JP3998886B2 - インサート成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性と熱衝撃特性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インサート成形法は、樹脂の特性と金属又は無機固体(以下、金属等と略記する)の素材の特性を生かして使用するため、金属等を樹脂に埋め込む成形法であり、自動車部品や電気・電子部品等の広い分野に応用され、今では一般的な成形法の一つとなっている。しかしながら、樹脂と金属等では温度変化による膨張や収縮率(いわゆる線膨張係数)が極端に異なることから、成形品の樹脂部が肉薄であったり、肉厚の変化の大きい部分があるもの及び金属等がシャープコーナーを有していたりするものは、成形直後に割れたり、使用中の温度変化で割れたりするトラブルが多い。また、特に電気・電子部品の場合、難燃性が高いことも合わせて要求されるため、インサート成形にはフェノール樹脂、エポキシ樹脂といった熱硬化性樹脂が広く用いられている。
【0003】
ところが熱硬化性樹脂は、成形サイクルが長いために生産性が低い、またリサイクル性に欠ける、といった欠点があり、熱可塑性樹脂への代替が強く求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題に鑑み、特に電気・電子部品に好適に使用できる、難燃性に優れ、且つ温度変化で割れることのない熱衝撃特性に優れたインサート成形用の熱可塑性樹脂を得るべく鋭意検討した。その結果、特定のポリブチレンテレフタレート樹脂を主体とし、これに耐衝撃性付与剤、無機充填剤、難燃剤、および芳香族エステル化合物を配合した組成物は、難燃性と熱衝撃特性に優れ、これを用いたインサート成形品は、電気・電子部品として十分な難燃性と、通常の温度変化で割れることのない十分な耐熱衝撃性を合わせ持つことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0005】
即ち本発明は、
(A) 末端カルボキシル基量が 35meq/kg以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂に対し、
(B) 耐衝撃性付与剤1〜25重量%(対組成物全量)
(C) 無機充填剤1〜50重量%(対組成物全量)
(D) 難燃剤1〜25重量%(対組成物全量)
(E) 芳香族多価カルボン酸エステル 0.1〜10重量%(対組成物全量)を配合してなる難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物と金属又は無機固体とをインサート成形してなるインサート成形品である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。先ず、本発明の基体樹脂である(A) ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と炭素数4のアルキレングリコール又はそのエステル形成性誘導体を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレートである。またポリブチレンテレフタレートは、それ自身70重量%以上を含有する共重合体であってもよい。
【0007】
テレフタル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の脂肪族、芳香族多塩基酸またはそのエステル形成性誘導体等が、また、1,4 −ブタンジオール以外のグリコール成分として、通常のアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等、1,3 −オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールA、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。本発明では、上記の如き化合物をモノマー成分として重縮合により生成するポリブチレンテレフタレートは何れも本発明の(A) 成分として使用することができ、単独で、または2種類以上混合して使用される。
【0008】
またコポリマーに属する分岐ポリマーも用いることができる。ここでいうポリブチレンテレフタレート分岐ポリマーとは、いわゆるポリブチレンテレフタレートまたはブチレンテレフタレート単量体を主体とし、多官能性化合物を添加することにより分岐形成されたポリエステルである。ここで使用できる多官能性化合物としては、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらのアルコールエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがある。
【0009】
更に本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂(A) は、良好な熱衝撃特性を得るために末端カルボキシル基量が35meq/kg以下、好ましくは30meq/kg以下、特に好ましくは20meq/kg以下であることが必要である。尚、末端カルボキシル基量は、ポリブチレンテレフタレートの粉砕試料をベンジルアルコール中 215℃で10分間溶解後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液にて滴定し、測定することにより求められる。
【0010】
次に、本発明で用いられる(B) 耐衝撃性付与剤の代表的なものとしては、熱可塑性エラストマー又はコアシェルポリマー等が挙げられる。かかる熱可塑性エラストマー等は、常温ではゴム状弾性をもつ固体であるが、加熱すると粘度が低下するので熱可塑性ポリエステル樹脂と溶融混合可能な高分子物質の総称である。
【0011】
熱可塑性エラストマーの種類は特に制限されず、例えば、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系及びウレタン系等が挙げられる。
【0012】
オレフィン系エラストマーとして好ましいものは、エチレン及び/又はプロピレンを主成分とする共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。オレフィン系エラストマーの中でも、(a-1) エチレン−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体又は(a-2) α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体と、(b) 主として下記一般式(1) で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の一種又は二種以上とが、分岐又は架橋構造的に化学結合したグラフト共重合体が、好適に利用できる。
【0013】
【化2】
【0014】
かかるグラフト共重合体は、特に熱衝撃特性の改善に効果があり、本発明の耐衝撃性付与剤として特に好適である。(a-1) エチレン−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体の具体例としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エチル共重合体などのランダム共重合体が挙げられ、さらにこれらの共重合体を混合しても使用できる。又、(a-2) のオレフィン系共重合体を構成する一方のモノマーであるα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1等が挙げられるが、エチレンが好ましく用いられる。又、(a-2) 成分を構成する他のモノマーであるα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、下記一般式(2) で示される化合物であり、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステル等が挙げられるが、特にメタクリル酸グリシジルエステルが好ましく用いられる。
【0015】
【化3】
【0016】
α−オレフィン(例えばエチレン)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、通常よく知られたラジカル重合反応により共重合することによって(a-2) の共重合体を得ることができる。セグメント(a-2) の構成は、α−オレフィン70〜99重量%、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル30〜1重量%が好適である。
【0017】
次に、このオレフィン系共重合体(a-1) 又は(a-2) とグラフト重合させる重合体又は共重合体(b) としては、前記一般式(1) で示される繰り返し単位一種で構成される単独重合体又は二種以上で構成される共重合体であり、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体等が挙げられるが、特に好ましくはアクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体である。これらの重合体又は共重合体(b) も対応するビニル系モノマーのラジカル重合によって調製される。
【0018】
本発明で使用するグラフト共重合体は、前記(a-1) 又は(a-2) のオレフィン系共重合体又は(b) の(共)重合体が単独で用いられるのではなく、(a-1) 又は(a-2) の共重合体と(b) の(共)重合体が少なくとも一点で化学結合した分岐又は架橋構造を有するグラフト共重合物である点にその特徴を有し、後述の如くかかるグラフト構造を有することによって単に(a-1) 、(a-2) 又は(b) の単独配合にては得られない顕著な効果を得るのである。ここで、グラフト共重合体を構成するための(a-1) 又は(a-2) と(b) の割合は95:5〜5:95(重量比)、好ましくは80:20〜20:80が適当である。
【0019】
また、本発明で用いられるグラフト共重合体の製法は、一般によく知られている連鎖移動法、電離放射線照射法など何れの方法によってもよいが、最も好ましくは主鎖成分粒子中で(b) 成分の単量体とラジカル(共)重合性有機過酸化物とを共重合せしめたグラフト化前駆体を溶融混練し、重合体同士のグラフト化反応により得られるものである。その理由は、グラフト効率が高く、熱による二次凝集が起こらないため、性能の発現がより効果的であるためである。
【0020】
スチレン系エラストマーとしては、スチレン等のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと未水素化及び/又は水素化した共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体が挙げられる。かかるブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第三級ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、p−メチルスチレン、1,1 −ジフェニルスチレン等のうちから一種又は二種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3 −ペンタジエン、2,3 −ジメチル−1,3 −ブタジエン、ピレリレン、3−ブチル−1,3 −オクタジエン、フェニル−1,3 −ブタジエン等のうちから一種又は二種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。ここでいうブロック共重合体とは、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の共重合比は5/95〜70/30であり、特に10/90〜60/40の重合比が好ましい。
【0021】
また、本発明に供するブロック共重合体の数平均分子量は5000〜600000、好ましくは 10000〜500000の範囲であり、分子量分布〔重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比は(Mw/Mn)〕は10以下である。また、ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状、あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。例えば、A-B-A 、B-A-B-A 、(A-B-)4Si 、A-B-A-B-A 等の構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体である。さらにブロック共重合体の共役ジエン化合物の不飽和結合は部分的に水素添加したものでもよい。
【0022】
本発明に供するブロック共重合体の製造方法としては、上記した構造を有するものが得られるのであればどのような製造方法もとることができる。例えば、特公昭40−23798 号、特公昭43−17979 号、特公昭56−28925 号公報に記載された方法により、リチウム触媒などを用いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を合成することができる。さらに、特公昭42−8704号、特公昭43−6636号公報、あるいは特公昭59−133203号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して、本発明に供する部分的に水添したブロック共重合体を合成することができる。
【0023】
本発明では上記したブロック共重合体をエポキシ化することにより本発明で使用されるエポキシ変性ブロック共重合体が得られる。本発明におけるエポキシ変性ブロック共重合体は、上記のブロック共重合体を不活性溶媒中でハイドロパーオキサイド類、過酸類などのエポキシ化剤と反応させることにより得ることができる。ハイドロパーオキサイド類としては過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどがある。過酸類としては過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸などがある。このうち、過酢酸は工業的に大量に製造されており、安価に入手でき、安定度も高いので、好ましいエポキシ化剤である。
【0024】
エポキシ化の際には必要に応じて触媒を用いることができる。例えば、過酸の場合、炭酸ソーダなどのアルカリや硫酸などの酸を触媒として用い得る。また、ハイドロパーオキサイド類の場合、タングステン酸と苛性ソーダの混合物を過酸化水素と、あるいはモリブデンヘキサカルボニルをターシャリーブチルハイドロパーオキサイドと併用して触媒効果を得ることができる。エポキシ化剤の量に厳密な規制がなく、それぞれの場合における最適量は、使用する個々のエポキシ化剤、所望されるエポキシ化度、使用する個々のブロック共重合体の如き可変因子によって決まる。
【0025】
不活性溶媒としては、原料粘度の低下、エポキシ化剤の希釈による安定化などの目的で使用することができ、過酢酸の場合芳香族化合物であれば、エーテル類、エステル類などを用いることができる。特に好ましい溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、四塩化炭素、クロロホルムである。エポキシ化反応条件には厳密な規制はない。用いるエポキシ化剤の反応性によって使用できる反応温度領域は定まる。例えば、過酢酸についていえば0〜70℃が好ましく、0℃より低いと反応が遅く、70℃を超えると過酢酸の分解が起こる。また、ハイドロパーオキサイドの一例であるターシャリーブチルハイドロパーオキサイド/モリブデン二酸化物ジアセチルアセトナート系では同じ理由で20〜150 ℃が好ましい。反応混合物の特別な操作は必要なく、例えば混合物を2〜10時間攪拌すればよい。得られたエポキシ変性共重合体の単離は適当な方法、例えば貧溶媒で沈澱させる方法、重合体を熱水中に攪拌の下で投入し溶媒を蒸留留去する方法、直接脱溶媒法などで行うことができる。
【0026】
上記エポキシ変性ブロック共重合体のエポキシ当量は、140 〜2700g/mol であることが好ましく、特に好ましくは 200〜2000g/mol である。エポキシ当量が2700g/mol を超えると、相溶性が十分でなく、相分離が起こりやすい。また、140 g/mol 未満では、特にゲル化物などの副反応を重合体の単離中に起こしやすくなるので好ましくない。
【0027】
ポリエステル系エラストマーの例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートといった芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコールといったポリエーテル、またはポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトンといった脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするブロック共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
ポリアミド系エラストマーの例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などをハードセグメントとし、ポリエーテルまたは脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするブロック共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0029】
ウレタン系エラストマーの例としては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートとエチレングリコール、テトラメチレングリコール等のグリコールとを反応させることによって得られるポリウレタンをハードセグメントとし、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルもしくはポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするブロック共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0030】
一方、コアシェルポリマーとは、多層構造からなり、好ましくは平均粒径 1.0μm 以下のゴム層をガラス状の樹脂が包含したコアシェル型グラフト共重合体である。コアシェル型共重合体のゴム層は、平均粒径 1.0μm 以下のものが使用でき、好ましい範囲は 0.2〜0.6 μm である。ゴム層の平均粒径が 1.0μm を越えると、耐衝撃特性の改善効果が不十分な場合がある。かかるコアシェル型共重合体のゴム層としては珪素系、ジエン系、アクリル系エラストマー単独またはこの中から選ばれる2種以上のエラストマー成分系を共重合/グラフト共重合させたものを用いることができる。
【0031】
珪素系エラストマーとしては、オルガノシロキサン単量体を重合させて製造されるもので、オルガノシロキサンとしては、例えばヘキサメチルトリシクロシロキサン、オクタメチルシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン、ドデカメチルヘキサシクロシロキサン、トリメチルトリフェニルシロキサン、テトラメチルフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が用いられる。アクリル系ゴムとしては、ブチルアクリレートの様なアクリル酸エステルと少量のブチレンジアクリレートの様な架橋性モノマーを重合させて得られる。
【0032】
上記アクリル酸エステルとしては、ブチルアクリレートの他に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。また、架橋性モノマーとしては、ブチレンジアクリレートの他に、ブチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパンの様なポリオールとアクリル酸のエステル類、ジビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレートのようなビニル化合物、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルイタニレート、モノアリルマレート、モノアリルフマレート、トリアリルシアヌレートのようなアリル化合物が挙げられる。ジエン系ゴムとは、例としてブタジエン単量体を重合して得られるポリブタジエンが挙げられる。
【0033】
更に、コアシェル型共重合体のガラス状の樹脂で形成されるシェル層は、ビニル系重合体が用いられる。ビニル系重合体は、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、メタクリル酸エステル系単量体、及びアクリル酸エステル単量体の中から選ばれた少なくとも一種の単量体を重合あるいは共重合させて得られる。かかるコアシェル型共重合体のゴム層とシェル層は、通常グラフト共重合によって結合されている。このグラフト共重合化は、必要な場合には、ゴム層の重合時にシェル層と反応するグラフト交差剤を添加し、ゴム層に反応基を与えた後、シェル層を形成させることによって得られる。グラフト交差剤としては、シリコーン系ゴムでは、ビニル結合を有したオルガノシロキサンあるいはチオールを有したオルガノシロキサンが用いられ、好ましくはアクロキシシロキサン、メタクリロキシシロキサン、ビニルシロキサンが使用される。
【0034】
上記したようなコアシェルポリマーとしては、例えば鐘淵化学製カネエースFM、三菱レイヨン製メタブレンW−300 、W−530 、S−2001、ロームアンドハース社製アクリロイドKM−323 、KM−330 、呉羽化学製パラロイドEXL−2311、−2602、−3211、武田薬品製スタフィロイドP−3267(以上商標)等が挙げられる。
【0035】
本発明における(B) 成分の耐衝撃性付与剤の配合量は、全組成物中、1〜25重量%であり、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%である。(B) 成分が少なすぎると本発明の目的とする高い熱衝撃特性が得られず、多すぎると剛性等の機械的性質を阻害するため好ましくない。耐衝撃性付与剤は、一種又は二種以上併用することができる。
【0036】
次に、本発明で用いられる(C) 成分の無機充填剤は、成形品の成形収縮率及び線膨張係数を低下させ、高低温衝撃性を向上させるために必須とされる成分で、目的に応じて繊維状、非繊維状(粉粒状、板状)等の各種充填剤が用いられる。かかる充填剤のうち繊維状充填剤としては、ガラス繊維、異形ガラス、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤は、ガラス繊維又はカーボン繊維である。一方、粉粒状充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ウオラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。また、板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。これらの無機充填剤は、一種又は二種以上併用することができる。これらの無機充填剤の使用に当たっては、必要ならば収束剤又は表面処理剤で処理しておくことが望ましい。
【0037】
本発明における(C) 無機充填剤の配合量は組成物中1〜50重量%であり、好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%である。充填剤の使用量が過小であると耐熱衝撃性の向上効果が少なく、過大であると成形作業が困難になる。
【0038】
次に、本発明で用いられる(D) 成分の難燃剤は、樹脂組成物およびインサート成形品の難燃性を確保するために必須の成分である。本発明においては、樹脂の難燃剤として一般に公知のものが使用可能であり、例えば、有機塩素化合物や有機臭素化合物といったハロゲン系難燃剤、リン酸塩、リン酸エステル、含窒素リン化合物、赤リンといったリン系難燃剤、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウム等の無機系難燃剤、などが挙げられる。これら難燃剤の中でもハロゲン系難燃剤、特に有機臭素化合物が好適である。具体的には、臭素化芳香族ビスイミド化合物、臭素化芳香族エポキシ化合物、臭素化ポリカーボネート、臭素化ベンジルアクリレート及びその重合物、臭素化ポリスチレンなどが好適な難燃剤の例として挙げられる。難燃剤は、一種又は二種以上併用することができる。
【0039】
また、必要に応じて難燃剤の効果を高めるために一般に公知の難燃助剤、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、二酸化錫、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属酸化物や水酸化物等を添加することができる。特に、臭素系難燃剤を用いた場合、アンチモン化合物、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等が難燃助剤として好適である。難燃助剤は、一種又は二種以上併用することができる。
【0040】
本発明における(D) 成分の難燃剤の配合量は組成物中1〜25重量%であり、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは10〜20重量%である。難燃剤の配合量が少なすぎると十分な難燃性が得られず、多すぎると耐熱衝撃性を損なう。尚、難燃助剤を併用する場合も、両者の合計量が上記範囲にあることが好ましい。
【0041】
尚、成形品の用途によっては、UL規格94の難燃区分の「V-0 」であることを要求される場合がある。その場合、アスベストやフッ素系樹脂などを難燃剤と共に用いることが好ましい。フッ素系樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと、エチレン、プロピレン、(メタ)アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体が含まれる。このようなフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体が例示される。これらのフッ素系樹脂は、一種又は二種以上混合して使用できる。また、これらのフッ素系樹脂は、分粒状の形態で使用できる。フッ素系樹脂の添加量は、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂 100重量部に対して、 0.1〜10重量部程度、好ましくは 0.1〜5重量部程度、さらに好ましくは 0.2〜1重量部である。
【0042】
次に、本発明に用いられる(E) 芳香族多価カルボン酸エステルとは、下記一般式で表される化合物である。
【0043】
【化4】
【0044】
(式中、X は-COOR を表し、R はアルキル基、n は2〜4の整数である。また、各X のR は同一であっても異なっていてもよい)
特にn が3以上の場合、耐熱性が高く、より好ましい。(E) 成分としては、例えばトリメリット酸エステルやピロメリット酸エステルが好適な例として挙げられる。このアルキルエステルを構成するアルキル基としては、例えばトリオクチル基、トリイソデシル基、トリス(2−エチルヘキシル)基、トリブチル基等が挙げられ、これらのアルキル基の内少なくとも一種類から上記アルキルエステルは構成される。このような芳香族多価カルボン酸エステルは一種または二種以上を併用することができる。
【0045】
本発明における(E) 芳香族多価カルボン酸エステルの配合量は組成物中 0.1〜10重量%であり、好ましくは 0.5〜7重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。芳香族多価カルボン酸エステルの量が少なすぎると熱衝撃特性が十分でなく、多すぎると剛性等の物性を損なう、芳香族エステルが成形品表面に染み出すなどの不具合が発生して好ましくない。
【0046】
更に本発明には(F) 成分として、エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びカルボン酸二無水物からなる群より選ばれた多官能性化合物の少なくとも一種を配合することが好ましい。
【0047】
本発明で用いられる(F) 成分の多官能性化合物としては、エポキシシラン、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、レゾルシン型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、脂環化合物型ジエポキシ化合物、グリシジルエーテル類、エポキシ化ポリブタジエン、トリグリシジルジイソシアネート、ジイソシアネート系化合物及びカルボン酸二無水物が挙げられる。更に具体的には、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメトキシシラン、β−(3,4 −エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、レゾルシン型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシドなどの脂環化合物型エポキシ化合物、2,4 −トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートトリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、1,5 −ナフタレンジイソシアネート及び上記イソシアネートの誘導体(重合体ウレタン、ウレチジオン2量体より高次のオリゴマー、シアヌレート重合体)等のジイソシアネート系化合物、ピロメリット酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二水物及び下記一般式
【0048】
【化5】
【0049】
(ただし、式中X は-O- 、-SO2- 、-CO-または2価の炭化水素を示す。)で表わされる、例えばビス(3,4 −ジカルボキシフェニル)アルカン二水物のようなカルボン酸二水物が挙げられる。またこれらの多官能性化合物中、好ましいのは下記一般式
【0050】
【化6】
【0051】
(ただし、式中n は0〜20の整数)で示されるビスフェノールA型エポキシ化合物である。なお、上記に列挙した多官能性化合物は1種または2種以上を使用することができる。
【0052】
本発明における(F) 成分の添加量は、全組成物中、0.1 〜10重量%、好ましくは0.5 〜5重量%、特に好ましくは0.5 〜3重量%である。過少であると本発明の目的とする熱衝撃特性に対する効果が見られず、過大であると樹脂の粘度が増加する等、成形上の問題が生じ好ましくない。
【0053】
また、本発明において、その目的に応じ前記成分の他に、他の熱可塑性樹脂成分を補助的に少量併用することも可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な樹脂であれば、何れのものでも良い。例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンなどを挙げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は、二種以上混合して使用することもできる。
【0054】
さらに本発明の樹脂組成物には、その目的に応じた所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、即ち酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤及び結晶化促進剤、結晶核剤等を配合することが可能である。
【0055】
本発明の組成物の調製は、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられている公知の設備と方法により容易に調製される。例えば、i)各成分を混合した後、押出機により練込押出してペレットを調製し、しかる後成形する方法、ii) 一旦組成の異なるペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して成形に供し成形後に目的組成の成形品を得る方法、iii)成形機に各成分の1または2以上を直接仕込む方法等、何れも使用できる。また、樹脂成分の一部を細かい粉体としてこれ以外の成分と混合し添加することは、これらの成分の均一配合を行う上で好ましい方法である。
【0056】
本発明で言うインサート成形品とは、成形用金型に金属等をあらかじめ装着し、その外側に上記樹脂組成物を充填して複合成形品としたものである。樹脂を金型に充填するための成形法としては射出成形法、押出成形法、圧縮成形法などがあるが、射出成形法が一般的である。また、樹脂にインサートする素材は、その特性を生かし且つ樹脂の欠点を補う目的で使用されるため、成形時に樹脂と接触したとき、形が変化したり溶融しないものが使用される。このため、主としてアルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、真鍮及びそれらの合金などの金属類やガラス、セラミックスのような無機固体類であらかじめ棒、ピン、ネジ等に成形されているものが使用される。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
尚、以下の例に示した物性評価の測定法は次の通りである。
酸素インデックス
JIS K 7201に準拠して測定した。酸素インデックスは、試験片が3分以上または50mm以上燃え続けるのに必要な酸素濃度を表し、その値が大きいほど難燃性が高いことを意味する。
熱衝撃特性
樹脂組成物のペレットをシリンダー温度 250℃、金型温度70℃、射出時間20秒、冷却時間10秒で、試験片成形用金型(縦22mm、横22mm、高さ51mmの角柱内部に、縦18mm、横18mm、高さ30mmの鉄芯をインサートする金型)に、一部の樹脂部の最小肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形し、インサート成形品を製造した。得られたインサート成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて 140℃にて1時間30分加熱後、−40℃に降温して1時間30分冷却後、さらに 140℃に昇温する過程を1サイクルとする熱衝撃試験を行った。10個の成形品についてクラックが入るまでのサイクル数を測定し、その平均値を熱衝撃寿命とし、熱衝撃特性を評価した。熱衝撃寿命の値が大きいほど熱衝撃特性が高いことを意味する。
実施例1〜17、比較例1〜11
表1〜2に示す組成の(A) 〜(F) 成分を押出機で溶融混練してペレット化した後、上記のように熱衝撃特性を評価した。評価結果を併せて表1〜2に示す。
【0059】
尚、使用した各成分の詳細は以下の通りである。
・(A) ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂
(A1)末端カルボキシル基量(CEG) が 15meq/kg以下であるPBT
(A2)末端カルボキシル基量(CEG) が 30meq/kg以下であるPBT
(A3)末端カルボキシル基量(CEG) が 45meq/kg以下であるPBT
・(B) 耐衝撃性付与剤
(B1)熱可塑性エラストマー樹脂(E/EA−g−BA/MMA);
エチレン−アクリル酸エチル共重合体70重量部とメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体30重量部とのグラフト共重合体;日本油脂(株)製、商品名モディパーA5300
(B2)エチレン−アクリル酸エチル共重合体(E/EA);日本ユニカー(株)製、商品名エバフレックスEEA A713
(B3)アクリル系のコアシェルポリマー;呉羽化学工業(株)製、商品名パラロイド EXL-2311
(B4)エポキシ化変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ESBS);ダイセル化学工業(株)製、商品名エポフレンドA1010
・(C) 無機充填剤
(C1)ガラス繊維(径10μm )
(C2)ガラスフレーク(厚さ約3μm 、中心粒径約300 μm )
・(D) 難燃剤
(D1)ポリペンタブロモベンジルアクリレート(PPBBA 、ブロモケムファーイースト(株)製、商品名FR-1025 )
(D2)臭素化エポキシ樹脂(BrEP、化学名 テトラブロモビスフェノールA−テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマー、分子量約10,000)
(D3)三酸化アンチモン(Sb2O3 )(併用難燃助剤)
・(E) 芳香族多価カルボン酸エステル
(E1)ピロメリット酸エステル;旭電化工業(株)製、商品名アデカサイザーUL-100
(E2)トリメリット酸エステル;大八化学工業(株)製、商品名TOTM
ピロメリット酸エステル;旭電化工業(株)製、商品名アデカサイザーUL-100
・(F) 多官能性化合物
(F1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製、エピコート 1004K)
(F2)イソホロンジイソシアネート(ダイセルヒュルス製、VESTANAT T1890)
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の組成物は難燃性が高く、且つ、良好な熱衝撃特性を備えており、この組成物を用いて成形したインサート成形品は、難燃性と熱衝撃特性を要求される用途、例えば電気・電子製品の部品として好適に使用することができる。
Claims (9)
- (A) 末端カルボキシル基量が 35meq/kg以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂に対し、
(B) 耐衝撃性付与剤1〜25重量%(対組成物全量)
(C) 無機充填剤1〜50重量%(対組成物全量)
(D) 難燃剤1〜25重量%(対組成物全量)
(E) 芳香族多価カルボン酸エステル 0.1〜10重量%(対組成物全量)を配合してなる難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物と金属又は無機固体とをインサート成形してなるインサート成形品。 - 更に、(F) エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びカルボン酸二無水物からなる群より選ばれた多官能性化合物の少なくとも一種を0.1 〜10重量%(対組成物全量)配合してなる請求項1記載のインサート成形品。
- (E) 芳香族多価カルボン酸エステルが、トリメリット酸エステル及びピロメリット酸エステルから選ばれた一種又は二種以上である請求項1又は2記載のインサート成形品。
- (B) 耐衝撃性付与剤が、熱可塑性エラストマー又はコアシェルポリマーから選ばれた一種以上である請求項1〜3の何れか1項記載のインサート成形品。
- 熱可塑性エラストマーが、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系及びウレタン系からなる群より選ばれた少なくとも一種である請求項4記載のインサート成形品。
- 熱可塑性エラストマーが、オレフィン系エラストマーである請求項4記載のインサート成形品。
- (C) 無機充填剤がガラス繊維である請求項1〜7の何れか1項記載のインサート成形品。
- (F) 多官能性化合物がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項2〜8の何れか1項記載のインサート成形品。
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