JP3999197B2 - 品質検査装置 - Google Patents

Description

【０００１】
品質検査装置
本発明は請求項１または２の上位概念部に記載された形式の品質検査装置に関する。
【０００２】
このような品質検査装置は欧州特許第０５２７４５３号明細書から公知である。この種の品質検査装置は印刷機に使用され、これにより、印刷されたシートの画像を記録もしくは取り込み、この画像を所望の印刷画像と比較することにより所望の印刷品質からの誤差を検出して、場合によっては修正するように印刷プロセスに介入できるようになっている。
【０００３】
この目的のために、公知の装置は、吸引面を備えたサクションボックスすなわち吸引箱を有しており、この吸引面に沿って、印刷されたシートは、シートくわえ爪の助けを借りて牽引される。サクションボックスの吸引面に沿ったシートの摩擦により、シートが常に緊張状態に張られて所定の平面に位置することが保証されているので、吸引面に面したカメラの助けを借りてシートの忠実な模写が取り込まれ得る。
【０００４】
このような装置が、両側で印刷されたシートの品質検査のために使用される場合、シートの検査されない、サクションボックスに面した表面で色が滲む恐れがある。
【０００５】
この問題を考慮に入れた品質検査のための装置がドイツ連邦共和国特許出願公開第４４３６５８３号明細書に記載されている。この装置は負圧で負荷された胴と、胴外周に面したラインカメラとを有している。くわえ爪は検査したいシートを、ラインカメラと胴との間の中間スペースを通して牽引し、この中間スペースでシートは負圧により胴に密着する。品質検査装置を通る、シートの経路はほぼ直線的である。しかし、胴の吸引作用は結果として、検査したいシートをその都度、胴の表面の、円セグメント形の区分に付着させる。この際に、この区分の長さ範囲は正確には検査し得ない。この長さは、検査したいシートの硬さと、胴により働く吸引力とに関連しており、胴に沿ったシートの運動中にコンスタントには保たれない。このことは結果として、仮にくわえ爪の速度が正確にコンスタントであったとしても、胴に接触していてラインカメラの視野内に位置した、検査したいシートの表面のその部分の速度がコントロール不能な形で変動してしまうことになる。この変動はラインカメラによる画像検出時に考慮されないので、検出結果の再生不能な変動を生ぜしめる。この変動が、良品のシートまで損紙として判定してしまうことにつながるべきではない場合、所望の印刷画像との比較は「寛容に」実施されなければならないので、実際に印刷画像内にある欠陥までも見過ごす恐れがある。
【０００６】
欧州特許出願公開第０７９８２５１号明細書から、シート印刷機で使用するためのサクションコンベヤ（Ｓａｕｇｆｏｅｒｄｅｒｅｒ）が公知であって、このサクションコンベヤは、公転駆動されるベルトを備えたサクションボックスを有している。このサクションボックスはシートを搬送するために、印刷機内の処理の開始期もしくは終了期頃に、シートを印刷プロセスの異なるステーション間で案内するシートくわえ爪がシートをまだくわえていないか、または既に再度離している箇所で使用される。
【０００７】
ただし、このサクションコンベヤは、この例ではシートの単独の搬送手段として働いているのに対して、本発明では、使用されているサクションベルトにより、品質検査を目的として、別個のチェーングリッパシステムで搬送されるシートの安定化（搬送ではない）のみが実施される。
【０００８】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第４２３９５６１号明細書はシート搬送装置を開示しており、この装置では、シート始端がチェーングリッパを用いて搬送され、シートの印刷された下面がそれと同時に、運動しているサクションベルト上に載置される。駆動装置の種類およびサクションベルトの速度は記載されていない。
【０００９】
本発明の課題は、品質検査装置を提供することである。
【００１０】
この課題は本発明により、請求項１の特徴部に記載された特徴により解決される。
【００１１】
サクションボックスは、品質検査したいシートを、監視カメラの視野を通して案内し得るために必要とされる。サクションボックスの表面とシート背面との間の摩擦による色の滲みは、サクションボックス表面の代わりに、シートと共に可動なベルトがシートとコンタクトしていることにより回避される。
【００１２】
有利にはカメラとしてエリアカメラ（Ｆｌａｅｃｈｅｎｋａｍｅｒａ）が使用されるので、完全な画像が所定の時点で取り込まれることができ、搬送時の局所的な同期作動障害が取り込み失敗へとつながってしまうようなことにはならない。
【００１３】
検査装置の簡単でしかも効果的な構成では、ベルトが、シートくわえ爪を案内しているのと同一のチェーンを介して駆動されている。それにより、手間のかかる調整を必要とせずにベルトとシートくわえ爪との同期化を得ることができる。
【００１４】
ベルトをチェーンに連結する第１の可能性はスプロケットの使用であって、スプロケットはチェーンと噛み合っていて、ベルトを案内するローラに、チェーン駆動装置または歯付きベルト駆動装置を介して相対回動不能に結合されている。
【００１５】
くわえ爪により牽引されたシートは、サクションボックスの吸引面に沿って搬送されている間、ベルトに対して静止状態にあるので、滲みは排除されている。スプロケットのピッチ円または駆動装置伝達比を僅かに大きくすることもできるので、この場合は、ベルトの速度はくわえ爪の速度よりも僅かに小さい。これにより、カメラが撮影を行うときに、シートが常に緊張状態に引き伸ばされて、平らにベルト上に位置することが保証されている。シートとベルトの速度の差は数パーセントの程度であることができ、サクションボックスに沿ったシートの運動中の、シートとベルトとの相対的な摺動はいずれにせよ、サクションボックスに対する相対的なシートの運動よりも遙かに小さいので、種々異なる速度においても、滲みの恐れは明らかに減じられている。
【００１６】
フレキシブルな制御は、第２の有利な構成に基づき、ベルトが独自の駆動モータを介して駆動されている場合に可能である。この駆動モータは、くわえ爪の速度が僅かにベルトの速度よりも大きいように調整されることができる。特に有利にはこの場合、経路速度を、くわえ爪およびベルトの協働によりシートに加えられる引張力に対応させて調整することが可能であって、この調整は、引張力が存在する、つまりシートが緊張されているように、ただし一方ではベルトに沿ったシートの滑動につながり得る、引張力の限界値を上回らないようなやり方で行われる。
【００１７】
以下に図面を参照しながら本発明の実施例について詳説する。
【００１８】
図１には概略的な断面図で、品質検査装置を備えたシート輪転印刷機が示されている。印刷機のシート給紙装置は図示されていない。１つの集合胴０３に対して複数配置されているインキ装置０１および版胴０２を備えた印刷装置の構造は自体公知であって、本明細書では詳細に説明する必要はない。両面を印刷し終えたシートは搬送区間０４に受け継がれ、搬送区間０４は多数の、無端式のチェーンに沿って案内されるチェーングリッパシステム２２、例えばくわえ爪２２を有している。くわえ爪２２においてシートは品質検査装置０６を通して案内され、品質検査装置０６は、図示されていない減圧源に接続されているサクションボックス０７と、その視野をサクションボックス０７の吸引面に向けているＣＣＤカメラ０８とを有している。ＣＣＤカメラ０８は図示されていない電子的な評価装置に接続されており、評価装置はＣＣＤカメラ０８により得られた画像を、予め与えられた最終的に得たい印刷画像と比較実行し、シートが検出されるごとに、そのシートが、得たい印刷画像に一致しているかしていないかを決定する。品質検査装置０６に引き続いて搬送区間０４にはシート排紙装置０９が配置されており、シート排紙装置０９は、２つのパイル１２、例えば使用可能なシートのための２つの排紙パイル１２と、損紙のための１つのパイル１１、例えば１つの損紙パイル１１とを有している。評価装置の結果次第で、シートは、使用可能なシートのための排紙パイル１２のうちのいずれか一方に排紙されるか、または損紙パイル１１に排紙される。
【００１９】
図２には、品質検査装置０６のサクションボックス０７およびこれを取り巻く部分の第１の実施例が示されている。シート搬送方向１３で見てサクションボックス０７の前もしくは後に、２つのガイドローラ１４；１６がフレーム（図示せず）に回転可能に支承されており、フレームは、搬送区間０４の搬送チェーン１７のガイドレール（図示せず）に固定的に結合されている。フレキシブルな無端式のベルト１８はガイドローラ１４；１６に巻架されていて、ガイドローラ１４；１６により緊張下に維持される。ベルト１８は図２で見て、ベルト１８により保持されたシート２１と、サクションボックス０７の、遮蔽された吸引面１９との間を延在し、かつその背面に沿って延在している。吸引面１９のサイズは、シート輪転印刷機で印刷したい最大のシート寸法に対応している。サクションボックス０７の側面に接続された複数の吸込管路は、減圧源として働く吸気ベンチレータ（図示せず）に接続されている。
【００２０】
ベルト１８は、良好に通気性の粗目の織物、または打ち抜かれたまたは切り抜かれた開口を備えた任意のフレキシブルな材料から成っている。
【００２１】
くわえ爪２２は搬送チェーン１７に一定の間隔を置いて配置されており、この間隔は、印刷したい最大のシート寸法よりも若干大きい。図２には、ガイドローラ１６に駆動装置２７、例えばチェーン駆動装置または歯付きベルト駆動装置２７を用いて相対回動不能に結合されているスプロケットもしくはプーリ２３が示されており、このスプロケット２３は搬送チェーン１７と咬合しており、それにより、搬送チェーン１７の並進運動をガイドローラ１６の回転運動に変換する。搬送区間０４の第２の搬送チェーンに咬合するための相応のスプロケットが、図２のガイドローラ１６の、読者に面した端面に設けられている。ただし、このスプロケットは付随するチェーンと同様に明瞭性の理由から省略されている。
【００２２】
スプロケット２３のピッチ円直径、駆動装置２７の伝達比、ベルト１８の厚さ並びにガイドローラ１６の外径は、ベルト１８の表面が、搬送チェーン１７によりくわえ爪２２を用いて搬送されるシート２１と正確に同じ速度で運動するように設定されている。検査したいシート２１が品質検査装置０６を通過する際に、シート２１は、吸引面１９に向けられた空気流によりベルト１８の表面に対して圧着される。サクションボックス０７の鉛直の組付け姿勢の結果として、シート２１はこの時点で自らの重量に基づいて平滑に、下方に向かって懸吊され、それゆえ平滑かつ皺なしにベルト１８の表面に接地する。シート２１が、図２に示した、その全面で吸引面１９上に平らに位置するポジションに達すると、吸引面１９に面して配置されたＣＣＤカメラ０８はシート２１の画像を作成する。画像撮影のために有利にはフラッシュが使用される。これにより、画像作成のためにシート２１の運動を遅くすることは不要である。シート２１が品質検査装置０６から排紙パイル１２に搬送されるのにかかる時間中に、画像評価装置（図示せず）を用いて、そのシートが欠陥のないシート２１もしくは欠陥のあるシート２１であるかが検査されるので、シート２１は、このために予め選択された、シート排紙装置０９のパイル１２もしくは１１に排紙されることができる。
【００２３】
極めて柔らかくて皺に成りやすい材料から成るシート２１が処理されている場合、ベルト１８が搬送チェーン１７もしくはくわえ爪２２よりも若干遅い速度で運動すると有利であり得る。このようにして、シート２１が既に部分的または完全にベルト１８上に接地している場合に、まだある程度、平滑になるように引き伸ばされることができる。そのような速度関係は簡単に、スプロケット２３のピッチ円直径を適当に拡大することで達成される。正確に１である全伝達比を、駆動部２７の伝達比変更、ベルト１８の厚さ変更またはガイドローラ１６の直径変更によって、おおよそ１の全伝達比に置き換えても、相応の結果が得られることは自明である。
【００２４】
図３には図２の実施例の変化形が示されている。この例ではガイドローラ１４；１６を搬送チェーン１７に直接連結することが省かれている。両ガイドローラ１４；１６は自由に回転するようになっており、ベルト１８の駆動は連行子２４の助けを借りて行われる。連行子２４はその都度ペアで、ベルト１８の側方の縁部に配置されており、かつくわえ爪２２の経路内に突入しているので、連行子２４はくわえ爪２２の前方エッジにより捕捉されて押される。
【００２５】
図４の実施例では、搬送チェーン１７とベルト１８との間には直接的な機械的な連結は全く存在しない。その代わりに、ガイドローラ１６は独自のモータ２６を有しており、モータ２６はガイドローラ１６の回転運動を、調整された速度で駆動する。この種の駆動装置はかなりの程度での柔軟性を可能にする。それというのは、モータ２６の起動制御の仕方次第でベルト１８を、くわえ爪２２と同じ速度ででも、または上述したようなシート２１の緊張を可能にする若干小さな速度ででも運転することができるからである。
【００２６】
この実施例（図４）の場合、くわえ爪２２にその都度、シート２１に働く引張力を測定する力センサを装備し、モータ２６の速度を制御回路（図示せず）により、この力の限界値を僅かに下回るように調整もしくは閉ループ制御することも、有利には考えられる。この限界値とは、規定通りに皺なしにベルト１８上に位置するシート２１をベルト１８上で引っ張るために作用させなければならない力のことである。この力がシート２１とバンド１８との間の接触面の大きさ、ひいてはくわえ爪２２の位置に関連していることは確認されており、実験的な方法でつきとめられている。シート２１が皺形成してベルト１８上に位置している場合、皺を平滑に引き伸ばすためにシートが引きずられなければならない面は、ベルト１８に対するその全コンタクト面よりも小さい。それゆえ、力調整により、場合によっては存在する皺は、シート２１が全面的にベルト１８に沿って引きずられてしまうことなしに、平滑に引き伸ばされるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図１】 品質検査装置を備えたシート輪転印刷機の概略的な断面図である。
【図２】 品質検査装置のベルトおよびサクションボックスの一実施例を示す図である。
【図３】 品質検査装置のベルトおよびサクションボックスの別の実施例を示す図である。
【図４】 品質検査装置のベルトおよびサクションボックスの別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
０１ インキ装置、 ０２ 版胴、 ０３ 集合胴、 ０４ 搬送区間、 ０６ 品質検査装置、 ０７ サクションボックス、 ０８ ＣＣＤカメラ、 ０９ シート排紙装置、 １１ パイル、損紙パイル、 １２ パイル、排紙パイル、 １３ シート搬送方向、 １４ ガイドローラ、 １６ ガイドローラ、 １７ 搬送チェーン、 １８ ベルト、 １９ 吸引面、 ２１ シート、 ２２ チェーングリッパシステム、くわえ爪、 ２３ スプロケット、 ２４ 連行子、 ２６ モータ、 ２７ 駆動装置、チェーン駆動装置または歯付きベルト駆動装置

Claims (5)

1. 印刷されたシート（２１）を吸引する吸引面（１９）を有するサクションボックス（０７）と、前記吸引面（１９）に沿って前記シート（２１）を搬送するために前記シート（２１）を牽引する可動なくわえ爪（２２）と、前記シート（２１）を撮影するＣＣＤカメラ（０８）とを備えた、印刷されたシート（２１）の品質検査装置（０６）であって、
   搬送される前記シート（２１）と前記吸引面（１９）との間には、前記シート（２１）が前記吸引面（１９）に吸引されることで前記シート（２１）が接触し、かつ独自のモータ（２６）により駆動されることで前記シート（２１）と共にシート搬送方向（１３）に動くベルト（１８）が配置されており、
   前記モータ（２６）を調整して前記ベルト（１８）の速度を調整する駆動モータ・調整装置が備えられ、
   前記駆動モータ・調整装置は、前記くわえ爪（２２）から前記シート（２１）に作用する引張力が前記ベルト（１８）に沿った前記シート（２１）の滑動を起こさせる限界値を上回らないようにしながら、前記ベルト（１８）の速度を前記くわえ爪（２２）の速度より遅い速度となるように調整し、これにより、前記シート（２１）が前記ＣＣＤカメラ（０８）による撮影時に緊張状態に引き伸ばされるようになっていることを特徴とする品質検査装置。
2. ベルト（１８）がサクションボックス（０７）の吸引面（１９）に沿って可動である、請求項１記載の装置。
3. ＣＣＤカメラ（０８）がエリアカメラである、請求項１記載の装置。
4. ベルト（１８）が無端のベルトであり、該ベルト（１８）が、２つのガイドローラ（１４；１６）を介して案内されてサクションボックス（０７）を取り巻くように巻架されている、請求項１記載の装置。
5. 該装置がシート輪転印刷機の印刷装置とシート排紙装置（０９）との間に配置されている、請求項１から４までのいずれか１項記載の装置。

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