JP3996232B2 - 半導体製造装置用のサセプタ及びこのサセプタを使用するウエーハ着脱方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD装置などの半導体製造装置において半導体のウエーハを保持するために使用されるサセプタの構造に係り、特に、半導体のウエーハをサセプタに対して自動着脱する際に好適な構造、及び自動搬送装置を用いて当該サセプタに対してウエーハを着脱する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CVD装置などの半導体製造装置において、搬送用ロボットなどの自動搬送装置を使用してサセプタ上にウエーハを降ろし、あるいはサセプタ上からウエーハを取り出すために、図5に示す様に、ウエーハ1の外周部の下側に当るサセプタ2の表面に溝9を設け、自動搬送装置のチャック16の爪17が、この溝9を介して、ウエーハ1の周縁部の下側に挿入される様にしている。
【0003】
(従来技術の問題点)
ウエーハ1はサセプタ2から、直接、チャックの爪17によって持ち上げられて搬送されるため、サセプタ2に形成されるチャックの爪17用の溝9として、かなり大きな溝を設ける必要がある。
【0004】
この様な大きな溝がサセプタの表面に形成されているので、CVDプロセスの間に反応ガスがウエーハ1の裏面側に回り込み、回り込んだ反応ガスによってウエーハ1の温度が局部的に低下するために、ウエーハの温度の均一性が損なわれ、これによって、形成される気相成長層の膜厚の均一性が低下するという問題があった。
【0005】
また、回り込んだ反応ガスによってウエーハ1の裏面側にも気相成長層が形成されると、製造されるエピタキシャル・ウエーハの商品価値が損われるという問題もあった。更に、ウエーハ1がサセプタ2上に置かれたとき、サセプタ2の余熱によって、ウエーハ1が裏面側から暖められ、表面と裏面との間の温度差によって反りを生ずることがあり、この反りによってウエーハ1の位置が動いてしまう問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の様な問題を解決すべくなされたもので、本発明の目的は、ウエーハの自動着脱に適した構造を備え、且つその表面に大きな溝を設けずに済むサセプタの構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のサセプタは、半導体製造装置において半導体のウエーハが搭載されるサセプタであって、
ウエーハの外周部に沿って、表面の少なくとも三箇所に凹部を備え、
この凹部の中に、中間に支点を有し、先端部がウエーハの周縁部の下側に位置し、後端部がウエーハの外周の外側に位置し、前記支点の回りで上下方向の傾動が可能な突き上げピンが配置されていることを特徴とする。
【0008】
なお、望ましくは、前記突き上げピンは、その上面の、ウエーハの外周部に隣接する部分にウエーハの面方向の移動を拘束するための突起部を備える。
本発明のサセプタに対するウエーハの着脱は、ウエーハ搬送装置を用いて、以下の様に行われる。
【0009】
即ち、サセプタ上にウエーハを置くときは、前記突き上げピンの後端部を押し下げることによって前記突き上げピンの先端部を押し上げ、この状態でウエーハ搬送装置のチャックの爪の上から前記突き上げピンの先端部にウエーハを移載し、次いで前記突き上げピンの先端部を下げてウエーハをサセプタ上に降ろす。一方、サセプタ上からウエーハを取り出すときは、前記突き上げピンの後端部を押し下げることによって前記突き上げピンの先端部を押し上げ、これによりウエーハをサセプタ表面から持ち上げた状態で、前記突き上げピンの先端部からウエーハ搬送装置のチャックの爪の上にウエーハを移載する。
【0010】
本発明のサセプタによれば、ウエーハの周縁部の下側に当たるサセプタの表面部分には、前記突き上げピンの先端部分を収容するための小さな溝を設けるだけで、サセプタに対するウエーハの着脱が可能になるので、従来の構造によるサセプタと比較して、ウエーハの裏面側への反応ガスの回り込みを大幅に減少させることができる。この結果、CVDプロセスの間におけるウエーハの温度の均一性が改善されるので、ウエーハ表面に形成される気相成長層の膜厚分布の均一性を向上させ、また、ウエーハの裏面側における気相成長層の形成を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に、本発明のサセプタの構造の一例を示す。なお、図2は図1のA−A部の部分拡大断面図を表す。図中、1はウエーハ、2はサセプタ、3は凹部、4は突き上げピン、5は支点、6はストッパ(突起部)を表す。
【0012】
サセプタ2の表面には、ウエーハ1の外周部に沿った位置の4箇所に、凹部3が形成されている。これらの各凹部3の中には、それぞれ突き上げピン4が配置されている。突き上げピン4は、中間に支点5を有し、その先端部4aがウエーハ1の周縁部の下側に位置し、後端部4bがウエーハ1の外周の外側に位置し、この支点5の回りで上下方向の傾動が可能である。なお、この他に、突き上げピン4の上面には、ウエーハ1の外周部の外側の近傍に当たる部分に突起状のストッパ6が設けられており、ウエーハ1の面方向の位置ずれを拘束する機能を備えている。
【0013】
図3に、この突き上げピン4を用いて、ウエーハ1をサセプタ2の表面から上方に持ち上げた状態を示す。この突き上げピン4は、てこの原理を利用したもので、図3に示す様に、突き上げピン4の後端部4bをウエーハの搬送装置等に設けられたアーム18を用いて押し下げることによって、支点5の回りで突き上げピン4を傾動させて、突き上げピン4の先端部4aを押し上げ、これによって、ウエーハ1をサセプタ2の表面から上方に持ち上げることができる。また、突き上げピン4の先端が下げられた状態では、突き上げピンの先端部4aがサセプタ2の表面より上方へ出ないように、突き上げピン4を収容する凹部3の深さが設定されている。
【0014】
図4に、上記のサセプタ2を使用するウエーハ1の自動搬送装置の概要を示す。
搬送ヘッド11は、ロボット式あるいはガイドレール式などの移動装置により、サセプタ2上でのウエーハのセット位置と、カセット(図示せず)等のウエーハ収納位置との間を移動するようになっている。
【0015】
搬送ヘッド11の前面には昇降ガイド12を介して昇降体13が取り付けられ、昇降体13の前面には水平ガイド14を介して一対のスライダ15が取り付けられ、各スライダ15の前方にはそれぞれチャック16が取り付けられている。
【0016】
また、昇降体13には、前記の突き上げピン4を操作するためのアーム18が取り付けられている。
昇降体13は、サセプタ2上のウエーハ1のセット位置の上方において、昇降ガイド12に沿って昇降される。突き上げピン4によってウエーハ1がサセプタ2から持ち上げられている状態で、一対のスライダ15を水平ガイド14に沿って対称方向に移動させて、チャック16を開閉することにより、チャックのツメ17がウエーハ1の下方で出し入れされる。
【0017】
次に、この自動搬送装置を用いて、サセプタ2に対してウエーハ1を着脱する際の動作について説明する。
先ず、処理対象のウエーハはカセット(図示せず)に収容された状態でCVD装置に搬送され、CVD装置にセットされる。次に、ウエーハはロボットアームによってカセットから抜き取られ、搬送台(図示せず)の上に運ばれる。搬送台の上に水平に載せられたウエーハは、搬送ヘッド11のチャック16で持ち上げられ、CVD装置内の指示されたサセプタの上方まで、そのまま平行に搬送される。
【0018】
一方、サセプタ2には、先に図1及び図2に示した様に、ウエーハ1の外周に沿った4箇所に突き上げピン4が組み込まれている。但し、これらの突き上げピン4とチャックの爪17とは互いに干渉しないように、その配置は円周方向にずらされている。
【0019】
ウエーハ1がサセプタ2上に平行に搬送された後、昇降体13を降下させ、それによってアーム18で突き上げピン4を操作して、突き上げピン4の先端部を押し上げる、これによりチャックの爪17によって支えられていたウエーハ1が、突き上げピン4の先端部の上に移される(図3参照)。ここで、チャック16を開いて、昇降体13を上昇させ、更に搬送ヘッド11を移動させて、次のウエーハを取りに戻る。一方、昇降体13の上昇に伴い、突き上げピン4の先端部が下がり、ウエーハ1はサセプタ2の上面にセットされる(図2参照)。
【0020】
なお、サセプタ2の上に置かれたウエーハ1に熱による反りが生じても、突き上げピン4の上面に設けられたストッパ6(図2参照)によって、ウエーハ1は定位置を維持することができる。
【0021】
ウエーハ1の反りがなくなった状態では、サセプタ2の上面とウエーハ1の下面とは密着しているが、突き上げピン4の先端部が収容されている凹部3の部分には小さな隙間ができる。しかし、従来の、チャックの爪が挿入されるための溝9(図5)と比較すると遥かに小さな隙間であり、その影響は僅かである。
【0022】
この様にして、サセプタ2の上に規定枚数のウエーハのセットが完了した後、気相成長のプロセスが開始される。本発明に基づくサセプタを使用した場合、サセプタの表面のウエーハ1の周縁部の下側に当たる部分には、突き上げピン4の先端部を収容するための極く小さな凹部が設けられているのみなので、従来の構造によるサセプタ(図5)の場合と比較して、ウエーハの裏面側に回り込む反応ガスの量を大幅に減少させることができる。この結果、ウエーハの温度の均一性が改善され、気相成長により形成される膜厚分布の均一性が向上する。また、同時に、ウエーハの裏面側での気相成長層の形成を防止することができる。
【0023】
気相成長のプロセスが終了した後、再び、搬送ヘッド11をウエーハ1の上方へ移動し、昇降体13を下降させ、アーム18で突き上げピン4の後端部を押し下げて突き上げピン4の先端部を押し上げ、これによりウエーハ1をサセプタ2の表面から持ち上げる。この状態で、チャック16を閉じて昇降体13を上昇させる。これにより、ウエーハ1は突き上げピン4の先端部からチャックの爪17の上に移載される。次いで、搬送ヘッド11を移動して、ウエーハ1を搬送台まで送る。搬送台に乗せられたウエーハはロボットアームによってカセットの中に戻される。
【0024】
【発明の効果】
CVD装置を用いて気相成長層の形成を行う際に、本発明に基づくサセプタを使用すれば、気相成長のプロセスの間でのウエーハの温度の均一性を改善し、気相成長層の膜厚分布の均一性を向上させることができる。また、本発明に基づくサセプタを使用すれば、ウエーハの裏面側での気相成長層の形成を防止することができるので、エピタキシャル・ウエーハを製品として製造する場合、その外観を清浄に保ち、商品価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく半導体製造装置用のサセプタの一例の概要を示す図。
【図2】本発明に基づくサセプタにおいて、突き上げピンの取り付け部分の詳細を示す拡大断面図。
【図3】本発明に基づくサセプタにおいて、突き上げピンの動きを示す拡大断面図。
【図4】本発明に基づくサセプタを使用する、ウエーハの自動移載装置の構成の一例を示す図。
【図5】従来のサセプタの構造、及び従来のサセプタに対してウエーハを着脱する方法を示す図。
【符号の説明】
1・・・ウエーハ、2・・・サセプタ、3・・・凹部、4・・・突き上げピン、5・・・支点、6・・・ストッパ(突起部)、9・・・溝部、11・・・搬送ヘッド、12・・・昇降ガイド、13・・・昇降体、14・・・水平ガイド、15・・・スライダ、16・・・チャック、17・・・チャックの爪、18・・・アーム。
Claims (2)
- 半導体製造装置において半導体のウエーハが搭載されるサセプタであって、
ウエーハの外周部に沿って、サセプタの上面の少なくとも三箇所に凹部を備え、
この凹部の中に、中間に支点を有し、先端部がウエーハの周縁部の下側に位置し、後端部がウエーハの外周の外側に位置し、前記支点の回りで上下方向の傾動が可能な突き上げピンが、突き上げピンの先端が下げられた状態で突き上げピンの先端部がサセプタの上面より上方に出ないように配置され、
且つ、この突き上げピンは、その上面の、ウエーハの外周部に隣接する部分にウエーハの面方向の移動を拘束するための突起部を備えていることを特徴とする半導体製造装置用のサセプタ。 - 半導体製造装置において、ウエーハ搬送装置を用いてサセプタに対してウエーハを着脱する方法であって、
ウエーハの外周部に沿って、サセプタの上面の少なくとも三箇所に凹部を設けるとともに、この凹部に、中間に支点を有し、先端部がウエーハの周縁部の下側に位置し、後端部がウエーハの外周の外側に位置し、前記支点の回りで上下方向の傾動が可能な突き上げピンを、突き上げピンの先端が下げられた状態で突き上げピンの先端部がサセプタの上面より上方に出ないように配置し、且つ、この突き上げピンの上面の、ウエーハの外周部に隣接する部分にウエーハの面方向の移動を拘束するための突起部を設け、
サセプタ上にウエーハを置くときは、前記突き上げピンの後端部を押し下げることによって前記突き上げピンの先端部を押し上げ、この状態でウエーハ搬送装置のチャックの爪の上から前記突き上げピンの先端部にウエーハを移載し、次いで前記突き上げピンの先端部を下げてウエーハをサセプタ上に降ろし、
一方、サセプタ上からウエーハを取り出すときは、前記突き上げピンの後端部を押し下げることによって前記突き上げピンの先端部を押し上げ、これによりウエーハをサセプタの表面から持ち上げた状態で、前記突き上げピンの先端部からウエーハ搬送装置のチャックの爪の上にウエーハを移載すること
を特徴とする半導体製造装置におけるウエーハ着脱方法。
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