JP3998231B2 - 反射鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は照明器具において光源と組合わせて使用される反射鏡に関するものである。本明細書で使用する単なる『%』表示は質量%を表すものである。
【0002】
【従来技術】
照明装置において、光源に使用するランプが高輝度のものになるほどランプからの発熱も著しく、ランプと組合わせて使用される反射鏡も著しく加熱される。特に、近年はランプの高輝度化と小形化が進んでおり、ランプから照射される赤外線により反射鏡に550℃を越える部分が生じるようになってきている。通常、反射鏡は基材とその表面にコーティングされた反射膜からなり、そのいずれもが反射鏡の耐熱性に影響を与えるものである。基材部分の耐熱特性について検討すると、使用可能温度と耐熱衝撃性の二つが重要となる。基材として使用されるガラスの場合、使用可能温度はガラス転移点以下となるため、パイレックス(コーニング社の登録商標)級ガラスでも550℃以下でしか使用できず、耐熱衝撃性はムク棒(直径5mm)による試験でも温度差250℃が限界であるから、上記したような過酷な条件では使用することが難しくなってきた。また、基材の耐熱限界によってランプや反射鏡の小形化が制限されてしまうことも危惧される。
【0003】
これら耐熱特性に耐えうる材料としては、特公平7−92527号に開示されている着色結晶化ガラスがある。特公平7−92527号公報に開示されている技術は、反射基材にβ−スポジュウメン固溶体もしくはβ−ユークリプタイト固溶体を含有する結晶化ガラスを使用して反射基材に光散乱性を付加し、ランプから照射される赤外線を反射基材内部で散乱させ、反射基材の背面中央部近傍の局所的温度上昇を回避できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、より高輝度のランプが開発されていると共に、小形化の要求からランプと反射鏡をより接近させて配置するため、550℃よりも高い600℃以上の耐熱特性が要求されるようになっている。しかしながら、前記着色結晶化ガラス反射基材は、ランプから照射される赤外線を反射基材内部で散乱させてしまうので、反射基材自体に熱が蓄積されやすく、この熱が反射基材の歪みや破損の原因となっていた。また、反射基材に熱が蓄熱されることにより、反射基材に被覆されている多層膜の剥離の原因ともなっていた。さらに、この反射鏡を装置に組み込んだ場合、反射鏡背面の赤外線の方向性が一定しないので、装置内部での放熱対策を取りにくいなどの欠点があった。特に、近年需要が増加している液晶プロジェクターなどの映写装置では、高出力ハロゲンランプやHID(高出力放電ランプ)を光源として反射鏡とともに筐体内に配設して用いられているため、放熱対策の良否が装置の小形化や信頼性に大きく影響することとなる。また、これらランプの反射鏡に使用される反射基材の構成元素に、SiO2、Al2O3を多く含む場合、ガラスが“冷めやすく”成形時に粘度が高くなるので成形が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は照明装置に使用される反射鏡において、反射基材の破損の防止と、この反射基材に被覆される多層膜の剥離を防止できる反射鏡を提供することを第一の目的とし、さらに反射基材の成形を容易にした反射鏡を提供することを第二の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、光源と組合わせて照明装置に使用される赤外線を透過し可視光を反射する多層膜を被覆した反射鏡において、反射鏡に使用する反射基材を透明結晶化ガラスとした。反射基材を透明結晶化ガラスとしたことにより、ランプから照射される赤外線を直線的に効率良く反射基材の後方へ透過させることができる。したがって、反射基材には赤外線による熱が蓄積されにくくなり、反射基材の破損の防止と反射基材に被覆される多層膜の剥離を防ぐことが可能となる。ここで、本発明でいう『透明結晶化ガラス』とは、必ずしも可視光全域を透過する必要はなく、少なくとも近赤外線(760nm〜2500nm)を効率良く透過できるものをいう。すなわち、結晶を析出する前のガラスが着色ガラスであろうとなかろうと、結晶を析出させた後のガラスが少なくとも近赤外線を効率良く透過できれば良いのである。
【0007】
また、本発明の透明結晶化ガラスの主結晶をβ−石英固溶体とし、さらに、このβ−石英固溶体の結晶粒径を400nm以下とした。結晶粒径が結晶化ガラスの透明性に影響を大きく関与しているため、結晶粒径を400nm以下としたことにより、結晶化ガラスを透明とすることができ、かつランプから照射される赤外線を直線的に効率良く反射基材の後方へ透過させることができる。結晶粒径の好ましい大きさは300nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。
【0008】
さらに本発明は、反射鏡に使用する透明結晶化ガラスを質量百分率で、SiO258〜70%、Al2O318〜25%、Li2O0.5〜2.5%、Na2O0〜2%、K2O0〜2%、MgO2.4〜5%、CaO0〜0.3%、BaO0.1〜2%、ZnO0.1〜7%、TiO20.1〜7%、ZrO20.5〜7%、P2O50〜3%、B2O30〜3%およびSb2O30.1〜2.5%、フッ素(F)0.01〜3質量%を含有するものとした。
【0010】
請求項2に対応する発明は、請求項1記載の透明結晶化ガラスの組成に、0.5〜2質量%のフッ素(F)を含有するものとした。
【0012】
ここで、透明結晶化ガラス組成の限定理由を以下に述べる。SiO2はガラスを形成する主成分であるが、含有量が58%未満では熱膨脹係数が大きくなり耐熱性が低下し、かつ得られる結晶化ガラスの結晶粒径が粗大化し、透明な結晶化ガラスが得られにくくなるからである。また、含有量が70%を越えてしまうと、ガラスの溶融性が悪化し、生成する結晶粒径の均質化が困難となってしまう。好ましくは、60〜64%である。
【0013】
Al2O3の含有量が18%未満では分相傾向が強くなってガラスが失透しやすくなり、かつ結晶の析出が困難となってしまう。また、含有量が25%を越えてしまうと、溶融温度を高くしなければガラスの溶融が困難となってしまう(溶融温度が低い場合ガラス中に脈理が生じやすくなる)。好ましくは、20〜23%である。
【0014】
Li2Oの含有量が0.5%未満ではガラスの溶融性が悪く、結晶の析出が困難となり、含有量が5%を越えると析出する結晶粒径が粗大化し、所望とする結晶を得ることができなくなる。好ましくは、1〜2.5%である。
【0015】
MgO、CaO、BaOおよびZnOは、必須成分については含有量が下限値未満であると結晶の析出が困難となり、それぞれの含有量が上限値を越えると失透傾向が強くなり、得られる結晶化ガラスの結晶粒径が粗大化してしまう。好ましくは、MgOで1.5〜4%であり、CaOで0.1〜0.2%であり、BaOで0.4〜1.5%である。
【0016】
TiO2およびZrO2は結晶核形成剤として作用する成分であり、それぞれの含有量が、下限値未満では結晶核が少なくなりすぎてしまい結晶の析出が困難になり、上限値を越えると結晶核が多くなりすぎて結晶核の成長速度にバラツキが生じてしまい、析出する結晶中に粗大化した結晶が含まれるようになり、結晶化ガラスに失透が生じてしまう。好ましくは、TiO2で1.5〜5%であり、ZrO2で1〜4%である。
【0017】
Na2OおよびK2Oはガラスの溶融性を向上させるものであるが、それぞれの含有量が、上限値を越えると結晶粒径が粗大化し、失透しやすくなる。
【0018】
Sb2O3は清澄剤として使用されるが、その含有量が0.1%未満であると、清澄作用が得られず、含有量が2.5%を越えてしまうと発泡の原因となってしまう。好ましくは、0.5〜2%である。
【0019】
フッ素(F)はガラスの粘性を低下させるために含有させるが、含有量が3%を越えると、結晶粒径が粗大化し、失透しやすくなり、0.01未満であると成形性を改善することができなくなる。好ましくは、0.03〜1.5%である。
【0020】
P2O5およびB2O3はガラスの粘性を低下させるために含有させてもよいが、それぞれの含有量が上限値を越えると、結晶粒径が粗大化し、失透しやすくなる。好ましくは、P2O5で0.3〜1%であり、B2O3で0.3〜1.5%である。
【0021】
本発明は、上記反射鏡において、反射基材の平行透過率が760〜2500nmの波長範囲に渡って75%以上の透過率を有するものとした。このように、近赤外線域の平行透過率の最低値を75%以上としたことにより、反射基材に蓄積される熱を減少させることができる。760〜2500nmの波長範囲での最低平行透過率が75%未満であると、反射基材に被覆されている多層膜に対する熱負荷が増加し、多層膜の寿命を短くしてしまう。ここで、本発明でいう『平行透過率』とは、赤外分光法によって測定されたものであって、測定の際に反射基材によって散乱された光を積分球などを用いて集光させるなどの手段を行わずに測定した透過率のことである。
【0022】
さらに本発明は、結晶化ガラスからなる反射基材に高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層した赤外線を透過し可視光を反射する光学的多層膜を被覆した反射鏡において、前記結晶化ガラスの平行透過率が760〜2500nm(近赤外線)の波長範囲に渡って75%以上の透過率を有するものとした。このように近赤外線域の平行透過率の最低値を75%以上とする特性を結晶化ガラスに付加することにより、ランプから照射される赤外線を効率良く反射基材の後方へ透過させることができる。したがって、反射基材に赤外線による熱が蓄積されにくくなる。760〜2500nmの波長範囲での最低平行透過率が75%未満であると、反射基板に被覆されている多層膜に対する熱負荷が増加し、多層膜の寿命を短くしてしまう。
【0026】
請求項2に対応する発明は、請求項1記載の透明結晶化ガラスの組成に、0.5〜2質量%のフッ素(F)を含有するものとした。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)この実施の形態の反射基材は、酸化物換算でSiO258〜70%、Al2O318〜25%、Li2O0.5〜2.5%、Na2O0〜2%、K2O0〜2%、MgO2.4〜5%、CaO0〜0.3%、BaO0.1〜2%、ZnO0.1〜7%、TiO20.1〜7%、ZrO20.5〜7%、Sb2O30.1〜2.5%を含有し、かつフッ素(F)を0.01〜3%を含有したものを原ガラスとする、または、この組成の他にP2O50〜3質量%もしくはB2O30〜3質量%を加えたものを原ガラスとする。そして、この原ガラスを溶融しプレス成形などで反射基材に成形し徐冷後、1次熱処理し結晶核生成を行う。次いで、結晶核生成温度より高い温度で2次熱処理し、主結晶として結晶粒径400nm以下のβ−石英固溶体を析出させる。この結晶の析出により原ガラスの状態では、35〜55×10-7/℃であった熱膨張係数が10〜25×10-7/℃という低い熱膨張係数を有する耐熱性に優れた透明結晶化ガラスの反射基材となる。
【0030】
上記したそれぞれの実施の形態の反射基材の760〜2500nmの赤外域の平行透過率は、75%以上であり反射基材の温度上昇を招く赤外線を効率よく透過させることができる。そして、この反射基材に高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層し、赤外線を透過し可視光を反射する多層膜を被覆した反射鏡を形成した。
【0031】
液晶プロジェクタ等の映写装置では、投射像全面にわたって均一な照度が求められる。面照度の均一性に関しては、反射鏡の設計および反射面精度による影響も少なくない。反射面精度が悪いと照度ムラの原因になるため、従来は要求品質により成形後反射面を研磨する等の後加工を行なって精度向上を図っている。
【0032】
本発明にかかる透明結晶化ガラスは作業点が低く、成形性に優れるため、金型設計に忠実な成形精度が得られ、成形後の加工を含めた生産性向上が可能である。
【0033】
【実施例】
本発明の実施例を表1に示す。
【表1】
【0045】
(実施例1)反射基材の組成が酸化物換算でSiO262%、Al2O321.5%、Li2O2.5%、MgO3.5%、ZnO2%、TiO23%、ZrO20.4%、BaO1%、Na2O1%、K2O0.5%、CaO0.1%、Sb2O30.5%、P2 O51%、B2O31%を含有し、かつフッ素(F)0.03%を含む原ガラスとなるように原料を調合する。そして、調合した原料を1550℃で溶融しガラス化させた後に、プレス成型により反射基材を形成し徐冷する。そして、この反射基材を常温から毎分10℃の昇温速度で650℃まで昇温し、650℃で2時間保持する1次熱処理で結晶核の生成を行う。その後、毎分10℃の昇温速度で750℃まで昇温し、750℃で2時間保持する2次熱処理で結晶を析出させ、毎分2℃の降温速度で冷却し、得られた反射基材は透明であった。また、このガラスは構成元素のSiO2とAl2O3とを合量で83.5%含むが、フッ素(F)を含有させているため、1248℃で103.0 Pa・s、1550℃で101.0 Pa・sとなるので、作業点が1000℃近傍となり、ガラスが冷めることなくプレス成形を行うことができ、プレス金型への負担が軽くタンク炉での連続成形が可能である。したがって、生産性の向上を図ることができる。
【0046】
この反射基材をX線回折装置により分析したところ回折パターンから、β−石英固溶体が主結晶として析出されていた。また、β−石英固溶体の結晶粒径を走査型電子顕微鏡により観察したところ、最大の結晶粒径のものでも100nmを越えるものは見られなかった。熱膨脹係数(50−250℃)は、結晶化前41×10-7/℃であったものが、結晶化後20×10-7/℃となり、耐熱衝撃性は600℃以上を示した。
【0047】
なお、耐熱衝撃性の評価は電気炉で1時間所定温度加熱した後、30℃以下の水中に投入、急冷した際に破損、クラックが生じたか否かを判断することで行った。本実施例では電気炉の温度を600℃としても反射基板に破損およびクラックが発生しなかったものである。
【0048】
また、反射基板を1mm厚にスライス、研磨した後、分光光度計を用いて平行透過率を測定したところ、760〜2500nmの波長範囲で82%以上の透過率を有していた(図1参照)。
【0049】
そして、反射基材の内面に高屈折率物質としてTiO2、低屈折率物質としてSiO2を使用し、TiO2−SiO2交互多層膜を真空蒸着法により被覆し、反射鏡を得た。そして、この反射鏡の平行透過率を測定したところ、760〜2500nmの波長範囲で82%以上の透過率を有していた。
【0050】
この実施例の反射鏡に100WのHIDランプを組み込み点灯試験(サンプル数10個)を行ったところ、1000時間点灯後も全てのサンプルで、反射基材に被覆された多層膜には膜剥がれなどの異常が見られなかった。
【0056】
さらに、フッ素(F)をガラス中に1%、2%含有したものを実施例2および3として表1中に示した。これら実施例は、反射基材の組成がそれぞれ表1中の原ガラスとなるように原料を調合する。そして、調合した原料を1550℃で溶融しガラス化させた後に、プレス成型により反射基材を形成し徐冷する。そして、この反射基材を常温から毎分20℃の昇温速度で700℃まで昇温し、700℃で1時間保持する1次熱処理で結晶核の生成を行う。その後、毎分20℃の昇温速度で800℃まで昇温し、800℃で1時間保持する2次熱処理で結晶を析出させたものであり、構成元素にSiO2とAl2O3とを合量で83.4%、84%含有しているが、フッ素(F)を1%、2%含有しているので、成形性は良好であった。また、結晶化後の熱膨張係数が18×10-7/℃、22×10-7/℃となり、耐熱衝撃性は600℃以上を示し、平行透過率も75%以上あり多層膜に膜剥がれも生じなかった。
【0057】
本発明の反射鏡を照明装置に使用した場合、ランプから照射される赤外線はランプから直線的に反射鏡背面に透過するので、反射鏡背面部位に熱伝導率の優れた材料(例えば金属など)からなる放熱板などを配設しファンなどで放熱板をクーリングすることで効果的な放熱対策を取ることができる。
【0058】
なお、上記した実施例では高屈折率物質にTiO2を用いたが、Ta2O5、Sb2O3、HfO2、SnO2、In2O3などを用いても良い。また、低屈折率物質についてもSiO2以外にも、Al2O3、WO3、MgOなどを用いても良い。
【0059】
(比較例1)反射基材の酸化物組成をSiO2 53%、Al2O3 21%、Li2O 2%、MgO 5%、ZnO 4%、TiO2 4%、ZrO2 4%、BaO 3%、Na2O 2%、K2O 1%、CaO 0.1%およびSb2O3 1.5%を含む原ガラスとなるように原料を調合する。そして、調合した原料を1550℃で溶融しガラス化させた後に、プレス成型により反射基材を形成し徐冷する。そして、この反射基材を常温から毎分15℃の昇温速度で750℃まで昇温し、750℃で1時間保持する1次熱処理で結晶核の生成を行う。その後、毎分15℃の昇温速度で850℃まで昇温し、850℃で1時間保持する2次熱処理で結晶を析出させ、毎分2℃の降温速度で冷却し、得られた反射基材は乳白色であった。
【0060】
この反射基材をX線回折装置により分析したところ回折パターンから、β−石英固溶体が主結晶として析出されていたが、この結晶粒径を走査型電子顕微鏡により観察したところ、結晶粒径のほとんどが400nmを越えていた。熱膨脹係数(50−250℃)は、結晶化前38×10-7/℃であったものが、結晶化後26×10-7/℃となり、耐熱衝撃性は500℃以上を示した。
【0061】
また、反射基板を1mm厚にスライス、研磨した後、分光光度計を用いて平行透過率を測定したところ、760〜2500nmの波長範囲で透過率が75%以上を示したのは、約1980〜約2150nmの範囲と、約2230〜約2450nmの範囲だけであった(図2参照)。
【0062】
そして、反射基材の内面に高屈折率物質としてTiO2、低屈折率物質としてSiO2を使用し、TiO2−SiO2交互多層膜を真空蒸着法により被覆し、反射鏡を得た。この反射鏡の平行透過率を測定したところ760〜2500nmの波長範囲では上記した反射基材と同様な透過率を得た。
【0063】
この比較例1の反射鏡に100WのHIDランプを組み込み点灯試験を行ったところ、1000時間点灯後の反射基材に被覆された多層膜には膜剥がれなどの異常が見られるものが発生していた。
【0064】
(比較例2)反射基材の組成が酸化物換算でSiO2 70.5%、Al2O323%、Li2O 1.5%、MgO 2%、ZnO 0.5%、TiO2 1%、Na2O 0.5%、CaO 0.1%、Sb2O3 0.5%、P2O5 0.2%およびB2O3 0.2%を含む原ガラスとなるように原料を調合する。そして、調合した原料を1650℃で溶融しガラス化させた後に、プレス成型により反射基材を形成し徐冷する。そして、この反射基材を常温から毎分15℃の昇温速度で750℃まで昇温し、750℃で1時間保持する1次熱処理で結晶核の生成を行う。その後、毎分15℃の昇温速度で850℃まで昇温し、850℃で1時間保持する2次熱処理で結晶を析出させ、毎分2℃の降温速度で冷却し、得られた反射基材は透明であった。さらに、このガラスは構成元素のSiO2とAl2O3とを合量で93.5%含むため、1455℃で103.0 Pa・sとなり、1700℃で101.0 Pa・sとなるので、作業点が1250℃近傍となり、保温対策等を行ってもプレス成形時の成形性が悪くなり、仮に、タンク炉での連続成形を行った場合でも、プレス金型に供給するガラスの温度が高くなるためプレス金型の寿命が短くなり生産性も低下してしまう恐れがある。
【0065】
【発明の効果】
本発明の反射鏡は反射基材に透明結晶化ガラスを使用しているため、ランプから照射される赤外線を効率良く透過できるので、反射基材および反射基材表面に被覆された多層膜の熱的負担を軽減することができる。また、本発明の透明結晶化ガラスは耐熱衝撃性にも優れているため、光源に用いられるランプの高輝度化、高効率化に対応でき、さらに小形化も可能となった。合わせて反射鏡背面に透過する赤外線の処理のしやすさ(放熱対策のとりやすさ)から、本発明の反射鏡を内蔵する映写装置の小形化、高信頼性化にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の反射基材の透過率曲線である。
【図2】 比較例1の反射基材の透過率曲線である。
Claims (4)
- 光源と組合わせて照明装置に使用される反射鏡であって、結晶化ガラスからなる反射基材に高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層した赤外線を透過し可視光を反射する光学的多層膜を被覆した反射鏡において、前記結晶化ガラスが、質量百分率で、SiO 2 58〜70%、Al 2 O 3 18〜25%、Li 2 O0.5〜2.5%、Na 2 O0〜2%、K 2 O0〜2%、MgO2.4〜5%、CaO0〜0.3%、BaO0.1〜2%、ZnO0.1〜7%、TiO 2 0.1〜7%、ZrO 2 0.5〜7%、P 2 O 5 0〜3%、B 2 O 3 0〜3%およびSb 2 O 3 0.1〜2.5%、フッ素(F)0.01〜3質量%を含有し、β−石英固溶体を主結晶とする透明結晶化ガラスからなり、かつ前記結晶化ガラスの1mm厚における平行透過率が760〜2500nmの波長範囲に渡って75%以上の透過率を有することを特徴とする反射鏡。
- 前記透明結晶化ガラスが0.5〜2質量%のフッ素(F)を含有することを特徴とする請求項2記載の反射鏡。
- 前記β−石英固溶体の結晶粒径が400nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射鏡。
- 光源と組合わせて照明装置に使用される反射鏡であって、結晶化ガラスからなる反射基材に高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層した赤外線を透過し可視光を反射する光学的多層膜を被覆した反射鏡において、前記結晶化ガラスが、質量百分率で、SiO258〜70%、Al2O3 18〜25%、Li2O0.5〜2.5%、Na2O0〜2%、K2O0〜2%、MgO2.4〜5%、CaO0〜0.3%、BaO0.1〜2%、ZnO0.1〜7%、TiO20.1〜7%、ZrO20.5〜7%、P2O50〜3%、B2O30〜3%およびSb2O30.1〜2.5%、フッ素(F)0.01〜3質量%を含有し、β−石英固溶体を主結晶とし、前記β−石英固溶体の結晶粒径が400nm以下であり、かつ前記結晶化ガラス1mm厚における平行透過率が760〜2500nmの波長範囲に渡って75%以上の透過率を有することを特徴とする反射鏡。
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