JP3999595B2 - 内燃機関の油圧式始動装置 - Google Patents

内燃機関の油圧式始動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の油圧式始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の始動装置(スタータ)は、一般に、スタータモータ(電動モータ)を備え、スタータモータはイグニション・スイッチ・オンに応じて回転し、オーバーランニングクラッチでピニオンを押して内燃機関のクランク軸に直結されたフライホイールの外周のリングギヤに噛合させ、内燃機関を始動している。
【0003】
しかしながら、電動モータでは内燃機関を目標回転数(アイドル回転数)よりもかなり低い回転数でしか駆動することができず、始動に時間がかかると共に、内燃機関に振動を生じたり、上記したピニオンなどのかみあい機構に騒音を生じさせる不都合があった。
【0004】
そこで、特開2001−82202号公報記載の技術において、油圧モータなどの油圧アクチュエータを用いて内燃機関を始動することが提案されているが、その場合、油圧アクチュエータの作動時間を適正に決定しないと、目標回転数(アイドル回転数)を超えて内燃機関を駆動することとなり、それによって後続するアイドル回転数制御に円滑に推移できないと共に、油圧モータなどの油圧アクチュエータを不要に作動させる恐れがある。その意図から、上記した従来技術にあっては、水温(機関温度)によって油圧アクチュエータの作動時間を決定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、油圧アクチュエータの作動源をアキュムレータに求めるとき、油圧アクチュエータの動作はアキュムレータの状態の影響を受けることから、油圧アクチュエータの作動時間を決定するのに、水温だけでは不十分であった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、油圧アクチュエータからなる油圧式始動装置であって、油圧アクチュエータの作動時間を適正に決定して目標回転数を超えて内燃機関を駆動することがないようにし、よって後続するアイドル回転数制御に円滑に推移できると共に、油圧モータなどのアクチュエータを不要に作動させることがないようにした内燃機関の油圧式始動装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決するために、この発明は請求項1項にあっては、油圧源の作動油を蓄圧するアキュムレータと、前記アキュムレータに油路を介して接続され、作動油を供給されて回転力を発生する油圧アクチュエータと、前記油路に設けられ、前記油路を開閉して前記油圧アクチュエータの動作を制御する制御バルブと、出力軸が前記油圧アクチュエータに接続される内燃機関とを少なくとも備え、前記内燃機関の始動時に前記制御バルブに通電して前記油圧アクチュエータを作動させ、前記回転力で前記内燃機関の出力軸を回転させて始動する内燃機関の油圧式始動装置において、前記内燃機関の状態を検知する内燃機関状態検知手段と、前記アキュムレータの状態を検知するアキュムレータ状態検知手段と、前記検知された内燃機関とアキュムレータの状態に応じて前記制御バルブに通電すべき時間を決定する制御バルブ通電時間決定手段とおよび前記決定された時間、前記制御バルブに通電して前記油圧アクチュエータを作動させる油圧アクチュエータ作動手段とを備える如く構成した。
【0008】
内燃機関とアキュムレータの状態を検知し、検知された状態に応じて制御バルブに通電すべき時間を決定して油圧アクチュエータを作動させる如く構成したので、油圧アクチュエータの作動源をアキュムレータに求めるときも、油圧アクチュエータの作動時間を適正に決定して目標回転数を超えて内燃機関を駆動することがなく、よって後続するアイドル回転数制御に円滑に推移できると共に、油圧モータなどのアクチュエータを不要に作動させることがない。
【0009】
さらに、油圧モータなどの油圧アクチュエータを不要に作動させることがないため、その耐久性を向上させることができる。さらに、電動モータを用いる場合に比して始動時間を短縮できると共に、内燃機関の振動およびかみあい機構の騒音などの不都合を回避することができる。
【0010】
請求項2項にあっては、前記内燃機関状態検知手段によって検知される内燃機関の状態は、前記内燃機関の運転状態に応じて算出される前記内燃機関の始動に必要な仕事量である如く構成した。
【0011】
内燃機関の状態がその運転状態に応じて算出される始動に必要な仕事量である如く構成したので、内燃機関の状態を的確に検知し、それに応じて油圧アクチュエータの作動時間を的確に決定することができ、よって上記した効果を一層良く得ることができる。
【0012】
請求項3項にあっては、前記アキュムレータ状態検知手段は、前記内燃機関の始動前の前記アキュムレータの内圧および前記アキュムレータの油圧容量の少なくともいずれかに基づいて前記アキュムレータの状態を検知するように構成した。
【0013】
内燃機関の始動前のアキュムレータの内圧およびアキュムレータの油圧容量の少なくともいずれか、例えば内圧に基づいてアキュムレータの状態を検知するように構成したので、アクチュエータの状態を的確に検知することができ、よって上記した効果を一層良く得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る内燃機関の油圧式始動装置を説明する。
【0015】
図1はその始動装置を全体的に示す概略図である。
【0016】
図において符合10は、油圧式の始動装置を示す。
【0017】
始動装置10が配置される車両(図示せず)の適宜位置には電動モータ12が配置されると共に、電動モータ12は同様に車両の適宜位置に設置されたバッテリ14に駆動回路16を介して接続される。電動モータ12は油圧ポンプ20に接続され、バッテリ14から駆動回路16を介して通電されると、一定電圧で回転して油圧ポンプ20を駆動する。
【0018】
油圧ポンプ20は駆動されると、リザーバタンク22から油(作動油)を汲み上げて加圧し、油路24に圧送する。油路24はチェックバルブ26を介してアキュムレータ(蓄圧装置)30に接続される。アキュムレータ30は油路24を介して送られた作動油の油圧を蓄圧し、油圧源として機能する。
【0019】
アキュムレータ30は公知のダイヤフラム型からなり、ダイヤフラム30aで画成されたガス室(気体室)30bと油室30cを備える。油路24を介して送られた作動油は、油室30cに導入されて蓄圧される。尚、ガス室30bに充填されるガスとしては窒素ガスを使用する。即ち、アキュムレータ30は、ガス封入したガス室の中に作動油を流入させることで、ガスを圧縮してエネルギを蓄積する。尚、ダイヤフラム30aなどは、アクチュエータの油圧記号を利用して模式的に示す。
【0020】
さらに始動装置10は油圧アクチュエータ、より具体的にはアキシャル型ピストンモータからなる油圧モータ32を備える。油圧モータ32はアキュムレータ(油圧源)30に油路24を介して接続され、作動油を供給されて作動し、回転力を発生する。
【0021】
油路24にはチェックバルブ26の配置位置下流で、油圧モータ32の上流位置には制御バルブ34が設けられ、油路24を開閉して油圧モータ32に油圧を供給あるいは油圧の供給を遮断し、油圧モータ32の作動を制御する。
【0022】
制御バルブ34は図示の如く、ノーマルクローズ型の1方向電磁バルブであり、その電磁ソレノイド34aが消磁される間は図示の位置にあり、油路24を閉鎖して油圧モータ32への作動油(油圧)の供給を遮断すると共に、通電されて励磁されると、電磁ソレノイド34aのプランジャ(図示せず)でそのスプール(図示せず)が押されて図で左方向に移動して油路24を開放し、油圧モータ32に作動油(油圧)を供給して作動させる。
【0023】
油圧モータ32の出力軸にはギヤ36が固定され、ギヤ36はそれより小径の第2のギヤ40に噛合してモータ回転を増速する。第2のギヤ40は飛び込み機構42のワンウエイクラッチ(オーバーランニングクラッチ)の軸にスプライン結合されると共に、その軸の先端にはピニオン44が固定される。
【0024】
図1において、符合50は、内燃機関(図面に「ENG」と示すと共に、以下「エンジン」と略称する)を示す。エンジン50は火花点火式であって、4気筒などの多気筒エンジンであり、図示しない車両上に搭載される。エンジン50は、そのクランク軸52に直結されたフライホイール(図示せず)の外周に取り付けられたリングギヤ54を備える。
【0025】
油圧モータ32が回転すると、その回転力は飛び込み機構42、ピニオン44およびリングギヤ54からなる噛み合い機構を介してエンジン50のクランク軸52に伝えられて回転させ、エンジン50を始動する。クランク軸52は変速機(図に「T/M」と示す)56に接続され、そこでエンジン回転数は変速されて駆動輪(図示せず)に伝達され、車両を走行させる。
【0026】
変速機56は前進4速、後進1速のオーバードライブギヤ付きの有段変速機からなり、L,2,D,N,R,Pの6つのレンジを備える。これらのレンジは運転者のレンジセレクタ(図示せず)の操作によって選択され、選択されたレンジ位置に応じてシフトコントローラ(図示せず)において車速およびスロットル開度に応じてギヤ(変速比)が選択される。
【0027】
ここで、アキュムレータ30のガス室30bには温度センサ(図に「T」と示す)62が配置され、アキュムレータ30のガス室30bの内部の気体(空気)の温度Tに応じた信号を出力すると共に、圧力センサ(図に「P」と示す)64も配置され、アキュムレータ30のガス室30bの内部のガスの圧力(内圧)Pに応じた信号を出力する。
【0028】
温度センサ62と圧力センサ64の出力T,Pは、ECU(電子制御ユニット)66に送られる。ECU66は、CPU,ROM,RAMおよび入出力回路などを備えるマイクロコンピュータからなる。ECU66においてセンサ62,64の出力は、適宜な処理を経た後、RAMに格納される。
【0029】
さらに、イグニション・スイッチ(図示せず)の付近のステアリングコラム(図示せず)にはキースイッチ74が配置され、イグニション・スイッチの位置、即ち、OFF位置(あるいはLOCK位置)、ACC位置、ON位置およびSTART位置の中の運転者によって選択された位置に対応する信号を出力する。
【0030】
また、前記したレンジセレクタの付近にはレンジセレクタセンサ76が設けられ、運転者によって選択されたレンジ位置に応じた信号を出力すると共に、エンジン50のクランク軸52の付近には磁気ピックアップからなるクランク角センサ80が配置され、ピストン判別信号、TDC信号およびTDC信号を細分した所定クランク角度ごとのクランク角度信号を出力する。
【0031】
さらに、エンジン50の冷却水通路(図示せず)の付近には水温センサ82が配置され、エンジン50の水温(より一般的にはエンジン50の温度)TWに応じた信号を出力すると共に、リザーバタンク22の付近には油温センサ84が配置され、作動油の温度に応じた信号を出力する。また車両の適宜位置には外気温センサ86が配置され、外気温TAに応じた信号を出力する。
【0032】
これらセンサの出力もECU66に送られる。ECU66においてはクランク角度信号がカウントされてエンジン回転数NEが算出されてRAMに格納される。残りのセンサ出力も適宜な処理を経てRAMに格納される。
【0033】
ECU66は上記したセンサ出力に基づいて後述するようにアキュムレータ30を蓄圧しながら、制御バルブ34の通電時間を決定して油圧モータ32の作動時間を決定する。またECU66は、圧力センサ64の出力からアクチュエータ30のガス室30bの圧力Pが初期セット圧未満に低下したと判断されるときは、チャージランプ72を点灯すると共に、駆動回路16を介してバッテリ14を電動モータ12に接続して通電し、油圧ポンプ20を駆動する。それによってアキュムレータ30の蓄圧が前記した初期セット圧に戻ると、ECU66は電動モータ12への通電を停止する。
【0034】
図2は、図1に示す始動装置10の動作を示すフロー・チャートである。
【0035】
図示のプログラムは、エンジン50を始動させるべく、運転者によってイグニション・スイッチがON位置まで廻されたとき(あるいは始動装置10が搭載される車両においてアイドルストップされて再始動が要求されたとき)、実行される。
【0036】
以下説明すると、S10においてエンジン50の状態が検知され、検知された状態(運転状態)に応じてエンジン50の始動に必要な必要仕事量Wを算出する。
【0037】
図3はその処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0038】
以下説明すると、S100において、エンジン50の状態(運転状態)、即ち、水温TWに応じてエンジン50の始動に必要な(より具体的には目標エンジン回転数に到達するのに必要な)仕事量Wを算出する。この処理は具体的には、図示の如く、予め実験を通じて求められたテーブルを検出された水温TWから検索することで行う。
【0039】
図3のS100に示すテーブル特性について説明すると、エンジン50の増速に影響する因子としては、エンジンフリクショントルク、エンジン50の気筒内ガス圧縮トルク(各気筒の圧縮力の総和)、慣性力(回転方向慣性モーメントと往復部材の等価慣性モーメントの総和)、およびエンジン50の着火性と着火タイミングなどが存在する。
【0040】
その中、エンジンフリクショントルクについては、エンジン50の機械的なフリクションと潤滑油の粘性抵抗に依存することから、図4に示すように、水温TWから推定することができる。また、残りの着火性と着火タイミングについても、同様に水温TWからほぼ推定することができる。尚、図4でエンジンフリクショントルクは「フクション」、着火性と着火タイミングは「着火性」と示す。
【0041】
またエンジン50の気筒内ガス圧縮トルク(各気筒の圧縮力の総和。図4に「圧縮トルク」と示す))および慣性力(回転方向慣性モーメントと往復部材の等価慣性モーメントの総和)は、同図に示すように水温TWに依存しないので、同図末尾にハッチングで示すように概略、初期値(基準値)として与えれば足る。従って、エンジン50を着火させた後、滑らかにアイドル回転数に移行させることができる目標の回転数まで増速させるべく制御バルブ34のソレノイド34aへの通電時間を算出するには、残りの2つの因子を水温から推測すれば良い。
【0042】
上記から、図4(および図3)に示す如く、エンジン50の始動に必要な仕事量Wを水温TWからテーブル検索して算出すると共に、その仕事量Wを図示の如く、水温TWが上昇するにつれて減少するように設定した。
【0043】
図2フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS12に進み、ソレノイド通電時間Tcを算出する。
【0044】
図5はその処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0045】
以下説明すると、S200においてアキュムレータ劣化度合い判定値Cから値Coを算出する。
【0046】
ここで、同図の説明を続ける前に、アキュムレータ30の劣化度合いの判定(即ち、アキュムレータ30の状態の検知)について説明する。
【0047】
図6はその処理を示すフロー・チャートである。
【0048】
以下説明すると、エンジン始動直後(あるいは再始動要求としてイグニション・スイッチがON位置まで廻されると)S300において駆動回路16を介して電動モータ12に通電して油圧ポンプ20を作動させ、アキュムレータ30への作動油の供給(蓄圧)を開始し、S302に進んでアキュムレータ30の温度T1を計測し、計測温度T1をアキュムレータ温度Tとし、S304に進んで蓄圧動作によってアキュムレータ30のガス室30bの圧力Pが所定油圧P1に上昇するまでの時間t1を計測し、計測時間t1を蓄圧時間tとする。
【0049】
図7は、アキュムレータ30のガス温度Tが一定とした場合のPV特性線図を示すグラフ図である。一定出力の電動モータ12で油圧ポンプ20を駆動してアキュムレータ30を蓄圧する場合、アキュムレータ30のガス圧が減少すると、充填可能な作動油の圧力も低下することから、チャージに要する時間が短くなる。
【0050】
これは、同一容量のアキュムレータの場合、ガス圧が少ないと、同一圧力で比較するとき、蓄圧できる仕事量が小さくなるためである。この原理を利用すれば、蓄圧時間t(計測値t1)とアキュムレータ温度Tから、蓄圧容積(容量)V1(図7に示す)を特定することができ、その蓄圧容積V1から図示のPV特性、換言すれば、アキュムレータ30の劣化度合い(ガス漏れ度合い)を推定することができる。
【0051】
この実施の形態に係る始動装置は、エンジン50の状態(運転状態)を示す水温TWに基づいてエンジン50の始動に必要な仕事量を算出すると共に、図7の上部に示す理想気体の状態式に基づいてアキュムレータ30の劣化状態を検知(推定)し、それらに基づいて制御バルブ34のソレノイド34aの通電時間を算出するようにした。
【0052】
図6の説明に戻ると、次いでS306に進み、予め実験を通じて求めたテーブル(特性の図示省略)を利用して蓄圧時間t(計測値t1)から蓄圧容積V1を推定し、推定した蓄圧容積V1とアキュムレータ温度計測値T1と所定圧力P1から、図7の上部に示す、理想気体の状態式のC(ガス定数相当値。アキュムレータ劣化度合い判定値)を算出する。尚、図7の上部に示す式で、n1は蓄圧時のポリトロープ指数であり、現在圧力P1と蓄圧時間tから決定される定数である。
【0053】
図6フロー・チャートにおいては、このようにして蓄圧時のアキュムレータ30の状態(より正確にはアキュムレータ30のガスの状態(劣化度合い)が検知される。
【0054】
図5フロー・チャートに戻って説明すると、アキュムレータ30のガス室30bの蓄圧時のガスの状態式を(1)とし、開放時のそれを(2)とすると、PおよびTが同一とすれば、両式は等しくなって開放時の定数Coは数1に示すように表すことができる。
【0055】
【数1】
Figure 0003999595
【0056】
前記したように、Cはアキュムレータの劣化度合い判定値であることから、数1に示すCoは、アキュムレータ30の劣化の度合いに応じて変化し、従ってCoはアキュムレータ30の劣化補正を示すパラメータとなる。
【0057】
次いでS202に進んでアキュムレータ温度(より正確にはガス室30bの温度)を再び測定して測定値T2をアキュムレータ温度Tとし、S204に進んで先に算出したアキュムレータ劣化補正パラメータCoを測定した温度T(即ち、T2)で数2に示すように補正してPV特性を算出(推定)する。
【0058】
【数2】
Figure 0003999595
【0059】
図8は、アキュムレータ30の劣化度合いを一定とした場合の、ガス室30bのガスの温度Tが変化したときの、PV特性線図を示すグラフ図である。図示の如く、アキュムレータ30のPV特性は、温度Tによっても変化する。そこで、測定した温度T2によって開放時のPV特性を算出(推定する)ようにした。PV特性の算出は、具体的には、図8において測定した温度T2によって例えば符号aで示すような特性を得ることを意味する。尚、図8の上部に示す理想気体の状態式は、アキュムレータ30の開放時の状態式であり、式中のn2は開放時のポリトロープ指数(定数)である。
【0060】
次いでS206に進み、ガス室30bの圧力を再度測定して測定値P2を圧力Pとする。次いでS208に進み、先に算出した仕事量Wと、検出された水温TWと、測定された温度T2よりアキュムレータ30の仕事量Waを算出し、S210に進み、算出されたアキュムレータ仕事量Waとなるようなガス室容積V3を算出する。
【0061】
これについて説明すると、S204の処理によってPV特性としてS310に符号aで図示するような特性が得られたとすると、図示の特性とS206で測定された圧力P2からガス室容積V2を求めることができる。
【0062】
アキュムレータ仕事量Waは、始動に必要な仕事量Wに流量抵抗損失仕事(水温TWと測定温度T2から推定)を加算した値を意味することから、アキュムレータ仕事量Waは、数3のように求めることができる。式中、α:定数、η:油圧モータ32の効率(全効率)である。
【0063】
【数3】
Figure 0003999595
【0064】
数2から、Tが決まれば、圧力Pは数4のように、ガス室容積の関数として表すことができる。尚、β:定数である。
【0065】
【数4】
Figure 0003999595
【0066】
よって、アキュムレータ仕事量Waは数5のように算出することができ、さらに数6のように容積の関数として求めることができる。
【0067】
【数5】
Figure 0003999595
【0068】
【数6】
Figure 0003999595
【0069】
以上の如くして、ガス室容積V3を算出してS212に進み、水温TWと測定したアキュムレータ温度T2から、ガス室容積がV2からV3となるまでの(換言すればその容積分吐出されるまでの)時間tを算出し、算出した時間tを制御バルブ34のソレノイド34aの通電時間Tcとする。尚、時間tの算出は、適宜なマップを予め用意して算出しても良く、あるいは演算によっても良い。
【0070】
図2フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS14に進み、ソレノイドON、即ち、制御バルブ34のソレノイド34aに通電(励磁)すると共に、タイマtm(アップカウンタ)をスタートさせて時間計測を開始する。
【0071】
次いでS16に進み、タイマ値tmが算出されたTc以上となったか否か判断し、否定されるときはS16に戻ると共に、肯定されるときはS18に進み、ソレノイドOFF、即ち、制御バルブ34のソレノイド34aへの通電を停止(消磁)する。
【0072】
この実施の形態は上記の如く、エンジン50の状態、即ち、エンジン50の状態(運転状態)を示す水温TWに基づいてエンジン50の始動に必要な仕事量Wを算出すると共に、図7の上部に示す理想気体の状態式に基づいてアキュムレータ30の状態(劣化状態)を検知(推定)し、それらに基づいて制御バルブ34のソレノイド34aの通電時間Tcを算出するようにした。
【0073】
これによって、油圧モータ32の作動源をアキュムレータ30に求めるときも、油圧モータ32の作動時間を適正に決定して目標回転数を超えてエンジン50を駆動することがなく、よって後続するアイドル回転数制御に円滑に推移できると共に、油圧モータ32などのアクチュエータを不要に作動させることがない。さらに、油圧モータ32などの油圧アクチュエータを不要に作動させることがないため、その耐久性を向上させることができる。さらに、電動モータを用いる場合に比して始動時間を短縮できると共に、内燃機関の振動およびかみあい機構の騒音などの不都合を回避することができる。
【0074】
この実施の形態は上記の如く、油圧源(リザーバタンク22)の作動油を蓄圧するアキュムレータ30と、前記アキュムレータに油路24を介して接続され、作動油を供給されて回転力を発生する油圧アクチュエータ(油圧モータ32)と、前記油路に設けられ、前記油路を開閉して前記油圧アクチュエータの動作を制御する制御バルブ34と、出力軸(クランク軸52)が前記油圧アクチュエータに接続される内燃機関(エンジン50)とを少なくとも備え、前記内燃機関の始動時に前記制御バルブ、より具体的にはそのソレノイド34aに通電して前記油圧アクチュエータを作動させ、前記回転力で前記内燃機関の出力軸を回転させて始動する内燃機関の油圧式始動装置において、前記内燃機関の状態を検知する内燃機関状態検知手段(S10,S100)と、前記アキュムレータの状態を検知するアキュムレータ状態検知手段(S300からS306)と、前記検知された内燃機関とアキュムレータの状態に応じて前記制御バルブに通電すべき時間Tcを決定する制御バルブ通電時間決定手段(S12,S200からS212)とおよび前記決定された時間、前記制御バルブに通電して前記油圧アクチュエータを作動させる油圧アクチュエータ作動手段(S14からS18)とを備える如く構成した。
【0075】
また、前記内燃機関状態検知手段によって検知される状態は、前記内燃機関の運転状態(状態。より具体的には水温TW)に応じて算出される前記内燃機関の始動に必要な仕事量W(S100)である如く構成した。
【0076】
また、前記アキュムレータ状態検知手段は、前記内燃機関の始動前の前記アキュムレータの内圧、より具体的にはアクチュエータ30のガス室30bの圧力Pおよび前記アキュムレータの油圧容量の少なくともいずれか−より具体的にはガス室30bの圧力Pに基づいて前記アキュムレータの状態を検知するように構成した。尚、アキュムレータ30においてガス室30bの圧力は油室30cの圧力と等価なので、ガス室の圧力に代えて油室の圧力を用いても良い。その意味で、少なくともいずれかと記載した。
【0077】
さらに、アキュムレータ30のガス室30bの内部のガス圧(内圧)は油路24の内圧(圧力)とほぼ等しいので、油路24に圧力センサを配置して検出した圧力をガス室30bの圧力に代えて用いても良い。
【0078】
さらに、アキュムレータ30においてガス室30bの温度は、その近傍の油路24(配管)内の(流体の)温度で近似できるため、配管内に温度センサを設けてその温度を検出するようにしても良い。
【0079】
また、エンジン50の状態を示すものとして水温TWを用いたが、油温を用いても良い。
【0080】
また、変速機として具体的には自動変速機を示したが、手動変速機であっても良い。
【0081】
また、アキュムレータとしてダイヤフラム型のものを示したが、プラダ型やピストン型であっても良い。
【0082】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、内燃機関とアキュムレータの状態を検知し、検知された状態に応じて制御バルブに通電すべき時間を決定して油圧アクチュエータを作動させる如く構成したので、油圧アクチュエータの作動源をアキュムレータに求めるときも、油圧アクチュエータの作動時間を適正に決定して目標回転数を超えて内燃機関を駆動することがなく、よって後続するアイドル回転数制御に円滑に推移できると共に、油圧モータなどのアクチュエータを不要に作動させることがない。
【0083】
さらに、油圧モータなどの油圧アクチュエータを不要に作動させることがないため、その耐久性を向上させることができる。さらに、電動モータを用いる場合に比して始動時間を短縮できると共に、内燃機関の振動およびかみあい機構の騒音などの不都合を回避することができる。
【0084】
請求項2項にあっては、内燃機関の状態がその運転状態に応じて算出される始動に必要な仕事量である如く構成したので、内燃機関の状態を的確に検知し、それに応じて油圧アクチュエータの作動時間を的確に決定することができ、よって上記した効果を一層良く得ることができる。
【0085】
請求項3項にあっては、内燃機関の始動前のアキュムレータの内圧およびアキュムレータの油圧容量の少なくともいずれか、例えば内圧に基づいてアキュムレータの状態を検知するように構成したので、アクチュエータの状態を的確に検知することができ、よって上記した効果を一層良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る内燃機関の油圧式始動装置を全体的に示す説明図である。
【図2】図1装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図3】図2フロー・チャートの中の仕事量Wの算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図4】図3フロー・チャートの仕事量Wの算出に使用されるテーブルの特性を示す説明グラフである。
【図5】図2フロー・チャートの中のソレノイド通電時間Tcの算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図6】図5フロー・チャートで使用されるアキュムレータ劣化度合い判定値の算出書を示すフロー・チャートである。
【図7】図5フロー・チャートの処理を説明する、アキュムレータの蓄圧時のPV特性を示すグラフ図である。
【図8】図5フロー・チャートの処理を説明する、アキュムレータの開放時のPV特性を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 内燃機関の油圧式始動装置
12 電動モータ
20 油圧ポンプ
24 油路
30 アキュムレータ(油圧源)
30b ガス室
30c 油室
32 油圧アクチュエータ(油圧モータ)
34 制御バルブ
34a ソレノイド
50 内燃機関(エンジン)
56 変速機
62 温度センサ
64 圧力センサ
66 ECU(電子制御ユニット)
84 油温センサ

Claims (3)

  1. 油圧源の作動油を蓄圧するアキュムレータと、前記アキュムレータに油路を介して接続され、作動油を供給されて回転力を発生する油圧アクチュエータと、前記油路に設けられ、前記油路を開閉して前記油圧アクチュエータの動作を制御する制御バルブと、出力軸が前記油圧アクチュエータに接続される内燃機関とを少なくとも備え、前記内燃機関の始動時に前記制御バルブに通電して前記油圧アクチュエータを作動させ、前記回転力で前記内燃機関の出力軸を回転させて始動する内燃機関の油圧式始動装置において、
    a.前記内燃機関の状態を検知する内燃機関状態検知手段と、
    b.前記アキュムレータの状態を検知するアキュムレータ状態検知手段と、
    c.前記検知された内燃機関とアキュムレータの状態に応じて前記制御バルブに通電すべき時間を決定する制御バルブ通電時間決定手段と、
    および
    d.前記決定された時間、前記制御バルブに通電して前記油圧アクチュエータを作動させる油圧アクチュエータ作動手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の油圧式始動装置。
  2. 前記内燃機関状態検知手段によって検知される内燃機関の状態は、前記内燃機関の運転状態に応じて算出される前記内燃機関の始動に必要な仕事量であることを特徴とする請求項1項記載の内燃機関の油圧式始動装置。
  3. 前記アキュムレータ状態検知手段は、前記内燃機関の始動前の前記アキュムレータの内圧および前記アキュムレータの油圧容量の少なくともいずれかに基づいて前記アキュムレータの状態を検知することを特徴とする請求項1項または2項記載の内燃機関の油圧式始動装置。
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