオン性化合物[A]が、前記3級アミン類(a)とエピハロヒドリン類(c)とを反応させた後に、前記2級アミン類(b)を反応させて得られる化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤。
- 前記一般式(1)において、R1〜R8の全てがメチル基であることを特徴とする請求項1〜3の内のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤。
- 前記3級アミン類(a)が塩であり、2級アミン類(b)を反応させる際に予めアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)を添加することを特徴とする請求項2〜4の内のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤。
- 前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物(d)が水酸化カルシウムであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤。
- 請求項1に記載のカチオン性化合物[A]とアルカリ土類金属のハロゲン化物(e)とを含有することを特徴とするインクジェット記録媒体用耐水性向上剤。
- アルカリ土類金属がカルシウムであることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含有する塗工液を塗工してなることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体用耐水性向上剤を含有する塗工液を塗工してなることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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