JP3998476B2 - 手押し台車の搬送パレット - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は手押し台車の搬送パレットにかかり、特には、搬送パレット上に載置された手押し台車を移動不可に支持するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、製造工場などにあっては、図8で示すような手押し台車31を用意し、組立用の部品などが搭載された手押し台車31を作業者が人力で押しながら移動させるのに伴って部品などを運搬することが行われる。そして、遠く離間した作業場にまで部品などを運搬する必要がある際には、これらの部品などを手押し台車31と共に搬送パレット32上に載置したうえ、無人搬送車などを使用して搬送パレット32と共に所要の作業場にまで搬送することが実行される。
【0003】
ところで、手押し台車31は、組立用の部品などが搭載される荷台33と、その下面の略中央位置に配設されて荷重を受け止めながら回転する左右一対の車輪34と、その端部位置それぞれに配設されて回転する左右一対ずつのキャスタ輪35とを具備している。従って、手押し台車31を搬送パレット32上に載置して搬送する場合には、車輪止めブロック36を手作業で車輪34の両側位置に配置し、これら一対の車輪止めブロック36で車輪34を拘束することによって手押し台車31を移動不可として支持することが行われる。
【0004】
また、図9で示すような跳ね上げ式のストッパ37を搬送パレット32の所要位置に配設しておき、跳ね上げられたストッパ37と車輪止めブロック36とで車輪34を拘束するのに伴って手押し台車31を移動不可に支持することも行われている。なお、跳ね上げ式のストッパ37とは、基端が揺動可能として軸支されたストッパ37の自由端がバネ(図示省略)の付勢力で搬送パレット32上まで突出する構成とされたものである。
【0005】
そこで、車輪34を拘束する必要がない時のストッパ37はその付勢力が制限されることによって搬送パレット32内に収納されており、作業者が制限を解除した時には搬送パレット32上まで突出することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の形態にかかる搬送パレット32を使用して手押し台車31を搬送する際には、次のような不都合が生じていた。すなわち、手押し台車31が具備している車輪34の両側位置に車輪止めブロック36を手作業で配置するのでは、作業者がわざわざ屈み込んだうえで車輪止めブロック36を配置したり、これらを除去したりする必要があり、煩わしい手間を要することが避けられない。
【0007】
一方、跳ね上げ式のストッパ37を利用する場合には、作業者が足で踏みつけるのに伴ってバネが収納されたり、突出したりする構成が採用可能であり、良好な作業性が得られる。しかしながら、足で踏みつけて操作し得るバネの付勢力に限界があるため、必ずしも車輪34を拘束するのに十分な付勢力が確保されるとは限らず、特に、重量物が搭載された手押し台車31である際には、その車輪34の拘束によって手押し台車31を移動不可に支持することが困難となる場合も多いのが実情である。
【0008】
本発明はこれらの不都合に鑑みて創案されたものであって、車輪を確実に拘束することが可能であり、搬送途中時にも手押し台車を移動不可として支持し続けることができる構成とされた搬送パレットの提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる手押し台車の搬送パレットは、パレット上面に形成され、手押し台車の車輪が落ち込む切欠部と、該切欠部を閉塞するように配置され、空気圧シリンダにより前記パレット上面に面一の上昇位置と前記車輪が拘束される下降位置との間で昇降する車輪支持板とを備え、車輪位置の異なる2種類の手押し台車それぞれの車輪を拘束可能な前記車輪支持板が互いに交差する位置毎に位置決めして配設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明にかかる手押し台車の搬送パレットは請求項1に記載したものであり、前記車輪支持板を昇降させる前記空気圧シリンダには、空気供給源と接続された空気注入用治具または空気放出用治具の連結に伴って開放される空気封入用治具が接続されており、前記空気注入用治具で開放された前記空気封入用治具を通じて空気が注入される前記空気圧シリンダは前記車輪支持板を上昇させて前記車輪の拘束を解除し、かつ、前記空気放出用治具で開放された前記空気封入用治具を通じて空気を放出する前記空気圧シリンダは前記車輪支持板を下降させて前記車輪を拘束する構成であることを特徴とする。
【0011】
上記構成であれば、搬入して載置された手押し台車の車輪は、空気を放出する空気圧シリンダで車輪支持板が下降させられるのに伴って搬送パレット上に位置決めして拘束されることになり、車輪が拘束されている限りは搬送途中時であっても、手押し台車は移動不可な状態のままで支持され続ける。また、搬送終了後の空気圧シリンダに対して空気を注入すると、車輪支持板が上昇し、その結果として車輪の拘束が解除されるため、手押し台車を搬送パレット上から搬出することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態にかかる搬送パレットの全体構造を示す平面図、図2は手押し台車が載置された搬送パレットの縦断面図であり、図3は手押し台車が載置された搬送パレットの横断面図である。そして、図2は図1中のX−X線に沿って切断した構造を示しており、図3は図1中のY−Y線に沿って切断した構造を示している。
【0013】
図4及び図5のそれぞれは搬送パレットの要部構造を示す断面図であり、図4は手押し台車が具備する車輪の非拘束時状態を示し、図5はその拘束時状態を示している。また、図6は荷捌きステーションの構成を示す平面図であり、図7はその縦断面図である。なお、これらの図1から図7における符号1は大型タイプの手押し台車、符号2は小型タイプの手押し台車を示しており、符号3は搬送パレットを示している。
【0014】
本実施の形態における大型タイプの手押し台車1は、組立用の部品などが搭載される荷台4と、その下面の略中央位置に配設されて荷重を受け止めながら回転する左右一対の車輪5と、その端部位置それぞれに配設されて回転する左右一対ずつのキャスタ輪6とを具備している。また、小型タイプの手押し台車2も、同様に、荷台7と、車輪8と、キャスタ輪9とを具備している。なお、これら2種類の手押し台車1,2が具備している車輪5,8それぞれの配設位置は、互いに異なっている。
【0015】
本実施の形態にかかる搬送パレット3は、作業者の人力で押されながら搬入された大型タイプの手押し台車1または小型タイプの手押し台車2のいずれかが載置され、かつ、これらの手押し台車1,2を載置したままで無人搬送車などにより所要の作業場まで搬送された後、作業者の人力で押されて手押し台車1,2が搬出される作業工程において使用されるものである。そして、この搬送パレット3は、上下に離間して配置された平面視矩形状の鋼板同士を型鋼などで連結することによって構成されており、その内部には、手押し台車1,2それぞれの車輪5,8が走行する左右一対ずつのレール部10,11が互いに直交するようにして配設されている。
【0016】
なお、図1〜図3では、大型タイプの手押し台車1が搬送パレット3の長辺方向に沿って搬入されるとしてレール部10を配設する一方、小型タイプの手押し台車2が搬送パレット3の短辺方向に沿って搬入されるとしてレール部11を配設している。しかしながら、このような構造に限られず、手押し台車1の車輪5を支持するレール部10が搬送パレット3の短辺方向に沿って配設されており、また、手押し台車2の車輪8を支持するレール部11が搬送パレット3の長辺方向に沿って配設されていてもよい。
【0017】
この搬送パレット3の上側鋼板3aにおける所定位置毎、つまり、搬送パレット3の長辺方向及び短辺方向に沿って配設されたレール部10,11それぞれの略中央位置毎には、手押し台車1の車輪5または手押し台車2の車輪8が落ち込むことになる平面視矩形状の切欠部3bが互いに直交するよう位置決めしたうえで形成されている。そして、切欠部3bのそれぞれ内には、搬送パレット3の上側鋼板3aと面一になる左右一対ずつの車輪支持板12,13が各切欠部3bを閉塞するようにして収められている。
【0018】
すなわち、これらの車輪支持板12,13は、搬送パレット3の上側鋼板3aに形成された左右一対の切欠部3bへと手押し台車1,2の車輪5,8を落ち込ませるものであり、このことに伴って車輪5,8の各々は位置決めして拘束されることになる。そして、これら車輪支持板12,13の各々は空気圧シリンダ14,15を介したうえで上下動可能として各別に配設されており、そのため、各車輪支持板12,13は、搬送パレット3の上面と面一の上昇位置と、車輪5,8の各々が拘束される下降位置との間で昇降することになっている。
【0019】
さらに、搬送パレット3の上側鋼板3aにおける一隅位置には、逆止弁として機能する空気封入用治具である一対の雄型カプラ16,17が突出した状態で配設されている。そして、一方側の雄型カプラ16は空気配管18を介したうえで車輪支持板12を上下動させる空気圧シリンダ14と接続されており、また、他方側の雄型カプラ17は空気配管19を介したうえで車輪支持板13を上下動させる空気圧シリンダ15と接続されている。
【0020】
ところで、図4及び図5で示すように、雄型カプラ16,17のそれぞれに対しては、空気供給源と接続された空気注入用治具である注入用雌型カプラ20または空気放出用治具である放出用雌型カプラ21のいずれかが連結される。そして、注入用雌型カプラ20または放出用雌型カプラ21が連結された場合の雄型カプラ16,17は、それまでの閉鎖状態から開放状態へと移行する構成となっている。
【0021】
従って、搬送パレット3上に突出している雄型カプラ16,17の各々に対して注入用雌型カプラ20を連結し、かつ、この注入用雌型カプラ20によって開放された雄型カプラ16,17と空気配管18,19とを通じて空気供給源であるエアコンプレッサ(図示省略)から空気Aを注入すると、図4で示すように、空気圧シリンダ14,15は伸長動作し、車輪支持板12,13の各々は搬送パレット3の上側鋼板3aと面一になるまで上昇する。このような状態であれば、手押し台車1,2を搬送パレット3上へと搬入して載置し、または、載置されていた手押し台車1,2を搬送パレット3上から搬出することが容易となる。
【0022】
一方、雄型カプラ16,17に放出用雌型カプラ21を連結し、この放出用雌型カプラ21によって開放された雄型カプラ16,17及び空気配管18,19を通じて空気圧シリンダ14,15に注入されていた空気Aを放出すると、図5で示すように、空気圧シリンダ14,15は収縮動作し、車輪支持板12,13の各々は下降する。そこで、搬送パレット3上に載置されていた手押し台車1,2の車輪5,8は車輪支持板12,13に載ったまま下降し、搬送パレット3の上側鋼板3aに形成された切欠部3bへと落とし込まれたうえで拘束される。
【0023】
そのため、組立用の部品などが搭載された手押し台車1,2を搬送パレット3上に載置し、無人搬送車などを使用して搬送パレット3を手押し台車1,2と共に遠く離間した作業場にまで搬送する場合にあっても、搬送途中時における手押し台車1,2の車輪5,8は確実に拘束される。従って、搬送パレット3上に載置された手押し台車1,2は移動不可として支持され続ける。
【0024】
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施の形態にかかる搬送パレットの取り扱い手順を説明する。すなわち、図6及び図7は製造工場などに設置されている荷捌きステーション23を示しており、この荷捌きステーション23は、搬送パレット3が設置された搬入・搬出機構部24と、無人搬送車25が走行を停止して横付けされるトラバース機構部26とから構成されている。なお、以下の説明においては、手押し台車1を搬送パレット3上に載置するとしているが、手押し台車2であっても同様の手順となる。
【0025】
組立用の部品などが搭載された手押し台車1を遠く離間した作業場にまで搬送する場合、作業者は、手押し台車1を人力で押しながら荷捌きステーション23の搬入・搬出機構部24に設置された搬送パレット3上に搬入して載置する。なお、手押し台車1の搬入に先立っては、トラバース機構部26の側方位置に設置済みの空気供給源であるエアコンプレッサ27と接続された注入用雌型カプラ20を搬送パレット3の雄型カプラ16と連結して空気Aを注入することが行われており、その結果として空気圧シリンダ14は伸長動作している。従って、搬送パレット3の車輪支持板12は搬送パレット3の上側鋼板3aと面一となるまで上昇しており、手押し台車1は何らの不都合もなく、搬送パレット3上に載置される。
【0026】
引き続き、手押し台車1を搬入し終えた作業者は、搬送パレット3の雄型カプラ16に対し、放出用雌型カプラ21を連結する。すると、空気圧シリンダ14に注入されていた空気Aが雄型カプラ16及び放出用雌型カプラ21を介して外部へと放出される結果、空気圧シリンダ14は収縮動作することになり、搬送パレット3の車輪支持板12は下降する。そこで、搬送パレット3上に載置されていた手押し台車1の車輪5は車輪支持板12に載ったまま下降し、搬送パレット3によって拘束される。その結果、この手押し台車1は移動不可な状態となったまま、搬送パレット3上で支持されている。
【0027】
その後、搬送パレット3は手押し台車1を支持したままで荷捌きステーション23のトラバース機構部26へと移載されることになり、このトラバース機構部26から荷捌きステーション23に横付けされた無人搬送車25へと積み込まれる。なお、無人搬送車25への積み込み時には、搬送パレット3を手押し台車1と共に無人搬送車25の荷台高さまで持ち上げる必要があるので、トラバース機構部26は上下動可能とされている。
【0028】
搬送パレット3が積み込まれた無人搬送車25は、荷降ろしすべき他の荷捌きステーション23まで走行する。そして、この荷捌きステーション23では、無人搬送車25からトラバース機構部26へと搬送パレット3を積み降ろし、搬送パレット3を搬入・搬出機構部24へと移載することが行われる。引き続き、搬送パレット3の雄型カプラ16に対してエアコンプレッサ27と接続された注入用雌型カプラ20を連結したうえ、雄型カプラ16及び注入用雌型カプラ20を介して空気圧シリンダ14に空気Aを注入する。
【0029】
すると、空気Aの注入に伴って空気圧シリンダ14が伸長動作し、車輪支持板12が搬送パレット3の上側鋼板3aと面一となるまで上昇する結果、手押し台車1の車輪5に対する搬送パレット3の拘束が解除される。従って、搬送パレット3による手押し台車1の移動不可な支持も解除されることになり、作業者が人力で押すことに伴って手押し台車1は搬送パレット3上から容易に搬出される。
【0030】
ところで、本実施の形態にかかる搬送パレット3では、車輪位置が異なる2種類の手押し台車1,2それぞれの車輪5,8を拘束可能な車輪支持板12,13が互いに直交する位置毎に配設されるとしているが、このような構造に限定されないことは勿論である。すなわち、これらの車輪支持板12,13が互いに交差する位置毎に位置決めして配設されていてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明にかかる手押し台車の搬送パレットであれば、搬入して載置された手押し台車の車輪は空気を放出する空気圧シリンダで車輪支持板が下降させられるのに伴って確実に拘束されることになり、車輪が十分な拘束力で拘束されるため、搬送途中時であっても手押し台車を移動不可として支持し続けることができるという効果が得られる。また、搬送終了後の空気圧シリンダに対して空気を注入すると、車輪支持板が上昇して車輪の拘束が解除されるため、手押し台車を容易に搬出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる搬送パレットの全体構造を示す平面図である。
【図2】手押し台車が載置された搬送パレットの縦断面図である。
【図3】手押し台車が載置された搬送パレットの横断面図である。
【図4】搬送パレットの要部構造を示す断面図であり、手押し台車が具備する車輪の非拘束時状態を示している。
【図5】搬送パレットの要部構造を示す断面図であり、手押し台車が具備する車輪の拘束時状態を示している。
【図6】荷捌きステーションの構成を示す平面図である。
【図7】その縦断面図である。
【図8】従来の形態にかかる搬送パレットの全体構造を示す縦断面図である。
【図9】従来の形態にかかる搬送パレットの要部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 大型タイプの手押し台車
2 小型タイプの手押し台車
3 搬送パレット
5 車輪
8 車輪
12 車輪支持板
13 車輪支持板
14 空気圧シリンダ
15 空気圧シリンダ
16 雄型カプラ(空気封入用治具)
17 雄型カプラ(空気封入用治具)
20 注入用雌型カプラ(空気注入用治具)
21 放出用雌型カプラ(空気放出用治具)
A 空気

Claims (2)

  1. パレット上面に形成され、手押し台車の車輪が落ち込む切欠部と、該切欠部を閉塞するように配置され、空気圧シリンダにより前記パレット上面に面一の上昇位置と前記車輪が拘束される下降位置との間で昇降する車輪支持板とを備え、車輪位置の異なる2種類の手押し台車それぞれの車輪を拘束可能な前記車輪支持板が互いに交差する位置毎に位置決めして配設されていることを特徴とする手押し台車の搬送パレット。
  2. 前記車輪支持板を昇降させる前記空気圧シリンダには、空気供給源と接続された空気注入用治具または空気放出用治具の連結に伴って開放される空気封入用治具が接続されており、前記空気注入用治具で開放された前記空気封入用治具を通じて空気が注入される前記空気圧シリンダは前記車輪支持板を上昇させて前記車輪の拘束を解除し、かつ、前記空気放出用治具で開放された前記空気封入用治具を通じて空気を放出する前記空気圧シリンダは前記車輪支持板を下降させて前記車輪を拘束する構成であることを特徴とする請求項1に記載の手押し台車の搬送パレット。
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