JP3996503B2 - 圧洩れ検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンのシリンダヘッド等に対する圧洩れ検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来行われているシリンダヘッドに対する圧洩れ検査は、シリンダヘッドの上下及び吸排気ポート等外部へ連通する部分を密栓にてシールし、内部へ所定圧のエアーを注入してから、その注入エアー圧の減少を測定する正圧検査であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実公平5−17638号
【特許文献2】
特許第2683658号
【特許文献3】
特開昭61−196132号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の正圧検査は、例えばカムシールの部分のみの局部的なシール性検査でも多数ヶ所を密栓しなければならないので、工数が多くなり、かつ密栓のための装置も大がかりなものとなった。また密栓する場合は密栓部を予め十分に清掃しておかなければ正確な測定ができないので準備に多くの工数を必要とした。したがって、局部的に簡単な検査ができるものが望まれていた。本願発明は、このような要請の実現を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1の圧洩れ検査装置は、一端が開放された筒状部の内側かつ前記開放端近傍に設けられたシールの圧洩れを検査するための圧洩れ検査装置において、
前記筒状部の開放端を密閉して前記シールと筒状部との間に密閉空間を形成するための密閉部と、
この密閉部を前記開放端へ密接させる伸縮部材と、
前記密閉部を通して前記密閉空間に接続して内側の空気を吸引する吸引手段と、密閉空間の内圧を測定する負圧計測器とを備え、
前記シールから前記開放端までの前記筒状部内におけるシール場所は前記シール一カ所だけであり、
前記密閉空間は一つの前記シールのみを介して筒状部内他側空間の外気と隔てられるとともに、
前記筒状部の開放端は前記シールから突出し、
前記密閉部は、一端を開放された有底筒状をなし、その開放端に前記筒状部の開放端に前記筒状部の開放端部へ密着する弾性シールが設けられ、
この弾性シールを介して前記伸縮部材により前記密閉部を前記筒状部の開放端へ押し付けて前記筒状部を気密に覆い、
この密閉部で覆われた部分以外の他の開口部を密栓することなく、前記密閉部と前記シールとの間に密閉空間を形成したことを特徴とする
【0007】
請求項2は上記請求項1において、前記密閉部を着脱自在にしたことを特徴と
する。
請求項3は上記請求項1において、前記筒状部内のシールがエンジンのオイルシール部であることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
請求項1の圧洩れ検査装置によれば、密閉部と筒状部とシールによって囲まれた密閉空間を負圧にしてから、その後の内圧変化によって圧洩れを判定し、所定時間内に所定以上の内圧上昇があれば圧洩れ有りと判断し、そうでなければ圧洩れ無しと判断する。したがって、局部的な検査対象のシールだけを検査するだけで済み、かつ従来の正圧法のように他の開口部をすべて密栓する必要がなくなり、密栓の準備や密栓すること自体の手間が不要になる。このため、検査対象のシールの圧洩れ有無を簡単に測定でき、かつオイルシールなどの部品単独を対象にした検査が容易になる。
【0009】
また、内側にシールが設けられた筒状部の開放端を密閉部で密閉して覆い、吸引手段により密閉空間内の空気を吸引して所定の負圧にする。この状態で負圧計測器により密閉空間内の内圧変化を測定し、所定時間内に所定以上の内圧上昇があれば圧洩れ有りと判断し、そうでなければ圧洩れ無しと判断する。したがって、上記効果に加えて、密栓のための大がかりな装置が不要になり、装置をコンパクトなものにすることができる。
【0010】
そのうえ、密閉部先端側に筒状部の開放端周囲へ密着する弾性シール部材を設けることにより、筒状部の開放端周囲の表面に凹凸等があっても確実にシールできる。しかも密閉部内側を負圧にするから、密閉部先端側のシール部材と筒状部の開放端周囲とのシール性をより一層高めることができる。
また、請求項2のように密閉部を着脱自在にすれば、検査対象部のサイズや形状が変化しても、密閉部の交換だけで容易に検査をすることができる。
さらに、請求項3のように、筒状部内側のシールをエンジンのオイルシール部として、オイルシールを単独でシール性検査ができる。しかもエンジンの組立途中でも検査できるから、組立後の検査でシール不良を発見してエンジンを分解・再組立するような事態を回避できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は検査対象部を含むエンジンの概略構造を示す。このエンジンはクランク室1,シリンダブロック2,シリンダヘッド3,シリンダヘッドカバー4をこの順に重ね合わせてある。符号5はクランクシャフト、6はピストン、7は吸気ポート、8は排気ポート、9はシリンダヘッド3とシリンダヘッドカバー4にまたがって側面へ一体に突出形成された筒状部、10はこの筒状部内へ端部を突出させるカムシャフト、11はオイルシールである。
【0012】
図2はオイルシール11のシール性を検査するための圧洩れ検査装置を示し、オイルシール11は筒状部9内へ嵌合され、外周面は筒状部9の内周面へ密接するとともに、中心部ではシールリップ12がカムシャフト10の外周面へ密に摺接する。これによりカムシャフト10が外部へ突出する部分を液体密並びに気体密に密閉シールし、本来であればカムシャフト10の周囲に供給されるオイルが外部へ漏れ出ないようにシールしている。但し、この検査段階では、オイルは供給されず外気圧の空気が入っている。
【0013】
圧洩れ検査装置は、密閉部13,吸引手段14,圧抜き弁15及び負圧計測器16、センサー17を備える。密閉部13は一方が開放された容器状をなし、基部18と筒状部9に対応する筒壁19を一体に備え、筒壁19の端面にシール20が一体化されている。シール20は筒状部9の端面へ密着し、これにより密閉部13が筒状部9の開放部を覆い、その内側で筒状部9とオイルシール11に囲まれた空間を密閉する。
【0014】
基部18の中央には貫通穴21が形成され、これに一端が接続する吸引通路22へジョイント23を介して基部18が連結されている。ジョイント23により基部18は吸引通路22と着脱自在であり、検査対象部に応じて形状や構造の異なる密閉部13を交換できる。また、基部18にはエアーシリンダ24の一端が取付けられ、その伸縮により密閉部13全体が筒状部9に対して進退し、前進時にシール20が筒状部9の端面へ密に押し付けられるようになっている。
【0015】
吸引通路22の他端は吸引手段14へ接続される。吸引手段14は負圧発生部であり、負圧源となる公知の種々のものを適用できるが、例えば図示のように、シリンダ25とその内部を摺動するピストン26を備え、ピストン26を図の左方へ後退させることにより、密閉部13内側の空気を吸引して内部を負圧にするようになっている。
【0016】
吸引通路22には圧抜き弁15が設けられ、これを開閉することにより吸引通路22を開閉する。負圧計測器16は吸引通路22の負圧を計測し、圧抜き弁15が開いたとき吸引通路22を介して密閉部13内部の負圧を計測する。この計測された負圧は計測信号としてセンサー17から出力され、合否判定に供される。
【0017】
次に、本実施例の作用を説明する。図3に示すように、まず、エアーシリンダ24を前進させてシール20を筒状部9の端面へ押し付けることにより、密閉部13でオイルシール11の外方を密に覆う。この状態ではエンジンの他の部分に対する密栓は一切不要である。
【0018】
つづいて、圧抜き弁15を開き、吸引手段14により負圧を発生させて密閉部13の内部を吸引し、例えば内圧を−20kPaとする。この状態で圧抜き弁15を閉じて所定時間における密閉部13の内圧を負圧計測器16により計測する。この計測値は負圧計測器16自体の目盛りによって直に確認できるとともに、計測信号としてセンサー17から図示しない合否判定部へ出力し、ここで負圧の程度に応じて合否判定を行ない合否ランプ等で結果を表示する。
【0019】
一方、オイルシール11の不良、例えば、シールリップ12の破損やめくれ等があれば、シリンダヘッドカバー4の内部の空気(大気圧)が矢示のようにオイルシール11を通って密閉部13内へ洩れ出すので内圧が上昇し、計測される負圧が所定のレベルを超えればオイルシール11の不合格となる。
【0020】
このように、本圧洩れ検査方法及び装置を用いれば、検査対象部以外の開口部等に対する密栓を不要にでき、そのための大がかりな装置も不要となる。したがって、局部的な検査対象部を容易に測定できるようになり、かつ装置がコンパクトで携帯可能なものになる。
【0021】
また、密閉部13の筒壁9に弾性部材からなるシール20を設けたので、検査対象部の周囲である筒状部9の端面表面に凹凸等があっても、その凹凸に確実に馴染んで弾性変形することによりシールできる。しかも密閉部13の内側を負圧にするから、シール20と筒状部9との密着をより強固にしてシール性をより一層高めることができる。
【0022】
さらに、密閉部13の基部18をジョイント23により吸引通路22の端部へ着脱自在に連結したので、検査対象部の周囲である筒状部9のサイズや形状が変化しても、密閉部13の交換だけで容易に検査をすることができる。
【0023】
そのうえ、検査対象部をエンジンのオイルシール11として、オイルシール11を単独でシール性検査ができる。しかもエンジンの組立途中でも検査できるから、組立後の検査でシール不良を発見してエンジンを分解・再組立するような事態を回避できる。
【0024】
なお、本圧洩れ検査装置は、上記オイルシール11の検査だけでなく、オイルシール11やその他各部の圧洩れ検査に適用できる。また、密閉部13を検査対象部の形状に応じて、例えば角筒状等に交換するだけで、非円形等種々な形状やサイズの異なる検査対象部に対しても容易かつ確実に検査できる。
【0025】
さらに、シール20の材質を、より変形量の大きな軟質ゴム等の易弾性変形部材にすれば、検査対象部のシール面が激しく凸凹している場合であっても、確実にシールできる。また、検査対象部はエンジン等に限らず液圧や気圧の圧洩れの検査が必要な検査対象部を有するどのようなものでもよい。
【0026】
また、検査目的もシール性の合否ばかりでなく、鋳造時の不良部である巣穴の有無判定に用いることもできる。この場合、巣穴があれば、通気性が変化するので、やはり負圧レベルの変化として判断できる。そのうえ加工時の傷の有無も判定できる。すなわち傷があればここから圧洩れするためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】検査対象となるエンジンの概略図
【図2】本実施例の圧洩れ検査装置の構成図(検査前)
【図3】同上(検査中)
【符号の説明】
5:クランクシャフト、9:筒状部、10:カムシャフト、11:オイルシール、12:シールリップ、13:密閉部、14:吸引手段、15:圧抜き弁、16:負圧計測器、17:センサー、20:シール
Claims (3)
- 一端が開放された筒状部の内側かつ前記開放端近傍に設けられたシールの圧洩れを検査するための圧洩れ検査装置において、
前記筒状部の開放端を密閉して前記シールと筒状部との間に密閉空間を形成するための密閉部と、
この密閉部を前記開放端へ密接させる伸縮部材と、
前記密閉部を通して前記密閉空間に接続して内側の空気を吸引する吸引手段と、密閉空間の内圧を測定する負圧計測器とを備え、
前記シールから前記開放端までの前記筒状部内におけるシール場所は前記シール一カ所だけであり、
前記密閉空間は一つの前記シールのみを介して筒状部内他側空間の外気と隔てられるとともに、
前記筒状部の開放端は前記シールから突出し、
前記密閉部は、一端を開放された有底筒状をなし、その開放端に前記筒状部の開放端に前記筒状部の開放端部へ密着する弾性シールが設けられ、
この弾性シールを介して前記伸縮部材により前記密閉部を前記筒状部の開放端へ押し付けて前記筒状部を気密に覆い、
この密閉部で覆われた部分以外の他の開口部を密栓することなく、前記密閉部と前記シールとの間に密閉空間を形成した、
ことを特徴とする圧洩れ検査装置。 - 前記密閉部を着脱自在にしたことを特徴とする請求項1の圧洩れ検査装置。
- 前記筒状部内のシールがエンジンのオイルシール部であることを特徴とする請求項1の圧洩れ検査装置。
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