JP3997310B2 - シリコン製品の浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体分野で使用されるシリコン製のウエーハボートやフォーク、ダミーウェーハ、ウエーハ等のシリコン製品の金属不純物を除去して清浄にするシリコン製品の浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、シリコン(Si)製品としてのシリコン製のウエーハボートやフォーク、ダミーウェーハ、ウェーハ等の表面あるいは表層数十μmには、加工による又は熱処理炉内での使用若しくは処理に伴う金属汚染が存在する。
この金属汚染物質が鉄(Fe)の場合、最表面で1012〜1016atoms /cm3 程度と非常に高くなっているが、表面からの深さが増すにつれて徐々に減少し、深さ約30μm以上では加工汚染を受けにくくなり、バルク(結晶)純度を示す。
かかるシリコン製品としてのウェーハボートやフォーク、ダミーウェーハを用いてシリコンウエーハを熱処理すると、ウェーハボートやフォークと接触した若しくはダミーウェーハの近傍のシリコンウエーハが金属汚染されることとなるので、金属汚染物質を除去して清浄にするためのウェーハボートやフォークの浄化若しくはダミーウェーハの廃棄が行われ、又、シリコンウェーハを用いて半導体デバイスを製造すると、その歩留まりが低下するので、シリコンウェーハの浄化が行われている。
【0003】
従来、シリコン製品の浄化方法としては、シリコン製品をフッ化水素(HF)酸により洗浄して表面汚染を除去した後、フッ化水素酸及び過酸化水素(H2 O2 )水の混合液により洗浄する通常の方法、あるいはシリコン製品をフッ化水素酸に浸漬して酸化膜を除去した後、フッ化水素酸及び硝酸(HNO3 )の混合液に浸漬して汚染表層を溶解除去(エッチング)する方法(特開平5−175182号公報参照)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のシリコン製品の浄化方法における前者の方法では、表面の汚染は除去されるものの、依然として表層の金属汚染物質を除去することができない。
一方、後者の方法では、汚染表層を除去できるものの、表面の活性が高くなり、フッ化水素酸及び硝酸の混合液に溶解した金属が表面に吸着されることにより、完全な汚染除去が困難となる不具合がある。
【0005】
そこで、本発明は、金属汚染物質をほぼ完全に除去し得るシリコン製品の浄化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明のシリコン製品の浄化方法は、シリコン製品に塩化水素、酸素の混合ガスによる高温ドライ純化処理を施してから、シリコン製品をフッ化水素酸に浸漬して酸化膜を除去し、フッ化水素酸及び硝酸の混合液に浸漬して汚染表層を溶解除去した後、フッ化水素酸、硝酸及び塩酸の混合液に浸漬して表面の吸着金属汚染物質を遊離させ、しかる後に、純水によりリンスし、自然乾燥することを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明のシリコン製品の浄化方法においては、バルク中の金属汚染物質が表面・表層に移動されてから、酸化膜及び汚染表層が順次除去された後、表面に吸着した金属汚染物質が遊離させられてからすすぎ出され、しかる後に、自然酸化膜が形成される。
【0010】
酸化膜を除去するフッ化水素酸としては、濃度5%以上60%以下(以下、5〜60%と表す。)のものが用いられる。
【0011】
フッ化水素酸及び硝酸の混合液としては、濃度40〜60%のフッ化水素酸と濃度50〜90%の硝酸とをおよそ1:3〜5の割合で混合したものが用いられる。
【0012】
フッ化水素酸、硝酸及び塩酸の混合液としては、濃度40〜60%のフッ化水素酸、濃度50〜90%の硝酸及び濃度25〜50%の塩酸を1:1:1〜7の割合で混合したものが用いられる。
【0013】
高温ドライ純化処理は、塩化水素ガスを10〜30%含む酸素ガス雰囲気においてシリコン製品を1000〜1300℃の温度で1〜60時間熱処理することにより行う。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的な実施例、比較例を参照して説明する。
実施例1
先ず、実用されているシリコン製のウエーハボートから直方体状のテストピース(約19×17×20mm)を切り出し、このテストピースを、塩化水素ガスを20%含む酸素ガス雰囲気において1200℃の温度で60時間熱処理することにより、高温ドライ純化処理した。
次に、テストピースを、濃度10%のフッ化水素酸に浸漬して酸化膜(表面に付着した金属汚染物質を含む)を除去した後、濃度50%のフッ化水素酸及び濃度60%の硝酸を1:5の割合で混合した混合液に5分間浸漬して汚染表層(15μm)を溶解除去した。
次いで、テストピースを、濃度50%のフッ化水素酸、濃度60%の硝酸、濃度40%の塩酸及び純水を約1:1:1:7の割合で混合した混合液に5分間浸漬し、上記フッ化水素酸及び硝酸の混合液による溶解除去に伴って表面に吸着した金属汚染物質を遊離させた後、純水によりリンスして金属汚染物質をすすぎ出し、しかる後に、自然乾燥して自然酸化膜を形成した。
【0015】
比較例1
先ず、実施例1と同様に、実用されているシリコン製のウエーハボートから実施例1と同様のテストピースを切り出し、このテストピースに、実施例1と同様に塩化水素、酸素の混合ガスによる高温ドライ純化処理を施した。
次に、テストピースを、濃度10%のフッ化水素酸に浸漬して酸化膜(表面に付着した金属汚染物質を含む)を除去した後、濃度0.5%のフッ化水素酸及び濃度3.5%の過酸化水素水を1:6の割合で混合した混合液に30分間浸漬して洗浄した。
【0016】
実施例1及び比較例1のテストピースの浄化効果を評価するため、各テストピースを同ロットの異なるCZシリコンウエーハ(直径150mm)の表面中央部に置き、水素ガス(H2 )雰囲気において1200℃の温度で1時間熱処理する転写を行った後、テストピースが置かれたそれぞれのCZシリコンウエーハの表面中央部を9区画に区画し、表面光電圧法(SPV)により鉄濃度を測定したところ、鉄濃度1012atoms /cm3 と高い区画が、実施例1のテストピースは1個しかなかったのに対し、比較例1のテストピースは6個もあった。
したがって、実施例1の浄化方法は、シリコン製品の高純度化にとって非常に有効であることが分かる。
【0017】
実施例2
先ず、シリコンウェーハの熱処理プロセスにおいて、製品ウェーハの金属汚染を防ぐため、縦型熱処理炉の炉芯管内に装入したシリコン製の縦型のウェーハボートの上部と下部に、複数の製品ウェーハを挟むように載置されたシリコン製のダミーウェーハの数回の使用後の鉄濃度を表面光電圧法により測定したところ、その全面において鉄濃度1012atoms/cm3 以上であった。
次に、金属汚染された上記ダミーウェーハを、塩化水素ガスを20%含む酸素ガス雰囲気において1200℃の温度で数時間処理することにより、高温ドライ鈍化処理した。
次いで、上記ダミーウェーハを、濃度10%のフッ化水素酸に浸漬して酸化膜(表面に付着した金属汚染物質を含む)を除去した後、濃度50%のフッ化水素酸及び濃度70%の硝酸を1:3の割合で混合した混合液に1分間浸漬して汚染度層(50μm)を溶解除去した。
次に、上記ダミーウェーハを、濃度10%のフッ化水素酸、濃度70%の硝酸、濃度36%の塩酸及び純水を約1:1:1:7の割合で混合した混合液に約5分間浸漬し、上記フッ化水素酸及び硝酸の混合液による溶解除去に伴って表面に付着した金属汚染物質を遊離させた後、純水によりリンスして金属汚染物質をすすぎ出し、しかる後、自然乾燥して自然酸化膜を形成した。
上述したように処理したダミーウェーハの鉄濃度を表面光電圧法により測定したところ、その全面において鉄濃度109 〜1010atoms/cm3 になり、新品のシリコンウェーハ並みの高清浄度を示した。
【0018】
そして、前述したように処理して再生させた10枚のダミーウェーハを、縦型熱処理炉の炉芯管内に装入したシリコン製の縦型のウェーハボートの上部と下部に、CZ法による複数のシリコンウェーハ(製品ウェーハ)を挟むようにそれぞれ5枚ずつ載置し、水素ガス雰囲気において1200℃の濃度で1時間熱処理する一方、新品の10枚のダミーウェーハを、同様のウェーハボートの上部と下部に、同様に載置して同様に熱処理し、それぞれの製品ウェーハの鉄濃度を表面光電圧法により測定したところ、いずれも全面において鉄濃度1011atoms/cm3 以下となり、両者に差が認められなかった。
又、再生させたダミーウェーハ、新品のダミーウェーハを用いて上述したように処理したそれぞれの製品ウェーハ上の厚さ20nmの酸化膜の耐圧試験を行ったところ、新品ダミーウェーハを用いて処理した製品ウェーハより、再生ダミーウェーハを用いて処理した製品ウェーハの方が、耐圧破壊に強く、かつ、鉄を含むすべての重金属汚染度が少ないことが分った。
したがって、使用後のダミーウェーハに対して前述した浄化処理を施すことにより、従来のように廃棄することなく、再生利用し得ることが分る。
【0019】
なお、上述した実施の形態においては、シリコン製品に塩化水素、酸素ガスの混合ガスによる高温ドライ純化処理を施した後、酸化膜及び汚染表層の除去、表面に吸着した金属汚染物質の遊離させられてからのすすぎ出し及び自然酸化膜の形成を順次行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、シリコン製品に塩化水素、酸素ガスの混合ガスによる高温ドライ純化処理を施すことなく、酸化膜及び汚染表層の除去、表面に吸着した金属汚染物質の遊離させられてからのすすぎ出し及び自然酸化膜の形成を順次行うようにしてもよい。事前に塩化水素、酸素ガスの混合ガスによる高温ドライ純化処理を施す場合に比べ、汚染表層の除去厚さを大きくしなければならない場合がある点を除けば、ほぼ同様の作用効果が得られる。
又、シリコン製品としては、ウエーハボートやダミーウェーハに限らず、シリコン製のフォーク等の治具あるいはシリコンウエーハ、その他であってもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシリコン製品の浄化方法によれば、バルク中の金属汚染物質が表面・表層に移動されてから、酸化膜及び汚染表層が順次除去された後、表面に吸着した金属汚染物質が遊離させられてからすすぎ出され、しかる後に、自然酸化膜が形成されるので、従来に比べてシリコン製品中の金属汚染物質を表層の除去厚さの増大を招くことなくほぼ完全に除去することができる。
Claims (1)
- シリコン製品に塩化水素、酸素の混合ガスによる高温ドライ純化処理を施してから、シリコン製品をフッ化水素酸に浸漬して酸化膜を除去し、フッ化水素酸及び硝酸の混合液に浸漬して汚染表層を溶解除去した後、フッ化水素酸、硝酸及び塩酸の混合液に浸漬して表面の吸着金属汚染物質を遊離させ、しかる後に、純水によりリンスし、自然乾燥することを特徴とするシリコン製品の浄化方法。
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