JP3999045B2 - 物体検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査手段からの走査光が物体で遮断されたことを受光手段で検出して該物体を検出する遮断型の物体検出装置に関し、特に、上記光走査手段の走査角度を基に、上記受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償する調整手段を備えたことによって、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上する物体検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電磁力を利用して駆動される半導体ガルバノミラーを用いて、発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って走査し、このレーザ光による走査光が物体に遮断されるのを検出して該物体の通過を検出する遮断型の物体検出装置が提案されていた。このような物体検出装置に関する技術として、例えば、特開2001−228434号公報に記載された電磁駆動型光走査装置がある。この光走査装置は、例えば図9に示すように、センサユニット1と、再帰反射部2とを備えて成っていた。
【0003】
センサユニット1は、発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って所定の走査範囲内で走査する光走査手段となると共に、この光走査手段からの走査光が後述の再帰反射部2によって再帰反射された反射光を受光する受光手段となるものである。また、再帰反射部2は、入射した走査光をその入射光の光路に沿って反射光を戻す(再帰反射)もので、センサユニット1に対し所定距離で対向配置されている。そして、センサユニット1から射出されて所定の走査範囲内を走査する走査光は、再帰反射部2の再帰反射板2aで再帰反射され、該センサユニット1で受光されるようになっている。このとき、センサユニット1からの走査光は、再帰反射部2の上端部側と下端部側との間を往復するように制御されており、走査光がその走査範囲の下端部に達したときの走査角度θを0°(走査原点)とし、また上端部に達したときの走査角度θをθmaxとする。
【0004】
ここで、図9に示すように、センサユニット1から射出された走査光の走査範囲内を任意の物体3が横切り、その物体3で走査光が遮断されたとする。このとき、上記センサユニット1は、再帰反射部2の再帰反射板2aから反射光を受光しなくなる。これにより、上記センサユニット1は、この遮断された反射光の遮断開始点、終了点及び最大遮断位置並びに遮断継続時間などの受光状態による受信信号を所定のしきい値と比較し、その結果に基づいて物体3の有無や通過している座標等の通過情報を検出するようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の遮断型の物体検出装置において、上記再帰反射部2の再帰反射板2aは、入射したレーザ光の入射角度が大きくなるにしたがって反射率が低下するという反射特性を有している。これにより、図10(a)に示すように、走査光の走査角度θが0°の時刻t0のときには再帰反射板2aの反射率が高いため、該再帰反射板2aからの反射光をセンサユニット1で受ける光量が多く、図10(b)に示すように、受信信号の値は最大となる。また、走査光の走査角度θがθmaxの時刻t1のときには再帰反射板2aの反射率が低いため、センサユニット1で受ける反射光の光量が少なく、受信信号の値は最小となる。そのため、センサユニット1は、図10(b)に示すように、走査光の走査範囲内(走査角度θ=0°〜θmax)の全域において受信信号が一定とならず、図9に示す物体3の有無を検出するためのしきい値を、図10(b)に示す受信信号に対して設定するのが容易ではなかった。また、センサユニット1から射出されるレーザ光が物体3に照射されているときには、該物体3自体からの散乱光の影響によって、センサユニット1で生成される受信信号の値が、物体の有無を検出するしきい値よりも大きくなることがあり、当該物体3が検出されないことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って走査する光走査手段の走査角度を基に、この走査光を受光する受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償する調整手段を備えたことによって、物体の検出精度を向上する物体検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による物体検出装置は、発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って、該レーザ光による走査光を所定の範囲内で走査する光走査手段と、該光走査手段に所定距離で対向配置され、入射したレーザ光を再帰反射し得る再帰反射部と、該再帰反射部で再帰反射された反射光を受光して受信信号を生成する受光手段と、該受光手段からの受信信号に基づいて上記走査範囲内の物体の有無を検出する物体有無検出手段と、を備えて成る物体検出装置において、上記光走査手段の走査角度と上記再帰反射部の反射特性との関係を予め記録した調整テーブルを有し、上記走査角度に対応する上記反射特性を基に、上記受信信号の変化による物体の検出特性を補償する調整手段を備えたものである。
【0008】
このような構成により、調整手段を備えたことで、発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って走査する光走査手段の走査角度を基に、この走査光を受光する受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償する。これにより、上記走査光の走査範囲内の物体を検出するためのしきい値が容易に設定される。
【0009】
ここで、上記調整手段は、上記調整テーブルの再帰反射部の反射特性との関係を基に、上記光走査手段の発光部から射出されるレーザ光の放射レベルを、該光走査手段の走査角度に応じて調整するものである。これにより、上記調整手段によって、上記発光部から射出されるレーザ光の放射レベルが光走査手段の走査角度に応じて調整され、受光手段で受光する反射光のレベルが上記レーザ光の走査範囲の全域において一定となり、該受光手段で生成される受信信号のレベルが一定となる。
【0010】
また、上記調整手段は、上記調整テーブルの再帰反射部の反射特性との関係を基に、上記受光手段で生成される受信信号の増幅率を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するものである。これにより、上記調整手段によって、上記受光手段で生成される受信信号の増幅率が光走査手段の走査角度に応じて調整され、該受光手段で生成される受信信号のレベルが上記レーザ光の走査範囲の全域において一定となる。
【0011】
さらに、上記調整手段は、上記調整テーブルの再帰反射部の反射特性との関係を基に、上記走査光の走査範囲内の物体の有無を検出するためのしきい値を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するものである。これにより、上記調整手段によって、物体の有無を検出するためのしきい値が光走査手段の走査角度に応じて調整され、上記受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償する。
【0012】
さらにまた、上記調整手段には、上記再帰反射部の実際の反射特性に合わせて上記調整テーブルを自動で変更するテーブル変更手段を備えている。これにより、上記テーブル変更手段によって、上記再帰反射部の実際の反射特性に合わせて調整テーブルが自動で変更され、この変更された調整テーブルを用いて物体の検出特性を補償する。
【0013】
そして、上記光走査手段は、基板に対し揺動可能に軸支された可動板に反射面を有し、該可動板又は基板のうち一方にコイルを設け、該可動板又は基板のうち他方に上記コイルに磁界を作用させる磁界発生手段を設け、上記コイルと磁界発生手段との間の電磁力により上記可動板を揺動する半導体ガルバノミラーを備えたものである。これにより、上記半導体ガルバノミラーによって、上記発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って、該レーザ光による走査光を所定の範囲内で走査する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による物体検出装置の実施の形態を示すブロック図である。この物体検出装置は、発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って走査し、この走査光が物体で遮断されたことを受光手段で検出して該物体の通過を検出するもので、レーザ光源10と、レーザ駆動回路11と、半導体ガルバノミラー12と、ミラー駆動回路13と、再帰反射部2と、集光レンズ14と、受光素子15と、受信アンプ16と、有り無し判定回路17とを備え、さらに走査原点検出手段30と、走査角度演算回路31と、出力調整テーブル32とを備えて成る。
【0015】
レーザ光源10は、所要の波長のレーザ光を射出する発光部となるもので、後述のレーザ駆動回路11から送られるクロック信号を受けて作動するようになっている。また、レーザ駆動回路11は、一定の周波数を有するクロック信号を発振回路で生成し、上記レーザ光源10を駆動する信号を生成するものである。
【0016】
また、半導体ガルバノミラー12は、上記レーザ光源10から射出されたレーザ光の進行方向を振って所定の範囲内で走査するもので、図2に示すように、シリコン基板20に対して揺動可能に軸支された可動板21を有し、該可動板21に設けられた反射面(ミラー)22の中心部付近に、図1に示すレーザ光源10から射出されるレーザ光が照射されるように配置されている。
【0017】
この半導体ガルバノミラー12の基本的な構成は、図2に示すように、シリコン基板20の内側に、トーションバー23,23と、該トーションバー23に支持された可動板21とを一体に形成し、該可動板21の上面にてその周縁部に駆動コイル24を設け、該駆動コイル24で囲まれた可動板21の略中央には反射面22を設け、枠形状の絶縁基板25上に載置されている。そして、このようなシリコン基板20の対向する両側に、N極、S極を対向させた永久磁石26,27が配置されている。なお、符号28は、駆動コイル24と電気的に接続する電極端子である。
【0018】
さらに、図1に示すミラー駆動回路13は、上記半導体ガルバノミラー12の駆動信号となる交流電流を生成するもので、該交流電流の大きさを調整できるようになっており、図2に示す半導体ガルバノミラー12の電極端子28に接続されている。そして、このミラー駆動回路13が動作し、上記電極端子28を介して駆動コイル24に交流電流が流れると、上記永久磁石26,27から磁力を受けている駆動コイル24にローレンツ力が働き、可動板21は、図2中の矢印に示すように、トーションバー23,23を中心に、振れ角αで周期的に左右に揺動する。
【0019】
これにより、図1に示すレーザ光源10から射出され、半導体ガルバノミラー12の反射面22(図2参照)に入射したレーザ光は、該反射面22で反射し、所定の走査範囲(走査角度θ=0°〜θmax)を走査することができる。ここで、上記ミラー駆動回路13で生成する交流電流の周波数を、半導体ガルバノミラー12の共振周波数に設定すれば、低いレベルの駆動信号で可動板21の振れ角αを大きくすることができる。なお、上記レーザ光源10と、レーザ駆動回路11と、半導体ガルバノミラー12と、ミラー駆動回路13とで、レーザ光を所定範囲内で走査する光走査手段を構成する。
【0020】
上記光走査手段(10〜13)から所定範囲内で走査される走査光は、再帰反射部2に入射する。この再帰反射部2は、入射した走査光をその入射光の光路に沿って反射光を戻す(再帰反射)もので、上記半導体ガルバノミラー12に対し所定の距離だけ離れて対向して配置されている。ここで、上記再帰反射部2は、レーザ光の入射角度が大きくなるほど反射率が低下するという反射特性を有している。これにより、走査光の走査角度θが0°のときには再帰反射部2の反射率が最も高く、そして該走査光の走査角度θが大きくなり走査角度θがθmaxのときには再帰反射部2の反射率は最小となる。
【0021】
上記再帰反射部2で再帰反射された反射光の光路上には、集光レンズ14が配置されている。この集光レンズ14は、上記再帰反射部2から再帰反射されたレーザ光の反射光を後述の受光素子15に集光するもので、例えば凸レンズを含む光学装置から成る。また、受光素子15は、上記集光レンズ14で集光された再帰反射部2からの反射光を受け、その光量に応じた受信信号を生成するもので、例えばフォトダイオードのような光電素子から成る。さらに、受信アンプ16は、上記受光素子15で生成された受信信号を所要のレベルまで増幅するものである。なお、上記集光レンズ14と、受光素子15と、受信アンプ16とで、上記再帰反射部2で再帰反射された反射光を受光して受信信号を生成する受光手段を構成する。
【0022】
そして、上記有り無し判定回路17は、上記受光手段(14〜16)からの受信信号に基づいて、上記走査光の走査範囲内(走査角度θ=0°〜θmax)を通過する物体(図示省略)の有無を検出する物体有無検出手段となるもので、上記受信アンプ16からの受信信号が上記再帰反射部2からの反射光により生成されたものか否かを判断するようになっている。すなわち、上記有り無し判定回路17は、上記受信アンプ16から送られる受信信号を所定のしきい値と比較し、その結果に基づいて上記走査光の走査範囲内を通過する物体の有無を検出し、それを有り無し信号として生成するようになっている。そして、上記有り無し判定回路17で生成された有り無し信号に基づいて、上記走査光の走査範囲内を通過する物体の座標や進行方向などの通過情報が検出される。
【0023】
ここで、本発明においては、上記レーザ駆動回路11の前段に、調整手段が設けられている。この調整手段は、上記光走査手段(10〜13)の走査角度を基に、上記受光手段(14〜16)で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償するもので、走査原点検出手段30と、走査角度演算回路31と、出力調整テーブル32とを備えて成る。
【0024】
上記走査原点検出手段30は、上記走査光の走査角度θが0°(走査原点)となるのを検出するもので、上記ミラー駆動回路13から走査周波数クロック信号を受け取り、この走査周波数クロック信号に基づいて走査原点信号を生成するようになっている。なお、上記走査周波数クロック信号とは、上記半導体ガルバノミラー12を駆動する駆動信号の周波数に対応した信号であって、半導体ガルバノミラー12の共振周波数に近い走査周波数を示す信号である。
【0025】
また、上記走査角度演算回路31は、上記走査原点検出手段30で生成された走査原点信号に基づいて、上記半導体ガルバノミラー12の可動板21(図2参照)の振れ角αを算出し、レーザ光の実際の走査角度θを演算して走査角度信号を生成するものである。
【0026】
そして、上記出力調整テーブル32は、上記走査手段(10〜13)によるレーザ光の走査角度θと、上記再帰反射部2の反射特性との関係が予め記録されたテーブルで、上記走査角度演算回路31から送られる走査角度信号に応じたレーザ出力レベル信号を、上記レーザ駆動回路11に出力するようになっている。
【0027】
次に、このように構成された物体検出装置の動作について、図3を参照して説明する。まず、図1に示すレーザ光源10は、レーザ駆動回路11から駆動信号を受け、半導体ガルバノミラー12の可動板22(図2参照)に向けてレーザ光を射出する。このとき、上記半導体ガルバノミラー12の可動板22は、ミラー駆動回路13からの駆動信号によって揺動しており、上記レーザ光源10から射出されたレーザ光は再帰反射部2に向けて、図3(a)に示すように、所定の走査範囲内で走査されている。
【0028】
ここで、上記レーザ駆動回路11の前段には調整手段(30〜32)が設けられているため、上記レーザ光源10から射出されるレーザ光の放射レベルは、光走査手段からの走査光の走査角度θに応じて調整される。すなわち、上記走査原点検出手段30は、上記ミラー駆動回路13から走査周波数クロック信号を受け取って走査原点信号を生成し、また上記走査角度演算回路31は、この走査原点信号に基づいて、レーザ光の走査角度θを演算して走査角度信号を生成する。そして、上記出力調整テーブル32は、この走査角度信号を受け取って、この走査角度信号に応じたレーザ出力レベル信号を上記レーザ駆動回路11に出力する。具体的には、上記出力調整テーブル32は、図3(c)に示すように、走査光の走査角度θが0°(図3(a)参照)のときの時刻t0では低いレベルに調整され、また走査光の走査角度θがθmaxのときの時刻t1では高いレベルに調整されたレーザ出力レベル信号をレーザ駆動回路11に出力する。
【0029】
これにより、図1に示すレーザ光源10から射出されるレーザ光の放射レベルは、その走査角度θが0°のときには低く、また走査角度θがθmaxのときには高くなるため、上記再帰反射部2からの反射光を受光して受信アンプ16で生成される受信信号の値は、図3(d)に示すように、走査光の走査範囲内(走査角度θ=0°〜θmax)の全域において一定となる。このことから、上記走査光の走査範囲内を通過する物体の有無を検出するしきい値を、図3(d)に示す受信信号のレベルよりもわずかに低くすればよく、その設定を容易に行うことができる。したがって、図1に示す再帰反射部2からの反射光を受光して受光手段(14〜16)で生成される受信信号の変化(図3(b)参照)による物体の検出特性が補償され、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0030】
図4は、本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。この実施形態は、上記受光手段で生成される受信信号の増幅率を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するもので、具体的には、図1に示す受信アンプ16の代わりに可変ゲインアンプ18を設け、図1に示す出力調整テーブル32を増幅率調整テーブル33としたものである。この可変ゲインアンプ18は、受光素子15で生成された受信信号の増幅率を可変するものである。また、上記増幅率調整テーブル33は、上記レーザ光の走査角度θと上記再帰反射部2の反射特性との関係が予め記録されたテーブルで、図4に示すように、上記走査角度演算回路31から送られる走査角度信号に応じた増幅率調整信号を、可変ゲインアンプ18に出力するようになっている。なお、走査原点検出手段30と、走査角度演算回路31と、増幅率調整テーブル33とで、上記受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償する調整手段を構成する。
【0031】
このような構成により、上記受光手段で生成される受信信号の増幅率が、光走査手段の走査角度θに応じて調整される。具体的には、上記増幅率調整テーブル33は、図5(c)に示すように、上記走査光の走査角度θが0°(図5(a)参照)のときの時刻t0では低いレベルに調整され、また上記走査光の走査角度θがθmaxのときの時刻t1では高いレベルに調整された増幅率調整信号を、図4に示す可変ゲインアンプ18に出力する。
【0032】
これにより、上記可変ゲインアンプ18は、上記増幅率調整テーブル33から出力された増幅率調整信号と、上記受光素子15からの受光信号とを乗算し、図5(d)に示すように、走査光の走査範囲(走査角度θ=0°〜θmax)の全域において一定の受信信号を生成することができる。このことから、上記走査光の走査範囲内を通過する物体の有無を検出するためのしきい値を、図5(d)に示す受信信号のレベルよりもわずかに低くすればよく、その設定を容易に行うことができる。したがって、図4に示す再帰反射部2からの反射光を受光して受光手段で生成される受信信号の変化(図3(b)参照)による物体の検出特性が補償され、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0033】
図6は、本発明の第3の実施形態を示すブロック図である。この実施形態は、上記走査光の走査範囲内の物体の有無を検出するためのしきい値を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するものとしたもので、具体的には、図1に示す出力調整テーブル32をしきい値調整テーブル34としたものである。このしきい値調整テーブル34は、上記レーザ光の走査角度θと上記再帰反射部2の反射特性との関係が予め記録されたテーブルで、図6に示すように、上記走査角度演算回路31から送られる走査角度信号に応じたしきい値信号を、有り無し判定回路17に出力するようになっている。なお、走査原点検出手段30と、走査角度演算回路31と、しきい値調整テーブル34とで、上記受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償する調整手段を構成する。
【0034】
このような構成により、上記走査光の走査範囲内に存在する物体の有無を検出するためのしきい値が、上記光走査手段の走査角度θに応じて調整される。具体的には、上記しきい値調整テーブル34は、図7(b)に示すように、上記物体の有無を検出するしきい値を、図6に示す受信アンプ16で増幅された受信信号と同様の周期で、該受信信号のレベルよりわずかに低くなるように調整し、図6に示す有り無し判定回路17に出力する。したがって、上記再帰反射部2からの反射光を受光して受光手段で生成される受信信号の変化(図3(b)参照)による物体の検出特性が補償され、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0035】
図8は、本発明の第4の実施形態を示すブロック図である。この実施形態は、図1及び図4,図6に示す調整手段に、上記再帰反射部2の実際の反射特性に合わせて各種の調整テーブルを自動で変更するテーブル変更手段35を備えたものである。例えば、図1に示す実施形態に適用する場合には、図8に示すように、受信アンプ16の後段にテーブル変更手段35が設けられている。このテーブル変更手段35は、上記再帰反射部2の実際の反射特性に合わせて出力調整テーブル32を自動で変更して調整するもので、受信アンプ16で増幅される受信信号を受けて出力調整テーブル32を変更するようになっている。
【0036】
次に、上記テーブル変更手段35の動作について説明する。ここで、図1に示す走査光の走査範囲内には、検出される物体が存在していないとする。このような状態のとき、図8に示すミラー駆動回路13で駆動信号を生成して半導体ガルバノミラー12を揺動し、レーザ光源(図1参照)から射出されるレーザ光を所定の走査範囲内で走査する。このとき、走査原点検出手段30が走査原点信号を生成し、また走査角度演算手段31が走査角度信号を生成し、出力調整テーブル32を介してレーザ駆動手段10を駆動する。そして、図示省略の再帰反射部2で再帰反射された反射光を受光素子15で受光し、受信アンプ16で受信信号を生成する。
【0037】
このとき、上記テーブル変更手段35は、上記受信アンプ16からの受信信号をモニターし、上記受光素子15で受光する反射光が一定となるように、出力調整テーブル32を自動で変更する。具体的には、受信信号のレベルが低いときには図3(c)に示すレーザ出力レベル信号を上げ、逆に受信信号のレベルが高いときにはレーザ出力レベル信号を下げる処理を行う。このような処理を受信信号のレベルが一定になるまで繰り返す。これにより、再帰反射部の実際の反射特性に合わせて調整テーブルを自動で変更することができる。したがって、上記光走査手段(10〜13)の取付け方法や再帰反射部2の取付け方法、汚れなどに影響されずに、どの走査角度からも一定の再帰反射特性を得ることができ、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0038】
また、図示省略したが、図4に示す第2の実施形態に適用する場合には、レーザ光源10から射出されるレーザ光の放射レベルを一定にし、可変ゲインアンプ18の増幅率を調整し、増幅後の受信信号のレベルが一定になるように増幅率調整テーブル33を変更する処理を行うようにすればよい。これにより、上記再帰反射部の実際の反射特性に合わせて調整テーブルを自動で変更することができ、上記光走査手段の取付け方法や再帰反射部2の取付け方法、汚れなどに影響されずに、どの走査角度からも一定の再帰反射特性を得て、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0039】
さらに、図6に示す第3の実施形態に適用する場合には、レーザ光源10から射出されるレーザ光の放射レベル及び受信アンプ16で生成される受信信号のレベルを一定にして受信レベルを記憶させ、ノイズ等マージン分だけ低いしきい値を、光走査手段の走査角度に連動して変化させればよい。これにより、再帰反射部2の実際の反射特性に合わせて調整テーブルを自動で変更することができ、上記光走査手段の取付け方法や再帰反射部2の取付け方法、汚れなどに影響されずに、どの走査角度からも一定の再帰反射特性を得て、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0040】
なお、以上の説明において、光走査手段の走査角度を基に上記再帰反射部2の反射特性を補償して各手段の動作を調整する調整手段は、レーザ光の放射レベルを光走査手段の走査角度に応じて調整するもの(図1参照)と、走査光の反射光の増幅率を光走査手段の走査角度に応じて調整するもの(図4参照)とが、それぞれ独立したものとして説明したが、本発明はこれに限られず、これらを組み合わせたものでもよい。
【0041】
また、図2に示す半導体ガルバノミラー12は、可動板21の周縁部に駆動コイル24を設け、またシリコン基板20の対向する両側に磁石26,27を設けたものとして説明したが、本発明はこれに限られず、上記駆動コイル24と磁石26,27の取り付け位置を逆転して、駆動コイル24をシリコン基板20側に設け、磁石26,27を可動板21側に設けてもよい。さらに、上記半導体ガルバノミラー12は、可動板21がシリコン基板20に対して一軸方向に揺動可能に形成されたものとして説明したが、本発明はこれに限られず、可動板21がシリコン基板20に対して二軸方向に揺動可能に形成されたものでもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1に係る発明によれば、発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って走査する光走査手段の走査角度を基に、受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償する調整手段を備えたことで、再帰反射部の反射特性により変化する物体の検出特性を補償することができる。これにより、上記走査光の走査範囲内の物体を検出するためのしきい値を容易に設定することができる。したがって、上記再帰反射部からの反射光を受光して受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性が補償され、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0043】
ここで、請求項2に係る発明によれば、上記調整手段は、上記光走査手段の発光部から射出されるレーザ光の放射レベルを、該光走査手段の走査角度に応じて調整するものとしたことにより、該調整手段によって、上記発光部から射出されるレーザ光の放射レベルが光走査手段の走査角度に応じて調整され、受光手段で受光する反射光のレベルが上記レーザ光の走査範囲の全域において一定となり、該受光手段で生成される受信信号のレベルを一定とすることができる。したがって、上記走査光の走査範囲内の物体を検出するためのしきい値を容易に設定することができ、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0044】
また、請求項3に係る発明によれば、上記調整手段は、上記受光手段で生成される受信信号の増幅率を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するものとしたことにより、該調整手段によって、上記受光手段で生成される受信信号の増幅率が光走査手段の走査角度に応じて調整され、該受光手段で生成される受信信号のレベルを上記レーザ光の走査範囲の全域において一定とすることができる。したがって、上記走査光の走査範囲内の物体を検出するためのしきい値を容易に設定することができ、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0045】
さらに、請求項4に係る発明によれば、上記調整手段は、上記走査光の走査範囲内の物体の有無を検出するためのしきい値を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するものとしたことにより、該調整手段によって、物体の有無を検出するためのしきい値が光走査手段の走査角度に応じて調整され、上記受光手段で生成される受信信号の変化による物体の検出特性を補償することができる。したがって、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0046】
さらにまた、請求項5に係る発明によれば、上記調整手段には、上記再帰反射部の実際の反射特性に合わせて調整テーブルを自動で変更するテーブル変更手段を備えたことにより、該テーブル変更手段によって、上記再帰反射部の実際の反射特性に合わせて調整テーブルが自動で変更され、この変更された調整テーブルを用いて物体の検出特性を補償することができる。したがって、上記光走査手段の取付け方法や再帰反射部の取付け方法、汚れなどに影響されずに、どの走査角度からも一定の再帰反射特性を得て、走査光の走査範囲内を通過する物体の検出精度を向上することができる。
【0047】
そして、請求項6に係る発明によれば、上記光走査手段は、基板に対し揺動可能に軸支された可動板に反射面を有し、該可動板又は基板のうち一方にコイルを設け、該可動板又は基板のうち他方に上記コイルに磁界を作用させる磁界発生手段を設け、上記コイルと磁界発生手段との間の電磁力により上記可動板を揺動する半導体ガルバノミラーを備えたものであることにより、上記発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って、該レーザ光による走査光を所定の範囲内で走査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による物体検出装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】 上記物体検出装置に適用される半導体ガルバノミラーの基本的な構成を示す斜視図である。
【図3】 上記物体検出装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】 物体検出装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】 第2の実施形態による物体検出装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】 物体検出装置の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図7】 第3の実施形態による物体検出装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図8】 物体検出装置の第4の実施形態を示すブロック図である。
【図9】 従来の物体検出装置の外観を示す斜視図である。
【図10】 従来の物体検出装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
2…再帰反射部
10…レーザ光源
11…レーザ駆動回路
12…半導体ガルバノミラー
13…ミラー駆動回路
14…集光レンズ
15…受光素子
16…受信アンプ
17…有り無し判定回路
18…可変ゲインアンプ
30…走査原点検出手段
31…走査角度演算回路
32…出力調整テーブル
33…増幅率調整テーブル
34…しきい値調整テーブル
35…テーブル変更手段

Claims (6)

  1. 発光部から射出されるレーザ光の進行方向を振って、該レーザ光による走査光を所定の範囲内で走査する光走査手段と、
    該光走査手段に所定距離で対向配置され、入射したレーザ光を再帰反射し得る再帰反射部と、
    該再帰反射部で再帰反射された反射光を受光して受信信号を生成する受光手段と、
    該受光手段からの受信信号に基づいて上記走査範囲内の物体の有無を検出する物体有無検出手段と、
    を備えて成る物体検出装置において、
    上記光走査手段の走査角度と上記再帰反射部の反射特性との関係を予め記録した調整テーブルを有し、上記走査角度に対応する上記反射特性を基に、上記受信信号の変化による物体の検出特性を補償する調整手段を備えたことを特徴とする物体検出装置。
  2. 上記調整手段は、上記調整テーブルの再帰反射部の反射特性との関係を基に、上記光走査手段の発光部から射出されるレーザ光の放射レベルを、該光走査手段の走査角度に応じて調整するものとしたことを特徴とする請求項1記載の物体検出装置。
  3. 上記調整手段は、上記調整テーブルの再帰反射部の反射特性との関係を基に、上記受光手段で生成される受信信号の増幅率を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するものとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の物体検出装置。
  4. 上記調整手段は、上記調整テーブルの再帰反射部の反射特性との関係を基に、上記走査光の走査範囲内の物体の有無を検出するためのしきい値を、上記光走査手段の走査角度に応じて調整するものとしたことを特徴とする請求項1記載の物体検出装置。
  5. 上記調整手段には、上記再帰反射部の実際の反射特性に合わせて上記調整テーブルを自動で変更するテーブル変更手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の物体検出装置。
  6. 上記光走査手段は、基板に対し揺動可能に軸支された可動板に反射面を有し、該可動板又は基板のうち一方にコイルを設け、該可動板又は基板のうち他方に上記コイルに磁界を作用させる磁界発生手段を設け、上記コイルと磁界発生手段との間の電磁力により上記可動板を揺動する半導体ガルバノミラーを備えたことを特徴とする請求項1記載の物体検出装置。
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