JP3999612B2 - 背面投射用スクリーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、背面投射用スクリーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、背面投射用スクリーンは、主にフレネルレンズとレンチキュラーレンズとにより構成されている。
【0003】
このような構成の背面投射用スクリーンでは、投射器(投射レンズ)からの広がった投射光をフレネルレンズで平行光束化し、レンチキュラーレンズで水平方向に光束をひろげ水平方向の指向性を広くしている。ここで、水平方向に指向性を広くするのは、スクリーンを上方,下方から見ることは少なくても、スクリーンを左右方向から見やすくするためである。
【0004】
すなわち、上述した従来の背面投射用スクリーンでは、スクリーンの遠方からスクリーンが明るく見える指向性をもっている。ここで、鉛直方向の指向性はあえて狭く設計してスクリーンの明るさを確保している。すなわち、鉛直方向も広指向性にすると、発表者側ではスクリーンの上端近くや下端近くも見やすくなるが、スクリーンから離れた観客側ではスクリーンが暗くなってしまうからである。従って、鉛直方向の指向性はあえて狭く設計することにより、スクリーンの観測者は、スクリーンから離れた場所でも明るく良好なスクリーン画像を見ることができる。
【0005】
ところで、1つの大型表示装置を使ってプレゼンテーションをする時、そのスクリーンが例えばタッチパネルであれば発表者はスクリーンの近く(スクリーン近傍)に位置することになる。従って、この種の表示装置の分野において、当業者間には、同じ表示画像(スクリーン画像)をスクリーン近傍にいる発表者にも、また、スクリーンから離れた観測者にも良好に表示する技術の確立が望まれている。
【0006】
しかしながら、上述した従来の背面投射用スクリーンでは、スクリーンから離れた観測者には良好に表示するが、スクリーン近傍にいる発表者は良好に表示することができないという問題がある。
【0007】
なお、1つのスクリーンに2つの投射器を使って、2つの投射器からの2種類の画像(光束)をスクリーンに投射し、一方の投射器からの画像を発表者側に表示させ、他方の投射器からの画像を観客側に表示させる表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平07−120837号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に示されている表示装置では、スクリーン自体は、スクリーン近傍とスクリーン遠方との両方の位置で明るく見える指向性を有しておらず、スクリーン近傍とスクリーン遠方との両方の位置で明るく見えるためには、2つの投射器を用いなければならない。
【0011】
本発明は、例えばスクリーン近傍とスクリーン遠方との両方の位置で明るく見える指向性を有する新規な背面投射用スクリーンを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、投射器から出射された光束を、複数の指向性をもつ光束に偏向する背面投射用スクリーンであって、該スクリーンへの投射光を平行光束化する平行光束化手段と、対面する前記背面投射用スクリーンの前方方向に光線強度がある第2の指向性を得るためのレンズアレイと、対面する前記背面投射用スクリーンで、前記第2の指向性をもつ光束の左右の少なくとも一方の方向に光線強度がある第1の指向性を得るための分光素子とを備えていることを特徴としている。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図19(a),(b)は従来の背面投射用スクリーンの指向性を説明するための図である。なお、図19(a)は背面投射型表示装置の上面図(平面図)であり、図19(b)は背面投射型表示装置の側面図である。図19(a),(b)の背面投射型表示装置は、1つの投射器11と、背面投射用スクリーン10とを備えている。
【0031】
ここで、背面投射用スクリーン10は、投射器(投射レンズ)11からの拡大投影光を平行光束化するフレネルレンズ12と、従来の背面投射用スクリーンの指向性と同様の指向性2を得るためのレンチキュラーレンズ13とにより構成されている。
【0032】
図19(a),(b)からわかるように、従来の背面投射用スクリーンの指向性2は、スクリーンから離れた観客側がスクリーン画像を見やすくなるように設定されており、この場合、スクリーンの近傍にいる者(例えば発表者)は、光線強度が低下しているスクリーンの端からの画像を見ることになり、スクリーン画像が見づらい。
【0033】
本発明は、これを解決するために、図19(a),(b)に示したような従来の背面投射用スクリーンの指向性2に加えて、さらに、従来のスクリーンの指向性2とは異なる方位の指向性をスクリーンにもたせた。
【0034】
この場合、図19(a),(b)に示した従来のスクリーンの指向性2を広げれば、所定の方位(例えばスクリーン近傍)からもスクリーンから離れた位置からも、スクリーン全体を見ることは可能になるが、この場合には、スクリーンゲインが小さくなるためにスクリーン画像は暗く見える。
【0035】
本発明は、必要最小限に指向性を広げて、従来のスクリーンの指向性2とは異なる方位の指向性をスクリーンにもたせ、これにより、例えば、スクリーンから離れた位置からも、所定の方位(例えばスクリーン近傍)からも、良好にスクリーン画像を見ることができ、かつ、スクリーンゲインの低下を最小限に抑えることを意図している。
【0036】
(第1の実施形態)
図1(a),(b)は本発明の第1の実施形態を説明するための図である。なお、図1(a)は背面投射型表示装置の上面図、図1(b)は背面投射型表示装置の側面図である。図1(a),(b)を参照すると、第1の実施形態の背面投射型表示装置は、1つの投射器11と、背面投射用スクリーン101とを備え、前記背面投射用スクリーン101は、1つの投射器11から出射された光束を、複数の指向性をもつ光束に偏向するようになっている。
【0037】
なお、図1(a),(b)の例では、背面投射用スクリーン101は、投射器(投射レンズ)11からの拡大投影光を平行光束化するフレネルレンズ12と、従来の背面投射用スクリーンの指向性と同様の指向性2を得るためのレンチキュラーレンズ13と、従来の背面投射用スクリーンの指向性とは異なる指向性1a,1bを得るための分光素子14とにより構成されている場合が示されている。
【0038】
図1(a),(b)の例のスクリーンにおいて、指向性2は、上述したように、従来のスクリーンと同様の指向性であり、スクリーンから離れて位置する観客が見やすいように、水平方向には所定範囲で所定の大きさの光線強度をもち、また、鉛直方向は水平方向に比べて指向性の制限を厳しくとっている。この指向性2に追加された指向性1a,1bが、本発明においてスクリーンに新たに付加された指向性であって、所定の方位に光線強度を有する指向性(配向分布)となっている。すなわち、図1(a),(b)の例では、指向性1a,1bはスクリーンの左右への斜め方向にも光線強度を有する指向性(配向分布)となっている。
【0039】
また、図1(a),(b)のスクリーンにおいて、分光素子14としては、例えば回折格子を用いることができる。一例として、表面レリーフ型回折格子を用いれば、格子の溝がスクリーンの表面に対して鉛直方向に沿って刻まれていることから、レンチキュラーレンズ13からの光を0次光,±1次光に分光させることができる。なお、分光素子14が回折格子であるとき、回折格子14はフレネルレンズ12とレンチキュラーレンズ13の間に配置しても良い。
【0040】
また、図1(a),(b)では、指向性2のさらに左右に、複数の指向性1a,1bが備わった例を示しているが、例えば、指向性1bを無くして、指向性2と指向性1aとだけを有するように、本発明のスクリーンを構成することもできる。さらに、上述の例では、水平方向に指向性を追加させたが、鉛直方向に対して指向性2以外に指向性を追加させても良い(図示せず)。
【0041】
このように、この第1の実施形態の背面投射用スクリーンは、1つの投射器11から出射された光束を、複数の指向性をもつ光束に偏向するので、必要最小限に指向性を広げて、例えば、スクリーンから離れた位置からも、所定の方位(例えばスクリーン近傍の所定位置)からも、良好にスクリーン画像を見ることができ、かつ、スクリーンゲインの低下を最小限に抑えることができる。すなわち、従来のスクリーンの指向性と同様の指向性に加え、それ以外の方向でも良好にスクリーン画像を見ることの可能なスクリーンを提供することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図2(a),(b),(c)は本発明の第2の実施形態を説明するための図である。なお、図2(a)は背面投射型表示装置の正面図、図2(b)は背面投射型表示装置の上面図、図2(c)は背面投射型表示装置の側面図である。
【0043】
この第2の実施形態の背面投射型表示装置は、第1の実施形態の背面投射型表示装置において、背面投射用スクリーン101は、1つの投射器11から出射された光束を、該背面投射用スクリーン101の遠方から該スクリーン101が明るく見える第2の指向性と、該スクリーン101の端に向かうに従って光束の偏向角が大きくなる第1の指向性とをもつ光束に偏向するようになっている。
【0044】
換言すれば、この第2の実施形態の背面投射型表示装置は、第1の実施形態の背面投射型表示装置において、前記背面投射用スクリーン101は、1つの投射器11から出射された光束を、該背面投射用スクリーン101の遠方から該スクリーン101が明るく見える第2の指向性と、該スクリーン101の近傍で該スクリーン101が明るく見える第1の指向性とをもつ光束に偏向するようになっている。ここで、スクリーン近傍とは、概ねスクリーン101からスクリーン101の対角サイズの距離までの範囲を意味している。
【0045】
なお、図2(a),(b),(c)の例では、スクリーン101は、投射器(投射レンズ)11からの拡大投影光を平行光束化させるフレネルレンズ12と、従来の背面投射用スクリーンの指向性と同様の指向性2を得るためのレンチキュラーレンズ13と、指向性1c,1d,1e,1fを得るための分光素子14とにより構成されている場合が示されている。なお、分光素子14としては、回折格子などを用いることができる。
【0046】
図2(a),(b),(c)の例のスクリーン101において、指向性2は、上述したように、従来のスクリーンと同様の指向性であり、スクリーン101から離れて位置する観客が見やすいように、水平方向には所定範囲で所定の大きさの光線強度をもち、また、鉛直方向は水平方向に比べて指向性の制限を厳しくとっている。この指向性2に追加された指向性1c,1d,1e,1fが本発明においてスクリーンに新たに付加された指向性であって、所定の位置にスクリーン101からの光が集まるような指向性(配向分布)となっている。すなわち、図2では、指向性1c,1d,1e,1fはスクリーン101の端に向かうに従って光束の偏向角が大きくなる指向性であり、スクリーン近傍の位置にスクリーン101からの光が集まるような指向性(配向分布)となっている。
【0047】
本発明の背面投射用スクリーン101の指向性について、図2(a),(b),(c)を用いてより詳細に説明する。図2(a),(b),(c)の例では、本発明の背面投射用スクリーン101は2通りの指向性(すなわち、第1の指向性1c,1d,1e,1fと第2の指向性2)を有する。ここで、第1の指向性1c,1d,1e,1fは、スクリーン近傍に光を集める配向分布であって、スクリーンの両端からはスクリーン近傍の内側に向かって指向性を有している。また、第2の指向性2は、従来のスクリーンの指向性と同様に水平方向に大きく広がり鉛直方向には広がりを抑えた配向特性を有している。この際、図2(b),(c)に示すように、第2の指向性2はスクリーンの全域にわたって同様の指向性となっている。これに対し、第1の指向性1c,1d,1e,1fは、スクリーンの端に向かうに従って光束の偏向角が大きくなっている。具体的に、図2(a),(b),(c)の例では、スクリーンの場所ごとで指向性をみると、スクリーンの右端では従来の第2の指向性2とスクリーン近傍の所定位置に光を集めるための第1の指向性1d,1fが兼ね備わる。スクリーンの中央付近に近づくほど第1の指向性1d,1fは無くなり、スクリーン左側では第2の指向性2に加えて第1の指向性1c,1eを兼ね備える。なお、図2(a),(b),(c)の例では、第1の指向性は、スクリーン近傍で、かつ、スクリーン中央からの法線上に位置する領域に光を集める指向性であるが、スクリーン中央にこだわる必要は無い。また、スクリーン近傍の複数の所定位置に光を配分させる配向特性(指向性)であっても良い。
【0048】
このような複数の指向性が複合されていると、スクリーンの近くでも、スクリーンから離れた位置からでも、スクリーン全域の画像を良好に見ることができる。特に注目すべきは、スクリーンの端の配向特性(指向性)で、従来の配向特性(指向性)ではスクリーン近傍には端部からの光はほとんど届かずに非常に暗くなっている。従来の指向性をさらに広げればスクリーン端部からスクリーン近傍に光が届くことになるが、広範囲に光を広げるためスクリーンの画像は暗くなってしまう(スクリーンのゲインが小さくなる)。
【0049】
このように、この第2の実施形態では、第1の実施形態の背面投射型表示装置において、前記背面投射用スクリーンは、1つの投射器から出射された光束を、該背面投射用スクリーンの遠方から該スクリーンが明るく見える第2の指向性と、該スクリーンの端に向かうに従って光束の偏向角が大きくなる第1の指向性とをもつ光束に偏向するので、従来の指向性に加えて複数の所定の位置に光が集まるような指向性をスクリーンに付加することができる。
【0050】
換言すれば、第2の実施形態では、第1の実施形態の背面投射型表示装置において、前記背面投射用スクリーンは、1つの投射器から出射された光束を、該背面投射用スクリーンの遠方から該スクリーンが明るく見える第2の指向性と、該スクリーンの近傍で該スクリーンが明るく見える第1の指向性とをもつ光束に偏向するので、スクリーンを遠くから(離れて)見る観測者(観客)とスクリーン近傍に位置する者(例えば発表者)との両方に、良好なスクリーン表示を提供できる。
【0051】
なお、スクリーンが完全拡散するタイプのスクリーンである場合にも、スクリーンの遠方のみならずスクリーン近傍からもスクリーン画像を見ることは可能であるが、この場合には、必要以上に指向性を広げるためスクリーンゲインが大変小さくなり、スクリーンは暗く見えてしまう。すなわち、見づらいものとなってしまう。これに対し、本発明では、指向性を広げるのを必要最小限にとどめるために、スクリーンを必要以上に暗くすることなく、スクリーンを明るく表示させることができる。
【0052】
このように、第2の実施形態では、従来のスクリーンの指向性と同様の指向性に加えて、特定のスクリーン近傍位置でも、良好にスクリーン画像が見られ、かつ、この場合でも、ゲインの低下を抑えることができる。
【0053】
次に、本発明の背面投射用スクリーンのより具体的な構成例について説明する。
【0054】
図3(a),(b)は本発明の背面投射用スクリーンの第1の構成例を示す図である。この第1の構成例の背面投射用スクリーンは、1つの投射器(投射レンズ)11からの投射光(スクリーンへの投射光)を平行光束化する平行光束化手段(例えばフレネルレンズ)12と、空間的に領域分割された複合機能素子20とを備えている。
【0055】
図3(b)には、観客側からスクリーンを見た場合の空間的に領域分割された複合機能素子20の一例(正面図)が示されている。図3(b)の例では、空間的に領域分割された複合機能素子20は、レンチキュラーレンズ領域21とフレネルレンズ領域22との領域分割レンズによって構成されている。ここで、レンチキュラーレンズ領域21は、例えば、従来のスクリーンと同様の第2の指向性2を与える機能を有し、また、フレネルレンズ領域22は、例えば図2における指向性1c,1d,1e,1fを与える機能を有している。すなわち、フレネルレンズ領域22は、特定の領域に、具体的にはスクリーン近傍に、光を集める指向性を与える機能を有している。
【0056】
このように、図3(a),(b)に示す第1の構成例の背面投射用スクリーンでは、従来のスクリーンの指向性2と同様の指向性に加えて、所定方位(例えば特定のスクリーン近傍位置)でも、良好にスクリーン画像が見え、かつ、ゲインの低下を抑えることができ、また、空間的に領域分割された複合機能素子20の領域分割比で複数の指向性の光量配分比を変えることができる。
【0057】
なお、スクリーン中央付近からの指向性はレンチキュラーレンズ領域21で配向される光で対応できるため、図4に示すように、領域分割レンズ20のフレネルレンズ領域22はスクリーンの周辺に主に作製されていれば良く、フレネルレンズ領域22はスクリーン中央付近23には必ずしも作製される必要は無い。
【0058】
図5は本発明の背面投射用スクリーンの第2の構成例を示す図である。この第2の構成例の背面投射用スクリーンは、1つの投射器(投射レンズ)11からの投射光を平行光束化する平行光束化手段(例えばフレネルレンズ)12とレンズアレイ(例えばレンチキュラーレンズ)13との間に、正の屈折パワーをもつ光学素子(例えば凸レンズの機能をもつ光学素子)19が設けられている。図5の例では、正の屈折パワーをもつ光学素子19は、レンチキュラーレンズ13の裏面に形成されているフレネルゾーンプレートとなっている。
【0059】
なお、図5の構成例において、フレネルレンズ12,レンチキュラーレンズ13,フレネルゾーンプレート19の順になるように、レンチキュラーレンズ13の表裏は図5と逆転していても構わない。
【0060】
ここで、レンチキュラーレンズ13は、例えば、従来のスクリーンと同様の第2の指向性2を与え(すなわち、水平方向にスクリーンからの光を広げる指向性2を与え)、また、フレネルゾーンプレート19は、図2(a),(b),(c)に示した第1の指向性1c,1d,1e,1fと同様の指向性を与える機能(すなわち、スクリーン近傍の所定位置に光を集める機能)を有している。
【0061】
また、スクリーン中央付近からの指向性はレンチキュラーレンズ13で配向される光で対応できるため、図4で示した例の場合と同様に、フレネルゾーンプレート19は、スクリーンの周辺のみに形成されていても良い。
【0062】
この第2の構成例(特に、図5の例)では、レンチキュラーレンズ13の裏面にフレネルゾーンプレート19を配置するだけで良いので(すなわち、フレネルゾーンプレート19をレンチキュラーレンズ13に貼り合わせるだけで良いので)、作製が容易となる。すなわち、この第2の構成例では、従来のスクリーンの指向性と同様の指向性に加えて所定方位または特定のスクリーン近傍位置でも、良好にスクリーン画像が見え、かつ、ゲインの低下を抑えることができ、さらに、作製が容易となる。
【0063】
図6は本発明の背面投射用スクリーンの第3の構成例を示す図である。この第3の構成例の背面投射用スクリーンは、1つの投射器(投射レンズ)11からの投射光を平行光束化する平行光束化手段(例えばフレネルレンズ)12と、光束の偏光状態を制御する偏光制御手段15と、所定の偏光状態の光束を偏向する偏光依存性回折格子17と、レンズアレイ(例えばレンチキュラーレンズ)13とを備えている。
【0064】
ここで、フレネルレンズ12とレンチキュラーレンズ13は、前述したと同様の機能を有している。
【0065】
また、偏光制御手段15には、例えば位相差板(手動で回す操作をすることで、光束の偏光状態を変えることの可能な手段)を用いることができ、この場合、位相差板には、ポリカーボネイトのような複屈折材料を利用することができる。
【0066】
また、偏光依存性回折格子17には、例えば体積ホログラムを用いることができる。この偏光依存性回折格子17は、例えば図7に示すような二光束干渉露光光学系で作製することができる。すなわち、図7のような露光光学系を用いることによって、スクリーン近傍に光を集める機能をもつ偏光依存性回折格子(例えば図2(a),(b),(c)のような指向性1c,1d,1e,1fをスクリーンにもたせる偏光依存性回折格子)17を作製することができる。
【0067】
なお、図7において、17は感光材料を塗布した基板である。フレネルレンズ12、レンチキュラーレンズ13、基板17、ミラーM1,M2、ハーフミラーHMで露光光学系を組む。ここで、フレネルレンズ12へのレーザ光は、実際の投射レンズからの光の角度とほぼ一致するようにレンズなどで広げる。一方、基板17へのレーザ光はスクリーン近傍へ光を集める指向性に合うような照射角となるようにレンズで広げる。そして、ミラーM1,M2からの2光束(レーザ光)によって感光材料を露光し(干渉縞を形成し)、回折格子を作製することができる。なお、必要に応じて波長の異なるレーザ光を使って多重露光をしても良い。レーザ光の偏光方向が例えば紙面に垂直である場合、図6において偏光制御手段15からの光のうち紙面に垂直な偏光成分のみがスクリーン近傍に光を集める指向性を有することになる。
【0068】
スクリーン近傍の複数の位置に光を集める場合には、図7のミラーM2側のビームを複数本に分光してから基板17に所定の角度でレーザ光を入射させる。さらに、図1に示すような第2の指向性2をもたせるためには、図7のミラーM2からのビームを必要なビーム数に分光し、ミラーM2の直後のレンズをビームエキスパンダに換えて、所定の角度で基板17に入射させる必要がある。
【0069】
また、図8は図6に示した背面投射用スクリーンの変形例を示す図である。図8の例は、フレネルレンズ12とレンチキュラーレンズ13との間に、偏光制御手段15と偏光依存性回折格子16が配置されている。この偏光依存性回折格子16を作製する露光光学系では、フレネルレンズ12の左側のレンズをビームエキスパンダに置き換えて、ビーム径を大きくした平行光とする(図示せず)。
【0070】
図6,図8のいずれの例の場合でも、偏光制御手段15の制御によって(例えば、位相差板を回転させることによって)、偏光依存性回折格子16,17へ入射する偏光状態を変えることができる。例えば、鉛直方向と水平方向の成分を所望の比率になる様に楕円偏光または直線偏光の傾きを変えることができる。これにより、偏光依存性回折格子16,17の回折効率が変わり、複数の指向性の光量配分を調整することが可能となる。
【0071】
このように、この第3の構成例では、背面投射用スクリーンへの投射光を平行光束化する平行光束化手段(例えばフレネルレンズ)と、光束の偏光状態を制御する偏光制御手段と、所定の偏光状態の光束を偏向する偏光依存性回折格子と、レンズアレイ(例えばレンチキュラーレンズ)とを備えているので、従来のスクリーンの指向性2と同様の指向性に加えて、所定方位(例えばスクリーン近傍位置)でも、良好にスクリーン画像が見え、かつ、ゲインの低下を抑えることができ、さらに、偏光制御手段(例えば位相差板)によって、複数の指向性の光量配分比を任意に変えることができる。
【0072】
図9は本発明の背面投射用スクリーンの第4の構成例を示す図である。この第4の構成例の背面投射用スクリーンは、1つの投射器(投射レンズ)11からの投射光を平行光束化する平行光束化手段(例えばフレネルレンズ)12と、光束の偏光状態を制御する偏光制御手段15と、互いに異なる偏光状態の光束を、それぞれ異なる指向性をもつ光束に偏向する複数の偏光依存性回折格子とを備えている。
【0073】
ここで、フレネルレンズ12は、投射レンズ11からの投射光を平行光束化する機能を有している。
【0074】
また、偏光制御手段15には、例えば位相差板(手動で回す操作をすることで、光束の偏光状態を変えることの可能な手段)を用いることができ、この場合、位相差板には、ポリカーボネイトのような複屈折材料を利用することができる。
【0075】
また、図9の例では、複数の偏光依存性回折格子は、第1の偏光依存性回折格子16と、第2の偏光依存性回折格子17とで構成されている。
【0076】
図9の構成例では、フレネルレンズ12からの光の偏光状態を偏光制御手段15によって変えることができる。例えば、鉛直方向と水平方向の成分が所望の比率になる様に楕円偏光または直線偏光の傾きを変えることができる。そして、第1の偏光依存性回折格子16によって鉛直方向の偏光成分のみを回折させ、第2の偏光依存性回折格子17によって水平方向の偏光成分のみを回折させる。
【0077】
例えば、スクリーンの複数の指向性として、図2(a),(b),(c)に示すような指向性のものにするならば、各偏光依存性回折格子16,17は、第1の指向性1c,1d,1e,1fと、第2の指向性2とを、それぞれ与えるように、露光光学系を組むことによって作製することができる。
【0078】
図9の構成例では、偏光制御手段15によって偏光状態を変えることによって、指向性2とその他の指向性との光量配分を所望の比率にすることができる。偏光依存性は、水平・鉛直に限定されることは無い。望ましくは、回折格子16,17の偏光依存性方向が直交しているのが好ましい。すなわち、回折格子16,17の偏光依存性方向が直交していれば、第1の偏光依存性回折格子16で回折された指向性の光は、第2の偏光依存性回折格子17では回折を受けずにそのまま透過するため、両者の指向性は独立に作用させることができる。
【0079】
このように、この第4の構成例では、背面投射用スクリーンへの投射光を平行光束化する平行光束化手段(例えばフレネルレンズ)と、光束の偏光状態を制御する偏光制御手段と、偏光制御手段からの互いに異なる偏光状態の光束を、それぞれ異なる指向性をもつ光束に偏向する複数の(例えば2組の)偏光依存性回折格子とを備えているので、従来のスクリーンの指向性2と同様の指向性に加えて所定の方位(例えばスクリーン近傍位置)からでも、良好にスクリーン画像が見え、かつ、ゲインの低下を抑えることができ、複数の指向性の光量配分比を任意に変えることができる。さらに、回折格子16,17の偏光依存性方向を直交させることにより、複数の指向性の間でクロストークをなくすことができる。
【0080】
なお、図9の構成例において、偏光制御手段(例えば位相差板)15を省略することもできる。すなわち、偏光制御手段(例えば位相差板)15を省略するときには、偏光依存性回折格子16,17の偏光依存方向によって2つの指向性をスクリーンにもたせることが可能である。例えば、投射レンズ11からの光が鉛直方向(または水平方向)に偏光が揃っているとする。フレネルレンズ12の後に偏光依存性回折格子16,17を配置するが、回折格子16の偏光依存は鉛直方向(水平方向)から所定の角度(例えば45°)だけ傾いた偏光に対して光を回折させ、さらに、回折格子17の偏光依存はさらに90°回転した偏光を回折させるように、偏光依存性回折格子16,17を配置することができる。この場合、偏光依存性回折格子16,17の設計次第で、2通りの指向性の光量配分ができる。
【0081】
図10は本発明の背面投射用スクリーンの第5の構成例を示す図である。この第5の構成例の背面投射用スクリーンは、図6または図8または図9の構成例の背面投射用スクリーンにおいて、偏光制御手段15が、液晶素子となっている。
【0082】
ここで、液晶素子15としては、例えば、ネマチック液晶や強誘電性液晶などを用いることができる。ネマチック液晶を用いれば、位相量を電圧で無段階に調整できる位相差板として機能させることがでる。このため、液晶素子15への印加電圧(図10の駆動手段18からの印加電圧)を調整することによって、複数の指向性の光量配分比を任意に調整することができる。この際、液晶素子15への印加電圧をスイッチングすることで(例えば、液晶素子15として、2つの配向方向をスイッチングできる強誘電性液晶を使用し、液晶素子15への印加電圧をスイッチングすることで)、スクリーン近傍や所定の角度で見やすくなる第1の指向性と、スクリーンから離れた観客が見やすい第2の指向性とを、時分割で高速に切り替えることも可能になる。
【0083】
このように、第5の構成例では、図6または図8または図9の背面投射用スクリーンにおいて、偏光制御手段15が液晶素子であるので、所定の方位(例えばスクリーン近傍)からでも、また、スクリーンから離れた場所でも、良好なスクリーン画像が見え、かつ、スクリーンゲインの低下を抑えることができるという効果に加えて、スクリーンの構成部材(前述した構成例では、例えば、位相差板)を物理的に移動(回転)させたりすることなく、印加電圧の大きさを調整するだけで、複数の指向性の光量配分比を任意に変えることができる。すなわち、従来のスクリーンの指向性と同様の指向性に加えて特定のスクリーン近傍位置でも良好にスクリーン画像が見え、かつ、ゲインの低下を抑えることができることに加えて、位相差板などの素子を物理的に移動回転させたりすることなく、複数の指向性の光量配分比を任意に変えることができる。さらに、偏光制御手段15が液晶素子であるときには、複数の指向性を時分割で高速に切り替えることも可能になる。
【0084】
図11は本発明の背面投射用スクリーンの第6の構成例を示す図である。この第6の構成例の背面投射用スクリーンは、表面レリーフ構造の基板を用いた屈折率制御手段と、レンズアレイ(例えばレンチキュラーレンズ)とを少なくとも備えていることを特徴としている。
【0085】
図11の例では、背面投射用スクリーンは、フレネルレンズ12と、表面レリーフ構造の基板を用いた液晶素子30と、レンチキュラーレンズ13とで構成されている。
【0086】
ここで、図11の例では、表面レリーフ構造の基板として、フレネルレンズ基板31を用いている。また、図11の例では、液晶素子30は、フレネルレンズ基板31と平行基板33との間に、液晶32が封入されて構成されている。液晶32の液晶分子は、駆動手段18からの印加電圧のスイッチングによって、紙面内上下方向と紙面に垂直(または特定の角度)方向との2通りの配向状態を切り替えることができる。さらに、液晶32の常光屈折率noはフレネルレンズ基板31の屈折率n1と同じであることが最良であるが、noとn1の差、および、液晶32の異常光屈折率neと平行基板33の屈折率n2の差は、ともに、ne−noの値よりも小さくすることが望ましい。
【0087】
図11の構成例では、投射レンズ11からの投射光は、フレネルレンズ12で平行光束化されて液晶素子30に入射する。この時の偏光状態を紙面に垂直な振動方向とする。液晶32は、紙面に平行な配向状態の時には、フレネルレンズ基板31と液晶層32との屈折率差は非常に小さくなり、この場合には、フレネルレンズ基板31のレンズ効果は低いため、スクリーンへの入射光は、略平行光を保ってレンチキュラーレンズ13に入射し、これにより、スクリーンから離れて良好に見える第2の指向性が得られる。
【0088】
次に、液晶32が紙面と非平行な配向状態にスイッチングされると、紙面に垂直な偏光の光は、フレネルレンズ基板31と液晶32との屈折率差を感じるため、液晶素子30はフレネルレンズとしてはたらく。このためスクリーン近傍に光を集める第1の指向性が得られる。
【0089】
なお、表面レリーフ構造の基板としては、図18に示すような基板でも良い。図18の基板では、基板の溝深さと、基板屈折率と液晶の異常光屈折率との差を調整することによって、液晶素子30からの光が0次光,±1次光などに分光する。分光したときの回折角は基板の凹凸のピッチに依存する。この構成の場合には、スクリーンから複数の所定の角度に指向性を持たせることができる。
【0090】
このように、第6の構成例では、表面レリーフ構造の基板を用いた液晶素子を用いることにより、第5の構成例と同様の効果を得ることができる。すなわち、所定の方位(例えばスクリーンの近傍)からでも、また、スクリーンから離れた場所でも、良好なスクリーン画像が見え、かつ、スクリーンゲインの低下を抑えることができるという効果に加えて、スクリーンの構成部材(前述した構成例では、例えば、位相差板)を物理的に移動(回転)させたりすることなく、印加電圧の大きさを調整するだけで、複数の指向性の光量配分比を任意に変えることができる。すなわち、従来のスクリーンの指向性2と同様の指向性に加えて特定の方位(例えばスクリーン近傍位置)からでも良好にスクリーン画像が見え、かつ、ゲインの低下を抑えることができることに加えて、位相差板などの素子を物理的に移動回転させたりすることなく、複数の指向性の光量配分比を任意に変えることができる。さらに、液晶素子30が用いられていることによって、スクリーン近傍や所定の角度で見やすくなる第1の指向性と、スクリーンから離れた観客が見やすい第2の指向性とを、時分割で高速に切り替えることも可能になる。換言すれば、スクリーンの指向性を時間的に切り替えることができる。具体的に、液晶が紙面に平行な配向状態を保てば、スクリーンから離れて良好に見える指向性を維持することができる。また、スクリーン近傍でも見やすくさせたい時に液晶素子30を駆動させれば、必要な時にのみ複数の指向性が得ることができる。すなわち、必要なときのみ特定の位置(例えばスクリーン近傍)にも指向性を与え、それ以外は従来の指向性のみにしてゲインの低下を最小限に抑えることができる。このように、第6の構成例では、複数の指向性の光量配分比と指向性のスイッチングを任意に設定することが可能で、構成部品点数を減らすことができる。
【0091】
図12は本発明の背面投射用スクリーンの第7の構成例を示す図である。この第7の構成例の背面投射用スクリーンは、表面レリーフ構造の基板を用いた屈折率制御手段と、レンチキュラーレンズ基板を用いた屈折率制御手段とを少なくとも備えていることを特徴としている。
【0092】
図12の例では、背面投射用スクリーンは、フレネルレンズ12と、表面レリーフ構造の基板31を用いた液晶素子30と、レンチキュラーレンズ基板51を用いた液晶素子50とで構成されている。
【0093】
図12の例では、表面レリーフ構造の基板31として、フレネルレンズ基板を用いている。なお、表面レリーフ構造の基板31としてフレネルレンズ基板の代わりに、図18に示す基板を用いても良い。この場合、基板の溝深さと、基板屈折率と液晶の異常光屈折率との差を調整することによって、液晶素子30からの光が0次光,±1次光などに分光する。分光したときの回折角は基板の凹凸のピッチに依存する。この構成の場合には、スクリーンから複数の所定の角度に指向性を持たせることができる。
【0094】
また、レンチキュラーレンズ基板51を用いた液晶素子50は、レンチキュラーレンズ基板51と平行基板53との間に液晶52が封入されたものとなっている。
【0095】
図12の構成例において、フレネルレンズ基板31とレンチキュラーレンズ基板51の屈折率をともにn1とし、平行基板33,53の屈折率をともにn2とするときに、液晶32,52の常光屈折率noがほぼn1と等しく、かつ、異常光屈折率neがn2とほぼ等しくなるように組み合わせる。noとn1の差、および、neとn2の差は、ともに、ne−noの値よりも小さくすることが望ましい。
【0096】
図12の構成例において、2つの液晶素子30,50の動作を図13,図14を用いて説明する。スイッチングによって、液晶32を紙面に平行な配向状態にし、液晶52を紙面に垂直な配向状態にする。このとき、フレネルレンズ12で略平行にされた光が紙面に垂直な偏光とすると、図13に示すように、液晶素子30では、フレネルレンズ基板31の屈折率と液晶層の屈折率がほぼ等しいため、光は偏向されずに透過する。一方、液晶素子50では、レンチキュラーレンズ基板51と液晶層との屈折率差があるために、レンチキュラーレンズを通過した光と同様に光は広がる。この状態がスクリーンから離れて良好に見える第2の指向性である。
【0097】
次に、図14に示すように、液晶32の配向状態を紙面に垂直に、かつ、液晶52の配向状態を紙面に平行な状態にスイッチングさせる。この場合には、フレネルレンズ基板31と液晶32との屈折率差が生じて、液晶素子30はフレネルレンズとして機能する。一方、液晶素子50では、レンチキュラーレンズ基板51と液晶52との屈折率がほぼ等しいため、光は偏向されずに透過する。従って、スクリーン近傍で良好に見える指向性が得られる。基板31が図18に示す基板であれば、スクリーンから複数の所定方位に対して良好に見える指向性となる。
【0098】
このように、第7の構成例では、表面レリーフ構造の基板を用いた液晶素子とレンチキュラーレンズを用いた液晶素子とを、各々、液晶の配向状態を切り替えることで、従来のスクリーンの指向性と同様の第2の指向性と本発明において付加された第1の指向性とをスイッチングすることができ、液晶素子の駆動時間を調整することによって、第1の指向性と第2の指向性の光量配分比を任意に変えることができる。
【0099】
図15は本発明の背面投射用スクリーンの第8の構成例を示す図である。この第8の構成例の背面投射用スクリーンは、表面レリーフ構造の基板とレンチキュラーレンズ基板とを用いた屈折率制御手段を少なくとも備えていることを特徴としている。
【0100】
図15の例では、背面投射用スクリーンは、フレネルレンズ12と、表面レリーフ構造の基板61とレンチキュラーレンズ基板63との間に液晶62が封入された液晶素子60とで構成されている。
【0101】
図15の例では、表面レリーフ構造の基板61として、フレネルレンズ基板を用いている。なお、表面レリーフ構造の基板61としてフレネルレンズ基板の代わりに、図18に示す基板を用いても良い。この場合、基板の溝深さと、基板屈折率と液晶の異常光屈折率との差を調整することによって、液晶素子60からの光が0次光,±1次光などに分光する。分光したときの回折角は基板の凹凸のピッチに依存する。この構成の場合には、スクリーンから複数の所定の角度に指向性を持たせることができる。
【0102】
フレネルレンズ基板61の屈折率をn1とし、レンチキュラーレンズ基板63の屈折率をn2とするときに、液晶62の常光屈折率noがn1にほぼ等しく、異常光屈折率neはn2にほぼ等しくなるように組み合わせる。noとn1の差、および、neとn2の差は、ともに、ne−noの値より小さくすることが望ましい。
【0103】
図15の構成の背面投射用スクリーンの動作を図16,図17を用いて説明する。フレネルレンズ12で略平行になった光の偏光が紙面に垂直であるとすると、図16に示すように、液晶を紙面に平行に配向させる。この場合、フレネルレンズ基板61と液晶層62との屈折率がほぼ等しいため、フレネルレンズ基板61と液晶層62との界面ではレンズ効果がなく、光は直進する。一方、液晶62とレンチキュラーレンズ基板63とは屈折率差が生じるため、レンチキュラーレンズの効果によって光は拡散する。この状態の時、スクリーンから離れた位置で良好に見える第2の指向性2が得られる。
【0104】
次に、スイッチングによって、液晶を図17に示すように、紙面に垂直な状態にすると、フレネルレンズ基板61と液晶62との屈折率差が生じるため、フレネルレンズ効果で光は偏向される。一方、液晶62とレンチキュラーレンズ基板63とは、屈折率がほぼ等しいため、レンチキュラーレンズとして機能しない。従って、液晶素子60は、この場合、フレネルレンズとして作用し、スクリーン近傍に光を集める第1の指向性が得られる。
【0105】
このように、第8の構成例では、表面レリーフ構造の基板とレンチキュラーレンズ基板とで液晶を挟んだ液晶素子を用いることによって、液晶のスイッチングでスクリーンに2通りの指向性を持たせることができる。そして、この第8の構成例(図15の構成例)では、第7の構成例(図12の構成例)に比べて、部品点数が少なく、かつ、液晶素子の駆動は1つなので、低消費電力にできる。
【0106】
また、上述した第1〜第8の構成例のいずれかの背面投射用スクリーンを用いて、背面投射型表示装置を構成することができる。
【0107】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1記載の発明によれば、投射器から出射された光束を、複数の指向性をもつ光束に偏向する背面投射用スクリーンであって、該スクリーンへの投射光を平行光束化する平行光束化手段と、対面する前記背面投射用スクリーンの前方方向に光線強度がある第2の指向性を得るためのレンズアレイと、対面する前記背面投射用スクリーンで、前記第2の指向性をもつ光束の左右の少なくとも一方の方向に光線強度がある第1の指向性を得るための分光素子とを備えており、投射器から出射された光束を、該背面投射用スクリーンの遠方から該スクリーンが明るく見える第2の指向性をもつ光束と、該スクリーンの近傍で該スクリーンが明るく見える第1の指向性をもつ光束とに偏向するので、従来のスクリーンの指向性と同様の指向性に加えて、スクリーン近傍位置でも、良好にスクリーン画像が見られ、かつ、この場合でも、ゲインの低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【図3】本発明の背面投射用スクリーンの第1の構成例を示す図である。
【図4】図3の背面投射用スクリーンの変形例を示す図である。
【図5】本発明の背面投射用スクリーンの第2の構成例を示す図である。
【図6】本発明の背面投射用スクリーンの第3の構成例を示す図である。
【図7】偏光依存性回折格子を作製するための二光束干渉露光光学系を示す図である。
【図8】図6に示した背面投射用スクリーンの変形例を示す図である。
【図9】本発明の背面投射用スクリーンの第4の構成例を示す図である。
【図10】本発明の背面投射用スクリーンの第5の構成例を示す図である。
【図11】本発明の背面投射用スクリーンの第6の構成例を示す図である。
【図12】本発明の背面投射用スクリーンの第7の構成例を示す図である。
【図13】図12の背面投射用スクリーンの動作を説明するための図である。
【図14】図12の背面投射用スクリーンの動作を説明するための図である。
【図15】本発明の背面投射用スクリーンの第8の構成例を示す図である。
【図16】図15の構成の背面投射用スクリーンの動作を説明するための図である。
【図17】図15の構成の背面投射用スクリーンの動作を説明するための図である。
【図18】表面レリーフ構造の基板の一例を示す図である。
【図19】従来の背面投射用スクリーンの指向性を説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1の指向性
2 第2の指向性
11 投射器(投射レンズ)
12 平行光束化手段(フレネルレンズ)
13 レンズアレイ(レンチキュラーレンズ)
14 分光素子
15 偏光制御手段
16,17 偏光依存性回折格子
18 駆動手段
19 フレネルゾーンプレート
20 複合機能素子(領域分割レンズ)
21 レンチキュラーレンズ領域
22 フレネルレンズ領域
30 液晶素子
31 フレネルレンズ基板
32 液晶層
33 平行基板
40 液晶レンズアレイ
50 液晶素子
51 レンチキュラーレンズ基板
52 液晶
53 平行基板
60 液晶素子
61 表面レリーフ構造の基板
62 液晶
63 レンチキュラーレンズ基板
101 背面投射用スクリーン
Claims (1)
- 投射器から出射された光束を、複数の指向性をもつ光束に偏向する背面投射用スクリーンであって、該スクリーンへの投射光を平行光束化する平行光束化手段と、対面する前記背面投射用スクリーンの前方方向に光線強度がある第2の指向性を得るためのレンズアレイと、対面する前記背面投射用スクリーンで、前記第2の指向性をもつ光束の左右の少なくとも一方の方向に光線強度がある第1の指向性を得るための分光素子とを備えていることを特徴とする背面投射用スクリーン。
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