JP3999925B2 - 積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、主として金属コイル、金属線材コイル、金属切板等の金属材を搬送する場合に、これらの金属材を収容するコンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、帯鋼コイルや、鋼線材コイルを船積みで出荷する場合には、梱包された後、クレーンでパレット台車やトラックに横または縦に一段積みで複数個積載されて岸壁まで搬送され、クレーンで1個ずつ船内に積み重ねられ、船内からコイルを荷揚げする場合も、クレーンで1個ずつ台車やトラックに積み込まれていた。
【0003】
このように、コイルを一個ずつ積み込み、一個ずつ荷揚げする方法を採用する場合には、陸上および船内作業に数名の要員を配置する必要があり、労力負担も大きく、安全上の問題もあった。また、作業効率が悪く、コイルの積み込みと荷揚げに長時間を要し、滞船料負担が大きくなるという問題もあった。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば特開昭53−53487号公報には、コイル状物体を複数収容でき、多段積みを可能とするコンテナ装置が提案されている。このコンテナ装置は、屋根なしの、下面、側面が骨組みの枠で構成されるものであり、トラックの進行方向の荷崩れを防止する荷崩れ防止台と、トラックの進行方向と直角方向の荷崩れを防止する荷崩れ防止板を備えたものである。また、このコンテナを多段積した場合の荷崩れ防止するために、上部の4隅に突起を有し、下部4隅に下部側のコンテナの4隅の突起を嵌入する孔を有するものである。
【0005】
このコンテナ装置は、複数のコイル状物体を横にして収容したコンテナを多段積みできるものであり、コンテナ内のコイル状物体の荷崩れを防止でき、またコイル状物体を多段積みした場合に、上下のコンテナ間での荷崩れを防止することができる。
しかし、このコンテナ装置においては、上下のコンテナ間で4隅の孔と突起との位置合わせが難しく、この位置合わせに人手が必要であり、労力負担が大きく安全性の面でも問題がある。また、コイル状物体をクレーンでコンテナに搬入する場合およびコンテナから搬出する場合、側面には骨組枠があり、狭い上部からコイル状物体が骨組枠に衝突しないように搬入、搬出しなければならないため、搬入、搬出作業の所要時間も長くなり、作業能率の面での問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複数の金属材を収容でき、上下方向に積み重ねることができ、上下のコンテナを係合する際の位置合わせ作業負担を軽減して省力化でき、コンテナでの金属材の搬入・搬出時間を安全上の問題もなく短縮できる、積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)〜(4)の発明から構成されるものである。
(1).複数の底梁によって形成された底枠と、下端面に固定ピンを有し、前記底枠の各隅部に立設された柱と、前記固定ピンが係合する係合孔を有し、前記柱の上部に取り付けられた隅金具とを備えた金属材搬送用コンテナにおいて、前記柱の下端面を底枠下面より上部に位置させてその中心部に前記固定ピンをその先端が底枠下面より上部に位置するように突設し、前記柱の底枠側の直交する2つの側面にそれぞれ突き当たる2本の前記底梁の先端部が垂直面と該垂直面からの下方部分が後方に向かう傾斜面とからなっており、前記垂直面が前記柱の側面にそれぞれに接合されており、柱の下端面より下部領域で下部コンテナの柱上部の隅金具の2つの内側上縁を、該隅金具の係合孔と上部コンテナの前記固定ピンが係合できる位置関係になるように前記傾斜面のそれぞれがガイドすることを特徴とする積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
(2).(1)において、傾斜ガイド面の傾斜角が垂直線に対して20〜45度であることを特徴とする積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
(3).(1)または(2)において、隅金具がクレーン吊具の下部に装着されたツイストロックに係合可能な長孔を有することを特徴とする積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
(4).(1)〜(3)のいずれかにおいて、枠組み構造が複数の底梁によって形成された底枠と、及び底枠の各隅部に立設された4本の柱からなり、枠組み構造の側部と上部に金属材の移動空間を形成した枠組構造を有する積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のコンテナは、主として金属コイル、金属線材コイル、金属切板等の金属材を搬送する場合に、これらの金属材を収容して台車、トラック、船等に積み込まれ輸送されるものであり、積み重ねた場合に上下のコンテナ間で荷崩れを生じない積み重ね構造を有するものである。
【0009】
基本的には、隅部の柱の上部に、係合孔を有する隅金具を装着し、この柱の下端面を底枠の両底梁下面より上部に位置させてその中心部に固定ピンを突設し、この柱に突き当たる底枠の両底梁の端部に、それぞれ、柱の下端面の下部領域で下部コンテナの柱上部の隅金具の内側上縁を、該隅金具の孔と上部コンテナの固定ピンが係合できる位置関係になるようにガイドする、下方に広がる傾斜ガイド面を形成したものである。
【0010】
コンテナを積み重ねる場合には、上部コンテナの柱下端の固定ピンを下部コンテナの隅金具の孔に係合して、上下のコンテナ間での荷崩れを防止するもので、上部コンテナ下端の固定ピンを下部コンテナ上部の隅金具の孔に係合する際に、固定ピンと隅金具の孔との位置合わせを容易にする傾斜ガイド面を2本の底枠の端部に形成するものであり、この2つのガイド傾斜面で、下部コンテナの隅金具の内側上縁を円滑に摺動させることにより、ガイド精度を確保して位置合わせ精度を安定確保することができる。
【0011】
この2つガイド傾斜面と隅金具の内側上縁とを円滑に摺動させるためには、このガイド傾斜面の傾斜角度を垂直線に対して20〜45度とすることが好ましく、固定ピンと隅金具の孔との係合が完了して隅金具の上面と固定ピンを突設した柱の下端面が密着した状態で、横ずれを抑制して位置合わせ精度を確保できるように形成することが好ましい。
固定ピンを突設する柱の下端面および固定ピンの先端は、傾斜ガイド面効果と固定ピンの係合深さを十分に確保できるように、底枠の下面より上部に位置させることが好ましい。
【0012】
固定ピンと隅金具との係合を、より確実なものにする場合、隅金具として公知のコーナーフッティングを用い、固定ピンとして公知のツイストロックを用いることもできる。ツイストロックは自動ロック、解除が可能なもの、あるいはレバー操作式の公知のツイストロックのいずれでもよい。
ツイストロックを用いる場合には、コーナーフッティング(隅金具)の係合孔は長孔にすることによって、コンテナをクレーンのツイストロック付きの自動吊具に係合させることができる。
【0013】
なお、本発明のコンテナは、側部と上部で収容する金属材の移動が可能な空間を形成した簡易な枠組構造を有するコンテナとすることが有効である。
柱・梁の少ない枠組構造であるが強度確保は十分に可能である。積み重ねる場合には、下部での荷重負担が大きくなるが、上部コンテナと連結することにより上部コンテナの底枠が上部梁の役割をしてボックス型の枠組構造を形成し強度が補強されるので強度上の問題はない。
【0014】
本発明のコンテナの枠組構造の柱および底枠は、主として角形鋼管、H形鋼、溝形鋼などの鋼材で形成するものであり、荷台は、上記底枠と鋼板やデッキプレートなどの鋼材で形成するものである。通常、荷台には載置台をセットして、この載置台にコイルを載置することが行われる。
【0015】
コンテナに収容する金属材は、複数のサイズがあり、形状についても木台付、コイルの場合があるが、本発明のコンテナでは、金属材のサイズ、形状に対応し、コイルを載置する場合は載置台をセットし、木台付を載置する場合は載置台を取り外しすることにより容易に対応ができるようにする。
【0016】
なお、コンテナに金属材を収容する場合には、コンテナを台車に積載してからでもよいし、コンテナを床上において行ってもよい。側部と上部を開放したコンテナを用いる場合には、フォークリフトを用いて床上で行うこともできる。また、コンテナに収容する金属材が、輸送中に位置ずれを起こす懸念がある場合には、コンテナの柱間にロープやチェーンを張ることも考慮する。
【0017】
【実施例】
本発明のコンテナの実施例について、図1〜図3に基づいて説明する。図1は正面説明図、図2は側面説明図、図3は平面図である。この実施例のコンテナは、鋼材コイル搬送用コンテナで、異なるサイズの3個鋼材コイルを収容できるように構成したものである。
【0018】
図1〜図3において、1aはコンテナで、複数の梁材によって形成された底枠2に4本の柱3a〜3dを立設した枠組構造を有するもので、底枠2の上面に鋼板4を底板として固定し、この鋼板4上にサイズの異なる鋼材コイル5a、5b、5cを載置する載置台6a、6b、6cを配設したものである。この載置台は、着脱可能なものであり、鋼材コイル載置時にセットし、木台付の場合は取り外し使用するものである。
【0019】
4本の柱3a〜3dの上部には、長孔7を有する隅金具8が取り付けられており、下端面に固定ピン9が突設されている。各柱の下端面は、底枠2の下面より距離a上に位置しており、固定ピン9の先端は底枠2の下面より距離b上に位置しており、隅部において各柱3a〜3dに突き当っている底枠2の2本の底梁21 、22 端面の下部側(柱の下端面より下部領域)には、それぞれ、垂直線に対して傾斜角度αが30度のガイド傾斜面2tが形成されている。
【0020】
図4は、上記のように構成した下部コンテナ1aと、これと同様に構成された上部コンテナ1bを重ねる場合の上部コンテナ1bの柱3a(ここでは3aで代表説明する)下端の固定ピン9と、底梁21と22 端部の傾斜ガイド面2tと、下部コンテナ1aの柱3a(ここでは3aで代表説明する)上端の隅金具8の長孔7の関係を示したものであり、(a)図は、隅部での下部コンテナ1aの柱上部の隅金具8と、上部コンテナ1bの柱3a下端の固定ピン9との係合構造を斜め上方から見た部分立体説明図、(b)図は、隅部での下部コンテナ1aの柱上部の隅金具8と、上部コンテナ1bの柱3a下端の固定ピン9との係合構造を斜め下方から見た部分立体説明図である。
【0021】
上部コンテナ1bを下部コンテナ1aに重ねる場合には、上部コンテナ1bの隅部で直交する2本の底梁21 、22 の2つのガイド傾斜面2tを、下部コンテナ1aの柱3a上部の隅金具8の内側縁部8aと8bで案内させることにより、上部のコンテナ1bの柱3a下端の固定ピン9と下部コンテナ1aの柱3a上部の隅金具8の長孔7の位置合わせを行い容易に係合することができる。
【0022】
上部コンテナ1aの柱3a下端の固定ピン9と、下部コンテナ1a上部の隅金具8が係合した状態では、隅金具8の上面と柱3aの下端面が密着して荷崩れしないようにコンテナ1aとコンテナ1bが重ね合わせられる。他の柱3b〜3dにおいても同様の位置合わせと係合が同時的に行われる。
【0023】
図5および図6は、サイズの異なる3個の鋼材コイルを収容したコンテナ1aを、船内10に積載し、このコンテナ1aにサイズの異なる4個の鋼材コイルを収容したコンテナ1bを重ねる場合の手順例説明図であり、(a)図は正面説明図、(b)図は側面説明図である。
【0024】
図5(a)、(b)に示すように、コンテナ1bをクレーンで吊って、クレーン11の操作により、コンテナ1aの隅金具8の内側縁部に、コンテナ1bの2本の底枠2の底梁21 、22 端面に形成した傾斜ガイド面2tを係合させてコンテナ1bを下げることにより、コンテナ1bの底梁21 、22 の傾斜ガイド面2tが隅金具8の内側縁部8a、8bにガイドされ、コンテナ1bの各柱3a〜3dの固定ピンが隅金具8の長孔7に容易に位置合わせされて係合し、図6(a)、(b)図のように、下部コンテナ1aの柱3a〜3d上部の隅金具8と、上部コンテナ1bの柱3aの下端面が密着してコンテナ1aと1bが荷崩れのないように安定的に積み重ねられる。
【0025】
なお、ここでは、クレーンの吊具12には自動ロック・自動解除ができるツイストロック13が装着されており、このツイストロック13を隅金具8の長孔7に挿入してロックすることにより、容易に吊り上げられるようにしている。
【0026】
なお、本発明のコンテナは、上記の実施例に限定されるものではない。例えば、本発明のコンテナは、鋼板コイル、鋼線材コイルを収容するものに限定されるものではなく、鋼板コイル以外の金属コイル、梱包切板を収容するものとして適用が可能なものである。
【0027】
また、例えば、コンテナを構成する枠組構造(底枠、柱)、荷台構造、載置台の構造、配置、クレーン(吊具を含む)構造、台車構造等については、コンテナに収容する金属材条件(材料、サイズ)、梱包条件、収容数等に応じて選択されるものであり、上記本発明の請求項の範囲内で変更があるものである。
【0028】
【発明の効果】
本発明のコンテナは、複数の金属材を収容でき、コンテナを積み重ねて搬送できるものであり、隅部に2つの傾斜ガイド面を形成しているので、積み重ねる上下のコンテナ間での位置合わせが容易で、安全上の問題もなく、係合作業の負担を軽減して省力化でき、作業時間を短縮することもできる。
また、上部と側部を開放した構造であるため、コンテナへの金属材の搬入・コンテナからの搬出が容易であり、クレーンの操作負担を軽減するとともに作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンテナの実施例1を示す正面説明図。
【図2】図1の側面説明図。
【図3】図1の平面説明図。
【図4】(a)図は、本発明のコンテナを重ね合わせる場合の隅部での位置合わせ係合構造を斜め上方から見た部分立体説明図、(b)図は、斜め下方から見た部分立体説明図。
【図5】(a)図は、本発明のコンテナの重ね合わせ手順例(位置合わせ過程)を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図6】(a)図は、図5の過程を経て積み重ねられた状態の上下コンテナを示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【符号の説明】
1a、1b コンテナ 2 底枠
21、 22 底梁 2t 傾斜ガイド面
3a〜3d 柱 4 底板(鋼板)
5a〜5c 鋼材コイル 6a〜6c 載置台
7 長孔 8 隅金具
8a、8b 内側上縁 9 固定ピン
10 船内 11 クレーン
12 吊具 13 ツイストロック
Claims (4)
- 複数の底梁によって形成された底枠と、下端面に固定ピンを有し、前記底枠の各隅部に立設された柱と、前記固定ピンが係合する係合孔を有し、前記柱の上部に取り付けられた隅金具とを備えた金属材搬送用コンテナにおいて、前記柱の下端面を底枠下面より上部に位置させてその中心部に前記固定ピンをその先端が底枠下面より上部に位置するように突設し、前記柱の底枠側の直交する2つの側面にそれぞれ突き当たる2本の前記底梁の先端部が垂直面と該垂直面からの下方部分が後方に向かう傾斜面とからなっており、前記垂直面が前記柱の側面にそれぞれに接合されており、柱の下端面より下部領域で下部コンテナの柱上部の隅金具の2つの内側上縁を、該隅金具の係合孔と上部コンテナの前記固定ピンが係合できる位置関係になるように前記傾斜面のそれぞれがガイドすることを特徴とする積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
- ガイドの傾斜面の傾斜角が垂直線に対して20〜45度であることを特徴とする請求項1に記載の積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
- 隅金具がクレーン吊具の下部に装着されたツイストロックに係合可能な長孔を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
- 枠組み構造が複数の底梁によって形成された底枠と、及び底枠の各隅部に立設された4本の柱からなり、枠組み構造の側部と上部に金属材の移動空間を形成した枠組構造を有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積み重ね構造を有する金属材搬送用コンテナ。
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