JP4000009B2 - 構造物の移動方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物を上方向及び横方向に移動する構造物の移動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地上に設置されている構造物を上昇させ、所定の高さに改めて設置する必要がある場合がある。従来、かかる場合には、構造物の底面に複数のジャッキを挿入して構造物を上昇させ、支持架台に盛り替える作業を行っている。構造物が所定高さに達するまでこの作業を繰り返し、構造物を支持架台等によって所定高さに設置している。
【0003】
また、ロープや滑車などを用いて構造物を所定高さまで上昇させ、所定高さに設けられている架台等の上に構造物を設置することも行われている。
さらに、地上に設置されている構造物を他の場所へ移設する必要がある場合がある。このような場合には、構造物の下に仮受け台を設けてコロを差し込み、構造物を横引きしている。
【0004】
また、特開平9−88363号公報には、大型構造物を浮力で上昇させ、水路に沿って大型構造物を別の移設場所まで移動させる大型構造物の移動方法の発明が記載されている。
また、特開2001−199388号公報には、大型重量物を水中に保持して船舶で牽引して別の移設場所まで移動させる大型重量物の水上運搬方法と水底設置方法の発明が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、構造物の底面に複数のジャッキを挿入して構造物を持ち上げる方法では、作業中に多くのジャッキと支持架台が必要であり、ジャッキアップ作業に手間がかかり、ジャッキと支持架台の間の盛り替え作業に手間がかかるという不具合があった。また、構造物を持ち上げる高さが高い場合には、これらの作業が繰り返されて作業の手間は一層増大する。
【0006】
また、ロープや滑車などを用いる方法では、構造物をロープや滑車などで引っ張りあげるための反力点の設置が大掛かりとなるという不具合があった。
さらに、構造物の下に仮受け台を設けてコロを差し込み、構造物を横引きする方法においては、構造物の下に仮受け台を設置し撤去する作業や、横引きに伴ってコロを差し替える作業の手間が大きいという不具合があった。また、横引きで移動するために必要な反力点の設置が大掛かりとなる。さらに、起伏のある複雑な地形においては、横引きの作業の手間が一層大きくなる。
【0007】
また、特開平9−88363号公報に記載の発明では、移設場所まで水路が必要であり、水路がない場合には先に水路を構築しなくてはならず、必要な資材量が大きくなるという不具合があった。また、移設場所までの地形が複雑で傾斜している場合や、移設場所が高所にある場合等は、必要な水路が大きくなり、水路に引き込む水量も大きくなってしまう。
【0008】
また、特開2001−199388号公報に記載の発明においても、特開平9−88363号公報に記載の発明の場合と同様な問題がある。
本発明は、上記した従来の技術の問題点を除くためになされたものであり、その目的とするところは、大掛かりな装置を必要とせず、必要な資材量は少なくてすみ、必要な作業の手間が大きくならず、複雑な地形においても適用可能な構造物の移動方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項の発明は、原位置上に載っている構造物をこの原位置から中間位置を経て新位置まで移動させる方法において、囲いを施して原位置上の構造物及び中間位置をともに当該囲いの内側に取り囲み、前記囲い内に液体を注入して構造物を浮力によって上昇させてから、構造物を中間位置の上まで前記囲い内にて横方向へ移動させた後、液体を前記囲いからタンクに排出して構造物を中間位置に着座させる前工程と、前記前工程の後に、中間位置上の構造物及び新位置をともに囲いの内側に取り囲み、この囲い内に前記タンクに貯蔵された液体を注入して構造物を浮力によって上昇させてから、構造物を新位置の上までこの囲い内にて横方向へ移動させた後、液体をこの囲いから排出して構造物を新位置に着座させる後工程とから構成される構造物の移動方法である。
【0012】
請求項の発明によると、構造物を浮力によって原位置から上昇させた後は、液体が構造物を支えているだけである。かかる状態の構造物に横方向の力を加えれば、構造物は液体を掻き分けて横方向に進む。構造物と液体との間の摩擦力は大きくなく、構造物を横方向に移動させる力を生じさせるために大掛かりな反力点を設ける必要もなく、構造物は横方向へ移動させることは容易である。そして、中間位置の上に構造物を移動させたら囲い内の液体を排出し、液面の低下とともに構造物も下降して中間位置の上に載り、構造物は原位置から中間位置まで移動する。さらに、同様の手順を繰り返し、構造物を中間位置から新位置まで移動する。原位置から新位置までの距離が長い場合でも、大きな単一の囲いを原位置から新位置まで連続して設ける必要はなく、囲い内で構造物を上昇させて支えるのに必要な液体の量も少なくてすむ。
【0013】
また、原位置と新位置までの間に複数の中間位置がある場合であっても、相隣り合う位置の間で構造物の移動を順次繰り返すことにより、構造物は原位置から新位置まで移動する。中間位置を適宜設けることによって、囲いの大きさを巨大化する必要はなくなる。請求項の発明は、原位置上に載っている構造物をこの原位置から中間位置を経て新位置まで移動させる方法において、囲いを施して原位置上の構造物及び中間位置をともに当該囲いの内側に取り囲み、前記囲い内に液体を注入して構造物を浮力によって上昇させてから、構造物を中間位置の上まで前記囲い内にて横方向へ移動させる前工程と、前記前工程の後に、前記囲いに液体を満たしたまま、前記囲い内を境界により分割して、原位置を内側に取り囲む原位置側囲いと、構造物及び中間位置を内側に取り囲む中間位置側囲いとを形成してから、原位置側囲いから液体をタンクに排出し、その後に前記境界を残して原位置側囲いを撤去するとともに、中間位置側囲いに隣接して新位置を内側に取り囲む新位置側囲いを形成し、この新位置側囲い内に前記タンクに貯蔵された液体を注入してから、中間位置側囲いと新位置側囲いとを連続させて新たな囲いを形成する中工程と、前記中工程の後に、構造物を中間位置の上から新位置の上まで新たな囲い内にて横方向に移動させてから、液体を新たな囲いから排出して構造物を新位置に着座させる後工程とから構成される構造物の移動方法である。
【0014】
請求項の発明によると、構造物は原位置から中間位置を介して新位置まで移動する。請求項に記載の発明に対して、請求項の発明においては中間位置で構造物を着座させないので一層迅速に構造物は新位置まで移動する。また、必要な液体の量は、中間位置側囲い及び新位置側囲いを同時に満たすに足りる量と、原位置側囲い及び中間位置側囲いを同時に満たすに足りる量とのうち多い方の量だけで足りる。
【0015】
さらに、原位置と新位置までの間に複数の中間位置がある場合であっても、隣り合う位置の間で囲いの設置・撤去を繰り返し、隣り合う位置の間で構造物を繰り返して順次移動させと、構造物は原位置から新位置まで移動する。
【0016】
【発明の実施の形態】
参考実施形態に係る工程を図1ないし図3に基づいて順次説明する。
図1に示すように、地盤50の一部をなす設置面52上に構造物10が載っている。面52は地盤50表面の他の部分よりも窪んで一段低い面をなしている。構造物10の基礎は面52上に露出しており、この基礎は地盤50から縁切りされている。また、構造物10は外部を防水してあり、その内部へ後述の液体44が浸入できない構成となっている。
【0017】
そして、構造物10及び面52の周囲を止水壁20で取り囲み、上から見ると外形がおよそ四角形の囲い30を形成する。囲い30の側面は、縦長の板状体をなす複数の止水壁20が連なってできており、止水壁20の面上にはコーキング材等からなる止水材料が被覆されている。この止水材料の被覆は、止水壁20の面上に止水材料を塗装したり、止水材料からなる膜を貼り付けることにより形成する。止水材料の被覆を液体44は通過できず、止水壁20は止水材料の被覆によって止水能力を付与されている。
【0018】
また、各止水壁20の長手方向の縁は相互に連結されており、止水壁20同士の連結部分は止水材料によってシールされている。このため、囲い30の側面を液体44は通過できない。また、囲い30の内側底面は止水床26で覆われている。止水壁20と同様に、この止水床26は止水材料で被覆してあり、液体44は止水床26を通過できない。さらに、囲い30内における止水床26と止水壁20の境目も止水材料によってシールされている。
【0019】
したがって、囲い30内に液体44を入れても、液体44は囲い30の外部へ出ることはなく、囲い30は止水能力を有する。また、止水壁20は囲い30内に液体を満たしても変形や圧壊しない充分な強度を有し、図示しない補強材が囲い30の側面内側と外側の両方を補強している。
また、囲い30の外にタンク40とポンプ42があり、タンク40には高比重の液体44が貯蔵されている。液体44の比重は、構造物10が液体44中で浮力を受け、この浮力によって上昇可能な大きさであり、構造物10の密度に応じて適宜選定する。そして、配管によって囲い30とタンク40の間、タンク40とポンプ42の間、ポンプ42と囲い30の間をそれぞれつなぎ、液体44をタンク40から囲い30内へ注入可能であり、液体44を囲い30からタンク40に排出可能に液体44の流路を構成する。
【0020】
次に、図2に示すように、ポンプ42によってタンク40から液体44を囲い30内へ注入する。囲い30内に液体44が満たされると、構造物10が液体44から浮力を受け、構造物10は浮き上がる。構造物10が浮き上がると、構造物10の基礎底面は面52から離れて上昇する。そして、構造物10の基礎底面が面52から所定の高さhだけ上昇したら、囲い30内への液体44の注入を止める。なお、値hは後述する値Hよりも大きな値であり、予め定めた値である。
【0021】
また、構造物10は液体44に浸っているが、外部を防水してあるので内部へ液体44は浸入しない。さらに、囲い30は止水能力があるので、液体44は囲い30の外へ漏れ出ず、囲い30内の液体44の液位は一定しており、構造物10の基礎底面と面52との距離hも維持される。また、前記補強材が止水壁20を補強しているので、止水壁20が液体44からの圧力によって変形したり圧壊することは防止される。
【0022】
次に、砂46を面52の上へ囲い30の外から送り込む。砂46が面52から高さHだけ堆積して新たな面54を形成したら、砂46の送り込みを止める。面52上に堆積して面54を形成した砂46が支持手段をなす。なお、高さHとは、構造物10の基礎を面52から持ち上げる高さに、支持手段の面54が構造物10の重さを支持して沈下する量を加えたものである。
【0023】
次に、図3に示すように、囲い30からタンク40へ液体44を排出する。液体44の排出は囲い30から液体44がなくなるまで行う。囲い30から液体44が排出されるのに伴って、構造物10は下降し、面54の上に構造物10の基礎底面が着座する。着座後、面54は構造物10の重さによって沈下し、構造物10は計画した高さだけ面52から上方に移動する。その後、囲い30を撤去する。
【0024】
したがって、本実施の形態に係る方法によって、構造物を解体せずに所定の高さまで移動させることが可能となる。また、液体の浮力を用いて構造物を上昇させるので、ジャッキなどの装置が不要であり、ジャッキと支持架台との間で構造物を盛り替える作業が不要である。さらに、構造物を引き上げるための反力点を設置する必要もなく作業の手間は大きくならない。また、移動後の構造物は砂で形成した支持手段の上に直接設置されるので、安定している。
【0025】
次に、本発明の第の実施の形態に係る工程を図4ないし図8に基づいて順次説明する。本実施の形態に係る工程は、構造物を一つの位置から中間位置を経由して他の位置まで移動させる工程である。なお、参考実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略し、同様の構成による同様の作用についても説明を省略する。
【0026】
図4に示すように、地盤50には原位置Aから離れて新位置Cがあり、位置Aと位置Cの中間にB1からBnまでのn個所の中間位置が設けてある。位置Aの上に構造物10の基礎底面が載っており、構造物10の基礎は地盤50の上に露出し、地盤50とこの基礎との間は縁切りされている。
まず、構造物10、位置A及び位置B1の周囲を取り囲んで止水壁20及び止水床26からなる囲い30を形成する。囲い30の構成は第1の実施の形態と同様であり、囲い30は、液体44を貯蔵しているタンク40及びポンプ42と配管によってつながれている。なお、液体44の比重は、構造物10が液体44中で浮力を受けて上昇でき、且つ構造物10の上部が液面から突出可能な大きさである。
【0027】
ただし、囲い30は以下の点が参考実施形態と異なる。囲い30は上方から見るとその外形はおよそ長方形をなしている。また、囲い30の内側には、止水壁20と同様に構成された境界壁21を設置可能であり、境界壁21により囲い30を2つの独立した囲いに分割可能な構成を有する(図6を参照)。さらに、囲い30の側面を構成する各止水壁20はそれぞれ取り外すことができ、囲い30の一部の側面だけを撤去可能な構成を有するとともに、囲い30の側面の外側に止水壁20を増設して、囲い30に隣接する別の囲いを増設可能な構成をも有する(図7を参照)。
【0028】
そして、図5に示すように、ポンプ42によって液体44を囲い30内へ注入し、構造物10に液体44からの浮力を作用させ、構造物10の基礎底面を地盤50の位置Aから高さhだけ上昇させる。ここで、高さhとは、上昇した構造物10の基礎底面が、囲い30の内側底面と接触せずに、囲い30内を水平移動できる高さである。なお、図5において、位置Aから上昇した構造物10を一点鎖線で示す。
【0029】
次に、位置Aからhだけ上昇した構造物10に横方向の力を加えて、構造物10を位置B1の上方の位置まで水平移動させる。構造物10は液体44中に浮いているだけなので、構造物10に加える横方向の力の大きさは、構造物10と液体44との間の摩擦力より大きく、構造物10が液体44中を横方向に移動可能な大きさであれば足りる。したがって、横方向の力を生じさせるための反力点を大掛かりなものとする必要はない。
【0030】
次に、構造物10を位置B1の上方まで移動させたら、液体44を囲い30からタンク40へ排出し、囲い30内の液体44を空にする。液体44の排出に伴って構造物10は下降し、位置B1の上に構造物10の基礎底面が着座する。この位置B1上に構造物10を着座させるまでの工程が前工程をなす。
前工程の後、1回目の中工程に移る。図6に示すように、囲い30内に境界壁21を設置し、位置Aを内側に有する原位置側囲い31と、位置B1及び構造物10を内側に有する中間位置側囲い32とに囲い30を分割する。そして、囲い32を残して、囲い31を構成する止水壁20及び止水床26を撤去する。この撤去した止水壁20及び止水床26を用いて、位置B2を内側に取り囲む中間位置B2側囲い33を囲い32に隣接して増設する(図7を参照)。囲い33の側面及び内側底面の構成は囲い30の構成と同様である。また、囲い33へ液体44を注入可能に囲い33とポンプ42とタンク40を配管でつなぎ、囲い32から液体44を排出可能に囲い33とタンク40を配管でつなぐ。このとき、囲い33の側面の一部をなす止水壁20は、同時に囲い32の側面の一部をもなす。その後、両囲い32、33の側面を共通してなす止水壁20を撤去して、囲い32と囲い33を連結し、一つの新たな囲い34を形成する(図8を参照)。囲い34を形成して1回目の中工程を終わる。
【0031】
1回目の中工程後、1回目の後工程に移る。1回目の後工程では、前記前工程において囲い30内で構造物10を位置Aから位置B1まで移動させて着座させたのと同様の工程を繰り返す。すなわち、囲い34内に液体44を注入し、構造物10を位置B1の上に上昇させ(図8を参照)、構造物10を位置B2の上へ移動させ、液体44を囲い34から排出し、構造物10を位置B2の上に着座させる。構造物10を位置B2の上に着座させて、1回目の後工程を終わる。
【0032】
1回目の後工程の後、1回目の中工程及び1回目の後工程と同様の中工程及び後工程を順次繰り返す。この繰り返しによって、構造物10は中間位置B2、…、Bnを経由して新位置Cまで順番に移動して着座する。そして、構造物10が新位置Cの上に着座したら、構造物10を取り囲む囲いを撤去し、構造物10の移動は完了する。
【0033】
なお、中間位置B1、…、Bn又は新位置Cにおいて、構造物10を支持材の上に着座させる必要がある場合、これらの位置を取り囲む囲いを形成した後、支持材をこれらの位置の上に設置し、その後に液体44を囲いに注入する。
また、地盤50が起伏を有する場合、以下に示す変形例1ないし変形例3のように、囲い30を形成することが可能である。変形例1に係る囲い30を図9に示す。本変形例においては、地盤50上の各止水壁20の各設置場所で、各止水壁20を地盤50表面に対しておよそ垂直に立てる。地盤50表面の傾きは各設置場所で一定しておらず、各止水壁20も各設置場所における地盤50表面の傾きに応じて傾く。各止水壁20の傾く角度はそれぞれ異なり、隣接する各止水壁20同士は密着せず隙間ができる。この各止水壁20間の隙間をシール部材28で塞ぎ、囲い30内から液体44が囲い30の外へ漏れ出ない構造とし、囲い30の止水能力を確保する。シール部材28は、ゴムなどの止水材料からなるシート状、蛇腹状、板状等の形状とすることが好ましい。また、隙間が小さな場合には、タールやベントナイト等の止水材料を隙間に充填してシールする。
【0034】
次に、変形例2に係る囲い30を説明する。図10に示すように、各止水壁20を水平面に対して垂直に立てて地盤50上に設置する。各止水壁20は垂直に立っているので、隣接する止水壁20同士間は密着して隙間を生じない。一方、地盤50の起伏に応じて、囲い30の内側で地盤50を覆う止水床26にも起伏を生じ、各止水壁20の底辺と止水床26の間にも隙間ができる。この各止水壁20の底辺と止水床26との間の隙間を、前記変形例1と同様のシール部材28で塞ぎ、囲い30の止水能力を確保する。
【0035】
次に、変形例3に係る囲い30を説明する。各止水壁20を垂直に地盤50に打ち込んで立て、止水壁20の下部を地盤50中に埋める。この場合、隣接する各止水壁20同士の間には隙間は生じず、各止水壁20の底辺と止水床26の間にも隙間は生じない。
なお、上記変形例1ないし変形例3において、囲い30の変形例を示したが、囲い30以外の他の囲いについても適用可能であることは勿論である。
【0036】
したがって、本実施の形態に係る方法によって、地形の起伏に関係なく構造物を解体せずに所定位置まで移動させることが可能となる。また、構造物を横へ移動させるために必要な空間を得るために、構造物周囲の地盤などを掘削する必要がなく、作業の手間は大きくならない。さらに、構造物を横へ移動させるためにコロや仮受け台を特に設置する必要もない。また、囲いの設置・撤去を繰り返し、囲いの中に液体を満たすだけであり、液体を繰り返して使用できるので、必要な液体の量も少なくてすむ。
【0037】
次に、本発明の第の実施の形態に係る工程を図11ないし図13に基づいて説明する。本実施の形態に係る工程は、構造物を一つの位置から中間位置を経由して他の位置まで移動させる工程である。なお、第の実施の形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略し、同様の構成による同様の作用についても説明を省略する。
【0038】
原位置Aの上に載っている構造物10を、中間位置B1、B2、…、Bnを経由して移動させ、新位置C上に着座させる点は第の実施の形態と同様である。第の実施の形態における前工程と同様の前工程によって、囲い30を形成し、位置B1の上まで構造物10を移動させる。但し、囲い30から液体44を排出せず、構造物10は液体44に浮いたままとし、構造物10を位置B1に着座させない。位置B1の上まで構造物10を移動させて、前工程は終わる。
【0039】
前工程の後、1回目の中工程に移る。図11に示すように、液体44を満たしたままの囲い30内に境界壁21を設置し、位置Aを内側に有する原位置側囲い31と、位置B1及び構造物10を内側に有する中間位置側囲い32とに囲い30を分割する。また、位置B2を内側に取り囲む中間位置B2側囲い33を囲い32に隣接して増設する。なお、囲い31は配管によってタンク40とつながっており、液体44を囲い31からタンク40へ排出可能であり、囲い33は配管によってポンプ42およびタンク40とつながっており、液体44を囲い33に注入可能に構成されている。囲い31、32、33を形成して1回目の中工程は終わる。
【0040】
1回目の中工程の後、1回目の後工程に移る。図12に示すように、囲い31から液体44をタンク40へ排出し、タンク40から液体44を囲い33へ注入する。そして、囲い31の液体44が空になったら、囲い32は残して囲い31を構成する止水壁20及び止水床26を撤去する。また、囲い33内の液体44の液位が囲い32内の液体44の液位と同じに高さとなったら液体44の注入を停止する。その後、囲い32、33の側面を共通して形成する止水壁20を撤去し、囲い32と囲い33を連結し、一つの新たな囲い34を形成する(図13を参照)。
【0041】
次に、前記前工程で構造物10を位置Aの上から位置B1の上まで移動させたのと同様の工程により、囲い34内で構造物10を位置B1の上から位置B2の上へ移動させる。位置B2の上まで移動させた構造物10は液体44に浮いたままとし、構造物10を位置B2に着座させない。位置B2の上まで構造物10を移動させて1回目の後工程は終わる。
【0042】
1回目の後工程の後、1回目の中工程及び1回目の後工程と同様の中工程及び後工程を順次繰り返す。この繰り返しによって、構造物10は各中間位置の上を経由して新位置Cの上まで順番に移動する。そして、構造物10が新位置Cの上まで移動したら、構造物10が浮かんでいる囲いから液体44を排出し、構造物10を新位置Cに着座させる。構造物10が新位置Cに着座したら、構造物を取り囲む囲いを撤去し、構造物10の移動は完了する。
【0043】
なお、地盤50の形状に応じて、本実施の形態における各囲いを第の実施の形態における変形例1ないし変形例3に示す構成とすることが可能であることは勿論である。
また、後工程において新たな囲い34を形成するとき、この囲い34内での構造物10の移動先の位置が移動前の位置よりも高所にある場合がある。このときは、囲い34内にさらに液体44を注入して液位を上昇させて、構造物10を上昇させる。構造物10の基礎底面と囲い34の内側底面との間の距離は大きくなり、構造物10がこの囲い34内を横方向に移動しても、囲い34の内側底面と構造物10の基礎底面が接触することはなくなる。
【0044】
したがって、本実施の形態に係る方法によって、第の実施の形態と同様な効果を得ることができる。さらに、本実施の形態にあっては、中間位置で構造物を着座させないので、第の実施の形態の場合よりも構造物の移動にかかる時間を一層短縮することができる。
なお、上記各実施の形態では、止水壁20で囲い30の側面を形成し、止水床26で囲い30の内側底面を覆って囲い30の止水能力を確保したが、替わりに、囲い30の内側を止水能力を備え液体44を通過させない膜状体で覆い、囲い30内に液体44を保持可能な構造とすることも可能である。
【0045】
また、各実施の形態で、複数の止水壁20を連ねて囲い30の側面を形成するとしたが、囲い30の側面を単一の止水壁からなる壁体によって形成することも可能であり、止水壁20と止水床26を一体化して形成することも可能であり、止水材料によって止水壁20や止水床26を形成することも可能である。
さらに、止水材料としてコーキング材を示したが、他にゴム材、タールやベントナイト等を止水材料とできる。
【0046】
また、各実施の形態で、地盤50の土質が緻密で水を浸透させにくく止水能力を有している場合、囲い30の内側底面を止水床26で覆わず、囲い30の内側底面と止水壁20との境目部分を止水材料でシールして囲い30の止水能力を確保することも可能である。
また、各実施の形態において、構造物10が液体44から受ける浮力を増大させるために、構造物10に浮体を取り付けることも可能である。この場合、浮体は浮き袋などによって形成する。
【0047】
また、参考実施形態では、囲い30の外形を上から見ると四角形であるとしたが、円形、多角形等の形状とすることが可能であるのは勿論である。同様に、第の実施の形態及び第の実施の形態において形成する各囲いの外形を、地盤の状態などに応じた外形とすることができるのは勿論である。
また、参考実施形態では、支持手段を砂46によって形成するとしたが、砂以外の砂利などによって形成することが可能であることは勿論であり、別途準備しておいた架台などの支持手段を面52上に設置することも可能である。
【0048】
また、第の実施の形態で示した変形例1ないし変形例3に係る囲いを、参考実施形態及び第の実施の形態において適用することが可能である
【0049】
【発明の効果】
本発明は、上記のような構造物の移動方法であるので、大掛かりな装置を必要とせず、必要な資材量は少なくてすみ、作業に必要な手間が大きくならず、複雑な地形においても適用可能な構造物の移動方法を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考実施形態における囲いの縦断面図である。
【図2】参考実施形態において構造物を上昇させ、支持手段を形成する工程の説明図である。
【図3】参考実施形態において構造物を支持手段上に着座させる工程の説明図である。
【図4】第の実施の形態の前工程における囲いの縦断面図である。
【図5】第の実施の形態の前工程において構造物を上昇させ、横移動させる工程の説明図である。
【図6】第の実施の形態の1回目の中工程における囲いの分割の説明図である。
【図7】第の実施の形態の1回目の後工程における囲いの増設の説明図である。
【図8】第の実施の形態の1回目の後工程における囲いの構成の説明図である。
【図9】第の実施の形態の変形例1に係る囲いの縦断面図である。
【図10】第の実施の形態の変形例2に係る囲いの縦断面図である。
【図11】第の実施の形態の1回目の中工程における囲いの分割と増設の説明図である。
【図12】第の実施の形態の1回目の中工程における液体注入・排出の説明図である。
【図13】第の実施の形態の1回目の後工程における囲いの縦断面図である。
【符号の説明】
10 構造物
20 止水壁
21 境界壁
28 シール部材
30、31、32、33、34 囲い
26 止水床
40 タンク
42 ポンプ
44 液体
46 砂
50 地盤
52、54 面

Claims (3)

  1. 原位置上に載っている構造物をこの原位置から中間位置を経て新位置まで移動させる方法において、
    囲いを施して原位置上の構造物及び中間位置をともに当該囲いの内側に取り囲み、前記囲い内に液体を注入して構造物を浮力によって上昇させてから、構造物を中間位置の上まで前記囲い内にて横方向へ移動させた後、液体を前記囲いからタンクに排出して構造物を中間位置に着座させる前工程と、
    前記前工程の後に、中間位置上の構造物及び新位置をともに囲いの内側に取り囲み、この囲い内に前記タンクに貯蔵された液体を注入して構造物を浮力によって上昇させてから、構造物を新位置の上までこの囲い内にて横方向へ移動させた後、液体をこの囲いから排出して構造物を新位置に着座させる後工程とから構成されることを特徴とする構造物の移動方法。
  2. 原位置上に載っている構造物をこの原位置から中間位置を経て新位置まで移動させる方法において、
    囲いを施して原位置上の構造物及び中間位置をともに当該囲いの内側に取り囲み、前記囲い内に液体を注入して構造物を浮力によって上昇させてから、構造物を中間位置の上まで前記囲い内にて横方向へ移動させる前工程と、
    前記前工程の後に、前記囲いに液体を満たしたまま、前記囲い内を境界により分割して、原位置を内側に取り囲む原位置側囲いと、構造物及び中間位置を内側に取り囲む中間位置側囲いとを形成してから、原位置側囲いから液体をタンクに排出し、その後に前記境界を残して原位置側囲いを撤去するとともに、中間位置側囲いに隣接して新位置を内側に取り囲む新位置側囲いを形成し、この新位置側囲い内に前記タンクに貯蔵された液体を注入してから、中間位置側囲いと新位置側囲いとを連続させて新たな囲いを形成する中工程と、
    前記中工程の後に、構造物を中間位置の上から新位置の上まで新たな囲い内にて横方向に移動させてから、液体を新たな囲いから排出して構造物を新位置に着座させる後工程とから構成されることを特徴とする構造物の移動方法。
  3. 原位置上に載っている構造物をこの原位置から中間位置を経て新位置まで移動させる方法において、
    囲いを施して原位置上の構造物及び中間位置をともに当該囲いの内側に取り囲み、前記囲い内に液体を注入して構造物を浮力によって上昇させてから、構造物を中間位置の上まで前記囲い内にて横方向へ移動させ、
    前記囲いに液体を満たしたまま、前記囲い内を境界により分割して、原位置を内側に取り囲む原位置側囲いと、構造物及び中間位置を内側に取り囲む中間位置側囲いとを形成した後に、原位置側囲いから液体をタンクに排出し、
    その後、新位置を内側に取り囲むように中間位置側囲いに隣接して形成された新位置側囲いに前記タンクに貯蔵された液体を注入してから、中間位置側囲いと新位置側囲いとを連続させて新たな囲いを形成し、構造物を中間位置の上から新位置の上まで新たな囲い内にて横方向に移動させてから、液体を新たな囲いから排出して構造物を新位置に着座させることを特徴とする構造物の移動方法。
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